真・恋姫†無双〜だけど涙が出ちゃう男の娘だもん〜[第43話]
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真・恋姫†無双〜だけど涙が出ちゃう男の((娘|こ))だもん〜

 

[第43話]

 

 

「ゴホンッ。では、これからどうして行くべきか、それを話し合いたいと思います。各自、((忌憚|きたん))の無い意見を出すように」

 

ボクが指令所用の天幕へ戻って来た後、時を経ずに将軍たちも連れだって入室して来ました。

彼女たちの顔は笑いが収まり切らないためなのか、少し((緩|ゆる))んでいるように見受けられます。

その事が少し((癪|しゃく))に((障|さわ))ったので、ボクは威厳を保つように自分の席に着きながら、((咳|せき))をついて彼女たちに注意を((促|うな))がしました。

それを受けて彼女たちは、ボクと対面するような場所へ思い思いに移動して行く。

将軍たちがそれぞれの位置に着いたのを確認して、ボクは皆に向かって話しかけていきました。

 

「今現在の分かっている事は、広宗の街を占拠している黄巾党は極度の食糧難に((陥|おちい))っている事。

首領格と((目|もく))される人物の一人である老公とやらは、((天和|てんほう))たちの話しを信じるなら死亡している可能性が高い事。

その老公の協力者である商人と((思|おぼ))しき人物たちは、広宗の街に居る可能性が高い事。

この3人が朝廷の討伐対象である天公などの((僭称者|せんしょうしゃ))であり、反乱を企てて実行に移していった可能性がある事。

王朝打倒の((趣旨|しゅし))に協調していたかは不明だけど、天和たちは反乱をするための人集めに使われた可能性がある事」

 

ボクは少し間を空けてから、最優先事項を告げていきます。

 

「そしてなにより、老公は洛陽に居る誰かと連絡を取り合っていたと云う。それに、ボクたちに渡ってくる情報も選別されている可能性もある。((穿|うが))った見方をすれば、今回の乱の黒幕は朝廷に居る内通者その人であり、老公はその内通者の((操|あやつ))り人形であった可能性もあると云う事。……もっとも、老公が亡くなってしまっているのなら、真相は闇の中かも知れないけどね」

 

ボクは前面に並んでいる将軍たちを見回してから、続けて話しかけていきます。

 

「とりあえず、少なくとも渡って来る情報は制限されていたんだし、黄巾党にもこちら側の情報が渡っていた可能性もある。だから、黒幕が居るかどうかは別にして、朝廷に居るであろう内通者を探っていく。それは明命に任せるから、”草”などから情報を集めさせておいてくれるかな? ボクへの報告は、いつも通り朱里たちに知らせた後で構わないからさ」

 

((周泰|しゅうたい))へ顔を向けて視線を合わせると、彼女は了承するように((頷|うなず))いてくれます。

続いて諸葛亮を始めとした軍師たちに視線を向けていくと、彼女たちも同意を示してくれました。

 

「内通者の件はこれで良し、と。じゃあ、次に天和たちをどうするか、それを決めていこうか。これから裏付けは取っていくつもりだけど。とりあえず、彼女たちの話しが事実であると仮定して考えて欲しい。なにか意見はあるかな?」

 

ボクは顔を正面に向けて、皆に意見を求めました。

 

「私は処断すべきと考えます」

 

((郭嘉|かくか))が自分のメガネを指で押し上げて位置を修正しながら、そのような意見を真っ先に((具申|ぐしん))してきました。

 

「その理由は何かな?」

 

ボクは郭嘉に詳細を確認するべく話しかけました。

 

「理由は簡単です。助ける必要性を感じないからです。彼女たちは犯罪者。しかも、今回の反乱の主要人物でもあります。相応の刑罰を受けるべきと考えます」

「ふむ」

「また仮に、刹那様の((仰|おっしゃ))るような事態が事実であった場合は、真実を我々が知っている事を気取られてしまうのは危険というものでしょう。わざわざ危険を((冒|おか))すより、処断して((後顧|こうこ))の憂いを払うべきと考えます」

「なるほど、ね」

 

郭嘉は不確実性の存在は排斥すべきと主張してきました。

たしかに彼女の主張する方法を取れば、((後腐|あとくさ))れが無いのだと納得する。

天和たちの事を無かった事にすれば、これまで通りにやっていけるからです。

 

「ただ、刹那様の((仰|おっしゃ))る((懸念|けねん))も理解できますが、黒幕が((余所|よそ))にいるというのは少し穿ち過ぎではないでしょうか?」

「うっ……。そ、そうかな?」

「ええ、そう思います。私が賊側の人間として今回の反乱を計画したなら、各地で複数の軍勢を同時期に決起させて朝廷の目を向けさせているうちに、時機を見計らって首都でも反乱を起こさせます。むしろ老公とやらの連絡の件も、その可能性の方が高かったと思います。なにより、((手駒|てごま))である彼女たちに真実をそのまま話してなどいないと、そう考えた方が自然でありましょう」

「な、なるほど」

 

理路整然な郭嘉の話しを聞いている内に、ボクもそうではないかと思い始めました。

 

「この策での利点は、首都での反乱が成功するかどうかは問題ではない事にあります。成功して中枢を占拠できたならば、それはそれで((重畳|ちょうじょう))。仮に失敗しても、首都機能が((麻痺|まひ))させられるので、各地での反乱への対応が((後手|ごて))に回ります。それだけでも、今回のような反乱では有利に立てるのです。分かって頂けたでしょうか?」

「はい、先生。良く理解できました……」

 

まるで学校の先生が、出来の悪い生徒に分かりやすく説明するかのように、郭嘉は自論を展開させていきました。

彼女の考えを聞いていくうちに、やっぱり考えすぎていたんだなと、そう思うように成っていきます。

それからボクは、気を取り直して他の将軍たちに意見を聞いていく事にしていきました

 

「え〜。では他に、意見のある人はいるかな?」

「私は反対です。むしろ、保護する方向で考えた方が良いと思います」

 

ボクの問いかける言葉を受けてか、諸葛亮が反対意見を具申してきました。

 

「何故でしょうか?」

 

郭嘉はそう言って、自分の意見に反対する諸葛亮に挑戦的な視線を向ける。

彼女は自分の献策に何の不備があるのかと、そう言わんばかりの態度を((醸|かも))し出していました。

 

「たしかに、((稟|りん))さんの主張も分かります。ですけど、助けを求めて来た者を処断すれば、ご主人様の威光に傷がついてしまいます」

 

諸葛亮がそう主張すると、ボクを含めた全員が『?』と云った疑問符を頭の上に浮かべたような表情を見せました。

周泰は他の諸侯に知られないように、この陣営まで天和たちを連れて来た。だから、この場で人知れず彼女たちを処断しても、世間に流布してボクの威光に傷がつくとは考えられなかったからです。

 

「どういう事でしょうか? 彼女たちがこの陣営に居る事は、他の諸侯には知られていない筈だと思いますが」

 

郭嘉は皆の疑問を代表するように、諸葛亮へと質問を投げかけました。

 

「違います。他の諸侯の事ではありません」

 

そう主張する諸葛亮に、さらに困惑してしまうボクたちでありました。

 

「明命さんの機転のお陰で、他の諸侯には知られていないかも知れません。でも、この陣営に一緒に来た密偵さんたちは知っていますよね? その人達も一緒に処断するのでしょうか?」

 

そう諸葛亮に言われて、やっと彼女の言わんとする事がボクたちにも理解できました。

たとえ((緘口令|かんこうれい))を((敷|し))いたとしても、人の口に戸は立てられません。いずれ真実は漏れ出てしまう。

とくに天和たちに同情して、独断で動いた密偵などは要注意かも知れません。その密偵にすれば、自分は正しい事をしたのだと、そう判断していると考えられるからです。

それらを((鑑|かんが))みて未然に防ぐためには、この件にかかわった密偵たちも一緒に処断しなければならない。

でも、それをしてしまっては、ボクたちを信じて従ってくれている将兵たちを裏切る結果に成る。

それは、これまでやって来た事を、否定する事にも繋がってしまうのです。

諸葛亮は、その危険性を問いかけるようにして、ボクたちを((諭|さと))してくれたのでした。

 

「朱里は、どうすれば良いと思うのかな?」

 

ボクは諸葛亮に善後策を聞いてみる事にしました。

反対するからには、それなりの策を用意している必要があると思うのです。

そうで無ければ、それは単なる文句に過ぎないのですから。

 

「そうですね……。まずは、名前を変えてもらった方が良いと思います」

「名を変える?」

「はい。張角・張宝・張梁という名前は、少し大きく成り過ぎました。ですから、変えてもらった方が良いと思うんです」

「ふむ……」

 

ボクは諸葛亮の話しを聞き、自分の((下顎|したあご))に片手を((添|そ))えて考え込んでいきました。

 

「それから?」

「はい。出来れば、その、真名も変えてもらえれば一番良いんです。けど、それは無理だと思います。ですから、暫く偽名で過ごしてもらう必要があります」

「暫くと云うのは、ボクたちの影響力が大きく成って、彼女たちが真名を使用しても支障が無くなるまで、という事かな?」

「はい、そうです」

 

ボクが確認するように諸葛亮に問いかけると、彼女は((肯定|こうてい))してくれました。

今現在のボクの勢力基盤は益州のみ。しかも((州牧|しゅうばく))に就任したばかりで、益州全体を統治下に置いた訳でも無い。

これから意中の人物を太守などに指名して行き、それを朝廷に認めてもらって始めて、ボクは州全体を統治下に置く事が出来るのです。

今の益州各地の太守などは、父・((劉焉|りゅうえん))が州牧として朝廷に((推挙|すいきょ))してきた人物たち。

ボクの本拠地である華陽国(旧・漢中郡)との交易や、父の跡継ぎとして益州牧に就任したなどの経緯があるため、各地の太守は表面的に従ってくれているだけ。

だから旗色が悪くなれば、ボクに反旗を((翻|ひるがえ))すのも((躊躇|ためら))わないと思うのです。

そんな不安定な今の状況では、郭嘉の献策を選択した方が((無難|ぶなん))ではありました。

でも、それをする訳にはいきません。それでは何のために、これまでやって来たのか分からなく成るからです。

そしてなにより、((依|よ))って立つところを失ってしまうから。

だからボクたちは、それらを理解して尚、あえて苦難の道を選んで行くしか無かったのでした。

 

 

「その後、3人には一人ひとり分かれてもらって、私たちの監督下に置かせてもらいます」

 

ボクが色々考え込んでいるのを((余所|よそ))に、諸葛亮の進言は続いていきました。

 

「一人ひとり分かれさせる? ……それで彼女たちを、どうするの?」

「はい。私の見たところ、彼女たちはとても仲が良いように見えました。3人が一緒だったら、他は何もいらないと思っているみたいです。ですから、彼女たちには分かれてもらって、それぞれ自分自身に問いかけてみて欲しいと思ったんです」

「なにを?」

「自分たちが何をしてきたかを。そして、自分たちが何をしてこなかったかを、です」

「ふむ……」

 

諸葛亮の言わんとするところは結局、自分の((撒|ま))いた((種|たね))は自分で((刈|か))り取れという事なのでしょう。

一人ひとりを分けて監督下に置くといっても、それだけで済む話しではありません。

監督している人物に対して、それぞれの将軍たちが新しい概念を、それぞれのやり方で伝えていく事なのだと思われる。

さらには、3人を別々の所に分ける事で、脱走するのを阻止する狙いもあるのかも知れません。

そして、それなら他の諸侯の目も((欺|あざむ))ける可能性が高く、暴露される危険性も少ないと思われた。

たしかに、張角たちが老公とやらと出会った当初は、その心中を理解できずに従って来ただけだったでしょう。

ですが、将来に不安があったり、厳しい監視もあったかも知れませんが、その後も従って来たのは彼女たちの意思で決めた事。

((自|みずか))らの意思で決めてきた事に対する責任は、彼女たち自身で取らなくてはならない。たとえそれが、今の彼女たちに取って理不尽に思える事であったとしても。

だからボクは、それらを諸葛亮に確認してみる事にしました。

 

「一人ひとりを分てそのまま、という事ではないよね?」

「はい。それぞれ監督している将軍の皆さんが、それぞれ責任を持って指導していきます」

 

ボクの質問に、諸葛亮は肯定の意を表してきます。

やはり彼女は、張角たちを((更生|こうせい))させるつもりのようでした。

 

「でも……さ。それで、天和たちは納得するかな?」

「それは、分かりません。でも、そうしないと……」

「だよねぇ〜」

「はい……」

 

ボクたちは一応、出来る範囲で張角たちを助けたいと考えています。

ですが、それをどうするかは、張角たちが選択して決める事。

条件付きでも受け入れるならば、それで良し。そうで無ければ、郭嘉の献策を採用せざるを得なく成る。

((傲慢|ごうまん))な考え方かも知れませんが、ボクたちにも優先順位があるからです。

張角たちが自分たちの主張を((固持|こじ))するなら、協力する事は出来ません。

互いに歩み寄って、互いに納得する落しどころを一緒に探していく、それしか取れる道はないのです。

だからボクは、後は張角たちがどのような選択をするかを、見定めていくしかありませんでした。

 

 

「ボクは朱里の策を採用してみたいと思うんだけど、((風|ふう))はどう……思う……?」

 

ボクはふと、((程c|ていいく))の意見を聞いてみようと思い至り、彼女に聞いてみる事にしました。

ですが、

 

「……ぐぅ」

 

といった感じで、程cは眠りの世界へと旅立っている御様子でした。

彼女の鼻から((提灯|ちょうちん))が風船のように出て来ては引っ込む、そんな状態を繰り返している有り((様|さま))なのです。

ボクは思わず『寝てんのかよ?!』と、心の中でツッコミを入れてしまいました。

 

「……あー、風さん? 気持ち良く寝ているところ悪いんだけど、ちょっと起きてもらえるかな?」

「……すぅ……すぅ……」

「おーい、ふぅーさぁーん。聞きたい事があるんだけどー……って、聞いてませんね、この調子じゃ」

 

ボクは色々言って、程cに起きてもらうように願ったのですが、残念ながら彼女は目を覚ましてはくれません。

このまま時を浪費していても仕方がないので、ボクは座っていた((椅子|いす))から立ち上がり、そのまま彼女の((側|そば))近くまで歩み寄って、視線を合わせるようにしゃがみ込んでいきました。

 

「あの、刹那様? 何をしていらっしゃるのですか?」

 

郭嘉がボクの行動を不審がって、そう発言してきました。

ですが、ボクはそれに答えることなく、しゃがみ込んだ姿勢を維持しながら、程cの((下顎|したあご))を人差し指で”こちょこちょ”と、そんな感じでくすぐります。

 

「おおっ?! なにやら、こそばゆいのですよ」

「目覚めてくれたかな、お姫様?」

 

ボクは目を覚ました程cに向かって、満面の笑顔で問いかけてみました。

 

「これはすみません。風としたことが、つい暖かい陽気に誘われて眠ってしまったようです」

「いや。今、夜だから。暖かい陽気なんて無いから。むしろ寒いくらいだよ」

「そうですか? まあ、あまり((細|こま))かい事は良いですよね。気にしても仕方がないですからー」

「いやいや。細かくないよ? 気にした方が良いよ?」

 

確信的なのか、それとも天然なのかは分かりませんでしたが、程cはしきりにボケをかましてくる。

思わずそれに付き合ってしまい、ついツッコミを入れてしまいます。

そんな((傍目|はため))には((漫才|まんざい))とも見えるやりとりをした後、程cの目が覚めたのを確認したボクは、立ち上がって椅子のある場所まで戻って行きました。

 

「さて。目を覚ましてくれた所で改めて聞くけど、さきほどの件を風はどう思うかな?」

 

椅子に座り直して、ボクは改めて程cに問いかけていきます。

彼女は、おっとりした雰囲気を((醸|かも))し出しながら、意見を具申してきました。

 

「そですねー。こういう策を採用しようと考える辺り、お兄さんは((甘々|あまあま))のこんこんちきさんだと思いましたねー」

「……えらく、ぶっちゃけてくれるね? っていうか、やっぱり起きてたんだ。そうじゃないかって思ってたけど」

 

おっとりした雰囲気とは違い、程cの言葉は毒入りでした。

まあ、自分が人の上に立つ者として甘いのは知っていましたけども、こうハッキリ言われてしまうと酷く落ち込んでしまいます。

それとも、さきほどのボクの行動への仕返しでしょうか?

 

「まあ一応、それで良いんじゃないでしょうか?」

「そうかな? そう思う?」

 

程cも郭嘉と同じように反対するかもと思っていたので、そうならなかった事を不思議に思って問いかけてみました。

そんなボクを程cは、たいした問題でもないと思っているような顔付きで話しかけてきます。

 

「ええ、まあ。他に取れる道も、ありそうにないですしねー」

「なんかさ。君にしては、((随分|ずいぶん))と消極的な意見だね?」

「おや? お兄さんは反対して欲しかったんでしょうかー? それでしたら、ご期待に((応|こた))えて反対意見を――」

「いやいやいや。そうじゃないから。無理に反対しなくて良いから」

 

おもしろがって反対意見を言おうとする程cに、ボクは((慌|あわ))てて否定の返答をしました。

そんなボクの態度を見て、彼女はちょと楽しそうです。

そしてやっぱり、ボクが彼女をくすぐった事に対する((意趣|いしゅ))返しだったと理解する。

まったく。人をからかうなんて、本当に程cは困ったちゃんですね。

くせがあり過ぎるんじゃないかと思います。

 

「風、((貴女|あなた))は何を言っているのですか? それでは、((禍根|かこん))を残す事にもなりかねないのですよ?」

 

程cとのやり取りでゲンナリしていたボクの耳に、郭嘉の非難するような声が聞こえてきました。

どうやら、郭嘉は程cが反対しなかった事に疑問を抱いているようです。

 

「まあ、稟ちゃんの言うことも一理あると思うのですよ。でもですね、稟ちゃんは忘れてはいませんかねー?」

「何が言いたいのです、風。私が、何を忘れていると言うのですか?」

「もしもですよ、もしも3人を処罰したのが漏れてしまった場合はですね。橋頭堡にいる忠義心の厚い捕虜の皆さんが、黙ってはいないと思うのですよ。それは少し、問題があるんじゃないでしょうかー?」

「そっ、それは……」

 

郭嘉に程cが話す言葉を聞いて、ボクたちもその危険性を考えていなかった事に気が付きます。

橋頭堡に居る捕虜たちの総数は、今現在では10万人近くに((及|およ))ぶ。その中の忠義心の厚い者を少なく見積もっても、その半数の5万人は((難|かた))くない。

もともと、張角たちの人気で集めた集団が核に成っていたのだから、それも仕方がない事かも知れません。

ですが、その5万人もの捕虜が一応従っているのは、ひとえに張角たちの((安否|あんぴ))を((気遣|きづか))っているからに他ならない。

それでもし、ボクたちが張角たちを処罰したのが漏れてしまった場合、一斉に反旗を翻してくるかも知れないのです。

戦場での事ならば話しは違ってくるかも知れませんが、今回の件は助命((嘆願|たんがん))を無視しての((騙|だま))し討ちに近いからです。

自暴自棄になっている武器を所持していない捕虜たちを、軍事力を持って((殲滅|せんめつ))するのは無傷とはいかないでしょうが無理な事でもありません。

ですが、それをしてしまっては、わざわざ助けて捕虜にした意味が無くなってしまうのです。

それに、彼らを新しく((芽吹|めぶ))かせる((種子|たね))にすると云う、ボクの望みも((叶|かな))わなくなくなる。

まして、武器を持たない捕虜を((惨殺|ざんさつ))したという、そんな((拭|ぬぐ))い切れない汚名も一緒に付いてくるのです。

とてもじゃないですが、それは許容できる事ではありませんでした。

 

 

(となると……。ここは((是|ぜ))が((非|ひ))にも、天和たちには同意してもらうしかない……か)

 

ボクは溜め息をつきたくなるような心境でそのように思い、張角たちがここに連れて来られた時点で、取れる対策は一つしかなかったと考えざるを得ませんでした。

 

 

 

説明
無難な人生を望み、万年やる気の無かったオリ主(オリキャラ)が、ひょんな事から一念発起。
皆の力を借りて、皆と一緒に幸せに成って行く。
でも、どうなるのか分からない。
涙あり、笑いあり、感動あり?の、そんな基本ほのぼの系な物語です。
『書きたい時に、書きたいモノを、書きたいように書く』が心情の不定期更新作品ですが、この作品で楽しんで貰えたのなら嬉しく思います。
*この作品は、BaseSon 真・恋姫†無双の二次創作です。
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