魔装機神インフィニット・ストラトス
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第十一話「中華娘、来日」

 

 

あの休日から一夜明けた朝のHR前〜

 

「織斑くん、龍見くんおはよー。ねえ、転校生の噂聞いた?」

 

朝、一夏は席に着くなりクラスメイトに話しかけられた。因みに雅樹は一夏より早く席について眠そうに舟を漕いでいた。

転校してきてから数週間、二人はそれなりにクラスメイトと馴染めるようになっていた。

 

「転校生?今の時期に?」

 

今は四月、この時期に入学ではなく転入というのはおかしな話である。しかも、IS学園は入学より、転入の方が遥かに条件が難しいのである。

 

「そう、中国の代表候補生なんだって」

 

「ふーん」

 

となると、

 

「あら、わたくしの存在を今更ながら危ぶんでの存在かしら」

 

一組の代表候補生の一人、セシリアが腰に手を当ててポーズをとる。

 

「このクラスに転入してくる訳でもないのだろう?騒ぐほどの事ではあるまい」

 

いつの間にか自分の席から一夏の傍にやって来た箒がにべもなくいってきた。

 

「だが、クラス対抗戦でもしかしたら当るかもしれない相手だ。知っといても損は無いぞ」

 

そう言いながら唯依は自分の席に着く前に完全に眠っていた雅樹の頭を小突く。

 

「ふがっ!?・・・ああ、何の話だっけ?」

 

「聞いていなかっただろう、馬鹿め」

 

「まさき、もうすぐHRだから、ねちゃダメだよ?」

 

目をこすりながらそんな事を言う雅樹にクリスカは冷めた目で蔑み、イーニァは優しく注意した。

 

「あ〜・・・まあ、やれるだけやってんで試合に臨めばいいんじゃねえか?そんで負けたって誰もお前を恨みやしねぇよ」

 

「お、おうっ!」

 

なんか格好いい事を素で言う雅樹に一夏は改めて気を引き締め唯依とクリスカ、イーニァはそんな雅樹を見ながら微笑し、箒とセシリアは若干羨ましそうに二人を眺めていた。

 

「まあでも、今の所専用機持っているのは一組と四組だけだから、余裕だよ」

 

やいのやいのと騒ぎ出す女子に一夏は「おう」とだけ応える。

 

「その情報、古いよ」

 

突然、教室の入り口付近で声がした。その声に雅樹、一夏、クリスカ、イーニァは何処かで訊いた声だなと思い振り向いてみると、

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったのそう簡単には優勝できないから」

 

「鈴・・・?お前鈴か?」

 

「おいおい、マジかよ?」

 

「帰ってきてたのか・・・?」

 

「そうよ、中国代表候補生、鳳鈴音。今日は宣戦布告n「あ、チョビだ」って誰がチョビだバカイーニァ!!」

 

途中までカッコよく決まっていたのだがイーニァのチョビ発言に脆くも崩れさってしまった。

 

「ああ、よかった。さっきまで変に格好付けてて似合わなかったんだよな」

 

「確かにな。ナイス、イーニァ(頭ナデナデ)」

 

「えへへ〜♪」

 

「よかったわね、イーニァ」

 

「ってコラァ!あたしを無視すんなっ!!」

 

勝手に和んでる雅樹達に鈴が激昂するが・・・

 

「おい」

 

「なによ!?」

 

バシンッ!!×2

 

聞き返した鈴に痛烈な出席簿が二度炸裂した。――――――鬼教官×2登場である。

 

「もう、SHRの時間だ教室に戻れ」

 

「鳳、私の授業を最初から遅刻するとはいい度胸だな?」

 

「ち、千冬さん・・・ら、ラトロワ先生・・・・」

 

「織斑先生だ。さっさと戻れ、そして入り口を塞ぐな、邪魔だ」

 

「すみません、織斑先生。ウチのクラスの者が・・・」

 

「何、こちらこそ何時もウチのクラスが迷惑をけているのだから気にしないでください」

 

頭を下げるラトロワに千冬は気にした風もなく苦笑しそれもを見たラトロワもそうですねといいながら苦笑する。

 

「さあ教室に戻るぞ、鳳。教室に戻ったらタップリしごいてやる」

 

「ヒィッ!?い、いい一夏、それに雅樹!!後でまた来るから、逃げないでよ!」

 

「さっさと来い!」

 

「は、はいぃっ!!」

 

悲鳴を上げながら二組へもうダッシュ。一夏と雅樹はそんな鈴に静かに黙祷をささげた。

 

「・・・一夏、今のは誰だ?やけに親しそうだったな?」

 

「い、一夏さん!?あの方とは一体どういう関係で――――」

 

箒とセシリアを筆頭にクラスの女子が雅樹達に詰め寄って来たが・・・・

 

バシンバシンバシン!!

 

「席につけ馬鹿共」

 

千冬の出席簿によってすぐさま鎮圧された。

因みに唯依はクリスカとイーニァに簡単に説明して貰い詰め寄る事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜昼休み〜

 

「お前の所為だ!!」

 

「貴方の所為ですわ!!」

 

開口一番、箒とセシリアは一夏に向けて文句を言ってきた。

 

「何でだよ・・・」

 

この二人、午前中だけで真耶に注意五回、千冬に出席簿を三回くらったのである。少しは学習してほしい。

 

「何やってんだよ、お前ら?さっさと飯食いに行こうぜ?」

 

「おっそうだな。二人もそれでいいか?」

 

「む・・・ま、まあお前がそう言うなら、いいだろう」

 

「そ、そうですわね。行って差し上げないことも無くってよ」

 

そうして雅樹達は食堂に向かったのだが、そこには・・・

 

「待ってたわよ、一夏、雅樹!」

 

ドーンッ!という効果音が聞こえそうなくらい雅樹達の前に立ちふさがっている鈴。

 

「まあ、そこ退いてくれ。食券出せないし普通に邪魔だぞ」

 

「っつーか、ラーメン持ったまま待ってたのかよ?勇気あんな」

 

「う、うるさいわね。わかってるわよ。大体、アンタ達が早く来ないのが悪いのよ!」

 

そして雅樹達はそれぞれ食券を買い料理を受け取ると空いているテーブルを見つけて席に着く。

 

「それにしても久しぶりだな?アレから全く音沙汰なしだったから澪の奴寂しがってたぜ?後で連絡してやんな」

 

「うっ・・・ま、まあそうね。寮に帰ったら連絡入れるわ」

 

親友の澪のことを出され鈴は若干バツの悪い顔をしながら頷いた。

 

「それにしても鈴、一体いつ帰って来たんだ?おばさんは元気か?何時代表候補生になったんだ?」

 

「質問ばっかじゃねぇか」

 

「少しは落ち着け馬鹿」

 

「そうよ。アンタ達こそ、なにIS動かしてんのよ。ニュースで見たときびっくりしちゃったわ」

 

やはり長い空白期が気になるのか質問ばかり投げかけてくる一夏に雅樹とクリスカが落ち着かせ、鈴も何だかんだ言って嬉しそうだ。

 

「一夏、そろそろどういう関係か説明してほしいのだが」

 

「そうですわ!一夏さん、まさかそちらの方と付き合ってらっしゃるの!?」

 

疎外感を感じたのか箒とセシリアが多少棘のある声で訊いてくる。聞き耳を立てている他のクラスメートもうんうんと頷いている。

 

「べ、べべ、べべ別に私たちは付き合ってる訳じゃあ・・・」

 

「そうだぞ。何でそんな話になるんだ。ただの幼馴染みだよ」

 

「・・・・」

 

「何睨んでんだよ?」

 

「何でもないわよ!」

 

「「ハァ〜」」

 

「雅樹、クリスカ。何でこっち見てため息を吐くんだよ?」

 

「何でもねェよ」

 

「自分で考えろ」

 

不思議そうに聞いてくる一夏に二人は冷たくあしらった。

 

「幼馴染み・・・?」

 

怪訝そうな声で訊き返す箒。

 

「えーとだな。箒と唯依が引っ越してきたのは小4の終わりごろだろ?鈴が引っ越してきたのは小5の頭だよ。で、中二の終わりに国に帰ったから、会うのは丁度一年ぶりだな」

 

そう言って一夏は箒の方から鈴の方に向き、

 

「で、こっちが箒。ほら、前に話したろ?小学校からの幼馴染みで、雅樹の所の剣術道場以外で俺がお世話になっていた剣術道場の娘」

 

「ふうん。そうなんだ」

 

そう言いながらジロジロ箒を見る鈴。箒も負けじと鈴を睨みつける。

 

「初めまして、これからよろしくね」

 

「ああ。こちらこそ」

 

この瞬間、この二人は理解したコイツは敵だ、と。

 

「っで?そっちの子は?」

 

そう言って鈴は箒から視線を外し話に加わらず黙々と食事を続ける唯依に視線を向ける。

 

「そういやぁ話してなかったっけ?殺気一夏が説明した通りで箒とほぼ同時期に引っ越しちまって、それまでウチの道場で一緒に稽古してたんだよ」

 

「ふーん。そっか」

 

「篁唯依だ。よろしく頼む鳳」

 

食事を中断し鈴に向かって右手を差し出す。

 

「こちらこそ。私の事は鈴でいいわよ?こっちも唯依って呼ぶから」

 

「フフッああ、そうさせてもらう、鈴」

 

差し出された手に応えて鈴はしっかりと握手する。そして、乙女としての勘が告げたコイツは無害だ、と。

 

「ンンンンッ!わたくしの存在を忘れてもらっては困りますわ。中国代表候補生、鳳鈴音さん?」

 

「・・・・誰?」

 

「なっ!?わ、わたくしはイギリス代表候補生セシリア・オルコットでしてよ!?まさかご存じないの?」

 

「うん。わたし他の国とか興味無いし」

 

「な、な、なっ・・・!?」

 

言葉に詰まりながらも怒りに顔を真っ赤にしていくセシリア。

 

「い、言っておきますけど、わたくしあなたの様な方には負けませんわ!」

 

「そ、でも戦ったら私が勝つよ。悪いけど強いもん」

 

(相変わらず素で言ってのけるんだから手に負えねぇな・・・。おーおー、セシリアの奴方をあんなに震わせて、箒も箸を止めて鈴を睨んでやがる。唯依は・・・気にしてねェみたいだ。ま、昔っからコイツは口で言うより剣で語れって言ってたからな。ああいった挑発紛いな言い方にはどうじねぇか・・・)

 

「まさき。これ、おいしいよ」

 

「おっ本当かイーニァ。よかったじゃねぇか。それじゃあ、俺の分のデザートをあげるぜ」

 

「ほんとうっ!?」

 

「おう、遠慮せず食いな」

 

「よかったわね、イーニァ」

 

「フフッしっかり食べるんだぞ、シェスチナ」

 

クイーン・オブ・マイペースなイーニァはいつの間にかランチを食い終わりデザートのプリンを食べていた。そんなイーニァに雅樹は自分の分のプリンを渡し、イーニァは喜々としてそのプリンを食し始めた。

そんなイーニァを雅樹、唯依、クリスカは微笑ましそうに眺めていた。

同じテーブルで修羅場が展開されているが、気にしちゃいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜夜、クリスカ・イーニァの部屋〜

 

夜、雅樹は夜の鍛錬を終えて自室へ戻ろうとしたら一夏の部屋から飛び出してくる鈴と鉢合わせ、その鈴の様子があまりにも弱弱しかったため何かあると思い自室ではなくクリスカとイーニァの部屋にやって来たのだ。

 

「で?一体どうしたんだよ、鈴?」

 

そう言いながらシャワーを浴び終えジャージ姿の雅樹は烏龍茶の入ったグラスを鈴に手渡した。ありがとうっと礼を言って烏龍茶を受け取るとチビチビと飲み始めた。

因みにこの部屋にはイーニァ、クリスカだけでなく唯依も一緒にいた。

 

「実は――――」

 

そう言って鈴は先ほど一夏の部屋であったことを話した。

それを聞いた雅樹達の反応はというと、

 

「あー・・・なんつうか・・・」

 

「その、な・・・?」

 

「はぁ・・・・」

 

「にぶちん・・・」

 

三者三様といった感じで返答に困っていた。唯一イーニァだけで的確に毒を吐いた。

 

「そうよ!何でアイツは大事な告白を聞き間違えるのよっ!!日本じゃあ割とポピュラーな告白なはずでしょ?なのになんで奢るって事になってんのよ!!」

 

ダンッ!!と先ほどの怒りが込み上げてきたのか鈴は拳をテーブルに叩きつけた。

 

「落ち着けよ。大体、一夏の鈍感さは今に始まったことじゃないだろ?」

 

「うっ」

 

「そもそも、今の日本でもそのような告白はほとんど使ってない」

 

「うぅ」

 

「大体、生徒同士で勝手に部屋を代えていい訳ないだろう。寮長である織斑先生の許可がなければ代えられないぞ」

 

「う・・・ぅぅ・・・」

 

「せいちょうしないチョビだ」

 

「う・・・うぅ・・・うるさーい!!!」

 

四人からの指摘に鈴は段々と小さくなって言ったが、イーニァのチョビ発言で怒りが再噴火した。

 

「あ、アンタ達ねぇ!慰めるのか貶すのかどっちなのよ!?」

 

「あー怒んな怒んな」

 

ムキーっと怒り狂う鈴に雅樹はどうどうと宥める。

 

「まあ、しばらく待ってみたらどうだ?一夏だってその内思い出すだろうぜ」

 

「・・・・・そうか?」

 

楽観的な雅樹の言葉にクリスカは首を傾げる。

 

 

 

 

しかし、この後結局一夏は鈴に謝りもせず数週間もほったからし、更にはクラス対抗リーグマッチの初戦は鈴という悪循環に見舞われのだが割愛しておこう。

 

 

説明
第二次スパロボOGをやったお陰で結構筆が進んでます
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