ALO〜閃光の妖精姫〜 第13魔 冒険の始まり
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第13魔 冒険の始まり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アスナSide

 

「ねぇリーファちゃん。どうして塔に上るの?」

 

「長距離を飛ぶときは高い所から飛んで高度を稼ぐので、その為ですよ」

 

疑問に思っていたことを訊ねてみると彼女は答えてくれた。

そのまま奥に進み、塔の上へと移動する為のエレベータの前に辿り着いた時、その声が聞こえてきた。

 

「おい、リーファ!」

 

「……シグルド…」

 

リーファちゃんを呼んだのはシルフの男性で彼女は彼をシグルドと呼んだ。

ふと横目で見て気付いたけれど、ルナリオ君が警戒しているのが分かる。

それを感じ取ったからか、ハクヤ君にハジメ君、ヴァル君も警戒している。

一体どうしたのだろうか?

 

「よくもノコノコと帰って来られたな、レネゲイドに成り下がった分際で」

 

「サクヤはいつでも帰って来て構わないと言っていたわ。それに帰ってきたわけじゃない」

 

シグルドと呼ばれた彼がどういう人物か今の言葉だけでなんとなく分かった。

どうやら独善的で独りよがりな人物のようだ。

 

「ふん、異種族を連れ込むのは感心しないと思うがな?」

 

「この人達は皆リアルでの友人よ、ALOを始めたから各地を案内してあげてるの。

 ただの観光客にまで口を出す気なの、貴方は?」

 

忌々しげにこちらを睨みつけるシグルド。

 

「だが、お前が行動を共にするということは実力はあるのだろうな。

 どうだ、傭兵として雇われてみないか?」

 

そんな提案をしてきた彼にわたし達は口を揃えて……、

 

「「「「「「断る(断ります)」」」」」」

 

「なっ!?」

 

断った。わたし達にはこんなところで油を売っている時間はないのだ。

 

「くっ、観光だからと言って異種族の地でいい気になるな「黙れ…」うっ…」

 

武器を抜こうとしたシグルドを威圧だけで封じ込めたのはハクヤ君だった。

彼の『冷徹』な覇気が周囲を包み込む。

シグルドや他のプレイヤーも動けないようになっている。

わたしはキリトくんの覇気などで慣れたものなので特に動揺はないけれど、

リーファちゃんは辛そうだ……それをルナリオ君が支えている。

 

「俺達はそっちに危害は加える気は無い、それでは駄目か?」

 

「ちっ、後悔してもしらないぞ。せいぜい外では逃げ隠れするんだな! 行くぞ」

 

ハクヤ君に言われたシグルドは言葉を吐き捨てると、連れの2人と共にこの場から去っていった。

 

「なんか、すいません。空気を悪くさせちゃって…」

 

「気にしないで、リーファちゃん」

 

すまなそうに謝ってきたリーファちゃんにわたしは気にしていないことを伝えた。

無論、ユイちゃんや男の子達もまったく気にしていない。

わたし達はエレベータに乗り込み、最上階の展望デッキへと出た。

風が気持ち良いなぁ…。

 

「リーファちゃん、ルナリオ君!」

 

「「レコン(君)」」

 

2人を呼ぶ声が聞こえ、そこにはシルフの少年が息を切らせて立っていた。

 

「良かった〜、間に合って…」

 

「一体どうしたんすか?」

 

「見送りだよ……あと、一応領地から出た後も気を付けて…」

 

ルナリオ君が聞くとレコンと呼ばれた男の子は気を付けるようにと言ったので、ルナリオ君の眼が僅かに細まった。

 

「取り敢えずこのまま調べてみるから…。そういえば、人が増えたんだね?」

 

「うん、皆リアルでの友達なの」

 

リーファちゃんが答えたことで安心した様子を見せた彼、すると今度はルナリオ君に近づき、

 

「ルナリオ君…」

 

「任せるっすよ」

 

ほとんど言葉も交わさずに握手をした、なんなのだろうとわたしは思い、リーファちゃんも首を傾げているけれど、

男の子達は温かい目で彼らを見守っている。

 

「それじゃあ、気を付けてね〜!」

 

「行って来るわ」

 

そしてレコン君の言葉を受けてリーファちゃんが飛び立ち、

それにルナリオ君が続き、その後方にわたし、ヴァル君、ハクヤ君、ハジメ君が続いた。

目指すは央都アルン…。

 

 

 

「セィッ!」

 

「ハァッ!」

 

「フッ!」

 

現在わたし達はシルフ領の北東にある『古森』の上空にて、

〈イビルグランサー〉という羽の生えた単眼大トカゲモンスター3体と交戦していたのですが…、

 

―――パキャァァァァァンッ!

 

ヴァル君とハクヤ君とハジメ君がそれぞれ愛用の武器を以てして、瞬殺してしまいました。

その様子を初めて見るリーファちゃんは呆然としている。

まぁ、わたしも彼らの戦いに目を奪われること(主にキリトくん)は良くある。

 

「「お疲れ様(っす)」」

 

わたしとルナリオ君が声を掛けると彼ら3人は笑みで応えてみせた。

 

「ルナ君とアスナさんの時も驚きましたけど、ハクヤさん達もこんなに…」

 

呟くリーファちゃんにわたしは戦闘中での行動を聞いてみることにした。

 

「リーファちゃん、さっき3人に使ってた魔法ってなんなの?」

 

「解呪魔法ですね、カース系、呪い系の魔法を解く為の魔法ですよ。

 アスナさんはウンディーネですから、多分早い段階で習得できると思います。あとは治癒魔法も」

 

「ウンディーネは支援向きなの?」

 

「そうですね、回復魔法や支援魔法とかが多いですよ」

 

ふむふむ、それなら皆の為に((後方支援|バックアップ))にまわった方がいいのかなぁ?

でも剣で戦いたい気も…。

 

「でも今のアスナさんの魔法スキルなら、強敵の時は前衛の方が良いかもしれません。

 初期の魔法では高レベルのモンスターには通用しませんから」

 

「うん、そうしてみるよ」

 

彼女の言う通り、レベルの低いモンスターとの戦いでは援護に徹してスキルを高めて、

強敵の時に前に出るようにしよう。

続いて魔法の講義を聞きながら移動を始めた。

遠距離攻撃魔法には何種類かあり、威力重視の直線軌道のものは避けることは可能だが、

ホーミング性能の魔法や範囲攻撃魔法は回避が非常に難しいとのこと。

そしてそのまま古森を抜けるべく飛行を続けた。

 

 

 

古森を脱して山岳地帯へ入り、わたし達は山の裾野にある草原の端に降下した。

まずは休憩である。わたし達は円形に座るとリーファちゃんが話しを始めた。

 

「このあとの移動は陸路になります。そこの山は飛行限界高度よりも高いので、洞窟を抜けることになりますね。

 洞窟は一番の難所らしくて、わたしも初めての体験です」

 

真剣な様子で語るリーファちゃん。

 

「洞窟の名称は『ルグルー回廊』、洞窟の先にある鉱山都市の名前が『ルグルー』ということで、

 そう呼ばれているそうです。

 リアルは夜の7時ですけど、ここからは長くなるので、皆さん時間は大丈夫ですか?」

 

わたし達は全員が問題無いと頷く。今回の一件の間は両親も許してくれているので大丈夫だろう。

 

「それではローテアウトにしましょう」

 

「ローテアウト?」

 

「交代でのログアウト休憩っすよ。ここは中立地帯っすから即アウトが出来ないんすよ。

 ですから交代で残った人が空になったアバターを守るんす」

 

聞き慣れない言葉に疑問を浮かべたわたしに、ルナリオ君が教えてくれた。

 

「それじゃあ先にリーファちゃんとルナリオ、ヴァルが休憩してこい。20分くらいでいいかな?」

 

「「「分かりました(っす)」」」

 

ハクヤ君の提案を3人は受け入れ、ログアウトを行った。

 

 

 

「ハクヤ君、リズはどんな感じだったの?」

 

「ん、この前会った時も元気だったよ。さすがに運動まではまだ無理みたいだけどね」

 

わたしが訊ねてみるとハクヤ君は答えてくれた。

それはそうだろう、わたしも激しい運動は未だに無理であるし。

やっぱり神霆流の彼らは違うな〜。

 

「……ふぅ〜」

 

「ハジメさん、それはなんですか?」

 

「……スイルベーンの雑貨屋で売っていた特産品だ、薄荷味がする」

 

ハジメ君がパイプを吸っていたのでそれが気になったユイちゃんが聞いてみたようだ。

薄荷味か〜…他にはないのかなぁ?

ユイちゃんは興味津々の様子でハジメ君が「いるか?」と聞くと、元の姿に戻って1本貰い受け、吸いはじめた。

果物の味だったら大丈夫だよね。

 

「ハジメ、アスナ、ちょっと手伝ってくれ」

 

「「「?」」」

 

わたし達が首を傾げるとハクヤ君はあることを思い浮かべたようで、内容をわたし達に話してきた。

その表情はイタズラを考えた時のキリトくんと同じだった。

ちなみにわたしもハジメ君もユイちゃんも意地の悪い笑顔を浮かべる。

 

「それじゃあ、やりますか?」

 

ハクヤ君の言葉に頷いて、行動を開始した。

 

アスナSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

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後書きです。

 

シグルドはまぁ、あんな感じでいいんです・・・どこでどう足掻こうが結果は同じですからねw

 

レコンは付いていきたい気もあるけれど、自分に出来ることを行う為に街に残りました。

 

ルナリオと男の握手、なんか面白いw

 

ちなみにハクヤ達のイタズラは次回で、洞窟にも次回で突入します。

 

それでは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
第13魔です。
タイトルのように冒険の始まりとも言える話しですよ。

ではどうぞ・・・。
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コメント
アサシン様へ イ・タ・ズ・ラ・です♪(本郷 刃)
イ・タ・ズ・ラ♪(アサシン)
サイト様へ いえいえ、前者はないですよw キリトさん、喜びの表情でどこをみているんですか?(本郷 刃)
まさかこの時点でサーチャーに気づいたんじゃないだろうなw・・・鳥籠から少し離れた位置でキリトさんに見せてみる つ[パイプを吸うユイちゃんとそれを微笑ましく見守っている嫁](サイト)
ユウキ様へ この作品ではかなりエグイことになることを宣言しておきましょう・・・。(本郷 刃)
早く、須郷に酷い目に遭ってほしいと思うこのごろ。本編の最後もあとあじ悪くて(ユウキ)
仁吉様へ レコンはこういう立ち位置っぽい気もしますw 権力バカは救いようがない・・・。(本郷 刃)
やぎすけ様へ いやいや、そんな大したイタズラじゃないですよ。可愛いものです・・・ええ、可愛いものです。(本郷 刃)
レコンくんがまるで主人の為に健気に頑張る柴犬のようだ(´;ω;`)諜報活動頑張って。ALOは権力バカが二人もいますな、早くタヒればいいのに(笑)(仁吉)
イタズラって一体何をする気だろう。黒衣衆のすることだから、なんだかすごいことになりそうだけど・・・(やぎすけ)
クロス様へ 小者度では下種郷の方が上ですからまさしくただの権力バカですねw(本郷 刃)
gospel-oath様へ 偶に片鱗を見せますよw(本郷 刃)
遼東半島様へ 黒衣衆ならどんな金額出されても相手がシグルドじゃ断ると思いますwwww(本郷 刃)
権力BAKA☆彡その名はシグルド小物臭では下種郷に劣るただの権力BAKA☆彡です。はい(クロス)
アスナが既にバーサクヒーラーの片鱗を・・・w(gospel-oath)
ハクヤ君かっくいーーー!シグルド…黒衣衆を本気で雇いたいならヨツンヘイムで1年はキャンプ狩りするんだなwwww(遼東半島)
Kyogo2012様へ いやいや、黒衣衆に威圧されたらみんなあんな反応ですよw さぁイタズラの内容とは・・・w(本郷 刃)
イタズラは・・・ふっw(本郷 刃)
不知火 観珪様へ レコンも立派になったんですww むしろシグルドらしいと思いますww(本郷 刃)
しかし、シグルドの小心ッぶりには大笑いですね。さらにローテアウトの男性人に対していたずらって・・・wどんなことがかかれているのだろうか?(Kyogo2012)
アレ、チガッタ(汗)(セルア)
初コメゲット〜♪いたずらって、顔に落書きとかかな?(セルア)
レコンも立派になって……ww シグルド(笑)は小物臭たっぷりww(神余 雛)
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