真・恋姫無双 刀蜀・三国統一伝 第五節:華佗、大忙し。突然の遠征
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まえがき コメントありがとうございます。今回は再び第五節のストーリー進行です。それにしても就活忙しい( ^ω^)・・・。誰か私に時間を譲ってください。説明会やれセミナーやれSPI・・・。一日36時間でいいじゃん!まぁ、愚痴はこのくらいにしておきましょう。お見苦しいところをお見せしてしまいました。(*_ _)人ゴメンナサイ。それではごゆっくりしていってください。

 

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平原で順調に政治を執り行い波に乗っている今日この頃。謁見の間にていつもの警邏報告や竹簡からの要望を聞いていると突然、一人の兵士が大慌てで謁見の間に入ってきた。

 

「ほ、報告です!公孫賛という者が劉備様に謁見したいと申されているのですが、どうやら負傷しているようで・・・公孫賛軍の兵から医者を先に通してくれとのことです。」

「白蓮ちゃんが!?」

「伯佳殿か、懐かしい名だな。」

 

白蓮か。それにしても負傷したとは・・・どこかの軍に奇襲されたのだろうか?

 

「医者を探しているとなれば俺が行こう。その者のところまで案内してくれ。桃香、謁見は治療の後でいいだろうか?」

「うん!華佗さん、私もついて行っていいかな?白蓮ちゃんのことが心配だよ。」

「あぁ、それは構わない。では行ってくる。報告会はすまないがこの件が済むまで待ってくれ。」

「分かった。華佗、白蓮のことをよろしく頼む。俺の大事な友人だから。」

「俺は医者だからな。患者を治すのは当然のことだ。」

「皆、ちょっと行ってくるね。」

 

二人はそう言い残し謁見の間を後にした。

 

「それにしても、負傷とは穏やかではありませんね。どこかの軍と一悶着あったのでしょう。」

「考えられるのは曹操さんか袁紹さんが有力でしょう。」

「孫堅や袁術というのは考えられないのか?」

「孫堅さん、呉は自ら領地を狙いに行くようなことはしていないようですからまずないでしょう。袁術さんたちは連合の一件後、呉軍からの奇襲により行方をくらましたようです。」

 

・・・水蓮たち、本当に領地を取り返しに行ったんだな。まぁ、そうしてくれないと俺が伝国璽を渡した意味がなくなるか。

 

「私から朱里ちゃんの言葉に付け足すと、魏は私たち・・・洛陽での戦闘で今は休息に徹していると思いますので袁紹軍と考えるのが妥当だと思います。」

「あのバカなお姉ちゃんのとこなのだ。」

「鈴々ちゃん・・・。」

 

俺たちはそこまで言わなくても・・・と思いつつも実際におバカなのは連合の一件で嫌というほど思い知らされているので苦笑いを浮かべることとなった。

 

・・・

 

白蓮の治療が終わり様子を待つこと一日。白蓮は本調子ではないものの、到着直後に比べ大分落ち着いたようなので平原の将たちが集まる謁見の間に顔を出していた。

 

「すまない、到着早々迷惑をかけてしまった。」

「そこは謝るとこじゃないよ。それに、私と白蓮ちゃんの仲だもん!全然頼ってくれていいんだからね。」

「桃香・・・ありがとう。それと、私を治療してくれたのは華佗だったな。どうやら私の兵も診てもらったようで、なんと礼を言ったらよいか。」

「一刀にも言ったことだが、俺は医者なんだ。患者を治療するのは当然のことだから礼を言われる程のものでもないさ。」

「そ、そうか。しかし、ここは言わせてくれ。ありがとう。」

 

白蓮が頭を下げると華佗は少し困ったような表情を浮かべたが、同時に満更でもないようにも見えた。

 

「とりあえず、何があったのか教えてもらえますか?」

「そうだな。」

 

話を聞いた限りでは大体俺たちの憶測が的中していた。袁紹軍からの突然の奇襲に対処が追いつかず公孫賛軍は撤退。半数以上が負傷。又は殺されたようだ。

 

「こういう状況で私たちは戻れる場所がない。だから、私を桃香と一刀の臣下に加えてもらえないだろうか?頼む!」

 

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白蓮が俺たちに頭を下げた。話を聞いてる途中からこうなるんじゃないかってうっすらと思ってたから俺からしてみればさほど驚きはない。

 

「私は全然いいよ。けど、臣下とかそんなに堅苦しく考えなくてもいいんだよ。私たちは仲間なんだからね。」

「いやしかし、ここはきっちりと決めておかないとだなぁ・・・。」

「桃香はこう決めたら引き下がらないから。ここは時間をかけて慣れてくれよ。」

「私の時はご主人様が桃香様のようなことをおっしゃっていたように覚えていますが?」

「主も桃香様も考えは同じということだな。」

 

部屋の中が皆の笑い声によって包まれた。さっきまでの重い空気はどこかに行ったようだ。やっぱり俺たちはこうでないとな。

 

「うーむ、やはり納得できないこともあるが、桃香のことは私もよく分かっているからな。・・・公孫賛伯佳。真名は白蓮。これからは劉玄徳、北郷一刀の臣下として誠心誠意努めていく。これから、よろしく頼む。」

 

こうして、公孫賛伯佳こと白蓮は俺たちの仲間となった。これからはまた慌ただしくなりそうだな。

 

・・・

 

以上。先週までの回想。白蓮が来てすぐで気が引けるんだけど、俺は今建業に向かって雛里、華佗、恋、卑弥呼と移動中。なぜかというとそれは呉からの一通の早馬が届いた内容から来るものだ。あれはほんの先日のこと・・・。

 

・・・

 

あ〜、腰が痛い。昨日は結局朱里たちの政務を遅くまで手伝ってたから仕方ないのかもしれないが・・・?今朝は珍しく誰もいないと思っていたらそんなことはなかった。雛里がこちらに向かって走ってきている。

 

「ごしゅじんさま〜〜〜〜〜!!」

「雛里〜!!」

「ごしゅじんさま〜〜〜!!」

「雛里〜〜〜!!」

「ごしゅ・・・」

「もういいから!」

 

呼ばれたからつい返事をするとまた呼ばれるなんて・・・。滅多にないから少し楽しくなったじゃないか。とりあえず、勢いを殺しきれてない雛里を受け止めて正面に立たせた。

 

「雛里、おはよう。」

「ふぅ・・・ふぅ・・・。お、おはようございましゅ。」

 

うん、今日もカミカミだな。これも雛里の可愛いところだ。

 

「それで、俺を呼んでたのはどういう件?もしかして、昨日の政務が残ってたり?」

「い、いえ。それは解決したので大丈夫です。」

「それもそっか。それともどこか遊びに行きたくて俺を探していたとか?」

「それは願ったり叶った・・・(ぶんぶん)こほん。そうじゃないんです。いえ、それもしたいのですが、そうじゃなく・・・あわわ・・・。」

「とりあえず落ち着こうか。」

「すぅ〜・・・はぁ。すぅ〜・・・はぁ。落ち着きました。」

「それで、何があったの?」

「朱里ちゃんと明里ちゃんが桃香様に・・・。」

「? 状況が見えてこないんだけど?」

「桃香様の料理の味見をしたら倒れちゃったんです・・・。」

「・・・。」

 

ご愁傷様。今日のはどうにか回避したほうが良さそうだ。

 

「まぁ、・・・とりあえず華陀に診てもらおう。雛里は桃香の料理を処理する言い訳・・・方法を考えておいて。」

「わ、私は食べましぇんよ!?」

「結果が分かってるからそんなことはしないよ・・・。」

 

漢女二名だったらどうにかいけそうかも?と思った俺がいた。

 

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・・・

 

「ふぅ、これでもう大丈夫だろう。今日は一日仕事禁止だ。安静にしておくように。」

「はーい。」

「分かりました。」

「二人とも、気分はどう?」

「はい、大分落ち着きました。」

「桃香様の料理・・・あれは料理と呼んでいいものか怪しいのですが、あれを口に入れた瞬間目の前が真っ暗になったんです。」

「一刀、桃香が料理を作るときは月か流琉を側にいるように言っておいたほうがいいぞ。料理のたびに診療していたのでは埒が明かないからな。」

「分かった。じゃあ二人に声をかけておくよ。」

「頼むぞ。ふぅ・・・。」

 

救護室を出て行く華陀の背中はどこか疲れを感じさせるものがあった。まぁ、後漢といえば医者という職業は好まれるものではない。人の治療は妖の類のものと言われ、治療以外は汚れを触るものと避けられるものとなっていたはずだ。というよりもどのような原理で治療されているのか民に浸透していないので当然といえば当然かもしれない。その点では民に慕われ『神医』と謳われている華佗は改めて偉大な人物なのだと実感させられる。

 

「その、ご主人様・・・。」

「ん?どうしたの?」

 

朱里が心細げに話しかけてきた。

 

「えと・・・今晩は何か予定とかありますか?」

「特にないよ。」

「では、その・・・今晩、私たちと寝てください!」

「しゅ、朱里ちゃん//!?」

「にゃわ//!?」

「いいよ。」

「ほ、本当ですか!?」

「うん。朱里たちと寝るのも久しぶりだしね。」

「あわわ・・・//」

「にゃわわ・・・//」

 

そしてその夜、三軍師部屋にて。

 

「すぅ・・・、すぅ・・・。」

 

四人で川の字で眠っている・・・いや、四人だから川の字ではないのだが。そこにはすやすやと眠る一刀と明里。そして鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている朱里と雛里がいた。

 

「はぁ〜、やっぱり〜。こんなことだろうとは思ってたけど・・・。」

 

明里ちゃんは最初こそ緊張していたもののご主人様が眠った途端に隣で眠っちゃうし・・・。

 

「でも、私はこうやってご主人様の隣で眠れるだけでも幸せなことだと思うよ?」

「それはそうだけど・・・。」

 

私、体も胸も小さいし・・・ご主人様にどういう風に見られてるのかちょっと心配になるときがあるんだよね・・・。

 

「けど、私的にはご主人様にもっと自分を、自分だけを見て欲しい!って思うよ。これは我侭なのかな?」

「うーん、よく分からないけど・・・私は、朱里ちゃんの言いたいこと分かる気がするから。ずっと一緒にいたもんね。」

「うん。私と雛里ちゃんと、明里ちゃんと三人。」

「ずーっと一緒だよ。」

「うん♪」

 

朱里と雛里は愛おしいご主人様と大切な親友を挟んで微笑み合う。それはお互いにかけがえのない存在で、全てを許しあえるから。互いのことを信頼できるからこその微笑みだったのかもしれない。

 

「私たちもそろそろ寝よっか。」

「そうだね。おやすみ〜。」

「おやすみなさい。」

 

そこで朱里は一つのことに気がついた。

 

「私、ご主人様にくっつけない。」

 

・・・

 

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桃香の料理騒ぎ事件から三日が経った。今日もいつもどおり朝食を食べていると華佗が俺の側に寄ってきた。ちなみに、今日は桃香の側に月がいたから大丈夫だ。

 

「一刀、すまないがしばらく平原を離れても良いだろうか?」

「何かあったの?」

「建業の方から急ぎの件として仕事が来てな。かの美周郎殿が病で倒れたらしく、他の医者は匙を投げたそうだ。」

「美周郎・・・周瑜さんか!」

 

ん?待てよ。何かが引っかかる。周公瑾に医者が匙を投げた病・・・。もしかして、史実とこれが一致するなら公瑾が危ない!

 

「華佗、俺もついて行くよ。孫策さんと孫堅さんに真名を預けられたんだ。向こうは相当混乱してると思うし、俺がついて行ったほうが華佗の負担も減ると思うから。」

「一刀!?俺個人としてはとてもありがたいが、平原の方はどうする?」

「こっちは桃香に任せる。」

「うん。ご主人様が行っちゃうのは寂しいけど、帰ってきた時にうんと甘えるから大丈夫だよ。」

 

本人の目の前で甘える宣言されてもどう答えればいいのやら・・・。

 

「では護衛として儂もついて行くとしよう。儂がおらずとも貂蝉が残れば良いじゃろ。」

「あらん。華佗ちゃんにアッピールしようという魂胆ね!」

「それだけで済めば良いがの。」

「・・・その顔、何か訳ありのようね。」

「そうじゃ。まぁ、あくまで儂の憶測じゃがの。」

「恋も、行く。」

「恋殿が行くならねねも・・・。」

「ねねはセキトたちとお留守番。」

「そ、そんな〜。」

 

相当ショックを受けた様子のねね。けど確かに軍師は一人連れて行きたいよな〜。

 

「雛里、建業で話し合いの場があるかもしれないからついて来てくれないかな?うちの軍師として。」

「鳳雛と謳われた士元がついてくれば百人力じゃな。」

「あわわ・・・。ご主人様に恋さん、卑弥呼さんに私がついて行くんですか・・・。ここは朱里ちゃんの方が・・・。」

「俺は雛里に来てもらいたいんだけどなぁ・・・。」

 

こう言われて断れる者は平原にはねね以外におらず・・・。

 

「分かりました。尽力させていただきましゅ//」

 

そんなこんなで四人の建業行きが決定した。そして、若干三名以外は雛里のことを羨ましそうに視線を送っていたそうな・・・。

 

・・・

 

建業に向かっている途中、俺は卑弥呼に疑問をぶつけた。

 

「卑弥呼はさ、周瑜さんの病気のこととか知ってるのか?」

「当たらずとも遠からずじゃな。儂の場合のはあくまで憶測。史実に沿っているこの世界でさえ全くその通りに動いているとは限らないからの。儂がついていくのは保険としてじゃ。」

「・・・そっか。」

 

この様子だと知っていると見て間違いないだろう。なんで知っているのかは不明だけど、そこは深く追求しないでおこう。

 

「そういえばご主人様、よくあの孫家の方たちの真名を預けてもらえましたよね。」

「ん?あぁ、ちょっとした贈り物をね。そしたら教えてもらえたんだ。」

「贈り物・・・ですか?」

「うん。」

 

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くいっ。ん?何か袖を引っ張られているような・・・と思ったら恋か。

 

「ご主人様、恋には?」

 

なるほど。恋も何か欲しいのか。

 

「そうだな。恋にもこれから世話になるだろうし。建業の件が落ち着いたらな。」

「(こくっ)」

「じーーーーーーーっ。」

「・・・雛里、どうしたのかな?」

 

大体見当は付くが一応聞いてみる。

 

「恋さんにはあって、私にはないんですか?」

「・・・分かった。けど、皆には内緒な。恋もだぞ。」

「はい♪」

「(こくっ)分かった。」

 

皆にあげてたら俺の財布が再来月の分まで無くなりそうだからな・・・。ただでさえ恋と鈴々の食費に霞と星の酒代で減っていくっていうのに・・・。奢ってしまう俺も悪いんだが。

 

「ご主人様、儂には何かないのか?」

「卑弥呼って、何か欲しい物とかあるの?」

「ご主人様の愛・・・ぽっ。」

「やらん!というか、顔を赤くするな!」

 

聞いた俺が間違いだった・・・。

 

「何をしてるんだ!患者が待っているんだぞ!?喋る前に体を動かせ!」

「はい!」

 

華佗は患者のことになると熱くなるからな。とにかく、一刻も早く建業に急ごう。

 

・・・

 

俺たちが建業に着くやいなや、雪蓮によって周瑜さんのいる救護室に通された。救護室には俺と華佗、雪蓮に水蓮。それに眠る周瑜さんがいる。周瑜さんの顔色は真っ青で、健康と呼ぶには程遠いものだ。

 

「・・・これは随分と進行しているな。こんなになるまで他の医者は何をしていたんだ?」

 

診察し終わると華佗が苦い表情を見せた。容態はかなり酷いんだろう。

 

「これは私たちが幼い頃からの病なの。昔から他の医者は治療法が無いと匙を投げていたわ。それに、冥琳が私たちに心配をさせるような素振りを見せる訳ないもの。私にまで無理してるのを隠して、辛い時くらい私に言ってくれたっていいのにね・・・。」

 

雪蓮の悲しげな表情を見せる。断金之契を交わした二人でも・・・いや、お互いを信頼しているからこそ深くは詮索しないんだろう。

 

「華佗でも冥琳の病気は治せないの?」

「・・・いや、治療法がない訳ではない。だがその材料がな・・・。」

「竜の牙じゃ。」

「りゅ、竜!?」

 

水蓮と雪蓮の声が重なった。しかし竜か。本当に存在するのかですら怪しいぞ。

 

「なぜ卑弥呼が材料のことを知ってるんだ?これは五斗米道にしか伝わっていないはずなのだが。」

「儂の知り合いに医術に長けた者がおるのでな。実際に竜を討伐しに行かされたこともあるしの。」

「行かされた?」

「美桜殿・・・ご主人様の祖母じゃ。」

「・・・。」

 

お婆ちゃん・・・何してるんだ。というか、昔から普通ではないと薄々感じていたが『こっち』の人だったのか。・・・というと、お爺ちゃんも一度『こっち』に来てる?

 

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「ダーリンよ、どうする?竜のいそうな場所であれば儂が把握しておるぞ?」

「勿論行くさ。治療法があるのに患者を見捨てるなど五斗米道の教えに反するからな。だが、相手は竜だ。俺と卑弥呼では厳しいだろう。一刀、一緒に来てくれるか?」

「言われなくても行くさ。というか、来るなと言っても行かないと言っても俺は行くけどな。」

「決まりじゃな。では儂は呂布と士元にもこのことを伝えてこよう。」

 

そう言うと卑弥呼は救護室を出て行った。さて、俺も準備を・・・。

 

「私も行くわ。」

「勿論私もな。」

「雪蓮・・・水蓮。」

「冥琳の危機に私が指を咥えて待っているなんてありえないもの。」

「冥琳はもう一人の子供のようなものだからな。それに、娘だけに良い思いはさせん。」

「母様は城でおとなしくしていた方がいいんじゃない?そろそろ年を考えたほうがいいわよ。」

「それ以上年のことを言うとお仕置きするわよ?」

「・・・ごめんなさい。」

「よろしい。」

 

孫呉の姫君と言えど母親には弱いらしい。

 

「じゃあ私と母様は支度をしてくるわ。一刀たちは冥琳の部屋が空いてるからそっちで支度してくるといいわ。」

「分かった・・・って言っても場所が分からないんだけど?」

「そこには愛璃に案内させよう。久しぶりに会うのだから話し相手にでもなってやってちょうだい。」

「分かりました。」

 

少し前までは敵だったのに、不思議な感じだ。

 

「では一刻後に謁見の間に集合でいいか?」

「分かりました。」

「では俺は市に出て持っていけそうなものを探してこよう。」

 

雪蓮と水蓮は冥琳を意味深な視線を送った後、華佗と共に救護室を出て行った。

 

「・・・んっ。」

 

三人が出て行ってすぐに周瑜さんが目を覚ました。タイミングが良いのか悪いのか。

 

「周瑜さん、気分はどうですか?」

「あぁ、気分は大分良くなった。まだ頭痛はするがな。」

「良かった・・・。」

「ところで、お前が北郷一刀だな。」

「あっ・・・そういえば初対面でしたね。初めまして。劉玄徳の下で武官をしている北郷一刀です。」

「雪蓮や水蓮様、愛璃様から散々聞かされていたからな。一目で分かった。」

「何を聞いていたかは聞かないでおきます。」

「ははっ、悪い話ではないさ。どれも良い話だったよ。」

 

それを聞いて少しほっとした俺がいるのはなぜだろう?何か悪いことをしたわけではないのに・・・。

 

「ふむっ、話を聞いていたせいか不思議と初対面という気がしないな。以前にも会ったことのあるように感じる。」

「奇遇ですね。俺もです。」

 

・・・少しの時間、静寂が訪れる。しかし、居心地は悪くない。外から聞こえる葉擦れの音が心を落ち着かせてくれる。

 

「・・・話は断片的にだが聞こえていたよ。私の治療材料を取りに行くらしいな。迷惑をかけてすまない。」

「困ったときにはお互い様ですよ。気にしないでください。というか、これが俺の性分ですから。」

「そうか。」

「はい。それと、病人なんですからいつまでも起きていてはいけませんよ。」

 

俺は周瑜さんの毛布を肩まで掛けた。

 

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「俺は行きますね。支度をしないといけませんので。」

「あぁ。北郷、ありがとう。」

「お礼は俺たちが戻ってきた時に取っておいてください。」

「ふふっ、あぁ。分かった。」

「では、行ってきます。」

 

周瑜さんにそう言い残して俺も救護室を出た。

 

・・・

 

「北郷一刀・・・か。」

 

確かに話に聞いたとおり良い者だ。損得、敵味方関係なく行動を起こす。おそらく民にも同じように接しているのだろうな。ふふっ。雪蓮ではないが、北郷が呉に来ていたらどううなっていたのだろうな。悪いようには転がらないだろう。孫呉を支える柱の一本を担うことになったのだろうか。それも良いな。まぁ、雪蓮や水蓮様に連れ回されるのは目に浮かぶがな。私にとっても良い仲間になっていたかもしれない。私の隣で孫呉を支える役目を共にしていたかもしれない。とりあえずは北郷たちが戻ってきてからだ。そこで何か謝礼を出せれば良いな。

 

「北郷、雪蓮たちを任せたぞ。」

 

私はそんなことを考えながら瞼を閉じた。

 

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あとがき 読んでいただきありがとうございます。・・・冥琳フラグ立たせてしまったかな?まぁいいや。気にしないでいきましょう。はてさて、久しぶりに三軍師出しました。徐庶元直ちゃんこと明里は『にゃわわ軍師』に決めました。なぜかって?インスピレーションです。暴走すると、にゃにゃにゃしか言いません。おそらく明命に捕まるでしょう。いや、間違いないでしょう。それでは次回 第五節:龍脈の眠る五台山 でお会いしましょう。

 

説明
何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。

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コメント
yosiさん大丈夫ですよ!僕も同じこと考えていましたから・・・(GANGAN)
ここでヴリトラのとうばつか(将軍)
竜の牙調達クエスト、なんとも頼れる仲間で心強そう。にゃわわ軍師の元直ちゃんか・・・ライバルとして朱里が憤死するほどの巨乳を持つ「ふははロリ軍師」司馬懿ちゃんとかどうだろうとか考えた自分はきっともう駄目だ。(yosi)
ここで竜との戦いとは…まあ、これだけの面子がいれば竜の二体や三体、軽く狩ってこれそうな気もしますが。(mokiti1976-2010)
竜が相手ですか、それとも龍かな? 名無しの竜なのか、名のある竜なのかも気になりますね・・・楽しみに待っています♪(本郷 刃)
最後から3ページ目の華佗の最初のセリフの最後に」抜けていると思われますよ・・・(sonron)
竜相手にどんな戦いが繰り広げられるか、楽しみです。(アルヤ)
やってきました竜と対面です。おばあちゃんホントになにやってるの?さすが覇王。やることも規格外です。次も楽しみにしております。(Fols)
お初でコメントさせて戴きます。こちらの無双一刀君大好きでっす♪次節も楽しみにしておりますヾ(*´∀`*)ノ(らっしぃ)
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