そらのおとしもの  超番外編『快傑トバット』最終編
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快傑トバットこと桜井智樹はパンツロボを破壊した者を探し、各地を転々としては訪れた先に暗躍する悪の組織を壊滅させていった。

だが智樹はまだ気づいていなかった。今まで壊滅させた組織の裏に大きな組織が関与していたことに……。

 

 

 

 

快傑トバット  最終編

 

 

智樹はパンツロボの墓参りをかねて空見町へ帰っていた。

 

「パンツロボ、お前の仇はまだ見つからねえ」

 

智樹がそんなことを墓の前でぼやいていると突然悲鳴が聞こえてくる。

 

「なんだ?」

 

悲鳴の元、それは少女が一人、Sのマークの付いた男達に絡まれていた。

 

「俺達の姿を見られたからには死んでもらうぜ」

「そんな……」

「俺達に会ったことを不運に思うんだな」

 

そんな時どこからともなくギターが聞こえてくる。

 

「!? 誰だ!」

「そんないたいけな女の子物騒なものをことを言うんじゃねえぜ」

 

そこには智樹がギターを弾いてやって来ていた。

 

「貴様は桜井智樹!」

(やっぱりこいつらもSの字があるな)

 

智樹が壊滅させた組織全てに「S」の文字が刻まれていた。

 

「我らシナプスを見くびるなよ!」

(シナプス……「S」だ! ってことはこいつら……)

 

智樹はようやく悪の組織シナプスが今までの出来事に関与していたことに気付いた。

 

「まずは貴様からやってやる!」

「やれ!」

 

男達は智樹に襲い掛かる。しかし智樹は簡単に男達を返り討ちにした。

 

「大丈夫か?」

「ありがとう」

 

少女が智樹の手を取り立ち上がろうとする。

その時である。

 

「! 危ない!」

「きゃっ!」

 

突然マシンガンが自分達の元に飛んでき、智樹は少女を庇うようにして避ける。

 

「よく避けたわね、桜井智樹」

 

そこには智樹や助けた少女よりもさらに幼く見える青髪ツインテールの少女がいた。

 

「お前さんのことは知ってるぜ。用心棒ニンフ」

「あら、私のことを知ってるなんて光栄ね。でも私が日本一の射撃の名手だってことは知らないでしょ?」

「日本一の名手? いいや、お前は二本じゃ二番目の射撃の名手だ」

「私が二番目? じゃあ日本一は?」

 

ニンフに言われて智樹は口笛を吹き、舌打ちする。

そして自分に親指を立て、自分が日本一と自称する。

 

「面白いわね、じゃあこれをやってみなさいよ!」

 

ニンフが智樹達の側に降りてき、ニンフは近くにあった岩を地蔵の形にして撃ちぬいた。

 

「どうよ? あんたに出来る?」

「ああ出来るさ」

 

ニンフは自分の銃を智樹に渡す。

そして智樹がやったことはなんとニンフが作り出した地蔵を元に岩のところに戻すというものであった。

 

「!」

 

智樹は口笛を吹く。

 

「?」

 

智樹は何やら変な音が聞こえることに気づいた。

 

「この音……」

 

智樹がニンフから渡された銃に耳を当てる。

 

「やばい!」

 

智樹はその銃を遠くに投げ飛ばすと銃は爆発した。

 

「よく仕込み爆弾のことが分かったわね」

 

気が付くとニンフの姿はなかった。

 

「逃げられたか……っとそれより大丈夫か?」

「大丈夫だよ」

「君、名前は?」

「そはら」

 

少女はそはらと名乗った。

 

「そはら、なんでシナプスに狙われたんだ?」

「それが……わからないんです」

「わからない?」

「はい、ただ自分達の姿を見たからという理由だけで……」

「十分わかってるじゃねえか。けど見ただけで命を狙われる……一体何が……」

「恐らくは何かを企んでいたのを見られたのだろう」

 

そこに智樹の知り合いの守形が現れる。

 

「守形先輩」

「俺が手に入れた情報によるとそのシナプスと言う組織は近々世界征服に向けての大きな動きを見せるらしい。

おそらく君はその動きの一つを見てしまったために命を狙われた」

「…………」

「それと近くでこれを見つけた」

 

守形が取り出したもの、それは銃弾だった。

 

「銃弾すっよね?」

「そうだ。だがこれはパンツロボを撃ったものと同一のものだ」

「え!?」

 

智樹は普段はクールであるが、そのことを聞いて驚きを隠せない。

 

「つまり……」

「そうだ。お前の仇、パンツロボを撃ったのはシナプスだと言うことだ」

「そう言えばさっきの人達こんなこと言ってた。

『首領Mはパンツロボを壊したのに随分そわそわしてるよな』って」

「首領M、あいつが! あいつがパンツロボを!」

 

智樹は怒りを見せる。

 

「落ち着け智樹」

 

守形が軽く智樹の肩を叩く。

 

「放してくれ! 俺は一人でも行きます! パンツロボの仇をとってやる!」

「一人じゃ危険だよ」

「そうだ。そはらの言う通りだ。シナプスは俺達が相手にした連中よりも手ごわい。見取り図さえあれば……」

「……もしかしたら…………」

 

そはらはカバンからある物を取り出す。

それは屋敷の見取り図であった。

 

「これは……シナプスの本拠地の見取り図! 何故これを君が?」

「あの人達に出会う少し前に風で飛んできたのを拾ったんです」

「これについてあいつらは?」

「何も……」

「探していた者とは違うと言うことか……」

「とにかくこいつを見る限りじゃ……俺はここを攻めます!」

 

智樹は見取り図の一つの部分を指差す。

 

「……仕方ない。なら俺はここに行こう」

「先輩、行くのは勝手ですけど捕虜になっても俺は無視しますよ」

「構わん。俺が言おうとしたセリフだ。君は少し行った先に宿屋があるからそこで待っていてくれ」

「はい」

 

そしてそはらを置いて智樹と守形はシナプスの本拠地とされる屋敷に向かった。

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二人の潜入は成功するものの途中で首領Mにバレ、守形は捕えられ、智樹も部屋に閉じ込められた。

 

「……仕方ねえ!」

 

智樹はその部屋の中でトバットスーツを着、トバットになった。

 

「貴様が快傑トバットだったか!」

 

首領Mの声が部屋全体に響き渡る。

 

「だがトバット、貴様はここで死ぬのだ!」

「そうはいかないぜ!」

 

トバットは鞭を使い、壁を破壊して脱出する。

そして外に出ると首領Mとシナプス構成員たちが待ち構えていた。

 

「お前が首領Mか!」

「はっはっは、その通りだ」

 

首領M、それは少し体つきのいい筋肉をしているが、目は髪に隠れてよく見えない男だった。

 

「やれ!」

 

構成員達はトバットを襲うが簡単に返り討ちに遭う。

そして首領Mと一対一になる。

 

「悪行の限りをつくし、数えきれぬ人を殺し、あまつさえ罪もないパンツロボを壊した犯人! 許さん!」

「?」

 

トバットは飛ぶ!

 

「トバットアターーーック!!」

 

トバットアタックが首領Mに当たる。

 

「パンツロボの仇!」

「俺じゃない!」

「嘘をつくな!」

「嘘ではない! パンツロボはシナプスの総統が……」

「総統だと?」

「シナプスの総統は……」

 

そんな時、銃弾が飛んでき、首領Mの頭を撃ち貫いた。

 

「!」

 

飛んできた方向を見るとニンフがいた。

 

「ニンフ!」

「口の軽い奴を処刑したまでよ」

「なんだと?」

「それにあんな奴が死んでもシナプスにはなんの影響もないのよ。総統Sがいるからね!」

「総統S、そいつが……」

「それに私はね、用心棒じゃなくて大幹部なのよ。後二人もね!」

 

そこにニンフと似たような格好をした女性二人がやって来た。

 

「イカロス!」

「ニンフ」

「アストレア!」

「「「我らエンジェロイド三姉妹!!!」」」

「くそ、姉妹がいたなんて……」

 

そんな時トバットスーツの警告音が鳴る。

 

「やばい! もう終わりだ……」

「これで終わりよ!」

 

ニンフ達がトバットに向かって銃を撃つ。

 

「ぐわ!!!」

 

トバットスーツの限界を超えたためにトバットは撃たれ、落ちた。

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「…………」

 

守形は何とか自力で脱出できたものの智樹を見つけることが出来なかった。

 

「桜井君……」

 

そはらの元には日和もいた。

 

「きっとまだ生きてますよ」

「ああ、智樹があれで死ぬような奴じゃない」

「そうでしょうか」

「そうだ。そう信じろ」

 

それでも一同の不安は完全には消えない。

 

「私、捜してきます!」

「危険だ!」

「いいえ、元々巻き込んだのは私のようなものです!」

 

そしてそはらは出て行ったが、帰ってこなかった。

だがそれと入れ違いになる形で智樹は傷だらけで帰ってきた。

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それからすぐのことである。

智樹はまだ怪我が治りきっていないのにもかかわらずギターを持ち、崖まで来ていた。

そしてギターを弾く。

 

「俺のこれを聞けば必ず現れるはずだ」

 

智樹はそう思いギターを弾く。

そして智樹の読み通りエンジェロイド三姉妹が現れる。

 

「来たな」

「Artemis」

 

イカロスのArtemisが放たれ、智樹は何とかそれをかわすものの崖から落ちてしまう。

 

「やったわね」

 

そこに自身の姿をマントや覆面で覆いかぶさっている総統Sが現れる。

 

「総統S」

「これで私達シナプスが世界を手に入れることが出来るわ!」

 

しかしそこからすぐにトバットが現れ。

 

「快傑トバット!」

「大見えを切って!」

「死ににきたらしいわね」

「首領Mを表面に立て、悪事の限りをつくし、あまつさえ悪行を無限に繰り広げて世界征服を狙っていた総統S、お前だけは絶対に許さん!」

 

トバットがジャンプする。

 

「やってしまいなさい!」

『はい!』

 

総統Sの命令によりエンジェロイド三姉妹とトバットが戦う。

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智樹の置手紙を見た守形と日和は智樹を捜しに出ていっていた。

そんな二人が見た先にはイカロス、ニンフ、アストレアが橋に吊るされていた。

 

『エンジェロイド三姉妹  成敗』

 

そう書かれたカードも添えられていた。

 

(トバットスーツは後1分しかもたない筈だ)

 

トバットと総統Sが1対1で対峙する。

 

「パンツロボを壊したのは貴様だな!」

「そうよ! あのロボットは私の正体を知ろうとした。だから破壊したのよ!」

「俺もお前の正体見破ったぞ!」

「ならば消えてもらうしかない!」

 

そしてトバットと総統Sの戦いが繰り広げられる。

戦いが続く中、守形や日和はその戦いが行われてる場所へと向かっていた。

 

(智樹、無事だといいのだが……)

 

二人が辿り着いてみると既に戦いが終わっており、総統Sが倒れていた。

 

「…………」

 

守形が総統Sの覆面をはがす。するとその覆面の下には……。

 

「そはら……」

 

その覆面の下にはそはらの顔があった。

 

「そはらさん」

「まさかお前が総統Sだったとは……」

「それよりトバットは?」

 

二人が周りを見てもトバットの姿がない。それどころか破れ破れのトバットスーツが落ちていた。

 

「まさか相打ちで崖に?」

「そうとは思えないが……」

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そのトバットこと智樹はパンツロボの墓前に花を持ってきていた。

 

「パンツロボ、お前の仇とうとうとったぜ」

 

墓に花を添える智樹。

 

「さてと俺は行くぜ……」

 

智樹がパンツロボの墓を去ってすぐに守形と日和もやって来た。

 

「あ、花があります」

「これは……」

 

しかもよく見たら花の他にもう一つ添えてあった。

それはトバットのカードだった。

 

『悪の大組織シナプス  ここに壊滅す!!』

「とうとうやったな、智樹」

「本当に……桜井君は……」

 

とうとうやり遂げたと思い思わず泣く日和。

智樹はどこへ行ったのか。

それは誰もわからないのだった……。

 

 

 

 

 

おわり

説明
これは以前に投稿したそらのおとしもの  超番外編『快傑トバット』の完結編となる話です。前回→http://www.tinami.com/view/522597
しかし元ネタの「快傑ズバット」の最後の部分をもろにやっているために「快傑ズバット」のネタバレ(名前が違ったりする程度)にもなることをご了承ください。
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そらのおとしもの 桜井智樹 風音日和 守形英四郎 パンツロボ 快傑ズバット 

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