美少女?戦士 セーラーエネミー
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うさぎ「あたし、月野うさぎ14歳!

    十番中学の2年生でぇ〜す!

 

    普段のあたしは少しおっちょこちょいで泣き虫の女の子。

    だけど地球の平和をおびやかす悪い奴が現れた時は

    変身して悪者をやっつける正義の味方なの!

 

    その時のあたしのもう一つの姿とは・・・

 

    愛と正義のセーラー服美少女せ(ガバッ!)ッ!?」

 

 

うさぎ「む〜!?んむ〜!?!?(ジタバタ)」

? ?(月野さん、あなたには少しひっこんでいただきますわよ。

    大人しくしてちょうだい。)

うさぎ「むむむっ!?むぅ〜!!?(バタバタ)」

? ?(縄で縛ってさるぐつわ・・・と)

うさぎ「むぎぐむぐ〜!!!!?(ドタバタ)」

 

(ずるずるずるずる・・・・・)

 

 

? ?「えー、コホンッ。」

 

夏 美「あたくし、銀河夏美、地球人の年齢で14歳。

    十番中学に通う2年生ですわ。

 

    普段のあたくしは容姿端麗、有智高才の完璧、プリティ〜な美少女!

    しかしてその実体は、銀河の彼方からはるばるやって来た

    気高き宇宙のさすらい貴族、アン!!

   

    オーッホッホッホッホッホッ!!

 

    これから始まるお話はこのあたくしが主人公ですの。

    あたくしの八面六臂の大活躍、皆様とくとご覧あそばせ!

 

    オ〜ホッホッホッホッホッホッホッホッホ〜!!!」

 

 

うさぎ「んむぅ〜!?むん〜!!!」

 

 

           『謎の新・美(?)少女(?)戦士 爆誕!』

 

 

ここは十番街のとある小さなマンション。

このマンションの一室を、宇宙人が借り住んでいるという事実は

ごく一部の人間しか知らない。

 

マンションに住む男女二人組の宇宙人は、部屋の中で不思議な植物を育てていた。

『魔界樹』と呼ばれるその植物は地球の花や木等とは扱い方が少しばかりか違う。

この植物を育てるのに必要な養分は愛。愛情である。

魔界樹は今でこそ小さな芽の状態だが、かつては巨大な宇宙植物だった。

 

男女二人の宇宙人、男の名はエイル、女の名はアン。

彼らの祖先は名も無い星で魔界樹から産み出された種族だった。

ある時、魔界樹が与えるエナジーをめぐって祖先達は

互いに争い傷つけあい、最後には母星をも滅ぼしてしまった。

わずかな生き残りは魔界樹と共に星を脱出したが、

それでも仲間同士の戦争は終わる事無く、やがて彼らも力尽きた。

心ある魔界樹は醜く息絶えた子供達を嘆き悲しみ、

わずかに残った力で新しい子供を産んだ。

 

それがエイルとアン。

 

そして魔界樹は眠りについた。枯渇した子を育む力をとりもどす為。

二人が心優しい人間に成長する事を願いながら。

 

成長し地球に飛来したエイルとアンは、自分達が生き残るために必要な

魔界樹のエナジーを得るため、地球人から生命エナジーを奪い取り、魔界樹に

与え復活させようとしていた。また、地球人の中に溶け込むため

それぞれ銀河星十郎、銀河夏美と名乗り、兄妹として十番中学の生徒になった。

ある時一人の少女が、二人が魔界樹を隠した

異空間に繋がる部屋に足を踏み入れた時、魔界樹は彼女の放つ

暖かな愛のエナジーによってわずかに覚醒した。

 

魔界樹が再び目覚めた時、二人の子供の心は醜く変わり果てていた。

私利私欲のために罪の無い者達を平気で傷つけエナジーを奪うエイルとアンの姿に

絶望した魔界樹は怒り狂い暴走をはじめる。

エイル達の隠れ家であったマンションを瞬く間に覆いつくし、その場にいる者全てを攻撃した。

 

しかし自らがアンの命を奪ってしまった時、魔界樹は正気に戻った。

そして魔界樹から語られた真実を聞き、エイルは母の愛情と本当の愛を知り改心。

魔界樹を目覚めさせた少女、月野うさぎことセーラームーンの力で魔界樹は浄化され、

死んだアンは蘇生された。魔界樹は生まれ変わり、小さな芽となった。

 

エイルとアンは魔界樹と共に地球を発とうとする。しかしセーラームーンがそれを止めた。

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ムーン「一緒に地球で暮らそうよ。やっと本当のお友達になれたんだもん。

    もうお別れだなんて寂しいよ・・・。それに行く当てもないんでしょ?」

エイル「・・・すみません。私達は魔界樹のエナジーがなければ生きていけないのです。

    この芽の状態の魔界樹からもエナジーは出ていますが芽のままでは微量です。

    平和に暮らせる他の星を探してそこで魔界樹を地道に育てます。」

ムーン「なら私も一緒に魔界樹さんを育てる!愛情いっぱい注いじゃうんから!」

エイル「しかしうさぎさん・・・」

マーキュリー「私もお手伝いします。出来る事があれば何でも言ってください。」

ヴィーナス「亜美ちゃん、ひょっとして宇宙植物の生態が学べるチャンスだって

      喜んでない?」

マーキュリー「べ、別にそんな事は・・・」

ジュピター「あたしにも手伝せてよエイル・・・いや星十郎さん!」

マーズ「ま、私も出来る事はやってみようかしら。」

ヴィーナス「右に同じ!・・・ってね。」

ムーン「ね!いいでしょ星十郎さん!あたし達と一緒に暮らそう!」

エイル「皆さん・・・あ、ありがとうございます。皆さんの

    ご厚意を無下にするわけにはいきません。では・・・改めて、

    これからもよろしくお願いします、月野さん、皆さん!」

ムーン「よかったぁ!」

ア ン「・・・」

ムーン「・・・夏美ちゃん?」

ア ン「ふ、フン!あなた方のお世話になる気なんてこれっぽっちも

    ありませんことよ!魔界樹の世話はあたくしとエイルだけで十分!」

エイル「アン!・・・」

ジュピター「(イラッ)このやろう、まだ反省してねぇのか・・・自分の立場わかってんのか?」

マーズ「まぁまぁ。きっと照れてんのよ。こういう事に関してはなかなか素直に

    なれない性格みたいだしね。」

ア ン「ち!違いますわ!!あたくしは本当に・・・」

 衛 「俺にも手伝わせてくれないか。植物の世話は正直詳しくはないが、

    君達の助けになりたいんだ。」

ア ン「! あぁ〜ん!衛様にそう申されては仕方がありませんわぁ。

    これからもどうぞよ・ろ・し・く!ですわぁ〜ん!」

 衛 「うわぁ!い、いきなり抱きついてくるなよ!!」

ムーン「あぁ!こらぁ〜!衛さんの事まだ諦めてないわけぇ!?

    離れなさぁ〜い!!!」

エイル「アン・・・(複雑だ)」

 

 

エイル「地球に在住を続ける以上、我々は償いをしなければなりません。」

ムーン「償い?」

エイル「私達はうさぎさん達やこの星の人々に対して

    私利私欲のために今まで多大な迷惑をかけてきました・・・。

    その罪滅ぼしをしたいのです。

    私達もうさぎさん達のために出来る事があれば何でも言ってください。」

ムーン「そんな気を遣わなくてもいいよぉ。」

 衛 「そうだな・・・。君達は生きていくためにやった訳だし、

    そこまで気負いする必要は・・・」

エイル「いえ、そうでなければいけないと思うのです。

    あなた方や母魔界樹の思いに触れて、私達は自分の行いの過ちに気づきました。

    今初めて知った本当の愛でもって、皆さんの力になり、罪を償いたいのです。」

ムーン「星十郎さん・・・」

 衛 「わかった。なにかあった時は力を貸してくれ。期待させてもらうよ。」

エイル「あ、ありがとうございます、衛さん。」

ヴィーナス「フフッ、散々迷惑かけられた分、しっかり働いてもらいましょーかぁ!」

ムーン「美奈子ちゃんってば!」

一 同「ははははははははははは・・・・・」

 

ア ン(・・・衛様の言うとおり、あたくし達は生きるためにエナジーを少しばかり

    拝借させていただいてただけなのよ。なのにエイルはなぜわざわざそんな事を・・・

    しかもあたくしまで巻き込んで!あたくし達がそこまで悪い事を

    したとでも言うんですの?・・・でも衛様のお力になれるのなら・・・

    それもいいかもしれませんわねぇ・・・ウフフ)

 

 

・・・とまぁ、そんな事があって、エイルとアンはうさぎ達の援助とともに

魔界樹を育てながら地球は十番街に住み続ける事になった。

 

以前住みついていたマンションは、魔界樹の暴走で半壊してしまったため、

衛や美奈子らが一緒に新しい住居を探してくれ、見つけたのが今暮らしているマンションである。

前のマンションよりもずっと小さかったため、アンは少し不満そうだったが。

(ちなみに半壊したマンションからは、自分達が犯人である事が管理人らにバレる前に

 「これでは住めないので引っ越します」と言って逃げるように後にしたらしい・・・)

 

エイルこと星十郎は生活費、家賃、そして前のマンションの修理代のためにと言って

アルバイトを始めた。学生を装っている彼だが、中学生がバイトをするのはもちろん

校則で禁止されている。星十郎は「父の会社が経営破綻を起こし非常に危ない状況のため、

自分も稼がなければならなくなった」等と適当に言い訳を作ってなんとか担任を説得し

バイトをする事を許された。

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夏 美「うにゃあ〜・・・ひもぢぃ〜〜・・・・・」

今日は日曜日。アンこと夏美はマンションの自宅で床につっぷしていた。

目はうつろで、頬は若干痩せこけている。魔界樹の芽から供給される

エナジーが極端に少ないのに加え、何日も魔界樹の世話を続けているので衰弱しているのである。

小さな植木鉢に植えこまれた魔界樹の芽を眺めながらため息をもらす。

夏 美「ハァ・・・この苦行はいつまで続くのかしら・・・魔界樹は一向に成長してる

    様子が見受けられないし、このままではエイル共々餓死してしまいますわ・・・」

星十郎「ただいま・・・」

星十郎がアルバイトから帰ってきた。彼もエナジー不足と魔界樹の世話、さらに

バイトもこなす忙しさのため夏美よりも衰弱が激しい。足もよろつきかけている。

夏 美「おかえりなさい・・・」

星十郎「魔界樹の様子は・・・?」

夏 美「いまだ変化なし」

星十郎「・・・そうか・・・はぁ〜」

深いため息を漏らし、星十郎はリビングの椅子に重い腰をおろした。

テレビのスイッチを入れ、そこに流れる映像を空しそうに見つめる。

星十郎「あれからもう一か月以上は経過している・・・それなのにまだ変化がないとは・・・」

夏 美「エイル・・・あたくし達、・・・もうおしまいですわ」

夏美の突然の言葉に驚く星十郎。

星十郎「な!何を言うんだアン。希望を捨ててはいけない!」

夏 美「無理よ!この一か月一日も欠かさず魔界樹に愛情を注いできたのに、なのに魔界樹は

    そんなあたくし達の思いに全くこたえてくれないんですのよ。

    所詮地球人の食物では生命エナジーに変換するにもたかが知れてるし・・・

    十分なエナジーも得られない以上、これ以上魔界樹を育て続けるなんて

    不可能だし無意味!最初からあたくし達はゲームオーバーだったのよ!」

星十郎「バカな事を言うな!最後の刻まで諦めずに接し続ければ魔界樹は

    いつかきっとこたえてくれる!」

夏 美「・・・どういう根拠があってそんな事が言えますの?

    いつかとは何年何月何日何秒!?気休めなど逆に不愉快ですわ!!」

星十郎「き、気休めだとぉ!?」

思わず星十郎は立ち上がり夏美に食って掛かろうとした。しかしすぐ思いとどまる。

 

その時彼はふと思った。そして理解した。

 

星十郎「・・・そうか、これだからだ。」

 

夏 美「は?」

星十郎「魔界樹は言っていた。魔界樹に必要なのは深い本物の愛だと。

    言葉ではわかっていても、魔界樹をマトモに育てたことの無い我々は

    いままでただ上辺だけの愛を注いでいたに過ぎない。

    しかも育たないという焦りが元で我々は今こうして仲違いまではじめている。

    これではどうやったところで魔界樹は反応なんてしてくれない。

 

    アン!もう一度やり直そう。私達二人、心を穏やかにして、

    もう一度魔界樹に愛情を注いでみよう!心の底から魔界樹を

    愛しむんだ。」

夏 美「エ、エイル・・・」

呆気にとられながらも夏美は答えた。

夏 美「・・・わかりましたわ。あたくし、やります。」

星十郎「よし、さっそくはじめよう。・・・アン、

    さっきはすまなかった。私もイライラしていて・・・」

夏 美「・・・いえ、あたくしの方こそ。ごめんなさいエイル。

    あたくし言い過ぎましたわ。」

星十郎「大丈夫。もう気にしてないさ。さぁ、魔界樹を・・・」

 

二人は魔界樹の植木鉢に手をかざした。

そして心の中で念じる。

 

星十郎(魔界樹・・・母さん・・・・・)

 

夏 美(魔界樹・・・・・)

 

二人は愛の念を送り続けた。送りはじめて何十分か経過した時。

 

夏 美「・・・アラ?」

星十郎「どうしたアン?・・・!?」

よく見ると植木鉢が、かすかに振動している。

星十郎「こ、これはもしや?」

夏 美「ね!ね!もっと愛を注いでみましょ!?」

星十郎「そ、そうだな!」

二人はさらに念じた。すると植木鉢の振動は徐々に激しくなっていき、ついに・・・

 

バカァン!!

ポォーーーーーーンッ

 

星十郎「うわ!?」

夏 美「キャア!?」

突然植木鉢が真っ二つに割れ、その中から何かが勢いよく飛び出してきた。

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夏 美「も、もぉ、一体何がどうなりましたの?」

星十郎「植木鉢が突然割れて・・・!?ま、魔界樹がない!?」

夏 美「えぇ!?」

割れて土が散乱した植木鉢に魔界樹は無かった。

二人は慌てて部屋の中を探しはじめる。

星十郎「さっきの割れたショックでどこかに飛んでいったのか?

    あの時飛び出したような何かが・・・」

夏 美「魔界樹を失くしたらそれこそあたくし達おしまいよ!

    どこいったのよ魔界樹〜!!」

???「ここだよ」

夏 美「・・・え?今何か言いましたエイル?」

星十郎「・・・いや、なにも。アンが言ったんじゃ?」

夏 美「違いますわ!」

星十郎「・・・・じゃあ今の声は一体・・・」

???「お〜い、よく見ろ。ここだよここ。」

二人が謎の声が聞こえる方に目をやると・・・

星&夏「!?!?」

 

そこには二人がいままで見たことの無い小さな謎の生命体が存在していた。

いや、それがなんなのかは、二人はなんとなくだが察してはいた。

 

まず一人でに動いている。最初に芽になった時よりも一回りほど大きくなっており、

さらに目(芽ではなく)がついていて、おしゃぶりをくわえている。

 

これが・・・魔界樹・・・? 二人は信じられなかった。正直信じがたかった。

 

 

星十郎「・・・ま、魔界樹・・・か?」

魔界樹「そうだよ」

星&夏「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

二人の絶叫がマンションにこだました。

 

 

星十郎「・・・どうして、どうしてこんな事になってしまったんだ・・・」

星十郎は頭を抱えている。予想外の展開に混乱しているようだ。

魔界樹「いやぁ無理もない。正直私自身もこうなった事にかなり驚いているよ。

    転生したはずなのに浄化前の記憶まで持っているしな。

    どうもお前達の愛の念に混じって、妙な念まで私の中に入り込んできたようでな。

    それが原因のようじゃ。どうもその念はアンの方から伝わってきたみたいじゃが・・・」

夏 美「あ、あたくし!?あたくしは妙な念なんて、お、送ってませんわよ!

    一所懸命あなたに愛を注いでいましたのよ!」

魔界樹「い、いやすまん。私の勘違いかもしれん。」

夏 美「魔界樹が復活したらさっそく美味しいエナジーをたらふく与えてもらって

    その後溜まってたストレスも発散させたいな〜なんてこれっぽっちも・・・」

魔界樹「・・・」

夏 美「あ・・・・」

星十郎「それが妙な念か・・・アン、君という奴は・・・」

魔界樹「まぁまぁ。なんにせよお前達や月野うさぎ達のおかげで私はこうしてまたお前達と

    言葉を交わせるようになったのだ。このような姿になったのもまた運命と

    いうことにしよう。エイル、アン。お前達にはずいぶんと苦労をかけてしまい悪かった。

    そしてたくさんの愛情をありがとう・・・。さぁ、疲れているだろう。

    エナジーをあげよう。」

星十郎「魔界樹、大丈夫なんですか?」

魔界樹「心配するな。今の私は何も言えない芽の時よりも多くのエナジーを供給してやれる。

    ひょっとすると大樹の時とほぼ同じ量のエナジーかもしれん。」

夏 美「え、マジで!?」

魔界樹「うむ、もしかするとお前の『早くエナジーが欲しい』という念が私にそれだけの能力を

    与えたのかもしれんな。全く不思議なもんだ。」

夏 美「・・・・・」

魔界樹「そんな顔を赤くするでない。良い事ではないか。さぁ、エナジーを与えよう」

芽の先端の葉を二人に向けると、そこから暖かな光があふれだした。

星十郎「おぉ・・・これは!」

夏 美「あぁ!この感じ!とても久方ぶりですわ!再びこの一時を迎えられるなんて・・・」

魔界樹「どうだ、満足したかい?」

星十郎「ありがとう魔界樹!・・・いや母さん。

    これからも私達はあなたを愛しみ、そしてあなたの愛を受けて生きたい。

    どうかよろしくお願いします。それと私達はこの地球で暮らしていく事になりました。」

魔界樹「そうかそうか・・・。こちらこそよろしくな・・・。

    ・・・いつかうさぎ達にも礼を言わねばならんな。」

夏 美「あぁ〜満腹満腹!ですわ!」

星十郎「アン、魔界樹に、母さんにお礼を言いなさい。」

夏 美「え?・・・あ。ありがとうございます。お母様・・・。」

魔界樹「どういたしまして。アン。かわいい私の子供よ。・・・しかしお母様と呼ばれるのは

    どうも違和感があるのう。今まで通り魔界樹と呼んでくれて構わんよ。」

夏 美「はい。」

その時、星十郎の頭の中にある疑問が生まれた。

星十郎「魔界樹、私達二人はお互いを愛し合ってる、恋人同士なのです。

    しかし私達はあなたから産まれた同じ子供・・・私とアンの関係は・・・」

魔界樹「ん・・・その事か?そういえばお前達、その姿の時は兄妹を名乗っておるそうだな。

    実を言うとな・・・

 

              お前達二人は本当に兄妹なんじゃよ。」

星十郎「!」

夏 美「なっ!?」

星十郎は少なからず予感していたらしいが、夏美はショックを受けているようだ。

魔界樹「お前達二人は私から産まれた。しかもおなじ『さや』の中からだ。

    だからお前達は正真正銘の兄妹なんだ。・・・まぁすなわち私から産まれた種族は

    お前達の祖先も含め皆兄弟というわけだが。」

夏 美「そんな・・・じゃあ今までエイルといちゃいちゃしてたのは・・・」

星十郎「アン。」

星十郎は夏美の肩に手ををそっと置く。

星十郎「アン、例え私達の関係が本当に兄妹であろうと、私達にはそれ以上の

    強い感情が芽生えている。そうだろう?これかも今までと変わる事無く、愛し合おう。

    ・・・私は君が好きだ。宇宙中の誰よりも君を・・・愛してる。」

夏 美「エイル・・・もう浮気したりしない?」

星十郎「もちろんだ!」

夏 美「エイル!!」

抱き合う二人。そんな二人を見つめる魔界樹。

魔界樹(・・・やっぱり言うのはまずかったかのぅ?

    しかし二人のあの雰囲気なら大丈夫かな?)

 

(臨時ニュースを申し上げます)

星十郎「ん、あぁ、そういえばテレビをつけっぱなしだったな・・・これは!?」

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テレビ『今、東京、十番街に謎の怪人が出現し、人々に襲い掛かっているそうです。

    現場はどうなっているのでしょうか?藤谷アナ!

 

    はい!こちら十番街です!今その謎の怪人は姿をくらませているのですが、

    今までに何人もの人が襲われています!被害にあった人は怪我は

    負っていないのですが、どういうわけか昏睡状態に陥り病院に搬送されました。

    今警察が厳戒態勢を・・・あ!?今あちらの方から悲鳴が!

    あ!あれです!あれが怪人です!カメラさんあそこ!!

    わー!怪人がすぐそこまで!!』

 

夏 美「なんですのこれ?新作SF映画の宣伝?」

星十郎「ニュース映像だよ!しかしなんだこいつは?我々が使っていた

    『カーディアン』と雰囲気がよく似ているが・・・」

夏 美「どういう事?あたくし達カーディアンを召喚したままほったらかしにした

    覚えはないし、カーディアンの他にこんな事をするのがいますの?」

魔界樹「・・・どうやらこの星が新たな危機を迎えようとしているようだな。」

夏 美「え?」

魔界樹「この怪物、カーディアンとは別の種族だな。

    私が見たところによると、今まで街のどこかに身を隠し

    機会を狙っていたらしい。そして襲われた人々が

    衰弱したのは、生命エナジーを奪われたからだ。

    奴は奪ったエナジーを何かに使おうと企んでいる。」

星十郎「カーディアン以外にもそんな怪物が・・・」

魔界樹「・・・あの怪物の事は、うさぎ達がよく知ってるかもしれん。」

夏 美「月野さん達が?・・・まさかあの怪物さんとお仲間・・・」

星十郎「いやそれは無いだろ」

夏 美「ちょっと思ってみたりしただけよ!」

 

魔界樹「よし。・・・アン、お前に特別な力を授けよう。」

夏 美「は?特別な力??あたくしに?」

魔界樹「あの怪物はうさぎ達、セーラー戦士にとって倒すべき敵。

    お前はこれから与えられる力を使い、セーラー戦士の手助けをするのだ。」

夏 美「な・・・なんであたくしがそんな事を・・・」

魔界樹「お前もうさぎ達には命と心を救ってもらった恩があるだろう。

    せめてもの恩返しをしなさい。」

夏 美「めんどくさいですわ」

魔界樹「・・・・・エナジー抜きにしますよ」

夏 美「わかりました!喜んでやらせていただきます!!」

魔界樹「お前は本当に素直だねぇ〜」

星十郎(き、脅迫・・・魔界樹、あなたはやはり中身まで変わってしまったのでは・・・)

夏 美(キィ〜!覚えときなさいよこのヘンテコ植物が!!)

 

 

魔界樹「ではアン、まずは元の姿に戻りなさい。」

夏 美「はいはい・・・」

夏美は変身能力を解いて本来のアンの姿になった。

魔界樹「では次に『宝玉種』を取り外しなさい。」

ア ン「宝玉種??・・・なんですのそれ?」

魔界樹「お前の胸についてるそれだよ。」

魔界樹はアンの胸にある青い宝石を芽でさした。

ア ン「これ?宝玉種っていうのね・・・初めて知った。」

アンは宝玉種を取り外し、魔界樹に見せる。

魔界樹「よし。それではこの宝玉種に私のエナジーを注入しよう!それ!」

魔界樹の放つ光が宝玉種に吸い込まれていく。やがて宝玉種は激しく輝きだした。

ア ン「!? な、なにが起きましたの?」

魔界樹「これでよし。では宝玉種を手に持ったまま夏美の姿になりなさい。」

ア ン「もう、忙しいわね・・・・・はい、銀河夏美になりましたわよ」

魔界樹「宝玉種を胸に当てて、『エクストラ・テレストリアルパワーメイクアップ』と

    叫ぶのだ。噛まずに早口でね。」

夏 美「そ・・・その掛け声は、まさか・・・わ、わかりましたわ・・・」

 

 

      「エクストラ・テレストリアルパワー!メーイク、アァーップ!!」

 

 

夏美が叫ぶと胸の宝玉種から光が放たれ、夏美の身体を包みこんだ。

やがて輝きが落ち着くとそこには・・・・

 

 

星十郎「ア、アン!そ、その姿は!!」

夏 美「え?・・・あー!?こ、これって、やっぱり・・・」

魔界樹「これでお前は新しいセーラー戦士。セーラームーン達の仲間だ。

    まだ非公認だがな。」

夏 美「はぁー・・・」

夏美は部屋の鏡で変身した姿をじっと見つめている。というよりも見惚れてるようだ。

星十郎「アン・・・なんだか嬉しそうだな。憧れてたのか?」

夏 美「! べ、別にそんな事!ただ驚いてるだけ!」

魔界樹「そのセーラー戦士の姿の間は、普段のアンの姿の時よりも

    超能力が何倍にもパワーアップしておるぞ」

夏 美「へぇ、あまり実感が無いけど・・・ねぇところでこの姿での名前は?セーラー何々?」

魔界樹「セーラーエネミー」

夏 美「・・・エネミー?」

星十郎「英語で『敵』という意味だが・・・」

魔界樹「かつて私達はセーラー戦士の敵であり、幾度も傷つけ苦しめてきた。

    その罪を忘れないための名だよ・・・」

夏 美「・・・あんまり納得いかない名前と由来だけど・・・

    とにかく行ってきますわ!あの怪物めを懲らしめてさしあげましょう!」

魔界樹「セーラームーン達もニュースを見て現場に向かっているだろう。

    共に協力するのだよ」

夏 美「このあたくしに任せてちょうだい!さぁ!行きますわよぉ〜!」

 

夏美は颯爽とマンションを飛び出していった。それを見送る星十郎と魔界樹。

星十郎「なんだかアンの奴、ノリノリだったな・・・やっぱり実はセーラー戦士の格好に

    憧れていたんじゃ・・・・・」

魔界樹「そうかもなぁ・・・平和を守って過去の過ちを償うのと一緒に、

    これを機にうさぎ達との距離を縮めてより仲良くなってくれればいいが・・・

    少しばかり不安だのぅ・・・・・果たしてどうなることか」

星十郎「・・・正直に言うと、私も同感だ・・・。」

 

 

逃げ惑う街の人々、響き渡る悲鳴、そして暴れる怪人。

その怪人の前に立ちはだかるは5人の少女。

 

美奈子「いくわよみんな!」

他4人「OK!」

 

うさぎ「ムーンクリスタルパワー!」

亜 美「マーキュリーパワー!」

レ イ「マーズパワー!」

まこと「ジュピターパワー!」

美奈子「ヴィーナスパワー!」

 

          「「「「「メーイク、アァーップ!!!!!」」」」」

 

5人の少女は美しい光に包まれると瞬く間に姿を変えた。

愛と正義を守るセーラー服美少女戦士の5人である。

 

怪 人「ザンザンザザン!!やはり現れたなセーラー戦士共!」

ヴィーナス「アンタ、ダークキングダムの妖魔ね!?」

怪 人「ザンザンザザン!その通りだ!俺の名は妖魔ザントー!

    ダークキングダムの生き残りさ!」

ジュピター「まだ妖魔が残ってたとは・・・何が目的で

      今更暴れてるんだい?」

ザントー「知れた事よ!お前達を倒し、ダークキングダムを復活させるのだ!」

マーキュリー「・・・もうクインベリルもメタリアも滅びたのよ。

       ダークキングダムを甦らせるなんて不可能なハズよ。」

ザントー「それはどうかな?俺が今人間共から集めた大量のエナジーを

     地獄の世界に放出させれば、空間に巨大な次元の穴が開き、

     そこからメタリア様とベリル様が降臨されるのだ!」

マーズ「な!なんですってぇ!?そんな話聞いてないわよ!」

ザントー「そしてこの世界を再び支配するのだ!その前にセーラー戦士!

     お前達はこの俺が倒す!お前達によって殺された仲間達の仇!

     必ず討ってみせる!!」

ムーン「悪者妖魔の分際で漫画の主人公みたいな台詞を吐くんじゃない!

 

    クインベリルとメタリアを復活させて、またこの世界を

    おびやかそうだなんて、絶対に許さない!

 

    愛と正義の、セーラー服美少女戦士!セーラームーン!!

 

    月に替わって、おしおきよッ!!」

ザントー「おぅ!どこからでもかかってこい!

     俺のザンバラ刀二刀流でまとめて真っ二つにしてやる!!」

妖魔ザントーは二本の鋭い剣を取り出し、身構える。セーラー戦士達の方も

ファイティングポーズをとり臨戦態勢に・・・と、その時

 

????「オ〜ッホッホッホッホッホ〜!お待ちなさい!!」

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突然聞こえてきた馬鹿笑い・・・いや高飛車笑いに驚き、辺りを見回す一同

ザントー「ザンザ!?だ、誰だ!?」

マーズ「・・・ねぇ、今の声、なんか聞き覚えがない?」

マーキュリー「え・・・えぇ。」

ジュピター「・・・あのバカ丸出しの笑い声は虫唾が走るよ・・・」

ヴィーナス「まさか助けに来たのかしら?別にピンチにはなってないのに。」

ムーン「え?なになに?なにがどしたの?(キョロキョロ)」

ザントー「えぇい!どこだ、姿を現せ!!」

????「ここですわ!」

声がした方を見上げるザンドー。ビルの屋上に誰かが立っている

そいつは自分の宿敵であるセーラー戦士とそっくりな格好をしていた

ザントー「ザンザンザザン!お前は何者だ!」

 

????「悪の陰謀渦巻く、この十番街に降り立った一筋の流れ星!

 

     セーラー服美少女戦士!!

 

     セーラーエネミー!!!

 

     ブラックホールに替わって、おしおきですわよッ!!」

 

ザントー「セーラーエネミーだとぉ!?こいつら以外にも

     セーラー戦士がいたのかぁ!?」

マーズ「あ、あれはやっぱり夏美ちゃ・・・アンだわ・・・」

ジュピター「いや、っていうかあいつ、なんであんな恰好してんだよ!?」

マーキュリー「それに、セーラーエネミーって・・・」

ヴィーナス「敵なのか味方なのかどっちなのよ・・・」

ムーン「えぇ〜!?セーラーエネミー!!

    すっご〜い!まだ他にも仲間がいたんだぁ〜!

    でも一体誰なんだろ?」

マーズ「・・・アンタ、ホントに気づいてないワケ?」

 

エネミー「さぁ得体の知れない怪人さん!覚悟はよろしくて?」

ザントー「俺はダークキングダムの妖魔ザントーだ!何人敵がいようと

     俺は負け・・・ありゃ?どこへ行った?」

セーラーエネミーが立っていた場所にはもう誰もいなくなっていた

エネミー「ここよ、コ・コ!」

消えたエネミーはザントーの真後ろに立っていた。驚いたザントーは飛び退く

ザントー「うはぁ!?い、いつの間に!?」

エネミー「それにしてもダークキングダムに妖魔?聞いた事無い名称ですわね。

     まぁいずれにしても、あなたはこのあたくし一人に成敗される運命よ。

     さぁ、このあたくしが民衆に目立つ為にも大人しくやられなさい!」

ジュピター「一人?目立つだぁ?おい!何を勝手に・・・」

ムーン「セーラーエネミー!一緒に戦いましょ!」

マーキュリー「セ、セーラームーン・・・(汗」

ムーンは目を輝かせながら、エネミーに握手を求めた。

しかしエネミーは彼女の手を冷たく払いのける

ムーン「え・・・」

エネミー「あいにくですけれど、あたくしはあなた方と連携する気は

     ございませんことよ。あたくしの引き立て役になってくださるのなら

     考えてあげてもよろしいけれど・・・ウフフ」

マーズ「(カチンッ)」

ヴィーナス「(ムカッ!)」

ジュピター「て、てめぇ・・・どうやってセーラー戦士になったのか知らないけど、

      調子にのってんじゃないよ!!名前通りお前はあたし達の敵だな!?」

ムーン「おお落ち着いてよぉジュピターちゃ〜ん

    (・・・あれ?ジュピターはこのコの正体知ってんの?)」

エネミー「オホホホホ!怒りん坊の牝牛さんはよくモーモー鳴き喚きますことッ」

ジュピター「ぬぬぬぬぬぅあんだとぉおおおおおお!?!?」

ムーン「じじじじじジュピタァ〜!

    (そんな事考えてる場合じゃな〜い!)」

マーキュリー「・・・あなたは味方なの?それとも敵?はっきりしてもらえないかしら?」

エネミー「・・・そちらの判断にお任せしますわ。味方だと思えば味方。

     敵だと思うのならどうぞご勝手に。ただあたくしはあたくしの好きなように

     やらせていただきますわよ。フンッ」

ムーン「そんなぁ・・・」

 

セーラー戦士とセーラーエネミーの泥沼のやり取りを妖魔ザントーは茫然と眺めていた

ザントー(何故もめてるんだこいつらは?仲間割れか?

     ならば今が隙をつく、一網打尽のチャンス!!)

ザントーはセーラー戦士に向かって斬りかかる。

しかしセーラーエネミーはその瞬間を見逃していなかった

エネミー「甘い甘ぁい!セーラーアトミックヒップ!!」

そう叫ぶとエネミーは腰をフルスイング。そして勢いのついたエネミーの尻が

ザントーの顔面に直撃した。その勢いのままにザントーは吹っ飛ばされる

ザントー「ぶあああああああ!!?」

 

 ズガアアアアァァァァァァァァァァァァァン!!!

 

はり飛ばされたザントーは街の宝石店の壁を突き抜けた

ヴィーナス「な、なんて品のない攻撃・・・だけどすごい威力だわ!」

マーキュリー「流石にアンが変身しただけの事はあるわね」

マーズ「感心してる場合?お店壊しちゃったわよ彼女・・・」

攻撃がきまったエネミーの調子づきは更に拍車がかかる

エネミー「オ〜ホホホホホホホホホホホホホホ!!!

     あたくしに奇襲をかけようなどとは愚かな!

     さぁ一気に畳み掛けますわよ!必殺!!

 

     グリーンブロンズエンブレム!!!!」

 

ザントーが埋もれていると思しき瓦礫に向かって、エネミーは

手のひらから強力な衝撃波を放った!

 

 ドゴォォォォォォォォォォオオオオオオオン!!!!

 

衝撃波は宝石店ごとザントーを襲った。店の商品であろう指輪や首飾りが

無残に飛び散っていく。それでもエネミーは手を緩めなかった

エネミー「まだまだ!くたばっておしまい!!オ〜ホホホホ!!!」

セーラーエネミーはさらに衝撃波を連続で撃ち続ける。宝石店があるオフィスビルは

崩壊し、土煙を上げながらあっという間に瓦礫の山と化した・・・

 

ムーン「あわわわわ・・・やや、やりすぎ・・・(ガタガタ)」

マーズ「完全に破壊しちゃった・・・」

ジュピター「・・・ヤバいってレベルじゃないよこれ・・・」

ヴィーナス「妖魔よりはるかに質が悪いわ・・・」

セーラー戦士達は顔面蒼白になっていた。この凄惨な光景にただ立ち尽くすしかなかった

一方敵を倒したと思い込んだセーラーエネミーは再び高笑いを上げる

エネミー「おぉ〜ほほほほほほほほほほほほほ〜!!!!!

     やりましたわ!悪さを働く妖魔さんとやらはこのセーラーエネミーが

     倒しましたわよ!えぇ〜ご町内の皆様!これからもこの

     美少女戦士セーラーエネミーをどうぞよろしく!なにか事件があれば

     すぐに駆けつけますわよ!このあたくしにおっまかせなさ〜い!

     お〜ほほほほほほほほほほほ!!!!」

まるで選挙カーのウグイス嬢の如く、十番町の市民に自己紹介をするエネミー。

しかし人々は遠巻きになりながら、野蛮人を見る目を彼女に向けていた

そんな冷たい視線と、瓦礫を見つめ立ち尽くすばかりのセーラー戦士達を尻目に

エネミー「さて、と、あたくしも帰るといたしましょうか。皆様ごきげんよう〜」

そう言い残してその場から立ち去ろうと・・・したその時

-7ページ-

ザントー「・・・ま、まてぃ・・・」

ムーン「!?」

エネミー「!!?」

瓦礫の山から妖魔ザントーがよろっと這い上がってきた!

ザントー「ザ、ザンザンザザン・・・ゆ・・・許さんぞ!

     ダークキングダムの生き残りであるこの俺をコケにしやがって!!

     生きては帰さん!!俺の奥義を受けてみろぉ!!!」

ザントーは二つの剣を持った手を左右水平に上げ、両足を垂直にして構えると、

両足のつま先を軸に高速回転をはじめた。ザントーの周囲に強風が巻き起こり、

ザントーはその風を回転に取り込みやがて小さな竜巻と化して

セーラーエネミーめがけ、突進を開始した

ザントー「いくぞ!必殺タイフーンブレード!!」

エネミー「あらあらまだやる気?身の程知らずな・・・」

ジュピター「ぼけっとすんな!」

エネミー「きゃ!?ちょっとなにすんのよ!」

セーラーエネミーを突き飛ばして躍り出たジュピターは必殺技の構えをとった

ジュピター「シュープリームサンダー・ドラゴン!!」

ジュピターから放たれた激しい雷がザントーめがけて空を走る。

しかし雷はザントーを包む竜巻に衝突すると、弾き飛ばされジュピターに戻ってきた!

ジュピター「げっ!跳ね返した!?くっ!!」

咄嗟に雷をかわすジュピター。しかしその後ろには・・・

エネミー「え?」

 

跳ね返されたシュープリームサンダー・ドラゴンはセーラーエネミーに直撃した!

 

エネミー「あびばげばごばげぎじげらごげまびげれび!!!!!」

 

マーズ「一筋縄じゃいかないようね!なら一斉攻撃よ!

    ファイヤーソウル・バード!!」

マーキュリー「シャボンスプレー・フリージング!!」

ヴィーナス「クレッセントビーム・シャワー!!」

ムーン「ムーンティアラ・アクション!!」

 

セーラー戦士達はそれぞれの必殺技をザントーの竜巻にお見舞いした。

だがやはり全て跳ね返されてしまう。

マーキュリー「皆!よけて!!」

サッと飛びのくセーラー戦士達。そしてその先にはやはり・・・

 

ファイヤーソウル・バード命中。

エネミー「あじぃー!!!あちゃあちあぢゃあじあじあぢぃいいい!!!!」

 

シャボンスプレー・フリージング命中。

エネミー「がちがちがちがちがち・・・・・ちちちちちべたいぃいぃぃぃい」

 

クレッセントビーム・シャワー命中。

エネミー「いいい痛い!痛い!痛い!!痛い!!!痛い!!!痛い!!!!」

 

ムーンティアラ・アクション命中。

エネミー「いったぁあああい〜!!!!」

 

ザントー「無駄だ!俺のタイフーンブレードが巻き起こす竜巻は

     強力な反射バーリアでもあるのだ!さぁお前達みんな

     バラバラに切り刻んでやる!!」

 

ザントーは突進に加速をつけ、セーラー戦士に迫りくる

マーキュリー「セーラームーン!こうなったらムーンプリンセス・ハレーションで

       一気に浄化させるしか手はないわ!」

ムーン「わ、わかった!」

セーラームーンは、実の母クイーンセレニティから託されたキューティムーンロッドを

取り出すと、決め技を繰り出す態勢に入る

ムーン「いくわよ最後の妖魔!・・・ムーンプリンセス・・・」

 

 

 

????「・・・お待ちッ」

 

ドスのきいた低い声が辺りに響いた

そのおぞましい声にザントーも思わず動きを止めてしまった

ムーン「な・・・なに?背後から物凄い殺気が・・・」

セーラームーン達が恐る恐る振り返ると、そこには跳ね返された必殺技を

全て浴びてボロボロになったセーラーエネミーが立っていた。

全身から怒りと憎しみのオーラをまき散らしながら・・・

 

エネミー「あなた達・・・よくもあたくしをこんな目に遭わせましたわね」

セーラー戦士「!?」

ザントー「!?!?」

エネミーの肌の色が変わっていく。彼女の色白だった肌は薄い緑色になってしまった

 

エネミー「この屈辱・・・この痛み・・・・・」

今度は髪の毛が伸びはじめた。最初は夏美ぐらいの肩まで伸びていた髪が、

アンと同じぐらいの尻の辺りまで・・・

 

エネミー「はらさずにおけるものか・・・・・」

両耳が変形をはじめた。丸みを帯びた普通の人間の耳が、悪魔のような尖った三角耳に

 

エネミー「この下等動物共!!!逃がさないわよ覚悟おしッ!!!!」

ついには夏美寄りだったセーラーエネミーの顔が完全にアンに変わった(口の中も緑色)

セーラー戦士のコスプレをした、怒り狂う宇宙のさすらい貴族になったのだった

 

 

「うわーんあのおばさんようかいみたいになってきもちわるいよぉー」

 

遠巻きで見ていた一般市民の集団の中から子供の怯え泣く声が聞こえた

エネミー「!!!」

声のした方向へ目をやった瞬間エネミーは目からレーザーを発射。

 

ド カ ア ア ア ア ア ア ン ! ! !

 

一般市民達はまとめて吹っ飛ばされた

市 民「ギャひー!!!!」

ムーン「いぃ!?」

ジュピター「あ、あいつ、何の罪もない人達を・・・!!」

ザントー「ななななななんであいつ人間を攻撃してんだよ・・・!?」

 

エネミー「許さない・・・あたくしを馬鹿にする者は、誰であろうと・・・!!」

セーラーエネミーの鋭い視線がザントーに向けられた

ザントー「ひぃっ!?」

エネミー「まずはお前からだ・・・・・」

次の瞬間衝撃波が放たれた。先ほどとは比べ物にならない威力。

ザントーが今まで立ったいた場所には巨大なクレーターが出来ていた

エネミー「いない!どこへ逃げたぁあああ!!!・・・!」

彼女が偶然向けた視線の先には、身の危険を感じ腰が抜けながらも、

なんとかその場から必死で逃げようとするザントーの姿があった

セーラーエネミーは大きくジャンプすると、ザントーの前に着地した

ザントー「うわああああ!!!」

妖魔ザントーは悲鳴を上げた。涙目になりガタガタ震えている

目の前で凶悪な破壊魔が仁王立ちし、こちらを睨みつけているのだから無理もない・・・

ザントーは土下座し、ひたすら頭をペコペコ下げて命乞いをはじめた

 

ザントー「ごめんなさい!ごめんなさい!!もう悪い事など二度といたしません!

     人間様にももうちょっかいは出しません!!

     どうか命ばかりは助けてくださぁいぃ〜!!!!」

エネミー「・・・・・」

ザントー「〜あああああああじじじ実は集めたエナジーを使って

     メタリア様とベリル様を復活させるというのはああああああれは

     嘘なんです!私の口から出まかせだったんです!!!

     私にそんな絵空事みたいな芸当をやってのける力なんてないんです!!!

     本当はただ人間のエナジーを目いっぱい食べたかっただけなんですぅうううう!!」

エネミー「・・・」

ザントー「許してください!許してくださいぃい!!!」

 

必死に許しを請うザントーを見て、エネミーはにっこりと微笑んだ

ザントー「はっ!!ゆ、許してくださるんで!?あ、あ、ありが・・・」

 

が、次の瞬間、微笑みは般若の如き形相に変貌した

 

エネミー「ッ問答無用!!!

 

     かわいさ あまって 憎さ 百万倍!!!!

 

       エネミーヒステリー・ビックバァアアアアアアアアン!!!!!」

 

ザントー「あ・・ぱ・・・・・」

 

それが妖魔ザントーの遺言となった。セーラーエネミーを中心に

超強力なエナジーのバリアが広がりはじめ、巻き込まれたザントーは

一瞬で光の中に消え去った

ジュピター「危ない!逃げろー!!!!」

セーラー戦士と市民達はその場から慌てて避難をはじめた

 

 

ど ご お お お お お お お お お お お お お お お お お ・・・・・

-8ページ-

バリアは大爆発を起こし消滅した・・・

 

そして爆発に巻き込まれた十番街の一部は廃墟と化した・・・

 

廃墟となった街をただ見つめるばかりのセーラー戦士5人・・・

 

マーズ「・・・どうすんの?これ・・・」

マーキュリー「どうするっていわれても・・・」

ジュピター「・・・やっぱり・・・これは・・・」

ムーン「・・・逃げた方がいんでない?」

ヴィーナス「そ、そうしましょそうしましょ!あの謎のセーラー戦士と

      私達は何の繋がりもない赤の他人!!

      ・・・とゆ〜わけでぇ・・・」

 

        「「「「「さいならぁあああああああ〜!!!!」」」」」

 

5人は全速力でその場から逃げ去るのだった・・・

 

全てが終わった廃墟の中にただ一人たたずむセーラーエネミー

しかし元に戻ったその顔には、もはや怒りの感情は窺えず、

むしろ吹っ切れた様子である

 

エネミー「んんんん〜あぁ〜!スッキリしたぁ!!

 

     悪者退治ってこんなにやりがいのあるお仕事でしたのねぇ!

     それにあたくしは今やセーラー戦士の一員!

     これからがますます楽しみですわ!!

 

     ・・・ところであたくしさっきまで何してたのかしら?

     セーラームーン達の攻撃が跳ね返されたとこまでは

     なんとなく覚えてるんだけど・・・う〜ん、どうも

     この辺だけはスッキリしませんわ。ただなにか我を

     忘れていたような・・・

 

     あの妖魔ザントーとかいう悪者はいつの間にか

     やっつけちゃったみたいだし・・・・・

     

     あたくしもしかしたら最強のセーラー戦士だったりして!?

     お〜ほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ!!!!!

 

     ・・・月野さん達はもう帰ってしまわれたみたいね・・・

     あたくしに礼も言わずにしかも置いていくなんて

     薄情な方々ですわ!ま、所詮あの方達との友情なんてものは

     この程度という事かしらね・・・はぁ〜・・・

 

     それにしてもなんで街がメチャクチャになってるのかしら・・・?

 

     ・・・まぁいいわ!早く帰ってエイルと魔界樹にこの事を報告しよぉっと!」

 

意気揚々と引き揚げようとした時、何かがセーラーエネミーを取り囲んだ。

それは十番街の一般市民達だった。皆一様に険しい顔をしている・・・

 

エネミー「あら?皆様何の御用かしら?あたくし疲れたので今日は帰らせていただき

     ますの。サインならまた後日都合のつく時にお願いできますかしら」

市民A「・・・なにがサインだ・・・」

市民B「・・・よくも俺達の街をメチャクチャにしやがって!!」

 

 

エネミー「は?」

市民C「この野郎!!やっちまえ!!!」

暴徒化した市民達は一斉にセーラーエネミーに襲い掛かった!

 

市民D「お前の攻撃に巻き込まれて怪我したんだぞ!慰謝料払え!!」

市民E「店と宝石の弁償をしろぉ!!」

市民F「壊れた道路と施設の修理費がいくらすると思ってんだぁ!!!」

市民G「よくも私のかわいい子供を巻き込んだわね!!!」

 

エネミー「いやあああああ!?なんのマネですの!?

     や、やめ!やめそんな乱暴なこと・・・あぁ〜れぇえ〜〜!!!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

夕焼けが沈む真っ赤な空。その夕焼けを背に受け一人帰路につくひとつの影。

ズダボロにされ杖代わりの棒をつきながら、這う這うの体でよろよろ歩くあられもない姿。

一般市民の手からなんとか逃げ延びたセーラーエネミーこと銀河夏美である

 

 

エネミー「・・・い、意味がわかりませんわ・・・あ、あたくしは人助けをしたのよ、

     なのに民衆は礼を言うどころか、何故あたくしをこんな目に・・・・・

     おかしい・・・何かがおかしい・・・絶対間違ってるわ・・・・・

     

     こんな結果納得がいきませんわぁあああああああああああああ〜〜〜!!!!!」

 

空に向かって涙を流しながら絶叫する一人の女を見つめる二つの

存在があった。心配で陰から事の成り行きを見守っていたエイルと魔界樹だ

 

魔界樹「あぁ〜・・・やっぱりこんな事になってしまったか・・・

    嫌な予感はしていたが・・・全くしょうのない奴じゃな、アンは。

    この先果たしてどうなる事か・・・心配でならんッ」

エイル「・・・魔界樹、こうなったのはあなたにも責任があると思いますが・・・」

魔界樹「あっ、やっぱ・・・?(汗」

 

 

 

こうして新たなセーラー戦士、セーラーエネミーが誕生した(迷惑な!)

 

セーラーエネミーはこれからどんな活躍を見せてくれるのだろうか(見せんでもいいッ)

 

彼女の戦いは始まったばかり!ゆけ!がんばれ!セーラーエネミー!!(おだてるなぁ)

 

 

 

 

 

夏 美「・・・いかがだったかしら?変身したあたくしの華麗な活躍。

    まぁ正直に申し上げると、あたくしはオチが気に入りませんけれども・・・

 

    また皆様にお会いできる時を楽しみにしていますわ。

    え?もう会いたくない?そんな事言う人はエナジーを吸い取っちゃいますわよ♪

 

    それでは最後に・・・あたくしが歌う歌を聴いてください!

    石田よう子さんが歌った、セーラームーンRのEDテーマ、乙女のポリシー!

 

      ぉ〜     チ   絶対  ら  いぃ〜  よ、 れ

    ♪ど  ん  ピン の    あき め        そ     」

         な、    時も      な   そぉ    が・・・

 

うさぎ「だぁあ〜!!オンチな歌はやめなさぁい!!石田さんに失礼でしょうが!」

夏 美「げ!月野さん、いつの間に縄を・・・ほ、ほほほほ!今日はここで

    あたくしおいとまさせていただきますわ!それではごきげんよぉ〜!

    お〜ほほほほほほ!!!」ぴゅい〜ん!・・・

うさぎ「あ!ホント逃げ足が速いんだからぁ・・・もう!

 

    あっ、いけない!えぇ〜と・・・

 

    最後まで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます!

    もしも続編が出来た時は、その時もどうかよろしくお願いします・・・って、

    これ書いた人が言ってました。

 

    それでは本当にありがとうございました!バイバァイ!」

 

                                   おわり・・・?

説明
今からちょうど20年前の1993年3月6日午後7時、美少女戦士セーラームーンRの魔界樹編第1話が放送されました。祝・セラムンR&エイルとアン生誕20周年の記念として今回この作品を投稿しました。普通のセラムン好きの方は今日はみちるさんのバースデイをお祝いするかと思いますが、僕の場合は彼らの方をお祝いします。エイル!アン!20周年おめでとう!(とは言っても、このお話ではアンばかりが目立ってますが・・・エイルファンの方すいません)二次創作のギャグ作品です。ちなみにこの作品は『もしもエイルとアンが宇宙へ旅立たず、地球に留まっていたら』という、いわゆるIF設定になっています。他にも自分の勝手な解釈によるオリジナルの設定がいくつかあり、更にアンが少し品の無いおバカキャラになってしまってますが(アン好きの人もごめんなさい!)予めご了承下さい。/※今年の夏にアニメ版セーラームーンの最新作が公開されるそうで、どんな内容になるのかがとても楽しみです。エイルとアンも出てきたらな・・・とありもしない事を考えながら公開の時を待つ今日この頃です。(2013年3月6日午後7時)
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