十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出! 第5話 ヤマタノオロチとウリノナカマロ
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(ボカロ界ロビー)

 

 仲間も随分揃った物である。

 

 海斗一行は、次の巳年の扉の前に立っていた。

 

ミク:次は巳年、つまり、蛇の扉ミク。守護者は確か3人ミク

海斗:なんか、だんだん1つ当たりの守護者の数が増えていますね

リン:所々で2人とか3人とかになっているだけで、ずっとじゃないみたいです

めぐみ:まぁ相手が3人でもこれだけこちら側のメンツがいれば、問題にはならないと思うピョン

メイコ:それにこっち、強いしね

レン:では入りましょうか

 

 こうして一行は、5:00の位置にある“蛇の扉”を開けて中に入った。

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(蛇の部屋)

 

 ガッチャ!

 

海斗:またコノ電子音か。そういえば、ここもシミュレーションRPG風とか言っていたな・・・

 

レン:おーい! 辰年のレンだ! 挑戦者はうちらの所も突破した! 次はお前らの番だぞ〜!

 

 辰年の時と同じように、床に升目が描かれた部屋で、奥には何故かちゃぶ台が置かれていた。そしてちゃぶ台の中央には酒瓶があり、周りを女性3人が囲んでいた。解った理由は、上にあった“スポットライト”が、そのちゃぶ台を照らしていたからである。

 

ハク:ひっくっ〜、あら、もう来たんれすか? ヒック

ネル:随分早いな。もっと苦戦していると思ったのに…

テト:ヽ(o・ω・o)ノ

 

海斗:あの・・・・ここの守護者達ですよ・・・ね?

ハク:ひっく、そうだよ〜。ここは巳年で蛇の部屋、まぁ、蛇って事で、大酒飲みの“うわばみの部屋”って呼ばれているけどね、ヒック

ネル:だから暇な時間は、このちゃぶ台を囲んで酒盛りしているんだ

テト:\(´∀`)丿

 

メイコ:酒盛りはいいんだけど・・・

ルカ:な、なんか・・・

めぐみ:調子狂うピョン・・・

 

リン:とりあえず、辰年の私たちが負けちゃったから、今度はあんたらの番なのよ

レン:俺達も仲間入りしたから、コッチのパーティはかなり手強いよ

 

ハク:う〜ん、ひっく、どうしようか?

ネル:今、盛り上がっている所なんだよね〜。ハクのコイバナで

ハク:いや、ネルの工作話でしょ?

ネル:別にいいじゃん、なんでも。で、テトは?

テト:(´〜`)

ネル:あんまり、乗り気じゃないようね

ハク:んじゃ、あの手で行きましょうか

 

 ハクは、よいしょっと起きあがり、なにやら部屋の奥から“小さいフィギュア”を取り出して、近くの升目に置くと、呪文を唱えた。

 

ハク:う〜い。んじゃ、いでよ! 召還獣“ヤマタノオロチ”!!!!

 

 なんと、その声に呼応するように、緑色で8つの頭を持つ“大蛇”のフィギュアが巨大化し、升目4×4個分の大きさになり、大きく吼えた!

 

ヤマタノオロチ:ぐぉぉおぉぉおおお!!!!!

 

ハク:これ、酒盛りしている時に挑戦者が来たとき用の“私たちの代用召還獣”。同じ“蛇”=“うわばみ”繋がりで使ってるのよ

ネル:とりあえずコイツ倒せたら、宝玉渡して、私たちも酒盛りやめて、あんたらに付いていくよ

ハク:私たちとの直接戦闘なら勝った人いるけど、コイツの場合、誰も勝ったことがないからね

ネル:まぁ、こいつと闘うことになった挑戦者は、運が悪かった、と思って諦めてちょ

ハク:とりあえず、私たちの部屋は“運を試される”部屋でもあると思ってよ

ネル:んじゃ、頑張ってね。さーて、酒盛りの続きだ!

テト:ヽ(゚∀゚ )ノ

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ミク:ミク〜

海斗:な、なんちゅーテキトウな・・・・・

メイコ:・・・いいじゃないの、こいつ、ぶっ倒したら、宝玉くれて仲間にもなる、って約束したんだから、そうしてあげようじゃないの

ミク:ミク〜、メイコさんが怖いミク

めぐみ:とりあえずそうするピョンか。じゃあ、各自ジョブを発動させて、定位置に付いて、バトル開始ピョン

 

リン&レン:あ、私たちのジョブの説明を表示しておきますね

 

 リンとレンが升目の上に立つと、光に包まれ、輝きが終わると、小型のドラゴンに跨った軽装姿の二人に代わっていた。そして、その上にステータス表示がされた! 二人とも同じだった

 

 リンとレンのジョブは「ドラゴンナイト」。黄色と黒の軽装鎧を着ており、金色の小型ドラゴンに跨っており、ショートスピアーを持っていた。HP500、攻撃270、防御120、魔力50、素早さ100、運60。発動スキルは、ドラゴンブレス(前方3列へ火炎ブレスを吐く。乗っているドラゴンの攻撃)、大旋風(広範囲へ物理攻撃。搭乗者の攻撃)、回復(二人一緒に回復)、強化(1ターンだけ二人ともステータス2倍)。まさに、龍の部屋で闘ったドラゴンの攻撃を強化したものだった。

 

めぐみ:二人ともさすが、強かったピョンね。んじゃ、始めるピョン

 

ヒーゲ:こっそり私も来ましたよ! それでは! ウワバミファンタジータクティクスぅぅぅぅ、レディィィゴォォ!!!!

海斗:毎回違う名前なんだな

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 ピロピロピロピロ・・・・

 

 とにかく戦闘は始まった。さすがにジョブチェンジして強くなっているので、あんまりフォーメーションとか気にせず、参謀のめぐみをスタート地点に残しているのを除けば、ある程度固まった感じで、いきなり総攻撃していった。かたや、ヤマタノオロチの方は、ボスらしく動かずに、じっと彼らを見つめていた。ターン毎に行う行動も、強化とかせず、そのままターン終了していた。

 

めぐみ:どうやら今度の敵は、“強化”、とか、遠隔操作攻撃は持っていないようピョンね。攻撃してこないんだから、まだ“射程圏内”でもないピョンね

 

 そうして、3ターンが終了し、海斗達の4ターン目が始まった。

 

ヤマタノオロチ:グルルルル・・・

 

めぐみ:! みんな! ヤマタノオロチに変化が出てきたピョン! 射程圏内らしいピョン!

リン:オーケーよ! 一番近くに来ている私たちから、攻撃に移ります!

レン:いっくぜー! みんな! まずは俺が攻撃して、どれくらいの強度なのか確認してくるよ!

めぐみ:わかったピョン。攻撃力270でどれくらいダメージを与えられるか、ちゃんと確認するピョン

レン:おりゃ! “大旋風”!!!!

 

 ドラゴンライダーの姿のレンが、ショートスピアーを振り回し、ヤマタノオロチに斬りかかった。

 

 ブーン!!!

 

声:オートスキル発動“ラックカウンター”

 

レン:なんだと!!!!!

 

 カーン!!!

 

レン:ぐふぁ!!

 

ヒーゲ:おおおっと! ダメージをお互いの運に応じて跳ね返すスキル“ラックカウンター”が発動!。レンへのダメージ150。レン残りHP350!

 

メイコ:ちょ・・・

海斗:“ラックカウンター”だと!!!

ミク:ずるいミク!

めぐみ:そ、そういうことかピョン! “運試し”って、「ヤマタノオロチと闘う事になる事」だけでなく、「ヤマタノオロチへの攻撃が当たるかどうか」も試される事かピョン!

 

ハク:ぐび! まぁ、そゆこと。なんで、こいつに誰も勝てなかったか、意味わかった?

めぐみ:う・・・・・! ヒーゲ! このスキルの名前と説明、もう一度言ってピョン!

ヒーゲ:? は、はい。「ダメージをお互いの運に応じて跳ね返すスキル“ラックカウンター”」ですが・・・

めぐみ:それとハク! ここの部屋のシステムをちょっと教えるピョン!

ハク:ひっく、いいよ〜

めぐみ:ここの部屋での“行動順”は?

ハク:あ、それはリンレンの所と違って、自由順だよ。さっき一番近いレンが最初に行動できたのは、特に制約がないからだ。まぁでも、“攻撃”を全部して、“回復”をするのが、普通だと思うけどね

めぐみ:それと、「カウンター」の効果は?

ハク:は?

めぐみ:つまり、「カウンター」で飛んできたダメージを攻撃者が受ける確率は?。普通は“絶対避けられない”だと思うけど

ハク:あー、“100%ダメージ”じゃないよ。それは、“お互いの運ステータスの差”。攻撃者の運が高ければ、カウンターされずに攻撃も当たり、カウンターされても飛んできたダメージを受けないで受け流す事ができるよ。ただヤマタノオロチの運ステータス、かなり高いんだけどね

めぐみ:きゅぴーーーん! チャーーーーーンス!

ハク:?

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めぐみ:ここから作戦で動くピョン! ミクはレンを完全回復。レンはもう動けないから1ターン耐えて、1ターン後にそこから大きく離れてピョン!

レン:は、はい

めぐみ:それから海斗以外の全員はそこから緊急避難ピョン! アイツがやってくるだろう“直接攻撃”とか“ブレス”が当たらない遠くに移動ピョンよ!

該当者:わかった

海斗:で、俺は?

めぐみ:対コイツ戦は、“あんたの属性攻撃”、“ミクさんの遠隔回復”、“私の大強化スキル”だけにします!

海斗、ミク:ええええ!!!

 

ハク:ひっくぅ。まーた、随分奇抜な攻撃スタイルにするんですね〜。こいつと闘う事に成った時点で、全員、相当運が悪いと思うけど?

めぐみ:残念でしたピョン。さっきの説明通りなら、当たらない要素の「システムの中での運ステータス」が異常値な海斗は、私の“大強化”で、卑怯なまでの数値に跳ね上がるピョン

ネル:な、なに!

めぐみ:さっきの説明通りなら、大きくこちらに有利な運のステータス差で、カウンターは当たらないピョン。でもそれだけではないピョン。こちらの攻撃が当たる確率が高く、向こうの攻撃が当たる確率が低い、ということも、この法則からわかるピョン

ハク:つ、つまり・・・

めぐみ:つまり、“こちらの攻撃が”当たりまくり”で、“向こうの攻撃は一切当たらない”、状態になるピョン

ネル:そ、そんなの卑怯だ!!!!!

海斗:俺が言うのもなんだけど、あんたらの方がずっと卑怯だと思うぞ。天罰だ

ハク:ぐ・・・・

 

めぐみ:ほんじゃ、総攻撃開始ピョン!

全員:おー!!!!

ハク:や、やめてくれーーーーー!!!!

 

 「海斗とミクとめぐみ以外、全員待避」、「レン回復」、「大強化」、「殲滅→カウンター無し直撃」

 「アイスブレス」(レンダメージ、海斗回避)

 「レン待避」、「レン回復」、「ボルカノ(火炎属性)→カウンター無し弱点属性で直撃」

 「アイスブレス」(ダメージ無し)

 「ボルカノ→カウンター無し弱点属性で直撃」

 

ハク:あ・・・・あああああ

 

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ヤマタノオロチ:うぉぉぉおおおおおおおん!

 

 ズズーーーーーン

 

 ついに難攻不落のヤマタノオロチは沈んでログアウトし、消えてしまった。

 

めぐみ:ハクさん? 酒盛りの方はどうでしたか?

ハク:おかげさまですっかり酔いが醒めました・・・

テト:━━(゚Д゚;)━━━

ネル:か・・・・完敗だ・・・・

 

海斗:さーて、約束だよね。宝玉は?

 

 ハクは渋々、ちゃぶ台の下から袋を出し、蛇の形の宝玉を中から取り出して、海斗に手渡した。

 

海斗:これで6個目か・・・

めぐみ:それと、私たちに協力するのも約束ピョンね

ハク:わかりました・・・お世話になります・・・

ネル:えっと、私たちは全員“召還師”です。袋からフィギュアを取り出して闘わせることができます。詳しくは最速で次の“馬の部屋”で説明します

テト:(^-^)/

 

海斗:さて、この調子で、次の午(馬)の部屋も行ってみるか

メイコ:おっと、強気発言だね!

海斗:こういうイケイケの時は乗るのが定石だ

 

 ということで、ネルハクテトを加えた一行は、引き続き、6:00の位置にある馬の宝玉の守護者がいる“馬の扉”の前まで来た。

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(馬の扉の前)

 

 その扉はなぜか観音開きの扉だった。

 

 ギギーーーー

 

 中は明るく、何故か侍とか忍者がいそうな、和風なたたずまいだった。

 

 パッカラ、パッカラ、パッカラ・・・・

 

 キュウリの馬に乗った紫の侍:そぉい!

海斗:うわ!! 今度はいきなり来たぞ!

学歩:我は、6:00の午(馬)の宝玉の守護者、“学歩”だ! ここへ来たということは、お主ら、挑戦者だな!

海斗:左様でございます・・・

ハク:あれ? いつもの茄子で作った牛の“ナスノヨイチ”はどうしたんですか?

学歩:いや、なに、今回は“馬”繋がりって事だから、対挑戦者用正式乗り物の、キュウリで作った馬“ウリノナカマロ”に乗って来たのだ

海斗:?

ハク:ははは、コッチのことだから。で、私たちも負けちゃって、仲間になってるの。で、対戦なんだけど

学歩:うむ、わかっておる。これから戦だな

海斗:で、ここもシミュレーションRPG風って事になるらしいですが、こんな和風で、やっぱり同じなわけですか?

学歩:そぉい!

海斗:ひっ!

学歩:勿論だとも。そこの飲んべえ3人組の所とは違い、相手は私だけだ。召還もなにもせん。私との“一騎打ち”だ

めぐみ:え? 一騎打ち?

学歩:当然だろうが! 武士たるもの、“一騎打ち”は当然のルール!

海斗:でも、それじゃ、“シミュレーション”でもなんでm

学歩:そぉい!!!!!

海斗:ひっぃ!

学歩:男子たるもの、ぐだぐだ言わない! 今、携帯で電話して、ヒーゲ殿も出張して貰ってきている

ヒーゲ:どうも、また来ました

メイコ:あんたも今回は大変ね

ヒーゲ:それが役ですから

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学歩:では、誰が最初だ! だぶるすきる付きでも何でも構わんぞ!

めぐみ:あ、そうなのピョン。じゃあ、メイコさん、お願いします

メイコ:おっしゃ! こちとら、“瞑想”でステータスアップと回復できるし、ダブルスキルだし、強力物理攻撃だし。1戦目で勝っちゃうよ!

学歩:大きく出るのも時には良いことだ。では、あの“2つしかない升目”の片方に立ちなさい

 

 メイコは本当に2つしかない升目の、海斗達側に立ち、ジョブ“拳聖”を発動させて、武闘家の姿にかわった。学歩ももう片方に立ち、自分のジョブを発動させた。

 

学歩:そぉい!! ジョブ発動“剣聖神”!!

 

 学歩の周りを光が包み、そして光が収まると、剣を数本携えた和風鎧を着た“侍”に代わっていた。

 

メイコ:元々侍姿だから、あんまり代わらないのね

 

学歩:まぁそうだな。で、私もお前達も“互いのステータス”を調べることは出来ない。手合わせで“知って、感じ取れ”!

 

ヒーゲ:では、一騎打ちぃぃぃぃぃ、レディィィゴォォ!!!!

 

 ボーン

 

 何故か今回のゴングは“寺の鐘”だった。

 

メイコ:な、なんか不吉な音なのね・・・・

 

学歩:公平を期すため、最初のターンを決めるのは、これにする

 

 学歩はサイコロと不透明の茶碗を1個取り出した。

 

学歩:ではヒーゲ殿、半丁対決から入る。サイコロを入れて、振ってから反対にして隠し、偶数の丁、奇数の半を当てるゲームをする。頼むぞ

ヒーゲ:解りました。では、宜しいざんすね

 

 コロコロコロ・・・ガバッ!

 

ヒーゲ:では、どちらですか?

学歩:言うのは君たち側からでいい。勝った方が先攻後攻を指定できる

メイコ:燃えるわね〜、こういうの。では・・・・半!

学歩:では私は丁だ

ヒーゲ:出目はどちらでしょうか!?

 

 ガバッ!

 

 「1」

 

ヒーゲ:“1”ということは“奇数”です! つまり「半」!。メイコさんの勝ちです!

メイコ:ほんじゃ、指定するわね。(う〜ん、私の瞑想は1ターンだけステータス2倍だから、相手が後攻で攻撃してくるなら被ダメージも減らせるな・・・)

学歩:どうした? どっちだ?

メイコ:まずは安全策を取って、先行にするわ!

学歩:ほぉ、いきなり攻撃か?

メイコ:さぁ、どうかしらね

ヒーゲ:では、メイコさんのターンです

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メイコ:よっし! ダブルスキルだから2回行動できるよ! まずは“瞑想”!

ヒーゲ:? えっとメイコさんはダメージを受けてないので、HPはそのまま600、ステータスは1ターン2倍です

メイコ:そして、当然だけど、攻撃! オーラアタック!

 

 メイコは学歩に近づき、残像が残る程のパンチラッシュを繰り出した!

 

学歩:先行にしたのは正解だったかもな

 

 ガスガスガス!

 

学歩:うむ。ステータスを2倍にでもしないと、「当たらない」からな

ヒーゲ:えっと・・・・・え?・・・ダメージは1回50で、3回当たりましたから、150です

メイコ:固いわけね

ヒーゲ:いえ、全部で10回繰り出した攻撃が3回しか当たってないんです

メイコ:なに!

ヒーゲ:それで、その・・・学歩さんの残りHPですが・・・4850です

メイコ:え・・・・えーーーーー!!!!!。あんた5000もHP持ってるの!?

学歩:ステータスは戦闘中に知れといったはずだ

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 さすがにこれには、外野のめぐみですら、割り込んできた。

 

めぐみ:ちょっと! これはいくら何でも“反則”ピョンよ! そもそも“一騎打ち”って決めたの、あんたピョンよ! 侍ピョンでしょ! 正々堂々としてないピョンよ!

 

学歩:あー、では、一応弁明のつもりで言って置くが、私は“強化”も“回復”も“ダブルスキル”も持ってない。つまり、私の攻撃を凌ぎきり、ダメージを与え続ければ、必ず勝てる相手だ。これなら、反則的なステータスを持っているのが、むしろ君たちである事くらい、わかるはずでは? “一騎打ち”ルールであっても、君たちの方が有利だと思うが?

めぐみ:う・・・・

 

メイコ:あんた、“戦闘中に知れ“って言った割に、大事なこと教えちゃったわね

学歩:仕方なかろう。こういう面倒な事は早期に解決するべきだと思ったのでね。まぁ、そういう訳だから、HP5000であっても、時間はかかると思うが、頑張れば勝てるはずだ

メイコ:言われなくても勝つわよ!

学歩:ただ、私も当然攻撃するがね

メイコ:来なさいよ!

 

ヒーゲ:学歩さんのターンです

 

学歩:では、いざ参る! 攻撃「阿修羅刹那剣撃乱舞」(あしゅらせつなけんげきらんぶ)!!!!

 

 学歩は、半透明でエネルギーが集約された刀身の剣を持った両腕を無数に見えるほど振り回し、斬撃モーションで攻撃してきた!

 

 ブンブンブンブンブン・・・!!!!

 

メイコ:きゃああああ!!!!!

海斗:メイコ!!!!

 

 メイコは、物理的には斬られてないにも関わらず、多段で入った精神的ショックで、後ろに仰け反ってしりもちを付いてしまった!

 

ヒーゲ:え・・えっと、10回ヒットで、合計400ダメージです。メイコさんの残りHP200。ステータスが元に戻りました。

学歩:10回か。12回全部入ると思ったが、ステータス強化で2回は回避されたか。まぁいい。早く、升目に戻りたまえ。戦闘を続ける

 

メイコ:う・・・・

 

 海斗とめぐみは、たまらず升目からはずれてしまったメイコに近寄った。

 

海斗:メイコ大丈夫か?

メイコ:ぬ・・・だ、大丈夫。直接攻撃を受けるわけじゃない。ショックとダメージ効果と斬られる恐怖に驚いただけ。大丈夫・・・

めぐみ:これ、“精神的ダメージ”も入っているわけね。でも、ダブルスキルで瞑想を持っているあなたなら、必ず勝てるピョン

メイコ:大丈夫。戻るわ

海斗:頑張ってくれ

 

 メイコはよろよろしながらも、升目に戻った。

 

学歩:この部屋の役割は、“精神力を試す”事。柔な存在では、決して勝てないぞ

メイコ:私だって、虎の部屋のボス。コレくらいで!

学歩:そのいきだ

 

メイコ:私の・・・ターン・・・。め、瞑想・・・

 

 ぱぁぁぁ

 

ヒーゲ:メイコさん、瞑想でHP全回復。更にステータス2倍!

メイコ:今度こそ全弾当てる! オーラアタック!!!

 

 メイコは先ほどと同じようにパンチラッシュを繰り出した!

 

 ガスガス!

 

ヒーゲ:えっと・・・・・当たったのは2回。ダメージは1回30で、2回当たりましたから、60です。学歩さんの残りHP4790

メイコ:きょ、恐怖でパンチ力とヒット確率が下がってる・・・

 

学歩:では、私のターンだ。攻撃「地獄巡り串刺し」!!!!

 

 学歩は更に恐怖を与えるかのように、持っているエネルギー刃の剣を、メイコを刃で突くように持ち直し、連続でメイコに突攻撃した!!

 

 グサグサグサグサ!!!!

 

メイコ:きゃ、きゃ、キャアアアアア!!!!!!

 

 再び後ろに仰け反って倒れた。しかし、今度は少し違っていた。

 

ヒーゲ:ちょ・・・えっと、12回全て入りました。1回40で12回なので、ダメージ480。残りHPは120です・・・あれ?

 

 メイコは後ろで倒れたままだった。海斗達が急いで近寄ってきて、メイコを取り囲んだ。

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海斗:メイコ!

めぐみ:メイコさん!

 

 メイコは勿論死んではいなかった。恐怖の連続で“気絶”してしまったのである。

 

ヒーゲ:すみません。プレイヤーが“気絶”してしまった場合、他者から“治療”を受けないとなりません。誰かが私に確認を取ることで、升目上の“ログアウト”と同じ扱いになり、負けとなりますが、それでいいですか?

 

海斗:・・・それでいい。メイコの負けだ

ヒーゲ:わかりました。メイコvs学歩の試合は、学歩の勝ちです! 学歩のHPを5000に戻します

学歩:気絶か。鋭利なモノに耐性がなかったようだな

 

 パァァァ

 

 メイコの姿が元のメイコに戻ったが、気絶したままだった。

 

めぐみ:ミクさん、とにかく治療してあげて!

ミク:ミク! 完全治療!

 

 パァァァ

 

 光がメイコを包み込み、優しい光が体を回った後、光が消えて、メイコは意識を取り戻した。

 

メイコ:う・・・うう

ルカ:メイコさん! 大丈夫ですか!?

メイコ:あ・・・ああ、大丈夫。でも、少しゆっくりさせてくれない?

海斗:ああ、ゆっくりしてくれ。後は俺達で倒す

メイコ:ごめんね。ちょっと負けたショックもあるから・・・

 

 メイコはミクに肩を貸して貰って、海斗側にあった長椅子まで行き、そこに横になって休んでいた。

 

めぐみ:さて、どうするピョンか・・・。アイツ、予想以上に固くて、更にHPも高い。あげくに、即死と同じ扱いの気絶付与の攻撃までしてくるとは・・・想像以上の難敵ピョンよ・・・

海斗:・・・・俺が行く

めぐみ:え!? この戦いは“ダブルスキル”が必須ピョンよ! 私が行くピョン!

海斗:・・・俺を信じてくれ。アイツが言ったセリフにヒントがあったよ

めぐみ:でも・・・

海斗:「当たらなければどうと言うことはない」、それだけだよ

めぐみ:・・・・わかった。あんたを信じるピョンよ

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 海斗はメイコが闘っていた升目に立ち、恐怖の侍の姿でいる学歩を睨み付けた。

 

ヒーゲ:では、一騎打ちぃぃぃぃぃ、レディィィゴォォ!!!!

 

学歩:ほぉ、次は主役が来るか。強気のメイコが気絶してしまうのだ、お前に耐えられるかな?

海斗:メイコのカタキはとる。それとサイコロはいい。お前が順番を指定すればいい

学歩:ほぉ、なら、私が先行だ。剣に斬られる恐怖を味わってとっとと倒れるがいい! 攻撃「阿修羅刹那剣撃乱舞」!!!

 

 スカ

 

学歩:・・・な・・・なんだと????

ヒーゲ:あの、全部回避されました。ダメージ0です

海斗:・・・俺のターンだ。攻撃“殲滅”!!!!

 

 海斗の後ろから出現した“無数の光線”が学歩を貫いていった。

 

 ガスガスガスガスガス!!!!!

 

学歩:ぬぉおおおお!!!

ヒーゲ:ぜ、全弾ヒットです。15回ヒットで、合計ダメージ450! 学歩の残りHP4550!

学歩:な・・・なんなんだ・・・・

 

 テレッテッテッテー!!!

 

海斗:?

 

 青い宝石から顔がまた現れて、海斗だけに聞こえる声で挨拶してきた。

 

青い宝石:おめでとう! 今回は君だけレベルアップだ。今回は新しいオートスキルを覚えたぞ! 「スキルドレイン」。相手のスキルを数ターン奪って、その戦闘中だけ君のものにし、相手はそのスキルを奪われているターン中だけ使えなくなってしまう。まさに“The 卑怯”なスキルだ

海斗:いいだろう。俺にふさわしいスキルだ

青い宝石:では、健闘を祈る

 

 青い宝石に映った顔は消えていった。

 

学歩:ぬぅぅぅ! なら、メイコを気絶させた、この攻撃ならどうだ! 攻撃「地獄巡り串刺し」!!!!

 

 グサ

 

学歩:やったぞ! 1回当たったぞ!

ヒーゲ:いえ、その、“ドレイン”されました。ダメージ0であり、更に、あなたの“地獄巡り串刺し”のスキルは海斗に移り、あなたはその攻撃を封じられます

学歩:な・・・・・・・なんだ・・・それ・・・・

 

海斗:俺のターンだな。気絶までしてしまう、自分の技を喰らえ!!!! 攻撃「地獄巡り串刺し」!!!

 

 海斗の後ろからエネルギーの剣を持った“侍の両腕”が現れ、学歩を串刺しにしていった!

 

 グサグサグサグサ!!!!

 

学歩:うごぉおおおおお!!!!!

ヒーゲ:な・・・・全弾ヒット。12回ヒットで総ダメージ720! 学歩さんの残りHP3830です・・・・あれ?

 

学歩:こ・・・攻撃が・・・当たらない・・・・我の攻撃を奪って・・・・自分の攻撃でダメージを・・・なんと・・・いうことなんだ・・・

 

 バタッ

 

 学歩は自分の気絶属性攻撃を自分で喰らい、さらに、海斗の運ステータスの高さと、学歩の精神的ショックも重なって、学歩自身が気絶してしまった。

 

ヒーゲ:え・・・えっと、なんかあっと言うまでしたが、この勝負、学歩の気絶によるログアウトで、海斗の勝ちです!

 

海斗:ふぅ

 

めぐみ:・・・・・一番怖いのは・・・・どんどん成長する海斗なのかピョン・・・・

 

(続く)

 

CAST

 

工藤海斗:KAITO

0:00の子の宝玉の守護者&案内天使・ミク:初音ミク

1:00の丑(牛)の宝玉の守護者・ルカ:巡音ルカ

2:00の寅(虎)の宝玉の守護者・メイコ:MEIKO

3:00のうさぎ(兎)の宝玉の守護者・めぐみ:GUMI

4:00の辰(龍)の宝玉の双子の守護者・リン(ドラゴン):鏡音リン

4:00の辰(龍)の宝玉の双子の守護者・レン(ドラゴン):鏡音レン

5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・ハク:弱音ハク

5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・ネル:亞北ネル

5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・テト:重音テト

6:00の午(馬)の宝玉の守護者・学歩:神威がくぽ

 

ジャッジのヒーゲ:とある髭のリングアナウンサー

 

ナスノヨイチ、ウリノナカマロ、その他:エキストラの皆さん

説明
○ボーカロイド小説シリーズ第11作目の” 十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出!“シリーズの第5話です。
○私の小説シリーズでは、“KAITOにーさん”が初の“主役”を勝ち取った作品です。
○内容は、まぁ、にーさんの代表曲のように、卑怯というか、何というか…。久々に脱出物です。
○なにやら不思議な空間に飛ばされたKAITOにーさん、どうなるのでしょうか?

☆今回は2つの部屋を一気に駆け抜けました。
☆海斗の成長が・・・・止まらない。
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