魔法少女リリカルなのは〜原作介入する気は無かったのに〜 第五十六話 皆とお花見!!酒は飲んでも呑まれるな!!
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 『臨海公園でお花見するよ!!』

 

 3月も終盤に迫った今日この頃。

 一通のメールが俺達長谷川家の面々に届いた。

 差出人はアリシアだ。

 

 「どうしますか勇紀?」

 

 「お花見するに決まってるじゃんシュテるん!!」

 

 「だが訓練校の短期メニューもほぼ終盤だぞ?」

 

 「休めるかどうかビミョーですね」

 

 レヴィはもうお花見に参加する気満々だし、シュテルは俺の返事待ち。ディアーチェ、ユーリは訓練に通う日程と被らないか心配している。

 ちなみに今日は土曜日。シュテル達も今日は訓練校は休みだ。

 

 「俺は別に参加してもいいけど、お前等が参加出来るかはユーリが言う様に短期メニューと被らないかどうかだろ?」

 

 「その時はお花見の日程をずらせばいいんだよ!!」

 

 一理あるな…あれ?

 

 「そういや、花見の日程っていつだ?」

 

 俺に届いたメールには日程や開始時間が何も書かれていない。

 

 「…私のメールには何も書かれていませんね」

 

 「僕も」

 

 「我もだ」

 

 「『お花見するよ!!』の一文しかありません」

 

 アイツには計画性というものが無いのか?

 

 「仕方ない。ちょっと聞いてみるか」

 

 メールで『日程と時間の詳細求む』と返信してやると、すぐに返事が返ってくる。

 

 『明日』

 

 「明日かよ!!?」

 

 文面を見て思わず叫んでしまう。

 

 「いきなり大声出さないでよユウ!ビックリしたじゃん!!」

 

 「す、すまん」

 

 「『明日』とか言ってましたけどもしかして…」

 

 俺は答える代わりに携帯のディスプレイを四人に見せる。

 

 「…本当にいきなり過ぎますね」

 

 「というよりも時間が書かれておらんぞ?」

 

 ディアーチェがそう言った瞬間に新たなメールが届く。

 

 『時間は11時ね♪』

 

 「……だ、そうだぞ」

 

 今届いたメールを皆に確認させる。

 

 「まあ明日は大丈夫ですから参加…ですかね」

 

 「なら明日の弁当を作る食材を買いに行かんとな」

 

 「そうだな」

 

 俺とディアーチェは腰を上げて買い物に出掛ける準備をする。

 

 「おはなみってなにー?」

 

 「それはですね…」

 

 「お花見っていうのは皆で騒いで飲んで食って歌うんだよ!!」

 

 シュテルがルーテシアに説明しようとしていた所、レヴィが会話に割って入って説明する。

 …あながち間違っちゃいないな。

 

 「たのしそー!わたしもいくー!」

 

 一人追加で参加が確定した。

 

 「メガーヌはどうします?」

 

 「楽しそうだけど私は遠慮するわ。明日は近所の奥様方とすでにお花見に行く約束をしてるのよ」

 

 シュテルが聞くが、メガーヌさんは不参加。別の花見に参加との事。

 近所付き合いがあるぐらいメガーヌさんも受け入れられてる様で何よりだ。

 

 「ママいっしょじゃないの?」

 

 「ゴメンねルーテシア。勇紀君達と一緒に私の分も楽しんできて」

 

 「うん…」

 

 ちょっと寂しそうな表情を浮かべるルーテシア。

 

 「ユウキ。早く行くぞ」

 

 「あいよ」

 

 俺はディアーチェと一緒に家を出て、買い物に出掛けるのだった………。

 

 

 

 次の日…。

 

 「お花見♪お花見♪」

 

 「おはなみ♪おはなみ♪」

 

 手を繋いで仲良く歩くレヴィとルーテシア。

 俺、シュテル、ディアーチェ、ユーリはその後ろ姿を眺めながら追い掛ける様に歩く。

 

 「二人共、桜は逃げはせんぞ?」

 

 「桜と言うよりも弁当の方を楽しみにしているのでしょう」

 

 「いいんじゃないですか?レヴィとルーテシアらしくて」

 

 「でも今日は絶好の花見日和で良かった」

 

 上を見上げた先には綺麗な青空が広がっている。

 

 「こんな陽気の中、お昼寝するのも悪くありませんね」

 

 「まあ、ある程度騒いだら眠くなる奴は出てくるだろうな」

 

 例えば今、目の前で高いテンションを出している二人とか。

 

 「ところで臨海公園のどこにアリシア達はいるんですか?」

 

 「それは聞いてないな。まあ、公園に着いたらアリシアの魔力を探せばいいと思うけど」

 

 なんて会話をしている内に臨海公園の入り口が見えてきた。

 公園に入った所で

 

 「おーい!勇紀ー!!こっちこっちー!!」

 

 手を振りながら俺の名を呼ぶ、金髪ツインテールっ娘の姿が目に入る。

 俺達はそちらの方に近付いて行く。

 

 「ヤッホー!今日は良い天気だね」

 

 「そうだね!絶好の花見日和だね」

 

 『ねー』と言葉を揃える笑顔のアリシアとレヴィ。

 

 「お待たせしましたアリシア。私達で最後ですか?」

 

 シュテルが確認すると

 

 「そだよー。もう皆私が確保した場所で待ってるよ」

 

 「『私が』?お前が確保したのか?…何時ごろから場所取りに来たんだ?」

 

 「昨日の夜11時から寝袋持参で」

 

 「「早過ぎだろ!!?」」

 

 俺とディアーチェが言葉を揃えて同時に突っ込む。

 コイツ、どんだけ楽しみにしてたんだよ?

 

 「アリシア一人でですか?子供一人でよく何も起きませんでしたね」

 

 「あー…何か私に近付こうとしてた人は空から落ちてきた謎の雷に打たれて病院に運ばれていったよ」

 

 …いや、昨日の夜も晴れてた筈だぞ?少なくとも落雷が落ちる様な天気じゃなかった。

 

 「でも雷に打たれた人は何故か無傷だったんだよねー」

 

 …それ、自然発生した雷じゃなくて魔法じゃね?

 そう考えるとそんな事をしそうな人に心当たりがある。

 

 「ホント、何だったんだろうね?あの雷」

 

 …コイツはマジで気付いていないのか?

 

 「ユウキよ…アリシアが言っておる落雷の事だが…」

 

 「…言うまでもないだろ。過保護な親が娘を守るためにやった事だ」

 

 というかプレシアさん。よくアリシアが一人で場所取り行くの許可したよな。

 

 「それよりよくプレシアが場所取りに行く許可を出しましたね」

 

 あ、俺が思った事をシュテルが聞いてる。

 

 「お母さんには私必殺の上目使いを使ってお願いしたら一発で許可が下りたよ♪」

 

 何だが凄く想像し易い光景だなあ。プレシアさん、吐血しながらもご満悦な表情浮かべてた様な気がする。

 

 「それでお母さんが意識を失ってる間に場所取りにきたんだ♪」

 

 …それ、どう考えても許可貰ってないよな?勝手に場所取りに来てるよな?

 

 「…というかプレシアさん来なかったのか?」

 

 「リニスに引っ張られて本局に行ったよ。お母さんは『花見に行きたい』って駄々こねてたけど」

 

 …リニスさん、ご苦労様です。

 それとアルフさんは今朝方管理局から帰って来たばかりらしいので今日は一日中家で寝るとの事。

 

 「そんな事どうでもいいよ!早く案内してよアリシア!!」

 

 立ち話をしていて移動する気配が無い状況を見かねたレヴィが急かしてくる。

 

 「おお!そうだね!じゃあ行こうか。こっちだよー」

 

 アリシアを先頭にして俺達は歩き出す。

 公園のやや奥の方に行くと目的地に辿り着いた。

 他の皆が既に揃い、ブルーシートの上に座って雑談していた。

 参加メンバーはメガーヌさんを除く俺達長谷川家、なのは、フェイト、アリシア、はやて率いる八神家、アリサ、すずかの合計18人。

 

 「皆ー。長谷川家御一行を連れて来たよー」

 

 「「「「「「「「「「いらっしゃーい」」」」」」」」」」

 

 「「「「「お邪魔します」」」」」

 

 「しまーす」

 

 アリシアの一声で振り向いた皆に挨拶され、俺達も挨拶をしてから靴を脱ぎ、シートの上に腰を下ろす。

 俺も適当に空いているスペースに腰を下ろす。

 

 「ユウキ。弁当を…」

 

 「ほいほい」

 

 俺は宝物庫から今日のために用意した弁当箱を取り出す。周りには人気が無い。人払いの結界を張っている訳でも無いのに。

 だからこそこうやって堂々と能力を使えて好都合だけど。

 

 「じゃあ、紙コップと紙皿、割り箸渡すわよ」

 

 アリサの一声で次々に紙コップ、紙皿、割り箸が渡されていく。

 その後コップにジュースが注がれていく。シグナムさん、シャマルさん、ザフィーラ、リンスにはお酒を。

 全員のコップに飲み物が注ぎ終わり、視線は今回花見を企画したアリシアに向けられる。

 

 「えー…今回は花見という事で私が言いたいのはただ一つ!今日は無礼講!!思い切り食べて飲んで騒ぎましょう!!桜を見たい人は自分で勝手に上を見上げて鑑賞して下さい。つー訳で乾杯ぃ〜〜っ!!」

 

 「「「「「「「「「「乾杯〜〜〜〜っ!!」」」」」」」」」」

 

 アリシアの適当な乾杯の音頭が終わり、それぞれ紙コップを周囲の人と合わせた後、グイッと飲む。

 

 「「くう〜〜〜〜っ!この一杯が身に染みるぅ〜〜っ!」」

 

 レヴィとアリシアが同時に言う。

 お前等は仕事帰りに一杯やるサラリーマンか。

 

 「では弁当も並べますか」

 

 俺達長谷川家は三段重箱を使って用意してきた。後、弁当を用意したのははやてとシャマルさん、ノエルさんが作ったというすずかだ。はやて、シャマルさんの八神家も三段重箱で、すずかはバスケット。

 というか見事に和洋中揃っているな。

 

 「では早速頂きまーす!」

 

 レヴィがおかずを取り始めたのを皮切りに各々、好きなおかずを取っていく。

 

 「ルーは何がほしいのだ?」

 

 「おにーちゃんのつくったたまごやき」

 

 「ふむ、これだな。後適当に何か摘まんでやろう」

 

 ディアーチェはヒョイヒョイとルーテシアに食べさせるおかずを取っていく。

 

 「これだけあれば良いな?また食べたい物があれば遠慮無く言うのだぞ?」

 

 「ありがとー、でぃあーちぇおねーちゃん」

 

 ディアーチェに礼を言ってから紙皿に取って貰ったおかずを食べ始める。

 

 「さて…我も玉子焼きをたべるとするか」

 

 「「「私も(僕も)」」」

 

 「何で皆勇紀の作った玉子焼き食べるの?」

 

 「美味しいからに決まってるじゃんフェイト」

 

 「うむ。この玉子焼き…正確にはだし巻き卵だが、相変わらず病み付きになる美味さだ」

 

 「このだし巻き卵の味には生涯追い付けることが出来ませんね」

 

 だし巻き卵の味について絶賛している我が家族。

 自分の好きな料理なのでちょっと嬉しかったりする。

 

 「なんや、そこまで評価の高いだし巻きには興味あるなあ。わたしも貰ってええ?」

 

 「私も食べてみたいの」

 

 皆だし巻きを取ろうとするが一切れ一切れを全員取る事は出来ないので一切れをさらに半分にして全員味わう。だし巻き大人気である。

 そして口に入れ味わった感想は

 

 「「「「「「「「「「お…美味しい……」」」」」」」」」」

 

 その一言だった。

 

 「勇紀君。これ…何の出汁を使ってるの?」

 

 「普通に市販で売ってる出汁の素しか使ってませんけど?」

 

 「そ、それでこの味…」

 

 シャマルさんに聞かれたので普通に答える俺。

 

 「やっぱり女としての敗北を感じるよ」

 

 「わ、私だってこれぐらいのだし巻きは作れるわよ……………多分」

 

 「ノエルに料理、教えて貰おうかな?」

 

 何やら精神的ダメージを受けてるのがチラホラといらっしゃる。

 だし巻き卵ぐらいでそこまで落ち込まんでも。

 

 「「うまうま♪」」

 

 ((あっちの二人|レヴィとアリシア))みたいに気にせず食べてくれたらいいのに。

 俺はバスケットに入っていたサンドイッチを手に取って食べる。

 

 「ねえねえユウ。僕はそろそろ((アレ|・・))が食べたいんだけど?」

 

 「そろそろって…。まだ花見が始まって間もないというのに」

 

 「細かい事は気にしないのが一番だよ!それよりも早く出してよ」

 

 「…ハア〜」

 

 溜め息を吐きながらも宝物庫から大きな鍋と炊飯器を取り出す。

 

 「おい勇紀、何だそれ?」

 

 「見ての通りの鍋と炊飯器だヴィータよ」

 

 「何でそんなモン出すんだ?」

 

 「レヴィの食べたい物が((カレー|・・・))だからだよ?」

 

 「「「「「「「「「「はい?」」」」」」」」」」

 

 皆、疑問に思ってるが昨日頼まれたんだよ。『カレー食べたい』って。

 

 「ユウキは本当レヴィに甘過ぎです。いくら宝物庫のおかげで手荷物にならないとはいえ、カレー作る必要はなかったでしょうに」

 

 「甘いねシュテるん。カレーを食べながら花見をするのが風流なんだよ」

 

 んな訳ねーよ。

 鍋と炊飯器をブルーシートの上の空いているスペースに置き(シートが鍋の熱に負けない様、強化魔法も忘れずに)続いて取り出した食器にご飯をよそい、ルーをかけてスプーンと一緒にレヴィに手渡す。

 

 「ほら」

 

 「わーい、ありがとユウー♪」

 

 宝物庫に収納していたため出来立ての状態のカレーを食べる事が出来るレヴィはご満悦だ。

 

 「勇紀さん。リインもカレーが食べたいですぅ」

 

 「リインもか?」

 

 「はいです」

 

 宝物庫から再び食器を出してカレーを入れ、リインに渡す。

 

 「出来立ての熱々だから注意して食べろよ?」

 

 「ありがとうございますぅ♪」

 

 「勇紀ってリインにも甘いよね」(ヒソヒソ)

 

 「ルーちゃんにも好かれてるし」(ヒソヒソ)

 

 「アイツはロリコンなの?」(ヒソヒソ)

 

 「それだとレヴィに対して甘い理由が成り立ちませんよ?」(ヒソヒソ)

 

 「じゃあ家族だから?」(ヒソヒソ)

 

 「それだと今度はリインに甘い理由が矛盾するぞ」(ヒソヒソ)

 

 女性陣はヒソヒソと話しているつもりの様だが会話は聞こえている。

 俺はロリコンじゃありません。ただ、レヴィに対して甘いのも否定は出来ません。

 まあ俺はそんな女性陣を無視して次々におかずを食べる。

 

 「ユウ。カレーおかわり!!」

 

 「早いなオイ!?」

 

 いつもよりも食い終わるのが早いレヴィ。そこそこ山盛りにして渡した筈なんだが。

 

 「気にしない気にしない。それよりおかわり!」

 

 「…はいはい」

 

 先程と同じぐらいの量を入れて渡す。

 

 「はぐはぐはぐ…」

 

 勢いよくカレーを食べていくレヴィ。

 別にカレーにはまだ余裕があるしそこまでしてがっつく必要は無いと思うんだが…。

 

 「はぐはぐ…」

 

 まあ、いいか。

 

 「む、酒が切れたな」

 

 「昨日の買い出しではあまり買わなかったからな」

 

 「しかしこれでは物足りん。少し追加で買ってくるか」

 

 シグナムさんとザフィーラの会話が耳に入る。

 

 「酒だったら有りますけどいります?」

 

 俺がその会話に割って入る。

 

 「本当か?というより何故酒を持っている?お前は未成年だろう?」

 

 「俺が成人した時に飲もうと思って」

 

 「まだ成人するまではかなり先だろう?今から気にする必要あるのか?」

 

 「別にいいじゃないかザフィーラ。で、お酒いる?」

 

 「どうするシグナム?」

 

 「…なら有り難く貰おうか。買いに行く手間も省けるしな」

 

 「じゃあどうぞ」

 

 宝物庫から取り出すのはFate/Zeroで英雄王様が用意したお酒だ。

 俺も将来飲もうと思っていた一品である。

 まあここで飲み干されても勝手に補充されるから別に気にしない。

 

 「何と言うか…豪華な酒器と瓶だな」

 

 「これは相当の値が張るのではないか?」

 

 二人は酒瓶と酒器に見惚れている。

 俺がそれらを渡すとシグナムさんが瓶のフタを開け、自分とザフィーラの紙コップに注いでいく。

 

 「その酒器を使ってくれても良いんですけど?」

 

 「いや、我等は酒だけで充分だ」

 

 「そうですか?じゃあ片付けますね」

 

 酒器は再び宝物庫へ。

 二人は酒を一口飲むと、見る見る表情を変えていく。

 

 「長谷川。これは何処で売っている酒だ?この喉越し、並大抵の酒では味わえん程の物だぞ?」

 

 そりゃあ神代の代物で人間が作れる醸造じゃないと征服王が大絶賛してたぐらいの一品ですから。

 

 「さあ?元々は父さんか母さんが買ってきたやつを俺が勝手に宝物庫に収納してたんで」

 

 とりあえず誤魔化しておこう。

 

 「むう…これ程の一品に出会えるとは。ラベルも何も貼っていないから製造元も分からんな」

 

 「飲みたいときには俺に言ってくれザフィーラ。無くなったとしても勝手に宝物庫に補充されるようにしてあるから」

 

 だから遠慮無く飲んでもらっても問題無い。

 

 「そうなのか?なら遠慮無く貰うが」

 

 「どうぞどうぞ」

 

 二人はシャマルさん、リンスと共に肴を摘まみながら酒を飲む。

 というか先に弁当の方も処理してくれないもんかな。序盤からそんなに酒を飲んで酔い潰れられても困る。

 他の女性陣も気付けばヒソヒソ話を止め、雑談に夢中で箸が進んでいない。

 さっきから食べているのは俺とレヴィ、ルーテシア、リイン、ヴィータの5人だけだ。

 

 「おにーちゃんおにーちゃん」

 

 「ん?」

 

 クイクイと服の裾を引っ張ってルーテシアが呼ぶので振り向く。

 

 「のみものがほしい」

 

 ルーテシアの持っている紙コップの中身は空になっていた。

 

 「お茶?ジュース?」

 

 「じゅーす」

 

 俺は近くにあったオレンジジュースのペットボトルを取り、ルーテシアのコップに注ぐ。

 

 「はい」

 

 「ありがとー♪」

 

 「勇紀、アタシもカレー食いたくなってきたから貰って良いか?」

 

 「おう、好きなだけ食ってくれ」

 

 ヴィータも紙皿の上にご飯をよそい、皿の上から零れ落ちない程度にルーをかけ、食べ始める。

 皆でワイワイしながらこのまま過ごす時間というのも悪くは無かった。

 …しかしこの後、一人の人物の暴走によってこの場は((混沌|カオス))になっていく………。

 

 

 

 〜〜アリシア視点〜〜

 

 うむうむ。皆中々に楽しんでいるねえ。この花見を企画した甲斐があったってものだよ。

 私は満足気にこの場にいる皆を見渡す。

 

 「さて、我は少し眠る」

 

 およ?ディアーチェは紫天の書に自分の上着をくるめて即席の枕を作り、そのままゴロンと横になってすぐに寝息を立て始める。

 

 「ねえシュテル。ディアーチェ寝ちゃったけど?」

 

 「昨日はあまり眠れなかった様なので少し寝かせてあげて下さい」

 

 フェイトとシュテルの会話が耳に入る。

 本人は否定するだろうけどレヴィ並に今日の花見を楽しみにしていたおかげで中々寝付けず睡眠時間が減っていたらしい。

 確かに面と向かって言うと否定するだろうねディアーチェは。ツンデレだし。

 

 「おお〜、王様のほっぺ柔らかいなあ」

 

 ぷにぷにと人差し指でつつきながらディアーチェの寝顔を見るはやて。

 つつかれてる本人は寝ながらも『う〜』と小さく唸っている。

 

 「しかし((長谷川家の面々|アンタ達))は家事レベル高いわね。この弁当だって朝早くから作ったんじゃないの?」

 

 アリサが弁当の方を見ながら言うが、確かに美味しいよね。勇紀が作っただし巻きは『絶品』の一言に限るし。

 

 「勇紀に教えて貰いましたからね。『家事が出来れば将来一人暮らしする際にも困らないから』との事で」

 

 「確かに料理が出来ないと食事は偏ったモノになりそうだし、掃除や洗濯も必須スキルだよね」

 

 「意外にやってみると楽しかったものですから」

 

 長谷川家では料理の当番を日替わりでしてるらしいし、同じ料理でも個人によって味付けが微妙に違うから飽きる事が無いらしい。

 むう、料理はそんなに楽しいものなのかな?

 私の家族で料理が出来るのはお母さんとリニスだけだし。私とフェイトはまだお手伝いする程度で、一人で料理を作り切れる自信は無い。アルフはもっぱら食べるだけだ。

 私は近くに置いてあったコップの中身を一口飲む。

 ん?こんな味のジュースあったかな?

 …まあいいや。美味しいし。

 

 「…そういえばもう少しで私達も6年生になる訳だけどクラス分け、どうなるんでしょうね?」

 

 アリサが思い出した様に言う。

 

 「また皆同じだといいね!」

 

 「私となのはちゃんとアリサちゃんは1年の頃からずっと同じクラスだもんね」

 

 「わたしとしては((あの3人|・・・・))が違うクラスになる事を切に願うわ」

 

 「「「「「確かに」」」」」

 

 はやての言葉に頷く。

 

 「大変なんですね((聖祥|そっち))は」

 

 「むしろあの3人はもう転校してほしいわ」

 

 全くだ。

 コップの中にあるのを飲み干す。

 ……あれ?少し世界が揺れてる様な。

 ((れも|・・))、((なんらか|・・・・))気持ち良いし。

 あはは〜。何か((からら|・・・))がかるいや〜。

 …そこから先の事を((わらしはおろえていなかった|・・・・・・・・・・・・・))………。

 

 

 

 〜〜アリシア視点終了〜〜

 

 事の発端はアリシアが立ち上がり、まだペットボトルのキャップを開けていないコーラ(1.5L)を片手に持ったことから始まった。

 何だかフラついた足取りでディアーチェの側に立つと

 

 「誰らぁ〜?こんなとこで寝てるブスはぁ?わらしが歩けないじゃないかぁ〜…ヒック…」

 

 ガスッ

 

 「ぶはっ!?」

 

 ディアーチェの脇腹を蹴り、ペットボトルのキャップを開けてペットボトルを逆さまにし 

 

 ドバドバドバドバッ

 

 一気にコーラをディアーチェの顔面にぶっかけた。

 

 「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」

 

 突然のアリシアの行動に言葉を失う俺達。

 

 「あははは、お目覚めれすかぁ?」

 

 「ゴホゴホッ…ア、アリシア貴様ー!!いきなり何をする!!」

 

 目が覚めたと同時にアリシアの手に持っている物を見て状況を多少理解し、ディアーチェは憤怒する。

 

 「あ〜ん?調子にのってんじゃらいぞこのブスが。あまりにもブス過ぎるからわらしが清めてやったんら〜。感謝しろ〜…ヒック…」

 

 「な、何だと貴様あああぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」

 

 「うるせぇブス。吼えたら近所迷惑らろうが…ヒック…」

 

 「うがあああぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」

 

 激怒して襲い掛かろうとするディアーチェをユーリが背後から羽交い絞めにして必死に止める。

 アイツ、さっきから『ヒックヒック』言ってるけど、もしかして酒飲んだのか?

 

 「あああっっ!?アリシアちゃんがもう片方の手に持ってる紙コップ、私の!!」

 

 シャマルさんが大声で言う。

 どうやら俺の予想は正しかった様だ。

 アリシアは自分の紙コップとシャマルさんの紙コップを間違え、そのまま中の物を飲んだみたいだ。

 シャマルさんも俺が出した神代の酒飲んでたし、当然コップの中身は酒だった筈。

 目が据わり、フラフラしてる様子のアリシア。

 

 「離せ!離せユーリ!!こやつは我が直接手を下してやる!!」

 

 「落ち着いて下さいディアーチェ!!」

 

 「しかも『ブス』だと言われたのだぞ!そこまで暴言を吐かれて黙ってられるか!!」

 

 「アリシアは酔っぱらってるだけなんです!!本心じゃないから気にしちゃ駄目ですよ!!」

 

 ユーリはディアーチェを宥めているが効果は薄い。

 で、((酔っ払い|アリシア))はそんなユーリを見ている。

 

 「…おい、ユーリぃ…ヒック…」

 

 「はひっ!?」

 

 「お前はわらしに謝んなきゃいけないんらぞ〜」

 

 「な、何をですか?」

 

 「とぼけんじゃねぇ〜!!お前がくらけえぬ闇事件をおこしら時にろんらけ苦労してとめたとおもってるんらぁ〜!!」

 

 「えええっっ!!?そ、それ私じゃないです!!この世界の私がした事ですよ!?」

 

 「しるかあ〜。お前のせいれ、わらしは苦労したんらぁ〜〜。謝れ〜〜…ヒック…」

 

 「そ、そんなあ…」

 

 涙目で俺に助けを求めるが

 

 「《とりあえず適当に謝ってさっさとそこを離脱した方が賢明だぞ》」

 

 一応、念話でアドバイスを送る。

 

 「あやまれぇ〜〜」

 

 「ご、ゴメンなさい」

 

 無実であるにも関わらず謝り、退避しようとするユーリだが

 

 「何ぃ〜!?聞こえんなあ〜!」

 

 「聞こえてますよね!?」

 

 「聞こえな〜い。謝れぇ〜」

 

 ((酔っ払い|アリシア))は更に謝罪を要求する。

 

 「姉さん、ユーリはちゃんと謝ってるよ。それに少し落ち着こう…」

 

 今度は((妹|フェイト))が((姉|アリシア))に近付き、説得する。

 フェイトならあの酔っ払いを止められるか?

 

 「むう〜…フェイトぉ〜」

 

 「(ビクッ!)な、何?」

 

 「なんれフェイトはわらしより背が高いんらあ〜〜!!」

 

 「えっ!?」

 

 「わらしが姉らのにいつも妹と間違われるんらぞ〜。こう見えても結構気にしてるんらぞ〜」

 

 愚痴をこぼすアリシア。フェイトも困惑気味だ。

 成長なんて人それぞれだし、フェイトに当たるのは間違いだろう。

 それにお前、一時期死んで成長止まってたんだし。

 

 「この世界はそんらにわらしの事が嫌いかあ〜!?」

 

 自分の成長が遅い原因を世界のせいにしてやがる。

 

 「姉さん、これからきっと姉さんは成長するから…」

 

 「姉より背の高い妹なんざこの世に存在しねえ〜!」

 

 いや、存在してるじゃねえか。己の目の前に。

 言いたい事を言って次のターゲットになったのははやてだ。

 

 「はやて〜ちょっろこっちきれ〜…ヒック…」

 

 『来い来い』と手招きして自分の方へ呼ぶ。

 はやては周りに助けを求めるが皆視線を逸らす。

 助けを諦めたはやては肩を落とし、アリシアの方へ行く。

 

 「な、何の用や?アリシアちゃん…」

 

 「お前、ちょっろアイツ等から金ガメてこい…ヒック…」

 

 指差す先にはアリサとすずか。この街の御令嬢二人だった。

 

 「ガメてって…何言うとるんや!?友達にそないな事出来る訳無いやん!!」

 

 「うるへー。…っと、そりゃなんらぁ〜?…ヒック…」

 

 はやてが手に持っていた紙皿の上には

 

 「あ〜〜〜!!わたしが取っただし巻き〜〜〜!!!」

 

 俺が作っただし巻き卵だった。

 アリシアははやての手から紙皿を奪い取り、目の前で皿の上に乗っている三切れのだし巻きの内の一つを食べる。

 

 「ムグムグムグ…ほりゃあ、はっはと金ふぁめてこい〜」(金ガメてこい〜)

 

 「返して!わたしのだし巻き返して〜〜〜!!!」

 

 「(ゴクン)はやくしないろぉ〜、全部たべちゃうろぉ〜」

 

 「だし巻き〜〜〜〜〜!!!!」

 

 紙皿を取り返そうとするはやてをゆったりとした動作で躱すアリシア。

 酔拳の達人かアイツは?

 やがてはやての体力が尽きた時、皿の上にだし巻きは残っていなかった。

 

 「アリサ〜、すずか〜♪」

 

 「「(ビクッ)な、何よ?(な、何かな?)」」

 

 「ふらりとも〜、この前告白されれたよね〜。アリサは屋上れ〜、すずかは体育館裏れ〜」

 

 「「えええっっ!!?何で知ってるのよ!?(どうして知ってるの!?)」」

 

 「たまたま通りがかったんらよ〜…ヒック…」

 

 屋上も体育館裏も通りがかる場所じゃないだろう。

 十中八九覗きに行ったな。

 

 「れ〜、二人共何れ断ったの〜?」

 

 「な、何でって言われても好きでもない奴と付き合う気なんか無いわよ」

 

 「私もだよ。今まで話した事も無い人にいきなり『好きです。付き合って下さい』って言われても…」

 

 律儀に答えるなあ二人共。

 

 「そ、それに…//」(チラッ)

 

 「その…//」(チラッ)

 

 ???二人してコッチ見てる。俺に助けを求めてるのか?

 

 「こらぁ〜!勇紀に色目使うなぁ〜!!アレはわらしの嫁らぁ〜〜!!」

 

 俺に指差して呂律が上手く回らないまま喋ってるが指を差すな。

 それと誰がお前の嫁だ。

 

 「次ぃ〜!((ピンクぅ|シグナム))、((金髪ぅ|シャマル))、((銀髪ぅ|リンス))!!」

 

 今度は守護騎士に絡みに行ったぞ。

 

 「お前等のその胸はわらしへの嫌がらせか〜!!…ヒック…」

 

 アリシアが睨みつける視線の先には女性の象徴である大きな胸が。

 3人が『ぼいーん』ならアリシアは『ちょーん』っていう擬音だな。

 

 「落ち着けアリシア」

 

 「そうよ。アリシアちゃんはまだ子供じゃない」

 

 「これから成長すればお前も大きくなる…筈だ」

 

 守護騎士がアリシアを気遣う。

 

 「分かる、分かるぞアリシア!アイツ等の((胸|ソレ))は嫌がらせに等しい。第一何でアタシだけこんな体型なんだ!?納得行かねー!!」

 

 ((ただ一人|ヴィータ))だけが不満を口にする。

 『同じ守護騎士なのに…』とかブツブツと文句を言う姿がとても子供らしく見えてしまう。俺よりも年上の筈なのに。

 

 「でも((アンタ|ヴィータ))がいるからわらしはまだ絶望しなくてすむんら。わらしはまら成長の余地があるんらもん。それにくられてヴィータは…ねえ…ヒック…」

 

 ポンポンとヴィータの肩を叩き、憐れむ様な目で見ながら言うアリシア。

 

 「……………………」

 

 ジャキッ

 

 ヴィータは今の一言にカチンときた様でアイゼンを起動させている。

 気持ちは分かるけど周りの目を確認してからデバイス起動させようぜ。

 

 「ヴィ、ヴィータちゃん!ここで暴れたら駄目ですぅ」

 

 「離せリイン!アイツに同情したアタシが馬鹿だった!!ぶん殴って目を覚まさせてやる!!」

 

 酔ってるとは言え、やりたい放題だなコイツ。

 向こうで抱き合う様に寝ているレヴィとルーテシアに被害がいかないか心配だ。

 そして残りの守護騎士ザフィーラはアリシアにスルーされた。だが、今回の場合は絡まれなかったという意味でラッキーなのかもしれない。

 

 「なのはぁ!!シュテルぅ!!…ヒック…」

 

 「な、何かな?アリシアちゃん…」

 

 「(どんどん酔いが酷くなっていますね)」

 

 二人の眼前に立ち、見下ろす形になるアリシア。

 『今度はどんな言葉が飛び出すのやら』と思いきや

 

 「スンマセンっしたーーーーー!!!!!」

 

 その場で見事な土下座をかました。

 

 「ちょちょちょ、ちょっと待って!何でいきなり土下座するのかな!!?」

 

 「謝られる覚えが無いんですが…」

 

 「お二人には逆らいましぇん。ですから、ですから砲撃だけは…砲撃だけはあ〜〜〜っっっ!!!!ヒグッ…ヒグッ…」

 

 ガチ泣きしながら土下座で二人に許しを請うアリシア。

 

 「…お前等、アリシアにここまで怯えさせるなんて何したんだ?」

 

 「し、知らないよ!!覚えが無いもん!!」

 

 「そうですよ。第一、アリシア相手に魔法使うなんて模擬戦の時ぐらいです」

 

 『模擬戦』という単語が出た時、ビクリと反応するアリシア。

 もしかして模擬戦の時に放たれる砲撃に恐怖を抱いてるのか。

 

 「しかし酔っているにも関わらず土下座してまで許しを請うなんて…。『決してこの二人には逆らってはいけない』と本能が理解してるんだな」

 

 「むう…それはそれで納得いかないの」

 

 「そうですか…アリシアにとって私達は恐怖の対象ですか」

 

 少し不満そうな表情の二人。

 でも、しょうがねえよ。お前等の((砲撃魔法|バスター))や((収束魔法|ブレイカー))は敵に恐怖心を植え付けるのに充分な威力があるんだし。

 バインドで動きを封じてから撃つ辺り、避けられない絶望感を与えるのにはこの上ない。

 

 「う〜…勇紀らすけてぇ〜」

 

 今度は俺に飛びついてきた。

 コイツ酒臭いな。どれだけ飲んだんだ?

 

 「とりあえず泣き止んで落ち着け」

 

 「…うん…」

 

 やけに素直に言う事聞いたな。何か突っ掛かってくるかと思ったんだが。

 

 「勇紀…」

 

 「何だ?」

 

 「なんらかぎもじわるい゛…」

 

 「は?おいアリシア?」

 

 「あだまがぐらんぐらんずるぅ〜…うぷっ…」

 

 段々顔色が青くなっていく。

 『うぷっ』ってお前、ここで吐き出すのか?それはヤバい!!

 

 「少し我慢しろ!!そこの木の側で出すモン出しちまえ!!」

 

 アリシアの手を引き、皆の目に移らない木陰に連れて行こうとした時

 

 「おお、やっと見つけたぜ!俺の嫁達よ!!」

 

 誰も歓迎していない((吉満|バカ))が姿を現した。

 

 「…何でアンタがここにいるのよ?」

 

 アリサを始め、皆の表情が曇る。

 

 「ふっ、愚問だなアリサ。お前達のいる所に俺がいるのは当然だろう?(アリサ達は恥ずかしがり屋だから俺に面と向かって花見に誘う事は出来なかったんだろう。だからこそサーチャーでアリサの後を追い掛けた後、こうやって俺が偶然ここに来たフリをして参加すれば良い訳だ。口ではなんと言っても内心ではオリ主の俺が来た事に喜んでる筈だからな)」

 

 …俺からすればコイツがここに来たのは偶然じゃない気がするんだが。

 そんな事は今はどうでも良いか。アリシアを楽にさせてやる方が先決だ。

 

 「まあ、それはさておき…ゴラアそこのモブ!!!!俺のアリシアを何処に連れて行く気だ!!?」

 

 …チッ。そのままアリサ達の方に意識が向いてくれてたら絡まれずに済んだのに。

 

 「アリシア、テメエに手を握られて恐怖で震えてるじゃねえか!!!顔色も悪いしよ!!俺の嫁に何て事してくれてんだゴラア!!」

 

 震えてるのも顔色悪いのも今吐きそうな状態だからだよ。

 そんな事を全く知らない吉満は俺の方に近付いてきて

 

 「テメエには少し身の程ってものを分からせねえといけねえなあ!!ちょっと((顔|ツラ))貸せや」

 

 「今お前の相手してるヒマはない。後にしろ」

 

 「んだゴラア!!調子にのでげべっ!!?」

 

 吉満が喋っている最中、アリシアの見事な右アッパーが吉満の顎を捉え、一撃で沈めた。

 

 「う゛るざい。しずがにしろ〜…うぷっ…」

 

 「……………………」

 

 言葉を出せず、アリシアの方を見ていると

 

 「あ゛っ…。もう駄目…うっ…うぐっ…」

 

 結局、アッパーする際に身体を動かした事で限界がきたのか、木陰に移動する前にアリシアさんのエチケットタイムが始まった………。

 

 

 

 「勇紀、ゴメンね。面倒掛けさせて」

 

 「気にするな。コイツは軽いから運ぶのも苦じゃないし」

 

 隣を歩くフェイトが申し訳無さそうな表情を浮かべ、謝ってくる。

 あれからアリシアがエチケットタイムを終えた後、それなりにワイワイ騒いでいた俺達。

 レヴィとルーテシアも途中で目を覚ましてからは再び、弁当を食べ始めたり皆と雑談したりで楽しんでいた。

 で、日も暮れ始めてきたのでお開きとなり皆現地で解散する事になった。

 吉満は最後まで誰にも気にかけて貰えずそのまま放置。

 まあ嫌われてると言うのもあるし、アリシアのエチケットを思い切り気絶している顔面にぶちまけられたからな。顔に強烈な臭いのするもんじゃ焼きが付着した以上、誰も触りたがろうともしなかったし。

 逆にアリシアは今なお目が覚めず、安らかな寝息を立てている。

 そんなアリシアを俺は背負ってテスタロッサ家へ送り届けるためにフェイトと肩を並べて歩いている訳だが…

 

 「…ん…あれ…ここは……?」

 

 どうやら俺の背中で寝ていたアリシアが目を覚ました様だ。

 

 「姉さん、起きた?」

 

 「フェイト?あれ、何で私勇紀におんぶされてるの?」

 

 普通に喋ってるのを見ると酔いはある程度抜けてるか。

 

 「お前が花見の最中にダウンしてから目を覚まさないままお開きになったから、俺がこうやって家まで運んでやっている訳だ」

 

 「そうなの?…そう言えば途中からの記憶が全くない…」

 

 「姉さん、結構暴走してたんだよ?」

 

 「う゛〜…それってこの頭痛と関係あるのかな?」

 

 「確実にあるな」

 

 「そうかー…」

 

 「まあ、家に着くまでもうすぐだから帰ったら休め」

 

 「そうするよー…(あー、何があったか知らないけど勇紀におんぶされて役得だなぁ。勇紀の背中温かくて心地良いし…)//」

 

 更にギュッと力を込めてしがみ付いてくるアリシアからはまだ若干アルコールの匂いがする。

 

 「ふあぁ〜…また眠くなってきた。寝ていい?」

 

 「好きにしろ」

 

 「うん…好きに……す………」

 

 最後まで言い終える前に寝てしまったアリシア。

 

 「(姉さん、気持ち良さそう。…良いなあ…)」

 

 「???どうしたフェイト?アリシアの方見て」

 

 「あっ!!?ううん、姉さん気持ち良さそうに寝てるなあって」

 

 ふむ?俺は背負っているのでアリシアの表情を窺えないが。

 

 「しかし今日は災難だったなフェイト。泥酔したアリシアに絡まれて」

 

 「あはは…」

 

 フェイトだけじゃないか。ザフィーラ、レヴィ、ルーテシア、リイン以外のメンバーは全員絡まれてたし。

 俺も絡まれる前にアリシアが酔い潰れたから被害は受けてないが。

 

 「…今後アリシアが成人した時にも酒を飲ませない方がいいな」

 

 「…そうだね。皆にもそう言っておくよ」

 

 俺達は寝ているアリシアの前でそう誓い合うのだった………。

 

-2ページ-

 〜〜あとがき〜〜

 

 他の作者様に聞きたいのですが、アリシアは甘々な内容より今回みたいに、はっちゃけさせた方が筆が進むのは自分だけでしょうか?

 

説明
神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。
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コメント
アリシアの酒癖がwwwこれはひどいとしか言えないwwww(海平?)
↓今でも十分しそうな勢いかと ↓↓↓え?今更なこ(・・・ルシフェリオン ↓x8 清々しいな、最高だよ(爆死(黒咲白亜)
何故だろう、数年後にガチ泣きで「姉よりグラマーな妹なんて存在しねぇぇぇ!!」とか叫びながらフェイトにセクハラかますアリシアの姿が脳裏をよぎったw(プロフェッサー.Y)
主人公はお菓子作りや小物作りもできるし、手作り品ならそんなにお金もかからないと思う。義理チョコ(と思っている)に対するお返しだし。(匿名希望)
ホワイトデーで誰のお返し(プレゼント)で一番ユウキの愛が籠っているのは誰かでシュテル達が争うんですね!わかります(匿名希望)
ホワイトデーはお返しをするときの予算で泣きそうな主人公が目に浮かぶ(匿名希望)
ホワイトデーもそうだけれど、なのはの誕生日も飛んでいる気がする(なのはの誕生日がとらハ設定なら、だけれど)。(匿名希望)
吉満ェ…(匿名希望)
いいハーレムだ!しかしアインハルトを入れるのを忘れないでくれたまえ!vividを楽しみにしているよ。え?ロリですけど何か?(匿名希望)
ホワイトデーの話ってやるんですかね?(カルピスソーダ)
忘れた頃にやってくるのは銀髪も災難も同じかw一人しか出てこないのはお互いで潰し合ったか?(プロフェッサー.Y)
レヴィーにもフェイトにも似せず、クールキャラ何てどう?(匿名希望)
↓むしろ吉満のみなだけマシな気も。(黒咲白亜)
銀髪は一体何処からサーチャーで見ていたのか。場合によっては犯罪行為なんだが。(chocolate)
花見でお酒が出ると誰か未成年が酔っ払うのはお約束。酔っ払い最強と見せかけて、白い悪魔と黒い悪魔が最強(最恐?)だというお話。(chocolate)
私だけでしょうか, アリシアの混沌な酔っぱらいはまた起こるど [特に Strikers & Vivid] ( ̄□ ̄;) /&/ なゆたさん言ったように, アリシア[& Fate]をナンパしだら何が起こるか わかりました <プレシアさん, 彼女は確かに娘たちを愛している...暴走しすぎですけど> (deltago)
アリシアははっちゃけさせたほうが描きやすいですよ。匿名さんと同じくレヴィに近いほうがいいです。(蒼崎夜深)
アリシアって酔うとこうなるのか〜 明日アリシアはどうなっているのだろう?(鍵山雛)
アリシアは次の日辺りで絡まれたメンバーに報復されそうですね。アリシアは酔うと暴走するみたいだけど、他のメンバーが如何なるのか気になります。(俊)
自分も某サイトでリリカル書いてますがアリシアのキャラはレヴィ8のフェイト2で書いてます。アリシアはレヴィみたいにかくと書きやすいですよ(匿名希望)
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