君と出会えた【詩】
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「君と出会えた」

 

 

 

僕は、気づけば下ばかりを見ている。

 

 

 

僕が僕自身の言葉を語れなくなったのはいつのことだろうか。

言葉を失い、記憶を失った僕はただの畜生だ。

喪失してしまうほどに、あの頃の僕は苦しかったの?

人であることを拒否してしまったほどに。

 

僕は気体よりも軽い固体になりたいんだ。

 

 

もっと軽く、軽く、軽く。

 

 

嘘だよ。

 

例えば真っ青なビー玉の海にもぐった時。

僕は存在の軽さに耐え切れず、肺の空気を吐き出すんだ。

 

ほら、空が遠くなった。

 

 

彼はどうして踏まれても踏まれても立ち上がるのだろうね。

 

誰も褒めやしないよ。

誰も君の存在を気に留めたりしないんだ。

 

 

ねえ、靴のかかと。

 

 

君が潰れればその靴はさようなら。

そんなことを気にしているの?

 

そんなことで自分を守っているの?

 

ああ、彼はきっと存在意義を全うするんだね。

 

君は勇者だ。

 

 

僕は僕で僕を踏みつけておきながら、たちなおることをためらう。

 

最低だ。

でもね、気づいたんだよ。

 

下しか見えない僕だから、君と出会えた。

 

 

君の視点はさらに下だ。

でも、君だから得たものが、たくさんあったのだろう。

 

教えてくれるかい?

 

 

僕は踏まれても立ち上がるよ。

背筋を伸ばして。

他人という靴へらのおかげで。

説明
「僕は、気づけば下ばかりを見ている」
詩です。
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タグ
  希望 絶望 靴のかかと 君と出会えた 

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