ソードアート・オンライン 黒と紅の剣士 番外編 波乱の花見
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直葉「うわぁ〜すご〜い・・・!」

 

明日菜「ほんと、すごいね。」

 

珪子「綺麗・・・」

 

周囲に咲き誇る満開の桜に、女子三人が感激の声を上げる。

 

和人「だからって、あんまりはしゃぎ過ぎるなよ。」

 

里香「せっかくのお花見なんだし、これくらいいいじゃない。」

 

和人の言葉に、里香がそう返すと、和人は「まあ、いいか。」と肩を竦めた。

後ろからその様子を見ていた大地は、やれやれと言った感じで呟く。

 

大地「平和だな・・・」

 

美幸「そうだね。」

 

大地の言葉に同意すると、美幸は和人たちを方を見る。

その瞳には慈愛にも似た穏やかさが宿っていた。

 

大地「お前も交ざったらどうなんだ?」

 

美幸「私はいいよ・・・あんなふうに騒ぐの得意じゃないし・・・それに・・・」

 

美幸は口を閉じると、大地に熱っぽい視線を向けてから再び和人たちの方に視線を戻して微笑んだ。

 

美幸「私はここで充分。」

 

大地「そうか。」

 

大地は美幸のことを横目で見てから、口元に笑みを浮かべて言った。

その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

?「お〜い、こっちだ〜・・・」

 

そちらに視線を向けると、場所取りをしていたアンドリュー、遼太郎、啓太の三人がレジャーシートの上に座って手を振っている。

 

直葉「あっ、エギルさんたちだ。」

 

里香「なかなかいい感じの所を取ったみたいね。あいつらもたまには役に立つじゃない。」

 

明日菜「もう、失礼なこと言わないの。」

 

里香「そんなこと言ったって、あいつら本当にあまり役に立たないじゃない。」

 

珪子「そういうのはどうかと思いますよ。里香さん。」

 

和人「そんなことどうでもいいから、さっさと行こうぜ。」

 

和人に促され、明日菜たちは遼太郎たちのいる方へ向かった。

 

アンドリュー「待ちくたびれたぞ。」

 

和人「いきなり花見するから集まれって言ったって、すぐに集まれるわけ無いだろ。」

 

アンドリューの言葉に、和人はあきれたように言い返す。

すると、和人に遼太郎が言った。

 

遼太郎「おめえらだって、どうせ休日はやること無いんだろ?だったら俺達に付き合えってんだ。」

 

啓太「あははは・・・なんかごめんなみんな・・・」

 

啓太は遼太郎の隣で乾いた笑いを浮かべながら、和人たちに謝る。

 

里香「いいんじゃないの?暇だったのは事実なんだし。それにたまには((現実|こっち))で会うのも悪くないしね。」

 

啓太「そう言ってもらえると、こっちも助かるよ。」

 

和人「ところで、他には誰が来るんだ?母さんも来るって言ってたけど。」

 

アンドリュー「あと来るのは確か・・・俺のかみさんと、エルフィー、それからシノンだな。」

 

和人の質問に答えながら、アンドリューはジュースを振舞う。

 

啓太「黒猫団はみんな予定が入ってたらしくて、来られないらしい。」

 

美幸「私は来てるんだけど。」

 

啓太に対して美幸はぷうっと頬を膨らませる。

その様子に、啓太は僅かに頬を赤くしてから、両手を挙げて降参のポーズを取る。

 

啓太「悪い悪い、一緒に来たから言わなくてもいいと思って。」

 

美幸「むう・・・」

 

大地「美幸、その辺にしてやれ。ケイが困ってるぞ。」

 

大地がそう言うと、美幸はちらりと舌を出して笑った。

すると、そのやり取りを見た珪子が頬を膨らませて大地を睨む。

視線に気付いた大地は、首を傾げて珪子に訊ねる。

 

大地「どうした珪子?楽しくなかったか?」

 

珪子「何でもありません。」

 

珪子はプイッと視線を逸らすと、大地から離れていってしまった。

その様子に、美幸は苦笑して呟く。

 

美幸「悪いことしちゃったかな・・・?」

 

大地「う〜ん・・・美幸、俺珪子に何か悪いことしたか?」

 

美幸「大地はもう少し、女の子のことを勉強したほうがいいと思うよ。」

 

大地「はぁ?何言ってるんだ?」

 

美幸の言葉に大地が混乱していると、和人たちのよく知る人物が現れた。

 

?「俺達を置いて宴会なんて、そうはいかねえぜ。」

 

和人たちが視線を向けた先には、槍太がいた。

後ろにはバスターズの五人が呆れ顔で立っている。

 

俊夫「悪いな。俺達も邪魔させてもらうぜ。」

 

そう言って前に出てきた俊夫の右手にはコンビニの袋、左手には缶ビールが握られている。

 

大地「なんで、お前らがここに?」

 

進「どうもすみません。近くで食事をしていたのですが、大地君たちが荷物を抱えてこっちに来るのが見えまして。」

 

一哉「止めたんだが、槍太がな。」

 

進は頭を下げ、一哉は頭を掻く。

そんな2人に、アンドリューは笑いかけてから言う。

 

アンドリュー「いいんじゃねえか?人数は多いほうが盛り上がるしな。」

 

俊夫「じゃあ、遠慮なく邪魔させてもらうぜ。」

 

大地「最初からそのつもりだろうが。」

 

呆れ気味に言う大地だが、その表情はどこかうれしそうだった。

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しばらくして、詩乃たちが到着し、全員が揃うとそれぞれに飲み物が配られる。

クリスマスのときと同じく、大人たちには日本酒が、未成年の和人たちにはジュースが配られる。

 

翠「はい。和人たちはジュースよ。」

 

里香「え〜っ?アルコールじゃないの?」

 

不満の声を上げる里香に、翠は「ならちょっとだけ。」と酒を注ごうとする。

だが、和人、大地、槍太の3人がそれを止めた。

 

大地「クリスマスの再現はゴメンだよ。」

 

槍太「まったくだ。もうコリゴリだぜ。」

 

笑っている大地に対して、槍太は恐ろしいことを思い出したかのように冷や汗を掻いている。

 

里香「どうしたのよガッシュ?そんな引き攣った顔するなんてあんたらしくもない。」

 

元凶である里香の問いに、槍太は乾いた笑みを浮かべるしかなかった。

 

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大地視点

俺達は話をしたり、女性陣の作ってくれた弁当を食べたりしながら楽しい時を過ごした。

大体の食事が終わり、俺は顔を上に向けて桜を見ていた。

頭上に広がる白桃色の花びらは、とても幻想的で見ているだけで穏やかな感覚に包まれた。

 

大地〈良いものだな。こういう時間って。〉

 

そんなことを考えながら、ウトウトしていると、ある異変に気が付いた。

さっきから女性陣がなにやら騒がしい。

見ると、和人たちと揉めているようだ。

嫌な予感がして周りを見てみると、明日菜たちは顔を赤くしており、足元も覚束無い様子である。

珪子に至っては、仰向けに倒れて目を回している。

 

明日菜「んふふ、んふふふ、和人くんが2人いる・・・」

 

明日菜は奇妙な笑い声を上げながら、和人の体に絡み付いていく。

そんな明日菜に対して和人は、対処法を考えているのがかなり困惑した表情を浮かべている。

すると、その隣でもトラブルが起きていた。

 

里香「ガッシュ!あんたあたしの酌が受けられないてぇの!?」

 

酒瓶を片手にそう言う里香だが、もう片方の手で槍太の体をしっかりと密着させているので、酌を受けようにも身動きが取れないようだ。

 

槍太「酌受ける受けないの前に動けねえんだって!」

 

里香「口答えするな〜・・・」

 

槍太の言葉に、里香はさらに体を絡みつかせて槍太を締め上げていく。

 

槍太「ぐえぇぇぇ・・・!!誰か、助けて・・・・」

 

里香に拘束された槍太は、顔を青くしながら悲鳴を上げていた。

さらに、その隣でもまた別の2人が問題を起こしている。

 

仁美「遼太郎さん。もっと飲みましょうよ。」

 

遼太郎「おうよ!俺はまだまだ飲むぜ!よし!仁美ちゃんも飲め。」

 

この2人は、お互いのコップに酒を注いで飲んでいる。

そんなみんなの様子を見て、俺は思わず呟いた。

 

大地「まさにカオス・・・」

 

その直後、誰かに足を引っ張られた。

突然のことに俺は体勢を崩し倒れてしまう。

すると、誰かが俺の上に覆いかぶさってきた。

そして俺の首に手を回すと、腕に力を込めてきた。

 

大地「ぐえぇぇぇぇぇ・・・・!!」

 

当然ながら、首が絞まり呼吸ができなくなる。

俺はどうにかして覆いかぶさっている人物を退かそうとするが、周りにいろいろな物があるため身動きが取れない。

やむを得ず首を絞めている手を握って、首から引き離す。

 

大地「はぁ、はぁ、はぁ・・・し、死ぬかと思った・・・」

 

ようやく呼吸ができるようになり、荒い呼吸をしていると、声が上がった。

 

直葉「あ〜あ・・・!!シノンさん!!デュオ君になにしてるんですか!?」

 

詩乃「・・・別に、ただ抱き合ってるだけ。」

 

顔を赤くした直葉に平然と答える詩乃。

 

大地「ちょっと待て!!俺は危うく絞殺されるところだったんだぞ!!てか、なんで俺の上に乗ってるんだ!?降りろ!」

 

そう言って詩乃を引き剥がそうとするが、詩乃の方も俺の行動に対抗したかったのか、なかなか離れない。

すると、直葉がこちらへと向かってきた。

 

大地「直葉、こいつを退かすのを手伝ってくれ。」

 

俺は助けを求める。

だが、彼女がもたらしたのは天からの救いの手ではなく、災厄の魔の手だった。

 

直葉「動けなくなってるデュオ君って面白い。チューしちゃおう。」

 

そう言って、直葉は唇を近づけてくる。

俺はシノンの手を押さえるのに両手を使っているため、抵抗することができない。

 

大地「ぎやぁぁぁぁぁ・・・!!誰か助けてぇぇぇぇ・・・!!」

 

藁にも縋る思いで叫ぶが、助けてくれるものはいない。

和人は明日菜によって、槍太は里香によって拘束され、啓太や進たちも半ば暴走気味の大人たちの世話で手一杯のようだ。

仕方なく、俺は詩乃の腕を上に持ち上げると、体を足の方へ滑らせて拘束から脱出した。

 

大地「いい加減にしろよ・・・何でお前ら酒飲んでんだ・・・?」

 

アンドリュー「すまん・・・ちょっとぐらいなら大丈夫だと思ったんだが・・・」

 

大地「何てことするんだよ・・・」

 

アンドリューに対する呆れと拘束からの脱出の疲労で、俺は崩れるようにその場に座り込んだ。

すると、酒を飲んでいない美幸が声をかけてくれた。

 

美幸「大地、大丈夫?」

 

大地「ありがとう、美幸。俺は大丈夫だから、カズたちの方を手伝いに行ってやれ。」

 

俺が指差したほうを見て、美幸は苦笑する。

 

美幸「あ、あっちも大変そうだね・・・」

 

大地「ああ、特に槍太は早めに救助しないと本当に殺されかねないからな。」

 

美幸「なら、大地が行けば?」

 

大地「悪いけど、俺は詩乃たちを相手取らないとならないから、ちょっと無理だ。」

 

美幸「わかった。じゃあ、私は向こうを手伝いに行くね。」

 

それだけ言い残すと、美幸は和人たちの方へ行ってしまった。

 

大地「またもこんなことになるとは・・・次集まるときは、絶対に酒を持ち込ませないようにしないとな。」

 

そんなことを言っていると、俺の背中にふらふらと歩いてきた珪子が倒れ込んできた。

 

大地「おっと。珪子、大丈夫か?」

 

すぐさまその体を支えると、酔って真っ赤な顔をしている珪子に話しかける。

 

珪子「大地さん・・・おんぶしてくださ〜い・・・」

 

返ってきたのは返事ではなく、意味不明な要求だった。

 

大地「はぁ?何言ってるんだ?」

 

珪子「おトイレ行きたいです。連れて行ってください・・・」

 

珪子は、熱っぽい目+上目遣いでそう言ってくる。

俺は立ち上がると、珪子を背負ってトイレに向かった。

しばらくして、珪子がトイレから出てきたが、まだ覚束無い足取りをしていたので、帰りもおんぶすることになった。

そして、俺たちが戻ったときには、体力を使い果たしたのか暴走していた明日菜たちは丸まって眠っていた。

その隣には、絡まれていた和人たちが魂が抜けた死体のように転がっている。

 

大地「あ〜あ・・・この後片付けは大変そうだな・・・」

 

その後、俺はまだ起きていたアンドリューや光たちと協力して、後片付けを行った。

 

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あとがき

 

サチとケイタの本名を出しました(※注:オリジナルです)。

 

サチは((早乙女 美幸|さおとめ みゆき))で、ケイタは((富永 啓太|とみなが けいた))です。

(啓太はそのままですねw)

 

連続で番外編になってしまい、すみません。

次回は本編を投稿します。

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コメント
本郷 刃さんへ 必ずお酒ができますからねw和人「なるほど、その対処法は思いつきませんでした。機会があればやってみます。」大地「俺は、そんな機会はきて欲しく無いよ・・・」(やぎすけ)
花見というのは大体カオスになるものなんですよねww あ〜和人さんや、明日奈さんへの対処は抱き締めてあげれば良いと思いますww(本郷 刃)
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