真・恋姫無双〜白き牙を持つ者〜 #80
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〜 第80話 †雨の中の激情† 〜

 

 

雨が降りしきる中強行軍で私たちは進んでいった

その結果、途中で離脱者が出たものの予想していたよりも早く徐州へ着きそうだ

 

 

 

「桂花(けいふぁ:荀ケ真名)部隊はどうなっているのかしら?」

 

 

猫耳フードをかぶった子が私の傍にきて報告をする

 

 

「はっ・・・途中おおよそ5千人ほどの離脱者が出ておりますが

 後続の輸送部隊に合流させ、その警護をやらせております

 1日以内にこちらへ到着すると思われます

 それまで少し先にある広場で一旦休んでから徐州入りした方がよろしいかと」

 

「そうね、強行軍できたせいで皆も疲れてるみたいね

 一部偵察を出しつつ、広場までいくわよ」

 

「御意!」

 

 

本当ならこのまますぐにでも攻め込みたい衝動をなんとか抑えつつ

視界の開けた場所まで移動を開始する

雨が降り視界が悪い森の中を抜け

視界の先に開けた場所が見え始めると

陰鬱とした私の気持ちも少しは晴れ始めた

さて・・・どうやって徐州を攻め滅ぼしてやろうかしら?

そんな考えを持ちながら視界が開けた広場に出ると・・・

 

 

「やぁ曹操(そうそう)殿待ちわびていましたよぉ」

 

 

顎鬚を伸ばし、白髪交じりの長い髪の毛を後ろで縛った

目の下に隈があり頬が痩せこけた文官服を着た男が両手を広げて待っていた

 

 

男は後ろに兵士を展開させて、私が見たこと無い兵器を前に・・・

この男を私はよく知っている・・・愛する父を殺した人物

 

 

「陶謙(とうけん)!」

 

「おやおやぁ?曹操殿いかがなされたぁ?

 私めには曹操殿が私めと争う理由が全く思いつきませんなぁ〜」

 

 

ギリッと歯を食いしばり、指が手のひらに食い込むほど力が篭る

それ以前に偵察に出した者たちは何故報告をしなかった?

何故向こうが展開している事に気づけなかった?

私は荀ケ(じゅんいく)の方を向くと、彼女の顔が青くなっており

この事が予想外というのがよく分かった

私が弁論している間に部隊の展開をさせるしかなさそうだ

 

 

「私の父を殺しておいてよくも、そんな白々しい事が言えるのね?」

 

「曹嵩(そうすう)殿に関しては惜しい人物でしたなぁ・・・

 しかし、我々も警護をしていたのですぞ?しかも、殺されたのですからなぁ

 未だに殺した黄巾党達を探しておりますが、足取りは掴めませぬ

 いやはや困ったものですなぁ」

 

 

困ったと言いながらこの男はヘラヘラと嗤っている、虫唾が本当に走る奴だ

 

 

「おかしい事を言うのね、この辺りに黄巾党の残党は残ってなかったはずだけれどね

 しかも、お父様につけてた護衛は確か私から200人、貴方の所で100人の結構なモノ

 それを全て殺せるほどの残党は少なくとも私が調べた所居なかったはずよ?」

 

 

私の反論に顔を歪ませるがすぐにまたニヤつく顔に戻る

 

 

「私の領地に関して私ほど知る者はおりますまい

 襲われる前からちらほらど残党の話は聞いておりましたゆえ

 対策を立てていた矢先に曹嵩殿が襲われ殺されたのはほんとぉに我々も遺憾なのですよぉ

 我々に非があるのは認めますゆえ、許してもらえませんかねぇ?」

 

 

そういって膝をついて、頭を下げられる・・・が

私の中で燃え上がっていた炎という名の復讐心が爆発した

 

 

「ふざけるな!!私に許して欲しければ貴様の命以外ないわ!!!」

 

 

覇気を全開にふりまいてしまったせいだろう陶謙は尻餅をついて後ずさる

 

 

「ひ、ひぃっ!!」

 

 

そこへ伝令がやってきた

 

 

「曹操様!後方の部隊が黄巾をつけた者達に襲撃されております!!」

 

 

その報告を受けて私は目の前にいるゴミにさらに恨みの目を向ける

 

 

「陶謙・・・どこまでもっ!!

 皆の者後退するぞ!!」

 

 

即座に私は撤退を指示して下がる

しかし、その状況を逃す陶謙ではなかった

 

 

「くひゃひゃひゃひゃ!!いいぞ!いいぞぉ!

 お前達曹操を追撃しろぉ!あの小娘達の兵器:連弩砲を撃ちこめぇい!」

 

 

その兵器は武将が撃つ弓矢のような威力を持ちながら

どこまでも遠くに撃つ事ができる兵器だった

親衛隊などが盾で防ぎながらなんとか後退していくがそれでもかなりの犠牲を負ってしまう

それでもなんとかその場から撤退して

後方の部隊に追いつくと、そこはもう混戦状態だった

幸い陶謙からの追撃は途中で終わっていたのだが・・・

なんとか沙和(さわ:于禁真名)と真桜(まおう:李典真名)の二人が指示を出してもたせている

黄巾をつけた奴らは撤退してきたこちらを見ると逃げ出していった

後方の部隊に追いついた私たちは即座に指示を出して体勢を立て直しながら

陳留(ちんりゅう)へと帰っていく

ここで私はさらに間違いを起こしていた

もう、敵の追撃はないと勝手に思い込んでいた

 

 

それがやってきたのは左右を崖に挟まれた谷間の道だった

 

 

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「曹操ぉ!覚悟ー!!!」

 

 

その掛け声と共に崖の上から落石が降ってきた

 

 

「な、なんなの!?報告はどうなってるのよ!!」

 

 

隣にいた荀ケが取り乱し

瞬時に危険と判断したのか季衣(きい:許チョ真名)と流琉(るる:典韋真名)が私の傍にくる

 

 

「崖の上からの投石みたいね・・・皆の者早く切り抜けなさい!!」

 

 

私はこの谷間を迅速に抜けるように指示を出す

私もいち早く抜ける為に馬を蹴り駆け出す

他の子達も私からあまり離れずについてくる

チラッと後ろを確認すると崖の上から無数の馬に乗った奴らが突撃してきている

その勢いは激しく、一直線に私に向かってきていた

 

 

「華琳(かりん:曹操真名)様!私達が抑えますので早く!」

 

「凪(なぎ:楽進真名)それに沙和に真桜、ほどほどにして撤退しなさい」

 

「「「御意!!」」」

 

 

楽進達が抑えに入ったが、その勢いは止まらないようだ

それでも私は振り返ることをせずに馬をさらに駆けさせる

 

 

「華琳様、私達が次はいきます!」

 

「季衣、流琉・・・頼むわよ」

 

「「はい!任せてください!!」」

 

 

私の傍にはもう荀ケしか居なかったが

私の屈強な者たちが居なくなるという心配はしていなかった

ただひたすらに馬を駆けさせていた

後ろから来ている者に気づかずに・・・

 

 

「曹操、その命もらいうける!!」

 

 

その綺麗な黒髪を靡かせ、手に持つ青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)が

私の命を刈り取るのだと分かっても、それを持つ少女が美しいとさえ感じてしまった

目を閉じて死を覚悟した瞬間に身体を誰かが強く押して馬から転げ落ちた

そのおかげで生き延びたのだが誰がそんなことを?

身体中が痛いのだが我慢して目を開けると

 

 

「大丈夫か?華琳?」

 

 

関羽(かんう)の一撃を背中で受け止めた厳白虎(げんはくこ)の姿がそこにあった

 

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〜あとがきっぽいもの〜

 

 

春先はゴタゴタする季節ですね・・・ウンザリな気分です

おかげで妄想する気力さえ根こそぎ取られて更新が遅くなりすいません

前回に引き続き華琳様視点ですが・・・やっぱり侵攻は失敗してしまっています

描写が上手く書けないせいで色々と駄目ですがこれが自分の文章力なんでしょうかね・・・

トーケンはどうしようかと思いましたが、外史ですので色々と歪ませてもらってます

まぁどこぞの誰かが入れ知恵したせいでちょ〜っとおかしくなったと思っていただければ・・・

そして、最後に白ちゃんがようやく登場です!

さて、こっからどうなるのでしょうか?

すでに五月病な駄文ですが、呆れずに次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

説明
この物語はオリ主メインの外史です
視点は基本オリ主となっています
その他にご都合主義・チート・独自ルートで書いています
苦手な人はご遠慮ください
大丈夫な人は駄文にお付き合いください

毎回の閲覧・支援・コメント感謝感謝です!
前回に引き続きあの人の視点です・・・
色々荒い部分が多いかも・・・
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コメント
h995さん>どっかしら知識がある人間が過去に行くと絶対弊害が起こると思うので今回はその一つですね。 一刀君なりに先を見据えての行動だと思ってくださいっ(tokkey)
観珪さん>そういってもらえると嬉しい限りですっ 期待に応えられるように頑張ります!(tokkey)
美髪公の斬撃をまともに背に受けた時点で、白が対応するのは既に無理な気がしますが。そしておそらく一刀の、陶謙が善人として描かれている演義知識の弊害がここで出てしまったようですね……(h995)
華琳さまは白くんに助けられたみたいですし、襲ってきたのは愛紗さんっぽいし、曹操軍も大変な騒ぎではありませんか この争いに白くんはどう終止符をうつのか、今から楽しみです!(神余 雛)
タグ
真・恋姫無双 ご都合主義 恋姫視点 

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