呉編〜第十二章 雪蓮生存ルート
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〜〜〜〜前回までのプリズンブ………真・恋姫?無双〜〜〜〜

 

真・恋姫が発売されると知り、登場キャラに黄蓋が居ると分かった時に赤壁の決戦の前に周瑜と黄蓋のSMプレイがあると思ったのは私以外にもいるはずだ!!

 

冥祭「「何の話をしておる(んだ!)(んじゃ!!)」」

 

俺「ギャーーーーーーーーー」

 

 

 

 

みたいな続きです。(大嘘)

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「華琳様、黄蓋殿をお連れしました。」

 

「ご苦労」

 

「……あなたが曹孟徳で在らせられる?」

 

「ええそうよ。あなたが呉の宿老と讃えられた黄公覆ね」

 

「いかにも」

 

「黄蓋、あなたは我が陣営に降るそうだが?その理由を述べよ」

 

「呉内部には武を軽んじる人間がおる。…その者の名は周公謹、そして北郷一刀。奴らは我が武を軽んじ罵倒しおった…そればかりか衆目の面前で儂を鞭打ちの刑に処しおった!これが呉建国から携わってきた者に対する仕打ちであろうか!」

 

と言いおもむろに着ていた服に手を掛け、脱ぎ捨てた祭。

 

「「「「「「「「!!こ、これは………」」」」」」」」

 

絶句する魏の面々。その身体の至るところに傷があった。しかもまだ傷は全く塞がっておらず、その至る所から血が滲みだしている。服の内側は鮮血で真っ赤に染まっていた。一体何度振るえばこのような姿になるのであろうか………それは立って歩く、いや、生きているのが不思議なくらいの姿であった。

 

「……こういう事じゃ。そして儂が最も許せんのは孫伯符!あやつは周瑜には何の咎めも与えておらぬ。ということは儂の言より周瑜の言を採ったということじゃ。儂の言っておる事は間違っておるというのか!?武をもって征する事を進言する事が何故悪い!儂はあやつは先代・孫堅殿にも並ぶ英傑じゃと思っておった。しかしどうやらそれは違っておったようじゃ。あやつはただの臆病者……曹魏の大軍団に恐れをなしおった。そのような奴がどうして天下を獲れようか!大軍を真正面から破ってこそ本当の勝利だとは思わぬか…のぉ、魏武の大剣よ?」

 

「うむ、良く分かるぞその気持ち!」

 

「そういう事じゃ。あそこはもう儂の知っておった呉ではない……ただの腑抜けたヒヨッコの集まりにすぎぬ」

 

「そう、それで黄蓋、我が軍に降る条件は?」

 

「孫呉を討つ事。そして全てが終わった後……この儂を討ち果たす事」

 

「なんと……そこまでの覚悟が…」

 

「江東をあなたが治める気はない?あなたほどの人物なら、この一帯を任せても構わないわよ」

 

「儂は孫家に仕える身。それ以上の身分は求めようとは思わん。それに…孫呉が滅びるという事は儂も滅びるという事だ」

 

「自ら死兵になると……分かったわ黄蓋。あなたに私の真名を呼ぶことを許しましょう。私の真名は華琳よ」

 

「すまんが曹操殿、それは断らせてもらおう」

 

「「「「「な、何ですってーーー!?」」」」」

 

「儂は孫呉に心身を捧げた身。魏に降るのも真の孫呉を守るため。余計な馴れ合いは遠慮願いたい。そもそも儂はこの戦が終われば真の呉の将として魏に戦いを挑ませてもらう」

 

「何だと!?たった一人でか?正気か貴様?」

 

「戦場で死ぬのは武人としての本望。むしろ望むところ!!」

 

「な……!!」

 

「あなたの負けよ春蘭。いいわ黄蓋、あなたを加えることを許しましょう」

 

「ほぅ、裏切ると分かっていてなお、受け入れるか」

 

「当然よ。我が魏に徒成す行為を働けば、容赦なくそれを討つ。ただそれだけよ」

 

「ふっ、これが覇王・曹孟徳か。ならばこちらも非礼を詫びねばなるまいな。華琳殿」

 

「真名は」

 

「祭」

 

「ならば祭よ、その名はしばし預かっておきましょう。では黄蓋、すぐに軍議を開く。あなたも参加し意見を述べなさい。いいわね?」

 

「御意」

「(策殿、冥琳。曹操はこちらが思っているよりも遙かに強大ですぞ。覚悟なされ)」

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「祭が……呉から去ったというのか……」

 

がっくりと肩を落とし魏軍の方を見ている蓮華。思春、明命、亞莎も同じような状態であった。

 

「なぁ雪蓮……そろそろ呉の皆には言っても良いんじゃないか?」

 

「う〜ん、まだ少し早いような気もするけど…どうする冥琳?」

 

「本当はもう少し後が良かったですが……これ以上士気が下がるのも頂けませんですしね。………これから緊急の軍議を行う!雪蓮、蓮華様、穏、思春、明命、亞莎そして北郷以外はこの場から去れ!」

 

冥琳の一言で人払い開始した面々。そして今この甲板にいるのはこの8人だけとなった。

 

「それで姉様、冥琳!いったいこれからどうするつもりです!?」

 

「まぁまぁ落ち着きなさい蓮華。皆、これから言うことは決して他言無用よ……」

 

その雪蓮の一言でこれから話すことがどれだけ重要な事かを察した華、思、明、亞の4人。押し黙り雪蓮の説明を待っていた。

 

「んんんっ! それでは説明しよう!実は今回の事は祭と冥琳が考えた策だったのだ!細かい事は冥琳、よろしく〜」

 

「「「「……はっ?」」」」

 

全く理解されなかった。

 

「はぁ、雪蓮に説明を求めた私が馬鹿でした…。皆、今回の祭殿の裏切り、いや、私と祭殿の口論の始まった一連の出来事……それは全て偽りのものです」

 

「偽りだと!?では祭は我々を裏切ったわけではないのだな!?」

 

「えぇ、その通りです。そもそも祭殿が我々を裏切るはずがありません。何故このような事をしたのかと言うと、いくら劉備と組んだといえ敵である曹魏は強大。生半可な策は通用しません。その為、今回の戦に勝つにはこの作戦しかありません。ですので私と祭殿はあの場で仲違を演じて見せたのです」

 

「演じた、だと?」

 

「御意。曹操の間謀が我が軍に潜んでいるのは間違いありません。間謀の目を欺くには味方から……そう思ったのです」

 

「皆これが演技だと知っていたら本気で追撃できたか?俺は無理だと思う。そんな覚悟では間謀に気付かれてしまう。だから祭さんも本気で迎撃してきた(冥琳と俺二人に)。というのが事の真相だよ。この作戦で少しは向こうの警戒が緩んでいると思う」

 

「そういう事だったの……って一刀!あなたまさか気づいていたの!?」

 

「まぁ、一応……な。何?意外だった?」

 

「えぇ、あなたはたまに良い事も言うけど、いつもはボケーっとしていたから…ちゃんと考えていたのね」

 

うんうんと頷く一同。あれ?俺の評価ってこんなに低かったの?

 

「そうか?北郷は良くやっている。と私は思うのだがな」

 

「「「「「「「冥琳(様)が人を褒めている!!!!!!!」」」」」」」

 

「…………何だ?」

 

「何だ?じゃないですよ〜!私なんか一番弟子のくせにほとんど褒めてもらった記憶なんてないですのに……」

 

「わ、私も弟子となってからは一度も……」

 

「それは貴様らの頑張りが足りないからではないか(ニヤ」

 

「「ガーーーーーーーーーーン」」

 

「(私も褒めてもらった記憶は無いわね…)事の経緯は分かったわ冥琳。で肝心の策とは何をする気だ?」

 

「火計です。手筈では祭が火を放った後、総攻撃を開始します」

 

「劉備達にはどうするつもりだ?ヤツらは気付いていないのではないか?」

 

「それは大丈夫です。孔明が気付いております。奴のことだ、上手いことやってくれうでしょう。これが今回の作戦の全全貌です」

 

「そう言う事〜、後は今回の指揮を執る一刀に従ってね、皆!」

 

「はっ!?マジかよ!?」

 

「まじ!よ。ちゃんと冥琳を補佐に就けるから安心なさ〜い。それと皆にも言っておく事があるわ。今回のこの戦が終わった後、私と冥琳はそれぞれ王と大都督の任から降りるから。その代わりとして蓮華、一刀。あんた達が次代の呉を担うのよ。分かったわね、皆!」

 

「「「「「「御意!!!!!!」」」」」」

 

「マジかよ………俺めっちゃ責任重大じゃないか…出来るのか…俺に」

 

「一刀、あなたならやれる。いいえ、やるのよ。それに大丈夫よ。私、冥琳、祭、そしてここに居る皆があなたを認めているのよ?だから一刀、これはあなたにしかできないの」

 

「北郷!」

「一刀!」

「一刀さん!」

「北郷…」

「一刀様!」

「一刀さま!」

 

「皆……分かった!今回の指揮…謹んで受けるよ!皆、俺についてこれるか!!?」

 

「……ついてこれるかではなく、貴様が我らに遅れるような気もするがな…」

 

「フン、確かにその通りだな。北郷、指揮官が遅れをとるなよ?」

 

「思春、冥琳……折角俺がかっこいい事を言ったのに…」

 

 

今回の作戦の案も全て出揃い、指揮官となった北郷は皆に指示を与えていた。その時、遂に魏軍の方から大きな炎が上がった。

 

「やったわね…祭!! 皆!あの炎を見よ!!あの炎こそ黄蓋が己の全てを賭けて灯した魂の炎!そしてあの炎こそ我ら孫呉の未来を照らす光!皆あの炎に向かい突撃せよおぉぉ!!!」

 

雪蓮の号令のもと総攻撃を開始する呉蜀同盟。遂に戦いの火蓋が切って落とされたのであった。

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「祭さんの船は!?」

 

「はっ、先程曹操の陣より船が出てまいりましたのでおそらくそれに乗っているかと」

 

「よし……思春!明命!俺と共に祭さんの救出に向かうぞ!」

 

「待て、祭様の救助は私と明命だけで構わん。貴様はおとなしく待っていろ」

 

「救出は思春、明命の二人でやってもらうよ。俺はちょっと別の要件があるんだ」

 

「別の要件……ですか?」

 

「そう。ちょっとでも祭さんの役に立たないとな(殺される恐れがあるし……)」

 

――――――――黄蓋軍

「ハハハ、作戦成功じゃ!あとは急いで呉の陣へ帰るのみじゃな。どれ…迎えは誰が来ておるのかのぉ…………甘、周それに十文字か………っ十文字!?北郷じゃと!?何故あ奴が? うん?奴はどこへ行く気じゃ?それに藁が敷き詰められたおかしな船に乗っておるのぅ」

 

「「祭さま!!」」

 

「おお、ご苦労じゃったな!それではさっさと戻るかの。それと北郷の奴は何をしておるのじゃ?」

 

「矢を集めているそうです。ああやって動き回って船に矢が刺さるのを誘っているのです」

 

「ほぉ、考えたな。火が回っている時に火矢を使うという気はおこらんだろうし、良い作戦じゃな」

 

そして祭と救出に向かった3人は無事帰還した。

 

「祭殿!! よくやってくれた!」

 

「なんじゃ冥琳が素直に褒めるなど気色が悪い……………だが悪い気はせんな」

 

「祭お疲れ様。早速で悪いけど、攻撃に加わってもらえるかしら」

 

「策殿……勿論じゃ!というか無理矢理でも加わらせてもらうぞ!!」

 

「祭さん、お疲れさまです!それとこれ、少ないかもしれないけど矢を集めてきたよ」

 

「北郷…まさかそなたに打たれるとは思っておらんかったぞ…あれは痛かったのぉ。帰ってから覚えておくがよい。たっぷりとお礼をしてやろうな (ニヤ」

 

「そんな…………俺だけ」

 

「雪蓮!魏軍より惇、許、典の三旗が突出してきたぞ!」

 

「だそうよ、一刀。これからはあんたの出番よ」

 

「分かってる!亞莎!敵の配置はどうなっている?」

 

「先鋒に夏候淵、楽進、李典、于禁。後方に郭嘉、程c、荀ケ、張遼!」

 

「突出してきた三人、及び中央の軍は劉備さん達に任せよう。我々は左右より展開する。冥琳、祭、明命は左翼より進み先鋒の軍に当たれ! 蓮華、穏、亞莎、思春の四名は右翼より後方の軍を蹴散らせ! そして残った曹操は俺と雪蓮で叩く! 以上だ!何か問題はあるか!?」

 

「問題は無いが……張り切り過ぎだ北郷」

 

「ハハハ!何を言う冥琳。これくらい元気がある方が良いではないか。誰かさんの指示はいつも覇気がないからのぉ」

 

「………………誰の事を言っておられるのですかな、祭殿?」

 

「はいはい、そこまでそこまで。全く……仲が良すぎるというのも困りものよね〜」

 

「「仲良くなど(ありません!)(ないわ!)」」

 

「ふふ、そうね。そういう事にしておくわ。それじゃ皆!往くわよ…これが最後の戦いよ!!!そして勝つのは我々よ!!全軍突撃いぃぃぃ!!」

 

「「「「「「「「応っ!!!!!!!!!」」」」」」」」

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――――――――魏軍先鋒

「秋蘭様!呉軍より黄、周、泰の牙門旗が迫っております!」

 

「黄蓋殿か……凪、真桜、沙和!黄蓋は私が引き受ける。残りの周瑜、周泰はお前達に任せる。敵はあの周公謹だ…。決して油断はするなよ」

 

「はっ!!」

「了解や!」

「分かったの〜」

 

対峙を始めた両軍。静寂を切り裂いたのは祭の声であった。

 

「魏の者共よ!儂が火を放った黄蓋であるぞ!皆かかってこい!!」

 

「煽ってどうするのです祭殿……」

 

「自重して下さい祭様…」

 

「なんじゃなんじゃおぬしらもっと…………………っと…いきなり矢を放つとは中々味な真似をしてくれますなぁ…夏候淵殿」

 

「失礼、隙だらけに見えましたので。どうやら私の思いすごしだったようですが。それに同じ弓の使い手としては是非とも黄蓋殿とお手合わせ願いたいと思っておりまして」

 

「儂も貴殿と戦いたいと思っておったのじゃよ……夏候淵殿ッ!!」

 

そう言うと同時に素早く矢を放つ祭。しかしそれをかわし、すぐさま矢を放つ夏候淵。ここから先は弓の名手しか踏み込めない領域であった。

 

「二人とも凄く正確な矢を射ってるの〜」

 

「沙和、そんなもん見とる場合とちゃうやろ」

 

「そうだ、我らの相手はあの周公謹と周幼平なのだぞ」

 

「おや我々の事を知っているのですか……楽進、李典、于禁殿」

 

「凄いのー!あの周瑜さんが私達の事を知ってるのー!」

 

「ほんまやな〜、うちらもここまで有名になっとったんやな〜」

 

「真桜、沙和!もっと緊張感を待たんか!相手は呉の大都督と呂布軍を相手に一人で立ち向かったあの勇将・周泰だぞ!」

 

「何や凪〜、自分かて名前を知られとって嬉しいくせに〜」

 

「なっ、そ、それは少しくらいは嬉しかったが……い、今はそれどころではないであろう!」

 

呉の将二人を前にして騒ぎ出す魏の三馬鹿………失礼、三羽鳥。

 

「明命……この隙に奴らを捕えても良いのだろうか?……明命?」

 

「はわ〜。わ、私も有名になったのですね〜」

 

「…………お前も嬉しかったのだな…明命」

 

この対決はすぐに決着がつきそうであった。

 

 

 

 

――――――――魏軍後方

「伝令!右翼より孫、陸、呂、甘の旗が接近しております!」

 

「何ですって!?今の今まで気づかなかったの!?見張りは何をしていたの!?」

 

「甘の旗があるという事は間違いなく甘寧の仕業でしょう…元・水賊は伊達ではありませんね」

 

「私達、魏は水上戦に慣れていないのでこれはちょっと苦戦するかもしれないのですよ〜。霞さんそろそろ出番なのですよ」

 

「ぐぅ〜」

 

「おぉ、それは風のモノなのですよ。というわけで、ぐぅ」

 

「寝るな!二人とも!!」

 

「「おぉ〜」」

 

「何かもう…いきなり心配だわ……」

 

「何や何や?敵か?敵が来たんか?」

 

「そうです。恐らく孫権、陸遜、呂蒙、甘寧の四名かと」

 

「そうか…ッフフ、また後方に置かれた時は出番が無いかと思っとったがこんなに早ぅ出番が廻ってくるとはなぁ!よっしゃあ!!張遼隊行くでぇ!」

 

「待ちなさい霞!っもう!!なんで魏にはこんなに猪が多いのかしら!」

 

「まあまあ桂花ちゃん。ここは風たち三人で頑張るのですよ」

 

「欲を言えば周公謹とも会ってみたかったが…相手は陸遜、呂蒙と呉きっての名軍師。そして猛将甘寧。さらには次期王とされる孫権までいる。相手にとっては不足はありませんね」

 

「そうね…。分かったわ。さっさとこいつらを撃破して華琳様の元に戻りましょう」

 

 

「どかんかいワレら!!!この張文遠、雑魚に用はあれへん!用があんのは名のある将だけや!!!」

 

四人が魏軍の甲板へと降り立つとそこは張遼の独り舞台と化していた。神速の槍捌きで向かってくる敵を薙ぎ払い、斬り倒す―――――――

まさに鬼神の如き戦いっぷりであった。

 

「やっと来たか……孫権!隠れとらんとウチと戦え!!孫呉の次期王様は腰ぬけか!?兵が殺られているのを見ているだけの臆病者なんか!」

 

「くっ!!」

 

「い、いけません蓮華様!」

 

「う〜ん、確かに今の張遼さんに向かっていくのはダメですね〜。関羽さんぐらいの人じゃないと勝てそうにないですね〜」

 

「ならば黙ってこのまま見ておれと言うのか!」

 

蓮華がそう言った時である。蓮華の横を一迅の風と共に音がした。―――――鈴の音である。

 

「張文遠……貴様の相手…この甘興覇が引き受ける!!!」

 

「思春!!」

 

「えぇねぇ……そうや、そうこんとなぁ、甘寧!!」

 

槍を振るう張遼。それを紙一重で避ける思春。さらには避けながらカウンターの突きを見舞う思春。しかしそれを先刻の思春と同様に紙一重で避ける張遼。その速度…まさに神速。神速同士の対決であった。

 

「ウチの槍についてくるとは、中々やるやないかい甘寧!ゾクゾクしてきたでぇ!こんな気持ちになるんは久しぶりや!」

 

「フン、良く喋る……蓮華様!ここは私が引き受けます!先に進んでください!」

 

「しかし!!………いいえ、分かったわ。ここは任せたわよ思春!」

 

張遼の横を通り抜ける蓮華ら3人。しかし張遼は三人に手を加えようとはぜず、ただ見ているだけであった。

 

「………何もせぬのか」

 

「当たり前や。そんな野暮な真似するかいな。それにウチが手を出さんでもこの後ろには魏最高の頭脳を誇る三人が控えとる。ほやからウチは何もせんでもええねん。……それに今ウチが興味あるんは甘寧、あんたやあぁぁぁ」

 

話終わるまでもなく攻撃を仕掛ける張遼。それをいなす思春。先程からこの攻防が繰り返されていた。

 

「流石は神速と謳われる張文遠……しかし私もこの戦い…負けるわけにはいかんのだっ!!いくぞ張遼!!鈴の音は…黄泉路を誘う道しるべと思えぇっ!!!」

 

呉と魏。屈指の武を誇る者同士の戦いが再び開始された。

 

 

 

「待ちなさい!これより先…華琳様の元には行かせないわよ!」

 

「あなたは…荀ケね。それに曹魏が誇る三大軍師が揃い踏みとは豪勢だな」

 

「そう言うあなたは孫呉の次期王ではないですか。それに他の二名は陸遜、呂蒙と呉きっての名軍師。そちらの方が豪勢だと思いますが」

 

「わ、私なんかが名軍師ですか…」

 

「「ぐぅ〜」」

 

「「寝るな!!」」

 

「「おぉ〜」」

 

「穏!どうしてあなたまで寝ているのだ!」

 

「いや〜見ていて気持ちが良さそうでしたのでついやっちゃいました〜。ねぇ程cちゃん」

 

「そうですね〜陸遜さん。風はあなたと仲良くなれそうなのですよ〜」

 

「「ね〜」」

 

「「「「ね〜、じゃないわよ!!!!」」」」

 

 

…………………とても両軍の頭脳派の対決とは思えない状況であった。

 

 

――――――――――雪蓮・一刀

 

「どこもかしこも派手にやってるわね」

 

「雪蓮、俺達もそろそろ行くか?」

 

「えぇ、あまり曹操を待たせるのも悪いしね〜。行くわよ一刀!」

 

雪蓮、一刀出陣開始―――

 

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黄蓋vs夏候淵

「くっ流石は呉の宿老・黄蓋殿ですね…」

 

「そういうお主もやりおるわ!…所でそろそろ矢が尽きる頃ではないか?夏候淵殿?」

 

「そうですね……そろそろ終わらせましょう」

 

これが最後の射―――そして射られた矢は二人に当たる事はなく海中へと消えて行った。

 

「引き分け……ですね」

 

「そう…………とは限らんなぁ夏候淵殿」

 

「なっ!?」

 

これが最後の矢と思われていた。しかし祭はまだ弓を持っていたのである。

 

「すまんな。我が軍の次の大都督様がわざわざ矢を用意してくれてな。これは持っていかねばならんじゃろ?それに儂の筋力をそこいら辺のひよっこ共と同じと思わないことじゃな」

 

そう言って矢筒を下ろす祭。その中にはまだ一杯の矢が入っていた。

 

「!あなたはこれを持って私と戦っていたというのですか………私の負けです…」

 

「ハハハ、楽しかったぞ夏候淵殿!今回は儂の勝ちじゃ」

 

弓の名手同士の対決は祭に軍配が上がった。

 

 

 

冥琳、明命vs三羽鳥

「(……明命、李典と于禁の相手をしろ。私は楽進を抑えておく)」

 

「(はっ!)」

 

言い争っている三人をよそに冥琳は明命に指示を与えていた。そして楽進目掛け攻撃を仕掛けた冥琳。

 

「あなたは気を操るそうですね楽進。残念ながら私は気を読むことは得意でしてね(雪蓮のおかげで)。あなたには少々嫌な相手だと思いますよ」

 

「その様な事……やってみなくてはわからない!!」

 

気を練った塊を蹴り飛ばす凪。それをひらりと避ける冥琳。

 

「凪のやついきなり大暴れやな〜」

 

「そうなのーああなった凪ちゃんはとっても強いから大丈夫なの〜。だから私達は周泰さんの相手を………あれ?いない?」

 

「……勝負ありです」

 

「「へっ??」」

 

二人が明命に攻撃を仕掛けようとしていたその時、明命は二人の頸筋に刃を当てていた。

 

「い、命だけは、お助けを〜」

「沙和〜そんな情けない事言いなや…」

 

明命vs李典、于禁あっけなく決着。

 

 

「ほらほら、どうした楽進?先刻から一つも私に攻撃は当たっておらんぞ?」

 

「くっ……これでどうだっ!!」

 

「……甘い。………ではそろそろ終わらせてあげましょう」

 

楽進に向かって行く冥琳。スッと刀を抜き素早く斬りかかっていく。魏内には大振りな攻撃の者が多く、このような素早い連撃をあまり経験がしたことがない楽進は防戦一方となってしまった。そして遂に片膝をついた。

 

「まだまだ若いですね楽進。もっと経験を積みなさい」

 

冥琳貫禄の勝利であった。

 

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思春vs張遼

「うらうらうらあぁぁぁぁ」

 

「っつ!はぁつ!!」

 

剛の張遼、柔の思春。まさに一進一退の攻防であった。そんな時意外にも思春が声をかけたのであった。

「張遼殿……貴様は何のために戦っておるのだ…?」

 

「はぁ?そんなん楽しいからに決まっとるやろ。あんたもそうとちゃうんか元・水賊、甘寧!!」

 

「そうだな……確かに以前の私ならそうかも知れんな。………だが今の私は違う!!」

 

「っつ!?」

 

今まで以上の速度で懐に入り込み拳を振るう思春。その拳は遂に張遼をとらえた。

 

「ぐはぁっつ……あ〜あ、ウチの負け……やな。ほや、甘寧あんたは前の自分とはちゃう言うとったけど、何が変わったんや?」

 

「守りたいものができた。……ただそれだけだ」

 

「あぁ〜、あの天の御遣いっちゅー奴か……あぁあ!?!??」

 

「それ以上戯言を言ってみろ……即刻この頸を刎ね落としてやる………」

 

思春vs張遼の一進一退の対決は思いの差により辛くも思春の勝利となった。

 

 

蓮華、穏、亞莎vs三軍師

「私達は軍師がほとんどですから我々はそれに相応しい戦いをしましょう。あのような野蛮な戦い方はしないで」

 

「軍師らしい戦い方…桂花どうするつもりだ?」

 

「うっ、それはあなた達も考えるのよ風、稟!」

 

「ぐぅ」

 

「やっぱりか!起きなさい風」

 

「おぉ、あまりに都合が悪い話でしたので思わず現実逃避してしまいました。それに桂花ちゃん、残念ですけどこの戦いはちょっとこっちの分が悪いのですよ」

 

「どうして?」

 

「それはな荀ケ、ウチの軍師を嘗めると痛い目を見るということだ (ニヤ」

 

「何ですってーー!??」

 

九節棍を操る穏。そしてもう一人はつい最近までは呉屈指の猛将であった呂蒙。蓮華の出番はほとんどないうちに勝敗は決していた。

 

「「そ、そんな馬鹿な………強い軍師など反則よ……」」

そんな荀ケと郭嘉の声が響いていた。

 

 

 

そして残るは曹操ただ一人となった。

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「……待たせたわね、曹操」

 

「えぇ、遅かったじゃない孫策。待ちくたびれたわ」

 

「それは失礼。でもここまで来るのに苦労したんだからもうちょっと優しい言葉をかけてくれても良いんじゃない?」

 

「何を言っているのよ。私はこの曹孟徳と対峙する人物…それは孫策、あなたしかいないと思っていたのよ。やっとあなたと本気で戦える。こんなに嬉しい事は無いわ。」

 

「そりゃどうも。……さて、お喋りはこれくらいでいいかしら曹操?」

 

「えぇそうね。私もそろそろ戦いたくてうずうずしていた所よ。そこのあなた、勿論手は出さないでちょうだいね」

 

「分かってるよ曹操。俺は何も手出しはしない。雪蓮!俺は信じてるから……雪蓮が…孫呉が勝つ事を!!」

 

「当たり前じゃない一刀。しっかり見ててね…私の王としての最後の雄姿を!」

 

共に駆けだす両雄。先に手を出したのは曹操であった。大鎌という特殊な武器をいとも簡単に扱う曹操。全てを薙ぎ払う鋭い一振りである。しかし相手は同じく英雄である雪蓮。そう簡単に討たれる筈はなく、宝刀・南海覇王を抜きその一撃を受け止め、すぐさま素早く突きを放つ。

 

「流石は曹孟徳ね。そう簡単には討たせてくれないわね」

 

「当たり前じゃない。私には曹魏の全てがかかっているのですから。それはあなたも同じでしょう、孫伯符!」

 

「えぇそうね。けどね曹操、私にはそれ以外にも負けられない理由があるのよ」

 

「国と同じくらい大切な事?何かしらね、それは?」

 

「そんなの簡単よ。……好きな人の前でかっこ悪い姿は見せたくないでしょ?」

 

「はっ?そんな事?」

 

「そんな事ですって?分かってないわね曹操。あんたには好きな人一人も居ないの?」

 

「勿論居るわよ。我が真名を呼ぶことを許したもの…その者を皆愛しているわよ」

 

「あ〜ぁ、曹操、あんたはやっぱり分かっていないわ。誰か一人好きで好きで堪らない人を作ってみなさい。その人の為になら何だってしたいと思うんだから♪」

 

「……そ、それがあの冴えない男だと言うの?」

 

「失礼ねーー!!一刀は…そりゃちょっとは冴えないかもしれないけど、一刀には良い所がいっぱいあるんだから!」

 

「……例えば?」

 

「例えば!?……えーっと…優しい…とか?」

 

「…………私に聞かないでよ……」

 

 

「(あれ何でだろう?涙が止まらないや……)」

 

「北郷の良い所が思い浮かばないのでしたら私達が変わりに北郷を貰ってあげますよ雪蓮」

 

「「!!??」」

 

そう声をかけてきたのは冥琳であった。そして冥琳以外の呉の一同と、それに敗れた魏の各々もそこには居た。

 

「……そう、私達は敗れたのね」

 

「「「「「「「「申し訳ありません…華琳様……」」」」」」」

 

「謝る必要はないわ。天命が私に向かなかっただけですもの。孫策、後の事はあなたに任せたわ。この曹孟徳、命は惜しくはない! ただできることならこの子達は助けてあげて……」

 

「嫌よ」

 

「……そうよね。私としたことがみっともない要求をしてしまったわ。さあ我々を討て孫伯符!あなたのような英雄に討たれることを我々は誇らしく思う」

 

「だから嫌だって言ってるでしょ!曹操、あんたを殺したりしないわよ」

 

「何ですって!?孫策、あなたの夢は呉の天下統一ではないの!?」

 

「えっ、違うわよ?私はただこの呉を守れれば良いだけ。魏の地なんて興味ないわよ。それにこれ以上領地が大きくなって仕事が増えるのも嫌だし。だからこれからも変わらず魏は曹操あんたが治めてね」

 

「それじゃぁこの戦いは一体何だって言うのよ!」

 

「……細かい事は良いじゃな〜い。無事終わったんだから、ねっ一刀♪」

 

「お、俺に振るなよ!まぁ要はこれからもこの三国のままでいくって事だよ。うん、多分。そうだこんなのを結んだらどうだ?戦を、‘持ち込まず、企てず、起こさない’という非戦三原則ってのは」

 

「あぁ、それ良いわね!ねぇ冥琳?曹操?」

 

「分かったわ…分かったから、また後日呉を訪問するからその時に全て話し合いましょう…今日はもうこのまま帰らせてもらうわ…もう疲れたわ……良いわよね周瑜?…」

 

「あぁそうしてくれるとこっちも助かるな……すまないな曹操…」

 

「?何何二人ともどうしたの?」

 

「「はあぁぁぁぁ〜〜〜」」

 

 

こうして赤壁の決戦は呉蜀の勝利で無事?終結したのである。

 

説明
調(ry

終わったーあぁぁあぁぁあ
長かった……今回本当に長かった……長すぎて読み難いと思います…

今回思ったのは関西弁で書くのが難しい!一番苦労したのがそこかもしれない。あと風が可愛い!たまらん!


そして、すみません戦闘シーンの迫力と言いますか緊迫感が皆無です。

そして超無理矢理終わらせた感がします。
最終章のくせにgdgdです……
期待して下さっていた方々すみません…。
この借りはAFTERで必ず…(多分


それと私のこのシリーズを読んで下さった皆様ありがとうございます!
初め書いた時は30人くらいは支援してくれるかなーと思っていたら六章が100人越とか……どういうことなの?何があった!?
見た瞬間あまりの嬉しさで脱糞しそうでした。

本編は一応これで終わります。
次はまさかの需要があったAFTERに入ります。どのくらい続くかは未定です。ベイビーが出てきますよ。畜生、一刀俺と代わ(ry

あと何かリクエストのようなものを頂いたら書くかもしれません (ネタガモウ……
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コメント
こんなにポワポワした決戦は初めて読んだので凄く面白かったです♪(readman )
goo様 おぉ、おかえりなさいませww国を思う気持ちが呉は最も高いですよね。魏は国と言うよりは華琳を思う気持ちの方が高い気がします。蜀は…自分たちが良ければ良い?みたいな?(超級覇王)
雪蓮が一刀の良いところを言葉にできない辺りが、最高に良かったです。やっぱり最後に勝ち残るのは呉ですね。一人一人のポテンシャルが他国とは違いますから!!(goo)
THE10様 もっと感動的な勝利になるはずだったのに…あれ…おかしいな……真面目な文が書けるようになりてeee(超級覇王)
タタリ大佐様 せめて生暖かいくらいは書きたかったのですが……無理ですた('・ω・`)熱いのが書けるようになりてぇよ〜(超級覇王)
遅くなりましたが、呉の大勝利しかと拝見させて貰いました!アフター勝手に期待させて貰います!!(THE10)
熱い…熱いですね、色々と。 AFTER期待して待ってます(タタリ大佐)
kain様 子供が娘だけだと思ったら大間違いだぜ!……と言っておきますww(超級覇王)
スウェン様 皆様の労いの言葉のおかげで疲れがとれましたw そして自分にヘイストがかかった!(超級覇王)
マスター様 疲れましたwwAFTERはもう書いていたりしますwww(超級覇王)
十栗鼠狩り様 はい、飛ばし過ぎました……。今作は自分でも不満なのです…。この借りはAFTERで必ず…と燃えておりますw(超級覇王)
nemesis様 原作で拝めなかった展開!? 勿論ですwwいろんなキャラが壊れますw(超級覇王)
MiTi様 雪蓮が居るとどうしてもギャグ路線になってしまうのは何故だ…AFTERでは魏蜀の人物も入れていこうかと計画中なのです(超級覇王)
カピパラ様 中学ぐらいで学んだ知識がこんな処で役立つなんてwwAFTERはとりあえず一人一人にスポットを当てていこうかな〜と思っていたりします(超級覇王)
アフターだと雪蓮と冥琳の子供は誰だ?(kain)
お疲れです。アフターも期待して待っています。(スウェン)
乙!アフターも期待してますよ。原作では拝めなかった展開を拝ませてくださいな。(nemesis)
お疲れ様でした!!アフターぜひお願いいたします!!(マスター)
うん、飛ばしすぎですね。ってなわけで、( ゚∀゚)o彡゜アフター!アフター!っと、ぜひお願いいたします。(十栗鼠狩り)
死ぬはずだった人物が生きている気事でこうまで変わってくるとは…ま〜皆さん無事な用でよかったですね。カピパラさんと同じく、アフターお待ちしております!!(MiTi)
非戦三原則言いえて妙だ(笑) お疲れ様でした後のAFTERを一日千秋の思いでお待ちしています。(カピパラ)
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