魔導師シャ・ノワール無印偏 第二十五話 闇の管理局
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「フフッ元気そうでなによりですノワールさん」

 

「はぁ・・・」

 

「艦長?明らかに元気そうではないですよ?」

 

「にゃはは!」

 

 

いろいろと事態の説明を聞くためにアースラへ来た俺となのはを見て

リンディ・ハラオウンはニコニコとこちらを見つめ。クロノ・ハラオウンは俺を心配そうに見ている。

 

気絶させられた次の日の昼からそのままアースラへ来たものの。

 

あの朝からずっとなのはが俺の傍に居り。監視している。

まだ、それだけならいいが。転移する為に公園まで移動する最中など

常に腕をガシッと組まれたまま歩かされ。心労が溜まっていた。

 

さらに言えばアリスにフライパンで叩かれた頭のコブに。未だに魔法によるダメージが残った体で。

既に死に体と化していたからだ。なのははそんな俺に気づいているのか居ないのか。

常に笑顔であり。俺からすると悪魔の笑みだった。

 

今も和室の畳に胡坐を組んで座っているが横からもたれる様にしてくっついている。

 

 

「とりあえず、貴方の処置についてですが...」

 

リンディ・ハラオウンから言葉が綴られるが。

 

「貴方は唯の民間人であり。さらにはこの事件には一切関わらなかった。いいですね?」

 

「はい?」

 

あれだけの事をして置いてお咎めが完全になし?

 

「まあ、表向きは今言った形になります。裏向きにはしっかりと記憶が残されますが

 それを知るのは管理局でも頂点に立つ数人呑み。アースラなどで記憶されたデータは、

 プレシア・テスタロッサがアースラへ攻撃をした際にデータが破損したことにしまして

 上手くデータの改ざん作業が進んでいます「ちょちょっと待って!」はい?」

 

「なんで、あんた達はそこまでしてくれる?団長があんたと知り合いだかなんだか知らないが

 それだけの理由じゃないだろ?」

 

フフッとまたリンディ・ハラオウンが微笑むとゆっくりと口を開いた。

 

「貴方は自分がどんな組織に所属していたか分かっていないようね?」

 

「どんなって・・・ただの犯罪傭兵集団だろ」

 

「いいえ、違います。ノワールさんが所属していたのは、ただの傭兵集団ではありません。

 エングレイブ傭兵団。基本として悪党ばかりを殺す、闇の掃除屋。

 類稀なる才能の人だけで集められた傭兵団。アジトころころと移動し。

 管理局が捕まえようにも何時も空振りばかり。そうではありませんか?」

 

「あ、ああ。確かにそうだが・・・」

 

「そんなにアジトを変えたからと言って。全く追跡される痕跡も残さずに消えることができるでしょうか?

 一度もアジトに管理局が侵入して来たことがあったでしょうか?」

 

確かに、幾らデータや痕跡を消すのにも限界はある。それに管理局がアジトに侵入してきたことは無かった。

何時も蛻の殻に奴らは来ていた筈だ。遭遇戦なら行ったこともあるが....

 

「だが、それは・・・」

 

内通者が居るとは聞いていたが。それはこいつらには話せない。

 

「内通者。そんなものだけで片付く問題ではありませんよ」

 

「っ!?」

 

顔が強張ったのが自分でも分かり。思わずリンディ・ハラオウンを睨むが

そんなことはお構い無しに相変わらず微笑んで話を続けた。

 

 

「実際のところエングレイブ傭兵団に取って管理局はお客の一人なのよ」

 

「なっ!?」

 

「法的には片付けることの出来ない組織や団体。個人に至るまで。

 その処理をエングレイブ傭兵団に処刑人代行としてさせているわ。

 もちろん、この事を知っているのは管理局でもごく一部の者だけよ。

 私も偶然にそれを知っているだけですからね。」

 

確かにそれならアジトに一度も管理局が入って来なかった理由に説明が付く。

 

入って来ようと並みの局員では傭兵団の者を倒すのは至難の技だ。

 

「だから稀にエングレイブ傭兵団の事を闇の管理局。なんて言われるのはそれが元ね」

 

なるほど・・・俺はずっとこいつらの手の平で遊ばれていただけか。

 

「なるほどね。それで俺にこんな処置が可能だと?」

 

「そうなりますね。私としてはノワールさんのような子なら万々歳です♪

 まあ、仮にエングレイブ傭兵団と管理局が相対する事があれば

 どれほどの被害が出るか分からないというのも実際問題としてありますが」

 

「はぁ・・・分かった。俺はこの件に関与しなかったし。傭兵団も知らない。これでいいんだろ?」

 

「ええ、それで結構ですよ」

 

そういうと、リンディ・ハラオウンは純和風のお茶(抹茶)を点て始めた。

横で黙って聞いていたクロノ・ハラオウンは苦虫を噛み潰したような顔をして俯き。

 

なのはは、というと相変わらず隣に居たが。俺が納得したのを分かったのが

右腕の拘束を解いて。普通に横に並んで座り始めた。

 

俺は掴まれていた右腕の痺れを解す為に左手で腕を揉みながら。リンディに質問する。

 

 

「だが、俺をこのまま野放しにするつもりはないだろう?」

 

「・・・ええ」

 

シャカ!シャカ!とお茶を点てる音が一瞬止まるがすぐにまた点てる音が続いた。

 

そして、お茶が人数分、点て終わるとリンディ・ハラオウンは口を開く。

 

「正直な話、ノワールさん。貴方の能力は管理局の欲する物です」

 

管理局は規模は大きいものの。それを越える次元世界や多数の犯罪者などを取り締まらなければならず。

万年人材不足の組織でもある。だから、エングレイブ傭兵団に仕事も来るのだろうが。

 

「こいつ(なのは)は、知らないが。俺にはそんな気は全く無いぞ」

 

「まあ、すぐにどうにかしようなんて思ってませんよ。こちらとしても。まだ若いんですから」

 

だが、そこに「ただ...」と付けたし。リンディ・ハラオウンは言葉を続けた。

 

「さっきほど申し上げた通り。一部の者にはノワールさんの事は誤魔化す事無く伝わります。

 エングレイブ傭兵団所属だった古代ベルカ式の魔導師として。

 恐らくは聖王教会が近い内に顔を出すようにと連絡が来るでしょうね・・・。」

 

聖王教会。数多くの次元世界に影響力を持つ有数の大規模組織。

ベルカ式の使い手(騎士)で構成された教会騎士団を持つ宗教組織でもある。

特に危なくは無いと思うが。俺の経歴を良く思わない人間の方が多いだろう。いや、大半が嫌うはずだ。

 

「ま、それは何とかやり過ごすしかないか」

 

「フフッまあ、特にどうとなることは無いと思いますよ。まあ、話はこんなところかしらね」

 

ズズッと湯飲みを煽るリンディ・ハラオウンだが。寸前に抹茶へと投入した。

ミルクと砂糖については俺は追及をしたかったが、それは野暮なのだろう。

 

隣に居る。なのはもやや頬が引きつっていた。

 

 

 

そして、すっかりと存在を忘れかけていたが。俺の相棒(ガラクタ)であるクローシュを

管理局に預けたままだったので。デバイスを管理する保管及び整備室へと

クロノ・ハラオウン執務官の案内でなのはと共に向ったが。

 

「あ、来た来たね二人とも」

 

「はぁ、エイミィ?なにをそんなにはしゃいでるんだ?」

 

エイミィと呼ばれた局員は、はしゃぎつつ。奥からデバイスの乗った銀のトレーを持ってくるが

 

「さ、どーぞ!ノワール君ッ!」

 

「・・・どーぞってなにがですか?クローシュは?」

 

銀のトレーに乗っていたデバイスは待機状態であるはずの銀の十字架などではなく。

 

銀色に光る丸い鈴に黒く細いベルトが付いたもの。つまりは猫の首輪である。

 

「俺はこんなもの知らな【酷いニャ!ヒドイニャ!ご主人様は私のこと忘れたかのニャ!?】クローシュ!?」

 

相変わらず間の抜けた語尾で人間っぽい台詞を話すデバイスが二つもあるわけが無い。

 

「いや〜その子がどうしても待機状態の形状を変化させたいって言って聞かなくて。

 デバイスマスター(整備士)に頼んで勝手にだけど変えちゃった。テヘッ♪」

 

「おい・・・クロノ執務官」

 

「あ、ああ。わかってる」

 

凄んだ声で言うと。すぐにクロノ・ハラオウン執務官の説教が始まり。

奥に居たデバイスマスターとエイミィ局員は厳罰に処された。

ちなみにクローシュは元の形に戻してもらい。いつもの十字架のネックレスへと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今は少しだけしか時間が取れないがフェイトに会っていくか?」

 

一連の騒ぎの後にクロノ・ハラオウンが二人に問いかけてくる。

 

「俺は・・・いい」

 

「えっ!?なんでなの!?」

 

「フェイトとは・・・会いたくない」

 

そう言うと一人、ノワールは転送ポートがあるブロックへと歩いてく。

 

「わ、わたしもまた今度で!ま、待ってよ!ノワールくーん!」

 

慌てて高町なのはもノワールを追いかけて駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場に残ってしまったクロノ執務官は寂しそうに沈黙し。

エイミィは一人頭に?を浮かべていた。

 

「ねえクロノ君?」

 

「なんだ?」

 

「どうしてノワール君はフェイトちゃんに会おうとしなかったんだろうね・・・はっ!もしかして!?」

 

この時、エイミィの頭の中では。事件当時 ノワール×フェイト 現在 ノワール×なのは

 

複雑な人間関係。若き過ち。男と女などという考えが浮んでいた

 

「つまるところ!過去の女ってこと『エ・イ・ミ・ィ?』ご、ごめんなさい。冗談が過ぎました!」

 

「まったく・・・。彼の気持ちも少しは察してやれ。自分だけ自由の身にされて

 一時とは言え、仲間だったフェイトは今、拘束されたままだ。会わす顔が無いんだろう」

 

「でも、フェイトちゃんならそんな風に思ったりしないと思うよ?

 ノワール君を自由にする為にやった模擬戦でも全力でやったみたいだし」

 

「それはそうだろけど・・・。それでも会いたくは無いんだろうな。プライドとか複雑なんだよ」

 

「へぇ〜。クロノ君って意外と」

 

「な、なんだよ・・・」

 

「ううん。なんでも♪」

 

「エイミィ!!」

 

事件も解決したアースラでは穏やかな空気が流れていた。一部を除いて...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで僕までデータの改ざん作業をしないといけないんだッ!」

 

「黙って仕事しろ!このフェレットモドキ!」

 

「は、はい・・・すいません」

 

情報を改ざんする少数の精鋭局員はノワールやフェイト育った環境などが

細かく説明されていたため、異様な熱意でもりあがっていた

 

「キャーッ、リアル男の娘キタこれ!私は君のために頑張るわ」

 

「バカ!フェイトちゃんの方がかわいいだろ!レオタード最強おおおおおお!」

 

「ダメだこの人達、早く何とかしないと・・・。ってなんで僕だけ騒いだら怒られるの!?」

 

ユーノ・スクライアの苦悩は続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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雑多にしか整理して投稿してない為、細かい修正するかも。

 

次回、久しぶりにフェイトが登場します。

更新は今月中にできればいいな・・・。

 

 

 

 

※読んでくれてありがとうございます!感想などなどはお気軽に!

 

※誤字脱字などの指摘もどんどんお願いします。

 

※また誤字脱字や妙な言い回しなど見つけ次第修正しますが特に物語りに大きな影響が無い限り報告等は致しませんのであしからず。

説明
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。
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コメント
Asを物凄く楽しみにしています(ohatiyo)
もうこの管理局員達は、だめかもね(匿名希望)
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