超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編
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太陽は沈み、儚く小さく光る星々の空に大地を見下ろす美しき満月の神秘的な光は、真夜中の野道を明るく照らしてくれている。

慎ましく吹く風に草木は、踊る様に心地のいい音を奏で始める。今の時刻は、恐らく夜の9時前後だろう。

育ち盛りの子供ならそろそろ就寝する時間に俺達は、月夜に照らされている草原を歩いていた。

 

「ねぇー、まだなのー?」

「あと、もう少しよネプ子」

 

聞いているこっちも眠気を誘われる間の抜けた声でネプテューヌはうとうとを目を擦っている。

俺達がここに来た目的は、国政院派に辺境の地へと追い出されたという教院派を見つけるためだ。

ぶっちゃければ、俺達の力では現行犯だろうがアヴニールを裁くことは不可能だろう。

数日前の廃棄工場での奇襲や、シアンの工場を破壊などに一役買ったあのロボットは、テレビでは『暴走』の一言で終わらせたのだ。

予想はしていたが、その日はシアンと酒と愚痴に付き合わされたものだ(俺は記憶喪失で本当の年齢が分からないが、見た目からして18ということになっている)

 

「ふぁーー………」

「こぅさん、目下に隈が出来ているです。…大丈夫ですか?」

「あぁ、依頼の処理に終れていてなぁ…」

『やっと終わったもんねーお疲れ』

 

昼間はネプテューヌ達と共にアヴニールの対策として情報収集して、夜はクエストの処理に追われて個々の所平均睡眠時間は一時間とちょっとだったなぁ……。

デペアのお疲れの声に全く何も感じなく、俺は手に口を当てて欠伸を一つ。

 

「こんな状況でクエスト……って、あなたそんなに忙しいの?」

「俺はお前たちとは違って旅じゃなくて、元々はラステイションに依頼された仕事をこなす目的で来たんだぞ、全てのクエストは俺を縋るような思いで依頼してきたんだ。どんな状況であれ、やらないと」

「けど、それで体の壊したら元も子もないです!」

 

看護師希望のコンパの声が痛い。

確かに全身に鎖で繋がった鉄球を付けられているような気分だ。

懐から眠気覚ましのガムを取り出して、口に放り投げる。

酷い酸味と辛さが稲妻的に体を駆け巡り、再起動させる。

 

「とりあえず昨日は徹夜でようやく終わったから……今の案件に全力をだせる」

「意気込むのはいいけど、肝心なところで倒れないでよ?あなたのこと心配している可愛い女の子がいるんだしね」

 

鮮やかなピンク色の携帯で目的地を調べるアイエフは小悪魔のように微笑ながらコンパの方へ視線を泳がす。

コンパは顔を見る見る紅潮させ、チラチラとこちらを見てくる。闇夜の空間に吹く肌寒い風がほのかに温かくなった感じがした。

 

「……ありがとな」

 

俺は、心が温かくなるのを感じながらコンパの頭を優しく撫でた。

コンパは気持ちよさそうに目を細めた。

そして、心配してくれる彼女がいるなら余計に自分のことに注意しながら頑張らないと更に意識を硬くする。

 

「(甘いわね……)」

「(口の中が砂糖の味がする…)」

『(ちっ、このリア充め)』

 

二人+ドラゴンの愚痴声が聞こえた気がするが、こいつらは疲れているだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが旧教会場所か?」

「えぇ、少し前に会った異端者から聞いたわ」

 

暫く歩くと草原の隅っこに一見すればもうボロボロで見るも無残な教会があった。

ガラスは割れ、所々崩れてもいる、雨風から守れるとも思えない、かつて女神がここにいたとも思えない程、落ちぶれた神聖な建物がそこに立っていた。

 

「明かりが見えないです。……本当に教院さんたちはいるんですか?」

「教院関係者かどうか分からないが、人気はするぞ」

 

それにしても、まさかこんなところにいるとはな。

追い出されと言われているからもっと遠くにいるかと思って、街からかなり離れた場所でモンスター討伐ついでに探したりしたり、街からいろんな人に聞いても分からなかった。

国政院の連中はすっかりアヴニールと手を組んで安心しきっている中で教院関係者は、人気のいないそしてラステイションから比較的近い場所であるここで活動したいのか……灯台下暗しとはこのことか?

 

「人が住んでいるよりお化けさんが住んでいそうで怖いですぅ……」

 

確かに、この自然的に風化して壊れていった教会は、そこらの人工的に崩した建物よりよっぽど霊的なものが出そうな雰囲気を醸しだしている。

震えるコンパに対して、先ほど眠気を覚ましたネプテューヌは奮い立たせる様に声を上げた。

 

「大丈夫大丈夫!このネプテューヌ様がいれば幽霊怨霊亡霊なんてを一網打尽だよ!」

「えらく、自信ありげだな……なにか切り札があるのか」

「……昨日、緑カラーのおじさんが掃除機もちながら屋敷を駆け巡るゲームに影響したのよ…きっと」

 

はたまたオラオララッシュする幽霊?の吸い込みに影響したかどっちかよ。と、アイエフは苦笑しながら答えた。ネプテューヌはアニメやゲームに影響されやすい奴なんだと俺も苦笑する。

 

「それじゃあ、おじゃましまーすっ!」

「ちょ!おい」

 

ネプテューヌは古ぼけた扉を壊す勢いで豪快開けた。

確かに中に人がいるのは確定と言っていいけど、それが教院関係者が分からないし、相手は一応追われている身だからーーー

 

 

 

「動くな!!アヴニールの手の者か?それとも国政院か!!」

「うわっ!?な、なにいきなりわたし達が山賊にでも見えるの!?」

 

入った途端、向けられる殺気立った意視と拳銃のオンパレード。

あー、もうー、ネプテューヌ……もうちょっと冷静に行動しようぜ……。

降参というように手を上げ、頭を抱えたい気持ちを抑えていると拳銃を構えている集団の一人が蝋燭に灯った火の光で、俺達の顔を見てはぁ…とため息を吐いた。

 

「……なんだ、子供か。すまない、ここに訪れる者も久しくいなかったのでね」

 

どうやらこの人、ここのリーダー各みたいだ。

他の人たちも俺達の姿に緊張顔を緩めて銃を下ろした。

 

「なんかものすごーく物々しい感じです。誰かに命を狙われているんですか?」

「大々的にな、アヴニールの無人兵器がなだれ込んでくる事も少なくなかった」

 

邪魔者は消す……なんて、子供みたいな残虐な行為をよく平気で出来るなアヴニール。

あの会社は、頭に脳みそじゃなくて機械でも埋め込まれているのか?

 

「……権威を奪っても、影と形があれば撃滅するのかアヴニールと国政院は徹底的だな」

「その漆黒のコート……まさか黒閃!?」

 

その声と同時に、俺目掛けて一斉に拳銃が再び向いた。

 

「えっ?えっ!?」

「−−−リーンボックスの者がなんでここにいる?このラステイションの現状を鼻で笑いに来たか?それともこそこそ裏でラステイションを責める場所でも探りに来たのか?」

「…………」

 

敵意の視線に内心大きいため息を吐いた。

こうなることは、ぶっちゃけ予想はしていた。

俺はフリーの傭兵でもリーンボックスに所属していた過去があり、そして他国からすれば勘繰り回す様に大陸をさまよい人助けをしていく裏ではリーンボックスのスパイではないか……という噂がたえない。

 

「待ってよ!」

「…ネプテューヌ?」

 

一触即発の空気の中で、ネプテューヌはアイエフはコンパは両手を広げて俺を守るように囲った。

 

「わたし達、こぅちゃんに助けられてここまで来れたんだよ!?」

「可笑しくないかしら、貴方達、ラステイションの困っている人を助ける為に来た紅夜はそんな扱いなのかしら?」

「こぅさんは悪い人じゃないですぅ!。とても優しい人です!そんな嘲笑うとかスパイとか絶対にそんなことはしない人です!」

 

………お前達。

 

「……どうする?」

「俺に聞くなよ……」

「黒閃は確かに暗い噂がたえないが、実際は知らないぞ……」

「ものすごい若いな、家で籠っている息子より若いぞ」

「…………」

 

教院関係者は顔を合わせて戸惑いながら口々に話しだす。

ネプテューヌ達に話しかけたリーダー各の人が真剣な眼差しで銃を構えたまま、口を開く。

 

「君たちは黒閃のなんなんだ?」

「「「仲間だよ/よ/です!!!」」」

 

旧教会に響く彼女の訴え、その場の全員は思わず息を飲み込み、一人一人と銃を下ろし始めた。

 

「……すまない」

 

それぞれ、謝罪の言葉を口にした。

直ぐに黒曜日を顕現させようとした手が止まり、俺は頭を下げた。信じてくれてありがとうという思いを込めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

「本来は客室に使っていい部屋ではないが、他の部屋は隙間風だらけだから、どうぞ入ってくれ」

 

俺達は、本来なら女神が座っている所謂王室まで案内された。

全面ガラス張りで、金色に装飾された綺麗な部屋だ。

教院関係者のリーダー格の人は、俺たち椅子を用意してそれに俺達は座る。

一番先に口を開いたのはネプテューヌだった。

 

「はい質問!女神様は今はいないの?」

「今だけはでない。もう三年近く前からそのお姿を見たものはいない。どうしたものかと我々も心配しているのだところだ」

 

………ネプテューヌ、一応お前らは女神様…ノワールと会っているぞ?記憶喪失のふりをしていたけど

 

「ということは女神さまにアヴニールのことをお伝えられないです。どうにかできないのですか?」

「その件に関しては我々としても動きたいのだが、アヴニールと国政院の抑圧などによってうまく動けないのだ。武力そして権力で負けている我々では、アヴニールと国政院の不正な繋がりを証明できるほど力はないのだ」

 

苦虫を噛み潰した様な顔で拳を握りしめる。

 

「アヴニールと国政院の不正を証明できるものがあればいいんだね?」

「あぁ、出来れば見積書などを入手できれば一気に双方を崩す糸口になるのだが……」

 

どうやってそんなものを入手するか……本社に侵入とか俺はスパイとかそんな技術なんて一切持っていない。

 

 

ーーー破壊神なら持っていそうだね。

 

心の中でデペアが喋る。

確かにあの神出鬼没な奴なら何でも持っていそうな気がするが……あいつはいまプラネテューヌにいるんだぞ?それにどうやって連絡するんだ。

 

ーーー方法はあるよ。

 

……なんだか、お前えらく積極的だな。

 

ーーー君がイライラしていると僕までイライラするんだよ。だから今回は協力してあげる。

 

「教院さん、おれちょっとした知り合いがいるんですけど」

「? その知り合いならなんとか出来るのか?」

「まぁ……多分。明日ちょっと聞いてくるんでいいですか?」

「構わないよ。……すまないね君たち、本当は私達がしなければならないことなのに……」

 

他国の人にこの陰謀に巻き込んでしまったことに罪悪感を覚えたのか、教院関係者が頭を下げた。

とは言っても、こちらのパーティーは俺と同じく困っている人を放っておけないお人よしのネプテューヌとコンパがいるんだし、それに付き合うアイエフもいるんだ。

気にしていないと言えば嘘になるが、人の為に働けるなら、それはそれで遣り甲斐がある。なにより俺はアヴニールの代表取締役サンジューーーあいつを俺は殴りたいからな。

 

 

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