「厄介な相手だな。」

「まさか霧島と優子が相手だとはな。」

　四回戦の対戦相手はまさかのAクラス代表とその友達。どちらとも点数が高い。

「・・・・雄二。」

「何だ翔子？」

「・・・・・如月ハートアイランドペアチケットをどうするつもり？」

「そ、それは言えんな。」

「・・・・・浮気なら許さない。」

　霧島が睨んできた。無表情なのに殺気がすごいな。

「大丈夫だ霧島。仮に俺たちが優勝できたらお前たちにやる。」

「お、おい鋼牙！何勝手なこと言ってんだよ！」

「大声を出すな雄二。俺が持っていても無用の長物だ。それに、俺はそんなところに興味は無い。」

「・・・・・・・冴島、ありがとう。」

　霧島がお礼を言ってきた。そんなに嬉しいことなのか？まあ一応応えておくか。

　鋼牙は手を上げて応えた。

「そろそろ試召大会を始める。両者、召還獣を召還しろ。」

『試獣召還』

　Aクラス　霧島翔子　＆　木下優子

　化学　　　４７８点　　　４２７点

　Fクラス　冴島鋼牙　＆　坂本雄二

化学　　　５６７点　　　　９８点

　優子の召還獣は大きな槍を持っているが霧島は鎧に刀。武士のイメージだな。だがこれは最高（悪い意味で）の組み合わせだな。こっちは破狼の鎧用の剣だ。雄二はメリケンだ近接戦闘では有利でもリーチの差では負けている。

「あっちの方が上だな。どうする鋼牙？」

「ただ斬るのみだ。」

「言ってくれるはね。でもこっちは負ける気なんてさらさらないから。」

「・・・・・・如月ハートアイランドペアチケットのためにも負けられない。」

「こちらもわけあって負けられないのでな。」

「それでは両者、試合開始！」

「先手必勝！」

　西村先生の合図と同時に優子の召還獣が槍を突いてくる。狙いは雄二の召還獣だ。鋼牙の召還獣は雄二の召還獣を横に弾く。雄二の召還獣は槍先をすれすれで回避できた。

「おい鋼牙！」

「これが最善の策だ。」

　　鋼牙の召還獣は黒い鞘で槍先の攻撃を受け止める。フィードバックにより左腕に力が入る。

「流石ね。でもこれからよ！」

　優子の召還獣の左後ろから霧島の召還獣が下から上へと振ってくる。鋼牙は後ろに飛翔し距離を取る。

「なかなかいいコンビネーションだな。武器の特性も生かしていて実に素晴らしいな。」

「ありがとう。でも手加減しないわよ！」

　優子召還獣が槍を横に振ってくる。鋼牙の召還獣は抜刀し、姿勢を低くし優子の召還獣の懐に入り、斬る。

「・・・・もらった。」

　霧島の召還獣が右胴を突き刺してくる。鋼牙の召還獣は身体を後ろに反らし右足で刃先を蹴り上げる。霧島の召還獣はその勢いを殺せぬまま前に突っ込む。

「そこっ！」

　鋼牙の召還獣の後ろを優子の召還獣が槍で突き刺そうとする。鋼牙の召還獣はバク転しつつ高く宙を舞う。

「甘いわ。宙に浮くと餌食になることを忘れていたの？」

「いや。邪魔がいなくて簡単に鎧が召還できる。」

　鋼牙の召還獣は剣先で空間を裂き、円を描く。円にヒビが入り、割れ、光が漏れ雷鳴騎士破狼の鎧が召還される。優子の召還獣は破狼に槍を突く。破狼は身体を回転させ足で槍先を捕まえる。

「なっ！」

「はああああああ！」

　破狼は槍を足場に優子の召還獣に向かい接近する。

「・・・・させない。」

　霧島の召還獣が剣を上から振ってくる。破狼は槍を足場に跳び回避する。

「ありがとう、代表。」

「・・・・お礼は後でいい。集中して。」

　霧島の召還獣が剣を左斜め上から振ってくる。破狼はその攻撃を受け止める。破狼の後ろに優子の召還獣が回り槍を突き刺そうとする。

「もらっ・・・・え！？」

「悪いな。鋼牙に頼りっぱなしはいやなんでな！」

　雄二の召還獣が優子の召還獣に拳を叩き込む。

「助かった、雄二。」

「俺だけ見せ場ないなんていやなんでな。」

「じゃあしばらくの間時間を稼いでくれ。先に厄介な方を叩く。」

「わかった。」

　破狼は右拳を霧島の召還獣に叩き込む。

「くっ！」

　優子の召還獣は後ろに弾き飛ばされる。

「代表！」

「おめえの相手はこっちだ！」

　雄二の召還獣は休むことなく優子の召還獣に拳を何度も何度も叩き込む。優子は槍を盾代わりに雄二の攻撃を凌ぐ。

「なかなかやるじゃねえか。」

「鋼牙に負けてから結構練習したからね。」

　破狼は青龍刀を逆手に持ち上にジャンプし、身体を横に回転させ、霧島の召還獣の後ろに回り斬りつける。霧島の召還獣は消滅する。

「鋼牙！」

「わかっている。」

　破狼は優子の召還獣に向かい接近する。優子の召還獣は雄二の召還獣と距離を取り破狼に向けて槍を突く。破狼は前転し優子の召還獣を足払いする。優子の召還獣は倒れる。破狼は上から思いっきり青龍刀を叩きつける。優子の召還獣は消滅した。

「そこまで！勝者、Fクラス坂本雄二、冴島鋼牙。」

「助かったぞ、雄二。」

「お前ばっかにかっこいい所を持ってかれるのがいやだっただけだよ。」