バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第十八話
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 翌日のFクラス。姫路達は先日のことがあり午前中は休むことになった。鋼牙も特別に休むことになった

「で、なんで一緒についてくるんだ?」

「そ、そのなんというか・・・・・」

「行くところが思いつかなくて・・・・・」

「騎士のお兄ちゃんと一緒がいいです!」

 姫路、瑞希、葉月は鋼牙と一緒に行動を共にしていた。

「うむ・・・・・・翼と模擬戦を行おうと稽古場に行こうと思ったんだが・・・・」

『稽古場?』

 三人は頭に疑問符を浮かべる。

「今日ハ新システムノ『魔導空間』デ戦ウカラナ。ソノタメニイクンダ。」

「どういうシステムなんですか?」

「簡単に言うと召還獣と一体化するといったほうが正しいな。このシステム自体はある特定の教師が許可できるようにされてある。」

 鋼牙は歩きながら説明をする。

「どうしてある特定の教師だけしか使えないのよ?」

「痛みがフィードバックするからだ。言い換えれば試召戦争という肩書きでその人物に暴力を加えられることが出来るからな。」

「つまりいいわけでイジメるってことですね!」

「そうだ。」

「葉月チャンハ鋭イナ。葉月チャンハイジメヲシテイナイヨナ。」

「はいです!そんなことはしないです!」

「いい子だ。」

 鋼牙は葉月の頭を撫でる。二人は羨ましそうにその光景を見ていた。

「葉月ちゃんいいなぁ・・・・・」

「うちもしてもらいたいわ。」

 そんなやり取りをしながら鋼牙たちは稽古場の入り口に立つ。

「ここなんですか?」

「ああ。」

 鋼牙は扉に手を当てる。その瞬間足元に階段が出る。

「扉は飾り!?」

「まあそうなるな。場所的にも危険である故にこうやってカモフラージュをしているんだ。」

 鋼牙達は階段を降りていくと中央に光が照らされている稽古場に着く。そこには白い棒を持った翼の姿があった。

「遅れてすまないな、翼。」

「いや、ちょうど今来たところだ。始められるか?」

「ああ。」

 鋼牙は何処からか赤味の鞘の剣を取り出し、左手に持つ。

「あの・・・・一体今から何を行うんですか?」

「模擬戦だ。危ないから隅で見ていろ。

 鋼牙の言葉に従い三人は稽古場の片隅に立つ。

「いくぞ。」

「ああ。」

 翼は棒の先端から刃を出す。

「はぁ!」

 翼は右から左へと槍を振る。鋼牙はそれを鞘で受け止めやりに沿って翼に近づく。翼は左足蹴りを鋼牙に喰らわせる。鋼牙はそれを右ひざで受け止める。二人は顔を近づける。

「流石だな。」

「まだ本気を出してないだろ。」

 二人は後ろに飛翔し距離を取る。鋼牙は抜刀し、手の甲に地肌を添え、構える。鋼牙は翼に近づき下から上へと剣を振り上げる。翼は槍を横にしその攻撃を凌ぐ。翼は下に抑えるように下ろす。鋼牙は刃を当てている部分を軸に背中踵落としを叩き込む。

「ぐはっ!」

鋼牙は着地すると後ろに蹴る。翼は柄でその攻撃を受け止める。二人は武器を納める。

「腕を上げたな、翼。」

「いや、お前にまだ勝てていない。まだまだ鍛錬が足りないな。」

「だがあのキックはよかったぞ。受け止めるのに少々力が入った。」

「お前が言うといやみにしか聞こえないな。」

「そうか。」

「だうだ?本戦はあれを出すつもりか?」

「まあな。学園長がそうしろと言ってたしな。」

 そんな二人に姫路が声を掛ける。

「あ、あの鋼牙君?」

「ん!ああ、すまない。今そっちに行く。」

 二人は姫路達の方に行く。

「どうしてこんなことをするんですか?」

「まあ簡単に言うと戦い前の練習のようなものだな。」

「こうしていたほうがいざというときに役立つからな。」

「オイ鋼牙。ソロソロ時間ダ。」

「ん!もうそんな時間か。三人とも行くぞ。」

 鋼牙の言葉に姫路たちは返事をしながら頷いた。

 

「雄二、時間だ。」

「もうそんな時間か。ムッツリーニ、秀吉、店を頼むぞ。」

「了解じゃ。」

「・・・・わかった。」

 二人は会場に向かった。

 

「決勝戦になると流石に多いな。」

「だな。ところで『魔導空間』ってやつでやるんだよな。」

「ああ。昨日も説明したように俺たち自身が召還獣と一体化して戦うんだ。それで雄二に頼みがあるんだが・・・・・」

「なんだ?」

「俺一人で戦わせてくれ。あいつらには色々と御礼をしたいからな。」

 鋼牙は無表情でそういうが抑えきれない殺気が溢れていた。

「お、おう・・・・(すげえ殺気だ。)」

 そんな二人に係員の教師が話し掛けてきた。

「坂本君に冴島君。そろそろ時間になりますのでこちらに来てください。」

 二人は係員の先生に誘導され入場ゲートに立つ。

『さて皆様。長らくお待たせいたしました!これより試験召還システム召喚大会の決勝戦を行います!』

 ゲートの向こう側からアナウンスの声が聞こえてくる。気合が入っているのが声からわかる。

『出場選手の入場です。』

「いくぞ!」

「ああ。」

『二年Fクラス所属・坂本雄二と、同じクラスで文月学園唯一の魔戒騎士、Fクラス所属冴島鋼牙君です!皆様、拍手でお迎えください!』

 盛大な拍手で迎えながら鋼牙と雄二は入場する。

『冴島鋼牙君は本来一つしか持ってない鎧をなんと五つも持っている実力者です!最下級のクラスであるという認識を改めなければなりません。』

 アナウンスしている人結構いいな。姫路のためにもなって好都合だ。」

『そして対するは三年Aクラス所属・夏川俊平と、同じAクラス所属・常村勇作君です!皆様、こちらも拍手でお迎えください!』

 ハゲとモヒカンか。もしかしてこいつらが・・・・・

『出場選手の少ない三年生ですが、それでもきっちり決勝戦に食い込んできました。さてさて、最年長の意地を見せることが出来るのでしょうか!』

 同じように拍手で迎えられながら二人は鋼が立ちの前に立つ。アナウンスが『魔導空間』について説明している。その間に鋼牙は二人にあることを聞く。

「先輩方、一つ聞きたいことがある。」

「なんだ?」

「何故あのようなことをした!まさか水洗のためにやったというのではないでしょうね。」

「へぇ、結構いい冠してんじゃねえか。その通りだぜ。」

「っ!そう・・・です・・・・か。」

 その言葉を聞いた途端、鋼牙の抑えていたものが今にも表に出そうになった。鋼牙はそれを抑えるのがやっとであった。

『それでは、試召システムによる『魔導空間』による決勝戦を行います。両者、召還獣を召還するように『試獣召還』をしてください!』

『試獣召還!』

 その瞬間、三人は召還獣と同じ姿になったが、鋼牙だけは変わらなかった。

「なんだよお前。観察処分だからシステムエラーでも起こしたのか?」

「いや。もう既に――――」

 鋼牙は制服の上着を脱ぎ、片手に持ち縦に一振りする。上着は学生服から白いコートに変わる。鋼牙はもう片方の手で制服を軽く叩く。制服が黒いレザーインナーに変わる。

「出来ている。」

 鋼牙は白いコートを羽織る。コートの中から赤味の鞘を取り出す。

『おおっと!これは意外な展開だ!叩いたり振ったりしたら制服が変わってしまったさあ皆様、いよいよ開始します!試合開始!』

「行くぜ夏川!」

「ああ常村!」

 司会者が試合開始の合図をした瞬間、二人の先輩が先手を打ってくる。夏川が剣を突いてくる。鋼牙は鞘で防ぐ。

「なっ!」

「単純な動きでわかりやすい。馬鹿の象徴だな。」

「テメエが言うな!」

 常村が槍を突いてくる。鋼牙は夏川を突き放し姿勢を低くする。常村のやりは鋼牙当たらず空振る。

「おっとっと!」

 常村は前のめりになる。鋼牙は常村の足を足払いする。

「うおっ!」

 常村は仰向けに倒れる。鋼牙は常村の腹に湖尻を押しつける。常村はそれをのけようとするが全く動かない。

「おい!」

 夏川の声のする方を振り向いた瞬間であった。夏川が鋼牙の目にすなを投げ込む。

「っ!」

 常村は鋼牙から離れ、立ち上がり、鋼牙の腹部に二〜三撃拳を叩き込む。鋼牙は後ろに下がる。夏川が後ろから鋼牙を刺そうとする。

「鋼牙君!」

 姫路が心配した瞬間、鋼牙は高く飛翔し、夏川の後ろに立つ。

「おらぁ!」

 常村が槍を横に振ってくる。鋼牙は抜刀し、刃で受け止める。

「お前目が見えないんじゃないのか!?」

「貴様らなんかに倒せるように鍛えてはいない!」

 鋼牙は槍をなぎ払い、常村の腹部に蹴りを叩き込む。鋼牙は目をこすり、視力を回復させる。鋼牙は夏川に接近する。夏川が構えた瞬間、鋼牙は夏川の構えた剣を救い上げるように左右に振り上げる。夏川はまっすぐ下がりながら攻撃を凌ぐが、その剣は徐々に上へ上へと上げられていく。

「くっ!何なんだよお前!なんでこんなぐふっ!」

 鋼牙は夏川の脇が空いたところを狙い、みぞにエルボを叩き込む。夏川に追撃しようとした瞬間、槍を鋼牙に向け常村が投げてくる。鋼牙は槍を左手で受け止めそのまま常村に投げ返す。やりは常村に刺さり、常村は制服姿になる。

『おおっと!常村選手、ここで0点になった!常村選手はフィールド外に出てください。』

 常村はフィールド外に出る。

「テメェ・・・・・こうなったら!」

 夏川は赤い札の貼られた四角い長方形状の箱を取り出す。

「それはまさかっ!」

「へへへ、これでお前を倒してやるぜ!」

 夏川は赤い札を破き、投げる。長方刑状の箱はからくりのように動き、形を変え、魔導具鉄機になった。

「なんだよあれ!」

「バグ対策用に作られた魔導具だ。」

「へへ、これで――――」

 夏川が余裕をかました瞬間、夏川の胸に刃が刺さる。それを刺したのは鉄機であった。

夏川は制服姿になるが、鉄機は止まる気配が無い。

「おいどうなったんだ鋼牙!」

「あの馬鹿は札を何の躊躇もなく破いた。本来ならあれで指示を送れるのだがそれが無い今あれはただの暴走する魔導具だ。」

「ど、どうなったんだよ。教頭の奴、破けば使えるって・・・」

 その瞬間、鉄機は夏川に向け舌状の刃を誘うとする。

「ひっ!」

 夏川は恐怖して動けず、刃が刺さろうとした。

 キィンッ

「・・・・・へ?」

 金属どうしのぶつかり合う音が響き渡る。刃を弾いたのは鋼牙であった。

「なんで・・・・」

「早く退け!」

「お、おう・・・・」

 夏川はフィールド外に出る。

「はあ!」

 鋼牙は鉄機に斬りかかる。金属音が空気を伝わり響き渡るが、鉄機には全く効いている様子が無い。鋼牙は弾き飛ばされる。 弾き飛ばされた鋼牙を雄二が受け止める。

「大丈夫か、鋼牙?」

「ああ。すまない。」

「だがどうすんだよ。このままだと流石に「下がっていろ。」・・・え?」

 鋼牙は鉄機の身体を向ける。

「ザルバ、久々にいくぞ。」

「アア。マチクタビレタゼ。」

 鋼牙は双剣の刃をザルバの口に当て、ゆっくりと引き、天に刃先を向ける。

「まさか!」

「鎧を召還するんですか!」

 鋼牙は空間に円を斬り、円を描く。描いた円にヒビが入り、光が漏れ鋼牙を照らす。観客は手を前にかざす。

 光がはれ、そこにいたのは金色の鎧を身に纏い、金の鞘にお納まった牙狼剣を持った狼の騎士・黄金騎士牙狼の姿があった。牙狼の後ろに円状の紋章が現れる。

「下がっていろ。」

 鋼牙は牙狼剣を抜刀し構える。鋼牙は飛翔し鉄機を斬り、蹴る。だが全く傷つかない無い。鉄機は牙狼を弾く。牙狼は着地すると上、下向きに三分の一の円の弧を描き、縦に一つ線を刻み『王』の字を描く。画廊はゆっくりとそれを包む円を描いていく。鉄機は咆哮を上げ、画廊に襲いかかろうとする。王の印を描き終えると牙狼はその印を斬る。

 刹那、金色の光りと波動が鉄機を弾き飛ばす。光がはれるとそこには魔導馬・轟天に乗馬した牙狼の姿があった。

「ヒィィィィィィィィィィィィンッ」

「はっ!」

 牙狼は轟天を蹴り前に進める。牙狼は轟天に乗りながら機鉄に攻撃をする。しかしこれも効果がみられない。号店が後ろ足で蹴り飛ばし距離を取る。号店は火花を放ちながら踏ん張る。

「相変ワラズ堅イヤロウダ。」

「承知!」

 轟天は前足を高く上げ地面に一踏み入れる。その途端に波動が響き渡る。牙狼の牙狼剣は牙狼斬馬剣へと姿を変える。轟天は跳びで機鉄に近づき一振りする。が蝋斬馬剣は機鉄を二つに切る。轟天は火花を上げながら着地し、咆哮を上げる。

「ヒィィィィィィィィィィンッ」

『勝者、Fクラス冴島鋼牙、坂本雄二。』

 観客からの歓声が上がり、試召大会は終了した。

 

説明
ケッショウセンノマエニツバサトレンシュウカ。アイカワラズダナ。
「金色」
マッテタゼ、ソノトキヲ!
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