楽しく逝こうゼ?
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前書き

 

 

あ、ありのまま今起こったことを話すぜッ!!

書きたいネタを書いてたらいつの間にか100キロバイトを超えてました☆

な、なにを言ってるかわからんだろぉが俺もよく判らん…超スピードとか催眠術だとかそんなチャチなモンじゃ断じてねぇ…も、もっと恐ろしい物の片鱗を味わった気分だぜ。

 

 

と、言うワケで、一話では文字数オーバーで投稿出来ませんでした。

 

なので前編後編に分けて投稿します。

後編は、ちゃんと前編を見てもらえたな〜と感じたら投稿させて頂きます。

 

マジで俺に文才が無くてこんな不手際になってしまいました。

誰か俺に文才を分けて下さい。

それかもっと上手く、短く書ける手法があったら是非お願いします。

 

それでは、どうぞッ!!!

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「禅、プレシアさん達は何処で待っているんだ?」

 

「えっと確か、マンションの近くにある児童公園の前に居るって……あぁ、居た居た。あそこだよ親父」

 

会社から引っ張ってきたカスタムカーのハンドルを軽快な手付きで操りながら俺に声を掛けてくる親父に、俺は指で向きを指し示しながら答える。

お袋が助手席に座っているから、俺は後部座席から身を乗り出しつつ『クレイジーダイヤモンド』も視力を使って探してたんだがな。

 

「おぉ、あそこか。それじゃあ反対側になるが、路肩に止めよう」

 

一方で、親父も俺が指し示した方向に立っているリンディさん達を発見したのか、車を走らせるスピードを落として路肩に寄せていく。

向こうもそれに感づいて俺達が乗ってきた『車』を見てるんだが……この車を見たリンディさん達は、大小関わらず驚いて目を丸くしてた。

まぁそれも仕方ねーんだけどな、この車種って『日本車』じゃねーからよ。

そんなビックリしているリンディさん達を尻目に、親父は車を路肩に停車させてハザードランプを焚き、お袋と一緒にドアを開けて車から降りていく。

 

「こんばんは、プレシアさん、リンディさん」

 

「えぇ。こんばんは、香苗さん……それにしても、スゴイ大きな車ね。それにとても綺麗な色……」

 

「ふふっ、信吾さんが直接手がけた車ですから♪この辺りで一番信頼できるお店ですよ?」

 

「それは凄いわね……私もフェイト達と遠出が出来る様に、車を買おうかしら」

 

「もしよろしければ、信吾さんにお話ししておきますよ♪とても良い一台を揃えてもらいましょうか」

 

「あら♪それはとても嬉しい申し出だわ」

 

お袋とプレシアさんは、少しだけリンディさんと親父から離れた所で和気藹々と話していた。

前にお袋とリンディさんとプレシアさんが会ってからというもの、3人の仲はかなり良い関係を築いている。

ホント、何時の間にあんなに仲良くなったのか全然わからなかったぜ。

 

「今日は態々お話しさせて貰う場所を提供して頂いて、誠に申し訳ありません。その上こうしてお迎えまで……」

 

「あぁいえ、気にしないで下さい。昨晩は皆さんに家の息子がお世話になった様ですし、息子が何故ああいった怪我を負う状況になったのか話して頂くという、此方の都合が大きいですから」

 

「いえいえ、ゼン君はとてもしっかりした子ですよ?それこそ私達の方が彼のお陰で救われた部分も多々ありますし……その辺りの詳しいお話しも、今日させて頂きますので」

 

「はい、ありがとうございます」

 

所変わって、リンディさんと親父は互いに頭を下げあって固い感じの会話を繰り広げていた。

親父も会社の代表として、しっかりと失礼のない様な対応をしてるし、リンディさんの対応の仕方も何時もの艦長モードだ。

さすがに締める所は締めなきゃいけねえってのは、やっぱ管理局の人間としての義務があるからだろうな。

俺も後ろの座席から立って、日本車ではまず見られない大型の『観音開き』のドアを開いて車から降り、ビックリした顔のフェイト達の下へ近づく。

 

「よぉ、クロノ。フェイトとアルフはさっき振りだな」

 

「あ、あぁ。そうだな……」

 

「こ、こんばんは、ゼン」

 

「わふう」

 

だが、フェイトもクロノも俺の挨拶にはなんか心ココにあらずって感じの返事しか返してこなかった。

アルフはまぁ子犬モードだから例外だけどもな。

何やら気の抜けたというか呆けてる2人の表情は、やはりというか俺達が乗ってきた車に向いている。

まぁこの大きさ、いや迫力というか存在感なら仕方ねえか。

俺は呆けた表情の2人に習って、同じ様に路肩に止められた会社の車を見る。

シンプルなパールホワイト一色でボディ全体は統一され、バンパー類は『アメリカ特有』のステップが着いた大型メッキバンパーが装着されている。

俺達が乗ってきたのはアメリカの超ビックサイズバンとして有名な、『99年型シボレーエクスプレス』だ。

しかも親父が海外から直接引っ張ってきたこの車両は、日本では普通輸入していない北米モデルVORTEC V8 4.8Lを誇る超レア車でもある。

全長が既に国内車両では比較にならねえぐらいのビッグボディを誇り、その全長は5メートルを軽く超える程で、他の追随を許さない。

更に室内にはアメリカ人の大きな体格用に設計された大型シートが後席だけで4列装備されていて、最大乗車定員数は15人も乗せられる。

だが、これだけなら別にアメリカに行きゃ幾らでも居て珍しくもないだろう。

別に日本でも自家用車に限らなきゃトラックやバスだってデケエんだしな。

じゃあ何でクロノと女の子であるフェイトがここまでビックリしてるかっつうと……それは親父が施した『改造』にある。

本来、商用バンとしての側面もあるシボレーエクスプレスは、悪路の走破性を高める為に車高はかなり高めに設定されているのだが……。

 

「……こんな『地面を這う様な車高』で大丈夫なのか?ホイールを飲み込んでいるじゃないか」

 

クロノはちょっと不安げに俺に視線を向けて質問してきた……そう、コイツのブッタマげる所は、その車高の低さにある。

元々車高が高いシボレーエクスプレスを、雑誌の表紙車として限界まで低くして、尚且つ自走できるという無茶なコンセプトを元にカスタムされた車だ。

親父は既存のフレームでは無理と判断して、中のフレームからデフの取り付け位置、方法までありとあらゆる所をワンオフの設計で仕上げてしまった。

そして目の前の無茶が具現化した存在は、22インチのアルコア製トラックホイールをフェンダーの中に飲み込む程車高が落ちちゃったのです☆

親父ってば業界内ではその辺りの思い切りの良さとプッツンした独創性で、『鬼のカスタムビルダー』なんて呼ばれてたりする。

 

「大丈夫だ、問題無い。コイツのサスは……バネの事だけど、エアサスっつって、エアバッグの中の空気を圧縮するサスペンションの上下で車高を調節できるからな」

 

なるべく判りやすく噛み砕いて説明しながら手でバッグが上下する動きをジェスチャーしてクロノに伝えると、クロノは「そうか」と一言呟いて安堵の息を吐いた。

まぁ初めてこーゆうのに乗るってなりゃ不安になるのも判るけどな。

しかしクロノもやっぱり男なのか、色々な角度でエクスプレスを見てる所を考えるに改造車ってのが気になるんだろう。

何時か男だけでこーゆう車について語りあいたい所存です。

 

「さて、それでは皆乗って下さい。禅、次はなのは君の家だったか?」

 

と、俺がクロノとフェイトの3人で話している所に、リンディさんとの話しが終わった親父が皆に声を掛けた。

更にそのまま俺に向き直って、次の目的地を聞いてくる。

あぁ〜でもその前にはやての家に向かわなきゃいけねえんだったな。

まぁ住所は聞いてるし、カーナビに打ち込めば判ると思う。

 

「いや、はやての家の方が近えから、先にそっちに向かって欲しいんだけど……」

 

「そうか、わかった。じゃあその子の家の場所は何処だ?」

 

等々来た親父の質問に、俺は苦笑いしながら後ろ髪を掻いて笑ってしまう。

 

「いや〜、実は行った事は無くてよ……悪いんだけど、住所だけ聞いてるから、カーナビで探してほしいなぁ……なんて♪」

 

そう言うと、親父は何とも呆れた様に溜息を盛大に吐いてしまった。

 

「お前という奴は……その行き当たりバッタリな性格は一体誰から受け継いだんだ?」

 

そりゃ間違い無くお袋でしょうや、恐いから口に出しゃしませんが?

何の前触れもなく俺をいきなり聖祥に転向させたっていう前例もありますやん。

そして、程なくエクスプレスに全員が乗り込み、親父はカーナビに俺が言った住所を入力すると、程なくして目的地までのルートが採算された。

ソレを確認した親父はエアサスコントローラーの上下設定をイジり、エクスプレス全体の車高を上げていく。

 

「ひゃ……!?(ぎゅっ)」

 

そして、その上下に動く運動にビックリしたのか、俺の隣に座っていたフェイトが可愛らしい悲鳴を挙げながら俺にしがみついて来た。

くうぅ〜!?可愛いやっちゃのぉ〜!!もう絶対に持ち帰ってやげふんげふんっ、スマナイ取り乱したようだ。

余りにも可愛らしい仕草と悲鳴に気を良くしながら、俺はプルプルと震えながら俺にしがみついてるフェイトの頭を軽く撫でてやる。

 

「……ビ、ビックリした……あっ……ぁぅ」

 

それで少しは落ち着いたフェイトだが、俺に抱きついてるのを確認すると、顔を赤くして俯いてしまったではないか。

まぁ恥ずかしくても一向に俺から離れないというイジらしい所がテラ可愛ユス☆

後ろに座ってるプレシアさんが何やら上気した顔で鼻を抑えて「ハァハァ」とか言ってるけど無視させて下さい。

そんな室内の様子にお構いなくエアーコンプレッサー特有の駆動音が外で鳴り、キュインキュインと音を鳴り響かせて車高を上げ終えた。

 

「よし、それじゃあ行きましょう」

 

そして、走行可能な状況になると、親父はシフトレバーをドライブに入れて、アクセルをゆっくりと踏み込んで発進し始める。

さて、一路目指すは八神家なんだが、全員乗れるのかねぇ?

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

そして、カーナビの指示に従う事、実に15分で俺達は八神家の近くにある公園の前に到着した。

何故公園かって言うと、さすがにこの大きさのバンで家の前に止めるのは危ないって事で、フェイトに頼んで念話で場所を変更したからだ。

その公園の前に到着して、エクスプレスの車高を下げて完全着地させると、案の定フェイト達と同じで八神家一同は口を開けて驚いてた。

まぁそんな八神家のリアクションを楽しみつつ、俺はドアを開けてはやて達の元に近づいていく。

 

「おっすはやて。迎えに来たぜ」

 

あくまで何時もと同じ様に、俺は片手をシュタッと上げて、親父の車を呆けた顔で見てるはやてに挨拶をする。

勿論、そんな状態のはやてが直ぐに俺の声に反応するワケも無く、暫しポケ〜ッとしていらっしゃった。

 

「……(ぽけ〜)……ハッ!?ぜ、禅君!?さ、さっき振りやね……何か、エライ大きな車で来たからビックリしてもうたわ」

 

俺の呼びかけに意識を戻して俺を見るなり驚いた声を上げるはやて。

いやいやオメエ俺の存在にすら気づいてなかったんかい。

そんな反応をしたのははやてだけではなく、シグナムさんやシャマルさんまで、開いた口が塞がらないって感じになってた。

しかもグレアムさんまで年甲斐も無く驚いていて……ん?グレアムさん?

おやおかしいナ?と思って再度八神家のメンツを見てみれば、そこには普段着に身を包んだグレアムさんが確かに居た。

 

「ってグレアムさん?何でココに居るんスか?」

 

居る筈の無い人物が居る事に驚いて、俺は目を丸くしながらグレアムさんに声を掛けた。

視線の先に居るグレアムさんは腕に2匹の猫を抱えたまま、エクスプレスを見て驚いていた……抱えてる猫は、多分アリアとロッテだと思う。

 

「あ、あぁ。橘君、こんばんは……いや何、はやて君の家で少しばかり今後の話をしていたんだ。本来なら一度艦に戻ってから転移してくるつもりだったんだが、はやて君に「一緒に行こう」と誘われてね。迷惑じゃなければ、乗せてもらえると有難いんだが……」

 

「あ〜なるほど、そぉ言う事ッスか。大丈夫だと思いますよ?席にはまだ余裕があった筈ですから……」

 

グレアムさんがここに居る理由に合点がいった俺は相槌を返しつつ、乗ってきたエクスプレスの方に視線を向けた。

すると、親父も降りてきていた様で、俺達の方に真っ直ぐと歩いてきてグレアムさんに頭を下げた。

 

「こんばんは、禅の父親の橘信吾と申します。貴方が八神さんですか?」

 

「これはご丁寧にどうも。橘さんの質問のお答えですが、残念ながら私は八神ではなく、ギル・グレアムという者です」

 

「え?ですが、息子からは八神という方のご家族を迎えに行くと聞いていたのですが……」

 

親父の丁寧な挨拶にグレアムさんも頭を下げて挨拶していたが、ここでちょっとした間違いが発生してしまった。

それは親父がグレアムさんに声を掛けちまった事だ。

間違い無く、親父は八神家のメンツの中で最年長の人間に声を掛けようとしたんだと思う。

だがソコにグレアムさんが居た事で少々ややこしい事態に成りかけている。

これはさすがにマズイと思った俺ははやてに目で合図を送り、その合図を理解したはやてがリインに車椅子を押されて一歩前に出た。

 

「すいません。八神っていうんは私の事です」

 

目の前で車椅子に乗りながら笑顔で挨拶しているはやてに、親父は少々面食らった様な顔をしたが、直ぐに笑顔で対応した。

 

「あぁ、そうなのかい?という事は、息子の友達のはやて君という子は君なんだね?」

 

「はい。禅君のお友達になった八神はやてと言います。あっ、後ろに居るのは私の家族です。今日は迎えに来て頂いて、本当にありがとうございます」

 

「いやいや、息子のお友達なら大歓迎さ…………しかし」

 

はやては親父の言葉に笑顔で返事をしながら、後ろに控えていたリインやシグナムさん達を紹介する。

はやての言葉に追従して、シグナムさん達も親父に向かって頭を下げていた。

これで親父の方も納得するだろうと思っていたんだが……親父は何故か、腑に落ちない様な顔をしている。

 

「親父?どうしたんだ?」

 

「ん、いや……禅、ちょっと来い」

 

一体どうしたんだろーかと思っていれば、親父は何やら手招きをして俺を呼んできた。

その行動の意図が分からなかったが、とりあえず呼ばれているので親父の方に近づいていくと、親父は屈んで俺の耳元に口を近づけくる。

 

「何だよ親父?何か言い難い事なのか?」

 

「少し、な……はやて君達のご両親はどうしたんだ?何故一緒に来られていない?」

 

うあっ!?やっべえ〜、そぉいや親父とお袋には話してなかったんだよな。

忘れていたはやての事情に、俺はバツの悪い顔で、耳打ちしてきた親父に耳打ちを返す。

 

「あ〜ゴメン、言ってなかったけど、はやての親は随分前に亡くなってるんだってさ……そんで、彼処にいるグレアムさんがはやての後見人なんだよ」

 

嘘を突かず正直にはやての事を話すと、親父は複雑な表情に変わってしまった。

 

「そうか……なら、その辺りは触れないでおこう。母さんにも言っておく」

 

「うん、ゴメン」

 

俺がそう言うと、親父は笑顔で「良いさ」と言って一足先に車へと戻っていった。

多分、さっき言ってた様にお袋にもはやての事を伝えてくれるんだろう。

それじゃあ俺が皆を連れて行くとしますか。

そう思ってはやて達の居る方へ振り返ると、はやては何やら申し訳無さそうな顔で俺を見ていた。

え?何でさ?

 

「あの、禅君……ひょっとして私、禅君のお父さんの気に障ってまう事言ったんやろか……」

 

「……はぁ?」

 

はやての言ってる事が分からず、俺は「何言ってんのコイツ?」って顔ではやてを見てしまう。

その表情で俺が理解していない事がわかったのか、はやては少し言い辛そうに口を開いた。

 

「ほ、ほら。禅君のお父さん、今何か禅君に内緒話しとったから、もしかして私、知らん内に気に障る事言うたんやろかな〜って……」

 

はやては若干苦笑いを浮かべながら俺にそう言ってきた。

あぁなるほど?今の親父の何も言わずに戻っていった行動がそう見えちまったって事か。

 

「ちげーよ、親父ははやての車椅子を乗せるスペースを確保しに戻ったってだけの事だ。別に親父は何にも怒っちゃいねーって」

 

俺はそんな風に不安そうな表情を浮かべるはやてに誤魔化しながらも、はやての誤解を解いておく。

何とか俺の言葉が功を機した様で、さっきまでの不安そうな顔から一転して安心した様に大きく息を吐いて胸を抑えてる。

そんなはやての一喜一憂している様子を、はやての後ろで車椅子を押しているリインが愛おしいって表情でフワリと笑って見つめていた。

ふぉお……!?も、元が極上の美人なだけに、そんな他人を、いや家族を想う表情が滅茶苦茶可愛い……!!

普通はあんまり表情を変えないクールビューティーってのがリインのイメージだけど、こーゆう時折魅せる柔らかい笑顔に胸を撃たれっぱなしだ。

 

「ふふっ……?……ッ!?……ぜ、禅。そんなに見つめないでくれ……わ、私にだって、恥ずかしいという感情はあるんだぞ……(照れ照れ)」

 

ぐげれば!?な、何て初心なリアクションを……!?正にヴィーナスと呼ぶに相応しい女だぜぇ……!!

俺に見られているのを今気付いた様で、少し恥ずかしいのか、リインは頬に朱を刺したまま曖昧に笑って誤魔化そうとしてくる。

しかも彼女の来ている薄紫のセーターという余り強調しない服が激しく一部分だけ自己主張が強調されてる所とか、もう辛抱堪らんです。

更に紫のロングスカートという足を隠した控えめなコーディネートが、リインの奥ゆかしさを底上げしている。

 

「へへっ、悪いがそれは無理なお願いだぜリイン?その私服姿がスゲエ似合い過ぎてて、俺は素敵に着飾ちまったリインから目が離せねえんだ」

 

従って、こんな台詞が気障な笑顔を浮かべてポンと口から飛び出しても仕方がねえ、仕方がねえのさ。

何やら視界の端でシグナムさんとヴィータが胸を抑えてキツそうな顔をしてるが、ここは知らんぷりしとこ。

 

「ッ!?……ぁ、ありがとう……お前にそう言ってもらえると、私も嬉しい……だ、だがやはり、恥ずかしいんだ……それだけは、察して欲しい、な」

 

しかし、俺の言葉を聞いたリインは恥ずかしさ故か、俯いて顔を隠しながらそんな事を仰ってくるではないか。

おいお〜い?俯かれちゃその可愛らしいお顔が堪能できねーじゃねーっすか。

ホントは直ぐにでも顔を上げてもらってその耳まで真っ赤になったプリティなお顔を見せてもらいてぇが、今はそれを堪えて我慢する。

何せ時間はマダマダ幾らでもあるんだからな……これからも沢山、色んな表情のリインを堪能させてもらうとしましょ。

 

「察してはいるぜ?けどまぁ、それでもリインが俺をどうしようもなく惹きつけちまうんだよ……リインの持ってる魅力にゃ、男である限り抗えねえって事だな……それとも、リインは俺なんかにゃ見られたくねぇか?」

 

「うっ……い、意地の悪い事を言わないでくれ……そんなワケ、無いだろう」

 

俺の捻くれた問い掛けを聞いたリインは、俯けていた顔を少しだけ起こして俺を拗ねた様な表情で見てきた。

怒っているワケでもなく悲しんでるワケでもないその絶妙な表情を見ているだけで胸の内がキュンキュンと渦巻いてきまっす。

アカン、アカンですよその表情は……!?そんな顔されたら、もっともっと意地悪したくなっちまう!!

何やら思考がピリオドの向こうに暴走しかけているが、その頭に過ぎった考えを深呼吸する事で掻き消していく。

なんせこれから真面目な話をしなくちゃならねえんだ……リインを愛でるのはその後でも充分出来る、だから今は我慢するんだ俺!!

 

「んっんん゛ッ!!ま、まあとにかく、ここに何時までも居てもしゃーねえし、まだなのはの家にも行かなきゃならねえ。とりあえず皆着いてきてくれ」

 

俺は一旦咳払いをしてポワワンとした雰囲気に包まれそうになっていた空間を仕切り直す事にした。

そんな俺を見つめる視線の大半がジト目なのは気にしちゃいけねえ。

背中に感じる視線をなるべく無視して、俺は八神家の方々を道路に止まっている車の中に誘導していく。

ちなみにはやての車椅子なんだが、何と親父が俺の言った通り後ろの荷台にスペースを確保していてくれて、サッサと詰め込む事ができた。

まさか誤魔化すために吐いた嘘がそのまま真になるとは思ってなかったので、少しばかり呆けちまったい。

でもまぁその行動がはやてを納得させる事に繋がって、さっきよりも影のない笑顔になってくれたのは良かったぜ。

そして、全員が車に乗り込んで、最後のお迎えである高町家に出発する事となった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

そして走る事10分弱、俺達橘家連合軍は大きな道場のある高町家へと到着し、フェイトからの念話を受けて家の前で車を出してスタンバイしてた高町家の皆さんの前に停車した。

ここでも例に漏れず、このエクスプレスを見た高町家の皆さんと何故かフェレットモードでなのはの肩に居たユーノが目を丸くして驚いてたけどね。

とりあえずまだ親父とお袋は高町家の皆さんに会った事がなかったので、車から降りて自己紹介をし始めた。

 

「どうも初めまして、禅の父親の橘信吾と申します。挨拶が遅れてしまいましたが、息子が何時もお世話になってまして……」

 

「あぁ、いえそんな。コチラこそ挨拶が遅れましたが私はなのはの父親の高町士郎です。禅君にはまだ小学生なのに家のお店を手伝ってもらって、なんとお礼を申し上げたら良いか……」

 

士郎さんは俺が翠屋の手伝いをしてる事を話して、親父に頭を下げていた。

まぁ小学生を手伝わせてるってのがあんまり良い事じゃねえと思うけど、ちゃんと親父とお袋も納得してる。

それに、手伝うっつっても、2週間に2,3回だけだしな。

親父もそれが分かっているので、笑顔で士郎さんに首と手を振っていた。

 

「いえいえ、ウチの息子で良ければ存分に使ってやって下さい。それも良い経験として、禅の思い出に残りますから」

 

「そう言って頂けると、こちらとしても有難いです。只、彼もコレから遊びたい年頃でしょうし、決して縛り付ける様な事は致しませんので」

 

「えぇ、それに、息子にもそろそろ会社を継ぐのに色々と仕込んでいこうと考えていますので、その辺りの話しはまた後日にでも調整しましょう」

 

おや?何やらこれから俺の生活がハードスケジュールになりそうなスメルがプンプンするのは何故でしょうか?

親父の会社って車の板金、修理、改造、塗装と沢山あったけど、俺は一体何を仕込まれるんでせうか?

これからの未来を考えると少々身震いしてきたので、俺は反対側のお袋と桃子さんサイドに顔をズラした。

 

「禅君のお菓子作りの技術は香苗さんのご指導の賜物ですね♪まだまだ磨けばドンドン上達していくと思いますよ」

 

「いえいえ♪有難うございます桃子さん。確かに息子は叩き込めばグングン成長すると思いますけど、そろそろ夫の会社の技術も教え込んでいきますので、料理面は息子の趣味の範疇で留まりそうなんです」

 

「それは勿体無いですよ!!あそこまでの腕を僅か9歳という年齢で会得しているのに、埋もれさせるのは惜し過ぎます!!」

 

すると、お袋と桃子さんは随分早く打ち解けた様で、楽しそうに笑顔を浮かべながら話していた。

だが俺の話題になると、桃子さんは本気で俺を菓子職人として磨きたいと思ってくれてる様で、真面目な顔でお袋と会話をし始めた。

いやまぁそこまで俺の腕を買ってくれてるのは嬉しいっちゃあ嬉しいんだけど、俺の料理はあくまで趣味の範疇ですんで。

と、そんな事を考えていたら、桃子さんと喋ってるお袋までもが溜息をついて複雑そうな顔を見せていた。

 

「えぇ、私も教えた身としてはとても残念に思っていて……(キュピーンッ!!)そうだわ!?それならいっその事、料理も車もプロ級の腕になるまで叩き込めば将来夫の会社で働いても接待とかに役立つかも……」

 

お袋ッ!?

 

「まぁ!?それはとても素敵なお考えだと思います!!でしたら修行場はウチの翠屋でどうでしょう♪」

 

桃子さんッ!?

 

「はい!!デザートは私が教えるのも費用や時間とかで限度がありますし、翠屋さん程の有名店なら私も安心して任せられます!!では次の春休みは丸々翠屋さんで修行させて……」

 

「夏休みの6割をソチラで、残り4割はウチならちょうど良くバランスが取れませんか?」

 

「「それで逝きましょうッ!!」」

 

「ちょっと待たれぇええええええええええええッ!!!?」

 

ちょっと、いやかなり不吉な単語のオンパレードに、俺は声を大にしてお二人の会話を中断させる。

お二人さんッ!!?何ですかその地獄の特訓exコースは!?勝手に俺の予定埋めないでくれません!?

そんな熱い熱い握手しないで良いから!!俺の遊ぶ時間を削らないで!!しかも割りと宿題とか殺る時間無くね!?

俺の必死な叫び声を聞いた桃子さんは、しゃがんで俺に視線を合わせたかと思うと、滅茶苦茶真剣な目で俺を見据えてきた。

オマケに肩をガッと強い力で固定されて逃げ場まで消されたでヤンス。

 

「禅君、あなたの作る料理はそれだけ光るモノがあるの。そんな凄い腕を持っておきながらそれを趣味だけで終わらせるなんて、神様が許しても私が許しません!!」

 

「禅?現役の、しかも凄腕のパティシエさんである桃子さんからのお誘いなんだから、有難く受けちゃいなさい♪(断ったらどうなるか判ってんだろうな?おうぅコラ禅?)」

 

アカン、じゃなくてオカン、副音声がダダ漏れしとるとです。

まさしく最恐たるお2人の気迫と視線に挟まれてしまった俺に、逃げ場なんて存在する筈もなかった。

そのまま俺を差し置いて、ドンドンと埋まっていく俺の休みのスケジュール。

背後で親父と士郎さんのモノと思われる哀れみと同情の視線が、俺のやさぐれハートに突き刺さったよ。

恭也さんも親父達と同じ様に同情の視線を送ってきてはいるものの助けに入ってはくれないし、美由希さんに至っては……。

 

「うぅっ、どうせ、どうせ私は料理はド下手ですよう……でも、男の子に負けるなんてなぁ……ハァ」

 

何か勝手に落ち込んで勝手にナイーブになってらっしゃるんですが……どぉすりゃいいの?アレ?

あのまま放っておいて良いのだろうか?

チラリとお袋と桃子さんの視線を潜り抜けてなのはを盗み見れば、項垂れる美由希さんを見て苦笑いしてる。

美由希さんてばなのはに呆れられる程料理下手なのかよ……花の女子高生がそれじゃイカンでしょうに。

まぁ、結局桃子さんの熱意に溢れたお誘いとお袋のお願い(脅迫)に負けて条件を呑むしかない俺であった……ちくせう。

 

 

 

 

 

キング・クリムゾンッ!!!

 

 

 

 

 

「さぁ、着きました。皆さんはここで降りて下さい。私は後ろの士郎さんと一緒に、駐車場まで行って来ますので……母さん、皆さんを玄関までお連れしてくれるかい?」

 

「はい、わかりました」

 

そして高町家の車を先導して走る事20分、少しばかり街中から外れた場所に作られた石階段の前に、俺達は到着した。

親父の指示に従って、皆に車から降りてもらい、お袋の先導で玄関まで歩いていく。

この爺ちゃんの家である大きな和風屋敷は、少しばかり山を切った場所に構えていて、玄関までは階段を上る必要がある。

駐車場は階段のある方では無く、ちょっとだけ離れた場所に停める事になっているので、親父は士郎さんと一緒に車を停めに走って行った。

この先は階段なんだが、残念ながらはやてはまだ自分の足では歩けないので今はリインに抱えられて階段を登るしかない。

そうして歩いていくと、夜闇の向こうに、外灯に照らされて薄っすらと大きな門の輪郭が見えてきた。

……ここに来るのも随分久しぶりだなぁ。前は夏休みにちょこちょこ遊びに来てたぐらいなもんで、冬は魔法バトルでどんちゃん騒ぎだったしよぉ。

 

「はぁあ〜……禅君のお爺さんのお家って、門だけでも滅茶苦茶デカイやん。すずかちゃん家とえぇ勝負やないん?」

 

と、少しばかり懐かしさに浸っている俺の横合いから、リインに抱えられたはやてがそんな事を聞いてきた。

いやいや、まだ家本体は見えてないってのに門構えだけでそんな事を聞かれてもな。

 

「そうでもねえぞ?確かに爺ちゃんの家は横にデケエけど、造りが和風な平屋なんだよ。だからすずかの家の方がデケエさ」

 

はやての質問に対して、俺は首を竦めながら答える。

確かに家の面積とかはかなりデカイんだが、爺ちゃんの家は2階が存在していない。

つまり昔ながらの平屋造りの家だから、全体的に見ればすずかの家の方が大分デカイ。

まぁ今は爺ちゃんが1人で住んでるだけだしな、偶に従業員の2人を泊めたり酒盛りしたりしてるらしいけど。

そんな事を喋りながら門に近づいていくと、親父と士郎さんも追いついて全員で階段を上っていくと門の傍に人影があるのが見えた。

何だ?どうしてこんな時間に爺ちゃんの家の門の前に人が居るんだよ?

 

「ん?あれは……」

 

一体誰なんだろうかと考えていたら、傍に居た親父が目を凝らしながら小さく呟く。

親父の知り合いなのかと俺も目を凝らして見ると、その人影が外灯の光で見え、その人物を見てあぁ、なるほどなと納得した。

そのまま門の前に俺達が着くと、門の前に立っていた人が歩み寄ってきて、俺達に頭を下げてくる。

 

「ようこそ、お待ちしてました。皆さん」

 

俺達の前で頭を下げて礼を取ってた人が頭を上げると、その人の顔が露になった。

性別は男、年は大体25,6前後で、髪の毛は短く刈上げ、パンチパーマが当てらている。

俺達を見る目は吊り上っていてとても力強い意思が見えるが、見方によってはかなりキツイ目とも取れるだろう。

その証拠に、俺の傍に居たフェイトが怖がってか俺の服の袖をギュッと握ってきてるしな。

着ている服はオリーブドライの色をしたダボダボのツナギで、爺ちゃんの会社のロゴが胸ポケットの辺りに小さく刺繍された仕事着だ。

その人の挨拶を聞いて、親父とお袋が微笑みながら皆より一歩前に出る。

 

「久しぶりだな、力也」

 

「元気そうで良かったわ、力也さん」

 

親父とお袋の笑顔のままの言葉を聞いて、力也と呼ばれた青年も顔を笑顔に変えていく。

そぉいや、親父とお袋は仕事が忙しいからあんまり爺ちゃんの家に遊びには行かなかったんだっけ。

 

「はい、ご無沙汰してます。信吾さん、香苗さん」

 

2人の言葉に力強く返事を返すこの兄さんの名前は『島袋力也』さん。

爺ちゃんの会社に勤めてる2人の従業員の内の1人だ。

っていうか、名前だけじゃなく外見もまんま『龍が如く3』に登場した『島袋力也』そのものだし。

実はこの人ってばその風体から想像が尽く通りに、爺ちゃんの職場に入るまではかなりの悪だったらしい。

つっても女に乱暴したり薬やってたりとかじゃなく、物凄い勢いで暴れ回ってたそうな。

んで、誰彼構わず喧嘩を売り続けていた頃に、ウチの爺ちゃんと出会ってそれはもうボッコボコにされたらしい。

そのまま爺ちゃんは力也さんを叱り付け、諭し、働き口が無かった力也さんを自分んトコの職場に突っ込んだ。

喧嘩を売った自分に対して働く場所を与えてくれて、不良として突っ張ってた自分を迎え入れてくれた事に感激した力也さんは、今は心を入れ替えて一生懸命に働いている。

俺も偶に街とかで会ったりすると菓子とかジュースとか奢ってもらったりしてます☆……只まぁ、この人も一癖あるキャラっつうか、ちょいと困った所があったりするんだよなぁ。

そんな事を考えていると、力也さんは俺に気付いた様で笑顔のまま俺に視線を向けて頭を下げてきた。

 

「禅坊っちゃんもお久しぶりです。最近は全然遊びに来られねぇから、幹夫と心配してたんですぜ?」

 

そう言って笑う力也さんの言葉に、周りから『坊っちゃん!!??』と驚く声が聞こえる。

俺はそんな周りには何も言わず、只重い溜息を吐いてしまう。

 

「ハァ……その『坊っちゃん』ってのは止めて欲しいッスよ力也さん。俺そんな柄じゃねぇし、9つのガキなんだから敬語だって要りませんってば」

 

「はははっ、何言ってんですかい。大恩ある親っさんのお孫さんにそう言わずして、一体誰をそう呼びゃ良いんです?それに、俺が好きで言ってんですから気にしないで下さい」

 

俺の半目の抗議もどこ吹く風ってな具合に笑い飛ばす力也さん。

そう、力也さんの困った所は、俺の事をずっと坊っちゃんて呼ぶ妙な癖みてえな所だ。

これだけは俺が何度言っても治しちゃもらえねえし、親父達に相談しても「可愛がられてる証拠だ」と取り合ってもらえなかった。

 

「……っ(ぎゅっ)」

 

「んあ?」

 

と、相変わらずの力也さんの態度に心中で嘆いていると、何故か俺の服の袖にかかっていた重みが腕全体に増してきた。

何事かとソチラに目をやれば、俺の服の袖を掴んでいたフェイトが俺に寄り添う様に近づいて俺の腕をしっかりと抱きしめているではないか。

どうしたんだフェイトの奴?暗い所に何か居たのか?

そう思ってフェイトの向いてる視線を追ってみれば、その先に居たのは……何か滅茶苦茶驚いた顔をした力也さんだった。

え?なしてそげな驚愕に満ちた表情を浮かべてらっしゃるんでしょうか?

フェイトが怖がってるのは、力也さんの風貌にビビッてるからだろう、それは分かる。

だが何故に力也さんはそんなに驚いた表情をしてるかが全然分からねえ。

珍しくも驚いて口が塞がらないって状態の力也さんを見ていると、今度はワナワナと身体を震わせてクルッと家の方へ身体を向けた。

 

 

 

へ?あのちょっ……

 

 

 

 

 

「お、親っさぁあああああああんッ!!禅坊っちゃんにッ!!禅坊っちゃんに彼女が出来てますぅぅうううッ!?しかもメチャ別嬪なパツキンの娘さんがぁあああッ!?親っさーーーーーーんッ!!!(ドドドドドドドドドドッ!!!)」

 

「ぎゃーーーーッ!?何考えてんスか力也さぁああんッ!?確かにフェイトはグレートに可愛いけどそういうんじゃな、ってだから待てゴルァアアアアアアッ!?それ以上叫ぶんじゃねぇええええええッ!?」

 

「はうっ!?ゼ、ゼゼ、ゼンッ!?わ、わた、わたたたしがかの……かのっ!!?」

 

お願いだから君は落ち着いて下さいフェイトちゃんッ!!?ってもう力也さん見えねえじゃねええかぁああ!!?オーーーノォーーーーッ!!!?

俺の静止の声も虚しく、力也さんは大声で叫びながら屋敷に向かって全力疾走して、玄関の向こうへと消えてしまった。

後に残されるのはシーンとした静寂と、余りの急展開に声も出ない皆さん。

そして虚しく手を伸ばした格好でフリーズしてる俺だけ……ってそんな事考えてる場合じゃナッシング!!

イ、イカン……イカンですよこれは……!?ゼッテエ大騒ぎになる!!主にあの3人がッ!!?

実は爺ちゃんや力也さん、後さっき名前が出てた幹夫さんの3人は、こういう事態になると変な方向にテンションがブッ飛ぶ。

前に親父とお袋が俺の授業参観に来られなくて爺ちゃんが代わりに来た時は、気合が空振っちゃって白のスーツに紫のシャツなんてアイタタタな出で立ちで現れた前歴もある。

余りの衝撃にクラッと意識が飛びかけたよあん時は……しかも大声で俺の名前を呼ぶモンだから授業になんなかったし。

 

 

 

『……ぬあんだとコラァアアアアッ!!?た、確かかッ!?ソイツぁ確かなのか力也ぁ!?ぜ、禅が、俺の孫が女連れて来ただとぉおおおッ!!?』

 

 

 

……そんな事を考えていた無駄なタイムロスが、事態を止めるチャンスを失うという失態だったようDEATH。

遠くからでも響くように風に乗って聞こえるこの声は間違い無く……爺ちゃんじゃねぇかよぉう……ジーザス。

しかも俺を追い立てるかの如く、続けて屋敷の方から聞きたくねえシャウトが響き渡る。

 

『お、俺の孫に早くも彼女が……ヤ、ヤベエ!?何のお祝いも用意してねえぞ!?お、おい幹夫!!こ、香典ってナンボ包みゃ良いんだ!?500万ぐれえか!?』って叫び声やら。

 

『い、いや親っさん香典ってソレ葬式のですってッ!?それより今のその格好じゃ第一印象がアレじゃないッスか!?べ、別嬪さんなんスよね、兄貴!?』とか。

 

『あぁ!!しかも金髪!!純天然物の金髪、つまり外国の娘さんだったぜ……!!親っさん!!ありゃ間違い無く良い所のお嬢さんですよ!!純真無垢っつうか清楚って感じのオーラが漂りまくってやした!!』なんて声も。

 

『そ、そんな娘っ子に会うってぇのに、祖父の俺が股引にシャツで腹巻じゃあマズイよな……い、今直ぐ俺の正装を用意しろぉい!!俺は風呂でもッペン身体洗ってくる!!』って確定的な台詞まで聞こえる。

 

今の一連の声を聞いて、親父は目元に手を当ててヤレヤレって首振ってるし。

お袋に至っては珍しく苦笑いを浮かべてる。

ヤバイ、この後の事を考えるともうなんか気がヘヴィになってきたぞ。

 

「か、かの……かの……じょ……私が……ゼンの……??(ぎゅぅ)」

 

今の力也さんの叫びを聞いたフェイトはうわ言の様に力也さんの言ってた「彼女」って部分だけをリピートさせながら無言で俺の腕を更に絡めてくる。

そのお顔は夜闇の中に居ても分かるぐらいに真っ赤に沸騰しているんだが……心なしか蒸気も出てない?

今や俺の腕に絡みついてるフェイトの身体、その胸の辺りから『ドキン?ドキン?』と小さな心臓のめいいっぱいな鼓動音が伝わってくる。

絶対フェイトに尻尾があったらブンブンと左右に振られまくってるに違いねえ。

畜生、こんなに嬉しそうにしやがって……俺もフェイトが彼女ってトンでもなく最高じゃんって思えてきちゃ。

 

「……むぅ」

 

「……グルルルル」

 

「はっ!!??」

 

ところがドッコイ、俺は自分の真下と直ぐ側で聞こえた唸り声と拗ねた声音に意識を浮上させる事を余儀なくされた。

俺に抱きついてるフェイトに溢れんばかりの愛おしさと保護欲が湧いてきた刹那、肌を伝って感じたのは殺気と羨望に塗れた視線でした。

ある種の怖いもの見たさに足元に視線をやれば、そこには何時もの子犬モードで俺に唸り声と怒りの視線を向けてる何時も通りのアルフちゃんだ。

更に隣から飛んでくる羨望の視線は……はやてを抱えたまま、若干目尻が羨ましそうに垂れたリインからのモノですね、はい。

その2つの視線に苛まれて胃がキリキリしてきた今日この頃。頼むから俺に少しだけ、ホンのチョッピリでいいから安息の空間をくだちゃい。

 

「(私がテスタロッサと同じくらいなら……ああいう事も出来る……筈だ……ゼンが嫌がらなければ……今の身体のままではあんな事は出来ないし、周りから見てもおかしいだろう……テスタロッサが羨ましい、な……それにアルフも、大人と子供の身体を上手く使い分けていた)」

 

わぁお、さっきまで羨ましそうにフェイトを見てたリインがブツブツ呟きながら真剣な表情で俺を見てらっしゃる。

何か……近い将来、とてつもない何かが起こりそうな……ス・テ・キ・な・よ・か・ん・?

 

「……ぇぃ?(ぎゅっ)」

 

しかもフェイトの行動は留まる所を知らず、両腕で抱きかかえていた俺の腕から片手を外し俺の指に自分の指を絡ませて握り直してきた。

こ、こここれはまさにっ!!?所謂リアルが充実した奴等、すなわちリア充の証とも言える繋ぎ方ッ!!『恋人繋ぎ』っつぅ〜〜ヤツじゃあないッスかぁああああッ!!?

オマケにとてもとても幸せそうな笑顔で俺の顔を見てくるからもぉ……もぉ色々と俺のパトスがヤヴァイぜ……!?

溢れるフェイトの可愛さにヤラれた俺は、嬉しそうに俺の顔を見てくるフェイトにニヒルな笑みを送りつつ、絡められた指をコッチからも握り返してやる。

そうすると、フェイトは更にハッピーなオーラを発生させながら、俺の顔を蕩けた瞳で見つめてくるではありませんか。

あぁ癒される。やさぐれた俺のハートが癒されるぅ。

 

「ご、ごほん。で、では皆さん、ここに居ても仕方ありませんし、家に入りましょう」

 

さすがにずっとこうしてるワケにもいかねえと判断したのか、親父は咳払いを1つして皆を再度誘導して家へと歩き出した。

その親父の声にハッと意識を戻した皆さんも、とりあえず親父の後に着いて屋敷へと向かい始めた。

まぁ俺はその最中、真横のフェイトと足元を歩くアルフと後ろを歩いてるリインの癒しの視線に責める様な縋る様な視線というジェットストリームアタックを喰らってたけどね。

そして家の門を潜って歩いていくと、和風な造りの大きな玄関に到着した。

皆はそこで一旦止まり、親父が開ける為に玄関の扉に手を掛けようとしたら……。

 

「(ガラガラガラッ!!)よ、ようこそおいで下さいましたッス!!橘家へようこそ!!自分、親っさんの元で働かせてもらってる『中原幹夫』と申しやす!!え、えぇっと、ほ、本日はお日柄も良く……」

 

古風なガラガラ音を響かせて扉が向こう側から開かれ、金髪の体格の良い男が戸を開けると、直ぐに膝に手を付いて頭を下げてきた。

いや……その礼の仕方って、渡世の的な?しかもお日柄も何も真っ暗ですが?

いきなり玄関を開かれた先に広がる光景と素っ頓狂な言葉に、初めて訪れた橘家以外の面子が呆然としてしまう。

逆に親父は溜息を吐いてるし、お袋は何故か笑ってらっしゃる。

 

「ハァ……幹夫。そんないきなり頭を下げられても、皆さんが困ってしまうだけだぞ?」

 

「へ?……あっ!?こりゃすいませんッス!!お、お久しぶりです、信吾さん!!」

 

親父の呆れながらの指摘にハッとなった男は、頭を上げてその顔を皆に見える様にした。

その顔は、さっきの力也さん程厳つくはねえが、それでも普通の人達から見たら充分厳ついだろう。

だが、その人の目や笑顔には穏やかさが見えていて、さっきの少しズレた行動もあって何処か憎めないっつうか怖くない。

このちょい面白い男の名前はさっき本人が言った通り『中原幹夫』さん。

力也さんと同じく爺ちゃんの職場で働く人で、力也さんの弟分ってのがしっくり来るだろう。

コチラも何故か『龍が如く3』の幹夫って力也さんの舎弟がそのまんまな人物です。

その体格通り良く色んなモンを食べてる、所謂大食漢ってヤツだがその見た目通りにかなりの力持ちだ。

何せ軽自動車を1人で持ち上げた事もあったし。

この人も大分悪だったみてえだが、この人も力也さんと同じ様に爺ちゃんにブチのめされて改心してる。

俺が爺ちゃんトコに3人分飯を作って持っていくとメチャ嬉しそうに1人で平らげて、毎回爺ちゃんと力也さんにド突かれてたな。

まぁ総合的に見れば文句無しに良い人だ。

 

「香苗さんもお久しぶりです、って禅坊っちゃん!?か、可愛らしい彼女さん連れて来たってのはマジだったんすね!?いや〜オメデトウございます!!」

 

ってやっぱり力也さんに続いてアンタもかい!!?

 

「い、いやだから幹夫さん待った!?俺とフェイトは恋人とかそういうんじゃ(ぎゅっ)……ほへ?」

 

慌ててさっき訂正できなかった事を訂正しようとすれば、俺の手に掛かる力が少しだけ増す。

本来なら気に止めるまでもないぐらいに小さい力だったが、何故か俺はこの時絶対にその力を気に掛けないといけないと感じたんだ。

その感覚に従って力の掛かった方、すなわちフェイトへと視線を向ければ……。

 

 

 

「ぐすっ……ゼンは……わ、私……じゃ……イヤ、なの?(ウルウル)」

 

 

 

もはや涙腺崩壊寸前レベルまで涙を溜め込んだフェイト様のお姿と、その後ろで般若を宿すプレシアさんですた♪

アカン、プレシアさんがスタンド使いになった!!?

プ、プレシアさんのはまぁ平常運転だとしても……ここで泣き落としとか卑怯じゃねぇっすか。

最早色んな人達からの厳しい視線と何人かの殺意に満ちた波動を一身に受けている俺に、断るだとか黙秘なんて選択肢は無かった。

 

「イ、イヤなら……そう言って?……わ、私が……邪魔、なら……ぐすっ……離れる、から(ウルウル)」

 

だから断るなり黙秘したら俺の人生が終わっちゃうんだってばよ。

いや、ここまでの事態に陥ったのは全てオレが原因ですけどね?ただまぁこの歳で雁字搦めにゃなりたくないっつーか?

でも俺にしがみついてるフェイトを離したくないのも俺の正直な思いなワケで……俺ってば優柔不断だなもう。

 

「あ、あのなぁ……こうされんのが嫌だったら最初から突き放してるっての。俺がフェイトの事を嫌いだなんて、一度でも言った事あったか?ん?」

 

「ぐずっ……ううん(フルフル)」

 

なるべく優し〜く泣きそうなフェイトに対して笑顔で問いかければ、フェイトは弱々しくもぐずりながら首を横に振る。

まるで捨てられそうな子犬の如き瞳で上目遣いに俺を見つめてくるフェイトの頭を、壊れ物を扱う様に開いてる手でゆっくりと落ち着かせる様に撫でた。

 

「じゃあそんな事言わねーの。俺はちゃ〜んとフェイトの事もスゲエ大事に想ってるんだからよ。そういうの聞くのは、野暮ってモンだぜ?」

 

笑顔でそう言い切ってやれば、フェイトは弾けるような……弾けるような……弾けそうなぷっくりとした顔で俺を見てくる。

しかも俺の手を弱々しくぎゅっと握ってたのが、今じゃギュウウッと強く逞しくなってきてるんですが……。

あ、あら?俺今何か間違った事言ったかしら?

 

「……『も』って、他にもいるって事だよね?やっぱり、私だけじゃないんだ……ばか(ぷっくり)」

 

今にも破裂しちまいそうな膨れっ面で俺を睨みながら怒るフェイトさん。

アウチ!?そ、そこに気づいちまいますかい……いや、やっぱりねぇ?

 

「あ〜、その……や、やっぱ、アルフもリインも可愛いし、なぁ……フェイト1人ってのは……ねえ?」

 

さすがに視野が狭いというか、駄目じゃない?

 

「ふぅ〜ん?そんな事を私に聞くんだ?……普通は聞かないと思うんだけど?」

 

ごもっともで。

 

「ッ!?い、いいいいきなりお前は何を!?何を言くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」!?」

 

「リ、リイン!?落ち着くんや!?今取り乱されたら私落ちてまうぅう!!?」

 

「わぅ!?……わんわん?」

 

俺の苦笑いと嫌な汗を掻きながらの必死な言い訳に反応するリインとアルフだったが、反応は様々だった。

アルフは最初は驚いたものの、直ぐにソレを受け入れて俺の足に顔を擦り付けて上機嫌にしてる。

そしてリインは少しユニークな悲鳴を上げたままアワアワ言って慌てふためいてた。

見た目も性格も全然違う2人だが、フェイトも含めた3人に共通して言えるのは半端なく可愛いって事だぜ。

 

 

 

「う〜〜……やっぱりゼンは、すけこましで、女ったらしだよ」

 

サーセン。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

さて、時間は進んで今は全員が大広間に集まった所だ。

あの後、何やら空気がおかしな方向に突っ走りそうだったのを幹夫さんが皆を案内する事で防ぎ、そのまま大広間に移動する事が出来た。

皆緊張したように正座してるんだが、まだ話し合いは全く始まっていねえ。

何故かと言えば、この家の主である爺ちゃんが風呂に行ったきり未だに現れてねえからだ。

さすがに客人を待たせるのは対面的にも悪いし、士郎さん達は俺達と一緒で今回の事を聞く側に居る。

だから中々現れねえ爺ちゃんに痺れを切らしたのか、さっき親父が爺ちゃんを呼びに大広間を出たんだが……。

 

『ほ、本当にこれでいいのか信吾!?禅の彼女さんに会うんだぞ!?こんな普通の格好じゃ第一印象悪いんじゃねえのか!?』

 

『だから大丈夫だと言ってるだろう親父?それに、フェイトちゃんはまだ禅の彼女になったワケじゃないんだ。それは力也の早とちりなんだよ……っていうか普通の格好じゃ駄目なのか?』

 

『何ぃ!?……そうか!?今日は付き合う前の挨拶ってヤツ……』

 

『それこそおかしいだろう!?ソレは普通、男が彼女の家に行く時のモノだ!!今回の話し合いはそういうのではなく、禅の友達の家の方々も来てるんだから、もう少し落ち着いてくれ。とにかく普段通りでいいから』

 

『な、なるほど……わぁった!!普段通りに、力也達に接する様にだな!?』

 

『あの、親っさん……それってつまり、俺達にするようにブン殴るって意味じゃないッスよね?』

 

『ん?他に何があるってんだよ?』

 

『初対面の人達をド突くつもりか!?そこまで普段通りにするなよ!?絶対だからな!?』

 

『おぉ?信吾、そいつぁ今流行りの振りってヤツだろ?昨日テレビで見たぜ』

 

『どんな無茶振りだ!?頼むからコレ以上ヘタな事を考えないでくれ!!』

 

こんな会話が入り口の近くで聞こえてくるモンだから、広間の空気はちょい微妙な事になってますです、はい。

リンディさんとか桃子さんとか大人の女性陣は苦笑いしてるし、士郎さん達も似たような表情だ。

ちなみに、広間に居る橘家の面々……まぁ、俺とお袋ですが、少しばかり顔が赤くなってる。

何せ身内のアホみたいなコントをこんな大勢に聞かれてるんだ、そりゃ恥ずかしいに決まってるじゃねえかチクショー。

 

「ぷっ、くくっ……き、昨日テレビでやってたって……だ、駄目だ。腹が……うくくっ」

 

「ヴィ、ヴィータあかんで?幾ら面白くても笑っ……笑っ……ぷっ、ふはは……!?」

 

一方で子供組は何やら腹を抱えて我慢してる奴等も居た。

なのはも我慢してるが限界が近いのか、目を背けてプルプル震えてらっしゃる。

ヴィータとはやてなんか既に半分以上笑ってるし。

 

「あぁ……やはり禅のお爺さんだな」

 

「うむ……会話だけで、確かな血の繋がりを感じてしまう」

 

何やらクロノとザフィーラは遠い目をしてウンウンと頷きながら語り合ってるではないか。

おいコラてめえ等今の会話はどーゆう意味だアァンッ?

今居る場所から立ち上がって問い詰めたい所だが、俺の足の上には子犬モードのアルフが居座っているため、それは無理だった。

 

「と、とっても……面白い人?だね。ゼ、ゼンのお爺さんって」

 

「お、お前の事を真剣に考えてくれてる良い御方じゃないか。恥じる必要は無いと思うぞ?」

 

落ち込む俺の両隣から、それぞれ銀と金の美しい髪を持つおんにゃのこがそれぞれ精一杯励ましてくれる。

あぁ止めて、その心遣いがスゲエ痛い。

俺の両隣を占領するは、可愛さを凝縮した存在のフェイトに、この世全ての美を内包したリインフォース。

そして俺の足元を占領するのは愛らしさの塊と言っても過言じゃないアルフという3人だった。

何だこの完璧な布陣は?ベスト3かコラ?

 

「すいません、お待たせしました。もうすぐ父が来ますので……ハァ」

 

と、俺の周りを固める完璧な布陣に慄いていると、げんなりと疲れた顔の親父が襖を開いて広間に入り、お袋の近くに座った。

何だか少しやつれて見える、お疲れさんです。

ソレに続いて、力也さんと幹夫さんが広間に入り、襖の近くで腰を下ろした。

 

「――おう、待たせたな。客人方」

 

そして、最後にさっきから色んな意味で場を賑わせた爺ちゃんが広間に入り、軽く謝罪と挨拶を皆にする。

するとさっきまで笑っていたはやて達も笑うのを我慢して爺ちゃんを視界に納めて――絶句した。

しかも絶句したり驚いたのは子供組だけではなく、大人組もかなり驚いている。

そんな皆の驚きを他所に、爺ちゃんは広間の上座に用意されていた座布団にドスンと音を立てながら腰を下ろす。

余所行き用のベージュのズボンに歳の所為か出っ張ってきたお腹。

白髪だらけの丸い顔には、戦い抜いた男ならではの深い皺が刻まれている。

眉毛は太く、全体的に見れば優しい顔のお爺さんだが、目だけは歴戦の男だと主張するかの様に鋭い。

風呂に入った暑さのためか、冬なのに腕の部分だけ捲り上げられた白いシャツ、その捲り上げられたシャツの腕から見える――

 

 

 

――華が咲き乱れる和彫りの刻まれた筋骨隆々の腕。

 

 

 

そんな和彫りを魅せつけるかの如く、腕組みをして俺達に口ひげを蓄えた口を動かして笑みを向けてくる老人。

 

「よっこいせっと……俺が禅の祖父の『橘茂』ってぇモンだ。まっ、一つよろしく頼む」

 

俺の爺ちゃんにして元極道、『橘茂』はそう言って頭を下げた。

 

 

 

ちなみにここまでの皆さんの反応ですが、正に絶句、呆然というのが正しいでしょう。

まぁさっきまであんなアホみてえなコントを繰り広げていたのがこんな厳つい彫り物を入れてるなんて思いもしなかっただろうし。

この人が、俺の爺ちゃんである『橘茂』その人なんだが、実はこの人も『龍が如く3』の登場人物そっくりだったりする。

あの琉道一家の組長である『名嘉原茂』が、背中の彫り物の柄を変えただけで、他の見た目は全く一緒だ。

最初に爺ちゃんの顔見た時はココまじで何処の世界ですか?って言いたい気持ちでいっぱいだったぜ。

そして背中の彫り物の事だが、爺ちゃんは俺が生まれる前に極道の世界から足を洗っているので良くは知らない。

また俺が大きくなったら聞かせてやるって言ってたので、何時かまた聞いてみようと思っちゃいる。

 

「……リ、リンディ・ハラオウンと申します。本日は急にお屋敷の一室をお借りする事になってしまい、誠に申し訳ありません」

 

「わ、私はギル・グレアムと申します。急なお願いであったにも関わらず、ご丁寧な応対とご挨拶、痛み入ります」

 

と、俺が爺ちゃんのプロフィールを思い返していると、何時もより大分恐縮したリンディさんとグレアムさんが挨拶をし始めた。

良く見てみると、薄っすらと汗を掻いてる……多分爺ちゃんの姿見てちっと緊張しちまったんだろうな。

それを聞いた爺ちゃんはガハハハと大きく笑っていた。

 

「なんのなんの、今日は俺の孫の事と、孫の友達の事で大事な話があるらしいじゃねぇか?なら別に、俺が部屋を使わせる事も普通だ。えーっと?リンディさんとグレアムさんつったか?二人共そんなに気にしなさんな……所で」

 

リンディさん達に豪放洒落に言い放った爺ちゃんは突然俺の方に視線を向けたかと思うと、俺の傍に居るフェイトとリインを見てキョトンとした顔をしなすった。

んん?何かおかしなトコでもあったか?

 

「禅、オメエ2人も別嬪な娘っ子を侍らせてるが、どっちがオメエの彼女さんだ?爺ちゃんとしちゃ挨拶しとかなきゃならねぇんだがよ?」

 

「「アンタまだンな事言ってんのかよッ!!?」」

 

さっき親父に言われてた力也さんの早とちりって事さえ忘れてる爺ちゃんに、俺と親父は声を揃えて突っ込んでしまう。

っていうか力也さんが金髪だゆーてたでしょうに。

 

「ふえぇッ!?」

 

「な、なぁっ!?」

 

「わふう!?わんわん!!わぉん!!(ちょっと!?アタシだって居るんだからね!!3人だよ3人!!)」

 

爺ちゃんの発言を聞いて声を上げながら驚愕してしまうフェイトとリインは、否定も肯定もせずに口をモゴモゴと動かして黙ったままだ。

ちょっとお2人さん!?そこは普通否定する所ですよねぇえええ!?

 

「お、親っさん。金髪の娘ですよ金髪の。っていうか銀髪の姉さんは、どう考えても坊っちゃんより年上じゃねえっすか(ぼそぼそ)」

 

「あぁん?だがよ力也、世の中にゃあ年上趣味っつーのがあるじゃねぇか?それとも禅、その別嬪さん二人共オメエの女なのかよ?」

 

「ゼ、ゼンの!?おん!?は、はぅぅうううう〜〜〜!!?」ポォーーーー―ッ!!!

 

「お、ぉん、おん……おん、な……!?あ、あぁぁぁああ……!!?」プシュゥゥウウッ!!!

 

爺ちゃんの言葉を聞いて顔からスモークをモワモワと炊きつつ、声にならない声を出すリインとフェイト。

更に俺の足元では自分を主張するかの如くワンワンと吠え散らすアルフたん。

ヤバイ、このままだとまたカオスるぞ!?

説明しよう!!カオスるとは、場と人物が混乱し過ぎて収拾が付かなくなる事であ〜る!!

って俺の頭の中が既にカオスってやがるじゃねぇか!?

さ、さすが俺の爺ちゃんなだけあるぜ!?シリアスを簡単にシリアルに変えちまいやがった!!

って関心してる場合か俺のボケェ!!?

 

「まぁ俺としちゃ別に2人でもいいんだがな、片方だけ泣かせたりするんじゃねぇぞ禅。んでもってお二人さん、禅にしっかりと幸せにしてもらうんだぜ?俺はこれからいつでも応援しとくからな!!(グッ!!!)」

 

しかもまだまだ止まらぬ爺ちゃん節、オマケに良い笑顔でグッドラックΣd(≧ω≦*)なんてしやがった。

ヤバイ、俺は今サイコーに爺ちゃんの顔を殴りたいんだがどうすりゃいいんだ?

 

「ひゃ、ひゃい!?し、っしし幸せにしてもらいまひゅ!!?」

 

フェイトッ!!?

 

「か、必ずゅ!?あ、暖かい家庭を作、作りままっ!?」

 

リインッ!?

 

「おうッ!!早いとこ曾孫の顔見せてくれよッ!!俺ぁ死ぬ前に曾孫をこの手で抱いてみてぇからな!!」

 

ちょ!?じじいテメッ炎にガソリンを……

 

「「はいッ!!必ずッ!!!」」

 

「「気が早いにも程があるわぁああああああああああああッ!!!?」」

 

「わぉおおおんッ!!!(だからアタシも居るってばぁあ!!!)」

 

またもや声を張り上げて叫ぶ俺と親父。

もういい加減に俺『クレイジーダイヤモンド』使っても良いよねぇ!?思いっ切りドララララッシュしても良・い・よ・ね・え・!・!・?

視界の端では力也さんと幹夫さんが2人揃って『坊っちゃん……ご立派になられて……!!』とか言いながら男泣きしてるし。

他の面々はどうしたもんかと困り果てている上に、フェイトとリインは顔真っ赤で妄想爆走夢歌状態でっす☆

その2人を見ながら俺に「どうだ?ちゃんと言ってやったぜッ!!決まっただろ?」ってドヤ顔をするグランパ。

おーしOKだやったろうじゃんか、今すぐ俺の自慢のこ・ぶ・しをブチ込んでくれるわぁああああ!!

爺ちゃんの言葉に憤慨して俺の膝からアルフが飛び降りてくれたので、俺はすかさず立ち上がって『クレイジーダイヤモンド』を召喚した。

そんな殺る気マンマンな俺と『クレイジーダイヤモンド』を見てギョッとした顔をするフェイト達を除いた魔導師一同。

でもそんなの関係ねえもう許さん!!テメェは俺を怒らせたぁあああ!!

 

「バ、バカな事はやめるんだゼン!?仮にも、いや正真正銘君のお爺さんだろうが!!(ガシッ!!!)」

 

今すぐにでもツッコミという名の避けられない鉄槌を下そうとした俺を後ろからクロノが羽交い絞めにしてくる。

後ろから俺が動けない様に羽交い絞めにしてくるクロノに、俺は叫びながら体を揺すりまくって逃げようともがく。

 

「えぇい!!HA☆NA☆SE☆!!」

 

俺は今すぐ爺ちゃんにツッコミという名の愛の鉄拳をブチ込まなきゃ気が済まねぇんだよぉおお!!!

だって何時の間にか俺の結婚式を何処でやるとか新婚旅行はハワイかロスなんてどうだ?だとか聞き逃せねえワードが飛び交ってるんだもん。

後ちょっと、ほんの数センチ前に出れば、爺ちゃんは『クレイジーダイヤモンド』の射程距離内にスッポリと入るってのにぃいいい!!

 

「頼むクロノ!!一撃!!たった一撃で良いから!!その一撃で俺の人生を決めそうになってる諸悪の根源を絶たせてくれぇええええ!!」

 

「その事に関しては不憫に思うが、君が肉親をブチのめしそうな場面を見過ごす事は出来ないんだぁああああ!!?」

 

 

 

そんな理由で拳が振れないってんなら俺は身内を辞めるぞジョジョォーーーーーーーーーッ!!!

結局本題に入る前に、俺達の空気はシリアスでは無くシリアルでしかなかった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「……以上が、今回この海鳴市、いや地球で起こった事件の全てと、なのはさんと禅君が巻き込まれた経緯になります」

 

大広間に居る全員が真剣な表情で聞き入る中、最後にリインフォースを俺が助けた場面まで語ると、リンディさんは口を噤んだ。

そして、次に訪れたのは止め処ない静寂。

誰も、人っ子一人として話そうとはしないでいるのが、そのシーンとした空気の正体だ。

何時もは結構おちゃらけて笑っている幹夫さんですら、今はとても真剣な表情をしている。

あの後、何時までもああしているワケにもいかず、リンディさんが場を何とか収めてくれたのを切欠に、今回の事件についての話しがスタートした。

まずはなのはの事から話しは始まりジュエルシード事件、つまり半年前の春の話しからって事だ。

その話しを中心的にしたのがユーノで、ユーノはなのはの肩に乗っていたフェレット状態から皆の目の前で人間に変身した。

それを見て呆然、驚愕といった表情を見せる高町家と我が家の面子だったが、そういう非科学的な場面を見せた事で魔法というモノを納得してもらう事が出来た。

だって喋るわ変身するわなフェレットが目の前に居るからな。

更になのはが皆の前でバリアジャケットを着て空中に浮かび上がればもう納得する以外に無かったんだろう。

とりあえず魔法という概念を信じて貰う事が終わり、そこからジュエルシード事件という話しの本題が幕を開けた。

 

 

 

願いが叶うという宝石、ジュエルシードを求めての事件。

 

 

 

そのジュエルシードを輸送している最中に事故に遭ったユーノは、発掘した者の責任として単身地球に降り立った。

ユーノは自分の責任と取る為にジュエルシードの思念体と戦うが、結果は惨敗。

そしてこの管理外世界である地球に、もしかしたら魔導師がいるかもしれないという一縷の望みにかけて、ユーノは念話を飛ばした。

その念話を拾ったのが、管理外世界の住人でありながら類稀なる魔力量と戦闘センスを持ったなのはだったってワケだ。

なのはは困っていたユーノを放っておく事も出来ず、家族に内緒でジュエルシードを探す手伝いを始めた。

ここでさすがに家族に内緒でそういう危険な事をしていた事に士郎さんは少しだけ怒ったが、なのはの家族を巻き込みたくなかったという気持ちも判るのか、複雑そうな顔をしていた。

そして話しは再開し、同じくジュエルシードを求めて現れたフェイトとアルフというテスタロッサ家の話しから、突如としてこの戦いに参入した俺の事まで話しは進んでいく。

するとアルフの話しが出た途端、アルフは俺の足元から飛び出して大人モードに変身したかと思うと、続けて子供モードに変身してしまう。

誰もがその光景に首を傾げていると、アルフは満面の笑みを浮かべながら俺の足の上にまた腰を降ろしてきた。

一体どうしたのかと質問してみればアルフは恥ずかしそうに頬を染めながら「アタシだって、人間形態でゼンに甘えたいんだよぉ?」と言いながら抱きついてきた。

まぁ俺は嬉しかったけど……その瞬間、広間の空気が凍っちまったっての。

桃子さん、美由希さん、お袋といった女性陣のニヤニヤとした視線とか、もうなんか死にたくなったぜ。

トドメに爺ちゃんの「ま、まさかよぉ、3人も居たとは……俺、沢山の曾孫に囲まれるってのが夢だったんだよなぁ」って笑顔の言葉。

爺ちゃんちょっと黙ってくれお願いだから。

後フェイトとリインもお願いだからアルフを羨ましそうに見ないで下さい。

その空気を落ち着かせて漸く、俺は自分の家族に自分の持つ異能について、その全てを話した。

まず最初は俺の持つ精神力の具現者、俺の絶対的守護霊である『クレイジーダイヤモンド』について話した。

何時この能力が身に付いたか、そしてどんな事が出来るのか?それを話した時の家族の驚き様は凄まじかった。

壊れたモノやエネルギーを治す力も、大事な物が壊れても治せるって言ったらお袋はスゲー喜んでたな。

すずかの家でやった様にスケッチブックに絵を書かせると、そのマッチョな見た目に力也さんと幹夫さんは感動してた。

そんで一番の問題、俺がこんな力を持ってて不気味じゃねーのかって聞いたら、「どんな力があろうと、お前は俺の息子だ」って親父に言われたよ。

爺ちゃんも同じ様に「お前が力の使い方を間違えたら、俺がブン殴って説教してやる。孫を気味悪がるジジイが居るかってんだ」なんて言ってくれたし。

それ聞いて不覚にもジーンっと来ちまったぜ。

お袋も「そんな優しい力があるならむしろ、禅はアタシ達の誇りよ」って優しく頭を撫でてくれた……サンキュ、お袋。

そうやって家族の暖かさと大きな器に触れて暖かい気持ちになりながらも、俺は話を続けて波紋の事も話す。

波紋の達人と言われる男に学んで身に付けた波紋法という特殊能力。

今回はすずかの家でやった事と同じ様に、コップに水を入れたまま逆さにしてみせたり、トランプを空中に固定してその上に乗ったりした。

親父とお袋、爺ちゃんだけではなく、やっぱり非魔導師の方々には思いっ切り驚かれたがな。

更に!!今回は新たに会得した癒しの波紋で、皆の度肝を抜いてやったぜ。

 

「えーっと、リンディさん?ちょっとココに座って下さい」

 

俺は癒しの波紋を見せるために、皆から見える位置に立って其処にリンディさんを呼んだ。

最初はいきなり指名された事に首を傾げて不思議そうにしていたが、言われた通りに俺の傍に腰を降ろし、皆とは反対の方向を向いてもらった。

 

「……あの、ゼン君?ここからどうしたらいいのかしら?」

 

だが座らせられただけで俺が何も言わない事を訝しく思ったリンディさんは俺に視線を送ってそう問いかけてくる。

俺はそんなリンディさんに笑顔を送りつつ、ある質問をした。

 

「まぁそんな緊張しねえでリラックスして下さいよ……所でリンディさん、ここんとこ寝ずの番で疲れてるんじゃないっすか?」

 

「え?……そ、そうね。最近はかなり疲れてるけど、それがどうかしたの?」

 

俺の突拍子な質問に驚きながらも、リンディさんは聞かれた事をハッキリと答えてくれた。

俺はその答えを聞きながら、リンディさんの両肩に手を沿えて、波紋の呼吸のリズムを刻み始める。

 

「いえいえ、この波紋は疲れてる相手にこそ真の効力を発揮しますんで……こぉおぉおおお……((波紋疾走|オーバードライヴ))」

 

不安がるリンディさんを安心させるように微笑みながら答え、そしてアルフに使った時よりも弱めの波紋を送り込んでいく、

すると俺の手先から太陽光にも似た色合いの淡い光が現れ、アルフの時の様に電流が迸るのではなく、柔らかい光がリンディさんの身体を包みだした。

それに最初こそ驚いたリンディさんだが、次第に体の力を抜いてリラックスしていく。

 

「あ、あら?この波紋……身体の疲れが……ふぅ♪」

 

戸惑いも疑問も全て飲み込み、俺の波紋が全身を駆け巡ると同時にリンディさんの口から緊張の抜けた声が洩れた。

うん、多分こんなモンで良いだろ。

時間にして大体5秒ぐらいリンディさんに波紋を流し込むと、俺は波紋を流す作業を中断した。

流れ込んだ波紋の力が弱まると、リンディさんを覆っていた波紋光が弱まり、その輝きは消えていった。

 

「ふう……ん〜♪全身に感じてた疲労が全部消えちゃったわ。どうもありがとうゼン君♪」

 

「いえいえ、俺の波紋の効力を見せるためッスから……所でリンディさん。コチラの鏡を御覧下さいなっと」

 

俺は笑顔でお礼を言ってくれたリンディさんに同じく笑顔で言葉を返しつつ、手元に持ってきた鏡をリンディさんに向ける。

そんな俺の行動に?って顔をしてたリンディさんだが、俺の持つ鏡に映る自分を見た瞬間……。

 

「うん?……ッ!!?こ、ここ、これはッ!!?何て事なのッ!!!?」

 

鏡に映る自分を見たリンディさんは驚愕の叫びを上げて俺から鏡を引ったくると、鏡に写る自分の姿をマジマジと凝視し始めた。

そんなリンディさんの慌てふためきながらの行動に、俺のヤル事を?顔で見ていた他の面々も何事かとリンディさんに注目してしまう。

へっへっへ、この癒しの波紋のもう一つの効果、それは……。

 

「こ、こんな事がッ!!?は、肌の艶がッ!!?まるで10代の時みたいにツルツルに戻ってるわッ!!!?」

 

『『『『 な ん で す っ て ッ ! ! ! ! ? ? 』』』』

 

超 絶 美 肌 効 果 だ 。

 

驚愕しながら鏡から顔を上げたリンディさんの叫び声に、桃子さん、プレシアさん、お袋、シャマルさんの叫び声が呼応した。

其処で皆に見える様に顔を振り向かせたリンディさんの顔色は俺の波紋を受ける前と違ってとても艶々に光っていた。

まさに努力では絶対に辿り着けない美しい肌の境地、タマゴ肌ってヤツだな、うん。

このリンディさんのリアクションと実際の肌を見た女性陣全員の眼が、ギョロリって擬音が似合いそうな勢いで俺に向いてきた。

うん、普通に恐えぇよ。ってかシグナムさんアンタもかい。

一方で男性陣はこの波紋の良さが分からねえのか、首を傾げて難しい顔をしてらっしゃる。

まぁ男にとっちゃ肌がどーのこーのなんて普通にどーでもいいもんな。

 

「お、お化粧なんて必要ないぐらいにハリとツヤが出てるわ。それに、髪の毛にも艶と潤いが戻ってる……ゼ、ゼン君?これもその……は、波紋の効力なのかしら?んん?(ピクピクッ)」

 

一通り自分の肌の状況を確認したリンディさんは、何やら口元のヒクついた笑顔で俺の肩を桃子さんより力強くグワッシリと握って凄んできた。

良〜く見れば目が笑ってないです。

他の女性陣も聞きたい事はリンディさんと一緒なのか、俺の事を血走った目で見ていらっしゃる。

ヤダ、凄く恐い。

 

「そ、その通りッス。さっき説明した通り、波紋法ってのは人間の身体に宿る生命エネルギーを増幅させたり一点に集中させたりする、謂わば生き物の身体をコントロールする技術です」

 

「フムフム……それで?続きをお願いできる?ゼン君♪」

 

俺の言葉の一言一言を聞き逃すまいと相槌を打ちながら俺を血走った眼で見てくるリンディさん+11人の女戦士達。

やっべえ、俺コレ使うの早まったか?

女の人の美の追求に対する執念がこ、ここまで凄いとは……精神力が凄すぎるッ!!ドス黒い執念の精神力がッ!!

で、でも冷静に考えてみりゃ〜よぉ〜……遣り様によっちゃあ、コレってスゲエ使えるんでない?

 

「つ、つまりっすよ?俺はまず波紋法を使ってリンディさんの身体に活力エネルギーを送り込んで身体の疲労を癒し、そんで俺の波紋に当てられて活性化したリンディさんの生命エネルギーを操作、増幅して肌と髪に、超・極上の美肌、美髪効果を施したんス。」

 

「ち、超・極上?…………な、なるほど……この美肌と美髪の効果は大体、どの位の間効果を保つのかしら?」

 

あっ、やっぱり手放したく無いのねその輝く肌と艶々の髪を?

これは将来エステ店を開くのも有りかも知れねぇ〜なぁ〜。勿論店の名前は『エステ・シンデレラ』で♪

 

「効果は大体2週間ちょっとって所です。その間は別に特別な事をしなくても良いし、効果が切れても波紋を流す前の肌に徐々に戻るだけで、別に害は無いっすよ?効力もさっきより時間を掛ければ掛ける程に持ちますし……唯まぁ、俺もコレをやるのシンドイし、ボランティアってワケには……」

 

『『『『 年 間 フ リ ー パ ス は 幾 ら か し ら ? 』』』』

 

「禅?アナタは母親からもお金を取る様な事はしないわよね?お母さんは信じてるから♪」

 

等々俺の超・至近距離まで詰め寄って何とか今の波紋を確保しようと動くマダム達。

お袋に至っては情に訴えてきやがったよ。っていうか目が笑ってねえし。

これはお袋以外なら上手くすれば一財産築けちまうぞぉ〜〜ッ!!ケケケッ!!

俺って悪党かなぁ〜〜?いや、そんな事ぁねぇぞッ!!俺は純粋に美を追求する女性の手助けをしてんだからなッ!!

チョ〜ッピリですけど、お小遣い稼がせて貰いますよぉ〜〜皆さん(笑)

これからバカ受けしそうな副業を手にした俺は、湧き上がる笑いを殺しつつ、心の中でほくそ笑むのであった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

そして、又もや脱線した話を、今度はグレアムさんが取り仕切る事で元の路線に戻した。

そして中断していた話の続きを、ユーノに変わってプレシアさんがフェイトサイドの話を、リンディさんが時空管理局サイドの話を受け持った。

まずはリンディさんから時空管理局という組織の詳細と、グレアムさんとリンディさんの階級を明かして身元を教えた。

なのはがフェイトと交戦している時に現れ、そしてなのはの思いを受け入れてジュエルシード事件の解決に協力してもらっていたという事も。

その事を今日まで秘密にしてなのはに危険な事を任せた事を士郎さん達に深く謝罪した。

士郎さんと恭也さんはさすがにリンディさんとなのはのした事に難しい顔をしていたが、桃子さんだけは違った。

 

「なのはが自分で決めた事ですもの……親である私達が応援しなくて、誰が応援するっていうんですか?」

 

と言って納得してない雰囲気の士郎さんと恭也さんを諭す役割をしてた。

だがさすがに桃子さんもなのはが黙ってやった事には怒っている様で、次からはちゃんと相談して欲しいとなのはに言ってたがな。

そして、リンディさんの話を引き継いでプレシアさんが、何故ジュエルシードを求めたのかという事情も全て、包み隠さずに話していく。

その事情、つまり最愛の娘であったアリシアを生き返らせたいという一心でジュエルシードを集めていた事をだ。

勿論、今のフェイトラブなプレシアさんしか知らない我が家と高町家の皆さんは目を丸くして驚きを露にしてしまう。

何せ魔女と言っても差し支えない状態だったからな、あの時のプレシアさんは。

 

「……ゼン君となのはさんのご家族の方に、私はまだしなければならない事が残っています」

 

「ちょ!?プレシアさん!?」

 

「な、なにしてるんですか!?」

 

ジュエルシードの事件の全貌について語り終えたプレシアさんは、突然俺の家族となのはの家族に対して土下座をした。

突然の事に慌てふためく俺となのはだったが、プレシアさんは何を言おうとも土下座の体制を崩さず言葉を紡いだ。

 

「私の身勝手な願いで、皆さんの命と大事なお子さん達の命を巻き込んでしまった事。今更ではありますが、謝罪させて下さい」

 

その言葉に、どれだけの思いが籠められてるかなんて、まだガキの俺には分からなかった。

でも、お袋と桃子さんは分かったようで2人は優しくプレシアさんの肩を掴んで身体を起こさせて笑顔を向ける。

 

「私も、もしも同じ境遇だったなら、プレシアさんと同じ事をしていたかも知れません……だからと言う訳ではありませんが、私は貴女を責めません」

 

「子供がどれだけ母親にとって大切なのか、それは母親なら誰もが分かる事です。プレシアさんの取った行動は社会的に許されない事であっても、私達が母親である以上、責める事は出来ない事ですから」

 

桃子さんとお袋はそう言ってプレシアさんに笑顔を向けながら励ました。

2人の言葉を聞いたプレシアさんは目からポロポロと涙を溢して何度も何度も「ありがとう御座います……」って繰り返しつぶやいていた。

何とか場が収まってくれた事に、当の本人である俺となのはは溜息を吐いてお互いに軽く笑ってしまった。

プレシアさんもホントに変わったっつうか……いや、これがプレシアさんの母親としてのホントの姿なんだろうな。

暫くそうして泣いていたプレシアさんを桃子さんとお袋が慰めるという光景が広がっていたが、プレシアさんが泣き止んだ辺りで話は今回の事件の事に及んだ。

この事に関してはすずかの家で話した内容よりも大分詳しく話す事が出来たが、それでも全部じゃねえ。

さすがに管理局の機密問題に引っ掛かる話しが多いみてえだし、事件を体験した俺達も喋っちゃいけねえと誓約書を書いたからな。

その中で俺達が海鳴市、いや地球の運命を背負った一大バトルの話しに差し掛かった時、俺はやっと腕の怪我が自分の波紋の力の所為だって事を親父達に説明できた。

只、暴走の原因である闇の書の元主だったはやてが頭を下げて謝ってきた時には焦ったっての。

ダチなんだからその辺は気にしねえでもらいてえぜ。

慌てて俺がはやてに頭を上げてもらうと、リンディさんからも腕の怪我は大丈夫なの?って聞かれて気になったので、俺は腕の包帯を外してみた。

シャツを捲って皆に見える様に腕を翳すと、ソコには俺の手の甲、つまり中指と薬指の付け根の辺りから腕の付け根を超えて肩の途中辺りまで痛々しい傷跡がクッキリと刻まれてる。

うへぇ……これって一生モンの傷だって言ってたな。

その傷跡を見た桃子さんとお袋や美由希さんは手の平で口元を覆ってかなり驚いてしまった。

親父や士郎さんも心配そうな顔をしていたので、俺は笑顔を浮かべたまま腕を振ったりシャドーボクシングをして問題無いってトコをアピールしておく。

まぁ実際、腕に痛みはねえし問題はねえからな。

そして最後はリインフォースが体に抱えた爆弾を持って自殺しなくちゃいけなかった所に話しが及んだ。

自分が死なないと、またこの地球と自分の主であるはやての命が危険に晒されるという理由で死のうとしたリインフォース。

その理由をリイン自身が語り、そして俺がリインを助けた事も彼女が語った。

それはもうトンでもない熱の入りようで、ここまで饒舌に語ると思ってなかったから驚きまくったぜ。

 

 

……とまぁ、ここで話はさっきのリンディさんの締めの言葉に戻る。

 

さすがに今回と前回の話しは地球の常識を覆す様な事ばっかりだったので、誰も喋る事が出来ねえんだ。

かと言ってここで話しを切り上げてハイさようならってのもおかしいし……どうしたもんかね、この空気?

 

「フゥ〜〜ム……良しッ!!!ほんじゃあ今からパーティーでもやろうじゃねえかッ!!」

 

そうそう、こーゆう時はパーティーでも……ん?

余りにも重い空気の中で俯きながらどうしたモンかと頭を捻っていると、何やらこの空気にそぐわない明るい声が広間に響いた。

その声に引かれて顔を上げると、そこには「ナイスアイディア」と言わんばかりのドヤ顔をした爺ちゃんの姿が。

っていうか爺ちゃん一体何を言ってらっしゃるんでせうか?

 

「……お、親父……いきなり何を言い出すんだ?」

 

俺が感じた疑問は親父も思った事らしく、ワケ分からんって顔で爺ちゃんを見てた。

その視線と質問を受けた爺ちゃんはというと、親父の質問にキョトンとした顔を見せてくる。

いや、何で言いだしっぺの爺ちゃんがそんな顔しなさるんで?

 

「オメエこそ何言ってんだよ信吾?何か難しい話しがゴチャゴチャ続いたが、要は地球の危機ってヤツぁ禅と禅のダチが頑張って救われたんだろ?ならそれを祝うのは当たり前じゃねぇか」

 

「ま、まぁそれはそうだが……しかし」

 

「それによ……」

 

爺ちゃんの、無茶苦茶だが筋の通った答えに口を噤んでしまった親父だが、それに続けて言葉を出そうとしたら、爺ちゃんの真剣な声に遮られてしまった。

今やこの大広間に居る人間の誰も彼もが爺ちゃんに視線を送り、その真剣な顔に目が離せなくなっている。

 

「プレシアさんの話しを聞いた時から思ってたんだが、禅はテメエの((命|タマ))と身体を張ってプレシアさんをきょ、きょ……名前は忘れたが、大きな底なしの穴に落ちていくのを助け出したんだろ?しかもその理由は、フェイトって娘が泣くのを見たくねえからときたもんだ」

 

爺ちゃんは腕を組んだ姿勢のままで語り、俺とプレシアさん、そしてフェイトを順番に優しい目で見て回った。

まぁ確かに俺が命張った理由は正しくそうなんだけどよ……改めて言われるとちぃと恥ずかしいな。

 

「んで、今回のドンパチの最後にしたってそうだ。生きてたら迷惑がかかるって理由で自殺しようとしてたっつぅリインフォースって嬢ちゃんの事も、禅は『生きて欲しい』って優しい思いで助けた……信吾、オメエの息子がよ?人様の命をテメエの体張って助けたんだぜ?こりゃあつまり、俺の孫が『漢』を上げてきたっつう事じゃねぇか?そんなメデてえ日に祝わなくて何時祝うってんだよ」

 

爺ちゃんはそう言って言葉を締め括ると、力也さんと幹夫さんに視線を送って「オメエ等もそう思うだろ?」って聞き出した。

その爺ちゃんの問いかけに、力也さんは真剣な表情で、幹夫さんは本当に嬉しそうな表情でそれぞれ俺に視線を送ってくる。

 

「勿論です!!ただ目の前の女を泣かせたくねぇって理由で命張れるって、坊っちゃんはもっと胸張って誇っても良いと思いますぜ!!」

 

「そうッスよ!!しかも理由が女の為だなんてカッコイイじゃないッスか!!こりゃもう盛大に祝うべきっすよ!!んでもって美味しいもの沢山食べましょう!!」

 

力也さんと幹夫さんも爺ちゃんと同意見らしく、諸手を上げて俺の行動を賞賛してくるではないか。

ヤメテ、そこまでベタ褒めされると色々こっ恥ずかしいですって。っていうか幹夫さんは食いたいだけじゃない?

自分のやりたいようにやってきた事を身内に褒められるってのは、色々と辛いモノがあるぜ。

まぁ、結局の所、自分に助けられる力があんのに手を伸ばさないでいるってのが俺自身イヤだったし、夢見が悪かったからなんだけどな。

 

「まぁそれと掛け合わせてよ、俺達もまだ飯を食ってねえワケだし、せっかくこうして今回頑張った人間が集まってんだ。高町さんとこもリンディさんも八神の嬢ちゃんトコも、全員で一緒に飲み食いして無事を祝う、親睦を深めるってのもオツだろう?なんせ今日はクリスマスなんだし、パーティーにゃもってこいの日取りじゃねえか」

 

「ハァ……全く、相変わらず滅茶苦茶なのに筋は通ってる事を言うものだな。そう言われれば、納得せざるを得ないだろう……皆さん」

 

爺ちゃんの言葉に呆れた返事を返す親父だったが、その顔は面白そうに笑っている。

何だかんだ言っても、そーゆう理由なら俺達だってやりたいって思う。

そして親父は苦笑いしながら皆に向き直って、爺ちゃんの言葉に面食らってる皆に声を掛けた。

 

「父も乗り気ですし、もし宜しければ今夜の夕食はウチで食べていって頂けませんか?父はこういう事に人一倍頑固ですから、1度決めたら融通が効きませんので……」

 

「あぁん!?おうコラ信吾!!その言い方じゃ俺が偏屈な頑固ジジイみてえじゃねぇか!?」

 

「みたい、じゃなくそう言ったんだが?」

 

「ぬぁんだとう!?生意気抜かしやがって小僧が!!」

 

本気で罵り合ってるワケじゃなく、笑いながら言い合う親子の掛け合いを見ながら、俺は不覚にも笑っちまった。

あぁ、何だかんだ言っても、俺だってこーゆう空気を守る為に戦ったんだよな……なら、俺が乗らないワケにゃいかないじゃん?

俺は笑みを顔に貼り付けたままに、隣りに座って慌てた顔で親父達を見てるリインとフェイトに視線を向けた。

 

「リイン達も食ってってくれよ?やっぱパーティーってのは人数が居てこそだしな。お袋も良いだろ?」

 

「禅、アンタまで……もぉ、やっぱり親子だわ。アンタも信吾さんもお義父さんも」

 

遂には俺まで乗り気になってしまったので、お袋は呆れた様な声を出しつつも、その顔は何処か楽しそうだった。

そしてまだギャーギャー掛け合いをしてる親父と爺ちゃんには目もくれずに立ち上がり、何時もの姐御モードへとその顔が切り替わっていく。

あっ、これはまさしく厨房へ行く時の顔だ。

 

「さぁ禅、今夜はお客さんが多いからね!?特急で且つ美味しく仕上げなきゃならないけどやれんのかい!?」

 

随分と楽しそうな顔で俺に声を張り上げて問うお袋の姿は、何時になく輝いて見える。

まぁここに居る大半の人はその急激な変化に着いていけてねーけどな。

そしてお袋の問いかけを聞いた俺はニヤリと口で弧を描きながら立ち上がり、シャツの腕を捲くり上げた。

 

「あったりめぇよ!!もうお袋達には俺のスタンド能力の事を話したんだ!!こっからは俺とスタンドの協力調理ってのを拝ませてやんぜ!!」

 

そうお袋に宣言しつつ、俺は『クレイジーダイヤモンド』を出してお袋に自信満々な表情を見せつける。

さすがにスタンドは見えないだろうけど、そんな自信たっぷりの俺の表情を見て、お袋もニヤリと笑みを浮かべた。

 

「たいした自信じゃないか?足引っ張ったら承知しないからね?それと力也!!幹夫!!」

 

「「は、はい!?何でしょう姐さん!!?」」

 

と、お袋は広間の隣りに位置する台所へと続く襖を開け放ちながら、隅でポケッとした顔になってた力也さん達に声を飛ばす。

その声に過敏な反応を示して直立不動の体勢になるお2人、っつうか、姐さんって様に成り過ぎてね?

 

「アンタ等もボサッとしてないでとっとと動きな!!幹夫はテーブルと座布団の用意!!力也は倉から野菜と米を取ってくる!!働かない奴は飯抜きだよ!!」

 

「「わ、わかりやしたぁああああああ!!?(ドドドドドドドッ!!!)」」

 

お袋の怒声に近い声を聞いた力也さん達は危ない足取りで部屋から出ていってしまった。

特に幹夫さんの表情は必死だったよ……あの人にとっちゃ1食抜きなだけで地獄だからな。

そんな2人の様子に満足げに頷いたお袋はもう1度俺に視線を送ってくる。

 

「それじゃあ禅!!40秒で支度しな!!!」

 

「ドー○おばさん!!?」

 

「誰がおばさんだクルァアアアアアアアアッ!!!」

 

「ア゛ッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!?」

 

なんて感じでお袋にブッ飛ばされつつも直ぐに回復し(ギャグ補正か?)俺は爺ちゃんの家に常備してある自前のエプロンを着込んだ。

更に俺とお袋が厨房に向かうって話しが出た辺りで触発されたのか、桃子さんも手伝いを買って出てくれた。

お袋はその桃子さんの申し出を快諾し、これから俺達3人の3人による3人のための華麗なる料理ショーが幕を開く。

つってもまぁ各々で料理を作っていくだけなんだけどね?

ただその際気になる一コマもあったんだが……。

 

「それじゃあ、私と桃子さん、禅の3人で料理を作りますので、皆さんは寛いでいて下さい♪」

 

「いえ、さすがに寛ぐだけでは申し訳ないので、お皿の準備や配膳ぐらいは手伝わせて頂けないでしょうか?」

 

「そうだな父さん。俺達もそれぐらいはお手伝いさせて下さい」

 

「あら♪でしたらお願いしますね?」

 

「頼りにしてますよ、士郎さん♪恭也」

 

「あぁ、任せてくれ。桃子さん♪」

 

「作れなくてもコレぐらいは、な。禅君、君の腕前を見させてもらっても良いか?」

 

「ドンとこいッスよ、恭也さん!!」

 

姐御モードから瞬時に通常モードに切り替わったお袋が笑顔で言うと、子供組は大人しく従い、士郎さん達は配膳の役目を買って出た。

今知ったけど士郎さんと桃子さんもウチの親父達と一緒でアツアツなのね、既に空気がピンクだもん。

グレアムさんも手伝おうとしてくれたんだが、さすがにそんな大人数で厨房に行っても身動きが取れないので、爺ちゃんの将棋の相手をしてもらう事に。

リーゼ姉妹も猫から人間形態になって部屋の準備を手伝ってくれるそうだ。

プレシアさんとリンディさんはまだそこまで料理に自信があるワケではないとの事で、今回は子供組の相手をしてもらう。

そして全員で厨房に移動しようとした時、シャマルさんが笑顔で立ち上がり……。

 

「じゃあ私もお手伝いに……」

 

「行かせると思うかシャマル?ザフィーラ!!ヴィータ!!」

 

「応!!縛れ『鋼の軛』!!でぇぇぇや!!(ギュィイイインッ!!!)」

 

「任せろ!!おりゃあ!!(ギュアンッ!!!)」

 

ヴィータのバインドと、守護獣モードから人間形態に変身したザフィーラの最上級拘束魔法がシャマルさんを雁字搦めにした。

って何でさ!?いきなり何してんのこの人達!?しかも連携に無駄がねぇ!?っていうか無駄に連携が良い!!

 

「キャアッ!?な、何するのよ皆!?」

 

中途半端に立ち上がろうとした状態で捕縛されたシャマルさんは、当たり前だが拘束してきた3人に文句を言う。

その文句に対して、ヴォルケンリッターの3人の表情はと言うと滅茶苦茶固い。

だが、主であるはやてとリインに至ってすら「良くやった皆!!」と言わんばかりにウンウンと頷いてる。

い、一体何なんだ?シャマルさんはただ手伝いを願い出ただけじゃねえか。

 

「シャマル。お前を厨房へ近づけさせるワケにはイカン。盾の守護獣の名において、お前はここから出させん」

 

「人ん家で死人を出すワケにゃいかねえだろーが」

 

ちょっと待て死人てどゆこと!?

 

「そ、そんな事するワケないでしょお!?普通にお料理するだけなのに!!」

 

「シャマル、無自覚というのは最大の罪だという事を理解しろ。お前のアレは既に料理では無い」

 

「シグナム酷い!!」

 

何ともバッサリと辛酸な言葉の数々に涙目になるシャマルさん。

だがヴォルケンリッターの誰もがその言葉に取り合わず、憮然とした態度を見せている。

ま、まぁさっきのはやての反応とシグナムさん達の態度を見てればシャマルさんの料理が料理と言えないモノっていう事は分かるんだが……そんなに酷いのか?

 

「あ〜、その……シャマルさんって料理が出来ねーんスか?」

 

余りにも無作法だとは思うが、敢えて直球で聞いてみる。

料理が出来ないぐらいならココまで神経質な対応をしたりしねーと思うがな。

そんな俺の言葉に、シャマルさんは過敏に反応して少しばかり泣きそうな顔で上目遣いに俺を見てきた。

うっ!?カ、カワイイじゃん……!?コ、コレが世に言う『子供っぽいお姉さん』ってヤツか!?結構クるモノがあr。

 

「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

冗談です。冗談ですからリイン、その光の無い目ぇ止めて下さい。

後その手に渦巻いてる漆黒の塊も消して下さい。

 

「ひ、酷いわゼン君!?シャマルさん料理下手じゃないもん!!普通だもん!!」

 

「い、いやでも、普通ならシグナムさん達のこの対応は在り得ねーと思うんスけど……」

 

さすがに罪悪感が沸いてきたのでなるべくソフトに返した俺だったが、シャマルさんは俺の言葉にヘソを曲げてしまったのか頬を膨らませてぷいっとそっぽを向いてしまった。

や、やっぱり今さっきの言葉はストレート過ぎたか?女の人には優しくしなきゃいk。

 

「漫画じゃあるまいしそんなに酷くないですよぉ。偶にウニとたわしを間違えるぐらいで……」

 

「テメエCooking舐めてんのか馬鹿にしてんのかアンチしてんのかヘイトしてんのかブッ飛ばすぞアァン?」

 

「態度が90度変わった!?あ、あのゼン君?わ、私か弱いお姉さんだから、もう少し優しく接して欲しいな〜♪なんて、って待って待って嘘だからゴメンなさい謝るから『クレイジーダイヤモンド』の拳向けないでぇええ!!?」

 

俺の豹変振りに驚愕したって顔で俺を見るシャマルさんだったが、んな事は関係ねえ。

ウニとたわしを間違えるとか料理ってモンを馬鹿にし過ぎだろ?いっぺん『クレイジーダイヤモンド』でド突いて治してやろうか?

っていうか漫画でもウニとたわしは間違えねえだろーが。

とりあえず結論、シャマルさんは例え何があっても厨房に入れちゃなんねえ。

それはお袋と桃子さんも思った様だが、さすがに同じ女性に強く言うのは憚られた様で苦笑いと共に広間から去っていった。

ちなみに士郎さん達は先に広間から出ている、多分廊下でお袋達を待ってるだろう。

俺もその後に続いて広間から出るために入り口へ向かい、途中で振り返ってシグナムさんに真剣な視線を送る。

 

「シグナムさん。しっかりとお願いしますよ」

 

何を、とは言わない……だって俺達は今や、同じ目的の為に動く戦友だから。

 

「あぁ、任せておけ。お前やお前の母君が安心して腕を奮える様、我々も死力を尽くす」

 

「盾の守護獣として、お前の期待に応えるとしよう」

 

「まっ、はやての料理の方がオメーの料理より美味えと思うけど、一応期待しとく。コッチは任せとけ」

 

俺の目を見つめて真剣に返事をするシグナムさん、とても頼りになる背中で応えるザフィーラ、そして素直じゃないにしても心強い言葉をくれるヴィータ。

もはや主語が無くても俺達は判りあえた……言葉はいらない……そこには無言の詩が……奇妙な友情があった。

 

 

 

 

 

「あ、あれ?何だか私の扱いが言葉にすら入ってないんだけど……?」

 

当たり前でしょうに、少しそこで反省してなさい。

 

 

 

 

 

-3ページ-

 

 

後書き

 

はい、中途半端な所で区切ってすいません(土下座)

 

でもこの辺りでしか区切れなかったんで(汗)

後編は前編より大分短くなると思いますがソチラはご了承下さい。

 

後、出来ればこの前編の分のコメントもお願いします。

後編だけに書くんじゃなく、出来れば前編を読んだ感想もお願いします。

 

 

 

 

説明
第30話〜祝福の風にクリスマスプレゼントを♪(前編)
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コメント
げんぶさん>いや!?俺のSSコメント欄をストレス発散に使われても!?Saints Row2とかやってみては?結構スカッとしますよwww(piguzam])
げんぶさん>いや再開しちゃ駄目ですってwww(piguzam])
げんぶさん>可愛いから良いんじゃねっすか?www(piguzam])
げんぶさん>自分の場合は、アニメの笑い方がそんな感じに聞こえてきた事があったのと、げんぶさんの言う通り他のSSを読んだ結果ですね(piguzam])
匿名希望さん>どーゆう事でしょうか?自分はパソコンとスマホで問題なく見ていますけど?(piguzam])
読めないんですけど(匿名希望)
げんぶさん>いえ、ただなのははこーゆうキャラとして作ってるだけですが……(piguzam])
鬼姦さん>俺も頭の中を過ぎりましたwww材料が無駄にならなくて済むwww(piguzam])
思いついたのですがシャマルが料理するクレイジーダイヤモンドで失敗作を戻すでエンドレスの練習が・・・(鬼姦)
俊さん>後は各々の譲り合いと禅の気持ち次第かとwww(piguzam])
Lapis lazuliさん>ちなみに俺の友人はリアルにウニとたわしを間違えた強者が居ますwww(piguzam])
俊さん>それが理想ですが、その譲り合いの精神的な盟約を結ぶ話を考えて行きたいですね(piguzam])
俊さん>初コメ有難う御座います。確かに行き過ぎると暴力娘に成り下がってしまいますし、ある程度は抑えて行きたい所存です(piguzam])
げんぶさん>予測できない点を突くのが、戦いの定石よwww(piguzam])
海平?さん>シャ「楕円も普通の円も円って入ってるんだから似たような……」ヴォルケンズ「「「ンなワケあるか!!?」」」(piguzam])
今回の話を読んだ感想は、爺ちゃん公認なんだからハーレムを築けば良いんじゃないだろうか?ですね。(俊)
今日、久々に会った友人に会ったわけだが、そいつは昔ウニと栗を間違えて大爆笑されていたのを思い出しました…まあ、シャマルに比べたら可愛いもんですな(笑)(Lapis lazuli)
各人自分が禅の一番では無く、皆禅の一番と思ってた方が幸せになれると思うんですけど。それに嫉妬でO☆HA☆NA☆SHIするよりも、拗ねた方が禅の精神にダメージを与えられると思うので。(俊)
初めてコメントさせて貰います、俊です。とりあえずフェイト&アルフ&リインフォ−スのヒロイン三人に言いたいんだけど、嫉妬からくるO☆HA☆NA☆SHI等は行き過ぎると嫌われる原因になるので辞めた方が良いですよ?むしろハーレムを許容した方が今後の為かと。(俊)
シャマルさん・・・ウニは円形、タワシは楕円形でっせ(´Д`;)(海平?)
青髭U世さん>そして楽しく逝こうゼ?の世代は変わるんですね、わかりますwww(piguzam])
↓↓はらわたをぶちまける(柚ねえ繋がりで)程のシャマルクッキングに一票ww(青髭U世)
とりあえず総閲覧数が2500超えたら後編を投下しますwww(piguzam])
げんぶさん>決着の付かない勝負はシテも無駄……って事でD4C!!サヨーナラー(piguzam])
鬼姦さん>爺ちゃんの廃車工場で使えばパーツ治して大儲け$更に車本体を直せば中古車として復活¥夢の様な生活じゃないっすかwww(piguzam])
いや曲がった所とか逝ってしまったエンジンとか普通に直せない場所ですよw(鬼姦)
プロフェッサー.Yさん>禅「そ、そんなおっそろしいフラグ立てちゃダ「ゼンくーん♪良かったらコレ、食べてくれるかしら♪」……山吹色の波紋!!これで俺は、立ち向かえるのか!?」(piguzam])
げんぶさん>それ大嘘憑き?でしたら『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』で、『俺に向かう事柄を全て無かった事にする』事も可能ですwww(piguzam])
H.Yさん…心中、お察しします(最敬礼)ところで…素朴な疑問なんですが、「シャマルクッキング」と「波紋で強化した禅の胃袋」ではどちらが強いと思います?(ゲス顔)(プロフェッサー.Y)
げんぶさん>このままじゃ千日手、決着なんか付かない……仕方ねえ、『マン・イン・ザ・ミラー』鏡の世界にお前を入れる事を許可する!ただし異能の力と道具は一切許可しない!もっとも、この鏡の世界でモノを動かせるのは俺だけ……それがこのスタンドのルール!(piguzam])
げんぶさん>それは予測に入っていたさ……『時間外』だから攻撃は間に合わなかったが……お前は俺が纏う『イエローテンパランス』に触ったな?触った部分からドンドン肉を食って取り込んでいく!!(piguzam])
ロキさん>…………投稿は、もう少しお待ちを……更ニ甘クシテミヨウ(piguzam])
余裕ですよ、本当……ただし俺は、ですけど(キリヤ)
げんぶさん>間違えちゃいけねえ。『時間』は全て『飛んでいる』んだッ!止まってるんじゃないッ!お前は自分が既に攻撃を終えている事を『認識できない』!この動きに対応出来るのは『キング・クリムゾン』を持つ俺だけだぁああ!(piguzam])
ロキさん>ホントに?今後編を更に甘くしてますけど……正直、書いてるだけで吐きそうデス(汗)……コレ、本当に投稿して良いの?(汗)(piguzam])
ギブ?ははは、そんな訳ないじゃないですか……余裕のよっちゃんですよww(キリヤ)
げんぶさん>『キング・クリムゾン』!!俺以外の時間は、全て消し飛ぶッ!!そして俺だけがその時の中を自由自在に動ける!!お前の行動は……全て予測済みだぁああッ!!!(piguzam])
絶対零度さん>毎度の事ッスよwww(piguzam])
ロキさん>皆さん結構ギブ気味?これまだ前編なんですけど……そしてこの話の主役はリインフォースなんですけどwww(piguzam])
初コメかな?楽しく見させてもらってます……………砂糖を感じながら、タバスコ飲みながらですけど………最近味覚が麻痺してきました………(キリヤ)
げんぶさん>ならばこのpiguzam]も逝っきまーす♪『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』禅「勝ち目ねえ!?」(piguzam])
げんぶさん>シグ「スマンがこれから『クレイジー・ダイヤモンド』と剣を交えるのでな」禅「ぎゃー!?何のたまってんのこの人!?」(piguzam])
こいしさん>H,Yさん(プライバシー保護のために声加工)「一度だけ、鍋から少し零れたスープがあったんやけど……木のテーブルが一滴で全部腐食しました」(piguzam])
げんぶさん>禅「それは俺とクレイジー・Dの役目ですwww」『……』ゴゴゴゴゴ……シャ「いぃーーーやぁーー!?」(piguzam])
リリカルマジカルミ☆シャマルの三分クッキング=化学兵器の開発 例えば見た目普通のコロッケは食べたら一年間目を覚まさないで目が覚めたら五体の一部が麻痺してる。 とかこんな感じに思われてると……(ハラキリ)
げんぶさん>シャ「そ、そんな馬鹿してないわよ!ね?シグナム?」シグ「あぁ、麺つゆは無いな」シャ「ほ〜ら♪」シグ「麺 つ ゆ は ! ……無いな」シャ「……あ、あれ〜?(汗)」(piguzam])
げんぶさん>シャマル「そ、そんな事ないもん!!……半日はあったけど(ぼそっ)」はやて「ッ!?」(piguzam])
鬼姦さん>ラジエーターのクーラント補充とか液体関係の修理は自分でヤラないと駄目ですけどねwww後カスタム系もwww(piguzam])
父親の会社での仕事は修理は任せたーと来そうですな・・・(鬼姦)
海平?さん>シャマル「に、似てるじゃないですかぁ!こう、チクチクしてる所とか……色、とか……そ、そんな可哀想な人を見る目でみないでよぉ!?ばかーー!!」(piguzam])
禅君の家族ってみんな楽しい人たちばっかでんなぁwwwあと一言言いたい。ウニとたわし?ねぇそれなんのギャグですかシャマルさん?(海平?)
Lapis lazuliさん>そのデジャヴは間違いじゃありませんよwww禅と爺ちゃんの受け継がれたボケ魂をここで再現させて貰いました。受け継がれるジョースターの血統の如くwww受け継がれるボケ魂をwww(piguzam])
ウニとたわしは酷いな…コントか何かでコロッケとたわしを間違えるってネタはあったけど…それにしても振りに関しては…なんかデジャヴを感じます…前に禅は似たようなことやらかしたし(Lapis lazuli)
げんぶさん>(復活)「ありゃ無理だ。あいつって存在は何処の世界でも無理っていうか無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!!」(piguzam])
げんぶさん>元次「良いか姜?大事なのは、だ。うっかり口を滑らせたり、怖いとか直球で言わない事、出来れば心にも思い浮かべるな……それがIS学園で生き残る秘けt(グシャアッ!!)……耐久力あると、邯鄲には死ねないから辛い、ぜ」(piguzam])
げんぶさん>っていうかISの子ならコッチか。鍋島元次「あ〜、気持ちは判るぜ?本音ちゃんとか偶に怖くなるしなぁ。千冬さんなんかデフォ……ジョーダンデス千冬様、ハイ」(piguzam])
げんぶさん>禅「物怖じしてたら可愛い子を愛でるなんて夢のまた夢よ!!」(piguzam])
こいしさん>俺は『納得』したいだけだ!!『納得』は全てに優先するぜ!!(piguzam])
まだだっ!!俺はまだ満足しちゃいねぇ!!!(ハラキリ)
こいしさん>何というスタンド攻撃wwwそれでしたら後編のリインは間違い無く10Tトラック級の威力はあるでしょうwww(piguzam])
そりゃシャマルさんの可愛さでくらっときてさらにフェイトの可愛さという名の2tトラックに速度120キロでぶつかったからです。 周りから見たら知らない人が倒れそうになって急に奇声あげて吹き飛ばされてる光景に見えたでしょう。(ハラキリ)
ライトさん>マダマダ甘くなります、何故なら、この話の主役はリインフォースですからwww(piguzam])
絶対零度さん>じーちゃんファミリー=暴走因子アリwww前編はまだ甘くない、後編は更に鬼畜www(piguzam])
とても甘いし、爺ちゃんがはっちゃけ過ぎwwwとても面白いです(ライト)
青髭U世さん>カオスというか……リインを完璧なヒロインにしますwww(piguzam])
プロフェッサー.Yさん>H,Yさん(プライバシー保護のために声加工)「毎回……内臓が飛び出る思いでした……ひっく」(piguzam])
駄猫さん>ありがとうございます!!これからは日常とバトルをたっぷり盛り込んでいきたいですね。使い捨ても敵キャラを作らねば……(汗)(piguzam])
ボケるときはボケて締めるときは締めるさすが禅の爺ちゃんですね。後半はどうカオスになるのか・・・(青髭U世)
いただきますw時に八神家の皆さん?リインまでそのリアクションということは恐らくシャマルクッキングという名のバイオハザードに複数回さらされたものとお見受けしますが…よく無事でしたね、特に身体的には普通人のはやてさん(汗)(プロフェッサー.Y)
今回も面白いですね(*^^*) そしてついに禅LOVEの3人が家族公認に。これからの展開に期待です!これからも頑張ってください!!(駄猫)
プロフェッサー.Yさん>更に上から牛乳をたぁ〜っぷり掛けてお召し上がり下さいwww(piguzam])
シリアスを簡単にシリアルに…そのシリアルには砂糖がしこたまかかっているワケですね、分かりますw(プロフェッサー.Y)
匿名希望さん>まだ前編、後編もお楽しみにして下さい。似たような作品ですか……まだ想像の域は出ていませんが、何時か書くかもしれない作品の構想はありますよ?全てのスタンド能力を内包したドチートなオリ主×アリサ、すずかとかwww(piguzam])
匿名希望さん>もしかしたら有り得るかもしれませんwww(piguzam])
甘いのが見たいですね。欲を言えば似たような作品作ってヒロインを変えて甘甘とかいいです(匿名希望)
このファミリー見てると三人以外を気に入って何だかんだで三人の仲間入りしそう(匿名希望)
匿名希望さん>5日後ぐらいを目処に考えております。早ければもう少し縮みますがwww(piguzam])
氷屋さん>後は法律の壁だけですねwww禅「俺の気持ちは!?」(piguzam])
はやく次が見たい!(匿名希望)
竜が如くとのコラボでお送りしました(笑)爺ちゃん面白すぎでしょwwwwww 後編は禅LOVEな3人に爺ちゃんが暴走して色々と焚きつけそうですなぁ、一家公認なったしどうなるやらw(氷屋)
匿名希望さん>中身が濃いいとこうなるのですwww(piguzam])
げんぶさん>やはりシャマルさんは安定でしょwwwヴォルケンズの幾度生死の境を彷徨った事か……(遠い目)(piguzam])
匿名希望さん>龍が如くでもその大らかで昔気質な所がとてもカッコ良かったのでwww(piguzam])
fuji0606さん>禅=ボケ、父=冷静、母=暴走?、爺ちゃん=大ボケの成分で構成されておりますwww(piguzam])
kikikuyaさん>橘ファミリーは器の大きさが自慢です♪(piguzam])
こいしさん>(全身骨折の白目) 何 が あ っ た w w w(piguzam])
ダーさん>ありがとうございますwwwなるべく皆さんが読んでくれたなと思ったら後編を投稿します。その間に後編をもっと濃密に(オイやめろ)(piguzam])
キャラ濃すぎw(匿名希望)
爺さんが「漢」すぎてカッコいいのは仕様ですね解ります。(匿名希望)
ゼン家族ヤバ!!!シャマル乙(kikikuya)
爺ちゃんパネェwww 不覚にもシャマルさんにも胸を撃たれたがやっぱりフェイトは可愛いなぁ!!(全身骨折の白目)(ハラキリ)
ゼンのじいちゃんカッコ良すぎでしょ! 後編も期待してます!!(ダーさん)
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