IS学園 入学式

「ふぁぁ」

ドゴッ!!!!!

「ぐはぁ」

「欠伸をするな………」

中村は脇腹を押さえながら隣に座っている千冬を見る。

「上手いように脇腹に入れないでくださいよ」

「知らん」

そんなやり取りをしている間にも式は進む。

中村は秋十のいる方を見る。

「秋十の奴、少し成長したみたいだな」

「そうっすね」

「誰かさんのお陰でな」

千冬は中村を見ながら言った。

中村は頬を掻く。

「別に特別な事はしてないですよ」

中村は秋十から視線を外し、前を見る。

「そういや聞きましたか、昨日ドイツの軍で起きた事件」

「あぁ、一部の施設が爆発した事件の事か？

原因は不明だと報道されてたな。」

「えぇ………数年前にも爆発事故があったそうですけど」

「…………………」

「どうしました？」

「いや、何も………」

入学式は終了するところまできた。

千冬と中村は立ち上がる。

「さて、今年はどんな小娘共が来たのやら………頼むぞ、中村」

「りょーかい」

そんなやり取りがあった入学式は終了した。

IS学園 教室一年一組

「…………はぁ………」

今、織斑秋十は困っていた。

入学式が終わり、教室に入って指定された席に座っていただけなのだが………。

（………困った……………）

その理由は背中に突き刺さる視線である。

ある程度の覚悟は出来ていたと思っていたが想像以上だった。

（まぁ………そりゃそうか……初めてISを動かした男だもんな）

「あの〜〜織斑君？」

副担任の山田真耶先生が反応しない秋十に何度も声をかける。

「あ、すいません」

それに気付いた秋十は現実逃避を止め、立ち上がる。

「織斑秋十です、趣味は料理と掃除です。」

「ん〜〜〜20点」

「えっ」

聞きなれた声に秋十は振り向いた。

「中村さんに、姉貴………」

そこには中村と秋十の姉、織斑千冬がいた。

ドゴッ!!!!

「イテェッ!!!」

「織斑先生だ………」

頭を出席簿で叩かれた秋十は頭を押さえて踞る。

「すいません山田先生、会議で遅れた………諸君、私がこの一組を担任する織斑千冬だ、君達新人をーーー」

千冬の鬼教官的な挨拶だったが生徒達からは黄色い悲鳴が飛ぶが、千冬の渇ですぐに収まり一時間目に入る時だった。

「はい、織斑先生」

「なんだ？」

「扉の近くにいる男性は？」

生徒の指差す所に千冬が視線を送ると腰に刀をぶら下げ、週刊誌を読みながら欠伸をしている中村がいた。

「中村………挨拶をしろ」

「え、俺も？」

バコォン!!!!!

「だぁ!!!!」

「当たり前だ馬鹿者」

「………中村………中村鏡（キョウ）だ、俺も一組の副担任だから、よろしく」

「え、副担任が二人もいるんでか？」

質問した生徒が中村に聞く。

「うん、まぁ察してくれ」

中村は秋十を一瞬見て答えた。

その後、秋十はセシリアから決闘を申し込まれたり、箒と一緒に何処かへ行ったがその日の授業は終了した。

授業中、中村は千冬にこってり絞られたのは言うまでもない。

IS学園 一年寮長室

「はぁ………」

椅子に座りため息をつく千冬、その前にはソファーに座り込み刀に打ち粉をしている中村がいた。

「どうしたんすか、織斑先生」

「どうしたもこうしたもない、中村……貴様、部屋割りを変えたな」

「何の事ですか？」

「とぼけるな、担当者に聞いた」

千冬は中村に部屋割り表を見せ付けた。

「そりゃあアレですよアレ」

「？」

「一人部屋だとアイツはなんでもかんでも考え込む、だったら誰かと住まわせた方が少しはマシになると思いまして」

「建前はいい本音を言え」

「一人部屋はズルいと思いまして」

そう言うと中村は刀を鞘に戻し部屋から出ようとした時、千冬の携帯電話が鳴った。

「知らない番号…………もしもし？」

『アンタが織斑千冬か？』

電話の主は同年代位の男だった。

「だったらなんだ？」

『成る程、流石はブリュンヒルデだ、電話越しでもその気迫は感じるな』

「冷やかしなら切るぞ」

千冬が電話を切ろうとしたときだった。

『死んだ弟の事が気にならないのか？』

「…………なんだと………貴様、一体」

『驚くのは仕方がないよな、なんせ世間に知られていない…………』

「貴様!!!!」

千冬は電話の男に怒鳴る、その声に中村は驚き刀を落としかけた。

『そう怒るな、俺はただアンタ一言言っておこうと思ってな』

「何をだ」

『数年前の爆発事故………調べ直してみろ……………アンタの弟、織斑一夏は生きている』

そう言って電話の男は電話を切った。

千冬は携帯電話を耳に当てたまま呆然としていた。

「先生？織斑先生？」

中村の声に千冬は我に帰る。

「すまん中村!!!!」

そう言うと千冬は寮長室を飛び出した。

その目には涙が溜まっていた。

（…………一夏………………）

ドイツ政府官邸

「き、君達……い、一体……な、何者だ…」

椅子に座っている男、その周りには銃を装備した兵士が取り囲んでいた。

「首相………わ、私は首相だぞ、こんなことして良いと………」

パァン!!!!

「ぐぁぁぁ!!!!」

兵士は首相の肩に向けて発泡、首相は撃たれた肩を押さえて椅子から転げ落ちる。

「これから死ぬ男に言う事は無い」

兵士の後ろから出てきた白髪の男が言った。

そして男は座り込み首相の額に銃口を当て、そのまま引き金を引いた。

「……………作戦は？」

「全て順調に進んでおります」

「分かった」

男は立ち上がり首相が座っていた椅子に腰掛けた。

「世間には？」

「この事は世間には知られません、いつもどうりの日常のままです」

「そうか…………おい」

「ハッ、なんでしょうか」

「次元間通信を使って増援を要請してくれ、早めに反乱分子になりかねない者達を始末する。到着地点は

これに書いてある。」

そう言って男は兵士に紙を渡した。

兵士はその部屋から出ていった。

「全ては己の野望のため」