語られし者たちとIS 世界樹大戦 第30話 夏休みの一幕 代表候補生達の行動
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日本のとある空港

 

一人の少女が疲れたという雰囲気を出しながら、飛行機から降りていた。隣にいる少年は彼女の後をのんびりとついてきている

 

鈴とマオの二人だ

 

もちろん、マオの姿は他の人には見えていない

 

すぐに鈴は様々な手続きを済ませ、ロビーで少し休んでいる

 

(何だかお疲れだね)

 

(そうね、飛行機の旅はあんまり好きじゃないわ。それにいくら鍛えるためとはいえ、あんなことあるなんて思っていなかったしね)

 

鈴はため息をつく

 

「あれ? 鈴? こんな所でどうしたの?」

 

顔を上げると彼女の目の前に同級生でもあり、世界樹大戦参戦者のシャルロットがいた

 

もちろん、彼女の隣にはパートナーのジェイがいる

 

「久しぶりね、シャルロット……私は今帰国した所。そっちは?」

 

「僕たちは今からフランスに行くんだ。用事が終わったらすぐに戻るつもり。じゃあ、また今度ね」

 

すぐにシャルロットとジェイは搭乗ゲートに向かう

 

「……さて、私達は帰りますか」

 

その二人の背中を見送った後、鈴は呟いて立ち上がった

 

すぐにIS学園に行くため、モノレールに乗り込んだ。乗り換えることなく約二時間でIS学園まで帰る事が出来る

 

帰る途中、彼女は中国で過ごしたことを思い出していた

 

彼女が中国に帰国したのは、軍で行われるISの特訓に参加するためだった

 

最初は帰国する気はなかったらしい。しかし、彼女もギガントモンスターに苦戦した一人。そのため、特訓という理由で中国に帰る事にした

 

軍の特訓が終わり、帰国しようとした時に鈴は彼女の母親に久しぶりに会ったらしい

 

出発直前まで、母親と話していた

 

(嬉しくないと言ったらうそになるけど、本当は両親が二人ともいる時に会いたかった……)

 

彼女の両親は現在離婚中、次に両親に会う時は学園を卒業した後、二人とも仲直りさせて家族三人で会いたかったらしい

 

ただし離婚の原因が分からないため、その方法は未定

 

そんなことよりもマオは別のことを気にしていた

 

(それにしてもさ、数えるのも飽きるほど一夏のことを聞かれたよね)

 

(そりゃそうでしょ)

 

鈴が呆れたように答える

 

IS学園に通っているため、いろいろ質問されることは予想していた

 

一夏についてはもちろんの事、そして千冬に対しての質問も多かった

 

(というよりもあいつらは千冬さんに興味があるのよ)

 

(やっぱりね、将を射んと欲すれば何とかってやつだネ)

 

マオの言葉に頷く鈴

 

一夏について聞かれたが、その目的は千冬に近づくこと。一夏の事なんてほとんど見ていない

 

それは一緒に特訓していたメンバーだけでなく指導していた教官もそうだった

 

彼女たちにとって千冬に認められることは、最高の栄誉と考えている

 

(本当にくだらないわよね。未だに一夏のせいで千冬さんが世界大会の優勝を逃したってこと言っている奴いたし)

 

(まあ、明日からまたIS学園で過ごすし、あいつらのことを考えるのはやめよ、久しぶりに一夏に会えるのは楽しみだし)

 

そう考えた鈴はにやけている

 

(鈴、ちょっと気持ち悪いよ)

 

マオの言葉は鈴には届いていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

シャルロットとジェイはフランスのデュノア社の目の前にいた

 

珍しくジェイは姿を現しているうえ、シャルロットは男装している

 

(いいですか、シャルロットさん。交渉のお手伝い、お願いしますよ)

 

(うん、わかっている。頑張るよ)

 

すぐに社内に入り、受付で手続きを行った

 

前もってデュノア社のアポイントを取っているため、すぐに手続きが終わる

 

二人は応接間に案内され、待つことにした

 

数分すると、シャルロットの社長である、デュノア社の社長とそのお付きの人がやってきた

 

「初めまして、僕はシャルルさんの護衛を務めさせていただいたジェイと申します。お会いできて光栄です。デュノア社長」

 

「ふん、さっさとしろ。私は忙しい」

 

ジェイは挨拶を一蹴し、すぐに本題を話すように威圧していた

 

「さて、白式の資料なのですが……少々厄介なことになってしまいました。申し訳ないのですが、そこのお付きの方には出て行ってもらいたいです。彼女について話したいので」

 

後半の彼女についてという部分をデュノア社長にのみ聞こえるように言い、社長の付き人を下がらせた

 

付き人がいなくなったことを確認した後、ジェイは周りを見始める

 

「盗聴器やカメラの類はないみたいですね」

 

「ふん、使えない奴だ。何故ばれた!?」

 

とても自分の子供に向ける言葉だとは思えない、ジェイとシャルロットは同じように思う

 

「勘違いしてもらっては困りますが、彼女のミスではありません。ある依頼で僕は無理矢理、彼女の正体を知りました」

 

ジェイはスラスラと嘘を言っている。大企業の社長を相手によく言えるものだとシャルロットは感心している

 

「その依頼者からの三つ要求がありました。一つ目は、彼女の護衛を僕に任せること、二つ目、彼女が学園を卒業するまで不自由なく生活させること。生活費はもちろん、武器などの装備品もデュノア社が負担してください。そして三つ目、今後仕送り以外でシャルロットさんにかかわらないこと。勿論親の権利を破棄してもらいます。以上三つです。全て了解していただければ、織斑一夏のIS、白式のデータを渡しましょう」

 

こんな子供の言うことを聞かなければ、データが手に入らないという屈辱

 

しかしそのデータがなければ、デュノア社の経営が悪くなると言う一方

 

苦渋とも思える選択をしなければいけないということにデュノア社長は苛立つと同時に考え始めた。

 

そして彼の出した答えは……

 

「こんな下らん取引、時間の無駄だ。データだけ出してさっさと帰ってもらおうか。無論、残りの要望など知った事ではない。そしてお前はこれからも私の指示通り生きろ。もちろん、抵抗は無意味だ」

 

新たな選択肢として強制的にデータを奪うことを選択した。合図と同時に待機していたデュノア社の社員が部屋に入ってきて二人を囲む

 

いきなりの出来事に少し戸惑うがすぐに落ち着くシャルロット、しかしその選択を予知していたジェイはため息をついている

 

「……シャルロットさん、デュノア社長に何か言っておきたいことありますか?」

 

「……ないよ」

 

「そうですか、では……」

 

次の瞬間、二人を囲っていた社員たちが次々と倒れていった。ジェイが一瞬のうちに気絶させた

 

何が起こったのか理解ができない。まさにそんな状況だろう

 

「デュノア社長、あなたは一つ勘違いをしていますね。あなたに拒否権なんてありません。そういうわけで素直に従っていただけませんか?」

 

そう言いながら、ジェイは彼の首にクナイを突き付けていた。少しでも動かせばそのまま刺さるくらいの距離

 

彼のあまりの速さに驚き、社長は何も言えない

 

「さて、お返事を聞かせてください。素直に聞き入れるか、痛い目にあった後に聞き入れるか、はたまたここでやられるか」

 

「き、貴様……何をやっているのかわかっているのか!? 私……デュノア社の社長にこんなことを……」

 

「さっさと返事を聞かせてください。ちなみにこの部屋には誰も来ませんし、証拠となるかもしれない隠しカメラも破壊したため、意味がありません」

 

ジェイの眼はまさに殺しをしている者、そんな眼だった

 

これにはシャルロットも多少戸惑った

 

社長はかなり震えている。このまま殺されるのではないか、そんな恐怖に襲われていた

 

「ジェイ……ちょっと、やりすぎじゃ……」

 

「……シャルロットさん、この程度ならまだ優しい方ですよ。僕としてはまず腕の一本くらいへし折ってから質問してもいいくらいですよ。こんな人間に対しては……」

 

ジェイの眼はゴミを見るような目でデュノア社長を見下していた

 

かつて彼は自身を道具のように使われた時期があり、最終的には捨て駒にされた

 

そんな過去の事を今のシャルロットと重ねてみているのだろう

 

(やれやれ、僕自身もこんなことをするとは思いませんでしたが……それほど彼女を気に入っているということでしょう)

 

「わ、分かった。貴様の条件をのむ。だから……」

 

デュノア社長はジェイの視線に耐えきれず、震えながら頷く

 

その言葉を聞き、ジェイはクナイを引っ込める。もちろん、警戒は解いていない

 

「わかりました。ではこちらの書類にサインを……確認しました。違反した場合、あなたにとって大変なことが起こると思いますよ……例えば、奥さんと二人の愛人に対して何か面白い情報を差し上げますよ」

 

ジェイは彼にそう告げ、持っていた白式の資料を投げ渡す。シャルロットとジェイはその場を後にした

 

デュノア社長は震えが止まるのを待った

 

その後、すぐに渡された資料に目を通そうとした時、彼の携帯が鳴る

 

少々乱暴に出たが、電話の相手を知った時、驚いた

 

「あなたは……国際IS委員会の委員長!? 何故、私に電話を?」

 

「デュノア君に少々話があってね……今後、デュノア社はISの装備開発を中心に作業を実施してもらう。これは委員会で決定したことだ。異論は認めない」

 

すぐに電話が切れ、デュノア社長はこれからどうすればいいのか呆然としていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで少しシャルロットの現状を説明する

 

現在、シャルロットは女性としてIS学園に通っている

 

しかし、デュノア社は未だに男装しているものだと考えている。そして実際にその通りだったのだ

 

男装がばれてしまっても特記事項で守られるから大丈夫だとシャルロットは思っていた

 

だが、特記事項とて万能ではないということを山田先生から教わっていた

 

特記事項が万能でないことはジェイもすでに気が付いていたため、なるべく大きな権力を持った者に守ってもらおうと考えていた

 

そこに登場したのが、チェルシーだ

 

彼女はセシリアのメイドであり、そのうえ、彼女自身の家もそれなりの権力を持っている

 

対戦の参加者ということもあり、話しをするきっかけをつかみやすかった

 

事情を説明すると、チェルシーは、シャルロットが卒業した後、自分の部下として引き取るという約束をした

 

そしてその約束を直接デュノア社で話さなければならない。だが、何も事情なしでは話すことはできないだろう

 

そのための交渉材料として一夏は、自分の白式データを提供することにした

 

ただしどのデータを提供するかは真耶が選んだ……渡しても対して問題ないものばかりを選んで

 

(チェルシーさんと一夏、山田先生には感謝してもしきれないよ)

 

その三人のおかげで今の自分がいる、少なくともシャルロットはそう考えている

 

今、二人はカフェで紅茶を飲んでいる

 

「さて、シャルロットさん。そろそろIS学園に戻りましょうか」

 

「そうだね、でもその前に……お墓参りに行きたいから、帰国は明日でいいかな?」

 

ジェイは頷き、彼女の母親のお墓の下に向かった

 

こうして、シャルロットの問題は解決した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狩り勝負

 

異世界にある狩猟場

 

ダリルとリッドが準備体操をしている

 

「猟師である俺と対決ってお前も頑張るよな」

 

「そう言うなよ、リッド。私だってやる時はやるからね」

 

ダリルもギガントモンスターに苦戦した参戦者の一人

 

彼女はIS学園の中でも屈指の実力を誇る

 

しかしそれはタッグ戦での場合のみ、個人戦ではそれほど評価が高いわけではない

 

一応専用機持ちということもあり、実力は充分のはずなのだが、それで満足している彼女ではない

 

そこで、リッドに習おうと考えた

 

だが彼は自己流の剣術、狩りをして覚えた技術というため、彼女も同じように狩りをしてみようと考えてみた

 

そうすればコツが聞けるのではないか、そう考えたためだ

 

考えは当たり、的確なアドバイスをもらっている

 

そのアドバイスは、実戦でも使用できるようなものばかりであり、自分なりにどうやって活かそうか考えている

 

「さて、そろそろ始めようか。今日の獲物は?」

 

「ウルフを5匹、ただし殺さないようにだって」

 

すぐにお互いに動き始めた

 

(柄にもなく修行してるけど……マジでギガントは強いからな〜)

 

(後フォルテのやろうにもいろいろ教えておかねえと……)

 

リッドとは別に組んでいるパートナーのフォルテ

 

年下だが、二人のコンビネーションは学園一とも言われている

 

それに妥協してはいけない、ダリルが世界樹大戦に参加して思ったことだ

 

(さてと、今まで負け越していた分、今回は勝つか)

 

ダリルはISを展開し、森に入っていった

 

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シャルロットの問題はこれで解決しているのかと聞かれると微妙なところかもしれませんが、解決とさせていただきます。

 

夏休み編はもう少し続きます

現在判明している参戦者たちを少なくとも1回は出そうと考えているため……

 

感想・指摘等あればよろしくお願いします。

説明
書かせていただきます。
夏休み辺その2
鈴とシャルロットの話です。
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