新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第013話
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新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第013話「黄巾討伐(後篇)」

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数刻後。

黄巾討伐連合軍と黄巾党の戦いが勃発した。

兵の数は西涼軍が抜けたとしてもざっと150,000黄巾党の数は100,000で、兵の数、質的に考えても連合軍が圧倒的に有利であった。

 

何進「ふふふ、あの上杉とかいう淫女と北郷とかいう若造。それに加え奴らを送り込んできた影村とかいう奴も、この戦が終われば我を馬鹿にした罪で縛り首にしてやるわ」

 

彼女はそうほくそ笑んでいる。

それもそのはずだ。

現在、連合軍が黄巾党を抑え付けている状態であるのだ。

だが状況は一転し、彼女の期待を大きく裏切る事になる。

抑え付けられていた黄巾党の指揮が急に上昇し、連合軍を押し返しているのだ。

物見によると、黄巾本陣では円形で人が集まっており、中央にいる人物が激励をして黄巾党を再び奮起させているようだ。

 

何進「【くっ、こんなはずではなかろうて!わらわがあのような乞食達に負ける?そのようなことがあれば……】えぇい、何をしておるか!後詰部隊全軍を投入してでも、奴らをくい止めろ――」

 

だが彼女は見た。

黄巾党が都間近にさしかかった時に、周りより三つの軍勢が近づいてくるのを……

 

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関羽「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

彼女は咆哮と共に敵を薙ぎ倒す。

関羽だけではない。

別の場所では、張飛が、趙雲が、馬超が、馬岱が武器を取り戦っている。

ここは連合左翼で黄巾党に向かい合っているのは劉備軍。

劉備自身もまさか黄巾党如きにこれほどの苦戦、ましてや押されることなど露にも思ってなかっただろう。

また今回の連合に参加を薦めるように言った劉備軍の軍師であり、その家臣や彼女自身も同調していた。

軍師である、諸葛亮とホウ統もこの様な事態は予想していなかった。

諸葛亮は連合の作戦会議時の一刀の言葉を聞いて、また一刀の言うことが誠ならこのままでは大きな被害は((被|こうむ))るだろうとは予想は出来ていたが、結局のところ、”負ける”という考えまでは頭に浮かばなかったようだ。

 

劉備「皆、頑張って!このままじゃ都に敵軍が入っちゃうよ。なんとしてでもそれは防がないと!」

 

劉備激励に劉備軍兵士はなんとか答えようと奮戦する。

しかしそれも虚しく、少しずつではあるが、黄巾党は劉備軍を押し出し都へと近づいてくる。

劉備【……なんで?なんで私たちが負けそうになるの?黄巾党だからと侮った私の考えがそんなに甘かったのかな?】

 

今は考える時ではなく行動を移す時。

彼女は諸葛亮たちと共に必死に兵士を激励する。

だが、彼女たちの目に映ったものは黄巾後方、自軍の左翼より現れた謎の軍の存在だ。

 

………

 

連合軍前線にて……

 

???「うぉりゃあ!――あかん。こいつら切っても切っても湧いて来よるわ。何がこいつらを駆り立てるねん!?」

 

???「張遼!ダメだ、このままでは押し切られるぞ!」

 

張遼「阿呆!弱音吐いてる暇があったら、こいつらとっとと防ぎ。華雄らしゅうないで」

 

華雄「私だってこんなこと言いたくもない。だがこの様な状況を見せられては――」

 

張遼【猪らしからぬ発言やな。しかし本格的にヤバいで。一度後退して、アホ何進の兵に合流した後じゃないと、ホンマに負けるわ】

 

関西弁をしゃべっている女性は張遼。

恰好は胸にサラシに羽織をまとっている女性で、先ほど弱気な発言をしていたのは華雄。

銀髪ショートカットが特徴の女性だ。

二人は官軍の武将であり、先方を命じられているのだが、黄巾軍の予想以上の粘りにより押されていた。

 

兵士「何進将軍より伝令です。『今が粘りの正念場だ。もう少し前線を維持してこのまま耐えしのげ』とのことです」

 

張遼「どアホ!あのバカ将軍、とっくにその正念場過ぎとるっちゅうねん。撤退や!後方まで下がるで!」

 

華雄「なっ!?張遼!敵に背を向けると言うのか!?」

 

張遼「ならどないせいっちゅうねん!」

 

華雄「援軍が来る!それまで凌げ!」

 

張遼「アホ!何処から援軍g「伝令!」なんや!?」

 

伝令兵「西から謎の騎馬軍団が凄まじい勢いで迫って参ります!」

 

それと同時に華雄が指差す方向からは、西涼旗印である”西”と、上杉謙信を表す” 上杉笹”の旗印をなびかせこちらに向かっている。

遠くて張遼や伝令兵からは見えていないが、何故か華雄からははっきりと見えていた。

 

張遼「――華雄。お前は鳥かなんかか?」

 

華雄「……?私に羽は生えていないが?」

 

張遼「………まぁええわ。おら!おまえら名高い西涼騎馬隊様がお越しになったんや!きばってここは踏ん張りぃ!」

 

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西涼兵「報告します」

 

虎「許す」

 

西涼兵「物見からの報告によると、黄巾軍は何やら特定の人物三人を少し離れて円形で囲い。その三人が激励のようなモノを飛ばすと、飛躍的に指揮が上げているようです」

 

一刀「ふむ、まるで”ライヴ”のようだな」

 

虎「”らいヴ”というのはたまに((義兄上|あにうえ))と姉上が行うあれのことか?」

 

故花「あの、椿さん。らいヴってなんですか?」

 

香蘭「せや。聞いた話から推察するに、指揮を高める儀式みたいなもんかいな?」

 

愛紗(椿)「まぁ、落ち着け。見てもらった方が早い」

 

故、香「え?」

 

一刀「目には目を――」

 

虎「歯には歯を――」

 

愛紗(椿)「ライヴにはライヴを――」

 

………

 

仮面の男「それでは歌さん。始めましょうか」

 

仮面の女「えぇ、いつも通りに二人で一緒に――」

 

ここは南より黄巾党に迫る袁術軍。

そこでは傍から見て誰もが不審に思う光景があった。

袁術軍が円形で広く、平らな台を神輿の様に担ぎ、その上には二人の仮面の者が立っており、やがて男が長細い筒のような布きれを取り出して、布きれを破き取ると、そこには漆黒に光るエレキギターが現れた。

 

歌さん「おめぇら……私の歌を聴けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

重さんがギターの弦を5、6回程鳴らす。

 

重さん「全く、アンプも無いのにどういう原理なのか不思議だ。((漢女|おとめ))の力は無限ってか――」

 

そして、歌さんがそれに続いた。

 

歌さん「いくわよ、『Hφwling Sφul』」

 

重さんの演奏が始まると、袁術軍のボルテージはMAXまで上昇。

歌さんの歌い始めで黄巾党にぶつかり、何処か目の色が違う袁術軍に、黄巾党は逆にたじろいでしまった。

先ほど自分たちが連合にしてきたことが、今度は自分たちがされるように。

 

???「うはははははは、歌さんかっこいいのじゃ♪重さんの”ぎたー”とやらの演奏もしびれるのじゃ♪」

 

???「もう、語尾に”♪”を付けるだけで自分も歌ったような感じにするお嬢様も、騙されてるみたいで可愛いですぅ」

 

???「うはは〜。もっと褒めてたもぅ」

 

語尾に”♪”を付けて、自分も歌っている感じにしている者は袁術。

背丈は誰が見ても幼女という感じで、金髪のロングヘアーに、金色のドレスを身に纏っている。

その袁術を褒めている?のは張勲。

青色のショートヘアーで青い制服のキャビンアテンダントの様な服を身に纏っている。

浮かれ気分でいる二人を後方より、雪蓮(雪)達が呆れ姿でいる。

 

周瑜「全く、最初は戦に是が非でも出ると言っていたのに、恩賞をチラつかせたらこれだ」

 

雪蓮(雪)「あら、そういう冥琳だって、私が軍議の時に『このまま袁術ちゃんが連合に参加すれば、大きな痛手を被るでしょうね。でも遅れて参加すれば袁術ちゃんはきっと多大な恩賞を朝廷から貰えるはずよ』って袁術ちゃんに言ったら、後で私をこってり絞るのだもの」

 

周瑜「当たり前だ。いずれは潰さなくてはならない相手なのだ。これ以上大きくしてどうする?」

 

雪蓮(雪)「……だって、ツマラナイじゃない。敵は大きい方が潰し甲斐があるわ――」

 

周瑜「――それは、孫策としてのお前か?それとも影村雪としてか?」

 

雪蓮(雪)「さて、どうでしょうね……♪」

 

周瑜「全く、困った君主様だ。それにしても、あの仮面の二人はもしかすると……?」

 

雪蓮(雪)「――さて、どうでしょうね」

 

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冷たい現実嘆き 孤独に身体震わす

ここから逃げ出したいけど 少しも動けずにいた

 

渦巻く寂しさ感じ 唇 強く噛みしめる

悔し涙流す前に 勇気振り絞り己(おのれ)貫け

 

熱く滾る魂 雄叫びと共に解き放て

決められたルールを打ち壊して

駆け抜けろ 自由へと

 

強がり一人でいても 苛立ち晴れるはずはない

苦しみ涙流すなら このまま止まればいいさ

 

誇りを守りたいなら 負けるな 自分信じ抜け

 

前を見つめ 手を伸ばして

そこにある夢を掴み 駆け出せ

 

熱く燃える魂 振りかざし闇を突き抜けろ

加速する命を全て賭けて

手に入れろ真実を

 

沸き立つ切なさ捨てて 想いをぶつけあえばいい

心焦がす痛みさえも 全て受け止めて己認めろ

 

熱く満ちる魂 感じ取り声を張り上げろ

絡みつく鎖を引きちぎって 立ち上がれ自分で

 

熱く滾る魂 雄叫びと共に解き放て

決められたルールを打ち壊して

駆け抜けろ自由へと

 

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何進「な!?黄巾後方より現れたのは袁術軍ではないかえ!?西からは西涼、東からは臆病風に吹かれた曹操軍。何故今頃になって!?ま、まぁよいわ。皆の者、今が好機!一気に押し返すぞよ」

 

兵士「だ、ダメです。右翼、左翼はそれぞれの援軍によりなんとか指揮を盛り返しておりますが、我が中央が不利であるのは未だ変わりません」

 

何進「くぅ、おのれe「あらぁ〜、これはこれは”勘違い”大将軍何進様ではありませんこと?」!!」

 

苛立っている何進をさらに((煽|あお))る様に、後ろよりひと際高い女性の声が聞こえてきた。

何進が振り返ると、そこには金長髪で縦髪ロール、金ぴかの鎧を纏った女性がいた。

彼女は袁紹。

4代にわたって三公を輩出した名門汝南袁氏の出身。

 

何進「遅れてきた分際で何をいきり立っておる!」

 

袁紹「あら将軍、ワタクシは遅れてきたのではありません。将軍がもし作戦を踏み外した時に備えて、洛陽で皇帝陛下の護衛にまわっていたのですわ。そしてここにきたのも、皇帝陛下に命令を頂きここにいるのですわ。さて、ここからは”名門”出のこのワタクシが指揮を採らせて頂きますから、どうぞ大・将・軍様は大人しくしてくださいませ」

 

袁紹は嫌味たらしく何進の地位を強調し、何進は何進で苦々しく思いながら椅子に座る。

袁紹は前から何進の事が気に入らなかった。

何進の姉である何皇后に関しては、皇帝陛下が決められたことなので何とも言えなかったが、何進に関しては妹の威光”だけ”で自分の上司になったのだ。

それは彼女の誇りが許さなかったのだ。

 

袁紹「それでは、これよりこの連合は袁本初の指揮下に入りますわ。皆様、雄々しく、勇ましく、華麗に前進ですわ。おーほっほっほっほっ!」

 

やがて黄巾党は盛り返された連合軍に、文字通り四面楚歌から攻撃され、完全に蹂躙され、” 大賢良師”張角は曹操軍によって討たれたとの報告が挙がってきた。

 

そして連合に参加した諸将は、洛陽の王宮に集められ、霊帝”劉宏”を待っていたが、そこに入ってきたのは劉宏ではなく、彼の長男である少帝弁”劉弁”であった。

 

劉弁「いや、皆の者待たせてしまって申し訳ない。今回の黄巾討伐、ごくろうであった。本来であれば我が父上、劉宏がここにいなければなるまいが、父は一月ほど前、病に倒れてしまい、医師より絶対安静を告げられている。この若輩者に父の代わりが務まるとも限らぬが、どうかここは父の代わりに礼をさせて貰う。皆の者、大儀であった」

 

その場にいる諸将は皆平服し、劉弁に頭を下げる。

並んでいる将の順番から言うと、先頭に何進と続き、次に並んで順番に袁紹、曹操、張遼と続き、次に並んで袁術……というそれぞれ自身の地位順に並んでいる。

一階の将である張遼に関しては、彼女の主君が本日は参戦出来ずの為、主君の名代としてここにいる。

 

劉弁「さて、今戦で多大な評価を挙げた……まずは袁本初!」

 

袁紹「はっ!」

 

劉弁「ぬしは父やわが身を護ってくれただけではなく、何進将軍の代わりに引き受けた指揮は誠素晴らしかったと聞く」

 

袁紹「いえっ!これも皇帝陛下並びに少帝様、漢を護るためにやったことです。漢の忠臣として当然のこと!」

 

劉弁「うむ、よく言った。おってそなたには褒美を取らせようぞ」

 

袁紹「はっ!有難き幸せ!」

 

その時、袁紹はしてやったり的な顔で何進の背中に視線を送ると、何進は悔しそうに奥歯を噛みしめる。

 

劉弁「次に袁公路!」

 

袁術「ははぁ」

 

劉弁「そなたの働きもみごとであった。そなたの軍が敵を威圧させなければ、ホントに前線は瓦解していたであろう。そなたにもおって褒美を取らす」

 

袁術「ははぁ。………のう七乃、褒美とは一体何かの?蜂蜜水30杯ぐらいかの?」

 

張勲「いやですね、お嬢様、きっともっと良いものですよ」

 

袁術「良いものと言うと………!!まさか、原液の蜂蜜100杯かのぅ!?」

 

袁術はそんな会話を側近である張勲と小声で話している間に、次の功労者の名前が読み挙げられる。

因みに、”七乃”と言うのは、張勲の真名のようだ。

 

劉弁「曹孟徳!」

 

曹操「はっ!」

 

劉弁「そなたが黄巾党の主である張角を討ち果たしたのは大きい。そなたにも莫大な恩賞が与えられることだろう」

 

曹操「はっ、有難き幸せでございます!」

 

劉弁「最後に、上杉謙信!」

 

虎「ここに」

 

劉弁「そなたら西涼軍の”四面楚歌”の策は見事である。かの有名な韓信や張良にも負けぬ策であったことは明らか。策を考えたそなたの主、影村殿はここにおらぬが、いずれそれに見合った恩賞を与えよう」

 

虎「少帝様。一つよろしいでしょうか?」

 

劉弁「……良いぞ、述べるがいい」

 

虎「今回の戦、本来であれば無駄な犠牲を出さずに、もっと簡単な方法で収束する予定でした。しかし、そこにいる何進将軍は、我が軍の軍師である北郷の策をちゃんと聞きもせずに『下策』と吐き捨てました。その策を取り入れれば、この戦はもっと円滑に進めれたはずd「だまれだまれだまれ!貴様!今度は少帝様の前この私を愚弄するか!?」……この様な感じで、全く話を取り合おうとしなくて――」

 

何進が再び「貴様」と怒鳴り上げようとした瞬間。

劉弁が何進を制した。

 

劉弁「もういい!上杉殿、そなたの言い分も判った。西涼には逆境に転換させた事も踏まえての褒美、何進将軍への処分もおって言い渡す。傷ついた兵がいれば、暫く休ませて自国に戻るがいい。他に意見は無いか?……無ければ解散!」

 

こうして、黄巾の乱は終結を迎えた。

 

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曹操「北郷!」

 

今回の戦いでほぼ無傷だった西涼軍は、自領帰還準備を整えていると、一刀は曹操に呼び止められた。

 

曹操「今回の策、礼を言うわ」

 

一刀「礼?一体なんのことだ?俺の主の策にのってきたのは君の方だ。そしてその策を上手く使ったのも君だ。よって、この戦の功績も君の物だ。礼を言われる覚えはないぞ」

 

曹操「あら、そっちも謙遜して。だって見逃せるはずないでしょ。こんな蜜のように甘い条件……」

 

そういうと彼女は、小さな紙をひらひらとなびかせる。

 

一刀「張角達は”死んだ”んだろ?」

 

曹操「……えぇ、そうね。張角達は”死んだ”わ」

 

実はこの紙、一刀が連合の陣幕を出ていく瞬間、曹操との擦れ違い様の時にそっと握らせたものだ。

あの時、唯一彼女だけが一刀が”わざと”何進を怒らせていることに気付いた。

しかし判らなかったことが、本当に帰れば、この戦後間違いなく西涼は逆賊扱いを受け、次の連合軍の牙は西涼に向く形になる。

何故こんな無謀を犯すのか?と思っていた時に、この手紙を渡された。

中身には北郷の主である影村によって一筆したためられていた。

 

初めまして、曹操殿。

私は北郷、上杉の主君である影村です。

恐らくこの手紙を読み始めている頃には、うちの颯馬(一刀)が何進を怒らせ、軍議はそれで解散したところであろう。

うちの颯馬はずいぶん貴女を買っているようなので、一つ貴女に益になる策を授けましょう。

あなたの……曹軍陣幕の近くに、黒色の小さな箱が置いてあると思う。

それを実行すれば、貴女は今回の手柄だけではなく、優秀な者を三人召し抱えることも出来るだろう。

それでは会える日を楽しみにしている。

 

影村

 

手紙を見た瞬間曹操は傍についていた荀ケをも置き去りにして走りだし、自分の陣へと戻った。

すると陣幕の近くに確かにその黒い箱はあり、急いで中身を空けて確認すると、そこには一時撤退からの反転参戦の細かな指示や、決め手となったのは、今回の黄巾党首謀者である張角達の事細かな情報、そしてその者たちの能力と、仲間にすればどういう利点があのか?などが書かれていた。

彼女は思った。

このままいいように使われるのは((癪|しゃく))だが、しかしこの策が実現すれば、自分にとって大きな利益をもたらすことに。

そしてそれ以上に見てみたかった。

影村という男が作った策が、どの様に影響するのかを。

曹操は直ぐに皆の反対を押し切り退却。

そしてその後はあった通りである。

 

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曹操「それにしても、何も知らない劉備『私達を救ってくれて有難う』って何度も私の所に頭を下げに来てくれたわ。たまたま鉢合わせただけで、別にそんなつもりもなかったのにね」

 

一刀「まぁ好意は素直に受け取っておけばいいさ。”後で”返してもらえばいいし」

 

曹操「……『くすっ』そうね。”後で”十分返して貰いましょう。そしたら私はもう行くわ。貴方の君主様によろしく」

 

そういうと彼女は去っていき、次に愛紗(椿)が一刀に話しかけてきた。

 

愛紗(椿)「それにしてもご主人様、わからないことがあります。今回の一件で、かr……曹操殿は劉備殿を大きく地位も名声も離すことになりますが、しかし劉備殿が平原の太守に任命された時点で同格とまでは言いませぬが、直臣の将と軍師の質に関しては劉備軍に分があります。何故、((義父上|ちちうえ))は曹操に味方をしたのでしょう?」

 

一刀「………試しているのさ」

 

愛紗(椿)「試す?」

 

一刀「そうだ。平原を北に行けば大国である袁紹の国があり、いずれ袁紹は公孫サンを飲み込み更なる大国になるはず。そしてぶつかるのは――」

 

愛紗(椿)「劉備軍ですね」

 

一刀「そうだ。その巨大な袁紹軍をどうやって打ち破るのかを、重昌さんは見たいらしい」

 

愛紗(椿)「袁紹軍を打ち破るですか?!いくらなんでもそれは――」

 

一刀「だが”俺たち”は出来た。俺たちの時は幽州の?県で場所は違うが、俺たちは”県令”から始まった。太守である今の劉備の方が立場は上だし、なにより、既にしゅ……諸葛亮に加えホウ統も付いている。さらに加えれば、武将には何故か趙雲もいれば馬超、馬岱もいるのだぞ。俺たちより遥かな好条件なのだから、きっと国造りにも余念もないはず」

 

愛紗(椿)「しかし!それはご主人様だから出来たことd「そのとおりだ、愛紗。あの時劉備の立ち位置であった俺でも出来たのだから、本来の立ち位置である劉備に出来ないわけがない」sし、しかしそれでも――」

 

一刀「お前が言いたいことも判る。だが重昌さんは思っているのさ。『そのような逆境を乗り越えられない奴は、私の子供たちと戦う資格すらない』ってね。まぁ、それも次の水関、虎牢関ではっきりする。彼女たちがどれだけ手柄をあげるかが見物だがな」

 

こうして上杉西涼軍は、準備を終えるとそのまま真っ直ぐ西涼へと戻っていった。

それと、重昌がどうやって袁紹と袁術を懐柔したかというと、彼女らはおだてられるのが大好きなので、おだてておだてておだてまくり、徐々にこちらのいいようにひきこんでいったのである。

 

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とある王宮の一室

 

何進「劉弁様。この度はなんとお詫びをすればいいのやら」

 

暗闇の一室では、土下座で頭を下げている何進と、近くのベッドに腰かけている劉弁の姿。

 

劉弁「もうよい、過ぎたことだ。それより、私は近々涼州隴西郡のあの娘を寄越すつもりだ」

 

何進「な!?よりによってあの小娘ですか!?何故です劉弁さま!もう私はお飽きに――うぅむ……」

 

彼女が続けてようとした言葉を、劉弁が自身の口をもって何進を沈黙させる。

ぴちゃぴちゃと音をたて、やがて二人が口を離すとき、唾液の線が二人を伝う。

 

劉弁「心配するな、伯母上。お前は私の忠実な肉奴隷だ。何もお前を捨てようなんて思っちゃいない」

 

何進「はあぁ、劉弁さまぁ――」

 

すると、彼女の頬はほんのり赤く染まる。

実は、見ての通り劉弁は何進と肉体的な関係まで持っているのだ。

 

何進「劉弁さま、お知らせしたいことがあります」

 

劉弁「なんだ?言ってみるがいい」

 

何進「はい、実は劉弁さまと……私の間に――」

 

彼女はそう呟くと、自分のお腹を優しく摩る。

その恍惚な表情に対し、劉弁は一瞬眉がピクリと動き、「いつからだ?」尋ねる。

彼女は嬉しそうに「4ヵ月ほど前から」と答えると、劉弁は笑顔で答える。

 

劉弁「それはいい知らせだ。おいで。楽にしてあげるよ」

 

何進は自分の来ている物をハラリと脱ぎ捨てると、劉弁に抱き着き嬉しそうに彼の体を抱きしめる。

――だが、次の瞬間何進の腹部より激痛が走る。

「刺されている!?」何進は思った。

誰が誰に?出きっている答えを信じたくはなかった。

しかしその視線を落としてみると、先ほど自分が摩った辺りに短剣が突き刺さっていた。

刺しているのは劉弁その人であった。

 

何進「――な、なな、なぁ、何故?」

 

彼女にはまだ理解できていない。

それもそうだ、愛しいと思っている人の子供が出来て、彼もそれを喜んでくれている。

だが何故このような仕打ちを受けなければならないのか?

夢なら覚めて欲しかった。

そして彼は何進の疑問の回答を投げかける。

 

劉弁「だってその肉体……飽きちゃった………」

 

彼の口から出た言葉は一番聞きたくない言葉だった。

飽きる?何故だ?閨の中ではいつも愛してると言い、私に子を孕めと言ってくれた。

そしていままで尽くしてきた事に対して、飽きたと捌け口を言われて捨てられるのか?納得出来るはずもなかった。

 

劉弁「いやぁ、まさか子まで孕まれるとはね。それだと私の立場的に色々不味くなるからね。言っただろ?楽にしてやるって」

 

何進「――あっ、あ、ああっ」

 

彼女の顔が涙で歪む。

恨みよりも裏切られた悲しみの方が大きすぎて、溢れる涙が止まらなかった。

 

劉弁「それじゃあ、さよなら」

 

そう言い終えると共に、劉弁は剣で((一刀|いっとう))の下に何進を切り伏せた。

 

劉弁「張譲」

 

???「はっ」

 

劉弁「いつもの様に、何処かに捨てて来てくれる」

 

張譲「……御意に」

 

劉弁「さて……次はどんな女を手籠めにしようかな?」

 

説明
こんにちは皆さん。
無敵要塞です。
今回は黄巾の乱後編って事で、戦闘も盛り込んでみましたが、上手くかけた自信が無いです。

我らがおじさんも新たに策を披露しますが、「なんか(策が)矛盾してね?」と思う方は、どうぞ指摘を。

そういえば、今さらですがタイトルの『新・戦極†夢想』の新……ぶっちゃけ真の間違いですww
でも面白いのでこのままにしときます。

それでは始まります。
あ!風邪の方は、熱はひきましたが、今だ咳が止まりません(泣)
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コメント
nakuさん〉一刀→自分でも出来る事を探す人 桃香 →言われなければ、もしくは味あわなければ判らない子(IFZ)
ヒトヤさん〉桃香は、多分やるときはやる娘なんだ よ。やるときは多分やる娘なんだよ。大事な事な ので二回(ry(IFZ)
一刀は平和ボケした国に生まれ育ったのにできたのだから桃香にもできるはずなんですよね(親善大使ヒトヤ犬)
カモメさん>まだ判りませんよーー(棒)(IFZ)
この外史の劉弁は鬼畜外道だと?意外なキャラ設定で吃驚だ。(西湘カモメ)
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重さんと歌さん 一刀 愛紗(椿) 謙信 真・恋姫無双 

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