バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第二十話
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 学園祭が終わってまだ二週間くらいしか経たない頃、鋼牙と雄二は共に廊下を歩いていた。

「しっかしあの時の常夏コンビをやっつけたのは誰なんだろうな。」

「・・・・・・・」

「鋼牙?」

「ん!すまない。何の話だ?」

「たく・・・・・・だからあの時救ってくれた奴のことだよ。」

「ああ・・・・多分元文月学園の魔戒騎士だろう。」

「おい!それホントか!」

「おそらくな。だが誰かはわからん。」

 そんな二人に西村先生が近づく。

「冴島、坂本。」

「西村先生、こんにちは。」

「こんにちは、鉄人。」

「うむ。二人とも挨拶はいい。だが坂本、西村先生と呼べ。」

「ところで西村先生、用事があったのではないんですか?」

「うむ。冴島、観察性分としての仕事なのだ。」

「具体的にどんな仕事なんですか?」

「プール掃除だ。」

「・・・・・それを一人で?」

「いや。流石にそれには無茶がありすぎる。今回は何人か一緒に行っても構わん。それと学園長が掃除が終わったら自由にプールを使っていいそうだ。」

「わかりました。」

「それでは週末だからな。お前だから心配ないが忘れるな。」

「はい。」

 そう言って西村先生は去っていった。

「で、どうするんだ?」

「俺一人でもやろうと思えば出来るが。」

「馬鹿かお前は。こういうのは助け合いってのが大事なんだよ。」

「そうなのか?」

「・・・・・・お前常識知らなさすぎ。」

 雄二の言葉に疑問符を浮かべる鋼牙であった。

 

 雄二と鋼牙が教室に戻るとすぐに雄二がすぐさま秀吉と土屋に声を掛ける。そんなに助け合いというのは必要なものなのか?

「・・・・・重労働。」

 土屋が嫌がった。まああいつは身体からしてもあまり運動に向いていないな。それに引き換え秀吉は演劇であるという点もあって運動が出来る。

「・・・・・ブラシと洗剤を用意しておけ。」

 あっ!引き受けた。

「うむ、そうじゃな。貸切プールなぞ、こんなときでなければ体験できんじゃろうし、相伴させてもらうかの。無論、わしも掃除を手伝おうぞ。」

「んじゃあとは向こうの二人だな。おーい、姫路、島田―。」

 あの二人まで呼ぶ必要があるのか?

「なに、坂本?」

「呼びましたか、坂本君?」

「二人とも週末は暇か?学園のプールを貸切で使えるんだが、よかったらどうだ?」

「「え・・・・・・・・・・?」」

 プールという言葉を聞いて二人がビクンとする。

「二人とも予定があったのか?」

「い、いや、別に予定はないんだけど。その、どうしようかな?プールっていうと水着だし・・・」

「そ、そうですよね。水着ですよね・・・・・・。その、えっと・・・・」

 何を気にしているんだ?

「まあ、お前らにはお前らの悩みがあるんだろうが・・・・・一つ言っておく。秀吉は来るぞ。鋼牙に水着姿をみせにな。」

 姫路と瑞希は坂本の言葉に反応する。

「ひ、卑怯よ木下!自分には自信があるからって!

「そ、そうです!木下君はずるいです!」

「???お主らは何を言っているのじゃ?」

 突然二人に非難されて困惑の表情を浮かべる。その気持ちはわかる。

「で、どうするんだ二人とも?」

「い、行くわ。その、イロイロと準備をして・・・・・」

「そ、そうですね。準備は大事ですよね。」

 複雑そうな表情をしているがどうやら承諾したようだ。

「では週末に学園の校門に集合と言うことでいいな。」

 鋼牙の言葉にそれぞれ返事をした。

 

 その日の夜。

「鋼牙、優子カラダ。」

「わかった。」

 鋼牙は自身の顔にザルバを近づける。普通は携帯電話ですが鋼牙の場合は持っていません。

『もしもし、鋼牙君?』

「ああ。どうした?」

『秀吉から聞いたんだけどさ、週末にプール掃除するって・・・・本当?』

「ああ。」

『あの・・・・あたしも一緒にしてもいい?』

「別に構わんが・・・・・いいのか?」

『い、いいのよ。それに学園祭の時に助けてもらったし・・・』

「だがあれは―――」

『いいの!個人的にしたいの!それにプール入りたいし。』

「そうか、プールに入りたいのか。わかった。一応雄二に電話を入れておけ。」

『う、うん!』

 鋼牙は優子との連絡を終える。

「鋼牙、週末ニ必要ナ水着ハドウスル?」

「そうだな、アメリカの方で来ていたあれでいいだろう。」

「アメリカトイエバ姉ノ玲ガ今アソコニイルナ。」

「ああ。姉さんは勉強は出来るが常識的にかけているところがある。」

「オ前ガイウナ。」

 

 週末の朝。

 早朝の8時。週末ということもあって生徒はクラブをしている奴以外は来ていない。

「おはようじゃ鋼牙。いい天気じゃな。」

「おはよう、鋼牙君。」

「おはようございます鋼牙君。今日はいい一日になりそうですね。」

「三人とも、おはよう。」

 姫路と秀吉が挨拶をしてくる。その後ろから一人分の影が見える。

「土屋。おは―――」

「・・・・・・・!!(カチャカチャ)」

 鬼気迫る表情でカメラの手入れをしている。・・・・・・何故?それになんだかでかいカバンもある。

「土屋、そのでかいカバンはなんだ?」

「・・・・・・輸血パックが入っている。」

「・・・・・イロイロとツッコミたいことはあるが何故必要なのだ?」

「・・・・・昨日までに256通りのパターンを想定して想像した。」

「何回鼻血を出した?」

「・・・・・・256回。」

 鋼牙は頭を抱える。

「・・・・・・お前はお前で馬鹿だな。」

「・・・・・・想像力が豊かだといって欲しい。」

「すまん、ムッツリーニ。俺も鋼牙と同じ意見だ。」

 おお!珍しく雄二と意見が合った。

「そうじゃ。ワシの新調した水着なんじゃが―――」

「・・・・・・・(くわっ!!)」

 土屋が興味津々になった。

「―――トランクスタイプじゃ。」

「バカナァァァァァァ!」

 いきなり地面に頭突きをする土屋。まあ運動しやすい服装としてはいいのに何故そう悲しんでいるんだ?

「ちなみに秀吉。対応したのは男性店員か?」

「いや、女性店員じゃ。それがどうかしたのかのう?」

「・・・・・・・・多分安易に予測が出来るな。」

「なんのことじゃ?」

「いや、今は知らなくていいと思うぞ。」

 鋼牙がそう話していると・・・

 ――――――タタタタタタタタタタタッ

「騎士のお兄ちゃん、おはようですっ!」

「うおっ!」

 いきなり後ろから勢いよくかけて抱き着いてきたのは葉月であった。

「もう葉月ってば。鋼牙がびっくりしているでしょ?」

 少し遅れて美波もやって来た。

「葉月ちゃんか。久しぶりだな。」

「えへへー。二週間ぶりですっ。」

「元気ノアル嬢チャンダナ。」

「あっ!喋る指輪さんもお久しぶりですっ。」

「ヒサシブリダナ、葉月チャン。」

「での騎士のお兄ちゃんはは冷たいです。どうして葉月を呼んでくれなかったんですかっ?」

「すまないな。その場にいなかったためについ忘れてしまっていたんだ。」

「家を出る準備をしていたら葉月に見つかっちゃってね。どうしてもついてくるって駄々をこねてきかないもんだから・・・・」

 美波が溜息混じりながら呟く。まあこのごろ年頃の子は一人でいると不安になるしな。

「そういえば坂本は?」

「あいつは今鍵を職員室に借りに行って――――んっ!丁度戻ってきたみたいだな。」

 まさに噂をすれば何とやらだな。校舎の方から有事と霧島が歩いて着てくる姿が見える。

「おはよう。雄二、霧島。」

「おっす。きちんと遅れずに来たようだな。」

「・・・・・おはよう。」

 偉そうに態度をとるな。

「お兄さん、おはようですっ。」

「ん?チビッ子も来たのか。」

「チビッ子じゃないですっ。葉月です!」

「雄二、いい加減に人の名前を覚えろ。」

「お前は早くケータイを買え。」

「なんじゃ?鋼牙はケータイを持っておらんのか?」

「それだと何かと不便じゃないですか?」

「そうよ。それだと電話出気無いじゃない。」

 雄二の余計な言葉に姫路、秀吉、美波が反応する。

「別に必要ないだろ。ザルバがあれば十分だ。」

『へ?』

 鋼牙の言葉に優子以外はわからなかった。

「ああ。そういえば皆には知らせていなかったのね。」

「姉上は知っておるのか?」

「ええ。前に鋼牙君に尋ねて聞いたら電話の代わりがザルバだって言ったの。最初は信じられなかったけどね。」

「おいマジかよ。」

「ああ。そのため電話代はタダだ。」

 あまりにも次元が吹っ飛びすぎているのに一同。その状況を葉月が奪回する。

「お兄ちゃん、お姉ちゃん達!早くプールに入りたいです!」

「お、おおそうだったな。じゃあお前ら行くか。」

 雄二の言葉にそれぞれ返事をし更衣室の方に向かうが・・・・・

「葉月ちゃん、こっちは男子更衣室だ。秀吉、お前はお前専用の更衣室があるだろ。」

「えへへ〜、ゴメンですっ。」

「何故わしだけ専用の更衣室があるのじゃ?」

「学園長から聞いたのだがお前の場合は見た目が見た目故にそうする方が正しいと言っていた。」

「むぅ・・・・・・少し不本意じゃがそうするぞい。」

 それぞれ自分の性別の更衣室に向かった。

 

 雄二と土屋とほぼ同時に更衣室から出た。

「まだ女子は着替え終わっていないようだな。」

「そうだな。」

「・・・・・。(コクコク)」

 トランクスタイプの水着に着替えた鋼牙たちはパラソルとビニールシートを広げてプールサイドで待っていた。

「おっ!誰か来たぞ。」

 雄二の言葉に土屋がカメラを構える。着替え終わっていち早く駆けつけてきたのは葉月であった。が・・・・・・・・・・・異常なまでに胸が大きい。

 ブシャ――――――――――ッ!!

 土屋が勢いよく鼻血を吹く。

「どうしちゃったんですか?あまり喋らないお兄ちゃん。」

「気ニスルナ。イツモノコトダ。ソレヨリ葉月チャン、成長ガ早イノカ?」

「ん?」

 どうやらザルバの言っていることがわかっていないようだな。それになんか徐々に下腹部に下りていっている。ボール?

「こら葉月!お姉ちゃんのそれ、勝手に持って行ったらダメでしょ!!返しなさい!」

美波が胸を手で隠しこちらに駆けつけてきた。

「あぅ。ずれちゃっいました。」

「美波。」

「な、なに?」

「ちゃんとつけてから来ないと水着がずれるぞ。」

 ゴンッ

「何故叩く?」

「あんたが悪いのよ。」

 美波は後ろを向きながら水着を付ける。

「ザルバ、どうして俺は叩かれたんだ?」

「サアナ。ダガ女ッテノハ複雑ナモノダ。」

「そうなのか?」

「ソウナンダヨ。」

 ザルバの言葉に少し納得いかないが鋼牙はそれを受け入れ美波の姿を見る。

「・・・・・・何よ鋼牙?」

「いや。身体が締まっていて日々の精進を怠っていないと思ってな。」

「オイ鋼牙。ソレヨリモナニカイウベキジャナイカ?」

「・・・・・・・魅力的な着こなしだな。」

 鋼牙がそう言うと美波の顔はボッと赤くなった。

「plotzlich, so eine Sache,...」

「急にドイツ語になったな。Ruhig ist sie Minami.」

「なんでお前はドイツ語がはなせんだよ!」

「普通に話せるだろ?」

「・・・・・・・・・」

 鋼牙の言葉に雄二は何も言えなかった。

 そんなリアクションをしていると霧島が雄二に目潰しをする。

「・・・・雄二、他の子を見ちゃだめ。」

「ぐあああああああっ!目がああ!」

「霧島、流石にやりすぎると雄二がお前の姿を見ることが出来なくなる。」

「・・・・・・・うっかりしていた。」

「やるならばアゴの突起部を指で強く押せ。あそこは地味に痛い。」

「・・・・ありがとう、鋼牙。遊園地のチケットの件もかねて。」

「おい!やっぱテメェだったんか!」

「何を言う?何処もおかしいことはしてないぞ。それに俺はあのような場所にいるよりも聖書か体を鍛えている方がいい。それより雄二も霧島に何か言うべきではないのか?」

「翔子。」

「・・・・・うん。」

「ティッシュをくれ。」

「言葉が違う。」

 全く、状況はわかるがせめて綺麗だと言ってやれ。

「代表、坂本君の言葉も最もだと思うよ。」

 そういいながら優子が水着を着てやって来た。優子の水着は黄色を主張としたもので、下はスカートのようにフリルが付いている。

「似合っているぞ。」

「っ!そ、そう/////」

 優子は顔を赤くする。暑いからか?後で水分補給をさせておこう。ん?なんだか足元が赤くなっているが・・・・・・・

「どうしたんだ土屋!」

「ムッツリーニ!」

「・・・大丈夫?」

「何があったのよ・・・」

 土屋が鼻血を出血多量レベルで出して倒れていた。

「・・・・・・・すまない。・・・・・・先に、逝く。」

 土屋は気を失う。鋼牙はとりあえず輸血パックと道具一式を取り出し手際よく扱い土屋に輸血する。

「す、すいません。ちょっと背中の紐を結ぶのに時間が掛かっちゃって・・・・・・」

 姫路が胸を揺らしながらやってくる。そういえば土屋は女子のスカートとかが見えそうになると鼻血を出していたな。

「Gott unterscheiden jene, die haben, und jene, die nicht auf der Basis davon haben, was!? Es wird zu innen erzahlt, dass das, was ungenugend ist!」

「美波ちゃんどうしちゃったんでしょう?」

「お姉ちゃん、たまに強いショックを受けるとドイツ語を話すようになっちゃうんです。」

「なにやら神に持つものについて聞いているようだ。教会に行ったほうがすぐさま答えは返ってくると思うが。」

「鋼牙君、ドイツ語わかるの!」

「ん?ああ。前に習ってから頭の中に残っている。」

「・・・・それでFクラスなのが残念。」

「それを言うのなら姫路にも言えるぞ。」

「ふう、やっと視力が回復した。」

「・・・・・・雄二は見ちゃだめ。(ブスッ)」

「ぐあああああ!またか!またなのか!」

 苦労が絶えないな。

「そういえば秀吉がまだだな。」

「・・・・・・・秀吉はトランクスタイプ・・・・・」

「何故お前はそんなさびしそうな顔をしているんだ?」

「鋼牙、土屋君のことは気にしなくてもいいわよ。」

 優子がそういうならそうするが・・・・・・・何故?

「待たせてすまぬ。着替えは先程手間取らんかったんじゃが、いかんせん校舎からプールまでが遠くてのう。」

 その場にいた全員が秀吉のほうを向くが鋼牙は予想通りといわんばかりの顔をしていた。

「ひ〜〜〜で〜〜〜よ〜〜〜し〜〜〜。」

「な、何じゃ姉上。ワシは何もしておらんぞ!」

「秀吉、女性店員が対応した時点で気づけ。」

「そういうことじゃ?」

「葉月ちゃん、秀吉が着ている水着は何用に見える?」

「え?普通に女性用にしか見えないです。」

「な、なんじゃと!」

「まあ大抵予想してたがな。女性店員が対応した時点でそうなるとは予想できたがな。」

「むぅ・・・・・・」

「まあ落ち着け。競技用のものと考えればいいだけの話だ。」

 そう考えられればどれだけ楽だろうと思う秀吉であった。

 

「あ、あの鋼牙君。」

 軽めの準備体操をしていると姫路が話し掛けてくる。

「どうした姫路?」

「鋼牙君は水泳は得意ですか?」

「?おそらくな。向こうではイルカ、もしくはサメと呼ばれたからな。」

「実は私全然泳げないんです。」

「そうなのか?」

 勉強が出来る反面運動が苦手なのか。まあ身体が弱いから仕方ないか。

「ん?瑞希って水泳苦手なの?」

 美波は運動が出来る反面勉強が苦手だ。帰国子女というブランクもあるから仕方ないがもう少し頑張れ。

「はい。恥ずかしいんですけど、水に浮くくらいしか出来なくて。」

 まだいいほうだな。カナヅチだったら一から教えるのに一苦労するからな。

「そういうことならいつも勉強教えてもらっているお礼にウチが瑞希に泳ぎを教えてあげよっか?」

「は、はい。宜しくお願いします。」

 このやり取りはいつもと逆だな。

「これだと美波がAで姫路がFだな。」

「寄席上げればBくらいはあるわよ!」

 ゴンッ

「・・・・・・何故叩かれた?」

「ザアナ。ダガナニカ言葉ハ間違ッテイナカッタト思¥ウゾ。」

 

『・・・雄二。ちなみに私はCクラス。』

『何を言っているんだお前?』

 

 少し離れたところで霧島と雄二が何か言っているようだがよく聞こえんな。まあ俺は少し泳ぐか。

 鋼牙が泳ごうとしたときに葉月が浮き輪に?まりなが鋼牙に近づく。

「お兄ちゃんっ。」

「どうかしたか?」

「葉月と一緒に遊んで欲しいです。」

「そうか。で、何をして遊ぶ?」

「じゃあ、『水中鬼』をするです。」

「・・・・・・まさかあの伝説の!」

「知っているんですか?」

「ああ。鬼がそうでない人を窒息させるというあの!―――――まさか母さん達の頃にあったものがまだ言い伝えられているとは・・・・・」

「知っているんですか、お兄ちゃん。」

「ああ。だが危ないからやらない方がいいぞ。」

「あぅ・・・・・・。ダメですか?」

 う〜む、ここはやはり・・・

「霧島、少しいいか?」

 鋼牙が呼ぶと霧島が水中から出てくる。

「・・・・なに?」

「雄二とあの伝説の水中鬼をしてもらいたいんだ。」

「・・・どんな遊び?」

「まあ簡単に言えば雄二をプールに溺れさせて人工呼吸をさせるものだ。これは難易度が高いため難しい。」

「・・・・行ってくる。」

 霧島は小さく頷くとまたもや浸水する。そして―――

「おおおおおおおお!!!」

 目隠しに口を塞ぐ拷問器具を付けられ、プールの中に放り込まれる。雄二は突然起こったことに頭が回らずもがくが霧島に底へと引きずり込まれる。

「な、危ないだろ?」

「う〜・・・・・・・うん。」

 どうやら納得したようだ。わかってくれて何よりだ。

「ぶはぁ!鋼牙、てめぇか!」

「おお!流石鬼の様な男だ。生命力も半端ないな。」

 死に掛けの雄二に追い討ちを掛けるが如く霧島が沈めに入る。

「・・・・しぶとい。」

 まあそんな奴でなければクラス代表は務まらないからな。

 

 鋼牙が自由に泳いでいると優子がプールサイドで座っているところを見つける。鋼牙はプールから上がり優子に近づく。

「どうした、泳がないのか?」

「あっ、鋼牙君。うん・・・・・秀吉のこと考えていてね・・・・・・」

「秀吉がどうかしたのか?」

「ほら、Fクラスが試召戦争した時に秀吉が私に化けたでしょ。」

「ああ。あれは流石にやりすぎだと思ったぞ。」

「でしょ!なんであいつあんなことしたのかわんないのよ。」

「ふむ・・・・・確かにそうかもしれないな。だがあいつはクラスのためと思ってやったんだと俺は思うぞ。最も、相手に恨みを買うような事を言うということはお前が裏表が激しいこ意味しているのかもしれないがな。」

「そ、そうしてそう思うのよ!」

「図星のようだな。」

「う・・・・・」

「なにやらCクラスの奴が『豚野郎』と汚い言葉を言われたようでなんとなく気付いた。それにだ。」

「?」

「お前はあいつのことを軽蔑しているようだがあいつはあいつなりに努力をしている。底は認めてやれ。」

「う、うん・・・・・」

「もしあいつがFクラスにいることに不服ならば勉強を教えてやれ。お前のためにもなるしな。」

「アタシのため?」

「ああ。砕いて勉強を教えることによってお前にも理解が出来るようになる。

「・・・・・わかった。やってみる。」

 鋼牙と優子が話していると何処からか声がしてくる。

「あれ?プール使っているのは誰かと思えば代表だったの?」

「・・・・・愛子?」

「工藤か。」

「あっ!鋼牙君、やっほー!ムッツリーニ君も!」

 水泳袋を持ってやって来たのは工藤だった。

「・・・・・どうしてお前がここにいる。」

「ボクは水泳部だから。」

「・・・・・だが今日は水泳部は休みだ。」

「うん。すっかり忘れて学校にきちゃったんだけど人の声がしたから何かなと思って寄ってきたんだ。よかったらボクも混ぜてもらっていい?」

「構わないぞ。ここは今誰でも入れるからな。」

 他のやつらも承諾済みである。

「あのさ、ボクも泳いでもいいかな?」

「別にいいだろう。ここは学校のプールだ。」

「ありがとう。それじゃあ、水着に着替えてくるね。」

 なんだか着替えることを強調して言っていたな。

「覗くならバレないようにね☆」

 ・・・・・・・・・何故そんなことを言うのだ?

「土屋、いいそうだぞ。」

「・・・・・・・・・何故俺に振る?(ダラダラダラ)」

「お前に向けて言ってそうだったからだ。それとそれ何とかしろ。」

「・・・・・・(バタッ)」

 鋼牙は溜息を吐きながら止血、輸血をする。

 

 しばらく遊び皆は休憩を取っていたのだが今男子陣は争いになっていた。少し時間を戻そう。

 

「あの、皆さん。お菓子を作ってきたのですが・・・・・よかったら食べますか?」

「おっ!悪いな。」

「うむ。では頂くのじゃ。」

「・・・・・食べさせてもらう。」

「姫路。」

「何ですか鋼牙君?」

「材料に何を使ったんだ?」

「普通に市販されているものですよ。賞賛や塩酸をいれようとした途端にお母さんとお父さんに怒られました。」

 よしっ!生命の安全は保証された。姫路のご両親に今感謝します。

「ところで姫路、それは何個あるんだ?」

「三つしかないです。」

「じゃあ男子で競争するか。」

「・・・・・賛成。」

「そうじゃな。たまにはこういうのもいいのう。」

 そして現在。

「じゃあ皆準備はOK?」

 工藤の言葉に男子全員は頷く。

「よ〜い・・・ドンッ!」

 工藤の合図と共に鋼牙たちはプールに飛び込む。

(これなら余裕だぜ。ムッツリーニは運動があまり解くじゃないしこれは一位を取ったも同然だな。)

 そう余裕をこきながら泳ぐ雄二。だが突如巨大な波が襲う。

「おわっ!」

「な、なんじゃ!」

「・・・・・・・!」

 鋼牙が泳いでいるところにあり得ないほどの水しぶきが上がっていた。あまりの威力に雄二達は泳げなくなっていた。そうしているうちの鋼牙は一位になる。

「俺の勝ちだ。」

「ちょっと待て鋼牙!今の何だ!」

「?普通にバタ足で泳いだだけだぞ。」

「嘘をつけ!絶対モーターか何か付けてんだろ!」

「ひどい言いがかりだな。何処にそんなものを用意する暇があったと?」

 鋼牙の言葉は最もであった。結局雄二は二つの意味で負けた。

 

説明
ナカナカネタガウカバナイノデスコシダッセンスルコトニシタンダ。
「仕事」
鋼牙、ヒサビサニスイエイデモスルカ。
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タグ
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