町対抗リレー
[全1ページ]

 僕は走る。ただただ走る。目の前が真っ暗になりながらもただ走る。

 なんでそうなったのかはよく覚えてない。でも、隣町との対抗リレーなんかに僕は参加させられている。住民のほとんどが強制参加で、僕もその一人だった。

 ところで僕は今のところ圧倒的差をつけている。ものすごい差をつけてはいる。でも僕は必死に走っている。

 なぜか。答えは簡単だ。ラスト……アンカーはジジィなのだ。なんでこのジジィがアンカーになったのか分からない。立候補でもしたのだろうか?

 だから僕はできるだけ差をつけておきたい。あのジジィだとどれだけの差があったとしても不安だ。

 しかし、なんで僕はこんなに必死に走っているのだろう? 僕はそこまで町に思い入れがあったのだろうか? いままで本気で生きてこなかった僕が、どうしてここで本気になるんだろう? 訳が分からない。

 でも、僕はみんなの期待を一身に受けて走っている。

 別に負けたっていいじゃないか。友だちはそう言っていた。でも僕は手を抜かない。ただただ、必死に走り抜ける。本当人間て不思議なものだ。

 そろそろジジィの姿が見えてきた。

「おい、ジジィ。こんだけ差をつけてやったんだ!! 負けたら容赦しねえぞ!!」

 そう言って、僕はジジィにバトンを託した。

説明
即興小説で作成

お題:ラストはジジィ 制限時間:15分
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
517 517 0
タグ
即興小説

yaru_yara_callさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
コレクションに追加|支援済み


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com