小説KO‐ZIN! 『喫茶探偵物語』
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少し前のことだ俺は夏休みを有意義に過ごすために

アルバイトを始めることにした

少しは金でも作っておく必要があるのと俺がいつも

出処不明の怪しい金を使っている印象を少しでも払拭するためもある

 

少し遅れたが俺の名は三日月光助、ごくごく普通の高校生だ少し違うところがあるといえば

空から女が降ってきたり、怪しい噂を立てられ

その噂で警察にお世話になりかけた事もあったぐらいだ

空から降ってきた女…それだけ聞くとただの自殺者に見られそうだが

その女は意外に元気で死ぬ様子は見られないそれどころか

元気良く暴れる

女は自分のことは語らず頑なに秘密主義を貫き通している

そんな女から引き出した情報もある

 

1.名前を「操」といい

2.何やら俺の住むこの街に因縁のようなモノがあるらしい

3.操さんは化物と戦っている

 

空から降ってきた女「操」との出会いによって

俺は人間の少し暗い面を見ることになっていくのだった

 

 

俺のバイト先は駅前の人通りの多いところにある喫茶店だ

店の名前は『探偵物語』、店長が大の工藤俊作のファンで

そのコスプレをして版権は大丈夫なのかと心配するようなこともしていたり

癖の強い喫茶店だ、喫茶店でそんな方向に頑張らなくてもいいとは思うが

とにかく俺はそこでアルバイトすることになった

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「いらっしゃいま…なんだ操さんかいなんのようだ?」

三つ編みのお下げの女が店に入ってくるこの女が件の女だ

「いやね、雇われ店長の様子を見に来たんですよどうかなーって」

『雇われ店長』それが俺の現在のバイト内容だ

最初は皿洗いとか注文をとってくればいいと思っていたが

癖の強い喫茶店では俺の常識が通用せず

店長は全くカタギのはずなのにヤクザのやることにちょっかいを出し

店を俺に任せよその街に流れて行ってしまったのだ

「好きでこんなことやってる訳じゃない、店長が帰ってきたらこんなところ」

「辞めるつもりで早2週間ですもんね」

「…」

少しこの返しには言葉が詰まった

確かに俺は早々にやめようと思ったがせめて店長帰って来るまでは

と思いここにとどまっている

「ここの店長、他の街でも探偵気取りで危ないな事に首を突っ込んでるそうじゃないですか」

そうなのだ、タチが悪いことにヤクザが怖くて夜逃げしたのではなく

味をしめてよそでも同じことをやらかしているのだ

「まぁな」

「光助さん、お向かいのファーストフード店に行ったほうがまだまともに見えますよ」

「ほっといてくれ、冷かしなら帰ってくれ」

「またそうやって機械的に追い出そうとする」

「なら注文しろ、水以外でな」

「…では珈琲を、砂糖とミルクを入れた甘いやつで」

そう言うと彼女はカウンター席に腰を掛けた

日常的に繰り返されるこのやり取りはもう1週間も続いてる

儲かっていない訳ではないが

家でも顔をつ合わせる人間にバイト先で喋っていると公私を混同しそうになる

「今日はまた人がいませんね、また強面の人が店にでも来てたんですか?」

俺が注文を受け珈琲を淹れていると後ろから操さんが話しかけてくる

「いや…まぁ強面の人は別にここをどうかしようと思ってきてるわけじゃないからなぁ」

俺は言葉を少し濁らせながら珈琲を操さんに出した

強面の人、もちろんヤクザだ

最初はここの店長目当てで来て業務に支障がきたす様なことをしていたので

仕方がなく俺が物凄く丁寧にかつソフトに対応したら

相手が俺の誠意を汲み取ってくれたので和解出来た

世の中捨てたものではないな

「でもあれは少し未だに不満があったりしますよ」

「不満?あれ?何の話だ?」

「ヤクザのことですよ、絶対見せしめの首が2つで折れるって根性なしな」

「……」

「私がここに来た頃は首二つ並べたぐらいじゃ逆に仕返し来てたのに」

「……」

「アイツ等金儲けにシコシコ精出して根性… 「操さん!」 」

「そのその話はよそう、知らない客が聴いたら強面の兄さん以上に勘違いされる」

「勘違いじゃないですよ!だから二週間ちょっと前私がアイツ等を」

「何か奢ろう、今日は暑いからなそうだパフェ何かどうだ操さん何ががいい?」

「……」

「何?どうしたの?黙り込んで」

「……根性なしったらありゃしない!第一ヤクザの癖に命惜しがるって」

「コイツ!!」

甘い顔するとこれだ

もっと奢って貰おうと、進んで相手から奢らせようとする

お互い長い付き合いでそこらへんは解ってるはずなのに

やめなかったりする

この女も最初はこんなことを言う女じゃなかったのだが

操さんの変化を悔やんでも仕方ない

俺はこの厚顔な女の要求を撥ね付けるべくそっと

操さんの前に「大侠客福さん」を置いた

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この福さんは見た目はコスプレをした小さな動くぬいぐるみにしか見えないが

その実はこのあたりに昔から住んでる神様だ

神様がこんなちんちくりんだって誰も信じてはくれないだろうが

まぁ仕方がないこればっかりは

 

話を戻すがこの福さんにかかれば

この女の横暴を止めることができるのだ

見た目が動くぬいぐるみだけあって周りから見ても恐がられない

だが相手は死ぬ…とまではいかないがひどい目にあう

今回も操さんにあってもらうとしよう

「センセイオネガイシマァス…」

俺の言葉を合図に福さんは操さんの口に手を突っ込んだ

「あガガガガガガガガガガガ!!!!」

はしたない、操さんのはしたない絶叫がこの小さな喫茶店に響く

その光景を見て俺はただただ笑うしかなかった

「アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

「アガガガガガガガガガガガガガガガガ!!」

そんな毎日がゆっくりと流れていき

二ヶ月の月日が流れた

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店長は今北海道にいるらしい

俺も雇われバイト店長としてそれなりに頑張ってはみている

福さんはカウンターの隅に座布団を敷いてやるとそこにそそくさと腰を下ろした

居ない時もあるがまぁこいつには給料を払っていないのでまぁいい

そして操さんは

「ファ〜〜〜〜アッアッア〜〜〜〜〜〜〜〜アッ!」

ウェイトレス兼デリバリーのアルバイトをしていた…って!

「おい!勤務中だぞ!ピシッとシャキっとしろ!」

「だってお客さんも来ない宅配もないじゃ私だってあくびぐらい出しますよ」

まぁ今日は確かに客が来ないのは確かだ

「5時か…」

今日は休日でもあり朝からここで働いていたが客入りが少なかった

元々営業日不定といったものすごくいい加減な店の方針もあって

いつも綱渡りだ

「いつもは八時までだが今日はもう店じまいにするか」

「やった、じゃ今日はどこか外で食べましょうよ!外食!」

この女!最初はここならただで外食できるのが嬉しいとか言っていたくせに

もう飽きてたのか

「家で食うぞ」

「それじゃここと変わんないじゃないですか〜休日潰して働いた者に対することですか!」

こいつ!!

帰り際のこの些細なやりとり、いつものことではあるが

これがなければ今回の事件には巻き込まれなかっただろう

 

ガラン!

突如、店の扉が勢いよく開く

「もう店じまいだ!またあしたな!」

その音に操さんは扉の勢いに負けないくらいの勢いで答えた

「操さん、馬鹿なこと言うなお客さんだぞ」

「た…助けて…警察を!!!」

客だと思われた…その男は息を切らせながら俺たちにそう言った

二十代半ばだろうその男は恐怖のの真っ只中にいるようなそんな表情をしていた

只々助けてと警察をという単語を繰り返すばかりだ

「何があったんだい」

俺は相手を興奮させないようゆっくりと和やかにかつ穏やかに水を差し出しつつ

男に何があったかを聞こうとしたが

男の焦点はあっておらずこっちに気がついていない

「人がバラされてる現場でも見たんですかね」

操さんはザックリえげつない事を言う

だが人間ここまで錯乱するほど恐ろしい目にあったとすれば

殺されかけたかひどい殺人現場を見たぐらいだろうと俺も思う

「…ここから少しいったところにある」

操さんの言葉に反応したのか男が口を開いた

「ここから少し言ったと心にある誰も使っていない雑居ビルがあるんだ」

とこの言ったビルというのは確か大分前に火事かなんかがあって

その後入ってた店もそのまま消えてしまい放ったらかしになっているビルのことだろう

「俺はそこでダチと遊んでいたんだよ…肝試しみたいなもんでさ」

「幽霊が出るとか聞いてたから見てやろうぜって軽いノリで」

「みんな…あんな事になるなんて…夢にも思わなくて」

男はそう言うと今度は泣き出した

正直この手のことに慣れたせいか最後まで聞かなくても何があったか想像がついた

「解った、それじゃ操さん警察を呼んでくれ、そして警察が来るまでこの人の介抱を」

「解りました、で?光助さんはどうするんですか?」

「俺か?俺は用事を思い出したんで一足先に出てるよ」

「解りました、それじゃ後で」

操さんはこの手のことになると非常に理解力がいい

普段もこれぐらい理解力が高いと嬉しいが、まぁいいか

そう思うと指示したことをこなす操さんを尻目に俺は店を後にした

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徒歩7分そのビルはそこにあった、恐らくココが男が友人と肝試しに入ったビルだろう

俺の知ってる特有の嫌な感じもする

「なんとも血生臭い」

多少誇張はあるが比喩的なものではなく本当に血の匂いがした

ここは人通りが少ないから騒ぎにはなっていないがこれは異常だ

まぁここで頭ひねっていても仕方がないので

俺はビルの中に入ることにした

「邪魔するぜぇ〜…」

と一声かけて入るもウンともスンとしない

中に入ると一掃血の匂いが濃くなっていった恐らくこれは男の友人の血の匂いだろう

男が一人逃げてたのは幸運だったかそれは定かではないが

それ以外はみんな殺されたといったところだろう

階段を上っていく

特に何を警戒する必要も感じられない

理由は相手は人間が入ってきたのは知っているがそれを脅威とは感じていないからだ

むしろ食い物がノコノコやってきたと思っているだろう

もうお解りだと思うがこのビルには化物がいる

操さんが相手にしている奴だ

化物に関しては一切操さんが情報を流してくれない為

俺が自分で調査する羽目になってしまい知識を得るのに苦労した

簡単にまとめると以下のとおりだ

 

1.本物のお化けではなく人間が何らかの理由で化けている

2.それには黒い石が必要である

3.化物は人間を食べることにより呪物的力が増すようだ

(空腹だから食べるではないらしい)

4.化物を倒す為には操さんが持ってるような黒い石で作った武器が必要である

(この武器があれば俺でも化物は倒すことが出来る)

 

とこういった感じだろうがその他にももう一個あるにはあるが

これはあまり不確定なのでここでの明言は避けておく

こんな誰に向けての説明か、わからん事をしている内に

より一層血の匂いが濃くなってきた

どうやら件の場所に着いたらしい

そこは1フロア吹き抜けになっていて下の階より広く感じ取れた

見渡すと辺りには食い散らかされた死体が転がっていた

「うえっうえっ…」

奥の方から非常に不快な笑い声がした

見るとそこには異形のモノがいた

背丈は2mぐらいか少しこじんまりしているが

鬼とも人もつかない顔に体を覆った毛は少し獣を思わせる

「もっと人を連れてくると思ったのに…また硬そうな男が一人か…」

どうやら逃げれた一人は撒き餌だったようだ

「怖くて声も出ないか?どうしてここに来たんだ?好奇心か?」

矢継ぎ早に質問を出してくる

どうやらやつから見て俺は恐怖に声が出ないやつに見えてるらしい

「どうしてこんなことを…」

お喋りが好きなようなので奴が喋り易いよう

少し期待通りの回答をしてやることにする

「どおして!?ははは!!どおして!!?」

実に愉快そうだ

「理由なんてないさ!!お前もこの体になればわかるよ!」

「人間が食いたくてしょうがないってな!!」

「オメェは知らないだろうが、この世の中にこんなのがいてびっくりだろうよ!!」

どうやら理由はないらしい

「少し話してもいいか?」

埒があかないのでこちらから話すことにする

「何か言いたいのか?命乞いか??んん?」

相手も余裕があるようなのでこちらの話に乗ってくれるようだ

「少し違うが、そちらから話が余りにもないんでなこちらから話そうと思ってな」

そう言うと、化物は少し期限を悪くしたが構わず続けることにした

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「俺の名前は三日月光助ごくごく普通の高校生だ、ひょんな事からお前さんら

 見たいな化物の起こす事件に首を突っ込むことになってな、済まないが

 アンタに教えられるまでもなく知ってるんだ、せっかく教えてくれたのに

 それでだこの化物ってのにも色々パターンがあってな、大きく分けると二つある

 一つはアンタみたいに特に意味もなくその姿になってしまうパターン、そして

 もう一つはなるべくしてなってしまったパターンだ、こっちの方はかなりヤバい

 なので今回は前者で助かったと思っている」

 

俺はこのように血生臭い屠殺場みたいな場所であっても笑顔で対応するよう心がけている

相手を興奮させない為にだ

「ちなみにアンタはもう助からない二度とその姿、正確に言えばその変身が付き纏う

 人生が待っているもうまともに生きることはできないだろうな」

そう言うと化物は随分邪悪な笑みを浮かべてこちらに話しかけてきた

「三日月さんよ随分景気よく喋るじゃねーかだからなんだってんだよ?」

まぁこの反応は正しいだろう

「まぁこの事は誰にも言っちゃァいけないんだよ」

「今話してるじゃないかよ!!」

俺の言葉にツッコミを入れてくるなかなかノリのいい奴のようだ

「この秘密を知っていいのは二種類の人間だけなんだ」

「?」

「この秘密の当事者と死人だけだ」

この言葉に化物は怒りを露わにする

「死人に口無し、巻き込まれたアンタには悪いが死んでもらう!」

この言葉を聞くと憤怒の形相を浮かべ襲ってくる

「ふごっ!」

奇妙な声を上げ、その強襲は俺には届かず化物はドシャリ音を立てて崩れ落ちた

「早かったじゃないか」

崩れ落ちら化物の背後には2尺ほどある黒い刃物を手にした操さんがいた

「まぁあんまり言うこと聞かないんで大侠客様口の中に突っ込んだら静かになりました」

「そうか…」

あいも変わらず酷いことしやがる

「まぁ、あとはこの状況を警察に見せて事情聴取を受けるか」

「私は」

「まぁ操さんは元々いない人間ですから、ここは私に任せない」

そう言うと本当に消えてしまうってんだからあの女ただもんじゃないな

さてと、さっさと片付けるか

 

 

 

後日の話になるが例の男が我が喫茶店に礼をしに来ていた

「詳しくは覚えていないが助けてくれてありがとう」だそうだ

その後、男はこの街を離れて行った

まぁこれが俺の日常だな少し人とはずれてるが

それではまたの機会に、どこかで会おう

 

 

おしまい

説明
ラノベ風に書いてみた一本ですというか本当の小説の書き方知らないので
くだらない内容ですが漫画は説明というのを嫌っているので
こういう形で自分のためにも世界観や人間関係を書くということで
超くだんない話ではある
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