真・恋姫†無双〜だけど涙が出ちゃう男の娘だもん〜[第49話]【改稿版】
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真・恋姫†無双〜だけど涙が出ちゃう男の((娘|こ))だもん〜

 

[第49話] 【改稿版】

 

 

「((刹那|せつな))」

 

しばらく無言でいた北郷が、何かを決意したような感じでボクの真名を呼ぶ。

前方を見ながら馬を((御|ぎょ))している姿勢を維持したまま、ボクはそんな彼に返答していく。

 

「なんだい?」

「なんで、矛盾していて良いんだ? それに、どうしてそれが人生の課題に((繋|つな))がる? 良く考えてみたけど、やっぱり分からない。分かるように教えてくれないか?」

 

北郷が無言でいたのは、どうやら自分なりに考えていた為だったようです。

それでも結論が出せずにいたから、話しかけてきたという事らしい。

北郷は、ボクの真意を理解してくれたわけじゃない。

でも、馬鹿にして((嗤|わら))うわけでも無かった。

彼なりに((真摯|しんし))に受け止めてくれた事を、ボクはちょっと嬉しく感じる。

 

「一刀はさ、人の人生の課題。まあ、自分の課題についてでも良いのだけれど、それってなんだと思っている?」

「は? 人生の課題?」

 

疑問に疑問を返すような感じではありましたが、北郷が基本的な事を理解していないと話しを先に進める事が出来ないので、それを確かめる為にボクは問いかけてみる事にしました。

 

「いや、いきなりそんな事を『なんだと思っている?』なんて軽く聞かれても……。考えた事も無かったから、答えようが無いぞ?」

 

人という存在が、自分が何故この世に生まれて来たのかについて深く考えた事が無かったのか、北郷は戸惑うように返答してきました。

ボクはそんな彼の言葉を聞いて、ちょっと気落ちしてしまう。

 

「まあ……、一刀のその答えが、多くの人々の心情を代弁していると言って良いのだろうね。ほとんどの人達は日々の生活に追われるあまりに、本当に考えるべき事を見落としている。それがどういった結果を招くのかという事さえ、想像する事も無いのが実情。ほんと、悲しい限りだ」

 

ボクは、ちょっと((愚痴|ぐち))るように((呟|つぶや))いてしまいます。

もう少し、ほんの少しだけでも良い。

ほんの少しでも視野を広げて周りを見渡してくれたなら、人はもっと自由に人生を生きられる事が分かるはず。

だけど人々は、自分を守る事に気を取られるあまりに、その事に気づけないでいる。

人の現実というのは、その人が思い見定めた通りに見えてしまうもの。その人の持つ定義が変わらなければ、新しい現実は見えてはこないものだから。

だから時折感じてしまう、自分のやっている事が実は無意味なんじゃないかっていう想いが、少し((湧|わ))き起ってしまったのでした。

 

 

「そうだね……。矛盾があるという事は、そこに((何某|なにがし))かの問題があるという事。それを一刀は、駄目だと言うわけだよね?」

「あ? あっ、ああ」

 

ボクは気を取り直して、北郷に説明すべく話しかけていきました。

それを聞いた北郷は、黙っていたボクがいきなり説明し出した事に驚いたみたいで、ちょっと詰まるように返答してくる。

 

「今回の場合は、桃香の主義主張と行動が一致していない。そこのところが、問題だというわけだ」

「そうだ」

 

再度、北郷の意見を確認した後、ボクは後ろを振り返って説明していく。

 

「結論から言えば、桃香はその事を問題だとは認識していないんだよ」

「は?」

「だからね、彼女は自分の主義主張と行動が矛盾しているとは思っていないって言ってるの」

「なんだよ、それ……?」

 

ボクの話しを聞いた北郷は、再び((鳩|はと))が豆鉄砲を喰らったみたいな表情を顔に浮かべる。

その後、言われた事を理解するに連れて((訝|いぶか))しむように成っていく。

そんな彼の表情を見て取り、ボクは((噛|か))み((砕|くだ))いた説明をする事にしました。

 

「つまりだね。桃香は、彼女なりに自分のやっている事に整合性を見出して、ああいう行動を選択しているんだろうって言ってるの。大概の人は、自分がその時に正しいと思っている事しかしないものなんだよ。ボクが見たところ、彼女は自分が間違っていると分かっていて、そのまま行動し続けるような人物では無い。だから、そういう事なんだと思う」

「いやいや、どこに整合性が取れてんだよ?! 思いっきり食い違っているじゃないか! あれだけ食い違っていれば、おかしいって気づくだろう、普通」

「だから、それが『自分の現実を創っている』という事なんだよ。抱いている観念や思い込みに気づかず、その観点から現実を見定めている当人には、今の自分が見ている現実しか見えないんだ。悲しいほどに」

「そんな馬鹿な」

 

ボクの言い分が受け入れがたいのか、北郷は声を荒立てて反論してきました。

そんな彼の怒気を((反|そ))らすようにして、ボクは身体を前方に向き直します。

 

「確かにボクや一刀には、桃香の主義主張と行動は矛盾しているように見える。だから君は、それを正す事のない彼女は問題だと言うのだろう。それは分かる。でもね、それはボク達が彼女のやっている事に矛盾があると見定めているから、そういう風に受け取っているだけなんだよ。

 だから、矛盾を感じていないであろう桃香は、自分の取っている行動が問題だとは認識していない。むしろ、彼女なりに正しい事をしていると思っている可能性の方が高いと思う。つまり、((是正|ぜせい))する必要を感じていない以上、行動も変わりようが無いというわけ。ただ、それだけの話しなんだよ」

「いや、でもな……」

「そして、その事をボクが問題だとは思わず、桃香にとっての人生の課題だと言う理由も、そこにある」

「え?」

「((己|おの))が抱く観念ゆえに気づけないでいる事に気づいていく事。それが、人の人生の課題の一つなんだよ」

 

ボクは一拍ほど間を置いてから、北郷に話しかけていきました。

 

「何度も言うけれど、自分の現実というのは自分自身が創り上げている。自分が思い定めた通りに見えて、その結果を受け取るものだからだ。そして、その現実というものは一人ひとり違っているもの。それは良いかい?」

「ああ……」

 

北郷の同意を聞き、どうか気づいてくれますようにと想いを込めながら語っていきました。

 

「人は自分の現実を見定める時、自分の抱いている信念・思い込み・観念などを通して決めている。大概の場合、それは自分自身で決めているのでは無く、成長する過程で周りに居る大人達などから学んでしまったものが大部分を((占|し))めていると云えるだろう。その為に、ほとんどの人達が現実を否定的に見定めるように成っている。そして、その否定的な観点から自分の現実を創ったままだから、人はその現実を((脅|おびや))かす存在から自らを守る為に争ってしまい、しなくても良い否定的な経験をしてしまうはめに成っているんだ」

「それは前にも聞いてるから分かっているさ。すべては自分次第だと言うんだろう?」

 

北郷の返事を聞いたボクは、後ろを振り返って彼に視線を合わせる。

分かっているとは言うものの、その実、本当の意味で理解していないであろう事が((垣間|かいま))見えたからです。

なにより、せっかく劉備の事に違和感を覚えて自己を省みる機会を得ているのに、それを無駄にしてしまうのは惜しい。

だから、この機会を利用して北郷に分かってもらおうと考えました。

 

「じゃあ、一刀。君は何故、自分が桃香の主義主張と行動が矛盾している事を問題にしているのか、その事をちゃんと認識しているのかい?」

「え? 俺?!」

「そうだよ。他人の事をどうこう言う前にだね、まずは自分の事を((省|かえり))みるべきだろう? 違うかい?」

「いや……、俺なんかしたか? まったく、身に覚えが無いんだが……」

 

ボクの問いかけに、ちょっと慌てて答える北郷。

問題にされたのが劉備では無く、自分であった事に驚いたようでした。

 

「仮に桃香が矛盾している事が本当に問題であったとしても、それは彼女自身の問題だという事だよ。その問題に桃香が気づけなかったら気づけなかったなりに、気づけたのなら気づけたなりの結果が待っているというだけの話しだ。そしてそれは、彼女が自分の責任に置いて受け取るものであって、一刀が受け取るべきものじゃない。それなのに何故、君は我が事のように受け止めて問題視しているんだい? それこそ、おかしいと思うべきじゃないか?」

「いや、でもな? 問題があれば直すのは当然だろう? それにほら、なんて言うかさ。こう良くない影響というか、迷惑がかけられるかも知れないだろう? 今、一緒に行動しているわけだし。

 あー……。つまり何が言いたいのかと言うと、((降|ふ))りかかってくる危険を未然に防ぐ為に必要な処置、みたいな?」

 

北郷はボクの問いかけに、しどろもどろに言い訳をするように返答してきました。

ボクはそんな言葉を聞いて、彼に事の本質を理解してもらうべく話しかけていきます。

 

「一刀。君は今、自分の感覚をちゃんと認識できているかい?」

「えっ? いや、出来ていると思う……けど?」

「それなら、気づかないか? 『自分が当然だと思っている事は行われるべき』としている自分の現実が壊される事を、『迷惑がかけられるかも知れない』と想い描く自分の頭の中にある物語に、君自身が『不安』や『恐怖』を感じているって事にさ」

「え……?」

「君が本当に問題にしているのは、桃香の取っている行動が矛盾しているかどうかなどでは無くて、自分が望まない事・怖れている事が実現してしまうかも知れないと感じる『恐怖心』なんだって気づかないか?

 その恐怖心が君自身を守るように((誘|いざな))って、桃香の取っている行動を問題視して攻撃的に対処しようとしているんだよ」

 

北郷はボクの話しを聞いて、目を大きく開けて驚いた表情を顔に表す。

言葉少なく発する彼の((呟|つぶや))きを聞くところをみると、どうやら事の本質を見余っていたらしいと推察する。

それからボクは身体を前方に向き直して、北郷が((腑|ふ))に落とす時間を取る事にしました。

そうしてしばらくの間を置いてから、さらに言葉を続けていきます。

 

「ボクには、一刀がどんな観念を持っているのか、どんな現実を見定めているかなんて分からない。でも、多くの人達が攻撃的になっている時、共通して所持しているであろう観念は知っている。何故ならそれは、ボク自身も((嘗|かつ))て持っていたものであり、ともすれば呑み込まれてしまうような存在だからだ。

 一刀。君は今、それを知りたいと望むかい? それとも、これからの自分の人生経験から学ぶ事を選ぶかな? そのどちらを選ぶにせよ、ボクは君の選択を支持するよ。他ならぬ、一刀の大切な人生なのだからね」

 

ボクはそのままの姿勢を保持したまま、北郷からの返答を待つ事にしました。

選択権は彼にあり、それを犯す事は過干渉に当たると思ったからです。

少し間を置いた後、北郷が何かを口走ろうとするのが聞こえる。でも彼は、そのまま言葉を発する事なく口を((噤|つぐ))む。

そうして互いが無言のままで居ると、何かを決意したような声がかけられてきました。

 

「刹那」

「なんだい?」

「俺は、どんな観念を持っていると言うんだ?」

「一刀は今、それを知る事を選ぶのかい?」

「ああ……」

 

ボクは北郷の覚悟を聞いた後、自分の知るところを話していく事にしました。

でも、その前に確認を入れる事にします。

 

「じゃあ、始めに断って置くけど、ボクは一刀の事を否定しているわけじゃない。一刀が信じるべきは君自身であって、ボクの意見でもない。なにより、君が決めた事が君にとっての真実となり、その真実が君の現実を決定づけてしまう。だから、これからボクが話す事を採用するかどうかは自分で決めて欲しい。ボクはただ、君の気づきに役立てて欲しいと思うから話すだけだ。それは、分かってくれるかな?」

「ああ、分かった」

 

誤解されないように断りを入れたのは、北郷に受け入れる準備が整っているかどうかを確認する為でした。

受け入れる準備が整っていない相手には、たとえ伝えたくても伝える事は出来ないからです。

 

「では、言わせてもらうね。それはね、『自分が幸せで在り続ける為には、他人の行動を変える必要がある』という観念だよ」

 

ボクがそう答えると、北郷は何かを確認するように問いかけてきました。

 

「……その観念を、俺が持っていると言うのか?」

「ボクには、そう見えるね。でなければ、他人の行動を問題視して変えようとは思わないよ。人は自分に関係ない事だと思えば、誰が何をしようと気にかける事は無い。自分の身に不都合な事が起こる事を恐れるからこそ、他人の行動を変えようと考えるんだ。最悪、その対象を消し去ってでも、自分の心の安息を得ようとするようにね」

「……その観念を通しているから、俺は劉玄徳の行動を問題にしている?」

「残念ながら、ね。でもそれは、ボクの言葉を聞いて確認するよりも、自分自身で分かるだろう? 今の自分が感じている感覚を意識してみれば、それで判断できる話しなんだから」

 

そう言った後にボクは、また間を置いて北郷に考える時間を持ってもらう事にしました。

たとえ人から自分の事を知らされたとしても、それを受け入れるのは容易では無い。

ほとんどの人は、言われた事が((図星|ずぼし))を突いていればいるほど、今の自分を守る為に反発してしまうものだからです。

そこに理屈を((挟|はさ))む((余地|よち))など無く、防衛本能が瞬時に働いてしまうほどに、今の自分を否定する存在を消し去ろうとする。

自分が否定されるという出来事を、((隙間|すきま))を創って事実と感情に分けて((捉|とら))える事が出来ないがゆえに。

そしてその事が、ボクは人の世から争い事が絶えない要因であると考えていました。

でも、深く考えてくれれば、誰にだって分かってもらえるはずなんです。

自分を否定してくる人達というのは、ただそういう現実、そういう世界に生きているだけなんだって事が。

 

望む在り方を自分自身で創り出す事が出来ない。

他者の意見を否定しなければ自分の在り方を維持できない。

だから常に不安に((苛|さいな))まれ、他人と争って勝ち取らねばならず、心の((拠|よ))りどころを探し求め続けなければ成らない。

 

ただ、それだけの話し。たった、それだけの事。

それなのに人は、たったそれだけの事に気づくまでに、いったいどれだけの血を流せば気が済むのでしょうか。

時折ボクは、人は((好|す))き((好|この))んで争っているんじゃないかって思う時があります。

物資や資源の奪い合い、人種差別や主義主張の違いなどは言いわけに過ぎず、むしろ争って己が力を誇示して((悦|えつ))に((浸|ひた))る事が目的なんじゃないかって思うからです。

だから、自分のやっている事が無意味なんじゃないかって思い、意気((消沈|しょうちん))してしまう時もありました。

それでもやはり、争ってばかりの血の雨が降っているような((殺伐|さつばつ))とした世の中よりも、晴れた日の屋敷の((縁側|えんがわ))でお茶を((啜|すす))りながら茶菓子を((啄|つい))ばんでいられるような、そんな平和な世の中の方が良い。

たとえ、食べようとした茶菓子を誰かに横取りされて((悔|くや))しい思いをしたとしても、それを笑って流せるような心に余裕のある世の中の方が断然良いと思うんです。

だからボクは、何度くじけそうになってもそう思い直して、自らの望む平和の世を実現していこうと思うのでした。

 

 

「なあ、刹那……」

「ん? なに?」

 

色々な事を考えながら愛馬・調和に揺られていると、どこか心許ない北郷の声が背後から聞こえてきました。

 

「刹那に言われた事は、正直に言えば否定したい。そんな考えを持っている人間じゃないと思いたいから」

「そう……」

 

北郷は、自分なりに色々と考えてくれたのだと思います。

それを彼は、心の内を((吐露|とろ))するように告げてくれました。

ボクはその言葉を聞き、ただ静かに返答をする。

それがどんな答えであれ、彼自身の決断で見い出した答えであれば、それは尊重しなければ成らない。

その答えこそが、北郷にとっての現実を創り出すのですから。

 

「だけどな。そう言われてみれば、そうなのかも知れないとは思うんだ。今の自分の感覚を意識してみたら、本当なのかも知れないと思って否定し切れないのも事実だからな」

「そうか……。なら今は、それで良いんじゃないかな? 別に、慌てて出さなきゃイケない答えってわけでもないし。君自身が納得できるまで考察したら良いよ」

「え……? そんなんで((善|い))いのか?」

「善いも悪いも無いよ。それに、ボクがどうこう言う話しでも無い。それが一刀にとっての幸せに繋がるかどうかが問題であり、その結果を君自身が受け取るってだけの話しなんだからね。違うかい?」

「いや、まあ。それは、そうなのかも知れないけど……」

 

北郷は、何か重要な決断を告げたつもりだったみたいでした。

でも、その決断をボクが軽く受け答えした為に、彼はどこか((拍子|ひょうし))抜けしたようです。

だけど、北郷は本当の意味で重要な一歩を踏み出したのだと思い、ボクはちょっと嬉しく思うのでした。

それは、自分の抱く観念に踊らされるのでは無く、その観念によってもたらされている感覚を認識できているという事。

自分の感覚を即座に否定するのでは無く、ただ静かに見つめる事が出来ているという事は、自分の望む在り方を確立していく為の下地が出来ているという事を意味するからです。

 

多くの人は今まで、周りにいる大人達から学んだ現実を否定的に見定めなければならないという意見に従って、それを疑うことなく自分が生きる現実を見定めて創ってきました。

そうして出来上がった現実は、無力感を((伴|ともな))うような色あせた灰色の世界。幼い子供の頃に夢見ていた、不思議に満ちた喜び((溢|あふ))れるような世界は、どこにも存在しなかったのです。

それでも人は、それが当たり前の現実なんだと思いながら頑張って生きて来ました。

周りからの理不尽と思える仕打ちを、時に歯を食いしばり、時に心で涙を流しながら。

でも本当は、そんなに頑張る必要は無かった。

片意地を張る必要も、意固地になる必要も無かったのです。

ただ、自分の抱く観念や思い込みという色つきガラスを通して現実を見定めているから、そういう風に見えてしまっていただけだったのだから。

 

自分には色あせた灰色の現実しか見えない。無力感しか感じられない。

だから人は、それらを証拠として、さらに自分の現実を定義づけている観念を強固にしていく。

そして、その観念を強固にしていけばいくほどに、自分が創っている現実がさらに灰色にしか見えなくなる。

この絶え間なく続けている負の連鎖が、人を不幸にして、そう感じさせている元凶だったのです。

でも((幸|さいわ))いな事に、人生には無駄な事など何一つありはしません。

不幸の現実を自分が創り出して感じていたという事は、幸福の現実も創り出して感じる事が出来るという事を意味する。

つまり、不幸の現実を創り出していた過程と同じ事を、自らの望む幸せな現実を創り出す為に利用すれば良いだけだったのです。

 

たとえば、人は恋をすると世界がバラ色に見え、どんな事でも出来るように感じられると云います。

そこで重要な事は、恋をした人の現実は本当にバラ色に見えていて、どんな事でも出来ると感じられる世界に生きているという事実そのもの。

恋人が居るかどうかは関係がありません。それは、ただの”きっかけ”に過ぎないのです。

((大事|だいじ))な事は、自分の身の内から湧き起ってくる幸福感。

何があっても大丈夫、どんな事でもやれると感じる情熱。

そういった感覚が自分の現実を変え、今現在の状況を改善していく為の原動力なのです。

 

でも、その原動力に影を落としてしまうのが、自分の抱いている観念や思い込み。

『自分には何かが足りない』『どうせ何をやっても((上手|うま))くいかない』といった決めつけです。

自分が否定的に定義づけた事が真実となり、その真実が自身の現実を色あせた灰色に見せて、やる気を((阻害|そがい))する。

今までがそうであったのだから、今後も同じ結果になるのだと自分が勝手に決めつけていたのです。

でも、それは本当の事なのでしょうか?

誰が、そういう結果になると決めているのでしょうか?

まだ、どんな結果に成るかなんて確定していないというのに。

 

人はただ、なんの問題も無い大地に”不安”という種を((蒔|ま))き、そこに”恐怖心”という水を与えて育て上げ、”結果”という果実を収穫していただけ。

でも、そんな事をするくらいなら、代わりに”望み”という種を蒔いた方が良いと思うのです。

そうすれば、自分が望んでいた結果という果実を収穫できるのですから。

今までが、どうであったかは自分しか分からない、他人に自分の痛みなど分かるわけが無いと思うかも知れません。

それが酷い現実であったなら、その時に感じてしまった感情に引きずられてしまう事もあるでしょう。

ですが、これからの事は常に、今この時より始まるのです。

自分の現実を不幸のままにして置くのか、それとも幸福で在るように変えていこうとするのか。

それを決断するのは、その当人の選択に((委|ゆだ))ねられている事なのです。

 

だからボクは、人々に自らが抱く観念や思い込みを見つめて欲しいと思う。

観念や思い込みを抱いている自分を否定せずに、ただ思いやりを持って受け入れ解き放って欲しいのです。

自分を不幸にしている観念や思い込みといった想いは、とても重たいもの。その重たい観念や思い込みを背負っているのが普通だと、それが当たり前の事なんだと思っているからこそ、人々が生きる現実は色あせた灰色の世界に成っているだけだから。

だから、その((重石|おもし))を背負う事を止めれば、自然と身体や心が軽くなっていくのが道理。

そうして身軽になっていけば、ある時にふと気づく。

『自分はすでに幸せだったんだ』って事に。

 

人は色あせた灰色の世界で頑張って生きているうちに、いつのまにか”幸せ”について多くの誤解を形成していったように思います。

愛する恋人や大切な家族が居る事、なんでも購入できる多額の金銭を持っている事や豪邸に住む事、誰かが自分を喜ばせてくれる事など例を挙げれば切りがありませんが、それらが多くの人々の考えている一般的な幸せでしょう。

でも何故、人はそれらを得る事に執着してしまうのでしょうか?

ボクはその理由を、自分が”幸せではない”と感じているから、それを満たす何かを求めているのだと思うのです。

確かに、物質的に満たされる事は幸せな事でありましょう。

生活していくのだって、不都合が多いよりも快適な方が良いに決まっているのですから、当然だとは思います。

でも、それらは幸せの”形”であって、幸せ”そのもの”ではありません。

だから、いくら形を集めたところで、人は幸せには成れないのです。

 

では、幸せとは?

それは『自分は幸せだ』と感じる、身の内から湧き起ってくる感覚に他ならない。

その時に感じている感覚を他の言葉で言い表すのならば、『((静寂|せいじゃく))』・『安心』・『平和』・『歓喜』・『自由』・『感謝』といった感じでしょうか。

そういった感覚に満たされているから、人は自分が幸せである事を実感できるのだと思います。

周りに物があって人が居るから幸せで在り、それが無くなったら不幸で在るという事ではありません。

一人でも幸せで在り、もし周りに物があって人が居てくれたのなら、もっと幸せで在るという事なんです。

 

ボクは、多くの人々に幸せで在って欲しい。

今この時にも暗闇の中に居て、自分の無力を嘆いている人達を助けてあげたい。

でも、どれだけ想いを((募|つの))らせていても、誰も自分以外の存在を救い出す事は出来ないのです。

その人の現実を創っているのは、その人自身。

だから、不幸という名の牢獄から自分を救い出せるのは、その人自身だけなのです。

 

だからボクは、自分の現実を創っているのは自分自身だという事を、多くの人々が早く気づいてくれる事を願います。

それに気づけたからといって、人々の置かれている状況が直ちに変わるわけでは無いのかも知れません。

それでも、その事に気づいてもらえたならば。

 

 

人は自分の人生を、もっと自由に生きられるのだと分かってもらえるはずだから。

 

 

 

 

説明
無難な人生を望み、万年やる気の無かったオリ主(オリキャラ)が、ひょんな事から一念発起。
皆の力を借りて、皆と一緒に幸せに成って行く。
でも、どうなるのか分からない。
涙あり、笑いあり、感動あり?の、そんな基本ほのぼの系な物語です。
『書きたい時に、書きたいモノを、書きたいように書く』が心情の不定期更新作品ですが、この作品で楽しんで貰えたのなら嬉しく思います。
*この作品は、BaseSon 真・恋姫†無双の二次創作です。
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コメント
遅くなりましたが、なんとか49話を改稿いたしました。でも、50話まで手が回らず、書けませんでした。ごめんなさい。また投稿し続けられるようにして行こうと思っています。(愛感謝)
nakuさん、コメントありがとう。最近まで、初心を忘れてしまいまして、なんで小説を書いてるんだっけ?みたいな感じになっていました。今はなんとか立ち直りましたが、視点が低くなっていたみたいで、50話の執筆と49話を改稿しようと思っています。いつになるか分からないのですが、また投稿したら読んでやって下さい。(愛感謝)
NSZ THRさん、色々なコメントをありがとう。御返しが遅れて申し訳ありませんでした。なるほど。NSZ THRさんは原作全体の劉備を見て、そう判断されている訳ですね。恋姫の全体を見ると、そう成るかも知れません。私にとってのキャラは、それぞれのルートでの良い所取りみたいな感じです。私は、劉備は感覚的な頑張り屋さんみたいに思っています。(愛感謝)
私は恋姫(この作品ではなく原作の)での劉備をそういうふうに認識しております(NSZ THR)
恋姫でキャラを感覚派:張飛、孟徳と理論派:軍師全般に分けたとすると劉備は突出した能力のない感覚派といった感じで、難しい話になるとすぐに逃げるかつまり〜だよね?といったまとめたような言い回しをして、努力をしない感じです 他者を助けたいのに黄巾党や董卓連合を始め対話を行わず(蜀以外のルートで)常に戦を行っている(NSZ THR)
自分の読解力がないのか今まで以上に今回のお話はわからなかったのですが、なんとなく矛盾というのは少しずれているなと思いました 矛盾は語源から考えるに突き詰めても問題の整合性が取れてないことを指すと思いますが、劉備の場合単純に嫌なことから無意識に目を背けてると感じました(NSZ THR)
読んで下さってありがとう御座います。(愛感謝)
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