特務戦隊 Lパワード! 第4話 新たなる敵、現る!
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(大江戸ドーム・グラウンド)

 

 学歩達とルカ達の口論は、まだ続いていた。“レンは仲間なのに、海岸に打ち上げられるような、ひどい扱い、をした”という『ルカの主張』を聞いた学歩は、やはりか、という顔つきで、その件について反論することにした。

 

学歩「その事についてだが、私たちが故意にやったことではない。我々は宇宙船で移動しており、その船内で我々は全員、コールドスリープに入っていた。しかし、緊急事態が発生し、我々がコールドスリープから目覚めた時には、レン様のカプセルだけが、最悪の緊急事態に対応して、宇宙船から離脱してしまっていた。かなりの緊急事態だった事は事実で、レン様のカプセルについている“安全装置”すら働いていなかった」

 

めぐみ「私たちはすぐに探索を開始しました。しかし知っての通り、宇宙は広いです。レン様のカプセルに“発信装置”が付いているとは言え、そのシグナルを探索するのは容易なことではなかったのです」

 

学歩「一ヶ月、二ヶ月・・・無情に時は過ぎていきました。そして最近になって、ようやっと、カプセルが太陽系のココ、『地球』に落下したことがわかったのです。そこからはカプセルの信号と、レン様の生体反応を頼りに、最初は広くサーチ、これにより『日本』という国にあることがわかり、そこからは人力でした」

 

めぐみ「あなた達が、私たちの活動を、『怪人の地球侵略』、と誤解していたのも、ムリのない事なのかも知れません。しかし、この宇宙には、あなた達と同じ姿の存在だけが生きている訳ではないです。地球に存在するのは、地球で生まれた生物や人間だけとは限らないのです。我々にもちゃんと理由があり、それ以上のことをする“目的”など、なかったのです」

 

学歩「これでも、まだ、あなた達が“エル”と呼んでいる“レン様”を、私たちが連れていく事を許さないのですか? 故意にカプセルを落としたわけでもなく、むしろ必死に探していたのに」

 

ルカ「う・・・・・」

リリィ「ルカ、私たちの負けだよ。彼らの言い分に、無理な用件はどこにもないよ」

ミク「ここは引き下がらないと、正義の味方らしくないミク」

 

海斗「・・・しかし、1つ問題があるぞ」

ルカ「え?」

 

海斗「当の本人が、記憶喪失のままだ。君たちの宇宙船に“記憶再生装置”があるらしいが、それは“今までの半年以上の強く残っている記憶”を無理矢理消去して、脳の深いところに追いやられた“君たちとの記憶”を引っぱり出す方法だと思う」

 

学歩「その通りだ。被さっている記憶をまず消去し、奥の方に行ってしまった我々との記憶をサーチして、引っぱり出す方法だ」

 

海斗「悪いが、今のエルの状態で、それをやれば、今の我々との記憶を消し去った時点で、完全に記憶の欠片がない『廃人』となってしまう確率が高い。脳は、記憶の情報を元に、常に動いている生体機関だ。深くに追いやられた記憶が、被さった記憶の消去と同時に出てくれば問題ないと思うが、君たちの装置では、それは出来ないと言っていたはずだ。消去した後、元の記憶を『サーチ』して、引っぱり出す、と」

 

学歩「・・・・・つまり、レン様の今の状態では、よほど高性能な装置がないのなら、このまま『エル』として生活していた方がいい、そういう事か?」

海斗「俺の記憶が確かならば、エルは『リン』という君たちの総大将の名前に反応して、ひどい頭痛を起こしていた。これから考えても、消去と同時の引っぱり出しは、かなり危険だ、と思うが?」

 

???「そんな言葉に惑わされる必要はない! さっさと私の所に連れてきなさい!」

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 ビューーーーン

 

 なんと、宇宙船の転送装置を使って、リンが学歩の所に来てしまった!

 

リン「Lパワードの諸君、お初にお目にかかる。我は学歩達の総大将、『暗黒大帝リン』だ。あまりに事態が完結しないため、我自らが来てやったぞ」

ルカ「あなたがリン・・・」

リン「そうだ。そして、そこの“レン”の双子の姉だ。お前達の“こうだったら失敗する”という『仮定』など、もういいわ。我々の科学力は、学歩の“控えめな説明”で説明されるような“ちんけな物”ではないわ! 私はこの半年以上の期間、ヒステリーを起こしながらも、待ちに待ったのだ。お前達も理解しているだろうから、このレンを我々が引き取っていっても、問題ないのだろ?」

 

ルカ「で、でも、海斗の話では、100%、元のレン君に戻れるとは限らないと・・・」

リン「なら、我らの科学力を持ってして、“100%記憶再生装置”を新たに作ればいいことだ! それまでレンには、“エル”、として生活する事になるだろうが、ソレくらい我慢してもらう」

 

 ピキッ

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リン「? なんだ? この音は」

 

エル「く・・・・・く・・くっくっくっ・・・・」

 

ルカ「どうしたの? エル?」

学歩「? おかしいぞ? “レン様”の反応はそのままなのに、『エルの反応』が消えたぞ?」

リリィ「え???」

めぐみ「つまり、彼が『エル』という人間でなくなった、ということよ」

学歩「おお! なんだか解らないが、“レン様”に戻ったと言うことか?・・・・・・・いや、違う。『別の未確認生物』の反応もレン様から同時に出ている・・・」

 

ルカ「??? つ、つまりどういうことよ?」

 

めぐみ「レン様、また“別の存在”に乗っ取られたわけよ。『エル』の場合は“記憶”だけだったけど、今度はそれだけじゃないみたいね」

学歩「反応から考えて、体のどこかにあった“卵”が、今のここで“ウカ”して、体を乗っ取った、そういう感じだ」

 

エルだった人物「ご名答。我は外宇宙L02惑星の主、『クトゥルフ』。レンの体に寄生して、お前達の宇宙船に忍び込み、そのまま乗っ取るつもりだった存在だよ。まさかカプセルの緊急装置が働いて、宇宙船から排除されてしまうとは思ってなかったがな」

 

学歩「クトゥルフ! お、おまえが原因だったのか! アノ事件の調査をいくら行っても、原因が掴めなかったから、おかしいとおもっていたが、まさか、外宇宙生命体が原因だったとは・・・」

クトゥルフ「正確には生命体部分は半分だな。私の構成成分のほとんどは、“精神部分”、だからな」

 

ルカ「せ、精神部分???」

 

クトゥルフ「このレンとかいう人物の体に極小さな卵のような形で、“核”、を埋め込んでおき、それらをコントロールする部分を、対象人物の精神に埋め込んでおく。その精神部分が起動を開始すると、卵から最低限の細胞が放出され、対象人物を乗っ取る事が出来る。おまえらの感覚だと、『乗っ取る』というと、異形の生物になってしまう、と考えているようだが、それは『娯楽向けの演出』の範疇だ。実際は、その対象存在の肉体部分を変えずに、精神部分だけ乗っ取る方が、圧倒的に活動がしやすいのだ」

 

リリィ「あ、あんた・・・・まさか・・・・あの“壊れたカプセル”の中に・・・」

 

クトゥルフ「いや。お前らに発見された時点では、既にレンの中に“基本組成の卵”を埋め込み、私は精神の奥底に隠れていた。カプセルには痕跡も残していない。しかし、地球に落下して不時着したときの衝撃が強すぎたため、私の精神部分が出てくることが出来なくなり、やむを得ず、“時”を待つことにしたのだ。アノ時点での精神構成から言うと、一番表面から、エル、私、レン、ということになる」

学歩「と・・ということは、レン様の記憶はまだ残っているんだな!」

クトゥルフ「ああ。まだある。しかし、私がようやっとこの体を支配する事ができた今となっては、お前達の所望する“レンの記憶”は、もう引っぱり出してくる事は出来ないな」

学歩「お前を消滅して、レン様の記憶を引っぱり出す!」

クトゥルフ「それは出来ない。精神部分の私が無くなると同時に、肉体に埋め込んだ“細胞”が反応して、この体を死亡させる。つまり、君たちがレンを“生かしておきたい”と思うなら、私という精神に攻撃を加えないことだな」

 

リン「レ・・・・・レ・・・・・・レン・・・・・・! ! !!!!」

 

 クトゥルフはリンを羽交い締めにしてしまった!

 

クトゥルフ「さーて、そもそも私の目的は私の子孫を増やすための新たな母星として、学歩、お前達の星を乗っ取ることだ」

ルカ「なぜ、この地球を選ばない。今のここの方が遥かに手っ取り早いだろう!」

クトゥルフ「は! こんな“精神も物質も害された星”など、乗っ取っても、何年存続できるか、たかが知れている。この学歩達の星の方が遥かに“役に立つ”。ということで、学歩達も言っていたが、ようやっと本当に“さらばだ”と言えるだろう」

 

 クトゥルフはリンを更に強く締め上げた!

 

リン「ぐっ!」

 

クトゥルフ「こいつは星を乗っ取る時の道具としても役に立つ。頂いて置くぞ」

学歩「リン様!」

クトゥルフ「おおっと! 私に攻撃を加えるなよ? では、こいつの持っている転送装置でお前らの宇宙船を乗っ取り、さっさとお前らの母星“イネット”にワープするか」

 

 シューーーーン!

 

 クトゥルフとリンだけが消えてしまい、学歩、めぐみ、そして怪人達は、グラウンドに取り残されてしまった。

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(大江戸ドーム・グラウンド)

 

ルカ「い・・・・一方的だった・・・・」

リリィ「何も手が出せなかった」

ミク「攻撃すらできないなんて、卑怯ミク・・・・」

海斗「ふ、ふがいない・・・・」

 

学歩「・・・・・・なぁ、ルカさん達“Lパワード”の諸君、これからもの凄く虫のいい事を言うようだが、怒らないで聞いて欲しい」

ルカ「・・・・怒らないわよ。何を言いたいのかわかるから」

 

学歩「・・・・助けて欲しい」

 

めぐみ「あいつがやろうとしていることは、あなた達の星にも人間にも、何にも害はないこと。それに今まで色々誤解されることをやってきた手前、言いにくいけど、恥を覚悟で言うよ、リン様、レン様、そして私たちの星“イネット”のためにも、力を貸して欲しいの・・・・」

シテヤンヨ軍団「ヤンヨ〜」

トニオ「トニオォ〜」

 

ミキ「な、何を言うんですか! どういう経緯であれ、あなた達を敵と判断していて、さらにエルさんもこんな事にしておいて! 虫が良すぎます!」

ルカ「ミキちゃん、そして、学歩さん、めぐみさん、勘違いしないで欲しいの。私たちは、“エルを救出する”ためにこれから行動を開始するの。その過程がたまたま“彼らに協力する事になっちゃった”だけ」

 

 そこにミキの装置からメイコの声が聞こえてきた。

 

メイコの声「そうね。そういうことよね」

 

ルカ「メイコさん!」

メイコの声「今回の展開はさすがに読めなかったわ。でも、ルカの言うとおり、“エルの救出”って同じ目的になった以上、学歩とめぐみと怪人達とも手を組まないと行けないわね」

 

学歩「あ、ありがとうございます」

めぐみ「助かります」

 

メイコの声「でも、協力してもらうからには、結構わがままな要求をさせてもらうわよ。特にあなた達の“高度な科学力”は、期待させて貰うわ」

学歩「それは大丈夫です。今のこの時点からでも、かなりの機能をこちらの装置に融合できますから」

めぐみ「安心してください」

 

メイコの声「じゃあ、色々作戦を立てないと行けないから、全員で一度こちらに帰ってきて。こっちの警備には言って置くから」

 

ルカ「はい!」

 

 こうして、怪人達とも手を組み、“エル救出作戦”、が始まったのだった。

 

(続く)

 

CAST

 

ルカ:巡音ルカ

エル=レン=クトゥルフ:鏡音レン

リリィ:Lily

ミク:初音ミク

海斗:KAITO

メイコ:MEIKO

ミキ:miki

 

リン:鏡音リン

学歩:神威がくぽ

めぐみ:GUMI

怪人トニオ:Tonio

下っ端隊員“シテヤンヨ”:シテヤンヨ

 

その他:エキストラの皆さん

説明
※家庭の事情で一ヶ月半ぶりの更新となりまして、スミマセンです。今後もこんな感じの更新になりますので、ご了承くださいませ。

○ボーカロイド小説シリーズ第12作目の” 特務戦隊 Lパワード!“シリーズの第4話です。
○今回は戦隊モノです。
○ギャグあり、涙あり、ワクワクありの、戦隊モノの王道をボカロ達に演じて貰いました。
○まぁ、今回もカイトにーさんは、ギャグ要因で不憫な役なんですけどね・・・。
○Lパワードの“L”が何を意味するのか? お楽しみに。

☆遂にシナリオは核心部分へ。エルの正体とは!?
☆予想通り、今回はギャグほとんどなしでした・・・・・。
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