ゼロの使い魔 〜魔法世界を駆ける疾風〜 第二十七話
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ルイズの部屋を訪れたアンリエッタ王女は、感極まった表情でルイズに駆け寄ろうとする

 

「ああルイズ、わたくしのおともだち―」

「はい、止まって下さい」

 

と俺は駆け寄ろうとした王女のフードを引っ掴む

 

「ちょっ、何ですの貴方は!?わたくしは杖を預けましたわ!」

 

王女は手を振り足を振り、声も荒げて抗議する

 

「杖以外にも魔法発動媒体はありますし、『フェイスチェンジ』の魔法を使っている可能性もありますからね」

 

実際俺も杖以外の発動媒体を持っている。右手と左手の指に嵌めている指輪とデルフ、それにマーキングクナイもそうだ

『フェイスチェンジ』とは風と水のスクウェアスペルで、その名の通り術者の顔をまったくの別人に変えてしまう魔法だ

勿論顔を実在の人物のものに変えることも出来るので、要人を守るときは警戒しなければならない魔法でもある

ワルドは風の単一属性スクウェアと聞いてはいるが、用心は必要だ

 

「ああもう分かりましたわ!『ディテクトマジック』なり何なりすればよろしいでしょう!?」

 

ディテクトマジックとは魔力を探知するための魔法で、どんな魔法が発動されているかも分かる便利な物だ

 

「では、失礼いたします」

 

俺はまだディテクトマジックをコピーしていないので『白眼』で透視をして媒体が無いかを調べる

 

 

 

結果として発動媒体となりえそうな不審物は見つからなかった

 

「大変失礼致しました、姫殿下。しかしこちらも、主人を守る為には万全を期する必要があるので」

「本っ当に申し訳ありませんでした姫殿下!!この使い魔が…!」

「もう過ぎたことですし、いいですわ。ルイズ・フランソワーズ。それにその堅苦しい行儀はやめてちょうだい?わたくし達はおともだちじゃないの」

 

ルイズが顔を真っ赤にして俺を睨みつけるが、それを王女が取り成し話を変える

二人が思い出話に花を咲かせている間に俺たちは雑談をする

 

「それにしても、ルイズがお姫様と知り合いだったとはねえ…。いや公爵家だから繋がりはあるんだろうけどさ」

「わたしもビックリしたよ。お姫様なんて始めて会ったもん!」

「公爵家だからって誰でも姫殿下に会えるわけではないわよ?マチルダ」

「わたしも姉さんも、数えるほどしか会ったことは無いわね」

「『おともだち』って言ってるからね。エレン、姫殿下とルイズの幼少期ってどんなのだったの?」

 

そう尋ねるとエレンは渋い顔を、カトレアは笑いを堪えているような表情になった

エレンは重苦しい表情で口を開く

 

「…一度、私とカトレアも姫殿下と一緒にお菓子を食べたことがあるわ。その時にね…」

「…ルイズは、一体何をしたんだい…?」

 

その表情から皆は聞いてはいけないような事だったか、と背筋を冷たくする

しかし次に口から出た言葉は予想外にも程があった

 

「ルイズと姫殿下が、そのときに出たクリーム菓子を取り合ってね。掴み合いの大喧嘩になったの」

「あの時は面白かったわね。姉さん?」

「面白くないわよ…。姫殿下が泣き出したときには背筋が凍る思いだったわ」

 

予想外過ぎるアクティブな幼少期に、俺とアルビオン姉妹は大口を開けて絶句する

それを面白がる、幼少期カトレアも恐ろしいといえば恐ろしいが―――

 

 

 

―――にっこりと微笑みながらこちらを見ている彼女が怖いので、この話は止めよう

 

 

 

「ええ、そんな事もありましたわ。あの頃は毎日がとても楽しかったわ。何にも悩みなんか無くって…」

 

深い憂いを含みながら、殿下は溜息を吐いた

 

「…姫様?」

 

様子がおかしいと殿下の顔をルイズが覗き込む

 

「あなたがとても羨ましいわ。自由って素敵ね。ルイズ・フランソワーズ」

「何を仰います。あなたはお姫様じゃない」

「王国に生まれた姫なんて籠に飼われた鳥も同然。飼い主の機嫌一つであっちに行ったり、こっちに行ったり…」

 

殿下は窓の外の月を眺めながら寂しそうに言った

それからにっこりと微笑みながらルイズに告げる

 

「結婚するのよ。わたくし」

「…おめでとうございます」

「あら、それはおめでとうございます殿下♪」

 

ヴァリエールの次女と三女がそれぞれ対照的な声色で応える

長女はというと、『私もですよ』と言わんばかりに俺の腕をしっかと抱いている

エレンに触発されたのか、反対側の腕をマチルダが胸に抱く

 

 

それを見た殿下が目を輝かせる

 

「あら?わたくし、お邪魔だったかしら?」

「いいえ!全っ然そんな事はありません!全く、こいつは使い魔の癖に…」

 

ルイズが俺に向かってグチグチと説教を始める

その内容に殿下が疑問符を浮かべ、ルイズに質問をする

 

「使い魔…ですか?彼が?」

「ええ。私の使い魔です」

 

殿下はきょとんとした顔で俺を見つめる

 

「失礼ながら、何処からどうみても人間ですが…」

「人間ですわ。…ちょっと自信ないけど」

 

ルイズは後半を蚊のなく様な声で呟く

失礼な。俺はれっきとした人間だぞ

でも少し、落ち込むなぁ…

 

 

俺が部屋の隅で体育座りをしてどよ〜んとした雰囲気を醸す

慌てた様子のテファが近づいてきて、俺の頭を優しく撫でる

 

「大丈夫だよハヤテ。ルイズも本気であんな事を言ったわけじゃないよ〜」

 

テファのぽわぽわしたオーラに当てられ、思わず少し涙ぐむ

その涙にまたテファが俺を撫で、俺が泣くという悪循環(?)

数分続けていると、ルイズと殿下の話の雰囲気がピリピリとした物に変わった

 

「…ルイズ・フランソワーズ。今から話すことは、誰にも話してはいけません」

 

重苦しい表情の殿下が告げる

暗に、人払いをして欲しいと言っているのだろう

 

「では、私たちは外に」

「いえ、メイジにとって使い魔は一心同体。席を外す理由がありません」

 

ですが…と殿下がヴァリエール姉妹とアルビオンの姉妹に目を向ける

メイジと使い魔は一体だが、彼女らはそうではない、という事だ

 

「彼女らは私の婚約者です。婚約者同士も一心同体ではないのですか?」

 

『婚約者』という言葉に殿下が綺麗な顔を歪める

結婚に関する、もしくは連想させる言葉はタブーのようだ

 

 

 

 

結果として、殿下はその事には一切触れず話を続けた

 

 

 

 

殿下の話を纏めると、結婚の妨げになる手紙をレコン・キスタに取られる前に、アルビオンの皇太子から受け取って来て欲しいということだった

 

 

そう今現在『戦争状態』のアルビオンから、だ

ふざけている

話を聞き終わって真っ先に浮かんだのがその言葉だった

 

結婚の妨げになる物を取ってきて欲しいというのは、まあ良いだろう

このゲルマニアとの婚姻が成立しなければ、アルビオン王家を落としたレコン・キスタが攻めてくるのは十中八九、トリステインだ

ゲルマニアは国力が高く、その高さに比例して戦争も強い

婚姻を妨げる理由なんて、あちらからしたら幾らあっても足りない位だ

 

しかし戦争中の他国に、幼馴染を潜入させる神経が分からない

それは間違いなく、部下に命じるべき事柄だ

どう考えても途中で死んでしまう可能性のほうが高い

 

 

 

 

だから言った

言ってしまった

 

 

 

「ふざけないでください」

 

 

 

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約二ヶ月ぶりの投稿です

遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした

高校が夏休みに入ってやっと時間が取れました

これからは出来るだけ早くに投稿できるようにします

 

 

 

ただ成績が酷かったのでパソコンの存在自体が危ういんですよね←

推薦取れっかな…。正直ギリギリなんですよね

一応自分は理系なんですけど、数学と物理が特に…

何かいい勉強法ありませんか?

 

 

 

 

さて、次の投稿をお待ちください

説明
第二十七話です。二ヶ月ぶりの投稿で、大変お待たせいたしました
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コメント
やっぱり公式ですか?でしたら公式をリズムつけて歌うみたいにして覚えますね(咲実)
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ゼロの使い魔 オリ主 NARUTO アンリエッタ 

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