無表情と無邪気と無我夢中9-2
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【無表情と無邪気と無我夢中9-2】

 

 

 

 

 

 

私とフェイトちゃんはタクシーに乗って隣町に。

 

どこ行くの、って聞いたら私の家って答えてくれた。

 

ちなみにユーノ君も念話で呼んで一緒にいてもらっている。

 

ユーノ君のことを話したらフェイトちゃんが出来ればいてほしいって言ったから。

 

よくよく考えたら私の魔法はユーノ君と出会ってから始まったんだし、このデバイス―――レイジングハートも元々ユーノ君のだ。

 

さらに言えばジュエルシードのことをよく知ってるんだ。

 

いいアドバイスはくれるけど、あまり戦力として頼ってなかったからそのこと忘れてた。

 

あれ、私もしかして酷い?

 

 

「着いたよ」

 

 

私達はタクシーを降りる。

 

フェイトちゃんが料金払ってる間私は目の前のマンションを見上げていた。

 

なんかすごい高級そうなマンションなの。

 

よくある団地とかにあるああいうの想像してたからちょっと度肝を抜かれていた。

 

それにあれ、俗に言うセキュリティーロックとかいうやつかな?

 

 

「行くよなのは、ユーノ」

 

「う、うん……」

 

 

放たれる高級感に圧倒されながら私はユーノ君を肩に乗せてフェイトちゃんの後を追う。

 

フェイトちゃんが入り口の横にあるテンキーに番号を押すとロックが外れる音がした。

 

そのまま磨り硝子のドアを引いて私達は中に入る。

 

て、あれ、行き止まり?

 

そこにあるのは大きい硝子の窓と郵便ポストだけの、それだけの空間に見える。

 

だけれど窓の向こうに通路が見えるから、何もないことはないんだろうけど。。

 

フェイトちゃんは郵便ポストの部屋番号の横にある鍵穴に鍵を挿して回す。

 

 

「へ〜、高級マンションの入り口のシステムってこうなってるんだ」

 

「うん。めんどくさい」

 

 

あ、やっぱりめんどくさいんだ。

 

鍵を抜いてから窓の横のテンキーを押していく。

 

随分厳重なの。

 

でもここには今入ってきた入り口以外の、ドアらしいドアが見当たらない。

 

そういえばアリサちゃんやすずかちゃんの家の門は自動で開くシステムになってたっけ。

 

きっとここもそういう、自動で開かれるドアがあるんだろう。

 

あ、きっとこの大きい窓が自動ドアって形で開くんだ。

 

 

 

ピーッ、シュイイイン

 

 

 

と思って窓の前で待ってたら、何かが開く音が横からした。

 

 

「どうしたのなのは?」

 

 

あれ……?

 

さっきまであったただの壁がなくなっていて、その先に通路がある。

 

そしていつのまにか窓の向こうにフェイトちゃんがいてこちらを見ていた。

 

 

「早く入ってきなよ」

 

 

えっと、まさかなの。

 

この大きい窓じゃなくて横の壁の方が自動ドアだったなんて。

 

 

「騙されたッ!!」

 

 

じゃあじゃあじゃあ、この硝子の窓はいったい何なの!?何だったの!!?

 

 

 

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エレベーターでフェイトちゃんの部屋の階へ。

 

騙された感が拭えないまま廊下を進む。

 

すると色々考えてしまう。

 

さっきの前例がある所為でここら並ぶ扉はフェイクで、なんか呪文を唱えると別のドアが出現するとか。

 

 

 

ガチャッ、キィッ

 

 

 

「ここだよ」

 

 

普通にドアを開けたの。

 

……はやてちゃんとあらしちゃんの家でゲームをやりすぎた所為かな。

 

 

「入らないの?」

 

「……お邪魔します」

 

「いらっしゃい!」

 

「にゃあ」

 

 

フェイトちゃんの家にあがるとすぐに一人の女の人と、その人の頭の上に乗っかる一匹の猫が出迎えてくれた。

 

 

「おかえりフェイト。その子がなのはちゃんかい?」

 

「うん―――あ、紹介するね。こっちがアルフ」

 

「よろしく!」

 

「で、アルフの頭に乗っかってるのがリニス」

 

「にゃ〜」

 

「よ、よろしく……」

 

 

私は少しどぎまぎしながら挨拶をした。

 

ていうか、その、アルフさんっていうお姉さんの服装。

 

へそ出しタンクトップにホットパンツって、豊満なボディも相まってセクシーすぎるの危ないの。

 

 

「あ、改めまして高町なのはです。こっちがユーノ君」

 

「ユーノ・スクライアです。よろしく」

 

「うん。ほんじゃ、遠慮せずにあがってあがって」

 

 

 

 

 

 

アルフさんに案内されてリビングに。

 

そこはテーブルとクッション以外に何もなかったため、私は唖然としてしまっていた。

 

あんな高級な外観だったから家の中も豪華だと思ってたんだけど質素過ぎて何も言えない。

 

せめてテレビや時計はあった方が自然だと思うのは私だけ?

 

なんだか自分の思っている常識が疑わしくなってしまっている。

 

 

「それじゃ始めよっか―――お願いリニス」

 

「あれ……フェイトちゃんじゃない!いつの間に変わったの!?ってゆうか何を始めるの?」

 

「フェイトから聞いてませんか?」

 

「急に現れた貴女はいったい誰ですか!?」

 

 

フェイトちゃんは勝手にいきなりアリシアちゃんにチェンジしてるし、後ろを振り向くと見知らぬメイドっぽい女の人が立ってるし。

 

もうさっきから驚きっぱなしで頭とツッコミが追い付いていけてないの。

 

誰かちゃんと一からこんな純粋で無垢ななのはに説明して!

 

 

「た〜す〜け〜て〜、おうかちゃ〜〜ん!」

 

 

 

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私が落ち着いたところで説明開始。

 

なんか今日は説明ばっかなの。

 

 

「申し遅れました。リニスです」

 

「わん!」

 

「こっちの犬がアルフよ」

 

 

???

 

さっきの女性と猫さんと同じ名前なの。

 

 

「え〜とね……」

 

 

リニスさんの説明によるとどうやらさっきの猫さんとこのリニスさんが同一人物。

 

この犬さんとさっきのアルフさんが同一人物みたいです。

 

いるんだ、くぅちゃんみたいなことが出来る人が。

 

しかも同じ家に二人も。

 

 

『フェイトの人格が引っ込んでいる時には私は省エネモードになるから人間体にはなれないんだ』

 

 

アルフさんから念話で説明されます。

 

くぅちゃんも人間体になるとすぐお腹減っちゃうって言ってたなあ。

 

じゃあリニスさんも同じ事なのかな。

 

それでフェイトちゃんが関係しているのはどういうこと?

 

 

「そうです。今はアリシアの人格が表なので私は通常モードになれるのです」

 

「逆を言うと、リニスを通常モードにしたい時は私が表に出ざるを得ないってことね」

 

「なんか聞いたこと無い不思議な使い魔の仕組みだね」

 

『複雑な事情があるんだよ』

 

「……ごめん、使い魔って何?」

 

 

そして使い魔っていう仕組みも教えてもらい―――いや、ユーノ君は使い魔じゃないの!

 

なんか、リニスさんが契約した時はアリシアちゃんが表で、アルフさんが契約した時はフェイトちゃんが表だったせいみたい。

 

だから、表に出ている人格によって通常モードと呼ばれる人間体の姿か省エネモードと呼ばれる動物体が決まるんだね。

 

うん、なんとなくわかったの。

 

わかったのかなぁ私?

 

あれ、じゃあ……

 

 

「ナナちゃんが表の時はどうなるの?」

 

「『ナナ?』」

 

 

なんでリニスさんとアルフさんはキョトンとするの?

 

 

「あ〜、ほら、魔法使う時の……昨日名前決めたみたい」

 

「勝手なことを……」

 

 

リニスさん頭を抱えてるの。

 

どうやらナナちゃんに苦労してそうなの。

 

 

『えっとね、ナナ?の時はまたさらに複雑なんだよ』

 

「何故かはわかりませんが、ナナが表の時は私とアルフは両方とも通常モードで活動出来ます」

 

「今のところ、ナナは私やフェイトがバルディッシュをセットアップしたら強制的に出てくる人格みたいなんだよね」

 

 

そうなんだ。

 

なんかナナちゃんの人格についてはみんなまだちゃんとはわかってない感じがする。

 

アリシアちゃん達のご両親ならわかるのかな。

 

 

「ちなみにご両親はお仕事?」

 

「えっと、お父さんは最初っからいなくて―――」

 

 

あ、何か悪いこと聞いちゃったの。

 

 

「お母さんは今海鳴大学病院で入院中」

 

 

そういえばフェイトちゃんがそんなこと言ってたの。

 

じゃあナナちゃんについて詳しく聞くのはあとにしよう。

 

 

「そんなことより、始めるよなのは!」

 

「だから何を!?」

 

 

 

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なにが始まるのかと思ったら、リニスさんによる魔力講座だったの。

 

ある程度ユーノ君から教わってるし大丈夫だからって言ったんだけど。

 

でもリニスさんは。

 

 

「魔法に出会ってインテリジェントデバイスを使って一週間でジュエルシードモンスターと戦って勝つ。どう考えても基礎的な魔力について知らないと思うので」

 

 

魔導師として本来必要だから教えます、と。

 

確かに最初から無我夢中でレイジングハートをセットアップして、言われるままに魔法を行使して戦って。

 

 

『マスター』

 

 

レイジングハートが発言します。

 

 

『マスターには才能があります。魔力制御は私に任せていただければマスターは戦闘に集中して―――』

 

 

レイジングハートが喋っている中、リニスさんはアリシアちゃんにアイコンタクトを送ったのが見えた。

 

何だろう、リニスさんの表情が訝しげなのがすごく気になった。

 

むんず!

 

 

『what!?』

 

「そおい!」

 

 

れ、レイジングハートぉ!!

 

投げた!

 

アリシアちゃんがレイジングハートを投げた!

 

カコンカコンってどっかにぶつかる音が響く。

 

 

「さ、魔力講座を始めますか」

 

「え、ちょっ、え!?」

 

「ああいうインテリジェントデバイスってのは高性能で楽なんだけど厄介っちゃ厄介だから。今は邪魔だから退散してもらいました」

 

「理由は後で説明します―――まずは魔力とは何か、からです」

 

 

レイジングハートにした酷いことをよそに講座が始まったの。

 

なんかモヤモヤするんだけど。

 

 

 

 

 

 

そして講座が進むにあたって、さっきの一連の流れは正しかったことに気が付いた。

 

 

「つまり、自分の中の魔力の流れを十分に把握してから魔法を行使するのが本来のプロセスってこと?」

 

「そうです。お菓子を作るあなたに合わせて例えると……」

 

「今までは最初っから生地が出来ていて、それを全自動オーブンで焼いていたってことかな」

 

「間違ってないんじゃない?でもよく考えたらさ」

 

「生地の成分や材料もわからず、完成させるのは全自動オーブンだったらそれはあなたが作ったお菓子と胸が張れますか?」

 

 

張れないの。

 

私はただ形だけ作ってスイッチを押すだけ。

 

これのどこに才能があるっていうの?

 

そりゃ形とか作るにはセンスがいるけど、それならお菓子作りじゃなくて美術展とかやればいいの!

 

魔力量が多いってユーノ君は言ってくれたけど、今の例え話に当てはめるとただ焼く前の仕込みあがった生地の量が多いだけ。

 

本当のパティシエは、材料や道具の買い出しから始めるの。

 

だから。

 

 

「リニスさん!早速ご指導のほどよろしくお願いします!!」

 

 

迷いは無かった。

 

お菓子作りに例えられたらパティシエの娘として手を抜くわけには、大事な基礎を疎かにするなんてもってのほかなの!

 

 

「では―――む!?」

 

「なのは、ジュエルシード反応だ!」

 

「アルフ行くよ!」

 

「わん!」

 

「行こユーノ君!」

 

「なのははダメです」

 

 

なんで!?

 

 

「今はアリシアに任せて、あなたは魔力制御を学ぶのです。戦うのはそれから」

 

「そんな〜……」

 

「なのはなら大丈夫よ」

 

「アリシアちゃん……」

 

「きっとすぐに習得できるよ。だから今はガマンね」

 

 

ううう。

 

そう言ってアリシアちゃんはアルフさんと出て行っちゃったの。

 

悔しい。

 

何も出来ないことに。

 

でも今それをガマンして習得しなきゃいけないことを習得しなければならない。

 

そうしないと迷惑かけることになっちゃう。

 

 

「ユーノ。あなたはレイジングハート持って行きなさい」

 

「え?」

 

「なのはが現場に行けない分、データを取るのはあなたの役目でしょう?」

 

 

リニスさん。

 

威圧感がハンパないの。

 

まるでユーノ君が蛇に睨まれた蛙みたいに汗だく(?)なの。

 

いや、これは猫に睨まれたフェレット。

 

あ、ユーノ君固まってる。

 

 

「早く行きなさい!」

 

「は、はいぃぃ!!」

 

 

ユーノ君……情けないの。

 

ただ何気にレイジングハートを首から下げていたのはちゃっかりしているの。

 

 

説明
後編です。
ナナについては追々説明しますし、アリシアとフェイトの状態も話を進めながらその劇中で説明しますのでなにとぞご了承ください。
今回出てきた魔力云々に関しては作者の一つの解釈だったりするのでそちらもご了承(ry
書いてて、高級マンションの一連のくだりは本当に楽しかったですw
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コメント
ユーノが残念な奴に・・・・・・・・・・・・・・・・まぁいいか(匿名希望)
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逆行 無表情と無邪気と無我夢中 リリカルなのは 

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