少年、外史へ落ちる。 第2話 少年と董卓軍の面々 その1
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 注意!

  

 1,この作品の主人公・北郷一刀は原作よりも能力を上方修正させてもらってます。

   チート気味になっても「それがどうした!」の勢い任せで作っていきます。

 2,一刀の身体的&精神的な部分は原作の恋姫シリーズより若干幼くなっております。

 3,基本作者の恋姫シリーズのこうなってくれれば良かったという妄想部分も含まれています。

 4,オリキャラも途中絡めていこうと思っています。

 5,参考資料は恋姫シリーズだけでなく、文庫本にもなている三国志関連の本も取り入れていこう   と思っています

 

ですので、そこら辺のご容赦を。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 少年外史へ落ちる。

  第2話 少年と董卓軍の面々 その1

 

 

 詠(賈駆)と華雄が率いる一団についていくことになった一刀は、荒野を2〜3時間程歩いた後董卓がいる城へと着いた。

 

 一刀

 「ハァハァハァ・・・いつまで歩かすつもりだよ。こっちは森抜けてからも体動かしっぱなしの歩きっぱなしだぞ。しかも、ロクに睡眠も取れてない・・・眠くてかなり限界なんだけど。」

 

 詠

 「もうすぐよ。あそこに城門がみえるでしょ。 入ったら女中に部屋へ案内させるからもうしばらく我慢しなさい。 男でしょ?」

 

 一刀

 「・・・ハァ、わかったよ。」

 

 そう言って聞き分けよく詠の言葉に従う一刀。

 城門へ入り、華雄は率いていた兵を解散させるために指示を送り、詠も衛兵に何かを伝えようとしており、一刀はこれでゆっくり休めるものだと気を緩めて壁際に背を当ててズルズルと座り込んでいこうといているところへ

 

 ???

 「詠ちゃ〜〜〜ん〜〜〜!!!」

 

 か細い声をめい一杯振り絞り叫びながらこちらへ走ってくる少女がいた。

 

 詠

 「月!?」

 

 月と呼ばれた少女は走った勢いのまま詠にしがみついた。

 

 月

 「詠ちゃん大丈夫!?危ないことなかった!?どこも怪我してない!?何ともなかった!?」

 

 詠

 「大丈夫よ、月落ち着いて。別に襲われたり危ないことは何もなかったわ。怪我もしてないわよ。だから大丈夫。 それに、あれだけの兵隊を連れて華雄まで側にいたんだもの平気よ。」

 

 詠の言葉を聞いてからなのか、少女は「はっ!」と気づいたように

 

 月

 「あっ!そうだ、華雄さんは!?見当たらないけど、・・・まさか、怪我でもしてるの!?今どこにいるの!?ねぇ、詠ちゃん!」

 

 詠

 「大丈夫よ。落ち着いて。華雄も怪我なんかしてないから。今、兵たちを解散させているところだから。 もちろん連れて行った兵たちも誰一人ケガなんがしていないわ。 もうすぐ、華雄もこっちに顔を出すはずだから。」

 

 華雄

 「詠、兵たちを解散させたのでそろそろ月様のところに・・・、」

 

 そこへタイミングよく現れた華雄が詠に提案してきたとこで、少女の姿を見て

 

 華雄

 「月様!?」

 

 と、背筋を正して一礼をした。

 

 華雄

 「ただいま戻りましてございます!」

 

 華雄のそばへ少女が歩み寄ると

 

 月

 「華雄さん、私の無理を聞いてもらってありがとうございます! お体はなんともないですか!?」

 

 華雄

 「礼を言われるようなことは何もありません。これは常日頃から申していることですが、月様は私の主なのですから、命じて頂ければ如何なる命でも従う所存でございます。詠の護衛を無事果たしてまいりました。 私の体もこの通りなんともございません。 ご心配いただきありがとうございます。」

 

 華雄は自分がなんともないのを見せるかのように両腕を広げて落ち着いた声音で少女にかたりかけた。 少女もその様子や口調から安心したのか、

 

 月

 「そうですか。それなら良かったです。」

 

 と、笑顔で答えた。

 

 詠

 「それでね、月」

 

 少女が安心したのを見計らって、詠が少女に話しかける。

 

 月

 「何?詠ちゃん?」

 

 詠

 「月が見たって言ってた流星のことなんだけどね、その辺に行ってみたんだけど・・・」

 

 月

 「どうだったの? やっぱり私の早とちりだったのかな?」

 

 少女はなにか申し訳なさそうな顔つきで詠に尋ねた。

 

 詠

 「いえ、見間違いじゃなかったわ。 それらしい人物には出会ったわよ。」

 

 月

 「えっ! それじゃあ、本当に天の御使い様が!?」

 

 嬉しそうな表情で驚きを見せた少女の横で、華雄が

 

 華雄

 「おい!詠! 本気でアイツを月様に会わせる気か!?」

 

 あの時の考えは変わっていないらしく、一刀を少女に会わせることに反対意見を述べる。

 

 詠

 「・・・声が大きいわね。ここじゃ人目も多いから場所を移しましょ。 月、広間に行くからそこで話をしましょ。 そこでアイツにも会わせるわ。それで、いいでしょ?」

 

 月

 「うん。それでいいよ。 で、その御使い様はどこにいるの?」

 

 詠

 「さっきまでそこら辺に居たはずなんだけど・・・・・・あ、」

 

 詠たちが辺りを見渡してみると、壁際に座り込んで寝入ってしまっている一刀を見つける。

 

 一刀

 「すぅ〜・・・すぅ〜・・・」

 

 詠

 「ちょっと、アンタこんなところで寝てんじゃないわよ。ほら、起きなさい。」

 

 詠が一刀に近寄って声をかけながら身体を揺さぶる。

 

 一刀

 「うぅ〜ん゛・・・  すぅ〜・・・」

 

 詠がいくら声をかけても身体を揺さぶっても、一刀はむずがるだけで一向に起きようとする気配が全く見えない。

 

 詠

 「まったく、よく分かりもしない所で良くまぁこれだけ眠りこけれるものね。」

 

 月

 「詠ちゃん、この人がそうなの?」

 

 少女は、詠の横から一刀の顔を覗き込むようにして見ながら詠に聞く。

 

 詠

 「まだ、そうだと断定出来たわけではないけれど・・・。」

 

 華雄

 「叩き起せば済む話なのではないのか?」

 

 後ろからそう言って、華雄は一刀を掴もうとすると

 

 月

 「いいですよ、華雄さん。 その人それだけ眠りが深いんですから、きっとすごく疲れているんだと思います。 挨拶とか質問は明日にもできますから。」

 

 と、華雄の行動を止めるよう言うと

 

 月

 「詠ちゃん、この人にどこか横になれるような部屋を用意してあげて。」

 

 詠に一刀の部屋を用意するよう頼んだ。

 

 詠

 「わかったわ。 ・・・そこのあなた!」

 

 詠は月に言われると、直ぐに近くを通りかかった女中に空き部屋を用意して、一刀が寝られるように指示を出した。

 

 華雄

 「部屋へは私が運びます。 それでは月様お休みなさいませ。」

 

 そう言うと、華雄は一刀をおぶり、少女に挨拶と一礼をした後に用意が出来た女中の後につきながらその場を離れた。

 

 詠

 「月も今日はもう遅いから、早く休んだほうがいいわ。 明日も朝議があるんだから。」

 

 月

 「うん。 じゃあ、また明日ね。 お休み詠ちゃん。」

 

 詠

 「うん。 お休みなさい、月。」

 

 そう言って二人も自室へ向かい就寝するのであった。

 

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 翌朝

 

  チュンチュン・・・チュンチュン・・・バサバサ

 

 一刀

 「・・・う〜ん? 朝か? ふぁ〜〜〜〜っ、何か体が重いなぁ〜。」

 

 窓から日差しが少しばかり差込み、その光で目が覚めたのか

 一刀は身体を起こし、寝ぼけ眼を手で擦りながら寝台から起き上がると周りを見渡して

 

 一刀

 「やっぱり、夢じゃないんだよな。 はぁ、何でこんなことになっちまってるんだ?」

 

 現状を大まかに把握しながら片手で頭を掻き毟りながら愚痴る。その時にもう片方の手が自分の腰に刺さっている刀に目をやる。

 

 一刀

 「十字天光もしっかり腰にあるし、やっぱ現実かぁ〜・・・となると夜のアレも俺がやったんだよな。 ホントもう絶対ないと思ってたんだけどな。 ハァ〜よりにもよってこの刀で斬っちまうとは。」

 

 落胆の表情と仕草を一瞬出すと、それらを振り切るようにして

 

 一刀

 「ウン! あんま悩んでも仕方ないし、時間旅行に来たと思えば気持ちも軽く・・・なりはしないけど時代が時代だけに・・・でも、そう思って何とかなる様にしよう! まずは、」

 

 と扉を開け表へ出る

 

 一刀

 「いつもどおりの早朝訓練開始! おぉ〜!」

 

 そう言って一刀は広場を見つけてそこで準備体操をし始めた。

 

 一刀

 「ランニングはできそうにないから、その分シャドーとか増やせば問題ないな。」

 

 準備体操が終わると、初めに筋トレ、次に格闘技の型を10回こなしシャドーを3分5セットこなしてから、剣道の素振りを100回、居合の型を10回こなした。

 

 一刀

 「はぁはぁ・・・流石に一人で練習するとなると不安になるな。いつもだと、爺ちゃんがアレコレ指摘してくれるから身が締まるし、回数も倍近く感じるけど、一人だと不安だな。」

 

 自分の練習内容に不安を感じながら一人愚痴ていると

 

 

         パチパチパチパチパチパチパチパチ

 

 

 一人、胸にサラシを巻いて背に羽織りをはおっており、袴を履いた女性がこちらに拍手をしながら歩み寄ってくる。

 

 ???

 「いやぁ〜兄ちゃんうまいもんやなぁ〜。 なんか久々にえぇモン見させてもろうたわぁ!」

 

 満面の笑みを見せながら女性は一刀の側までやって来る。

 一刀は少し訝しい顔をしながら女性の顔を見る。

 

 一刀

 「・・・ありがとうございます。 えぇと・・・どちら様?」

 

 ???

 「うん? ウチ? アンタ、ウチの事知らんの?」

 

 一刀

 「えぇ〜はい。 昨日ここに来たばかりなんで、全然知らないんです。人の名前とか、場所とか・・・」

 

 ???

 「ふ〜んそうなんや、・・・あぁ!アンタ昨日、華雄と賈駆っちが連れてきたっちゅう男かいな!?」

 

 一刀

 「はい。そうです。」

 

 ???

 「そうかぁ〜、まぁそれやったら知らんのも無理あらへんかな。 ウチの名前は張遼って言うねん。 よろしゅうな!」

 

 一刀

 (また、歴史人物? しかも『三国志』の? ってことは)

 「あの〜、もしかして張遼さんって字は文遠さんですか?」

 

 張遼

 「!、なんやアンタ、ウチの字なんで知ってるん!? やっぱり知ってるんやないか。」

 

 一刀

 「いや、そんなに知ってるってほどじゃあないんですけど・・・。 馬を扱わせたら大陸で1、2を争う実力者っていうのを耳にしたことがありまして。」

 

 張遼

 「アハハハハ! そんな褒めても何も出てけぇへんで!」

 

 笑いながら張遼は一刀の背をバシバシと軽く叩きながら笑ってそう言う。

 

 張遼

 「ほんで、アンタの名前はなんて言うん? ウチの名前教えてんから教えてくれてもえぇやろ?」

 

 ひとしきり笑ったあと、張遼は一刀に尋ねる。

 

 一刀

 「あっ、はい。 俺、あ、いや、僕の名前は北郷一刀って言います。」

 

 一刀は自分の名前を言いながら軽く会釈をした。

 

 張遼

 「北・郷・一刀? なんかエライ変わった名前やなぁ〜。」

 

 一刀

 「あぁ〜、多分張遼さんも勘違いしてると思うんですけど・・・」

 

 張遼が一刀の名前に違和感みたいなのを感じているのに対し、一刀が説明する。

 

 張遼

 「ん? 勘違い?」

 

 一刀

 「はい。 僕の名前、姓が北郷で名が一刀なんです。 この国?っていうか大陸の字にあたる部分の名前が僕にはないんですよ。 ついでに言うと、真名も無いです。」

 

 張遼

 「エェ〜〜!!!! なんやそれ!それホンマかいな!? 字も真名も無いって・・・こんなん聞くんアレやけど、アンタ捨て子やったん?」

 

 一刀

 「違いますよ。 昨日、賈駆にも同じこと言われたけど、捨てられてなんていませんよ。 ただ単に生まれたところでは、そういう風習みたいなのがなかっただけです。」

 

 張遼

 「ふぅ〜ん、そうなんや。 エライ変わったところやねんなアンタがおったところって。」

 

 張遼は何やら不思議そうな顔をしながらそう言った。

 

 張遼

 「それはそうと、さっきのアレ。 エライ綺麗やったなぁ〜。 その剣でやってたやつ。あと、なんか素手で構えながらやってたアレも、見てたらホンマに相手と組み合ってるみたいでめっちゃかっこよかったで!」

 

 話は変わって、張遼は先ほどの一刀の鍛錬を褒めるようにまた感心したように話す。

 

 一刀

 「あ、ありがとうございます。 でも実際自分できちんと出来ているか不安だったんです。 いつもは鍛錬の相手がちゃんといましたから。 一人で鍛錬する事なんてあまりなかったですから。」

 

 張遼

 「そうなん? 結構様になってたで!」

 

 一刀

 「そうですか? それなら良かったんですけど。」

 

 と、素直に喜ぶ一刀。

 

 張遼

 「でもなぁ、綺麗は綺麗やったんやけど・・・」

 

 一刀

 「???」

 

 なにか引っかかった物言いをする張遼に不思議そうに見る一刀。

 

 張遼

 「素手のやつはまぁ、使いようはあるんやと思うけど、・・・その刀でやってた最後のやつとかは実際あんま実践向きとちゃうんと違う? その剣かて、受けたらすぐにポキッと折れてしまいそうやんか。」

 

 張遼は一刀の腰に刺さっている十字天光を指差してそう言った。

 一刀は苦笑しながら

 

 一刀

 「まともに受けるような事になったら、有り得ない事じゃないかもしれないですけど・・・そんなことになるようなこと、まずありませんよ?」

 

 張遼

 「まぁ、町のチンピラやあんたのさっきの鍛錬の様子からしてそこらへんの一般兵でも悠々と勝てるかもしれんけど、ウチや華雄なんかが相手んなるとあっさり勝負ついてまうで?」

 

 一刀

 「ウ〜〜ン・・・・・・」

 

 張遼の言葉に納得いかないところがある一刀は少し悩んだような仕草をすると

 

 一刀

 「・・・張遼さん。」

 

 張遼

 「何や?」

 

 一刀

 「1度手合わせできますか? 僕、未熟なんで口で説明できない部分あるので見ていただければ、僕が言おうとしていることが伝わると思うんです。 あっ、勿論お互い模擬刀でお願いします。」

 

 張遼

 「くくくっ・・・なんや自分、結構負けず嫌いっちゅうか・・自信過剰なところある?」

 

 少し可笑しかったのか、張遼は笑いながら一刀に尋ねる。

 

 一刀

 「まぁ、片意地張って自分が一番みたいな強がりはないですけど、一応これでも男ですし信じてやってきたものをああいうふうに言われるのはちょっと・・・。この刀だって結構自慢の逸品でもありますし・・・いいですか?」

 

 張遼

 「ウンウン!ええよ! ほな、訓練場に行こか。 あそこやったらかなり広いし模擬刀もあるさかいにな。」

 

 張遼はご機嫌な様子で一刀を伴って、城内にある訓練場へと向かった。

 

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 屋外にある訓練場は張遼が言っていたようにかなり広いもので、一度に百単位の人数がそこに入る広さを有していた。実際、今行われている兵士たちの鍛錬の様子から見ても100人は優に超えているものと思われる。 壁際には各種様々な模擬刀が立て掛けており、奥には弓の稽古をするための的も設置されていた。

 

 一刀

 「へぇ〜、かなり広い訓練場なんですね。」

 

 張遼

 「さよかぁ? まぁ、何部隊か合同で鍛錬することもたまにあるから、必然的にある程度広さが必要になるんや。」

 

 二人はそう会話しながら訓練場に入って行く。 

 張遼の姿を見て取れた兵士たちは一斉にこちらへ向き胸に手をあて敬礼の姿勢を取った。

 

 張遼

 「おはようさん! 今日もしっかり鍛錬しぃやぁ!」

 

 兵士たち

 「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」

 

 兵士たちは張遼の挨拶が終わった後また先ほどと同じように鍛錬を開始した。

 

 一刀

 (すっごいなぁ〜、初めて軍っていうのを生で見たけど、上下関係がはっきりしていて、これだけの人数がいるのに結構統率が取れるもんなんだな。 やっぱり、歴史に名を残すだけの将軍だからこそなのか?)

 

 一刀は張遼と兵士たちのやり取りを見て感心したように見つめてそう思っていた。

 

 張遼

 「おぅ〜い!何しとんねん! 早う来ぃ〜やぁ〜!」

 

 一刀

 「あっ、はい!」

 

 感心して見ていた一刀を置いて先々進んでいた張遼は模擬試合する場所についており、そこから大声をあげて一刀を呼んでいた。

 一刀も急いで張遼がいるところへ走って駆け寄っていった。

 

 一刀

 「すみません。 つい見とれてしまいまして。」

 

 張遼

 「まぁ、えぇけどな。 ・・・ちょっとそこえぇか?」

 

 張遼は舞台上で鍛錬をしている兵たちの一人を呼び止めた。

 

 兵士

 「はい、何でしょう将軍?」

 

 張遼

 「悪いけど、ちょっとの間ここ使わしてもらえへんやろか? 終わったらすぐにまた鍛錬始めてもらって構わんさかい。」

 

 兵士

 「はい、構いません。」

 

 張遼

 「堪忍な。」

 

 兵士たちは舞台上のとこから直ぐに立ち退くと、退いた兵士も周りで見ていた兵士も「何事か?」と舞台上の側に寄ってきた。

 

 張遼

 「さて!」

 

 舞台上に登った張遼は振り向きながらそう言うと

 

 張遼

 「アンタ、そこの後ろに立てかけてある模擬刀ひとつ選んで上がって来ぃ!」

 

 一刀が振り向いて壁際を見てみると、そこには訓練場に入ってくる時に見た様々な武器の一部が立て掛けてあった。

 

 張遼

 「どれでも好きなん使うとエェで!」

 

 張遼は何やら笑顔でウキウキしながら声をかける。

 

 一刀

 「はぁ、それじゃ」

 

 と、一刀は目の前にある模擬刀の中の剣を一本を手に取ると感触を取りながら何度か振ると

 

 一刀

 「張遼さん、少し聞きたいことがあるんですけど、」

 

 張遼

 「何や?」

 

 一刀

 「この模擬刀少し形を変えたらダメですか?」

 

 張遼

 「ん? 別に構わへんけど、その模擬刀が気に入らへんのやったら別のでもえぇねんで?」

 

 張遼は一刀の言わんとしていることがいまいちピンと来ない様子でそう答える。

 

 一刀

 「いえ、感触的にはこれが一番だと思うんで。 ただ、僕が欲しそうな模擬刀が無いみたいなんで、これをちょっと改造してみようかと。 それに、張遼さんもこの刀と同じような獲物の形とやり合いたいって言ってませんでしたっけ?」

 

 そう言いながら、一刀は鞘から十字天光を抜いて、持っている模擬刀の形を変えようと構えると

 

 

        サクッ! サクッ! サクッ! スパッ! スパッ!

 

 

 あっという間に模擬刀の形が日本刀と同じ様な形へと変わっていった。

 

 張遼

 (!? 何や!? 今の! 模擬刀が形が変わっていくのに、腕から先が全く見えんかった!?)

 

 張遼

 「オイ!」

 

 兵士

 「はい!」

 

 張遼は舞台下にいる兵士を呼ぶと

 

 張遼

 「偃月刀の模擬刀持って((来|き))ぃ!」

 

 兵士

 「!? はい!ただいま!」

 

 兵士は急ぎ模擬刀の中から1本偃月刀を張遼に渡した。

 周りの兵士からは「うぉ〜!」とか「将軍本気か?」との声があちこちから密やかにではあるが、上がっていた。

 

             シュッ! シュッ!

 

 一刀は変形させた日本刀型の剣を振って再度感触を確かめていた。

 

 一刀

 (うん。 これなら大丈夫かな。)

 「すみません、遅くなりまして。  準備できました。」

 

 一刀はそう言うと舞台場に上がって行き張遼と向き合った。

 

 張遼

 (さっき見たときは軽うみてたけど、こりゃ気持ち切り替えんなアカンかもしれへんな・・・。)

 「おぅ! 準備ええか? ほんなら始めよか。」

 

 偃月刀(模擬刀)を前に横構えにしながら張遼は距離を計りながら一人を見据える。

 一刀も模擬刀を構えながら張遼を見据えていた。

 

 一刀

 「じゃあ、行きますよ!」

 

 そう言うと、一刀は足に力を込めて、めい一杯床を蹴り張遼の方へと飛んでいった。

 

 張遼

 (!? 速い!せやけどっ!)

 「速いだけで、動きが直線過ぎるわっ!」

 

 突っ込んでくる一刀の胴を狙って、下から斜め上に切り上げるように偃月刀を振り上げた。

 終わった。と張遼含め周りで見ていた兵士たちもそう思ったが、張遼の目の前から突然一刀の姿が消えていた。 そして、背中から何やら寒気がした張遼は目線を背に向けてとそこに先程まで前にいた一刀が剣先を張遼に向けて腕を伸ばしているところであった。

 

 張遼

 「っ! 舐めんなぁ!!!」

 

 張遼は体を回転させながら、先ほど切り上げていた偃月刀を

 次はその位置から一刀が突き出してくる剣へと振り払うかのように切り下げた。

 

             カンッ!

 

 振り下げた偃月刀は突き出されていた剣を振り払い横に薙いでいた。

 そのまま反対側へと横にまた薙ぐため両手で柄を握り直しているところへと、一刀は剣を横に払われた体制のまま引かずに、そのまま張遼の懐に潜り込み模擬刀の柄の部分を張遼の鳩尾へと叩き込んだ。

 

 張遼

 「くぅっ!!!かはっ!!!」

 

 前のめりになった張遼へ一刀は手首にスナップを効かせながら模擬刀を持ち直し、屈んで張遼の喉元に模擬刀を付き当てた。

 

 張遼

 「!?」

 

 一刀

 「・・・勝負あり。 で、いいですよね?」

 

 張遼

 「・・・せやな。」

 

 一刀と張遼はお互い姿勢を正して最初のように向き合う形になった。

 二人の試合を見ていた周りの兵士たちからは、

 「おい、将軍が負けたぞ。」「どうなってるんだ、これは?」「あの男の子は何者だ?」と

 また声を沈めて、しかしそれは至る所で上がっていた。

 

 張遼

 「いやぁ〜、参った参った! ウチの完全に負けや!」

 

 本気で悔しがってるのは声から分かるが、その声音とは裏腹に張遼の表情はかなり晴れやかなものであった。

 

 一刀

 「張遼さん、一つ聞いてもいいですか?」

 

 張遼

 「うん?なんや?」

 

 一刀

 「もしかして張遼さん、最初試合する直前まで徒手で僕の相手をしようと思ってませんでした?」

 

 張遼

 「まぁな。 アンタの言うとおり、最初はそれでイケると思ってたんやけど・・・。 試合始める前に模擬刀の形変えてたやろ? あれでウチの心で油断してた部分を修正して獲物使うことにしたんやけど、アンタホンマはかなり強いんちゃうの? 今さっきやったんが実力の全部ちゃうやろ?」

 

 一刀

 「いえ、かなり一杯一杯でしたよ。 回り込んだあとに一突きしたらそれで終わるかと思ってたんですけど、あれを払われてからは無我夢中といいますか、本当にがむしゃらでした。 張遼さんに勝てたのは単に運が良かったんですよ。」

 

一刀は手を前で振りながら、張遼の言うことを否定する。

 

 張遼

 「そこまで言うんやったら、今回はそういう事にしとくけども・・・また今度試合しよや!」

 

 張遼はそう言って一刀に握手を求めるように手を出した。

 

 一刀

 「はい。こちらこそ、よろしくお願いします!」

 

 一刀も張遼の手を握りそう応えた。

 

 張遼

 (可愛い顔して何が運やねん。 またっく・・・せやけど、)

 「なぁ、ウチ、アンタのこと一刀って呼んでもええか?」

 

 少し苦笑まじりの表情を覗かした後、張遼はそう一刀に尋ねた。

 

 一刀

 「え? あぁ、別に構いませんよ。 張遼さんの方が年上でしょうから気にしませんし。」

 

 張遼

 「さよか。 ほんならウチの真名も一刀にあずけるわ!」

 

 一刀

 「えぇええ! ちょ、ちょっと待ってください!」

 

 張遼

 「? なんや、ウチの真名あずけられるんは迷惑か?」

 

 一刀

 「いや、迷惑って事はないんですけど・・・むしろ嬉しい事ではあるんですけど・・・。 確か真名って結構大事で、神聖なものって聞いてますから、それをそんな急にそういうこと言われるとちょっと戸惑うというか・・・。」

 

 かなり焦った様に、戸惑った様に応える一刀。

 周りの兵士たちも、自分たちの将軍がどこぞの知れない男の子にたった一試合しただけで、将軍自身の真名をあずけると言っているのに対しかなり驚いている様子である。

 そんな周りの様子など気にもしてない感じなのか、張遼は笑みを浮かべたまま

 

 張遼

 「ウチがえぇ言うたらえぇねん。 ウチが一刀のこと気に入って、一刀のこと信用できる人物やと判断したから、真名をあずけるっちゅうてんねんから。 一刀はそれに応えてくれたらえぇねん。」

 

 一刀

 「はぁ。 でも、僕は自分の真名がありませんからそれに応えるだけのものが、」

 

 張遼

 「元々無いんやろ? せやったら、しゃあないやん。別にウチは、気にせえへんよ。」

 

 一刀

 「・・・わかりました。 張遼さんの真名あずからせてもらいます。」

 

 張遼

 「ウンウン♪ あ、後なその敬語みたいなんもやめにせぇへん? 何か一刀とはこう、対等に話ししときたいんや。」

 

 一刀

 「まぁ、張遼さんがそれで良いと言うなら・・・。」

 

 張遼

 「良し!決まりや! ウチの真名は((霞|しぇあ))って言うねん。 これからよろしゅう頼むで、一刀!」

 

 一刀

 「はい! よろしくお願いします! 霞さん!」

 

 そう答える一刀に対し、霞はムスっとした顔で一刀の顔に近寄ると

 

 霞

 「敬語。 やめてくれるんとちゃうの?」

 

 一刀

 「あっ、あはははは・・・そうだった、それじゃあよろしく霞!」

 

 霞

 「あぁ! こっちこそよろしゅうな! ・・・あぁ〜それにしても悔しいわぁ〜!!!」

 

 お互い笑顔で握手をしてから、霞は自分の頭を掻きむしりながらそう言った。

 周りの兵士たちは、もうかなり信じられないといった様子でその光景を見ていた。

 将軍自身が真名を呼ぶことを許すだけでなく、話し方もタメ口でいいとなっている。

 「一体あの男の子は何者なんだ?」と声が上がるのは1つや2つではなかった。

 将軍に勝った実力からして、只者ではないことは一目瞭然のことだが、あそこまで気に入られる少年は一体何者なのか疑わない方が無理というものである。

 と、騒いでいるところへ

 

 華雄

 「おい!お前たち何をしている! こんな所でたむろしてさぼって、鍛錬はどうした!」

 

 兵士

 「「「「「「「「「「はっ! すみません将軍! 直ちに戻ります!」」」」」」」」」」」

 

 華雄に一喝入れられた見ていた兵士たちはすぐ様自分たちの鍛錬へと移っていった。

 

 華雄

 「霞! お前もこんなところで何をしている! もうすぐ朝議が始まるぞ!早く支度をしろ!」

 

 舞台下奥の方からそう言って華雄は霞を叫び呼ぶ。

 

 霞

 「あ、もうそんな時間なんか・・・。 わかった!すぐ行くさかい!先に言っといてんかぁ〜!」

 

 華雄

 「遅れるなよ!」

 

 華雄は踵を返し訓練場から去ろうとする。

 

 霧

 「あっ! それと!」

 

 華雄

 「何だ?!」

 

 霞は華雄を呼び止めて振り向かせる。

 

 霞

 「一刀も朝議に参列させるんやろ?!」

 

 一刀

 「!?」

 

 霞はそう言うと隣にいる一刀の肩を寄せて華雄に尋ねる。

 

 華雄

 「それもそうだったな・・・。 ならば!」

 

 霞

 「あぁ、えぇえぇ! ウチが一緒に連れて行くさかい! 先に行っといてんかぁ〜!」

 

 肩を寄せてる方の反対側の手を振りながら霧が言うと

 

 華雄

 「では、月様と詠には私から伝えておくから、遅れるなよ!」

 

 霧

 「わかってるっちゅうねん! 頼んだでぇ!」

 

 そう伝えると霧は一刀に向き直り

 

 霞

 「さて、そんじゃウチらもさっさと汗とか拭いて支度してから朝議に向かおか。」

 

 一刀

 「俺もその朝議に参加しなきゃいけないのか?」

 

 霞

 「まぁな、今日の朝議での議題に多分一刀のことが絶対上がるやろうからな。」

 

 一刀

 「・・・そっか。」

 

 霞

 「えらい緊張してるみたいやけど、何も心配するようなことあらへんで。 多分ちょっとした質問がいくつか月・・あぁ〜董卓のことな、とか詠・・は賈駆からされるだけやと思うからな。」

 

 一刀

 「う〜ん、そういう場に出るから何かしら聞かれることはわかるんだけど・・・。」

 

 霞

 「まぁ、ここで色々考えてたってしゃあないし、とりあえず下降りて準備しようや。」

 

 そう言って、霞は先に舞台上から降り、それに続いて一刀も舞台上から降りていった。

 霞は舞台下の袖で待機していた兵士を見つけ

 

 霞

 「おおきにな。 なんやえらい長い時間使わせてもらったけど。」

 

 兵士

 「いえ、将軍の試合を見れましたので自分たちも良い勉強になりました!」

 

 霞

 「さよか、そんじゃまた鍛錬励むんやで!」

 

 兵士

 「「「「「はっ」」」」」

 

 兵士たちは敬礼してからまた鍛錬を再開しに行った。

 

 霞

 「そんじゃ、行こか。」

 

 それから、一刀と霧は訓練場をあとにして身体を綺麗にしたあと支度をして朝議が行われる間へと向かうのであった。

 

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  どうも皆さんお久しぶりor初めまして。作者のsonronです。

 

 第2話 董卓軍の面々その1 書いてまいりましたが、お気に召しましたでしょうか?

 

 作者としては文才の力が無い中一杯一杯で書いたのですが、書いてる途中で気にしていたのが、情景描写と霞の関西弁、それから月の言葉遣いですね。

 

 霞の関西弁は、私自身関西出身なものですから特に気を遣いながら書いていたのですが、

情けない事に霞のキャラを活かしつつ関西弁を上手く表現できているか不安な部分もあります。

 

 不安といえば月ですね、月のか弱い他人に気を配る言葉を使わす時におもったのが、これから桃香が出てきた時どう区別させればいいのか悩みの種の一つとなりました。その点をいえば、霞と今後出てくる真桜も関西弁という似たところがあるんですけどね・・・・・・。 まぁ、何とか頑張ってやりきってみせます!

 

 あと、最初の注意書きでも書かせていただきましたが、本作の一刀は原作よりも若干幼くしてあります。 年齢的に2〜4歳ぐらい下にしようと考えておりまして、はっきりとした年齢は出さないつもりです。 ついでに言えば、その他の恋姫キャラ&今後出てくるであろう三国志オリキャラもそういった形で出していこうと思っています。

 

 

 最後となりましたが、前話含め本作を読んでくれました皆さま。またコメントしてくださった皆さま大変ありがとうございます。 これからも皆様のくださったコメントを励みとし、頑張って作品を作り上げていこうと思います。 これからも応援よろしくお願いします。

説明
第2話目です
精一杯書いたけれども、まだまだだな・・・・
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コメント
次回を楽しみにしています。(劉邦柾棟)
誤字の指摘ありがとうございます! 訂正させていただきました。(sonron)
霧じゃなくて霞のはずなんですけど・・・・「きり」のほうではなく「かすみ」のほうです。一応誤字になるのかな?(匿名希望)
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恋姫†無双 北郷一刀   華雄  董卓軍 

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