北郷外史伝  歌姫邂逅
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  漢陽郡 

 

 地和「ちょっと人和!洛陽から遠ざかってどうするのよ!」

 

 人和「ちぃ姉さん、今洛陽よりも天水のほうが一番名前を売るにはもってこいなのよ」

 

 地和「洛陽は都よ?それ以上の宣伝があるっていうの?」

 

 天和「も〜喧嘩はだめだよ〜。ね〜人和ちゃん、私も洛陽のほうがいいと思うんだけど?」

 

 人和「天和姉さんまで・・・・とにかく天水に向かうわ。護衛も最小、精鋭で。ここまで少数なら私たちはただの旅芸人、護衛にも黄巾は使わないよう通達したから。」

 

 そうして人和は二人から離れ自分のふぁんの所に向かう。このふぁんという言葉は人和が応援者じゃ長いと言って同等の意味の言葉として二人に教えたものだった。

 

 地和「ねえ姉さん。人和ちょっとおかしくない?」

 

 天和「だね〜、何か思いつめてるって言うか・・・・」

 

 地和「・・・・ねえ、二人で洛陽に向かうってどうかな?」

 

 天和「人和ちゃんを置いてくの?」

 

 地和「洛陽でうまくいけば人和も観念して来るって!」

 

 天和「う〜んそれじゃ今夜・・・・」

 

 そんな相談していた二人とは別に人和は・・・・

 

 人和(このままだと姉さんたちは華琳様の所に行ってしまう。でもそこには一刀さんは居ない・・・なんとか天水まで行って一刀さんに会えれば二人は必ず一刀さんを気に入る。何とか・・・・・)

 

 ???「張梁さま」

 

 人和「・・・何儀」

 

 何儀「どうしたの?」

 

 人和「うん、姉さんたちがね・・・・・うぅん、やっぱりなんでもない。頼みたい事があるの・・・・いい?」

 

 何儀「張梁様の御為なら」

 

 人和「天水城主北郷一刀に黄巾党首魁張角が妹張梁が降る事を伝えて。」

 

 何儀「な!なぜです!」

 

 人和「しっ!二人には勘付かれたくない。聞いて、このままだと私たちは漢王朝に逆らった罪人として裁かれる。でも北郷一刀なら私たちを何とか助けてくれる、確実に。私たちは歌で天下を取りたかった。でもそう思わない人たちや私たちの行動に便乗した賊が増えてしまった。あなただって分かるはず。このまま洛陽を目指してもきっといい事は何もない・・・・私は、一刀さんの所に行きたいの・・・」

 

 何儀「お知り合い・・・・ですか?」

 

 人和「ふふふ・・・そうね。思い人・・・・かな?」

 

 何儀「張梁様の?」

 

 人和「向こうは覚えてるか分からないわ。でも一縷の望みに掛けてみたくなった。あの人のいない所に行くよりも、あの人の治める街で小さくてもいい、あの人のそばで歌っていたい・・・・ただ、好きな人への愛の歌を・・・・ふぁんの人達には悪いけど、このままじゃ私の心は・・・・」

 

 何儀「!!・・・・張梁様、これを」

 

 人和「?」

 

 何儀「涙をお拭きください」

 

 そう、泣いていたのだ。ただただ一刀の思いを信頼できる側近に話しただけなのにその胸の思いが涙として出ていたのだ。

 

 何儀「必ずお伝えしますよ。では私は急ぎ天水に向かいます。」

 

 人和「よろしく。」

 

 こうして天和、地和は洛陽に向かう算段をし、人和は一刀のもとに行くことを急ぐのだった。

 

 その日の夜

 

 黄巾兵「張梁様!大変です。張角様、張宝様が居りません。側近の護衛と共に天幕は空でございます!」

 

 人和「な!姉さん・・・・」

 

 黄巾兵「それと天幕にこれが張梁様宛のようです。」

 

 黄巾兵からその竹簡に目を通す

 

 人和「・・・・・」

 

 黄巾兵「あの・・・・」

 

 人和「ふぅ、これより私は天水に向かいます。あなた達はもう故郷に帰ってください。」

 

 黄巾兵「張角様達も天水に?」

 

 人和「いえ、洛陽よ。私は天水に向かい保護してもらいます。もう・・・・姉さんたちなんて知らない・・・・」

 

 黄巾兵「な・・・・・」

 

 人和「・・・・迷惑掛けてごめんね」

 

 黄巾兵「・・・・おひとりでは危険です。我らも付いていきますよ張梁様。」

 

 人和「・・・・・・ありがとう」

 

 こうして3姉妹は袂を分かつ。お互いを大切にしていた姉妹は記憶の有無によりすれ違う。後に敵として邂逅するだろう。人和はそれでも未来を見据えて歩き出した。

 

 人和「みんな、私たちは黄巾党ではなくなる。黄巾を捨てて、天水の北郷軍へと降る。私たちは姉さんと違う道を行くけど・・・・付いて来てくれる?」

 

 黄巾兵達「もちろんです!」

 

 人和「それじゃ、いこう!」

 

 黄巾兵達「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 人和「・・・・夜も遅いから静かにね?」

 

 黄巾兵達「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(ボソ」

 

 人和(一刀さん・・・・・姉さん達と居ない私を受け入れてくれるかな・・・・)

 

 

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 翌日

 

  天水城玉座の間

 

 一刀「えっと、それじゃあ君は黄巾党の首魁の一人張梁の側近なの?」

 

 何儀「はい、張梁様はこちらの太守様なら受け入れてくれると仰ってました。」

 

 一刀「そうか・・・・」

 

 風「お兄さん、おそらく」

 

 桂花「覚えているわね。」

 

 一刀「何儀さん、張梁さんに伝えて。『受け入れ準備は急ぐ。また一緒に頑張ろう』って」

 

 何儀「は、はい!ありがとうございます」

 

 明命「か、一刀様!!」

 

 一刀「どうした!?」

 

 明命「ここより南六里に戦闘のものと思われる砂塵を確認。襲われているのは少人数の旅人、襲っているのは黄巾党と思われます。数は弐百ほど。その襲われている人達は・・・・無理にでも突破しようとしているようなのです。まるでどうしてもこちらに来ようとしているようで・・・・」

 

 一刀(なんだ・・・・・この感じ・・・・・気持ち悪い・・・・嫌な、嫌な予感が・・・)

 

 人和(一刀さん・・・・・)

 

 一刀「!!!!!!」

 

 風、桂花「?」

 

 一刀「北郷隊精鋭二十すぐに出陣準備!!急げ、候成!!」

 

 そう言うと一刀は北郷隊副官候成に出陣指示を出す。

 

 候成「はい、かしこまりました!!」

 

 深月「なんだ?何を急いでいる?」

 

 沙慈「分からん。一刀?」

 

 一刀「悪い!急ぐから失礼するぞ!!何儀、君も一緒に来るんだ!!」

 

 璃々、茉莉「????」

 

 桂花「騒がない!」

 

 風「お兄さんお気を付けて〜」

 

 一刀「すまん!」

 

 凪「隊長!私も行きます!」

 

 一刀「・・・・五十秒で支度しろ」

 

 凪「三十秒で行きます!」

 

 ※秒に関しては将にみっちり一刀達が教えております。

 

 流琉「兄様、私は歓迎会の準備をしていますから必ず無事に連れてきてくださいね。」

 

 一刀「・・・・ああ!!」

 

 そこから十二半刻(この表現でいいのかな?約十分)

 

 一刀「急ぐぞ!全軍出陣!!!」

 

 北郷隊「おおおおおおおおおおおお」

 

 何儀「あのあの、どういう事でしょう」

 

 一刀「聞こえたんだ・・・・・人和の声が・・・・!!」

 

 何儀「!?」

 

 出陣から半刻程、馬が使い物にならなくなるぐらい飛ばしたおかげで六里を一気に詰める事が出来た。

 

 一刀「馬はこの場で休ませろ!三人は世話役で残れ!残りはあのの砂塵に向かって突撃だ!」

 

 北郷隊「おおおおおおお」

 

 

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  戦場

 

 元黄巾兵「張梁様!こちらは持ちません!!」

 

 人和「く・・・・・これが黄巾党の現実・・・・・私たちはこんな獣を野に放ったのね。・・・・きっとこれは報いね・・・・」

 

 元黄巾兵「がぁぁぁぁぁぁ、ちょう、りょう、さま・・・・お、にげ・・・・・」

 

 黄巾兵「へへへ、こりゃ上玉だな。」

 

 人和「あ・・・・・」

 

 人和(・・・・一刀さん・・・・・)

 

 人和「・・・・・い・・・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 一刀側

 

 一刀「!!!・・・・・っっっぅがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、どけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

 

 凪「はぁぁぁ!!!!!!!猛虎蹴撃・乱舞!!!!!!!!!」

 

 凪の気弾が複数に分かれ黄巾党の集団に降り注ぐ

 

 一刀「人和!!!!!」

 

 人和「か、一刀さん!!・・・・・た、助けてぇぇぇぇ!」

 

 そこには衣服を破かれた人和の姿があった。

 

 黄巾兵「な、なんだお前は!!」

 

 一刀「・・・・・・・・・・・・・滅!!!!!!!」

 

 黄巾兵「がぁぁ!」

 

 人和「一刀さん、一刀さん!!」

 

 一刀「人和・・・・無事か?・・・・怪我は?・・・・服だけか?」

 

 人和「はい・・・」

 

 一刀「そうか・・・・」

 

 黄巾兵A「なんだこいつ!!」

 

 黄巾兵B「やっちまえ!!」

 

 黄巾大将「手前等、やっちまえ!!」

 

 そう言うと黄巾兵八十程が問答無用で一刀達に迫る。

 

 凪「隊長!!」

 

 候成「楽進様、近づいてはいけません・・・・今の隊長は・・・・だれにも止められない」

 

 凪「え?」

 

 候成「さあ、これが北郷隊・・・・巷で噂の白龍隊の隊長の実力です」

 

 人和「一刀さん!!」

 

 一刀「大丈夫だよ、人和。」

 

 そう言って一刀は刀を鞘に納める。

 

 黄巾兵C「なんでぇ、こいつ馬鹿か!!」

 

 黄巾兵D「ぶっ殺せぇぇ」

 

 一刀「・・・・・・・・抜刀、天羅・円月!」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・チン

 

 ずがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 

 一刀「ふぅ、一掃完了っと」

 

 そこには一刀達を中心に黄巾兵八十人の人だった残骸が散らばっていた。

 

 凪「すごい・・・・」

 

 候成「私はこれでは驚きません。あの五胡撃退戦を見ていますから。」

 

 凪「噂ではなかったという事ですか。」

 

 候成「はい」

 

 人和「一刀さん、ありがとうございます」

 

 一刀「人和、どうしてこんな所で・・・・天和と地和は?」

 

 人和「私の護衛の兵を残し洛陽に・・・・私は急いで一刀さんの所に行こうと思って強行軍を決行したんです。」

 

 一刀「え!?一緒に行かなかったの?」

 

 人和「だって・・・・一刀さんの事を覚えてるの私だけで・・・・どうにかなりそうだった・・・・太平要術はちぃ姉さんが勝手に使っちゃうし、結局黄巾党結成を阻止できなくて・・・・ぐす」

 

 一刀「・・・・いいの?二人と一緒じゃなくて・・・・」

 

 人和「・・・・はい、一刀さんと一緒がいいです」

 

 凪「隊長、馬が大方回復したようです。」

 

 人和「・・・・・もしかして凪さん?」

 

 凪「お久しぶりです。人和さん」

 

 人和「これって・・・・」

 

 一刀「事情は帰りながらね。帰城する!全軍まずは馬の所に!けが人には手をしっかり貸してやれ!」

 

 北郷隊「応!」

 

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あとがき

 

 羽生なのです。

 

 人和が襲われました。え、最後まで?されるわけがない!

 

 一刀の嫁は一刀以外に体を許さない!

 

 一刀の嫁は一刀の嫁!当然過ぎる!

 

 ということで黄巾党は人和が抜けました。

 

 さて次回は黄巾党本隊との戦いに向けて行きたいと思います

 

 ではではまた次回

 

 

 追記

 

 何という過ちを・・・・張宝⇒張梁修正しました。

説明
羽生なのです

久しぶりに言います。多くは語るまい

では本編どうぞ
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コメント
ほわぁぁぁぁぁ(ボソ で吹いてしまいましたw(rinkai62)
一刀が「・・・・・・・・・滅」って言った時一刀がBASARAの三成化した!!って思った^^;(ジン)
…本当に黄巾党って、真のファンと言えるような側近以外は、張三姉妹の顔すら知らない様な下衆賊ばっかなんだな。張梁が誰なのか気付かず、只の娘としか見なかった事が、その事実を十二分に語ってくれたよ。(クラスター・ジャドウ)
ファンの舵取りをしていた人和がいないと洛陽以前にコンサート一つで押さえが利かなくなって瓦解すると思う(asayake)
きっと天和たちは、洛陽で恋にフルボッコにされて、天水に行けば良かったと後悔するんだろうな。(神木ヒカリ)
人和に手を出そうとした連中は自業自得だな。  そして、天和と地和は姉として失格だな。(劉邦柾棟)
良かったですよ(T^T)(いた)
人和は張梁ですよ(ユーリ)
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恋姫†無双 北郷伝 北郷一刀 

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