もしもブロリーが虫歯になったら
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ブロリー「うぅうぅううおぉおおおおおぉおおおおおおおおおおおおおおぉおお!!!!」

 

ある日の早朝、ブロリーの天を貫かんばかりの大絶叫が

宮殿(ブロリーの自宅)を揺るがした。

 

パラガス「シュワット!(しまった!)」

 

ブロリーの絶叫で目を覚ましたパラガスは慌てて起き上がり、

そばにあった制御装置を手に取るとブロリーの部屋へと急いだ。

 

パラガス「どぅ、どぅした、ブ、ブロリィ!!」

 

ブロリーの部屋のドアを開けて中へ駆け込んだパラガスが見たものは、

ベッドの上で悲鳴を上げながらのた打ち回るブロリーの姿だった。

またしても超サイヤ人の血が騒ぎ出し暴走を始めていると考えたパラガスは

すかさず手にした制御装置をブロリーに向け叫んだ。

 

パラガス「ブロリー!気を高めるなぁ!落ち着けぇ!!」

 

ピロロロロロロ・・・・・

 

ブロリー「おおおおぉおぉおああああああぁぁぁあああああああああああああああ!!!!」

 

制御装置を作動させたハズなのに、ブロリーは気を静める気配が全くない。

それどころか余計平常心を失ってしまったようにも見える。

 

パラガス「あり??・・・まさか、壊れたのかぉお?クソォ!!」

 

タコ科学者の作った装置がまた故障したと思い込んだパラガスは、

 

パラガス「こうなったら!!」

 

果敢にもブロリーの上に圧し掛かり力づくで押さえこもうとする。

 

ブロリー「へぇああ!?はぁあ!!」

 

パラガス「やめろ!ブロリー!!落ち着くんだぁ!!」

 

ジタバタするブロリーを必死で押さえるパラガス。

しかしブロリーの鉄拳が容赦なくパラガスの顔面に飛んでくる。

 

ブロリー「ヘェア!!!」

 

バキッ!!!

 

パラガス「ドォア!!」

 

 

   ☆=

 

 

・・・数時間後、パラガスは満身創痍になりながらも何とかブロリーを落ち着かせる事ができた。

 

パラガス「ブロリー・・・一体、どうしたというんだぁ?」

 

どうやらブロリーが暴れていたのは暴走とは無関係らしい。

では何故こんな朝っぱらから大声を出して悶絶していたのか?

 

ブロリー「親父ぃ・・・は・・・は・・・はが・・・」

 

パラガス「んん?」

 

ブロリー「歯が痛いです・・・」

 

パラガス「エエェ!?」

 

予想外の理由にパラガスは驚きの声を上げる。

 

パラガス「ブロリー、ちょっと口をファア〜♪してみろ。」

 

ブロリー「・・・はい。うぅううおおおおおおおおおおおお」

 

大きく開いたブロリーの口の中を覗きこむパラガス。

 

パラガス「シュワット!これはひどいぃ虫歯だぞぉ!

     このままでは・・・虫歯菌がブロリーの歯を破壊しつくしてしまう!」

 

ブロリー「なにぃ!?な、なんて奴だ・・・」

 

パラガス「ブロリー!どおしてこんなになるまで放っておいたんだぁ!

     歯はちゃんと毎日磨くようにと言っていたハズです!!」

 

ブロリー「だ、だってぇ・・・歯磨きぃー、メンドクサイです・・・」

 

親父に叱られてションボリーなブロリーです・・・

 

パラガス「やれやれ・・・仕方ない!

 

     ブロリー、歯医者に行ってきてしまえー!!(ピロロロロ・・・)」

 

ブロリー「エッ!!?・・・あぁ・・・ぉああ・・・」

 

後ずさるブロリー。あきらかに動揺している。

 

パラガス「ん?ブロリー、どうしたのかな?」

 

ブロリー「お、俺・・・歯医者、恐ぃあぁ!!!」

 

パラガス「エェエー!?なんでェー!?」

 

ブロリー「だぁって歯医者ってグルグル回るドレェる(ドリル)を口につっこんだリー、

     ペンチで歯をひっこヌゥウいたりするんでしょでしょ?」

 

パラガス「そ、そうだ。それが歯の治療というものだからなぁ・・・」

 

ブロリー「そんなのイヤ!だァー!!!!」

 

パラガス「ちょ、おま」

 

ブロリー「俺は歯医者に行く意志を見せぬゥ!!!!」

 

パラガス「ブ、ブロリー!まさか、伝説の超サイヤ人であるお前が、

     歯医者に恐怖を感じるなどと・・・そのような事があろうハズがございません。

     伝説の超サイヤ人なら、虫歯の治療などワケないハズです!!」

 

ブロリー「やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ

     やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ

     やだやだやだやだやだやだ

     

     俺はおとなしく虫歯菌に血祭りに上げられるだけだァ!!」

 

パラガス「うぉお!おぉ!やめろブロリー!ダダこねるなァ!!

     クソォ、どうすればいいんだァ・・・」

 

歯医者に行きたくなくて激しい地団駄を踏むブロリー。

無理矢理にでも連れて行こうとしたらこっちが\デデーン/されそうな勢いだ。

 

困り果てるパラガス・・・しかしやがてある作戦を思いつく。

 

パラガス「あッ!・・・こうなったら!!」

 

ブロリー「もうダメだァ・・・お終いだァ・・・」

 

膝をつき完全にヘタレモードに入ってしまったブロリーにパラガスが声をかけた。

 

パラガス「ブロリー」

 

ブロリー「ん・・・?」

 

パラガス「もし歯医者に行ったら、お前にカワイイ娘や美しい大人のお姉さんを紹介してやるぞぉ!」

 

ブロリー「なにぃ!?マ、マジで?」

 

パラガス「よく見ろ、地獄に行ってもこんなカワイイ娘や

     美しい大人のお姉さんは見られんぞ」

 

話に食いついてきたブロリーに、パラガスは女性の写真の束を見せた。

 

ランチ、ビーデル、18号、マイ、セリパ、ザンギャ、バイオレット大佐、

更には若い頃のブルマやチチまで・・・一体どこで手に入れたのか。

 

ブロリー「ヘアァ!!み、みんな・・・カワイイ!!!」

 

パラガス「フフッ♪だろぉ?歯医者で虫歯を治したら、お前はこいつらと

     いちゃこらファア〜ファア〜あぁ〜う♪出来るというワケだァ!」

 

ブロリー「ハァ・・・ハァ・・・気が高まるぅ、溢れるぅ・・・うぅぅううう・・・

     ううぅぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

 

     ・・・親父ぃ、俺、歯医者行ってきまぁす!」

 

パラガス「ああそうか・・・フフッ♪ ハァーッハッハッハァー!!いいぞぉ!

     その調子だぁ。今のお前のエロパワーで、虫歯をこの世から

     消し去ってしまえー!!(ピロロロロ・・・)」

 

ブロリー「・・・はい。」

 

ブロリーは宮殿から飛び立ち出かけていった。

飛んでゆく息子を見送るとパラガスはニヤリとほくそ笑んだ。

 

パラガス「・・・フッ、娘やお姉さんとあぁ〜う♪などと、その気になっていた

     ブロリーの姿はお笑いだったぜ。

     俺が、そんなコネを持ってるハズがない!・・・だが、かわいそうだが、それでいいぞぉ!

     

     ブロリー、虫歯の恐怖から早く解き放たれるがいい。フフッ♪

     歯医者、ブロリーをお助けください!」

 

嘘がバレたら一人用のポッドごと潰されそのまま投げ捨てられるかもしれないのに・・・

これもパラガスなりの子を思う親心なのである。

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ブロリー「ここか・・・」

 

ブロリーは歯科医院の前までやって来た。しかしいざとなると決意が鈍り、足がすくんでしまう。

 

ブロリー「あぁ・・・ぉああ・・・や、やっぱリー恐いです・・・

     ・・・逃げるんだぁ・・・(恐怖心に)勝てるワケがないYO・・・」

 

腰砕けになるブロリー。しかし頑張って虫歯を治せばカワイイ女の子やお姉さんと

イチャコラできるというパラガスの言葉を思い出し、気持ちを奮い立たせる。

 

ブロリー「・・・だ、だけど、娘ェやお姉さんのためにも・・・・・・

 

     ぐぅ・・・んんん・・・んんんんん・・・!!んうんんんんんんんんん!!!!!

 

     ・・・・・・ブロリー、がんばりまぁす!」

 

意を決して一歩踏み出すブロリー。

 

トランクス「ブロリーさぁぁぁぁん!!やみくもに出かけるのは危険です!

      もっと(良い歯医者の)情報を集めてからでも」

 

ブロリー「と思っていたのか?」

 

ドガァ!!(顎にアッパー)

 

トランクス「グアァ!!」

 

ブロリー「なんなんだぁ、今のはぁ・・・?ま、いっか。

     さぁいくぞぉおおおおおおお!!」

 

ブロリーはとうとう歯科医院の中へ足を踏み入れた。

まずは受付へと向かう。

 

受  付「こんにちは、歯の治療ですか?」

 

ブロリー「は・・・はい・・・」

 

受  付「かしこまりました。保険証はお持ちでしょうか?」

 

ブロリー「保険証ってなんだ・・・?あ!忘れちゃった。無くても大丈夫かぁ?」

 

受  付「えぇ大丈夫ですよ。治療費は全額負担になりますが・・・こちらでの受診は初めてですか?」

 

ブロリー「はい・・・。てか、歯医者に来るのが初めてです・・・」

 

受  付「ではこちらの問診表に記入をお願いします」

 

ブロリー「はい・・・。・・・・・書き終わリーです・・・」

 

受  付「ありがとうございます。では診察のお時間となりましたらお名前をお呼びしますので

     それまであちらの待合室の方でお待ちください」

 

ブロリー「は・・・はい・・・」

 

 

   ☆=

 

 

ブロリー「はぁ・・・あんまリー痛くしないでもらえたらいいなぁ・・・」

 

ため息をつきながらブロリーは重い足を運ぶ。向かう待合室に目をやると・・・

 

ブロリー「んんっ??」

 

待合室に置かれた椅子に腰掛けている見覚えのある姿が二つ。

 

悟  空「よぉ、ブロリー!」

 

べジータ「ブロリー、お前も来やがったのか」

 

なんと悟空(カカロット)とべジータである。

 

ブロリー「カカロット、べジータ。なぁんでお前達ここにいるの?」

 

悟  空「へへへ・・・ちょっとな。オラ虫歯ってモンになっちまってさぁ〜」

 

ブロリー「なにぃ!?」

 

悟  空「ケーキとコーラを食いすぎちまってさぁ、そのまんま寝て起きてみたら

     歯がすげぇ痛くなっちまって・・・おっそろしくてよぉ、ガタガタしちまったぁ」

 

虫歯があるのであろう方の頬を手で押さえながら悟空は呑気そうに話す。

 

べジータ「当たり前だ。そんな事したら虫歯になるに決まっているだろうが!」

 

悟  空「ははは・・・まぁな。んで、チチに今すぐ歯医者ってトコに行けってどやされちまった」

 

ブロリー「そぉか・・・」

 

悟  空「ブロリーこそなんでここに?」

 

ブロリー「俺も虫歯になってしまったのだぁ・・・」

 

悟  空「ホントかぁ!そりゃてぇへんだ!」

 

べジータ「フン!バカが!修行(歯磨き)を怠けるからそうなるんだ!」

 

ブロリー「そういうお前はなんなんだぁ?お前も虫歯なんだロッ?」

 

べジータ「違う!俺は親知らずを抜きに来たんだドー!」

 

ブロリー「親知らずってなんだ・・・?」

 

べジータ「いちいち説明するのも面倒だ。自分で勝手に想像s・・・」

 

拳を握り高く振り上げるブロリー。

 

べジータ「ふぉおお!?わ、わかったから、説明するYO・・・!」

 

 

   ☆=

 

 

ブロリー「なぁるほどっ、狭い所に無理矢リー生えてくるのかぁ・・・それは痛そぉだなぁ・・・」

 

べジータ「だから邪魔でかなわんからここへ来た、そういう事だ。邪魔はさせんぞ」

 

悟  空「いや、誰も邪魔なんてしねぇし」

 

ブロリー「・・・ところでべジータ、お前、歯医者が恐いかぁ?フフフ!」

 

べジータ「フン!なぁにをおかしな事を言っている!俺がこんな事で

     へタレるとでも思っていたのかぁ!」

 

ブロリー「なにぃ!?な・・・なんて奴だ!

     流石はサイヤ人の王子と褒めてやりたいところだぁ!

     ・・・でもホントは恐いんでしょでしょ?」

 

べジータ「ふざけるな!証拠はどこにあるんだ!証拠は!」

 

ブロリー「そもそも親知らずってどうやって抜くんだぁ・・・?」

 

べジータ「・・・まぁいい、教えてやる。普通にやったのでは周りの歯や歯茎が邪魔で抜く事はできん。

     だからまず歯茎をメスで切りその下の骨も削って・・・って、ダニィ!?」

 

ブロリー「お、お、お、恐ろしいです・・・!!」

 

べジータの話に恐怖するブロリー。同時にべジータも顔面蒼白になりその場に崩れおちた。

 

べジータ「殺される・・・俺、殺されるぅ・・・

     もうダメだ、お終いだぁ・・・!に、逃げるんだぁ・・・」

 

親知らずの抜歯手術の様子をリアルに想像してしまったのだろう。

へタレたべジータを見た途端ブロリーは上機嫌になった。

 

ブロリー「ふはっはっはっはっはっ!!!やっぱリー恐いんじゃん!

     所詮、クズはクズなのだぁ・・・」

 

べジータ「ダニィ!?だが、そういう貴様はどうなんだ?え?ブロリーさんよぉ」

 

ブロリー「ヘァア!?・・・なななななななななに言ってんのぉ、

     こここここここ恐いワケないし、お、俺は伝説の超サイヤ人だァー!

     い、いくら痛い治療とて、こここの俺を超える事はででででできぬゥ!!!!」

 

べジータ「・・・(ニヤリッ)恐いんだな?」

 

ブロリー「・・・あぁ・・・ぉああ・・・」

 

図星のブロリーはもうぐうの音も出ない。

 

べジータ「ふふふふ・・・・はぁーはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!

     うぁーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」

 

親知らずの手術に怯える自分を棚に上げて馬鹿笑いするべジータ。

一方のブロリーは恥ずかしさと笑われた怒りで体をぷるぷる震わせる。そして。

 

ブロリー「クズ王子、血祭りに上げてやる」

 

べジータ「ハッ!?  や、やm ほぉお!!?」

 

 

 

ドガッ!!キィーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 

どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおん・・・・・

 

 

 

例の巨大な岩盤に叩き付けれるべジータ。

 

ブロリー「大人しく同情していれば痛い目に遭わずに済んだものをぉ・・・」

 

岩盤送りで少しだけ気が晴れたブロリーがふと足元を見ると・・・

 

ブロリー「んん?なんだぁコレはぁ・・・?」

 

そこには白い小さな物体が転がっていた。よく見るとそれは一本の奥歯だった。

 

べジータ「ま!まさかぁ・・・!これは!!」

 

ズダボロになったべジータはその歯を急いで拾い上げまじまじと見つめた。

そして自分の頬を触ったり、指を口の中につっこんだりして何かを確かめる。やがて言った。

 

べジータ「ま、間違いない!!これは、俺の親知らずだドー!!」

 

ブロリー「なんだとぉ!!?」

 

どうやら先ほどブロリーに岩盤に叩き付けられた時の衝撃によって、親知らずが抜けてしまったようだ。

べジータは再び笑い出した。

 

べジータ「ふふふふ・・・・はぁーはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!

     うぁーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」

 

ブロリー「な、なんて事だぁ・・・!!」

 

まさかの事態に動揺するブロリーにべジータは言い放った。

 

べジータ「棚からぼた餅とはこの事だ・・・。

     ブロリー!今回ばかりは貴様の岩盤に礼を言わせてもらうぜ!

     これで俺は痛い目に遭わずに済んだからな」

 

たった今痛い目に遭っていた気がするが・・・。

親知らずを握り締めると、べジータは正面玄関に向かって歩き出した。

 

ブロリー「ま、まて、どこへ行くんだぁ?」

 

べジータ「もうここにいる理由はない。

     俺は一足先に家に帰ってのんびりさせてもらう。じゃあな!

     せいぜい死なんように頑張れよ・・・。

 

     はぁーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは・・・・・」

 

高笑いを残してそのままべジータは帰ってしまった。

べジータが歯の治療で泣き叫ぶ様を見るのを内心楽しみにしていたブロリーは

自分の行動でそれがオジャンになってしまった事、そして内心では恐怖を分かち合える

仲間と思っていた人間を失った事によって、一気にテンションが下がってしまった。

 

ブロリー「はぁぁぁ・・・・・・・」

 

悟  空「まぁいいじゃねえか。そうガッカリすんなよブロリー」

 

悟空がそう言った直後、受付の女性がやって来た。

 

受  付「べジータさーん、お待たせしました、診察室の方へ・・・

     あれ?あの、べジータさんは?」

 

悟  空「べジータならたった今帰っちまったぞ」

 

受  付「えぇ?!・・・・・・そ、そうですか。で、では孫悟空さん

     診察室の方へ来ていただけますか?」

 

悟  空「え?オラか?へへへ、虫歯の治療ってどんな事すんのかなぁ。オラワクワクすっぞぉ。

     じゃあブロリー、オラちょっくら行ってくる!」

 

ブロリー「あ、はい・・・。ガンバッて・・・」

 

診察室に向かう悟空をブロリーは力無く手を振って見送った。

 

 

   ☆=

 

 

ブロリー「カカロット・・・平気そうだったなぁ・・・すごいなぁ・・・」

 

歯の治療に対して不安どころか好奇心を示す悟空を、

ブロリーは心の中で、認めたくはないが少しだけ尊敬していた。

 

ブロリー「歯医者が恐くないなんてうらやましいです・・・」

 

ふと目を横にやると、そこには本棚があり、色んな雑誌や漫画が置かれていた。

 

ブロリー「何か読むか。気が紛れるといいなぁ・・・俺が読むのはぁ…もちろんジャンプ・・・

 

     と、見せかけてコミックボンボンだァー!ふっ、ふははははははは・・・!」

 

そんな独り言を大きな声でつぶやきながらブロリーは十年以上も昔の古い児童向け漫画雑誌を読み始めた。

 

 

   ☆=

 

 

ブロリー「フフフフ!クロちゃん、ゴエモン、ハンゾー、王ドロボウ、NOA、どれもおもしろおもしろ!

     ヤエちゃん、ヒデリ、マリア・・・ヒロインんんんんん!! みんなカワイイ!!!

     ハァ・・・ハァ・・・気が高まるぅ・・・溢れるぅ・・・・・」

 

いつの間にか歯の痛みや歯医者に対する恐怖も忘れ、ブロリーは夢中で漫画を読んでいた。

 

ブロリー「さてぇ・・・次はコロコロコミックがいいなぁ・・・

     カワイイ!ヒロインんんんんん!!さぁ来い!」

 

ブロリーが棚から別の漫画雑誌を手に取ろうとしたその時。

 

 

悟  空「う、うわああああああああああ!!!い、いやだああああああああああああ!!!!」

 

 

ブロリー「ヘァア!!?・・・カ、カカロットォ!?」

 

突然診察室から悟空の絶叫が!

 

ブロリー「な、なんなんだぁ・・・?今のカカロットの声はぁ・・・?」

 

あきらかに取り乱している悟空の様子を察知し、ブロリーは再び不安と恐怖に襲われた。

あの平気な顔をしていたカカロットがあんな悲鳴を上げるという事は・・・

やはり虫歯の治療とは相当恐ろしい事をされるようだ。

 

ブロリーは恐る恐る診察室の方へ耳をすませてみた。なにやらもめているようだ。

 

 

歯 科 医「おちつけぇ!ただの麻酔でございます!」

 

悟  空「オ、オラ注射はだいっ嫌いなんだぁ!!!!」

 

歯 科 医「心配する事はない、まず歯茎に表面麻酔を塗ってから注射するのだ。

      それによく見ろ、針は極細だから痛いなどと・・・」

 

悟  空「やめろったらやめろぉぉおおおおお!!!は、放せこらぁ!!!!」

 

歯 科 医「うおぉ!や、やめろ暴れるなぁ!!皆で押さえつけろぉー!!」

 

 

どうやら悟空が歯茎にうつ麻酔の注射を嫌がっているらしい。

 

ブロリー「な、なぁんだ・・・麻酔かYO。カカロットめぇ!おどかしやがってぇ!」

 

ブロリーは不機嫌そうに椅子に腰を下ろし再び漫画を手に取った。

しかしその時またしても診察室から大声が。

 

 

衛 生 士「きゃああああああああ!!?」

 

 

今度は悟空の悲鳴ではなかった。一体何が起きたというんだ?

 

ブロリーはもう一度、聞き耳を立てた。

 

 

衛 生 士「い、院長・・・患者さんが、消えちゃいましたよ・・・」

 

歯 科 医「わ、わかっておる・・・。い、一体なんだったんだ今のは・・・」

 

衛 生 士「ど、どうします・・・?」

 

歯 科 医「・・・仕方がない、さっきの患者の事はもう諦めよう。

      どこへ行ってしまったのかわからんが・・・

      まったく今日はなんて日だ・・・いまの患者といい

      勝手に帰ってしまったその前の患者といい・・・

 

      ・・・次の患者を呼んでくれ」

 

衛 生 士「わ、わかりました・・・」

 

 

ブロリー「カ、カカロットォ・・・に、逃げやがったァアーーー!!?」

 

そう。注射されたくないあまり、悟空は瞬間移動でその場から脱走したのである。

 

そして次の患者をという歯科医の言葉。ブロリーは慌てて周りを見回した。

待合室には自分以外は誰もいない。つまり次の患者とは、この後名前を呼ばれるのは・・・

 

 

受  付「ブロリーさーん」

 

ブロリー「アァイ!?!?」

 

 

受  付「お待たせしました、診察室の方へどうぞぉー」

 

 

とうとうその時がきた。虫歯の治療を受ける時が。

 

ブロリー「あぁぁ・・・はああ・・・ハァアア・・・・あぁあああ・・・・・」

 

ブロリーの全身から汗が噴き出した。心臓の鼓動が速くなる。呼吸も荒くなる。

体がガクガク震えだす。しかし、それでも、行かなければならない。

 

ブロリー「よ、よ、よく頑張ったが、とうとう歯を治す時が来たようだな・・・

     カカロット・・・後で覚えてロットォォオオーーー!!!

 

     さ、さぁ来い!!ここが虫歯の死に場所だァー!!!!」

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ブロリーは診察室に足を踏み入れた。不安と緊張の中で、ブロリーは

ある事にひっかかりを感じていた。

 

ブロリー(・・・さっきの歯医者の声ェ、なぁんか聞き覚えがあリーです・・・)

 

考え込むブロリーに、歯科医院の院長が声をかけた。

 

歯 科 医「どうも、ブロリーさんですね。」

 

ブロリー「は、はい・・・。ブロリーです・・・って、ヘァア!!?」

 

院長の顔を見たブロリーは仰天した。

知っている顔だったのだ。

 

ブロリー「・・・お、親父ぃ!?何してんのォ!?!?」

 

歯 科 医「んんっ?なんの事かな?」

 

ブロリー「いやっ、お前は俺の親父ぃ、パラガスだロッ?」

 

院長の顔はなんとブロリーの父親、パラガスと瓜二つだった。

いや、パラガスは片目が潰れているが、このパラガス似の院長は

両目ともにちゃんと開いていた。

 

それ以外は何から何までパラガスにそっくりだ。声まで似ている。

しかしやはり別人であった。

 

歯 科 医「私はパラガスなどではございません。

 

      私は、『アスパラ』でございます」

 

ブロリー「あすぱらぁ・・・?・・・はっ!」

 

その時ブロリーは外で見たこの歯科医院の看板を思い出した。

 

 

                『明日原歯科医院』

 

 

看板にはこう書かれていた。

 

 

明日原・・・・・あすはら・・・・・・あすぱら・・(アスパラ)・・・・・・・・・。

 

 

ブロリー「・・・なぁるほどっ」

 

アスパラ「わかったかな?」

 

ブロリー「はい・・・」

 

ブロリーは心の中で『くだらねぇ』とつぶやいた。

 

アスパラ「さ、そこの椅子にどうぞ?」

 

ブロリー「・・・!!」

 

いよいよ運命の時が近づいてきた。ブロリーは顔をこわばらせながら

ぎこちなく診察椅子の上に腰掛けた。

 

アスパラ「それで、今日はどうしたのかな?」

 

ブロリー「えっと・・・その・・・は・・・歯が痛いです・・・」

 

アスパラ「ああそうか・・・では口をファア〜してッ」

 

ブロリー「はい・・・。うぉおおおおおおおお・・・」

 

大きく開いたブロリーの口の中を覗き、歯を一本ずつチェックしていくアスパラ院長。

 

アスパラ「うむ、問題はこの歯だな。かなり進行してしまってるようだなぁ

     虫歯菌が、その脅威のパワーで暴れまわっております」

 

ブロリー「あ、あの・・・もう抜かなきゃあいけないんですかぁ・・・?」

 

ブロリーが弱々しく尋ねる。

 

アスパラ「ノーノー。まだそこまで酷くはなっていないぞぉ。だが、この進行具合だと

     完治させるにはそれなりの手順を踏まねばならん。それをご教授しよう。

 

     まず歯を削り、中の腐った神経を取り除いた後、中を洗浄、消毒し、

     そこに薬を詰め、その後歯の型を取り、型を元に作らせた銀歯を

     上から被せなければいけない・・・というワケだぁ。これは時間と日数がかかるぞぉ」

 

ブロリー「・・・そ、そうなんだぁ・・・」

 

治療の過程を聞かされたブロリーは気が遠のきそうになった。

 

その日の内に終わると思っていたのにそんなに多くのステップを踏まなければ治らないのか・・・

 

ブロリーは今になって、きちんと歯を磨いてこなかった事を後悔し、

自分自身を八つ裂きにしてやりたい程に心の中で自分を責めた。

 

だが、もう遅い。今となっては後の血祭り・・・いや、後の祭りである。

 

アスパラ「レントゲンでもいかがかな?」

 

ブロリー「いらないです・・・」

 

既にゲンナリーなブロリーです・・・

 

アスパラ「ああそうか・・・それでは治療を開始する!

     まず手始めに、歯を削ったり神経を取る時痛みを感じないように

     虫歯の下の歯茎に麻酔をうつぞぉ」

 

ブロリー(カカロットが逃げたやつかぁ・・・・・んん?待てよ・・・)

 

ブロリーの頭の中である考えが生まれた。あまりにもつまらない考えだった。

 

ブロリー(・・・も、もし俺が麻酔なしで虫歯を治せばぁ・・・フ・・フフ、フフフフ・・・!

 

     カカロットやべジータ達に自慢してまわロットー!!そうしたら・・・

 

     悟  空『ブロリー、おでれぇたぞ。おめぇホント強ぇなぁ』

     べジータ『ブロリー、お前がナンバー1だ!』

     ピッコロ『フン、化け物め!すげぇ・・・』

     トランクス『凄すぎるんです、凄すぎるんですよブロリーは!』

     パラガス『いいぞぉ!流石は私の優秀な息子というワケだァ!!』

     

     フハハハハ!!もっと褒めて!褒めて!!

 

     そしてその後カワイイ娘ェやお姉さんとあぁんな事やこぉんな事してェ・・・

 

     歯も治って一石三鳥だァーーーー!!!!!)

 

ああなんでそうなる。明らかな無茶はしない方が越した事はないだろうに・・・

ここへ来てブロリーのでしゃばリーな面が災いしてしまった。

本当は恐くてたまらないのに・・・

 

ブロリー「あ、アスパラ先生、ま、麻酔・・・なしだァーーー!!!!」

 

アスパラ「エェー!!?いや、それは危険ですぞ。麻酔をうたずに

     歯を削ったり神経を抜いたりしたら、想像を絶する苦痛が・・・」

 

ブロリー「う・・・!」

 

そう言われるとブロリーもためらった。今ならまだ後戻りできる。ここは素直に麻酔をうった方が・・・

 

ブロリー「・・・・・は、はははははは・・・ふははははははははは!!

     お前が麻酔をうたない意志を見せなければ、俺はこの星を破壊しつくすだけだァ!!!!」

 

・・・・・何もかもお終いだァ・・・・・(ブロリーが)

 

アスパラ「・・・わかった、わかった。そこまで言うのなら。もう麻酔はないッ!!」

 

ブロリー「ふふふふふ!!そぉこなくちゃ面白くない!」

 

ブロリー(・・・何が面白くないだァ!!最初から面白くすらない!!

     俺のバカ!バカ!バカ!バカ!バカ!バカ!バカ!バカ!バカ!バカァ!!)

 

『馬鹿は死ななきゃ治らない』・・・この言葉は真実かもしれない。

 

アスパラ「ではさっそく歯を削る。口をファア〜して!」

 

アスパラの手には歯を削るための治療機器『タービン』が握られた。

タービンが起動し、あの独特のイヤ〜な回転音を鳴り響かせる。

 

チュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ〜・・・・・・・・・・

 

ブロリー「!!!!!!」

 

ブロリーの全身が硬直した。耳をつんざくような高い音を鳴らしながら高速回転する小さなドリルが

自分の顔めがけて迫ってくるのだ。それがいよいよ口の中へ突入する。

 

ブロリー「!!!!!!!!!!!!!!」

 

ブロリーの精神はもはや崩壊寸前だった。激しい痛みへの恐怖と絶望で頭の中はグチャグチャになり・・・

そしてタービンの先端がついにブロリーの虫歯の表面に接触しようとしたまさにその時。

 

 

 

プツン。

 

 

 

ブロリーの中でなにかが切れた。

 

 

 

 

 

 

ブロリー「ぅぅぅうううううおおおおおおおあああああああああああああああああああああああああああああ

     ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

     ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

     ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

ブロリーは爆発した。

 

 

全身に溜まっていた恐怖心が巨大な気となって一気に開放された。

 

 

明日原歯科医院は凄まじくまばゆい緑の閃光に一瞬で包み込まれた・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

       \  デ   デ   −   −  −  −  −  ン  ☆  /

 

 

 

 

 

 

-4ページ-

パラガスはブロリーの事が心配になり、様子を見にブロリーの元へ向かっていた。

 

パラガス「あいつ、大丈夫かな・・・恐怖のあまり凶暴化して歯医者を八つ裂きにしてなければいいが・・・

     確か一番近い歯医者は明日原歯科だったなぁ・・・この辺りのハズだが・・・

 

     ・・・って、エェ!!?」

 

そこに歯医者があるハズの場所はまるでビルの解体作業直後かのような瓦礫の山と化していた。

 

パラガス「い、一体・・・はっ!まさか!!」

 

パラガスがブロリーを探そうとした・・・その時、瓦礫の山から何かが飛び出してきて

パラガスをはね飛ばした。

 

バキャッ!!

 

パラガス「あぁう!!?」

 

それは歯医者の恐怖のあまり、伝説の超サイヤ人と化し暴走したブロリーだった。

 

パラガス「ぶぶぶ、ブロリー!!!」

 

ブロリー「歯医者はァ・・・こわィイー・・・歯医者はァ・・・きらィイー・・・・・

     

 

     俺は全ての歯医者を破壊し尽くすだけだぁ!!!!!!」

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・

 

ブロリーが気を開放すると周囲が激しい地響きに見舞われた!!

パラガスは慌てて制御装置を作動させる。

 

パラガス「うぉお!おぉ!ややややめろブロリー!!それ以上気を高めるなぁ!!!

 

     やめろブロリー、落ち着けぇ!!!やめろ!やめるんだぁ!!

 

     やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

パラガスの必死の思いが届いたのか、それとも装置が正常に作用したのか、

ブロリーは徐々に大人しくなっていき、やがて普段どおりのブロリーに戻った。

そしてブロリーはパラガスの存在に気づいた。

 

ブロリー「・・・あ、親父ぃ・・・?いや、アスパラかぁ・・・?」

 

パラガス「何を言ってるんだぁ!?ブロリー!とにかく今はここを離れるぞぉ!!」

 

パラガスはブロリーの手を引き急いでその場から走り去った。

この現場を誰かに見られては色々厄介なことになるからだ。

 

 

   ☆=

 

 

明日原歯科のあった場所からかなり遠く離れた荒野の岩陰に二人は身を隠した。

暴走の制御直後で少し頭がぼんやりしているブロリーは

そこで歯医者での出来事を思い出せる限りの範囲でパラガスに説明してみせた。

 

ブロリー「・・・で、ああゆう事になリーです・・・」

 

パラガス「ああそうか・・・まったく、危機管理能力が無さ過ぎる!」

 

結局歯医者に対する恐怖を克服できず歯医者を破壊しつくしてしまった事に対し、

ブロリーは悲観していた。

 

ブロリー「所詮・・・俺は弱ムシケラのサイヤ人なのだ・・・」

 

パラガス「あぁそうだな」

 

ブロリー「チィ!」

 

バキッ!!!

 

パラガス「あぁ〜う」

 

ブロリー「そこは『そんな事ないぞぉ』とかフォローしロッ!」

 

パラガス「だが、お前はこれからどうするというんだぁ?

     このままでは・・・お前は一生歯痛に苦しむ事になるぞぉ!

     

     それにカワイイ娘や美しい大人のお姉さんとお付き合い

     できなくてもいいのかな?(ま、嘘だがな。)」

 

ブロリー「どぉしよぉ・・・」

 

パラガス「しかし・・・私とそっくリーな歯医者がいたとは・・・

     もしもドッペルゲンガーなら、出会っていたら

     死んでたかもしれない・・・パラガスでございます☆」

 

ブロリー「!!」

 

パラガス「おや?」

 

ブロリー「うぉああああああああ!!」

 

突然虫歯が急激に痛み出し、ブロリーは悶絶しはじめた。

 

パラガス「運命の糸がまたここで絡み合ったか・・・」

 

ブロリー「親父ぃ、冷静に見てないでなんとかしロットォオオーー!!!」

 

パラガス「エェ!?そう言われましても・・・私はアスパラではございません。

     私はパラガスでごz」

 

ドガァ!!

 

パラガス「ああぉ!!」

 

ブロリー「なら、タコ(科学者)連れて来いィ!!あのジジィなら

     虫歯を一瞬で治せる装置とか作れるんだロッ?」

 

パラガス「んん?科学者なら今、俺が特別休暇を与えて帰省させてるぞぉ!」

 

ブロリー「親父ィのバカ!バカ!じゃああ『メディカルマシーン』は?」

 

パラガス「うちには無いッ!てかアレ多分虫歯は治せないぞぉ!」

 

ブロリー「・・・・・死にたくないけどもう死にたいブロリーです・・・」

 

打つ手なしでうなだれるブロリー。歯の痛みもいまだ続いている。

 

パラガス「ブロリー、明日また別の歯医者を探そうではありませんか。

     今日はもう遅い。さぁ、宮殿へ戻るんだ・・・」

 

パラガスはブロリーを連れ帰宅する事にした。仕方なくブロリーも一緒に帰ろうとする。

 

と、その時、ブロリーの脳裏にある情景が浮かびあがった。

それは、歯医者でべジータに笑われた直後の・・・

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ブロリー『クズ王子、血祭りに上げてやる』

 

べジータ『ハッ!?  や、やm ほぉお!!?』

 

 

 

ドガッ!!キィーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 

どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおん・・・・・

 

 

 

ブロリー『大人しく同情していれば痛い目に遭わずに済んだものをぉ・・・』

 

ブロリー『んん?なんだぁコレはぁ・・・?』

 

べジータ『ま!まさかぁ・・・!これは!!』

 

べジータ『ま、間違いない!!これは、俺の親知らずだドー!!』

 

ブロリー『なんだとぉ!!?』

 

べジータ『ふふふふ・・・・はぁーはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!

     うぁーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!』

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ブロリー「・・・・・・・・・・・ハッ!!!」

 

 

 

 

    ( こ   れ   ダ   ア  ァ ァ ァ ァ ァ ?  ?  ?  ? )

 

 

 

何かグッドなアイディアを閃いたらしい・・・。

 

 

ブロリー「親父ぃ・・・」

 

パラガス「ん?」

 

後ろから息子に呼び止められ振り返るパラガス。

見るとブロリーは虫歯のある方の頬を前に突き出すような姿勢で立っている。

 

パラガス「んん?・・・ブロリー、何をしている?」

 

 

 

ブロリー「この俺を思いっきリー殴れぇえええ!!!」

 

 

 

パラガス「エェェエー!!? い、一体・・・どうしたというんだぁ・・・?」

 

ブロリー「いいから殴れぇ!ただしココだけだYO☆」

 

そう言って虫歯のある頬を指差すブロリー。

 

パラガス「ハッ!! まさか・・・!?」

 

ブロリーが何をしようとしているのか、パラガスは感付いたようだ。

 

ブロリー「フフフフ!そぉいう事だァー!!」

 

パラガス「やめろ!!そんな事してもなぁんの意味も無い!

     明日まで、明日までお待ちください!!」

 

ブロリー「できぬゥ!!!!俺は今すぐこの痛みから解放されたいのだ・・・

     だが歯医者は恐いぃーからもう絶対行くのはイヤッ!!

     だから親父ぃのパワーで、虫歯を俺の口から叩き出す!それしかない!

 

     俺が助かる道はもうこれしかないんだアァァー!!!!!!

 

     親父ぃ・・・頼むぅ・・・」

 

パラガス「・・・・・わかった。いいだろう」

 

ブロリー「エ!?マジ!?」

 

パラガスは半分呆れ気味、半分楽しそうに言った。

 

パラガス「こぉんな最低な息子にはなんの未練も無い。ヘッ・・・だが、そんなお前がカワイイぞぉ!」

 

ブロリー「は?意味ワカランっ」

 

パラガス「それでは開始する!ブロリー、位置について!」

 

ブロリー「OK!親父ぃ、頼んだYO☆」

 

虫歯のある頬をパラガスに向けて身構えるブロリー。

 

パラガス「オォ〜イエ〜ス。・・・・ハァー!!」

 

 

ガッ!!!

 

 

パラガス渾身のパンチがブロリーの頬に命中した。

しかし・・・

 

ブロリー「親父ぃ・・・なんなんだぁ今のはぁ・・・?」

 

パラガス「あり??」

 

ブロリー「もっと本気でやれッ」

 

ブロリーの虫歯はビクともしなかったのだ。

 

パラガス「はーッはッはッはァ!!いいぞぉ!その気になった俺だぜッ」

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

  ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

   ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

    ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

     ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ・・・・・・・

 

パラガスはひたすらブロリーの頬を殴り続けた。もちろん全力で。

 

 

パラガス「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ど、どおだぁ?ブロリー」

 

すっかり息切れしたパラガスはブロリーに尋ねる。

 

ブロリー「・・・・・・・・・」

 

パラガス「・・・はぁッ・・・・!!」

 

パラガスを睨みつけるブロリー。

パラガスのパンチはブロリーにとっては痛くもかゆくもない。しかしそれでも

ひたすら殴り続ければその積み重なる衝撃でやがて虫歯は歯茎からポロリと抜け出る・・・・・

 

そうなるハズだった。

 

しかし、ブロリーの虫歯は抜けなかった。ぐらつきすらしなかった。

 

ブロリー「クズがぁ・・・もぉいいです・・・」

 

パラガス「ブロリー!お待ちくだs」

 

ブロリー「うるさいッ!」

 

ガァン!!

 

パラガス「ドォア!!」

 

イライラのあまりパラガスを殴り飛ばすブロリー。

 

ブロリー「俺がやる!!」

 

親父に期待するだけバカだったと、ブロリーは自ら自分を殴る事にしたのだ。

 

ブロリー「デヤァ!!」

 

 

バキィイイイ!!!

 

 

ブロリー「ぐぅうう!!」

 

自らの頬を全力で殴り、よろめくブロリー。しかしなんとそれでも虫歯は抜けない!

 

ブロリー「死にぞこないめぇ・・・!!」

 

またブロリーは自分を殴る。抜けない。また殴る。まだ抜けない。また殴る。またまた・・・・・

そんな無限ループがいたたまれなくなったパラガスは叫ぶ。

 

パラガス「やめろブロリー!もうやめるんだぁ!!それ以上は体がもたん!!」

 

しかしブロリーはやめない。ひたすら自分を殴り続ける。

 

全ては虫歯の痛みから開放されるため、歯医者に行く恐怖から逃れるため・・・

 

・・・・・そんな事が出来るなら普通に歯医者の治療も受けられるだろとも思うが

ブロリーはそんな言葉には一切耳を貸さないだろう。

 

一向に抜ける気配の無い虫歯に業を煮やしたブロリーはついに・・・・・

 

ブロリー「虫歯めぇ!!無駄な事を・・・こぉなったらとっておきだぁ・・・

 

     今楽にしてやる!!!!」

 

するとブロリーは手のひらから緑色に光る気弾を生み出した。

 

パラガス「だ、ダメだッ!!やめろブロリー!!!!

     そんな事しては、お前も死ぬぞぉ!!」

 

 

 

 

ブロリー「虫歯、死ぬがいいッ!!!!!」

 

 

パラガス「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

パラガスが止めようと飛び出すが既に遅かった。

 

ブロリーは気弾を自分の口に中に押し込んだ!!!!

 

 

ブロリー「ぶぅおおおお!!?!!」

 

ブロリーの目から、耳から、鼻から、体中から全方面に向かってまぶしく鋭い閃光が飛び出した。

 

そしてブロリーの口から天空めがけて一際大きな閃光が発射された!

 

 

 

 

 

 

ブロリー「ぶぅあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

     かああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

     なああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

     ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

        \  デ   デ   −   −  −  −  −  ン  ☆  /

 

 

パラガス「ドォアアア!!」

 

ブロリーを中心に発生した大爆発の爆風でパラガスは勢いよくぶっ飛ばされていった・・・

 

 

 

   ☆=

 

 

 

どれくらい時間が経ったのか・・・辺りはしぃーんと静まりかえっていた。

 

やがて爆発で崩れ落ちた岩の瓦礫の下からパラガスが顔を出した。

 

パラガス「はぁ・・・はぁ・・・い、一体どうなったんだァ・・・?」

 

パラガスは周囲をきょろきょろ見回した。

あの大爆発で、周辺の岩山はみな粉々に吹き飛び、辺りは完全な更地と化していた。

 

パラガス「ブ、ブロリーはどこに・・・?」

 

瓦礫から這い出たパラガスは爆発の中心点に恐る恐る近づく。

 

そこにブロリーの姿は影も形もなかった・・・。

虫歯もろとも消滅してしまったのだろうか。

 

パラガス「ブ、ブロリィ・・・クソォウ!」

 

涙声を上げるパラガス。がっくり肩を落とした時、地面に妙な物が落ちている事に気づいた。

 

パラガス「んんっ?なんだコレ・・・」

 

そこにあったのは小さい白い物体。しかしところどころの部分が欠けて黒く変色している。

しかしこれ、あの爆発によって焦げたり欠けてしまったりしたものではない。

爆発が発生する前からこの状態だった。そう。つまりこれは・・・・・

 

 

パラガス「エェェェェェエエエエエエ!!!??なっ・・・ま、まさかコレはぁ・・・・・」

 

 

 

ブロリーの虫歯。

 

 

 

ブロリーの本体は大爆発し、跡形もなく吹き飛んだが、この一本の虫歯だけはそのままの形、

全くの無傷で唯一そこに残ったのだった。

 

ブロリーの\デデーン/をもってしても破壊できなかった虫歯・・・これなら最初から歯医者に

頼ったところで、何の意味もなかったのかもしれない。こいつを治す術は果たしてあったのだろうか・・・

 

 

ただ一つ残された虫歯を驚愕の表情で見つめながら、パラガスはその場で立ち尽くしていた・・・

 

 

この時、小さすぎてパラガスの耳には聞こえていなかったが虫歯からある者の声が発せられていた。

 

 

 

 

虫 歯 菌「ソノテイドノパワーデオレヲタオセルトオモッテイタノカ!」

 

 

 

 

            『この始末☆ はてさてこの先、どうなりますことやら』

 

 

 

 

べジータ「・・・で、伝説の…スーパー虫歯・・・!」

 

パラガス「何もかもお終いだァ・・・」

 

悟  空「でぇじょうぶだ、ドラゴンボールで生きけぇれるさ・・・」

-5ページ-

 

                    =☆お ま け☆=

 

 

瞬間移動で歯医者から逃げ出した悟空は、ピッコロの元を訪れた。

 

悟  空「なぁピッコロ、仙豆食わせてくれ!」

 

ピッコロ「何故だ?」

 

悟  空「ま、そんな事はどうでもいいからさ、早く食わせてくれよ」

 

ピッコロ「いいだろう。ただし、\10円!!/だ!」

 

悟  空「やったー!サンキュー!」

 

悟空はピッコロに10円渡すと、仙豆を一粒もらい急いで口に入れた。

 

 

こりっこりっ・・・ごくんっ

 

 

悟  空「・・・あれっ?・・・うわぁっ!!くぅ!!

     ぐぁぁあああああああ!!!!!」

 

ピッコロ「そ、孫!?」

 

悟  空「ど、どうなってんだこりゃ!全然効かねぇぞ!!

     それどころか虫歯で仙豆噛み砕いたせいで余計痛くなったぁー!!」

 

ピッコロ「何!? ま、まさかお前、仙豆で虫歯を治すつもりだったのか!?」

 

悟  空「・・・へへへへへ、あったりぃッ

 

     ひょっとしたら虫歯って歯が怪我したもんじゃないかとか

     思ったりしちゃったりしてさ・・・」

 

ピッコロ「何を寝言言ってる!虫歯はれっきとした病気だ!

     仙豆は病気には効かん!!」

 

悟  空「ははは・・・やっぱりそうかぁ。

     しかしまいったなぁ・・・こんな痛みいつまでも耐えらんねぇぞぉ。

     でも歯医者はおっかねぇしなぁ・・・」

 

トランクス「悟空さぁああああん!!!」

 

そこへトランクスが飛んできた。

 

悟  空「おっ?トランクス、いってぇどうした?」

 

トランクス「実は、お話があります。

 

      悟空さんが虫歯で悩んでると聞いて、一度未来に戻って持ってきたんです!」

 

悟  空「?? 何をだ?」

 

トランクス「虫歯の特効薬です。未来では医学も発達していますから・・・

      僕のいた時代には既に虫歯を一瞬で治す薬が完成しているんです。

      それを悟空さんに渡そうと思って」

 

悟  空「ホントか!?やったぁ〜!早くそれ言ってくれりゃあいいのによぉ〜もぉ!」

 

トランクス「これです!ハイ!!どうぞ」

 

トランクスは悟空に液体の入った瓶を渡した。

受け取った悟空はさっそく瓶の蓋を開ける。

 

悟  空「よぉ〜し!これで虫歯治しちゃうぞぉ!」

 

 

んぐ、んぐ・・・

 

 

悟空は一気に瓶の中の液体を飲み干した。

果たして効果はいかほど・・・

 

 

悟  空「・・・・・・・・

 

     

     うぎゃあああああああああああああああああ!!!!!

 

 

     痛ててててててててててててててててて!!!!

     なんだこりゃ超神水かぁ!!??

 

     って、なんで超神水飲んで歯が痛くなるんだー!!

     トランクス!!オラに何飲ませやがったぁあああああ!!??」

 

悟空は頬を押さえながら激しくのたうち回った。先ほどの薬?を飲んだ途端歯痛が悪化したらしい。

 

トランクス「嘘でぇす!!

      

      虫歯の特効薬があるだなんて、全て嘘です!!

 

      それはキンキンに冷えたただの炭酸ドリンクなんです!ハイッ!!」

 

 

トランクス「(ドヤ顔)」

 

エイプリルフールですらないのに何故そのような酷い嘘をつくのやら・・・

 

悟  空「このクズやろぉおおおおおおおおおおお!!!!

 

 

     かぁぁぁぁぁぁぁぁめぇぇぇぇぇぇぇぇはぁぁぁぁぁぁぁぁめぇぇぇぇぇぇぇぇ

 

 

     波ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

トランクス「ハァッ☆」

 

 

 

ドバァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

トランクス「はぁあああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

悟空怒りのかめはめ波を受けてトランクスは空の彼方へと消えた・・・

 

 

 

 

 

 

ブロリー「終わリーです・・・」

説明
自分は某動画投稿サイトでの『もしもブロリーが○○だったら』等のいわゆる『ブロリーMAD動画』が大好きで、常に新作が来ていないかチェックしたり、動画を観ては腹を抱えて笑ったりしています。そういった動画を観ていると、時々頭の中でインスピレーションが働いて自分もこんなブロリーMADを作ってみたいと思う事があります。しかし自分には動画を作れる環境も技術もありません。そこで頭に浮かんだアイデアの一つをここで自分の出来る一つの形にしてみようと思い、この作品を投稿しました。ブロリーMAD製作者の方々が作る面白い動画作品の足元にすら遠く及ばない『ブロリーMAD(風)の小説』ですが、暴れるブロリーの姿を想像して少しでもクスッと笑っていただければ幸いです。/※(注意!)この小説の各登場人物は、原作での設定や性格とはほとんど異なったものになっております。そういった原作のストーリーや設定、キャラクターの極端な改変に対して快く思わない方や不快感を感じる方は、作品を見ずにブラウザの戻るボタンを押される事をおすすめします。
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