IS〈インフィニット・ストラトス〉?G-soul?
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IS学園のとある通路。

 

真っ直ぐ伸びる道を進む二人の生徒。

 

「…ねぇ、お姉ちゃん」

 

「なーに? 簪ちゃん」

 

楯無と簪の更識姉妹だ。

 

「これから、どこに行くの…?」

 

「まだ秘密よ」

 

楯無は簪の方を見ず、広げた扇子に達筆に書かれた『秘密』の二文字を見せた。

 

軽い足取りの楯無に対し、簪の歩みは少し遅い。

 

「話って…何?」

 

「それもまだ秘密」

 

達筆な『秘密』の裏にも『秘密』と書かれていた。

 

「秘密ばっかり………」

 

目的地に着くまで話してはくれないのだろうと判断して、簪は追究をやめた。

 

代わりに、自分達がどこに向かっているのかを推理する。

 

(足元が傾斜になっていて、私たちはそれを下ってる…地下に潜ってるの?)

 

簪はここまで歩いて来た道をちら、と振り返った。

 

(それに、こんなに厳重なセキュリティ…学園にこんなものがあったなんて……)

 

「さて、到着よ」

 

楯無が歩みを止め、簪も止まる。

 

「ここはね簪ちゃん。IS学園地下特別区画っていうの。一般の生徒は普通立ち入ることができないIS学園のトップシークレットよ」

 

「そんなすごいところで…何を話すの?」

 

「うーん…」

 

簪が聞くと、楯無は少し眉を下げた。

 

「シャルロットちゃんとラウラちゃんにはもう話したんだけど…」

 

「シャルロットと…ラウラ……にも?」

 

「ごめんね、最後にしちゃって。私自身の踏ん切りがつかなくて…」

 

「ううん…それで、何の話?」

 

「……簪ちゃん、これからとても大切なことを話すわ」

 

楯無の表情の変化に、簪は今から話すことの重要度を知った。

 

「簪ちゃん」

 

「な、何…?」

 

「瑛斗くんのこと、好き?」

 

「え……うん、好き…大好き」

 

「愛してる?」

 

「あ……あいっ………愛してるっ」

 

簪は突然の質問に驚きはしたがしっかり言い切った。

 

「うん、いいわね」

 

「もしかして、話したかったのって…これ?」

 

「いいえ。今のは確認よ。本題はここから…」

 

「本題…?」

 

「この扉の向こうで話すわ」

 

楯無はもう一度簪に背を向け、扉のロックの解除コードを入力していく。

 

「これから話すことは、全て真実。本当のことよ」

 

「そろそろ…何を話すのか、教えてよ……」

 

「そうね。これから話すこと…それはーーーーー」

 

扉が開き、簪は部屋の中を見た。

 

「何…これ…!?」

 

「桐野瑛斗という存在の事よ」

 

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「「ん?っ…! 終わったぁ!」」

 

鈴とマドカが声をハモらせながら机に突っ伏した。

 

「二人ともお疲れ。お茶持って来るよ」

 

「あ、サンキュー」

 

「ありがとー」

 

「思ったより早く終わったわね」

 

「お兄ちゃんの言った通り、三人寄ればだったね」

 

「そりゃそうさ。ISのレポートの宿題で、専用機持ちが三人だからな」

 

「ま、そのうち一人はあんまり役に立ってなさそうだったけど?」

 

「ひどいこと言うなよ鈴」

 

苦笑しつつも否定しないあたり一夏自身も少しそう思ったのだろう。

 

「なんにしてもやっと一番大変なのが終わったわー」

 

やり切った顔つきでカーテンを開く。

 

「あ、もう雨止んだみたいだね」

 

窓からは陽の光が差し込んでいた。

 

「朝はあんなに降ってたのにな」

 

「ま、宇宙一の晴れ女のアタシにかかればこんなもんよ」

 

「宇宙一…すごいね!」

 

「確かに、鈴が家に来た時もその時だけ雨脚が弱まったような気がする」

 

「ふっふーん。ま、これで残りの夏休みも心置きなく満喫できるわ!」

 

「そうだね、我ながら上手く出来たし、お姉ちゃんも褒めてくれるかなぁ」

 

マドカの手の中を覗くと、銀色のロケットが収まっていた。

 

「ふふっ」

 

マドカは嬉しそうに笑う。

 

「気に入ってるのね。そのロケット」

 

「うん! お姉ちゃんからのプレゼントだもん」

 

「中身は千冬さんの写真なのよね?」

 

「そうだよ。ほら」

 

マドカは鈴にロケットの中の千冬姉の写真を見せた。

 

「証明写真みたいだけどそれがお姉ちゃんらしいよね」

 

「あはは! 確かに! でも意外ねー。千冬さんもそんなことするんだ」

 

「仕事の都合で最近話せてないからさ、多分千冬姉がマドカが寂しがらないようにしたんじゃないかと思ってる」

 

「かもねー。で、アンタも何か貰ったの?」

 

「そんなわけないだろ」

 

一夏は自分の麦茶を飲み、手を横に振った。

 

「あらあら、それは残念ねぇ。寂しい?」

 

「べ、別にそんなこと思ってないって」

 

「どうかしら。ねーマドカ?」

 

鈴が話を振るとマドカは心配そうな顔つきになった。

 

「…お兄ちゃんも、寂しいの?」

 

「え、いや、だから別に…」

 

「そうだよね。お姉ちゃんはお兄ちゃんのお姉ちゃんでもあるもんね。寂しいのは当たり前だよね」

 

マドカはロケットをキュッと握ってから、何か閃いたように顔を上げた。

 

「そうだ! いいこと考えた!」

 

「いいこと?」

 

「なによ?」

 

鈴は一夏と同じように麦茶を飲む。

 

 

「お兄ちゃん! 今夜から一緒のベッドで寝よう!」

 

 

「「ブーーッッ!?」」

 

突然の爆弾スローイングであった。

 

「そしたらお兄ちゃんも寂しく…どうしたの?」

 

「ゲホゲホッ! い、いや、なんでも…エホエホッ……」

 

「ゴホゴホッ…あ、アンタねぇ…ゴホゴホッ」

 

「うん?」

 

変なところに入った麦茶にむせながらもどうにか立ち直り、一夏はマドカに諭すように言った。

 

「ンンッ…あのなマドカ、俺大丈夫だから。心配するなって」

 

「本当?」

 

「ほ、本当さ。なぁ鈴?」

 

「なんでアタシに振るのよ…でも、そうね。一夏なんだから大丈夫でしょ」

 

「なんだそりゃ…」

 

「そうなんだ。良かったぁ」

 

マドカは安心すると自分の麦茶の入ったコップに口をつけた。

 

「ちょっと一夏、アンタ変なこと教えてんじゃないわよ…」

 

鈴の耳打ちに一夏も耳打ちで返す。

 

「い、いや、多分アレはただ単純に他意なく俺と一緒に寝ようと思ってるんだろ……」

 

「アンタまさか寮の部屋で純粋なマドカによからぬことを……」

 

「バカ、そんなわけないだろ」

 

「バカって何よバカッ!」

 

「鈴? お兄ちゃん?」

 

「べ、別に?」

 

「な、なんでもないわよ?」

 

「そう? なら、いいけど」

 

そんなこともありつつ、無事に当初の目的を果たした三人はしばらく談笑し、日が暮れかけた頃、一夏は鈴を見送ることになった。

 

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「マドカのやつも見送りに来ればよかったのになぁ」

 

「そ、そうよねぇ」

 

鈴をそこまで送ることになったんだけど、なぜかマドカは留守番だ。

 

「大した距離でもないはずなのに…」

 

「ほ、ほら!ご、ご飯の用意するって言ってたじゃない? きっとそれよ」

 

「ハッ! もしや引きこもりの兆候か!?」

 

「なんでそうなるのよ…と、とにかく! マドカも『ちゃんと送ってきてよ』って言ってたんだからちゃんとエスコートしなさいよね!」

 

「わ、わかってるって」

 

「ふんっ…本当、どっかの誰かさんとは大違いよねー……」

 

「誰かさん?」

 

「あ、アンタには関係ないでしょっ!」

 

なんでちょっと怒るんだよ…

 

「それにしても、すっかりお兄ちゃんが板に付いたわねアンタ」

 

「まぁな。でも弾には負けるけどな」

 

兄歴半年の俺に対して、弾は蘭が生まれた瞬間から兄なんだ。ベテランにもほどがある。

 

「そうかしら? しっかりしてるかどうかだったら一夏の方が上じゃない?」

 

中学時代の弾を思い出す。

 

蘭に蹴られ、鈴に蹴られ、女子に蹴られ……

 

「…うん、弾には悪いけど勝ったな」

 

「でしょでしょ?」

 

俺と鈴の笑い声が重なる。

 

「そうだよな…もう半年経つんだよな」

 

「何年寄りじみたこと言ってんのよ」

 

「いや、早いなって思って」

 

「余計年寄りじみてるわよ?」

 

「いいじゃねぇか別に…」

 

「ごめんごめん、からかい過ぎたわ」

 

ヒラヒラと手を振る鈴は悪びれない。

 

「……マドカはさ、自分の事をあんまり知ろうとしないんだよ」

 

「そうなの? 普通、知りたがるものじゃない?」

 

「二人でゲームをしながら、さりげなく聞いてみたんだよ」

 

 

……

 

………

 

「なぁ、マドカ」

 

「なぁに?」

 

「お前はさ自分の記憶を取り戻したいとは、思わないのか?」

 

「そこまで積極的ではないなー。私は、お兄ちゃんと、お姉ちゃん、それと学園のみんながいればそれでいいんだよ。よし、金色のキノコ!」

 

「気になったりしないのか? 自分がどんな人だったのか、とか。食らえ赤い甲羅!」

 

「あんまりだねー。今の私は今の私だから、いきなりそれを否定されても困っちゃうよ。三連装緑の甲羅ガード!」

 

「それもそうか。ごめんな、いきなり変なこと聞いて。バナナの皮攻撃!」

 

「いいよ別に。あ、やった! 空飛ぶ青い甲羅だ!」

 

「やべ!?」

 

………

 

……

 

 

「…って」

 

「ゲームやりながらする話題じゃないでしょそれ…」

 

「いや、すんなり答えてくれるかと思ってな」

 

「そういうもんかしら…でもま、ずいぶん愛されてるのね、お兄ちゃん?」

 

「もちろん、お前もカウントされてたぜ?」

 

「あはは、それはどーも」

 

鈴の視線の先では小さな兄妹が手を繋いで歩いていた。

 

「…あのね、一夏」

 

「なんだ?」

 

「これはアタシ自身の考えなんだけどさ」

 

「あぁ」

 

「千冬さんがマドカにプレゼントしたあのロケットは、記憶を無くす前のマドカの所持品なんじゃないかしら」

 

「記憶を無くす前の…?」

 

「考えてみればあの写真、つい最近撮ったってわけじゃなさそうよね」

 

「確かに…言われてみれば……でもならなんで千冬姉はわざわざマドカが記憶を取り戻しそうな事をしたんだ?」

 

「流石にそこまではわからないわよ」

 

鈴は肩をすくめる。

 

「もしかしたら…千冬さん、覚悟を決めたんじゃないの?」

 

「覚悟……」

 

「…嘘には、いつか限界が来るってことよ」

 

「……………」

 

「確認だけど、アンタ…本当にマドカと戦えるの?」

 

あの時、夜の医療室で瑛斗に問われたマドカが記憶を取り戻した時の対応。俺は、マドカと戦うと言った。だけど…

 

「……あの時はああ言ったけど、正直言って自信ない。きっと躊躇っちまう」

 

「やっぱりね…なんとなくそうじゃないかと思ったわ」

 

「でも、もしマドカがまた悪いことをするんだったら、俺が止めなくちゃいけない。それが俺の…マドカの兄を名乗ってる俺の責任だ」

 

「一夏…」

 

「でも本当はそんなことにならないことがベストだけどな」

 

「そうね。そうなるのが一番よね…それにしても、千冬さんの考えっていまいちわかんないのよねー」

 

気遣ってくれたのか、最後は少しおどけた感じで締めた。

 

「…鈴」

 

「何?」

 

「心配してくれてありがとな」

 

「え、べ、別に心配なんてしてないわよ! ただ気をつけなさいよってだけなんだからね!」

 

それを心配してるって言うんだろって言おうと思ったけど、殴られそうだからやめとこう。

 

そして、曲がり角に着いた。

 

「そ、それじゃあアタシ行くけど、マドカに変なことしたらただじゃおかないわよ!」

 

「大丈夫だよ」

 

「いい!? 絶対変なことするんじゃないわよ! もしやらかしたら龍砲叩き込んでやるから!」

 

「はいはい。わかったわかった。早くしないと門限に遅れるぞ?」

 

「げ、ヤバ! じゃあまたね! 一夏!」

 

「おー、車に気をつけろよー」

 

「そんなに子供じゃないわよバカッ!」

 

鈴が駆けて行ったのを見届けて、俺も家に戻ろうと方向転換した。

 

「ん?」

 

携帯からメールの着信を知らせるメロディが鳴った。

 

「あ、千冬姉からだ」

 

メールを開く。

 

『今日は家に帰れない。マドカを頼む』

 

「……………」

 

いつもそうだけど、千冬姉のメールは短い文章の連続だ。そして、返信しても返事は来ない。

 

「ま、仕方ないか…」

 

『わかった。あんまり無理するなよ?』

 

送信ボタンを押す。送信完了の画面を確認してからマドカに電話をかけた。

 

『もしもし? どうしたのお兄ちゃん』

 

「マドカか? 今千冬姉からメールが来た」

 

『なんてなんて?』

 

「今日は帰って来ないんだって」

 

『あ…そうなんだ………』

 

電話越しでも落ち込んでいるのがわかる。

 

『晩ご飯…三人分で作っちゃってるんだけど…』

 

「大丈夫。俺がたくさん食ってやるよ」

 

『本当? じゃあ張り切って作るね。今日は鯖の味噌煮だよ』

 

「おう、そりゃ楽しみだ」

 

『おっとっと…零れちゃう零れちゃう。じゃあ、気をつけて戻って来てね』

 

「わかってるよ。じゃあな」

 

『はーい』

 

さて、マドカが鯖の味噌煮作ってくれてるし、戻ろうかな。

 

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就寝前、自分の部屋のベッドの上で横になった俺は鈴の言葉を思い出していた。

 

「嘘にはいつか限界が来る…か」

 

隠し通せる嘘なんて無い。確かにそうだ。嘘はいつかバレる。

 

「でも、どうすればいいんだろうな………」

 

今のマドカに本当の事を話すのは余計に悪い事態を引き起こしかねない行動だ。

 

でも、ずっとこのままというわけにもいかない。でも、またあの冷たい目をした女の子に戻って欲しくもない。

 

こんな時に千冬姉がいてくれれば相談できるんだけど、それも叶わない。

 

「本当に、あいつが妹ならいいのに………」

 

そうすれば、こんな事にならなくていいんだけどな。

 

コンコン

 

「ん?」

 

「おーにーいーちゃんっ」

 

「マドカ?」

 

部屋に入って来たのはマドカだった。まぁ、この家には俺とマドカしかいないから当然か。

 

「どうしたんだ?」

 

「えへへ、やっぱり来ちゃった」

 

パジャマ姿で枕を持って俺に近づき、そのままベッドに上がってきた。って、え!?

 

「ま、マドカ!?」

 

「ちょっと狭いかな。お兄ちゃん、もっとそっち寄って寄って」

 

「待て待て! なんでいきなり!」

 

「今日話したでしょ? 寂しいなら一緒に寝ようって」

 

あの宿題終わらせた時の話か!

 

「あ、アレはーーーーー!」

 

「それとも……」

 

マドカは自分の枕をぎゅぅっと抱えながら細い声で、

 

「それとも…お兄ちゃんは私と一緒に寝るの……嫌なの?」

 

プラス上目遣いで! 上目遣いで!

 

「そ、そういうわけじゃあ…」

 

「じゃあいいよねっ」

 

俺の枕の横に自分の枕を置いて頭を乗せる。

 

「ほら、お兄ちゃんも寝よ?」

 

「あ、あぁ…」

 

そのまま流される形で俺はマドカと寝ることに。流される形で、ここ重要だ。

 

「学園だと同じ部屋だけど、こうして一緒に寝ること無いよね」

 

「そ、そうだな。暑くないか?」

 

「へーき」

 

「そ、そうか」

 

俺平気じゃないけど! 俺平気じゃないけど! 大事なことだから二回言いました!

 

「…ねぇ、どうしてこっち見ないの?」

 

「い、いや、その…」

 

察しろ…察してくれマドカ!

 

「こっち向いてよー」

 

「や、やめろって」

 

「むー…ふぅ」

 

「おわっ!?」

 

み、耳に息をかけられた!?

 

「な、何すんだよ!」

 

「やっとこっち向いた」

 

「……………」

 

楽しそうなマドカからは、なんだか甘い匂いがする。

 

「もっとくっついちゃお」

 

「な、ちょーーーーー」

 

止める間もなくマドカは俺にぴったり寄り添った。

 

「んー、お兄ちゃんの匂いがするよ」

 

「お、おいおい…」

 

身体を寄せ合っているから、マドカの、その、柔らかい感触が思いっきり伝わる。

 

(これは、寝られん…!)

 

静まれ! ものすごいペースで脈打っている俺のハート! マドカは妹だぞ! 妹に変な感情を持っちゃ男として…いや人間としてダメだろ!

 

「お兄ちゃん」

 

「な、なんだよ」

 

「顔、赤いよ?」

 

「なっ…!?」

 

「あ、もっと赤くなった」

 

「からかうなよ…」

 

マドカはまた笑うと、急に声を萎ませた。

 

「………私ね、今が好きだよ」

 

「え?」

 

「こうやって、お兄ちゃんと一緒に眠れるんだもの」

 

だからね、とマドカは続ける。

 

「あの時、お姉ちゃんとお兄ちゃんがいなかったらって考えると、すごく怖いの……」

 

「……………」

 

「もしそうだったら、きっと今も何もわからなくて、ひとりぼっちで膝を抱えて泣いてたよ…」

 

俺だけに聞こえるくらいの小さな声でのささやき。

 

「だから…今を失うのが、すごく怖いの………私が記憶を取り戻したら、この気持ちは消えちゃうのかな……」

 

「マドカ……」

 

「記憶を失う前の私って、どんな性格だったのかな…」

 

「…さぁな」

 

俺は知っている。織斑マドカが、どんな女の子だったのか。

 

俺は、俺達は、この記憶喪失の女の子に嘘をついている。

 

命を狙って来た女の子を、妹と偽ってそばに置いて、こうしてもう半年以上過ぎた。

 

もし記憶を取り戻したら…という事はあまり考えないようにしてる。

 

だから、本当のことは言えない。

 

いつか、いつかやって来る、その時までは…

 

マドカの兄でありたい。あり続けたい。

 

「……………」

 

「お兄ちゃん?」

 

「ん?」

 

「どうしたの? 難しい顔して」

 

いけね。全然そんなつもり無かったのに、顔に出てたか?

 

「気のせいだろ。さ、もう電気消すぞ」

 

「あ、うん」

 

マドカの返事を聞いてから、リモコンを操作して部屋の明かりを消す。

 

「お兄ちゃん」

 

「なんだ?」

 

「おやすみなさい」

 

「…あぁ、おやすみ」

 

マドカの頭を撫でて、目を閉じた。

 

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「………あ」

 

暗い空間に立っていた。

 

「…そうだ……ここ、夢の…」

 

思い出した。また、この場所だ。

 

ここにいると、理由が無いのに怖い。生理的に受け付けないってやつなのかな。

 

「………!」

 

そして、もう一つ思い出した。

 

「同じなら…この先には……」

 

動くことができない。だって、ここを出ようとすれば…

 

「……………」

 

だから、その場に座り込んで、夢が覚めるのを待つことにした。

 

(早く…覚めないかな……お兄ちゃんが起こしてくれればいいんだけど…………)

 

いくら見渡しても、薄暗くて、何もない。

 

…はずだった。

 

「鏡…?」

 

ポツンと置かれた姿見が一台だけ。

 

「なんで鏡なんかが…」

 

引き寄せられるように近づく。

 

「……………」

 

鏡に映る私の姿。お姉ちゃんと同じ顔。

 

「お姉ちゃんと同じ顔…」

 

つぶやくと鏡の中の私の右頬に何かで浅く切られたような傷が走って、血が流れた。

 

「え…!?」

 

自分の頬を触ってみたけど、指には血はついてない。

 

鏡の中の私だけ、血を流している。

 

「何…これ……」

 

鏡を触ろうとした瞬間ーーーーー

 

「…っ!?」

 

鏡の中の私の右手が、私の右手を掴んだ。

 

「……フフ…」

 

鏡の中の私が、嗤っていた。

 

「な、何……?」

 

鏡面が水みたいに波打って、鏡の中から、もう一人の私が出て来た。

 

「…………………」

 

「…………………」

 

もう一人の私が完全に鏡の中から出て来ると、鏡はバラバラに砕け散り、足元に散らばった。

 

「…結論だけを話すが」

 

砕けた鏡の破片を見ながら、もう一人の私は淡々とした口調で言った。

 

「お前は織斑一夏の妹でもなければ、織斑千冬の妹でもない」

 

「い、いきなり何を…」

 

「お前は、あの二人と血が繋がってなどいない」

 

もう一人の私は、断言した。

 

「う…嘘! そんなことない! だって…だってお姉ちゃんとお兄ちゃんは、私のことを妹だって!」

 

「それは、何も知らないお前を自分達が扱い易いようにそばに置いておくための口実だ…他の専用機持ちどもも知っているだろう」

 

「瑛斗たちが……?」

 

「お前は、騙されているんだよ」

 

こんなの、悪い夢だ…きっとそうに決まってる。

 

「そ、そうだよ、だって、ありえないもん…」

 

私の顎に、もう一人の私が指を添えられる。

 

「否定するか。ならば、思い出させてやろう……お前の全て」

 

「私の…全て……?」

 

「私の目を見ろ。抵抗はするな。無理矢理瞼をこじ開けられたくは無いだろう?」

 

目があった一瞬だった。

 

流れ込んでくる、と言うよりも、溢れ出てくる、と言った方が正しい。

 

私の、記憶。

 

 

記憶。

 

 

記憶、記憶。

 

 

記憶、記憶、記憶。

 

 

記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶。

 

 

記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶。

 

 

記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶。

 

 

「……やめてっ!!」

 

手を払いのけて突き飛ばした。

 

「ほう?」

 

地面に叩きつけられたもう一人の私に馬乗りになって、その首に手をかけた。

 

「あなたなんて…知らない!! こんな記憶……認めない!!」

 

首を掴んだ手に力を込める。

 

「消えろ! 私の偽物!!」

 

「偽物か…私からすればお前が偽物なのだがな」

 

「!?」

 

背後から声が聞こえた。振り返ると、私と同じ顔が不敵に笑っていた。

 

「そして、お前が今見たものが、お前の全てだ」

 

「…じ、じゃあ、私が押さえつけて掴んでるのは…!?」

 

視線を戻す。

 

私の手が掴んでいたのは、

 

 

織斑一夏、私のお兄ちゃんの首だった。

 

 

「お兄ちゃん…!?」

 

すぐに手を放す。

 

でも、手を放してもお兄ちゃんの身体はピクリとも動かない。

 

「お兄…ちゃん?」

 

触っても、反応はない。

 

「…! お兄ちゃん! お兄ちゃん!」

 

身体を揺すっても、お兄ちゃんは固まったように動かない。

 

「なんで…? なんで起きないの……?」

 

「当然だ。お前が殺したんだからな」

 

「わた…しが…?」

 

「この男を、お前がその手で絞め殺したんだ」

 

「あ…ぁ………あ……」

 

全身から力が抜ける。

 

「殺した……? 私が…お兄ちゃんを………殺し…………」

 

手の震えが止まらない。そんな私のそばに、もう一人の私が近づいた。

 

「さて、次は……」

 

もう一人の私が私の目の高さに垂らしたのは、ロケット。

 

「織斑千冬を、殺してもらおうか」

 

「……………!」

 

開いたロケットから、お姉ちゃんの写真が見えた。

 

「…嫌ぁ……嫌だよぉ………!」

 

「嫌か? そうか……では、私が代わりにやってやろう」

 

「え…?」

 

言葉の意味がわからない。

 

「何を言ってーーーーー」

 

瞬間、足元から透明な赤い結晶が纏わり付きはじめた。

 

「な、何!?」

 

それはどんどん私の身体に張り付いて、重なり合って、下半身があっという間に結晶の中に飲み込まれた。

 

「遂に、この時が来た……」

 

もう一人の私が興奮したように言った。

 

「再び私は目覚める…!」

 

結晶が、首まで来た。そして、口を塞ぐ。

 

段々視界が暗くなって…

 

(お兄ちゃん…お姉ちゃん…!!)

 

何も見えなくなった。

 

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「……ふぁぁ…んん…まだこんな時間か…」

 

まだまだ夜明けには時間があるのに、目が覚めてしまった。

 

「う?ん……うん?」

 

そこで、ふと気づく。

 

「………あれ? マドカ?」

 

一緒に寝ていたはずのマドカがいない。

 

と思ったらいた。扉の前に立ってる。

 

「トイレか??」

 

手探りでリモコンのボタンを押して部屋の明かりを点けた。

 

「……………」

 

「マドカ?」

 

おかしい。返事がない。寝ぼけてるのか?

 

「…織斑一夏……」

 

ん? 今フルネームで呼んだ?

 

「するとここは……なるほど、そういうことか」

 

マドカの口の端が、吊り上がる。

 

(マドカ…だよな? なんか、様子がおかし……)

 

直後、俺は眠気から覚醒した。

 

信じられない。

 

まさか。

 

まさか、こんなに早く…!!

 

「お前…記憶を……!?」

 

「動くな」

 

「…っ!」

 

赤く光る刃。俺の喉元にその刃先が向けられる。

 

「ブレーディア…!」

 

「サイレント・ゼフィルスではないのか。だが…悪くない機体だ」

 

マドカの右腕は、バルサミウス・ブレーディアの装甲を纏っていた。

 

「この身体を世話してくれたことは感謝しよう。そしてこのISも。しかしお前もわかっているだろう? 私たちは相入れないと」

 

「……………」

 

マドカは部屋の扉を開けると部屋から一歩出た。

 

「…どうやら、織斑千冬はいないようだな」

 

「いたら、どうするつもりだったんだ」

 

「何をわかり切ったことを…お前も私の行動理由は知っているだろう?」

 

マドカの行動理由…それは…

 

 

千冬姉を、殺すこと。

 

 

「諦めたらどうだ? 完膚なきまでに負けたんだぜ?」

 

「何度だってやってやる。この命はその為にあるのだからな…」

 

「違う! お前の命はそんなことの為にあるんじゃない!!」

 

喉元のビットの刃が近づいてくる。

 

「立場がわかっていないようだな」

 

「………!」

 

展開された左腕の装甲から、ブレードビットが飛んだ。

 

そして刃先はマドカ自身に向けられた。

 

「何もするな。この身体をズタボロにされたくはないだろう?」

 

「正気かよ!? 自分で自分を傷つけるなんてことーーーーー」

 

ビットの一つが、マドカの右頬を掠めた。

 

「な…!」

 

「生憎、私はこの身体を傷つけることに何の躊躇いも持たない。今のはデモンストレーション。次、この刃先は私の頬に突き刺さる」

 

裂けた皮膚から、赤い液体が一筋流れて床に点を作る。

 

自分を人質にするデタラメな手段。

 

「……クソッ」

 

込めた力を抜くしかなかった。

 

「一つ聞くが…」

 

「なんだ?」

 

「私は普段…お前と一緒に寝ていたのか?」

 

「……いや、今日はたまたま」

 

「ふむ…ならば、私の部屋とやらがあるのか?」

 

「あるぞ。その、手前の扉」

 

「立て。着いて来い」

 

マドカは俺を連れて自分の部屋に入った。

 

「記憶を無くしていたとは言え、これが私の部屋とはな」

 

部屋を見てから、鼻で笑う。

 

「なんで俺を連れて来る必要があるんだよ」

 

「勝手なことをされたら困るからな…フン、ブリュンヒルデも甘いことだ。これならいつでも呼び出せる」

 

携帯電話を握ったマドカは、机に置かれたあるものを見つけた。

 

「これは……」

 

それは、千冬姉がプレゼントしたロケット。

 

「変わりないか…」

 

つぶやくとそれを置いてもう一度俺を見た。やっぱり、鈴の言ったとおり、あいつのものらしい。

 

「これから私はここを去る。追いかけてくることは許さん。追いかけてくるなら、お前を殺す」

 

「千冬姉を…殺しに行くのか?」

 

「目的はそうだな。だが、他にもやる事がある」

 

「やる事?」

 

「お前に関係はない」

 

言うと、マドカはおもむろに服を脱ぎ始めた。

 

「なっ、何してんだよ!?」

 

「こんな格好ではろくに動けんからな……なぜ目を逸らす?」

 

「だ、だって、お前がいきなり脱ぐから…」

 

「馬鹿か」

 

ワンピースに薄手の上着を羽織って、ロケットを首から下げてからマドカは窓を開けた。

 

風を受けて、髪が揺れる。

 

窓の縁に足をかけた。そこから出て行く気だな。

 

「……待てよ」

 

「なんだ?」

 

「俺はお前を行かせる訳にはいかない」

 

止めないと。俺がマドカを止めないと。

 

「この期に及んでまだそんなことを……もう、お前の妹として生きていた人格は消えたのだぞ?」

 

「それでも、お前はマドカだ。みんなに言ったんだよ。もし記憶が戻ったら、俺がお前を止めるって」

 

「ほう? 出来るのか? お前に」

 

「やってみせる!」

 

「面白い…ならこの機体の肩慣らしをさせてもらうとしよう!」

 

飛び出したマドカを追い掛けた。

 

「待てっ! 白式っ!!」

 

白式を展開して、空中に留まる。

 

「……………………」

 

見上げたところにいたマドカはブレーディアを全展開。自信たっぷりな表情だ。

 

「来い。私を止めるのだろう?」

 

「あぁ。行くぞマドカ!」

 

雪片弐型を握り締めて、マドカに突進する。

 

「バルサミウス・ブレーディア…サイレント・ゼフィルスと仕組みは変わらんようだ」

 

「はぁぁっ!」

 

雪片弐型の斬撃をビットが阻む。

 

「それどころか、使い易くなっている」

 

「くっ!」

 

左右から飛来するビットを距離をとって躱す。

 

(こんな建物が密集してたら戦いづらい!)

 

「逃げてばかりでは私を止められんぞ?」

 

「そんなことわかってる!」

 

瞬時加速でマドカに突っ込む。

 

「おおおおおっ!!」

 

「ふん………」

 

防御に入った大型ブレードビットもろともマドカを押す。

 

「周囲のことを考えるのも立派だが…自分の心配をしたらどうだ?」

 

左腕から飛び出した小型ビットが白式のシールドエネルギーを削り取っていく。

 

「ぐっ…この…ぉっ!」

 

もう一度瞬時加速をして小型ビットを振り切る。

 

「よしっ! この高度ならーーーーー」

 

「この高度なら、戦闘行為による街への危険はない…か? 甘いことだな」

 

「誰かを巻き込むよりずっといい!」

 

雪片を構えて、マドカを見据える。

 

「お前のその一辺倒な攻撃で倒される私ではない」

 

「どうかな。白式!!」

 

白式第二形態《雪羅》を発動して、左腕の荷電粒子砲を向ける。

 

「行けぇっ!!」

 

光線はマドカに向かって突き進む。

 

「その程度の砲撃……」

 

別の大型ビットがマドカの前に滑り込む。

 

 

バチバチバチバチバチッ!!

 

 

「…………………」

 

ブレードビットに叩きつけられる光線がスパークする。

 

「っ!」

 

マドカは上に飛んでビットを押しのけた光線を避けた。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

迸る零落白夜を発動したエネルギー刃を大上段に振り上げる。この距離なら外さない!

 

「俺がっ! お前を止める!!」

 

雪片弐型のエネルギー刃を赤い装甲に振り下ろーーーーー

 

 

「お兄ちゃん…!」

 

 

「!」

 

マドカの伸ばした手に、一瞬だけ硬直した。

 

その一瞬が決め手だった。

 

「やはり、甘いな」

 

広げた手が閉じて、六枚のビットが煌めいた。

 

 

ズババババババッ!!

 

 

「ぐあぁぁっ!」

 

ズタズタにされた装甲に、ビット達が突き刺さった。

 

「な、なんだ!? バランスが…」

 

ビット達が装甲から抜けると、やけに身体が重たくなった。

 

「姿勢制御系を傷つけさせてもらった。数時間はそのISは動けない」

 

「クソッ! 白式! 動けっ!」

 

段々と高度が落ちて、マドカとの距離が離れていく。

 

「その程度にしておいてやろう。私が真に狙うのは、織斑千冬ただ一人…」

 

落下する俺にそう言って背を向ける。

 

(行くな…行かないでくれ…!!)

 

 

「…さよなら。お兄ちゃん……」

 

 

その声が遠い。

 

「マドカ…! マドカァァァァァッ!!!!」

 

伸ばした手は、届かなかった。

 

-7ページ-

 

 

瑛「い…インフィニット・ストラトス?G-soul?ラジオ……」

 

一「略してぇ…」

 

瑛&一&フ「「「ラジオISGぃ?…」」」

 

瑛「ど…読者のみなさん…こんばどやぁ…」

 

一「こんばどやぁ……暑い…」

 

フ「どもっす…暑いっす……」

 

瑛「はい、何でこんなにグダっているかというと……」

 

フ「室温37度………なんすかこの過酷な環境…」

 

一「れ、冷房すら動かないのか…おまけに密室サウナ状態……」

 

瑛「と、まぁ…こういうわけで、猛暑の中冷房も使わずに絶賛放送してるからです……」

 

一「本編じゃマドカの記憶が戻ったりして大変なことになってんだけど…これは、違う方向でキツい……」

 

フ「そもそも…何で私まで…」

 

瑛「じゃあ…今日の質問、い、いってみよー…」

 

一「キリヤさんからの質問…主人公sに質問です。37度を記録した日、あなたの家の水道が壊れ水が出なくなりました。あなたが持っているのは壊れる前に注いだ一杯分の水。さて、どう使いますか……」

 

瑛「…………………」

 

一「…………………」

 

フ「…………………」

 

瑛&一&フ「これかぁー……」

 

瑛「ほら、出て来たよー。嫌がらせの如く本当に一杯だけ水が机の中から出て来たよー…」

 

一「どう使うかって言われても…」

 

フ「不思議っす…水を見たら急に喉が渇いてきたっすよ」

 

瑛「我慢してください。一杯だけなんですよ。一杯だけ」

 

一「分け合うには不十分な絶妙な量で注がれてる…しかもなんだこのタイマー」

 

瑛「このタイマーがゼロになるまで出られないってわけだな」

 

フ「…………………」ソロ?

 

瑛&一「「待てい」」ガシッ

 

フ「な、なんすか? ここは先輩である私に譲るのが普通じゃないっすか?」

 

瑛「何を言ってるんですかあなたは。ここはメインパーソナリティの俺に決まってんでしょ」

 

一「いやいや、それ言ったら俺もその理屈使うぞ」

 

フ「そ、それなら私だってゲストっす」

 

瑛「…不毛だ。こうなったら奥の手を使うぞ」

 

一「奥の手?」

 

フ「なんすか?」

 

瑛「この水を一度横に置いて次の質問にいく。そうすれば質問に意識が集中して喉の渇きも忘れられるはずだ」

 

一「なるほど賢い」

 

フ「じゃあ早速質問読むっす」

 

瑛「はい。カイザムさんからの質問! フォルテ先輩に質問。フォルテ先輩はアメリカの代表候補生みたいですが、フォルテ先輩は本場アメリカのファーストフードで、ハンバーガー、ホットドッグ、ピザ、どれが好きですか?」

 

フ「こ、ここに来て食べ物の話題すか」

 

瑛「しかもまた机の中から出て来る親切設計だよ。本当にありがとうございます」

 

一「どれもアメリカの大きめサイズだな…」

 

瑛「美味そうだ。フォルテ先輩はどれが好きなんですか?」

 

フ「んー、そうっすねぇ。どれかって言われたらホットドッグっすかねぇ」

 

瑛「お気に入りのお店とかあるんですか?」

 

フ「自分のは無いっすけど、ダリル先輩にご馳走してもらったホットドッグは美味しかったっすね」

 

一「ダリル先輩と一緒だったんですね」

 

フ「その時たまたま一緒だっただけなんすけどね、とっても美味しかったんすよぉ」

 

瑛「それはそれは」

 

フ「今度は私がご馳走してあげるつもりっす!」

 

一「そうですかぁ」

 

瑛「楽しみですねぇ」

 

フ「な、なんすかその生温かい目は」

 

瑛「いや、楽しそうに話すなぁって。フォルテ先輩、本当にダリル先輩のこと好きですよね」

 

一「だよな。慕ってるよな」

 

フ「そ、そんなことないっす!」

 

瑛「じゃあダリル先輩嫌いですか?」

 

フ「そ、そういうことじゃあ…も、もう! 先輩で遊ぶなっす!」

 

瑛「ホットドッグ食べ始めたぞ」

 

一「この暑い中よく食べれるなぁ」

 

瑛「照れ隠しだよ。照れ隠し」

 

一「そうか、照れ隠しか」

 

フ「もぐもぐ…う、うるさいっす! あげないっすよ! 全部食べてやるっす!」

 

瑛「妙に食い意地張り出したっ!」

 

一「食べながら話してると喉に詰まらせますよ?」

 

フ「余計なお世話っす! そんな子どもみたいなモガッ!?」

 

瑛&一「「言わんこっちゃない…」」

 

フ「く、苦しいっす…水……水を…!」パシッ

 

瑛&一「「あ」」

 

フ「んぐ…んぐ…ふぅ……あっ!?」

 

瑛「…………………」

 

一「…………………」

 

フ「………の、飲んじゃったっす…水」

 

瑛「…………………」

 

一「…………………」

 

フ「ふ、二人とも…どうしたっすか?」

 

瑛「………一夏、フォルテ先輩は今さっき、この食べ物全部食べるって言ってたよな?」

 

一「言ったな」

 

フ「へ……?」

 

瑛「じゃあ…食べてもらおうか」

 

瑛&一「「水無しで…!!」」

 

フ「ひぃぃっ!? 鬼っす! 鬼がいるっす!」

 

瑛「タイムリミットまでどれくらいだ?」

 

一「後十分ちょっと」

 

瑛「うん、じゃあその十分ちょっとはフォルテ先輩にはこの食べ物を食べてもらおう」

 

一「そうだな。食べ物を粗末にしちゃいけないな。食べてもらおう」

 

瑛&一「「水無しで…!!」」

 

フ「ごめんなさいっす! 本当ごめんなさいっす!」

 

瑛「つーことで、キリヤさんの質問の回答。一杯だけの水は、フォルテ先輩が食べ物を喉に詰まらせてそれを解決する為に飲む、です」

 

フ「あああ…!」

 

瑛「さて、それじゃあエンディングだ」

 

流れ始める本家ISのエンディング

 

フ「ほ、本当に、食べるっすか?」

 

瑛「はい。遠慮なく食べちゃってください。水無しですけど」

 

フ「ひえぇぇ…!」

 

一「おい瑛斗、そろそろ可哀想だろ」

 

フ「お、織斑ぁ…」

 

瑛「わかってるよ。ちょっとした冗談だろ?」

 

フ「私全然敬われてないっす!?」

 

瑛「ホント暑いな…早く放送を終わらせなければ」

 

一「司会が言っていいのか…その台詞」

 

瑛「まぁいんじゃね? それじゃあ!」

 

一「みなさん!」

 

フ「へ、あ、み、みなさん!」

 

瑛&一&フ「「「さようならー!」」」

 

-8ページ-

 

 

 

 

後書き

 

今回から私も後書きを書いてみようと思います!

 

マドカの記憶が戻り、以前のようなクールなキャラに!!

 

次回は再び瑛斗目線に戻ります。

 

私の夏休みはこの小説の夏休みが終わるまで終わりません!(錯乱)

 

…感想お待ちしてます。質問コメもよろしくどーぞ。

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蘇る復讐者
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コメント
≫カイザムさん :コメありです! 大変ですね(つД`) いくらでも待ってますから慌てずに頑張ってください(・ω・)ノシ(ドラーグU)
さて梢ちゃんに質問です。蘭と親友関係ですが、梢ちゃんは五反田食堂で一番すきなメニューはなんでしょうか?(カイザム)
更新お疲れ様です!!  エリスさんの絵描くと言って置きながら、3年間使ってたペンタブがイカレた&リアルな事情で書く暇が無くて申し訳ありません(汗)   IS2期が放送する前には描きたいと思ってます(カイザム)
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インフィニット・ストラトス

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