大地視点

約束の日

早朝３時に目を覚ました俺は、身支度をして家を出た。

まず珪子を迎えに行って、

俺が店に入ると、すでに詩乃と明日奈が来ていた。

大地「おはよう。二人とも速いな」

明日奈「あ、デュオ君、おはよう。」

珪子「明日菜さん、シノンさん、おはようございます」

詩乃「おはよう」

大地「カズやリズはまだ来てないのか？」

里香「呼んだかしら？」

そう言って、店の奥から里香が出てきた。

どうやらトイレに行っていたらしい。

大地「何だいたのか」

里香「失礼ね。呼ばれたから出てきたって言うのに」

俺の言いぐさが気に食わなかったようで、里香はムッとしてそっぽを向いた。

槍太「ふわぁぁぁ・・・朝から元気だな、おめえら・・・」

里香に続くようにして出てきた槍太が、大口を開けて欠伸をする。

大地「なんだ槍太も来てたのか？」

槍太「リズが家に押し掛けてきて、たたき起こされた」

里香「し、仕方ないでしょ！そうしないとあんた絶対寝坊するじゃない！」

言い訳がましく言い返してきたリズの顔は、どういうわけか赤くなっていた。

それから十数分後に扉が開き、和人たちが入ってきた。

直葉「おっはよう！」

珪子「リっ・・・直葉ちゃん、おはよう！」

カズと一緒に入ってきた直葉に、珪子が駆け寄る。

同じ年下のためか、珪子は直葉と仲が良い。

和人「おっす。待たせたか？」

大地「いや、そうでもない」

適当なやりとりの後、遼太郎と仁美も到着したので、みんなで適当にあいさつを済ませ、アナザー日本支社に向かった。

中に入って受付を済ませると、３階に案内された。

デュエル大会は、９時から開始されるらしい。

案内された部屋に入ってみると、そこにはネットカフェのような施設になっていた。

ログイン用の個室がずらりと―――おそらく抽選者の人数分―――並んでいる。

俺たちは一旦別れる、それぞれが個人用ブースに入る。

そこに備えつけられるナーヴギアに似たヘッドギア、シンクロ・トランサーを装着しリンクスタートの一言でフルダイブした。

デュオ視点

デュオ「うわぁ・・・！？」

ダイブして見て、俺は実感させられた。

今までのＶＲＭＭＯとは比べ物にならないほどのリアリティーだということを。

色合いや質感だけでなく、動きや感触、匂いに至るまで現実と見分けが付かないほどよく出来ている。

【ディチール・フォーカシング・システム】が使われていないのに、ここまで細かく物体を再現するとなると、総データ量はＳＡＯよりも圧倒的に大きいことになる。

などと考えていると、続々とプレイヤーがログインして来た。

もちろんキリトたちも。

デュオ「よう」

俺を確認したキリトは、俺のことを見てから自分の格好を見て呟く。

キリト「なんか、ＴＨＥ初期装備って感じだな」

確かに、今俺たちが装備しているのはＳＡＯの初期装備とほぼ同じ見た目をした武器や防具だ。

試しにウインドウを開いてみると、【コットンシャツ】、【布のズボン】、【レザーブーツ】の表示がされている。

デュオ「贅沢言うな。あくまでイベントなんだから」

キリト「わかったよ」

若干納得できなさそうに顔をしかめていたキリトだが、みんながダイブしてくると、すぐいつも通りに戻った。

その後すぐにデュエル大会の説明があり、装備を選ぶことになった。

なお大会では、上位１０００人までに入ると、ＲＶＯが―――希望すればシンクロ・トランサーと一緒に―――発売日に無料で送られてくると言う。

それを聞いた瞬間に何人かが目の色を変えていたが・・・

システム「ソレデハ装備ヲ選ンデクダサイ」

機械らしい声の後、俺たちの前に様々な武器の名前が表示されたウインドウが出現する。

基本的なものだけらしく、ショートソードやロングソード、スピアといったシンプルなものばかりだ。

もちろん俺は、ツーハンドソードを選ぶ。

周りを見てみると、キリトとリーファはロングソード、アスナはレイピア、シリカはダガー、ガッシュはスピア、リズベットはメイス、シノンはスナイパーライフル、クラインとエルフィーは刀、エギルは両刃斧と、それぞれ馴染んだ武器を選んだようだ。

システム「ソレデハ、健闘ヲオ祈リシマス」

ブロック人形のような姿をしたシステムの言葉とともに、俺たちは光に包まれてフィールドに転送される。

２時間に及ぶ激戦の果てに、デュエル大会は終了した。

結果は、キリトが３位、俺が２位、アスナ９位、シリカ１６０位、クライン８４位、エルフィー５８位、リズベット４８位、リーファ１３２位、エギル４５位、シノン２７位となった。