【恋姫二次創作】死神の毒 ME・N・MA
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「そういえば、先ほどはありがとうございました。」

 

装は、メンマの入った壺を大切そうにして絶対に壺を割らないよう、誰もいない周りに威嚇しながら、先を歩く星の背中に声をかける。

 

「……別段、礼を言われるようなことはしておりませぬよ。」

 

「約束の割には、随分と自分を犠牲にして白蓮殿を乗せていたような気がしますねぇ?」

 

「ふふ、何の事やら。」

 

星は悪戯っぽく笑ったあと、

 

「それよりもソウ殿。討伐に対して何か策のようなものはお有りか?」

 

一転して真剣な表情を浮かべて問い掛ける。

 

「……今は何とも言えませんかねぇ。」

 

「何とも言えない?」

 

星は疑問を顔に出す。

 

信頼しているからこそ表情を表に出せる、故に星は装のことをよっぽど信頼している。

 

「義勇兵の数、相手の情報、位置関係に武具等まだまだ分からないことが山積みですから、桃香殿の頭脳役でもいくらなんでも無理ですねぇ。」

 

「……なるほど。しかしあまり悠長なことをしていては、功名の場がなくなるのでは?」

 

「僕らが軍勢を率いても、まだまだ弱小。功を焦って全滅、欲を張ると望みは叶わぬものですからねぇ。慎重に慎重を重ねて行動をする。それが今の策ですねぇ。」

 

「ふむ。……流石ソウ殿だ。いや、ソウ先生とお呼びしたほうがいいか?」

 

星は再度、悪戯っぽい顔をする。

 

「先生はやめてください。星殿に学問を教えていたのはあの時だけですから、今は殆ど他人のようなものですよ。」

 

「他人とは……あの夜のことは所詮遊びだったと?」

 

「遊びですねぇ。だってあの夜やったのはただの囲棊でしたしねぇ。」

 

装は「僕の全勝でしたが。」と付け加えて星を軽く挑発する。

 

「ならば、またいつかあの時の続きをやりますかな?」

 

「良いですねぇ。また全勝してあげますかねぇ。またいつか。」

 

星と装が少しの間、沈黙する。

 

「そ、それで話を戻しますが、慎重に行動するだけでは何時か足元をすくわれますぞ?」

 

「ケケッ、そうですね……しかし、全軍に迷惑が掛かる以上、焦りは禁物ですねぇ。」

 

「その笑い方も全く変わっていませんな。」

 

星がクスクスと笑う。

 

いつもの明るい笑いではなく、少々心苦しさを残した笑いだ。

 

苦笑いとは違い、笑いたいのに心の底から笑えない『辛さ』というのがヒシヒシと伝わる。

 

「星殿は白蓮殿の家臣になるつもりはないのですかねぇ?客将は正式な家臣じゃないから、星殿の好きなメンマもたくさん買えないでしょう?」

 

「ふふ、給金全部メンマに回すのは出来ませぬが、今でも大量のメンマが買うことが出来ますぞ?別に家臣にならなくとも良いし、行為によって力を貸しているだけに過ぎません。」

 

「ほぅ、ならば星殿は何時か、白蓮殿の下を離れるつもりなのですかねぇ?」

 

「さて……今は私にもわかりませぬ。……この乱世を伯珪殿と共に戦い抜くのか。はたまた徳高き主を探すのか。」

 

「……そうですか。一応袁家や弱小のところはやめておきなさいねぇ。命がいくつあっても足りませんよ。」

 

「弱小も……ですかな?」

 

「弱小のところでは苦労が増えます。もっと星殿は大きい所でこの大陸中に名を轟かせるべきですねぇ。」

 

「それもまた、一つの道。しかし、自分の道は何と言われようと、自分で切り開きたいと思うのですよ。」

 

「……それならば僕から言う事は何もありませんねぇ。」

 

「……来てくれとは言ってくださらないのですかな?」

 

「言いませんねぇ。自分で考えて答えを出しなさい。」

 

「まずは、伯珪殿に恩を返してから。そこからいったいどうなるかはわかりませぬな。」

 

「……来いとは言いませんが、無茶しすぎないように。」

 

「うむ。肝に銘じよう。」

 

楽しげに頷いた星は、再び装に背を向け、兵站部のある蔵の方へと歩いて行った。

 

装が兵站の受領手続きを行っている間、桃香たちは街で義勇兵を募る。

 

一刀は特に何もせず、鈴々とおしゃべりをしていた。

 

そんなこんなで一週間が経過する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「もうすぐ出発ですねぇ。」

 

全ての準備を終え、集まった義勇兵を率いて出陣の時を待つ。

 

「たくさん集まってくれたねー♪これなら何とか戦えそうだね、ご主人様。」

 

「そうだなぁ。……白蓮の顔は真っ青を通り越して、真っ白だったけど。」

 

白蓮の治めているところだけではなく、他の場所からも集まった義勇兵は七千にも上る。それならば真っ白になり、白目を剥いて、泡を吹いて倒れて、痙攣しかけても仕方ない。

 

「しかし……これからどうしましょうか。」

 

「こうきんとーを探し出して、片っ端からやっつけるのだ!」

 

「い、勇ましいなぁ。だけどそんな乱暴なやり方じゃ、すぐに兵糧が無くなっちゃうよ。」

 

「むぅ……ならどうすりゃ良いのだー?ソウのお兄ちゃんは何か考えがあるのかー?」

 

「ケケッ、考えですか。まぁ、今のところは無い!!ですねぇ。」

 

「「えぇ、無いの!?」」

 

「な、無いのですか……」

 

「ソウのお兄ちゃんが無いなら、お兄ちゃんはもっとないのだー。」

 

無邪気に一刀の心を抉る鈴々に、慌てだす桃香と愛紗。

 

「ですが、策はありますよ?」

 

「策と考えって違うのか?」

 

一刀が震えた声で言う。

 

「僕の中では、考えは大雑把なもので、策はより細かく正確な物のことを指していますからねぇ。細かく正確に考えたのに大雑把に言ってくれって言われたようなものだったので、嘘をついてみました。」

 

三人はほっとした顔になる。

 

鈴々は蛇矛を振り回して遊んでいる。

 

「まあ、正直に言うと僕は考えも策も今回は、何も考えていないんですがね。」

 

「また、嘘だよねえ?」

 

「本当のことです。今回、僕は何も考えてないです。精々今晩何を食べようかなぁくらいのことですかねぇ?」

 

また三人は絶望したような顔をする。

 

「終わった。」

 

orzの格好をする一刀。

 

「あははははは、ま、まあなんとかなるよぉ!!」

 

狂ったようになる桃香。

 

「こ、ここは私の武で!!」

 

青龍偃月刀を鈴々のように振り回す愛紗。

 

「ん?終わったのかー?」

 

蛇矛を振り回して飽きたのか戻ってくる鈴々。

 

「人の話を最後まで聞けと習わなかったのでしょうかねぇ……、『僕は』考えも策もないと言っただけなのに。」

 

困り果てた顔をした装。

 

そして少し離れたところで、少し回復したが、まだ顔が白い白蓮。

 

その白蓮を見て笑っている星。

 

その光景を見ていた兵たちが語るには「いったいどういう状況かまるで分らない」と全員が答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あわわ、ソウ先生に呼ばれてきてみたけど、いつ行けばいいのかわからないよぉ。」

 

「はわわ、だ、駄目だよ雛里ちゃん。一番最初の印象で大きく変わってくるって、ソウ先生も言ってたよ。」

 

「そ、そうだね朱里ちゃん。ソウ先生が教えてくれた人たちだもん。きっといい人たちなんだよね。」

 

「そ、そうだよ雛里ちゃん。勇気をもって仲間に入れてもらわないと。」

 

その後も、陰に隠れている背の小さな女の子二人はしばらくの間、自分たちを励ましていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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小話『メンマ』

 

「しっかし、昔から星はメンマが好きですねぇ……作る側としてもありがたいですが、壺に頬ずりしすぎて頬を怪我するとは……」

 

「ふふ、これほどメンマを作るのが上手なソウ殿ならわかると思いますが、良いでしょう!!メンマについてお教えしようではないですか!!

 

まずメンマとは

 

毎日、夜も明けぬ頃に店の主人が山へ行き

 

巣穴から生まれたばかりの子メンマを

 

つまんではカメへ

 

つまんではカメへ

 

それを女将が秘伝の汁で

 

じっくりと漬けたもの……

 

一方その頃、親メンマは子メンマを捜し

 

命尽きるまで彷徨い続ける

 

一時の休息を取ろうとする親メンマに悲劇は続く

 

親メンマを狙う大鷲の登場だ

 

(星裏声)「キャー、ヤメテー。アタシソンナツモリジャー。」

 

(星裏声2)「ウケケ、ソンナコトヲイッテモ、ウマソウナシル、ダシテンジャネーカー。」

 

そのまま一瞬の内に親メンマは大鷲に食べられる

 

しかし、親メンマは一人や二人だけではなくまだまだたくさんいるし

 

大鷲だってたくさんいるのだ

 

子メンマも親の顔を数度見た程度

 

しかし、運命とは残酷なものでまだまだ悲劇は続いて行き……

 

 

 

 

 

 

三十分経過

 

 

 

 

 

 

そして最高のメンマとなり

 

さまざまな者の口の中に入っていき力を溢れさせ

 

賊との戦いではまさに無双となり

 

バッタバッタと賊を倒して全滅させていく

 

勝った!!第三部完!!

 

と、思いきやさらに強大な敵が立ちふさがり……

 

 

 

 

 

 

さらに三十分経過

 

 

 

 

 

 

と、なりつまり親メンマの悲劇はまだ続いて行くのだが

 

続きは公式ファンブックでしか見られないようになっていて

 

メンマ公式ファンブック(税抜き二千五百円)を買って

 

親メンマの悲劇とメンマと大鷲の間にできた子供の結末を知るしかないということで

 

メンマというのは生きているのです!!」

 

「メンマの素材ってタケノコなんですがねぇ……」

 

「乱世とはいえ食すだけの者はその本質をおざなりにしてしまいがちというのが事実……」

 

 

 

 

 

 

「だがこれだけは言わせてもらう!!

 

  メンマは人の命よりも重い!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ食うなよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
内容がほとんど進んでない気がするのは俺だけなのだろうか・・・
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コメント
アーマイルさん 小話の方はメンマ(厨)の毒とでも名付けましょうかねぇ(ぺぺぺ)
後半はまさに死神の毒(アーマイル)
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