特務戦隊 Lパワード! 第7話 ミキの実力
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(惑星イネット・第2ポート・管理官アルの部屋)

 

 作戦会議を開くことになったのだが、結局は全員参加になってしまった。

 

アル「さて、会議と言っても論題はそう多くない。それに今の状態では多くを議論している時間もない」

ミキ「そうはいってもこんな事態です。とにかく皆さん、一息ついて、落ち着いて考えましょう。Lフォートレスからクッキーと熱い紅茶を持ってきました」

アル「彼女は?」

メイコ「うちのチームのお世話をしてくれているアンドロイドのミキさんです」

ミキ「地球で飲まれている“紅茶”ですが、アルさんは大丈夫ですか?」

アル「ああ、大丈夫だ。どうもイネットの文化は地球というところとクロスしている部分が多いようです。有り難く頂きます」

 

 その場の全員がミキが持ってきたクッキーと紅茶を口にした。「そう言えば少し空腹だった」と、全員が思いだした。

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 サクッ サクッ ズズーーー

 

アル「ふぅ。美味しいお茶ですね。クッキーという焼き菓子もなかなか美味しい。少し落ち着けたよ。有り難う」

ミキ「いえいえ、これが私の仕事ですから」

アル「さて、落ち着いたところで、まずこれからの作戦の前に、“前提”をお話しておかないといけませんね。はっきり言います。リン様とレン様、そして生き残りと我々、「以外」へは躊躇無く引き金を引いてかまいません」

ルカ「え!? だって、あの“繭”って、元は“星の住人”なんでしょ!? クトゥルフの話では、人に寄生するときは、「少しの細胞植え付けと精神を乗っ取る事」らしいし」

アル「それは“人型で生活するクトゥルフ”の場合のようです。先ほどのお茶の間に、あの細胞の遠距離スキャンを行った結果が入ってきました。その結果、確かに“イネット人”の細胞は存在しているのですが、体の90%が別の物質、つまりクトゥルフ側の生物らしき『異物』に占領されており、おそらくあの繭から出て来るであろう生物は、もう「元のイネット人」とは言えないのですよ。クトゥルフが撒いた細胞は、どうやら“数少ないクトゥルフに使われるだけの動物の細胞”であり、時に兵器であり、時に家畜である、わけですな」

リリィ「なんてやろうなのよ・・・命の尊厳もあったものでないわ・・・」

海斗「まさに、バイオハザード状態だな。失礼だが、つまり、その繭から出てくる物体は『ゾンビ』ってわけだ」

アル「『ゾンビ』?」

メイコ「我々の星の映画等で出てくる空想上の生物、『生ける屍』。現実的に一番近いのは、“生きているけど、異種細胞に犯されて理性を失った生物、もしくは、変貌して暴走した生物”」

ミキ「そうですね、残念ですが、アルさんの判断から考えても、それが一番近いでしょう」

アル「全く、情けない話だ・・・。あんな異星生物1体のために、我々の星の種がほとんど絶滅してしまうとは・・・」

海斗「とにかく、奴らが襲ってきたら、銃の引き金を引くこと、致命傷の一撃を与えることは、躊躇する必要がないわけだな」

アル「はい。ただ、まだ繭になっていない生存者もいると思いますので、住居地区には大がかりな攻撃を加えないで下さい。こちらでスキャンしながら、連絡します」

メイコ「うーん、生存者の事を考えると、ここへ攻め入るゾンビへ、Lフォートレスから攻撃を加えて殲滅しながら、王宮へ突撃するのはだめそうね」

アル「星をスキャンした結果、生存者の反応は、個数を減らしながらもなんとかここと、第1ポートへ向かってます。我々と第1ポートのクルーで、逃げてきた生存者の収容は行ってます。あなた達はLフォートレスで王宮に向かって下さい。両ポートでの生存者の収容が終わり次第、そちらに連絡します」

リリィ「え? ってことは・・・」

アル「はい。そちらでレン様とリン様の救出が終わり次第、あなた達と、我々と生き残りを乗せた船団で脱出し、この星を爆破します」

ルカ「えええ!!??」

アル「仕方ありません。こうなってしまっては、多かれ少なかれ、我々は、奴らの繁殖媒体になるか、そのままでも奴隷にされるかでしょうから」

学歩「やむなしだな。地球側の方たち、すまんが、その時は、地球で生活する権利を与えて欲しい。個体数はごくわずかだ。君たちの邪魔はしないよ」

めぐみ「それに人間型になった状態で生活するから」

メイコ「侵略意志もないし、それは構わないけど」

学歩「我々も他の星を調査し、住める環境だと判断した星があれば、そちらに移住することにする」

メイコ「・・・OK。みんなも異論はないね?」

ルカ「こんな状態ですから、協力するのは当然です」

リリィ「問題なしだよ」

海斗「知っている仲間が増えて、こちらとしても嬉しいかぎりだ」

ミク「助け合いの精神ミク」

ミキ「出来る限りの協力はします」

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メイコ「OK。アル、王宮までの地図をLフォートレスに入れたいから、なにか媒体にいれて頂戴。Lフォートレスで王宮になぐり込みます」

アル「ディスクがある。学歩、これは使えるな?」

学歩「この星の媒体は、そのまま地球の媒体として使える。問題無しだ」

メイコ「リンとレンの事は私たちに任して、アル達は生存者の収容と脱出の準備を急いでね」

アル「わかった」

 

メイコ「じゃあ、リンレン救出大作戦、スタートよ!」

 

 こうして、そこの全員が準備に取りかかったのだった。

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(第2ポート、星内部側の発着場)

 

 準備が整ったLフォートレスは、王宮への最短方向へ向けて用意され、ネルハクテトもLフォートレスの準備をし、Lパワードの面々もブレスレットをかざして、バトルスーツを装着し、戦闘の準備を整えた。メイコが艦長席について、一息ついた。

 

 すると、第2ポートの管制室から、アルの連絡が入った。

 

アルの声「そちらは準備いいか?」

メイコ「こっちはいつでもOK。そっちはどうなの?」

アルの声「生存者の収容は続けている。それとそっちでも確認出来ていると思うが、王宮付近から我が星の戦闘機が出動している。こちら側の存在が、こっちに向かって攻撃する事は考えにくい。おそらく繭から羽化したクトゥルフ側の戦闘員が搭乗している事は間違いない。そちらも躊躇なしで砲撃して構わない」

メイコ「了解。ではこちらも発進するけど、いいかしら?」

アルの声「OKだ。ゲートを開けるから、一気に突っ切ってくれ!」

メイコ「了解」

 

グーーーーーーン!

 

 発進ゲートが開き、繭で固められた星の内部が見える状態になった。

 

ネル「僕の方は準備OKだよ!」

ハク「こちらもオールグリーンです!」

テト「(ノ*・ω・)ノ」

 

メイコ「では。Lフォートレス、はっっっっっしん!!!!」

 

 グイ!

 

 ネルは全バーニアを点火させ、相当の加速度を稼いで発進させたので、Lフォートレスは一気にゲートをくぐり、繭で覆い尽くされた地表の空へ、飛翔していった!

 

ルカ「しかし・・・なんて異様な光景なの・・・」

リリィ「地表がほとんど繭で埋め尽くされている・・・」

海斗「エル・・・絶対助けてやるからな・・・」

ミク「ミク〜、絶対助けるミク〜」

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(王宮周辺・上空)

 

 ブーーーーン ブーーーーン

 

ネル「うーん、レーダー反応から、僕が考えても、あの“ブーーーーン“ってのが、向こう側の戦闘機だね」

ハク「でも、1つ困ったことがあるのよね」

テト「(´・ω・`)」

メイコ「困ったこと? 主砲で片付ければ済むんじゃあ・・・」

 

ネル「それがそうはいかないんだよ。Lフォートレスの侵入経路だけ片付けるとしても、主砲じゃあ、火力が強すぎて、王宮をぶち抜いてしまうんだ」

ハク「さすがエル、こちらの事を知り尽くしているのか、戦術を心得ているのか、頭良いわ」

メイコ「うーん・・・・・・わかったわ。ならこちらも戦術を使おうじゃないの! ということで、Lパワードの皆さん、早速だけど、今から出動よ」

ルカ「え? だって、まだ空中よ?」

メイコ「さっきのネルの話の通り、こちらの戦艦の武装で攻撃出来ないなら、ライン上の1機1機を落としながら、経路を確保して侵入する方法を採るしかないよね?」

リリィ「ま、まぁ、それしかないと思うけど・・・」

メイコ「でも、こちらには小回りが利く機動兵器がないの。だから、あなた達のバトルスーツが必要なわけ」

海斗「え・・・ま、まさか、これで敵陣に突っ込めと・・・」

メイコ「ご名答よ。リリィとミクと海斗が飛行できるから、ルカはその誰かに乗っかって、スカイサーフィンするように空中移動し、あいつら1機1機を落としながら。侵入経路を確保して、王宮に入り込むの。あいつらもあなた達みたいな、『小さいターゲット』相手では分が悪いから、おそらく、“攻撃出来ない戦艦”に攻撃を仕掛けてくると思う。相手が戦艦に近ければ、こっちの装備でも攻撃できるのよ」

 

ルカ「・・・わかったわ、その戦術、やってみようじゃないの。海斗! 貴方の機動性能で私の伸びるパンチを使いたいから、乗せてね?」

海斗「あ、ああ、わかった」

 

ネル「僕の計測では、最短侵入経路は、この戦艦の艦首が向いている方向だよ。一直線に向かった方がいいと思うな」

メイコ「いきなり危険なタクティクスで申し訳ないけど、頑張ってきてね」

ミキ「私も行きますよ」

ルカ「え!? ミキさんも行くの?」

ミキ「こう見えても、戦闘能力もあるんですよ? 飛べるし」

メイコ「そういえばそうだったわね。じゃあ、Lパワードの面々をサポートしてあげてね」

ミキ「はい」

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(Lフォートレス 前部ハッチ)

 

 艦首の下の前部ハッチは開いていた。

 

ネル「みんな! ハッチを開けたよ! これからは地獄の一丁目だけど、頑張ってきて!」

 

ルカ「全員、発進!!!」

 

 バシュバシュバシュバシュ!

 

 Lパワードの面々とミキが、前部ハッチから飛び出していった! 

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(王宮周辺・上空)

 

戦闘機Aコクピット内「@「「「「・・!!!!!!」

 

 ドカーーーン!

 

戦闘機Bコクピット内「「「@@「・・!!!!!!」

 

 ボカーーーン!

 

 布陣はこうだった。王宮と艦首を結ぶ一直線のルートを進む事にして、ミクを下方の中心に添え、前方に海斗と海斗に乗っかったルカ。後方にリリィを置いた縦に逆三角形の陣にしたのだ。後方のリリィは遠隔操作のリトルビーを飛ばして、自分の武器と共に敵機を落とし、落としはずれた敵機を前方の海斗とルカが確実に落としていく戦法だ。ミキは分析を主にして貰うため、更に後方で守っていた。

 

 これは巧くいった。敵機はルカ達のデータを持っていないため、速攻で攻めてくるルカ達の戦術を分析する前に落とされてしまったのだった。ルカ達の武器は、ルカの伸びる腕、海斗のライフル、リリィの遠隔ビットと、どれも“遠・中距離武器”だったため、敵機は対応出来ずに次々落とされていった。

 

ルカ「よし! 王宮入り口までもうちょっと!」

 

 ズーーーーン!!!

 

 王宮のゲートの前、カタパルトの下からせり上がってきたプレートには、重装備の騎士型機動兵器が鎮座ましましていた。

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海斗「どうやら敵さん、そんな簡単には入らせてくれないようだな」

リリィ「厚い鎧に身を固めた、騎士型の大型機動兵器か・・・。ミキ、コイツの分析、終わった?」

ミキ「終わったけど、こいつの装甲、相当厚くて頑丈ですね。皆さんは今回は休憩です。後方でミクさんに補給してもらっていて下さい」

ルカ「いいけど、ミキ、一人で大丈夫?」

ミキ「私にも戦闘モードはありますし、こういう敵には適する装備がありますから」

 

 こうして、ミキ一人が大型機動兵器に対峙し、4人は後方に移動し、ミクのオーラでエネルギーや体力の補給を受けていた。

 

ルカ「ほんとに大丈夫なのかな?」

 

大型機動兵器「@「」「@「@「」@・・・(怒)」

 

 クイクイ

 

 機動兵器のパイロットは、バイオハザードを受けているなりに、“ミキ一人との戦闘”で、バカにされて怒っていた。機動兵器の腕部と手首で、“かかってこいや”、と手招きしていた。

 

ミキ「こういう装甲が厚くて鈍重な敵には、こういう攻撃がうってつけなの!」

 

 ガッチャン!

 

 ミキの手の平の中央に砲身が現れ、機動兵器の中央に標準を合わせた。

 

ミキ「超高パルスウェーブ、発射!」

 

 ドドドドド!!!!!!

 

 砲身から、周囲の空気が激しく振動する超高周波のパルスウェーブが、機動兵器に向かって流れ始めた! 発射されて流れていったラインがカタパルトに残る位、激しい振動波であり、それは機動兵器を直撃した!

 

大型機動兵器「ゴオオオオオオオ!!!!!!」

 

 機動兵器の装甲は激しく振動しているだけだったのだが、最も激しく攻撃を受けたのは乗っている“パイロット”とコクピットだった。頭部のスコープが割れ、コクピットハッチがはずれ、中から人型のモノがドサっとカタパルトに落ちて、そしてその機動兵器は動きを停止したのだった。

 

 ミキは後方で真っ青になっているLパワードの面々へ視線を移して、真顔で説明し出した。

 

ミキ「この武器・・・中に“殺しては行けないパイロット”がいるときは禁則事項で使えないから、もっぱらターゲットは“無人機相手”なんだけど、中のパイロットへの攻撃を躊躇しなくていいから、使いました。相手もバカじゃないだろうから、これと同種の機動兵器は、もう出てこないと思いますけど。では、中に入りましょう。

 

Lパワード4人「この人は相手にしちゃだめだ・・・」

 

 こうして5人は、カタパルトを突き進み、王宮に入っていったのだった。

 

(続く)

 

CAST

 

ルカ:巡音ルカ

エル=レン=クトゥルフ:鏡音レン

リリィ:Lily

ミク:初音ミク

海斗:KAITO

メイコ:MEIKO

ミキ:miki

 

リン:鏡音リン

学歩:神威がくぽ

めぐみ:GUMI

トニオ:Tonio

 

管理官アル:Big・AL

 

その他:エキストラの皆さん

説明
☆多忙故の更新遅延、恐縮です…
☆2020年夏季オリンピック 東京開催おめでとうございます! たまたま早く起きていたので、おめでたいし更新しました!

○ボーカロイド小説シリーズ第12作目の” 特務戦隊 Lパワード!“シリーズの第7話です。
○今回は戦隊モノです。
○ギャグあり、涙あり、ワクワクありの、戦隊モノの王道をボカロ達に演じて貰いました。
○まぁ、今回もカイトにーさんは、ギャグ要因で不憫な役なんですけどね・・・。
○Lパワードの“L”が何を意味するのか? お楽しみに。

☆今回はミキさん大活躍です。というか、メイドさんの様な仕事をしながらも、これだけの攻撃力・・・。恐るべし・・・
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Vocaloid 巡音ルカ 鏡音リン 鏡音レン Lily KAITO 初音ミク MEIKO インタネボカロ AHSボカロ 

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