太守一刀と猫耳軍師 第18話
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幽州を中心として、いくつかの州を版図に加えた俺達は、来る日も来る日も軍備と政治に明け暮れていた。

 

仕事をすればそれだけ町は良くなっていく。

 

募兵所に若者が列を作るようになり、軍の規模もかなり大きくなった。

 

そんな中、俺達は今後について話しあおうと玉座の間に集まっていた。

 

「現在、私達の支配区域は経済状況、軍備状況、いずれをとってもかなり充実を見せています」

 

「兵力としても、曹魏には劣りますが、孫呉と同じかそれ以上にはあるはずですけれど、両国と同時に事を構えるのは無理でしょうね。」

 

みんなの意見としては、専守防衛にするか、先手必勝でどちらかを攻め落とすか。

 

という二択らしい。どちらが被害が少ないかといえば、おそらく打って出る方か。

 

「曹操は人材を求め、孫権は領土を求め、か。この際、桂花や紫青、愛紗に魏へいって曹操をたらしこんできてもらうというのはどうだ?」

 

「なっ!? なんて案出すのよ!」

 

「さすがに冗談でも怒りますよ?」

 

「な……何をバカな事をいっている! 誰がそんなことするか!」

 

星のいった冗談に露骨に嫌そうな顔をする3名。

 

確かに、曹操は桂花や紫青、霞に愛紗と、正史で執心だった者や元々曹魏に居るべきだった人物が欲しい欲しいと漏らしているって聞くし。

 

そういうのも無くはないんだろうけど。

 

「生命線は握ってるんだけどね。塩っていう」

 

最近塩の生産効率がかなり良くなっていて、魏に結構な量を輸出している。

 

間諜の話しだと、かなりの所をこちらで作る塩に頼っているとか……。

 

日本の関西でいうところの、滋賀の「水道止めるで」っていうのをやれるわけである。

 

もっとも、塩を止めるといったら速攻で攻めこんできそうだけど。

 

魏と呉の様子を聞いてみると、魏は西を併呑したばかりで統治が安定するまで付け入るすきがある。

 

呉は富国強兵に取り組み、それは半ば成功している。孫権はまず防衛ありきだから侵攻までにまだ余裕がある。

 

それに孫権派と周瑜派にわかれており、一枚岩ではないために、こちらにも付け入るすきはある。

 

とにかく相手の状態や地理が詳しくわからなければ始まらない。

 

向かわせる忍者隊の数を増やし、情報収集に勤めることにした。

 

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「さて、今日の仕事は終わりと……」

 

午前中に仕事を切り上げて、自室を出て、今日も良い天気な事だし何をするかと思案する。

 

「町でも見て回るか」

 

休日といってもできることはしれてるし。

 

寝るか、城内をぶらつくか、町をぶらつくか。

 

今日って他に誰か休みの人いたっけかな。

 

しばし考えてみる。確か今日は……。

 

「華雄と紫苑か」

 

華雄を町に誘ってみるか。

 

城内をぶらぶらと歩いてみると……。

 

居た居た。城の庭に座っている華雄を発見して声をかける。

 

「主か、どうした? 何か用事か?」

 

「町に出るから一緒にどうかとおもってね。昼ごはんぐらいおごるし」

 

「ああ、かまわんぞ」

 

と、二つ返事でOKをもらい、2人で町に繰り出した。

 

 

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「さて、昼ごはんどうしようかなぁ」

 

のんびりと考えながら町をぶらぶらと。歩く。

 

「普通に、ラーメンあたりでいいのではないか?」

 

それもそうなんだけど、いつもそれじゃあひねりがないしなぁ……。

 

「ごしゅじんさまだー!」

 

なんて考えていると飛び込んでくる幼い声。この声は璃々ちゃんだな。

 

「そういえば今日は紫苑も仕事休みだったな」

 

紫苑と一緒に歩いてるその姿にひらひらと手を振ると、こちらにやってくる。

 

「わーいっ! ごしゅじんさまだー!」

 

「買い物?」

 

「ええ、璃々に新しい服を買ってあげようとおもいまして」

 

「なるほどね。こっちは華雄と息抜きってとこ。これから昼ごはんどうしようかって話してたとこなんだけど、一緒にどう?」

 

「ごしゅじんさま、璃々、やたいがいい」

 

そういえばこの通りにも屋台があったな。丁度昼時だから店に入ると混み合いそうだし。屋台もいいか。

 

「屋台ね、華雄もそれでいい?」

 

「主のおごりだし、主がそれでいいなら私はそれでかまわないぞ」

 

嬉しそうに走って行く璃々ちゃんに3人でついていって屋台で食べあるき。

 

でも屋台でご飯食べると、偏っちゃうんだよな。

 

璃々ちゃんは串焼きをもぐもぐやってるのを横目に見ながら。俺と華雄はといえば、立ち食いソバならぬラーメンをすすっている。

 

紫苑はさすがに璃々ちゃんの面倒を見なくてはいけないので汁物を食べる余裕はないらしい。

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「これはこれで美味しいんだよな」

 

「そうだな。量は少ないが、その分ほかの屋台で好きなようにおかずを組み合わせられるのがまたいい」

 

屋台で昼食をすませれば、そのまま璃々ちゃんにつれられる形で服屋へ。

 

「そういえば、華雄は普段着に可愛い服とかってもってないの?」

 

「不要だ。私は武人だぞ?」

 

「武人でも女の子でしょ。それに素材はいいんだから、もったいないとおもうけどなぁ……」

 

で、そんな会話を聞いていた紫苑に華雄はロックオンされてしまったらしく、ずりずりと服屋の中へ連れて行かれてしまった。

 

ああ、これはもう逃げられないだろうなぁ……。

 

「よ、よせ! 不要だというのに!」

 

「ふふ、ご主人様はきっと褒めてくださるわよー? そうだ、ご主人様に選んでもらいましょう」

 

「んー」

 

そういえば、星の服とか着物っぽいし、ひょっとして着物あるんじゃ……。

 

着物は胸が薄いほうが似合うっていうし、華雄くらいならよく似合うんじゃなかろうか。

 

商品を物色していると、やっぱりあったよ、着物系のコーナー。なんであるんだっていうツッコミはこの際無しにしてだな。

 

華雄は銀髪だから、黒系のヤツが髪が映えて似合うかなぁ。でも黒系だと地味かな……。

 

「これとかどう?」

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結局選んだのは、紺色の着物でモミジのワンポイントが入っているヤツ。

 

普段の華雄の服の色が赤と紺がメインだから似合うのではないかと思っただけ。で、帯はグレー。

 

でもこれだと普段とあんまり変わらないような気もするな。

 

華雄が自覚してるかどうかは分からないけど普段の衣装が結構可愛いし。

 

選択肢としては露出度を上げていくかもしくは下げて清楚系にするかだけど……。あえて清楚系に走ってみた。

 

そして華雄はさっそく試着させられるハメに。というか着物の着付けとかできたんだ、紫苑……。

 

どこを触ってるんだ! とか 見るな! とかいう声を外で聞きながら待つことしばし。

 

試着室からようやく出てきた華雄は、何だか頬を赤くそめて恥ずかしそう。

 

予想以上に着物は似合っていた。

 

「すごい似合ってるなぁ……」

 

「かゆうおねーちゃんかわいい!」

 

「ほんと、かわいいわね」

 

おそらくいちばん攻撃力があるのは璃々ちゃんの一言か。すっかり顔を真っ赤にしてまぁ……。

 

「う、動きにくいんだが……」

 

「戦闘服じゃないしそれ。しかしホントに可愛くなったなぁ……」

 

「これで化粧をすればもっと可愛く……」

 

紫苑の目が危ない事になっている気がした俺は、どうにか現実に引き戻して、なだめる事に成功。

 

この服は華雄に買ってあげて、また紫苑が暴走するまえにここで別れることにして……。

 

値段はそんなに高くなかった。現代だと着物はたっかいイメージあるけど、そうでもなかった。

 

「んー、それにしても可愛いなぁ」

 

「あ、あんまり見ないでほしいんだが……」

 

「よし、このままお菓子屋でもいこうか」

 

「菓子屋……」

 

悩んでいらっしゃる。さっさと帰って着物から開放されるのと、甘い菓子を食べるのとで天秤にかけてるなこれは。

 

先に立ってあるけば華雄はしぶしぶといった体でついてくる。でもその顔は何だかうれしそう。

 

それにしても、こう、おしとやかにみえる華雄って結構貴重じゃなかろうか。

 

この後、夕方まで華雄を連れ回し、2人で休日を堪能した。

 

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あとがき

 

どうも黒天です。

 

今回は華雄さんでした。

 

可愛い服ってどうしよう、って所で、ここであえて露出度を下げるという選択肢。

 

黒天は絵心がないので華雄さんの着物姿は想像力を働かせてください。

 

極妻に見えるとかいわない。

 

多分次回は紫青さんかなー……。

 

さて、今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

また次回にお会いしましょう。

説明
今回は華雄さんの拠点な感じです。
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コメント
呂布の代名詞ともいうべき方天画戟すら実際はもっと後の宋代の武器ですしねぇ。(紅蓮のアーティスト)
今恋姫を調べてたら、霞の武器の名前が愛紗の「青龍偃月刀」に対して「飛龍偃月刀」であることが分かった。知ってたらスイマセンm(_ _)m(風見海斗)
…実際、真・魏√では化物が服飾店経営してると思しき台詞が出てきます。次にレベルが高いのは、武器でしょうか?実は三国志の時代には、鋼鉄の精製技術が無かったのです。なので、三国志演義の著名な武器は、かなり嘘っぱちが多いです。実際の三国志時代の武器は、その殆どが青銅製だったと言われているらしいです。(クラスター・ジャドウ)
外史の文明レベルは良い意味で荒唐無稽だが、特にレベルが高いのは服飾関係だと思う。等身大の姿見は在るわ、現代でも通用しそうなドレスは在るわ…。これって裏で、かの化物が暗躍して文明レベルを上げてるんですかねぇ?肯定派管理者って、「歴史」への介入制限は厳しそうでも、文明への干渉は緩そうな印象なので。(クラスター・ジャドウ)
>>いたさん ふむふむ……。中国でもいくとこ行けば岩塩なりなんなりありそうですね。(黒天)
塩の話で、長文のコメントでご迷惑かけます。自分が知る限り、長野県の山の中で塩水が湧き出て塩が現在も採れているそうです。場所は長野県の大鹿村で、にがりが入っていない状態の塩水だそうです。(いた)
>>ヒトヤの蠱惑魔さん 星さんですね。書き足しておきます。(黒天)
たらしこめと言ったのは誰でしょうか?(親善大使ヒトヤ犬)
>>いたさん おお、また詳しい話しが……。日本でも塩止めというのが過去にあったのは知っているのですが、詳しくはほぼ知らなかったです。参考にさせていただきます!(黒天)
長いので追記を。これを謙信の義の行動という人もいますし、越後は関係ないから当然送ってくるはずだという人がいて、真相は不明です。ただ、自分が知る限りだと、今川氏の塩止めの書状と松本に謙信から塩送ってもらったときの牛を繋いだ「牛繋ぎ石」があるそうです。(いた)
着物姿、和風も良いですね。後、塩止めの件で情報提供を。戦国時代に今川氏が相模の北条(後北条とかいうらしいですが)と手を組んで武田信玄に塩を送らないようにしたそうです。ですが、越後の上杉謙信が卑怯だからって言って塩を武田信玄に送ったそうです。(いた)
>>きまおさん ふむふむ。確かに着崩した着物っていうのも中々よいものです。無印で愛紗相手にやってましたが、真でもやってたんですねー……。指摘の部分は修正しました(黒天)
>>ノエルさん なんと、同人ゲームまで作ってしまわれるとは恐るべしww すごい人がいるんですね……。(黒天)
>>たっつーさん その発想はなかった。んー、でも紫苑さんは意外と嬉々として着そうなきがしますw(黒天)
>>nakuさん うーん、なんという無茶ぶりw 正直難しいですよww(黒天)
着物はなだらかな筒型になるのが理想とされていますからね。あ、でも紫苑さんのようにムチムチ(死語?)な人が着崩した着物もイイ!ってか紫苑さんは無印でも真でも着飾ったヒロインを一刀へ送り込んだ確信犯w(当然食べられる)・・・あと一つ指摘。それに孫権はと周瑜派にわかれており>孫権「派」が変換されず平仮名のままですよん。(きまお)
華雄ねーさんの絵ならやっぱりyagami氏だろうなー・・・今のとこあの人以上の華雄絵師にはお目にかかってないw 華雄ねーさん主役の二次創作同人ゲームまで作っちゃったしw(ノエル)
>>Alice.Magicさん そんなに可愛いなら一度見てみなくてはw(黒天)
>>陸奥守さん 一度見てみます(黒天)
↓確か 外史の統一者 3-17のことでしょうかね? 違ったらすみませぬ。しかしあの華雄たんはかわゆい・・・(Alice.Magic)
↓No.158085だった。巫女服姿がすばらしい。(陸奥守)
華雄の着物だか巫女服だがのイラストがこのサイトにあったはずだけど。(陸奥守)
タグ
恋姫†無双 一刀 北郷一刀 華雄  

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