魔法少女リリカルなのはSTRATOS 第二話 誰かが言った「チートに弱点はつきものだ、例えそれがバグであろうとな」と
[全1ページ]

神様からの手紙を受け取り、とりあえず地図に記された住所に行くため、森を抜けようと歩き続けて早15分。

やっとの思いで森を抜け出た俺の目の前には広大な海と面した街、【海鳴市】があった。

 

「にしても凄いな……この【目を隠す能力】っていうのは」

 

腕に填められた腕時計に記された7:30。という数字を見ながら俺は感嘆の声を誰にも聞こえないくらいの音量で静かに上げていた。

現在時刻は朝の7時半頃、丁度小中高の学生が学校に登校する時間帯である。そして一夏の身体は今や小学生のサイズとなっている。この事から導き出される答えは一つ、そう補導だ。

誰だってこんな時間帯にランドセルも持たずフラフラとしている小学生くらいの子供が居るのを見かけたら声を掛けるなり学校に行くよう声を掛けるはずだ。しかし、残念なことに一夏は学校に通っていない。そうなると色々と後が面倒になるので一夏は仕方なくバグ特典の一つにあった周囲の意識を反らす能力【目を隠す能力】を使ってどうにかやり過ごしているのであった。

 

余談だがこの能力とは正反対の効果を持つ【目を奪う能力】というものが一夏のバグ特典にあったのは前回の話を読んだ読者諸君は承知済みであろう。

 

「おっ、ここか……」

 

しばらく歩くことさらに20分。ようやく一夏はこれから我が家となる一戸建て住宅に辿り着いた。

念の為に住所と地図、そして目の前にそびえ建つ一戸建て住宅を見比べてここで正解だと判断すると扉に手を掛ける。

 

ガチャッ

 

思った通り、扉に鍵は掛かっておらず、一夏が引いた扉はあっさりと開いた。

家に入ってまず最初に目についたのは来客用のスリッパや女の子向けの靴。どうして女の子向けのがここに?と一瞬考えたが小学生の身体でおよそ30分ほど歩き続けてきた一夏の体力が限界だったこともあり、その事については深くは触れることはなかった。しかし、次に目を向けたソレは無視することなどできやしなかった。

 

「な、なんだよこれ……」

 

おそらくリビングへと続くであろう扉。その前に立ちはだかるように、空中にフワフワと浮かんだ、黒いカーテンが存在していた。

 

「……」

 

ひとまずこれがなんなのか調べるため、無言のままカーテンの周りをぐるぐると回ってみせるが、特にこれといって怪しい物は無かった。そう『カーテンの周囲』は

 

「なんつーか、怪しさ満点だよな。このカーテン」

 

どっからどう見ても「自分、怪しいカーテンっすよ〜」と言わんばかりの不気味さと怪しさ。設計主に一言言ってやろうかとこの時一夏は割と本気で考えていた。

 

「さて、こいつを一体どうしましょうかね……」

 

その気になれば神様から貰ったバグ能力の一つ【大嘘憑き(オールフィクション)】でこの怪しげなカーテンを『無かった』事に出来るが、一夏はその考えを保留という形で留めておいた。その理由は大嘘憑きのそのものの決定的な弱点にあった。

それは『大嘘憑き(オールフィクション)によって無くなったという現実を無かったことにすることは出来ない』ということである。

これはわかりやすく言ってしまえばもしもこのカーテンを消してしまった場合、二度とそのカーテンは復活することがないということになってしまうのである。故に、そう簡単にこの能力を使役することは出来ないのである。

とすれば残された道はただ一つ。

 

「……行ってみるか」

 

ぽつりと呟いてから一夏はカーテンの中へ入っていった。

 

 

 

 

ところかわって第0管理外世界【グルメピア】にある海上施設

 

「ふぁ〜……」

 

朝を知らせるアラームを止めながら、少女は欠伸をかみ殺す。

栗色の長いストレートヘアを両側に垂らした顔は小さな卵型で、大きなはしばみ色の瞳が眩しいほどの光を放っている。小ぶりだがスッと通った鼻筋の下で、桜色の唇が華やかな彩りを添える。すらりとした身体を、白を基調としたワンピースに包み込んでいた。

 

彼女の名は優樹菜。一夏と同じ転生者で、ISの小説を通して一夏に好意を寄せる少女であった。

そんな彼女も今は女神によって小学生の身体となっていた。そしてお約束の特典(バグ)を貰っていた。その一つがこの屋敷であったりする。

 

「ふにゅう……」

 

ぬぼ〜っとしたままの優樹菜はその場で目をゴシゴシとゆっくりこすりあげた。

その様はまるで『幼き天使が舞い降りたかの如く』で、もしもこの場に人がいれば卒倒するレベルなのは確かなことだった。

 

先に言っておくが彼女は決して朝が弱いというわけではない、むしろそこらと比べれば強い方だ。では何故ここまで寝ぼけているのか?それは彼女の周囲に転がっている四つの機械と、それを囲むように陣取っている部品たちが物語っていた。

そう、優樹菜は『ある人物たち』のために四つの機械……デバイスを造り上げたのだ。しかもたった四日で

普通、デバイスというのは使用者のデータや調整、なによりも製造そのものに長期の時間を取られる。だというのにまだ十代(本来は十六歳)にすらなっていないこの少女はそれをいとも簡単に、しかも短期でやってのけたというのである。まさに天才と呼ぶに相応しい人物だった。

 

(シャワー……浴びようかな)

 

徹夜で製作に専念してたあまり、昨日は風呂に入っていないことを思い出した優樹菜は被っていたシーツをズルズルと引きずりながら風呂場へ向かう。途中、なにやら自らが設置したある物が置いてある方から物音が聞こえた気がしたが大方四人いる同居人の一人が遊びに来たのだろうと考えながら風呂場に入っていった。

生温い温度に調節したシャワーを浴びながら、次第に覚醒しつつある優樹菜は途端にあることを考え出した。

それは自分以外にも転生者がおり、その人物がこの家にやってくることだった。

この時優樹菜は女神にその転生者の詳細データを公開してもらったが、それを読み上げるやいなやすぐさまこの屋敷に籠もった。理由は、恋する乙女故の衝動とでも言っておこう。

 

「ふんふふんふん〜ん♪」

 

次第に脳が覚醒していくにつれて、優樹菜のテンションが徐々に上昇してくる。それはもう鰻登りのように

だが次の瞬間━━

 

ドガァァァァァァァァァァァァァァン!!

 

「ふにゃっ!?」

 

突如屋敷内のどこかでドデカい爆発音が発生したかと思うと今度は連発するように小刻みに爆発音が鳴り響いていく。

 

「……とりあえず原因を調べなきゃ」

 

慌てて風呂場からあがった優樹菜の右手には十字架を模した黒いペンダントが握られていた。

 

「行くよレギルス!スタンドアップ!」

 

『stand up!』

 

そしてペンダントから黒い光が放たれるとそこから出てきた優樹菜は風呂場を出てからの姿から某VRMMOに捕らわれていた閃光の異名を持つ少女が着ていたという白と赤を基調とした戦闘服を身に纏っていた。

 

「そして、ダブルブレイヴ!」

 

優樹菜が続けてそう叫ぶと右手に神々しい剣が、左手には禍々しい剣が、それぞれ握り締められていた。

そうして準備が整うと、すぐさま優樹菜は爆発音が起こった方向へ跳んで行った。

 

 

 

 

時は少し遡り、一夏視点

 

「どこだ……ここは?」

 

この世界に来たときと同じような言葉を口にしながら、一夏は海の上に設置された目の前にそびえ建つ東京ドーム四つ分位はあるのではないか?と言わんばかりの規模を持つ施設を見上げる。

この世界の自分が住む家に入ってすぐさま見つけたあの怪しげなカーテンを潜ったらその先には海の上に存在する超がくほど巨大な施設。これに驚くなという方が難しい……というか無理に等しいだろう。

 

「さて、それじゃあまずは調べてみますか」

 

そう言うと一夏は目の前の建物に睨み付けるように視線を向ける。その目は、普段の穏やかな薄赤な瞳は深海のように深い青い瞳へと変貌していた。

 

「全てを見通す、千里の眼!」

 

これこそが神より授かりし(押しつけられた)バグ能力の一つ、【千里眼】で、本来は遠くのものを見通す能力なのだが今使っているように視界に入ったものに関するあらゆる情報を脳に送ることが出来る能力である。

決してあのカーテンの時に何故使わなかったのか?などとツッコんではいけない

 

「ふぅ……」

 

千里眼発動から数十秒、どうやら能力を解除したらしく一夏の眼は元通りの薄赤色に戻っていた。

 

(なるほど……自己修復能力に外との進行時間をずらしている。おまけに敷地内には見覚えのある猛獣やマシンばかり……どうやら俺以外にもいるみたいだな)

 

━━神によって他の世界からやってきた転生者が━━

 

ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー!

 

『エマージェンシー!エマージェンシー!侵入者撃退システム【モビルモンスターズ】出撃及び放出!繰り返す、エマージェンシー!エマージェンシー!』

 

突如、けたたましいサイレントと共にアナウンスが屋敷内に鳴り響くと、どこからともなく見覚えのある量産機やこれまたどこかで見たことのある猛獣たちが出現する。

 

「おいおいおい……ガフランにバクト、おまけにファルシアとゼダスて……製作者はガンダ○ファンかよ。しかもティガ、レウス、ガルルガ、ナルガ、おまけに……」

 

『ヴロロ』

 

【名前】

ロックドラム

 

【分類】

巨大甲殻獣類

 

【捕獲レベル】

27

 

『オブルル』

 

【名前】

オブサウルス

 

【分類】

哺乳獣類

 

【捕獲レベル】

28

 

 

『ガルルルル』

 

【名前】

般若パンダ

 

【分類】

哺乳獣類

 

【捕獲レベル】

80

 

 

 

…………うん、お前ら全員魔法ものぜってー関係ないよね?どんだけモン○ンとガン○ムとト○コ好きなわけここの持ち主は?つーかこれ用意した神もツッコみなよ。魔法もの要素取り入れようよ!?とかさ

 

「ま、別にいいんだけどな」

 

もしもこの場に彼の親友がいたとしたら「いや、絶対よくないだろ!?」と叫んでいたであろう言葉を口にして一夏は目の前の猛獣orロボットたちを視界に納める。

 

「さて、悪いけどお前ら━━」

 

適当に構えをとり、戦闘態勢に入ると猛獣&ロボットも同じく戦闘態勢に入る。

それは端からすれば無謀な戦いともいえよう。

なにせ相手はゲームやアニメで猛威を振るった猛獣や、主人公勢を苦しめた敵機で、対するはバグ特典があるとはいってもまだ使いこなせていない言わばチーターになりたてほやほやの転生者。経験と能力値の合計に数からすれば敵に軍配が上がるのは目に見えていた。にもかかわらず、この少年は決して臆することなく目の前の敵と対峙していた。そして静かに、しかしはっきりと告げた。

 

「━━俺のこのふざけた力の実験に付き合って貰うぜ」

 

人とは不思議なものだ。例え恐ろしい力だとわかっていても、それに魅力されてついつい手を伸ばそうとする。それは理性でどうにかなるものではない、何故ならば理性は所詮本能に逆らえないのだから

織斑一夏という人間もまた、そうして強大すぎる力に魅了されつつあるようだ。

 

『グルォォォォォォォォ!!』

 

『━━━━━!』

 

「へっ、まずはテメェからだ!火竜の━━」

 

完全に本能に忠実となった一夏はその手に真っ赤な炎を宿らせると高く跳躍し

 

「━━鉄拳!!」

 

そのまま奥にいた空の王者の脳天めがけてぶち込んだ。

たった一撃、されどその一撃で空の王者は大地に屈した。

 

【滅竜魔法】

 

元は竜迎撃魔法として竜が自らが育てた子に授けた竜殺しの魔法。何故自らを殺す魔法を自分の子に授けたのかは不明だがとにかくこの魔法は威力が高く、その気になれば街を一晩で全開するほどの力を持っていた。

 

ちなみに一夏が空に浮いていた空の王者を殴り落とせたのは彼のバグ特典、【王の財宝】から取り出したバグ特典【金色の本】に記された数ある呪文の一つ『ドラグナー・ナグル』による拳と脚力の肉体強化呪文を発動したことでできた芸当である。

 

『ガルォォォ!』

 

しかし、空の王者を殴り落とすために空中に一時停止してしまった一夏を好機と見なしたのか、般若パンダがその大木のように太い腕で殴りかかってきた。

 

「無駄だ。【屈折(リフレクター)】!」  

 

そんな般若パンダの右ストレートに対して一夏が左手を静かにかざしたその瞬間だった。

なんと般若パンダの右腕があらぬ方向にねじ曲がっていた。

 

『グギャァァァァァ!!?』

 

「煩い」

 

さらにそこに追撃を加えるように更なる特典【心臓圧縮(ZIP)】で般若パンダの心臓をこれでもかと圧縮した。

それにより、般若パンダの命は途絶えた。

 

「ぐっ!?」

 

しかしその直後、一夏の身体はいきなり巨大な鉛を乗せられたかのようにその場から動けずにいた。どうやら神様から貰った特典は能力一つを使うごとに身体に負担を掛けてしまうようだ。

 

「くそっ、何が『デメリットは無い』だよ。ばっちりあるじゃないか……」

 

神すら予想できなかった副作用か、もしくは知っててやったのかは知らないが、とりあえず現状で一夏は危険であることは容易に想像できていた。

 

「OK、よーくわかった」

 

何がわかったのか、それは身体に負担が掛かる=能力を使いすぎると疲労困憊で動けなくなる。つまり長期戦は何としてでも阻止しなけばならないということだった。

 

「今の俺の肉体レベルでこいつら相手に一つ一つ能力を使ってたらこっちが先にバテちまうってのがな」

 

だから、と呟くと一夏は疲労を覚悟して王の財宝を発動し、その中から黄金の本を取り出す。

 

「一撃だ」

 

途端、一夏が手に取った黄金の本がさらなる黄金色にその輝きを増していった。

 

「一撃で消し飛ぶような、そんなドデカいのを一発。お前らにぶちかます」

 

そう言ってる間にも本の輝きは徐々に増していき、最後には辺りが白で塗りつぶされているのでは?とさえ思ってしまうほどの輝きが本から溢れ出ていた。

 

『グ、グォォォォォォォォ!!』

 

そこで、怯んでいた轟龍が吠え猛るやいなや、一夏に向かって這いずるように突進を開始する。

 

「でやがれ!ーーー・ーーーー!!」

 

刹那、辺り一面は巨大な落雷が落ちたかのような音と大爆発が引き起こされたような音が混じり合い、とてつもない爆音となった。余談だが優樹菜が驚いたのはこの音であったりする。

 

そうして巻き起こった爆音はやがて静まり返り、そしてその際に撒き散らされた砂埃が収まったとき、

そこには猛獣達の肉片らしきものや鉄の破片、そして中枢で仰向けに倒れた一夏の姿があった。

 

 

 

 

「なに……これ?」

 

爆発の音源に辿り着いて、私が最初に口にした言葉はそれだった。

が、その反応は決して可笑しいものではない。目の前に広がる光景は自身の得たバグ特典【ブラックカーテン】がふわふわと浮いているだけのただの荒野、だがそこには確かに広大な森林と施設に続く扉があったはず。にもかかわらず、優樹菜の目に映るのは迎撃システムとして投入したモビルスーツや猛獣の肉片(一部は部品の欠片)だけだった。

 

「っ!あれは……!」

 

そうして辺りを見渡している内に、優樹菜はそれ以外のものを発見した。

荒野の中枢、そこに仰向けに倒れている人影に優樹菜は迷わず飛び出した。が、途中で優樹菜は気付いてしまった。

その人影が、自身の待っていたもう一人の転生者であり同時に片思いの相手『織斑一夏』だと言う事に……

 

これがそれぞれの神々によってバグ特典転生者とされ後に管理局から【白き聖騎士】と【朱き月光姫】と呼ばれる事となる二人の初の出会いであった。

 

 

 

 

最後に一夏が放った呪文は金色のガッシュを知る人なら絶対にわかるものです。ヒントは作中に出たとおり【雷】!

 

次回、同居人と転生者と衝撃の事実!?

 

一夏「つーか原作にはいつ介入するんだ?」

 

あと二、三話したらかな〜?

 

優樹菜「頑張ってね作者さん」

 

うん、頑張るよ〜!

説明
以前、匿名希望の方にここでガンダムやリリカルなのはの投稿は禁止とかそういう感じのを言われたので移転していたのですが他の人は当たり前のように投稿してたので戻ってきました。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
3497 3365 1
タグ
魔法少女リリカルなのは インフィニット・ストラトス 一夏バグ転生者 オリヒロもバグ転生者 ご都合主義な大嘘憑き ハーレムになるかどうかもわからない 

アインハルトさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。


携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com