真・恋姫?無双 〜夏氏春秋伝〜 第二十二話
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反董卓連合軍は、袁紹、袁術の2人を先頭に虎牢関前の平野に入り、尚も前進を続けていた。

 

やがて、虎牢関の門が目前に迫ってきた頃、連合の大半の者の予想を裏切って、虎牢関の門が開かれた。

 

今度こそはガチガチの籠城戦が行われるものと考えていた大半の諸侯軍は、董卓軍の突然の吶喊に対処が出来ていない。

 

それでも、幸いと言って良いのか、特に何も考えていなかったであろう袁家の2人は動揺することなく董卓軍と正面からぶつかり始めた。

 

「さぁ〜、皆さん!さっさと董卓さんの軍を蹴散らして、虎牢関ごとき、ちょちょいのちょいで落としてごらんなさい!」

 

何故堅牢な虎牢関での籠城を捨ててまで董卓軍が吶喊してきたのか、考えようともしていない袁紹。

 

その指示内容もまた、指示と呼べるのか怪しいほどの突撃一辺倒である。

 

そして、その様子はそっくりそのまま彼女の従妹にも当て嵌っていた。

 

「うはは〜、進め進め、進むのじゃ〜!麗羽姉様のところに負けたら承知せんぞえ!」

 

袁紹よりも規模が小さいとは言え、他の諸侯から見れば十分に大軍に数えられる袁術の軍。

 

その袁術の全軍までもが只々突撃を命じられるばかり。

 

虎牢関前の狭い平野に2つの大軍が犇めき合いながら突撃を繰り返す。

 

どうなるか、おおよその想像もつくだろう。

 

連携も何もあったものでは無い2つの軍。

 

しかも、十分なスペースも取れていないようなところで無謀な突撃ばかりでは味方同士で足が絡まり、転倒する者が続出する。

 

しかし、誰かが転倒したからといって、周りは止まることは出来ない。

 

結果、転倒したものは後続の味方によって踏み倒され、中には死亡する者すら出てくる始末であった。

 

そのような体たらくであるとはいえ、やはり袁家2つが並ぶと、その数は膨大なもの。

 

対峙する相手から見ればまさに肉の壁が迫って来るように感じられただろう。

 

並の軍程度であれば、その威圧感だけで勝負は決まったかもしれない。

 

しかし、今連合が対峙しているのは、並の軍隊などではない。

 

天下に名を轟かせる将を3人も抱え、その兵は一兵に至るまで厳しく訓練された精鋭の軍。

 

どの将の隊も一瞬たりとも臆することなく、袁家の軍に斬り込んで行くのであった。

 

 

 

 

 

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「え〜と…俺は今、夢を見ているのかな?」

 

「何を言っているのだ、一刀?どう見ても現実だろう?」

 

連合軍と董卓軍が衝突してから僅かの後、曹軍の最前線から直に戦場を眺めていた一刀は思わず疑問を漏らす。

 

それに答えたのは同様に最前線にて待機している春蘭。

 

春蘭は至極当たり前のことを何故聞くのか、と首を傾げる。

 

しかし、一刀が疑問を口にしてしまうのもある意味仕方がない。なぜなら。

 

「いや、だってさ。どう見ても、あれ、人が空高く吹っ飛んでるよね?」

 

袁紹軍最前線辺りで何度か人が吹き飛んでいたのである。

 

それをこの世の光景と素直に受け入れる方が難しいだろう。

 

「それだけ呂布が凄まじい武を誇るということだろう」

 

一刀が更に非現実的だと訴えかけると、春蘭の向こうから秋蘭が答えてくる。

 

こちらもやはり疑問には思っていないようである。

 

「菖蒲さんもおかしいとは思わないの?」

 

一刀は藁にもすがる思いで自身の隣に立つ菖蒲に問いかける。

 

しかし、返ってきた答えは一刀の望むものでは無かった。

 

「確かに恐ろしい程の闘気ですが、おかしい光景だとは…むしろ、例の呂布の話から考えると当然なのでは?」

 

ああ、これはしょうがないことなのか、と一刀はここに来てようやく諦めて受け入れることにした。

 

この世界に来た頃から感じていたことではあるが、やはり、この世界の、特に正史に名を残す程の人物達は、現代人とは比較にならない膂力を誇る。

 

季衣や流琉などはその顕著な例だ。

 

どう偏屈に見ようとも、本来ならば彼女達のあの細腕ではあの超重量の鉄球や円盤を持ち上げることすら叶わない。

 

ところが、現実に彼女達はそれらを易々と振り回しているのである。

 

最早、ここでは現代的な考え方は完全に捨ててしまった方が良いのだろう、と今更ながらに考えているのであった。

 

 

 

 

 

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曹軍最前線より少し後ろ。

 

そこでは編成した部隊を率いた零がいた。

 

「零さん、董卓軍が袁紹さん達の部隊と戦闘に入ったみたいです」

 

零の隣にいた流琉がそう零に報告する。

 

そして直後に反対側から季衣の声が聞こえてくる。

 

「うわぁ〜。兵の人達吹っ飛んでるよ。呂布って人、本当に凄いんだね」

 

一種呑気にも聞こえるこの台詞。

 

季衣の非常にマイペースな性格がよく表れていた。

 

「そのまま前線の監視を続けて頂戴、季衣、流琉。それから、これだけは絶対に忘れないで欲しいのだけど、私達が対処するのはあくまで各将の下にいる部隊の者達。将はあの4人にまかせること。いいわね?」

 

『はい』

 

零の注意に綺麗に重なった返事を返す2人。

 

この人選は先日の軍議の後に桂花と零が話し合って決めたものであった。

 

桂花も零も、袁紹の動きから罠がないと見抜ける軍師がいれば董卓軍は吶喊してくるだろうと予測していた。

 

そうなれば、白兵戦で董卓軍を抑えねばならない。

 

しかし、董卓軍の将は3人しか確認されていないとはいえ、いずれも剛の者。

 

それらに対処し得るのは春蘭、秋蘭、菖蒲、一刀の4人だけだと判断されたのである。

 

結果、その4人は各自行動で将を、零は季衣と流琉を部隊長として編成した部隊を率いて董卓軍の兵を抑えることとなった。

 

凪達3羽烏は本陣にて華琳の護衛を担っている。

 

桂花は武の面からも戦場には出ず、後方から戦場を一望しながら4人と1部隊に向かう先を指示する役目である。

 

これらの戦闘の用意は対外的には何も伝えてはいない。

 

また、曹軍内部にも、作戦の発案は全て桂花によるものであるとそれとなく伝わっている。

 

全貌を把握しているのは幹部陣だけであった。

 

(私が策の立案に関わっていることを知っているのはごく一部の者だけ。本当にこれだけで大丈夫なのかは不安だけど…今はそうだと信じるしかない。必ず、この策を成功させてやるわ!)

 

零は流琉と季衣が逐一報告してくる前線の様子を聞きながら、心中でそう強く決意するのであった。

 

 

 

 

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袁紹軍最前線よりやや中央寄り。

 

そこでは今まさにこの世の地獄とも思える程の光景が繰り広げられていた。

 

最前線では呂布隊の兵士が袁紹軍を猛然と責め立てている。

 

その部隊の将たる呂布がその地獄を体現しているのである。

 

会敵した後、単身で袁紹軍に深く斬り込んだ呂布。

 

勿論周囲の袁紹軍の兵は呂布を仕留めようと飛びかかる。が。

 

「ふんっ」

 

『ぎゃああぁぁぁ…』

 

「んっ」

 

『ぐあぁぁぁ…』

 

呂布がその手に持つ戟を一薙ぎする度に十人単位で兵が吹き飛んでいく。

 

しかし、吹き飛んだ兵はまだマシな方かも知れない。

 

呂布の戟をまともに受けた兵は、その手の得物ごと叩き切られ、一瞬にして命を刈り取られていく。

 

累々と横たわる兵の死体を踏み越えて、呂布は尚も前進を続ける。

 

その歩みを止めようとする者があればそれを叩き切り、しかし走る事もなく、決して歩みを止めることも無い。

 

一歩一歩近づいてくる呂布に、袁紹軍の兵の中に恐怖に怯える者が現れ始める。

 

「う、うわあっ!来たぞ!」

 

「お、怯えるな!こいつも人間なんだ!一斉に飛び掛れ!」

 

なけなしの勇気を振り絞った兵士数名が、四方から同時に斬りかかる。

 

「…無駄」

 

しかし、それすらも呂布は意にも介さず、一薙ぎで全てを沈黙させる。

 

「ひっ、ひいぃぃぃ!こ、こんなの、敵うわけがねぇっ!」

 

「こっちに来る…!に、逃げろ!」

 

遂に恐怖に耐え切れなくなった兵が1人、その場から逃げ出そうとする。

 

恐怖やパニックは集団に属する者達に容易に感染していく。

 

それは通常の精神状態に無い戦場であればより顕著なものとなる。

 

たった1人の逃げ出した兵が袁紹軍に齎した事態は目を覆うばかりのものであった。

 

周囲の兵はすっかり恐怖に支配され、逃げ出す兵が次から次へと増えていく。

 

かろうじて残る兵士も武器を構えて立っているのが精一杯といった感じで、まともに得物を振るえる者はいない。

 

その者達の大半も、

 

「…邪魔する奴は、斬る」

 

この呂布の一言と共に発せられた闘気にやられ、戦意を完全に失ってしまう。

 

果たして呂布は散発的に斬りかかってくる僅かな兵士を相手にするのみで、途中からはほとんど障害もなく進んでいくのであった。

 

 

 

 

 

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時を同じくして、袁術軍最前線。

 

こちらは霞と華雄、2人の部隊と衝突していた。

 

呂布及び呂布隊ほどの爆発力は無いまでも、董卓軍側が連合軍側を蹂躙しているという構図は変わらない。

 

「馬の足止めんなや〜!走り続けて、大陸一の騎馬部隊の力、見せつけたりぃ!」

 

霞の隊は非常に統制の取れた騎馬部隊で袁術軍を翻弄し。

 

「進め進め!袁術の兵がごとき弱卒など軽く蹴散らしてやるぞ!」

 

華雄の隊は持ち前の鍛え上げた攻撃力による怒涛の攻めで袁術軍を寄せ付けない。

 

「さ、左翼の部隊が損害大!援軍を求めております!」

 

「右翼も同様の状況だ!本陣に打診せねば、前線にはもう援軍となるだけの兵力は無いぞ!」

 

全く毛色の違う2部隊に同時に攻め立てられ、元々希薄だった袁術軍の内部結束が完全に瓦解する。

 

最早伝令すらも機能せず、軍とは名ばかりの烏合の衆と成り果てていた。

 

しかも、このような状況であるにも関わらず、本陣から偶にくる命は突撃一辺倒。

 

「も、もう嫌だ!俺はまだ死にたくない!悪いが逃げさせてもらう!」

 

これ以上ここで戦うことは自殺願望以外の何物でもない、と感じた兵達が、袁紹軍の一部の兵士と同様、戦場から逃げ出し始める。

 

その中には部隊長すら含まれている始末であった。

 

戦の場において、軍にとっての大切なことは、数も然ることながらまずは最低限の質である、と。

 

それをまざまざと思い知らされるような光景なのであった。

 

 

 

 

 

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曹軍最前線では未だに4人が戦況を視認しながら桂花からの指示を待っていた。

 

そして、呂布が袁紹軍の前衛を単身突破して中央に迫り始め、霞と華雄の部隊が袁術軍の前衛をまさしく壊滅同然にまで追い込んだ辺りで、ようやく桂花からの伝令がやってきた。

 

「荀ケ様より伝令!夏候惇、夏侯淵両将軍は呂布の、徐晃将軍と夏候恩殿は張遼、華雄の進軍を止めよ、とのことです!」

 

「ご苦労、桂花には了解したと伝えておいてくれ。以後はこちらの自己判断で対処する。行くぞ、姉者!」

 

「ああ、呂布に目に物を見せてやろうではないか!」

 

指示を受けると春蘭、秋蘭は馬を駆って勢いよく飛び出していく。

 

「こっちも行こう!」

 

「はい!」

 

一刀もまた菖蒲に声をかけつつ、霞達のいる方へと馬首を向けて走り出していた。

 

 

 

袁術軍への援軍に向かう道中、一刀は菖蒲に1つ、頼みごとをする。

 

「菖蒲さん、張遼の方は俺に任せてもらってもいいかな?」

 

その内容に菖蒲は一瞬不思議に思うものの、水関での事を思い出して快諾する。

 

「わかりました。華雄の方は私にお任せください。御武運を」

 

「ありがとう」

 

一刀は一言礼を述べると、菖蒲と別れて霞の下へと向かう。

 

混乱のさなかにある袁術軍の兵を何とか避けながら、2つの軍が衝突している箇所へとひた走る。

 

ようやくの思いで袁術の軍を抜けると、そこでは霞の部隊が連携の取れた動きで着実に袁術軍に被害を与えていた。

 

しかし、肝心の霞の姿が見えない。

 

部隊の先頭では無く、指揮を執り易い場所にいるのか、と視線を流していると、とある方向に異変を見て取る。

 

「くっ!読み違えた!頼む、間に合ってくれ…っ!」

 

一刀は異変を察知した方向へと急ぎ向かう。

 

霞の部隊の統率力が落ちた様子は見受けられなかった。

 

俯瞰できるような地形で無かったから気づかなかった、というわけでは無い。

 

それだけ霞は自身の兵をよく訓練していたのだろう。

 

その様子を確認していたが故に一刀は、どういう形であれ霞は部隊の指揮を執っているものだと考えていた。

 

しかし、現実には、最前線には霞の姿が無い。

 

それが示すことは、霞の単身による斬り込み。

 

「袁術軍の兵が弱卒であるが故に取りうる選択肢ではあるけど、まさかあの霞が…いや、あの霞だからこそ、か」

 

呟きつつ、一刀は己の見通しの甘さに内心で舌打つ。

 

霞の戦闘好きには勿論気づいてはいた。

 

しかし、霞の真骨頂たる騎馬隊の指揮能力にばかり目が行ってしまい、霞の単体突破の可能性を失念してしまっていたのである。

 

霞がいると思しき方向へ進むにつれて、軍の混乱具合は小さいものになっていく。

 

加えて兵の持つ雰囲気も前線のそれとは異なるものに変わっていく。

 

やがて、精鋭と呼ぶに値する兵が集っている地点にまで達すると、袁術とその側近と思しき者の声が聞こえてくる。

 

「な、七乃〜。怖いのじゃ〜。あ奴が迫ってきておるぞえ!」

 

「だ、大丈夫ですよ、お嬢様。兵隊さん達が食い止めてくれていますから、今の内に下がっちゃいましょう!」

 

その台詞が終わるか終わらないかのタイミングで更に1つの声が聞こえる。

 

「あんたが袁術やな?こんなにちんまいとは思わんかったけど、ウチらに喧嘩売ったんが運の尽きやったな」

 

『きゃあ〜〜〜!!出たあぁぁ〜〜!!』

 

(まずいっ…!)

 

声から状況が差し迫っていることを察した一刀は、目の前の兵を弾き飛ばすことも厭わずに遮二無二前進する。

 

「出たって…ウチは幽霊と、っ!?」

 

間一髪、一刀は霞に刀を振るい、弾かれつつも袁術との間に入る。

 

「曹軍が将、夏侯恩!連合のよしみにより袁術殿に助太刀いたす!」

 

叫び、一刀は再び霞に斬りかかる。

 

霞もそれに応じて、鍔迫り合いの状態に持ち込んだ。

 

「悪いな、霞。こっちも主君の名に泥を塗るわけにはいかないからな」

 

「ま、それはしゃあないやろ。ウチもまさかホンマに袁術のとこまで来れる思てへんかったし。むしろ、ここで一刀とやり合えるんが儲けもんや」

 

互いに相手にしか聞こえない程度の音量で言葉を交わす。

 

「お、お嬢様、今のうちに」

 

「う、うむ。七乃、逃げるのじゃ」

 

2人が切り結んでいる間に一刀の背後では2人が逃げ出す気配がしていたが、霞にそれを追う気配はない。

 

「…追わないのか?」

 

「どうせ一刀が阻止するやろ?それに袁術一人仕留めたとこでこの連合が止まるとは思わんしな。袁紹やったら別かも知れんけど」

 

霞の言うことにも一理ある。

 

しかし、恐らく董卓軍が袁紹を仕留めたところで、頭をすり替えて連合が止まることは無いだろう。

 

となれば、あまり無理をし過ぎることを避けるのは当然と言える。

 

「ってなわけで、や。一刀、はようやろや」

 

こんな状況にも関わらず、霞は瞳を輝かせて一刀を急かす。

 

ところが、苦笑しつつも返された一刀の言葉に、霞はまたしても表情を曇らせてしまう。

 

「悪いけど、霞、今ここで君と本気で戦うことは出来ない」

 

「え〜、なんでよ〜?…って、水関の時言ってたやつか?」

 

そこに思い至った時、落胆をありありと映し出していた霞の瞳に真剣さが戻る。

 

一刀もまた真剣な表情でそれに応える。

 

「ああ。霞も感じていただろうけど、連合は諸侯間の連携は全くといっていい程取れていない。けれど、数だけは有りすぎるほどに揃っている。そして、うちの陣営には荀ケ、司馬懿、孫堅の陣営には周瑜、陸遜、更に劉備の陣営に諸葛亮と?統。これだけの傑物が揃っているとなれば、如何な虎牢関といえど、長期にわたる防衛は厳しいだろう。詠も虎牢関に出てきてはいないんだろう?」

 

「せや。未だに洛陽から準備が完了したって伝令も来てへん。この分やとホンマに間に合わんかもな…」

 

最悪の事態を想像したのだろう、霞の表情が暗くなる。

 

平時であればまずは気遣ったのであろうが、今はそのような余裕はない。

 

手早く済ませるために、一刀は用件を切り出した。

 

「霞、頼みがある。俺を…」

 

捕縛してくれ、と、そう言おうとした瞬間、一刀の背後から2つの声が上がる。

 

「見つけたのだ!って、ありゃ?お兄ちゃん?」

 

「お、何だ何だ。もう夏侯恩がやってんのか」

 

相次いで現れた張飛と馬超。

 

さすがにこの2人を前に先程の頼みを通すことは厳しいと一刀は判断した。

 

先程の光景を見てしまったが故に、妙に春蘭、秋蘭が心配であったこともあり、一刀は一度退くことを決めた。

 

「…霞、俺は一度退く。後でまた会えたなら、その時に頼むとしよう」

 

「あいよ。一刀、呂布っちのとこ行くんか?」

 

僅かにその方向に向けた目線を見られていたのか、霞にズバリ言い当てられる。

 

別に誤魔化す必要も無いと考え、一刀は首肯で答えた。

 

「気ぃつけや。呂布っちは仲間のウチらから見ても化物みたいに強いさかいな」

 

「ああ、何となくだけど、感じたよ。忠告感謝する」

 

「気にせんでええよ。ウチ、一刀のこと気に入っとるから、死んで欲し無いしな。ほなら、また、なっ!」

 

霞が大きく1つ偃月刀を振るうと、一刀はそれに合わせて後方へ吹き飛ばされる。

 

ちょうど張飛達の前まで後退して止まり、その場に膝をつく。

 

「張飛殿に馬超殿ですか。どうやら袁術殿は無事逃げられたようで。申し訳無いですが、私では叶いそうにありません。張遼は任せても良いですか?」

 

「鈴々に任せるのだ!水関では変なのに邪魔されちゃったけど、今度こそやっつけてやるのだ!」

 

一刀の頼みに張飛が応じて飛び出そうとする。

 

しかし、それを馬超が止めた。

 

「まあちょっと待ってくれよ、張飛。あんたは水関で張遼と戦ってんだろ?ここはあたしにやらせてくれ」

 

「う〜、仕方ないのだ。でも、馬超がやられそうになったらすぐに鈴々と変わるのだ!」

 

とりあえずといった様子ではあるが張飛が納得を示すと、馬超は張遼に向かって進み出る。

 

そして、手に持つ槍を構えると、口上を述べ始める。

 

「”神速”の張遼将軍と見受ける!あたしは涼州が太守、馬騰の娘、馬超!騎馬技術に自信があるならば、あたしと戦え!」

 

「ほ〜。あんたが噂に名高い”錦馬超”か。ええで、その誘い乗ったるわ!西涼の騎馬民族にも劣らんウチの技術、とくと味わえや!」

 

恐らく大陸で5指に入るであろう、騎馬戦闘に長けた2人の戦いの火蓋が切られた。

 

現代においてもこの世界に来てからも、上位の騎馬戦闘には縁がなかった一刀としては観察したい気持ちはやまやまである。

 

だが、今はどうにも呂布が、ひいては春蘭達が心配でならなかった。

 

「張飛殿、私は呂布に対応している将の助太刀に向かいます」

 

「わかったのだ。あっちはかなり強そうだから気を付けるのだ」

 

直接会ったわけでもないだろうに、やはり張飛も呂布の威圧を肌で感じていたのだろう。

 

一刀は張飛の忠告に礼を述べると、袁紹軍の方へと向かって駆け出していった。

 

 

 

 

 

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”一騎当千”、”万夫不当”。

 

優れた将に用いられる言葉、称号である。

 

今この連合軍にいる者にもその呼び名を得ている者がいる。

 

例えば曹軍の夏侯惇。例えば劉軍の関羽。

 

しかし、これらの称号の更に上にただ一つ、たった一人に贈られる称号が存在する。

 

その称号とは。

 

 

 

”天下無双”

 

 

 

この時代にその称号を与えられしは、”飛将軍”として名高い呂奉先その人。

 

単身による黄巾3万斬りを発端とした数々のまことしやかな噂により、その武を広く知られた猛将である。

 

先程一刀が目を疑ったあの光景。

 

あれなどは所詮呂布の真の力の一端を示しているに過ぎなかった。

 

袁紹軍、中央少し前。

 

呂布の真の恐怖、ここに顕現す。

 

今現在、そこに集う将の数は実に8人。

 

対する呂布は、まさに孤立無援のただ1人。

 

ところが、たった1人のはずの呂布が明らかに優勢なのである。

 

「くっ…!まだ、まだぁっ!」

 

関羽が出せる全力で偃月刀を振るうも。

 

「…弱い」

 

軽く弾き返され。

 

「舐めるな、呂布っ!」

 

春蘭が隙を狙うように攻撃を仕掛けるも。

 

「…お前も弱い」

 

難なく受け止められ。

 

「くそっ…!思春!」

 

「はっ!喰らえっ!」

 

「はあぁぁぁっ!!」

 

孫策が部下らしき少女と連携を取って攻めるも。

 

「…無駄」

 

戟の一振りで2人共が薙ぎ払われる。

 

「姉者っ!ちっ!黄蓋殿!」

 

「おう!」

 

秋蘭が黄蓋と示し合わせて2方向から矢の雨を浴びせたとしても。

 

「ふっ!」

 

全て叩き落されてしまい、呂布にかすり傷一つ負わせることが出来ていない。

 

「これ程とは…!」

 

「全く、世界は広いもんじゃ。こんな所にも化物がおったとは…」

 

近接型の4人は皆膝を突き、遠隔型の2人も既に矢が尽きようとしていた。

 

そんな6人の背後で倒れ伏していた2人がよろよろと立ち上がる。

 

「あ、あたいは、まだ、やれる…!」

 

「わ、私も、まだ、いけますっ!」

 

先の6人に武力で劣る文醜、顔良は早々に呂布に打ち破られていた。

 

普通の者であれば、呂布と対峙して生き残るだけでも難しい。

 

例え運良く生き残ったとしても、2度と戦場へ出られなくなるほどのトラウマを植えつけられる者が大半である。

 

その呂布に打ち倒されても尚立ち向かおうとする文醜、顔良は十分に立派な戦士と言えた。

 

しかし、それも。

 

「…まだ、来る?」

 

「うっ…」

 

「あ…」

 

呂布に剥き出しの闘気をぶつけられて、金縛りの状態となってしまう。

 

(か、適わない…っ!)

 

その場に集う者達は皆一級の武人。

 

本来であれば、どれだけ不利であろうとそう簡単には負けを認めない者達である。

 

そんな猛者を心から屈服する寸前にまで追い込んでしまう。

 

”天下無双”の意味を、これ以上なく示す光景が広がっているのであった。

 

 

 

 

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霞を馬超に任せた一刀は、全力で呂布がいると覚しき地点に向かう。

 

袁術の軍を抜けた時、一刀の横の方から同じく抜け出してきた者が一刀に声をかける。

 

「一刀さん?!どうしてここに?」

 

「妙に胸騒ぎがするもんだから、ね。馬超殿と張飛殿に張遼を任せて呂布の下へと向かってるんだ。菖蒲さんこそ、どうして?」

 

「私の方は既に趙雲さんが華雄と一騎打ちをしていたので。周泰さんもいらっしゃったので、呂布から感じた強すぎる闘気が心配だったこともあって、こちらに向かわせて頂きました」

 

一刀だけでなく菖蒲もまた呂布を測りかねていたのである。

 

事前情報からのおおよその推測と実際に遠目から感じた当人の気。

 

そこにある誤差が抜けない棘となって2人の心に影を落としていた結果だった。

 

「何はともあれ、急ごう!」

 

「はい!」

 

多くを語る時間も惜しんで2人は更に速度を上げる。

 

袁紹軍はすっかり混乱してしまっており、最外縁の兵達は我先にと逃げ出し始めていた。

 

そんな兵の流れに逆らって一刀と菖蒲はひたすらに走る。

 

やがて軍中央付近にポッカリと穴が空いていた。

 

2人は迷うことなくそこに飛び込む。

 

「春蘭!」

 

「春蘭様!」

 

穴に飛び込んだ瞬間、2人が目にしたのは、今まさに呂布に吹き飛ばされた春蘭の姿であった。

 

辺りには関羽や孫策の他、お団子髪の少女と袁紹の側近2人が倒され、秋蘭と褐色の肌の妙齢の女性が最早ほとんど残りの無い矢筒を気にしながらも矢を射掛けようとしていた。

 

(この人数を相手に圧倒、しかも傷どころか疲労すらほとんど見られないだと?!)

 

規格外という言葉すら生温く感じてしまう。

 

これは最早、武神。

 

神の名を冠していても何らおかしくは無いと感じられる程であった。

 

「私が相手です、呂布!はああぁぁっ!!」

 

菖蒲は大斧を斜め下に薙ぐ。

 

「……?」

 

呂布は菖蒲の攻撃を受け止める。

 

この技のセオリー通りに進めば、呂布は次の一撃を避けるのは困難だろう。

 

ところが、呂布の様子が少しおかしい。

 

それは一刀が傍から見ていた故に気づいただけかも知れない。

 

現に菖蒲は技が決まっているものとして、そのまま次のステップへと進もうとしていた。

 

「駄目だ、菖蒲さん!後ろへ飛ぶんだ!」

 

違和感の正体にようやく気づいた一刀は菖蒲に警告を発する。

 

それと同時に刀を握って駆け出していた。

 

 

一刀が下がれと叫んでいたが、既に技は決まっている。

 

ここは退かず、呂布に一矢を報いてやる。

 

そう考えた菖蒲は呂布の戟を弾いて回転動作に移る。

 

相手が普通であればこれで戦闘終了とは言わずとも、技自体は決まっていただろう。

 

ところが、回転を終え、遠心力を加えた一撃を放とうとした菖蒲の目に飛び込んできたのは。

 

「…ちょっと強いけど、お前も弱い」

 

今まさに戟を振り降ろさんとしている呂布の姿であった。

 

「え…」

 

菖蒲は驚愕し、防御に思考が回らない。

 

菖蒲の感覚では完璧に技が決まっていたが故に、何故呂布がこうも早く反撃に移れたのかが理解できなかったのである。

 

一瞬の後に防御を考えるも、最早武器を戻す時間は無い。

 

「っ!」

 

菖蒲は斬られることを悟り、歯を食いしばって耐えようとした。

 

だが、菖蒲に激が襲いかかることは無かった。

 

「はあっ!!」

 

目の前で激しい金属音。

 

一刀が横合いから呂布の戟を弾いた音であった。

 

「菖蒲さん、一旦下がって!」

 

「は、はい!」

 

一刀の言葉に弾かれるようにして後ろへ引いた菖蒲は、呂布と十分に距離を取ると一刀に尋ねる。

 

「呂布は一体何故…?」

 

半分は自問自答であったこの問いかけだが、意外にも一刀から即答が返ってきた。

 

「呂布が自分で、菖蒲さんが弾く方向に少し力を掛けたんだ。結果、反発力が薄れて弾かれた後の行動が早くなる」

 

考えはしていたんだけどね、と一刀は苦笑を漏らす。

 

「考えていた、とは?」

 

「もし、自分が菖蒲さんと本気で対峙することになったら、あの技にどう対処するべきか、ってね。最もシンプル…あ〜、単純な方法として、さっき呂布がとった方法を考えたんだ」

 

呂布から目を離さず、しかししっかりと答えた一刀の言葉に菖蒲は一瞬絶句する。

 

「そんな…それでは、私のあの技は…!」

 

「いや、考えたとはいってもそこまでだ。あれを為すには、得物を撃ち合わせた時の些細な軌道の違いを感じ取り、弾かれる寸前まで撃ち合いに負けない力で押し、弾かれる瞬間に力の方向を変える、なんて芸当が必要になってくる。鍛錬を重ねたとしてもまず成功するとは思えなかった。それを初見でこなしてしまう呂布が化物なだけだ」

 

そう、一刀が気づいた違和感とはまさに呂布の力のかけ方であった。

 

戟と大斧がぶつかったところまではごく普通であったのだが、直後に呂布が何かを感じ取ったのだろう、撃ち合う力を少し弱めていたのだった。

 

「一刀!菖蒲!張遼と華雄はどうした?」

 

秋蘭が呂布を警戒しつつ近寄ってきて問う。

 

その問いには菖蒲が答えた。

 

「どちらも他の将の方にお任せしています。私達は念を入れてこちらの応援に来たのですが、どうやら正解だったようですね」

 

「ああ、正直助かった。悔しいが、私達だけでは呂布を僅かに足止めするくらいしか出来なかった」

 

秋蘭は本当に悔しそうにそうつぶやく。

 

元々呂布に当たっていた将たちは秋蘭、黄蓋を除いて既に倒れ伏しているこの現状を見れば、強がることすら出来ないのであった。

 

「…秋蘭、袁紹は?」

 

一刀は呂布から警戒を外すことなく秋蘭に問う。

 

秋蘭は、伝令等で確認したわけではないが、と前置きしてからそれに答えた。

 

「袁紹は既に後退した。恐らく既に後衛まで下がっているだろう」

 

「なら、ここは退こう。このまま呂布と戦い続けるのはまずい」

 

それは秋蘭も考えていたことではある。

 

しかし、それを実行するには問題が1つあった。

 

「皆、既に消耗しきっている。それも相手が呂布では、ただ逃げるだけでもままならんぞ」

 

「…俺が呂布を抑える。その間に皆を逃がしてくれ」

 

言って一刀は刀を鞘に納めて腰を落とす。

 

秋蘭と、そして菖蒲には分かった。

 

一刀は居合の構えを取っていたのである。

 

呂布は一刀が刀を納めたことに疑問を覚え、首を傾げている。

 

それでも不用意に踏み込んで来たりしないところはやはり武人。

 

一刀が発する気迫から何かを仕掛けてくることを感じ取っていたのだろう。

 

暫しの間、一刀と呂布のにらみ合いが続く。

 

この間に秋蘭と菖蒲は春蘭、関羽、孫策、お団子髪の少女を助け起こし、撤退を始めていた。

 

「あいつ、無茶よ…1対1で敵うような相手じゃないわ」

 

菖蒲に助け起こされた孫策が状況を察して呟く。

 

お団子髪の少女は瞳に悔しさを滲ませて呂布の方を黙って見ているだけであった。

 

「関羽殿、立てるか?」

 

「ああ、大丈夫だ。すまない。あれは…夏候恩殿、か?」

 

関羽は何とか立ち上がると呂布と対峙する人物に注目する。

 

「ああ、そうだ。一刀が食い止めている間に退くぞ。姉者、大丈夫か?」

 

「くっ…すまないな、秋蘭、一刀」

 

春蘭も秋蘭に肩を借りて立ち上がる。

 

呂布と対峙する一刀の構えを見た春蘭も、やはりその意図を察して一刀に託す。

 

「文醜、顔良!お前たちも退け!」

 

「は、はいっ!」

 

「くっ!あたいもさすがにこれ以上は突っ張れねぇぜ…」

 

秋蘭の呼びかけを受けて文醜と顔良もまた退いていく。

 

「策殿、思春も、無事か?」

 

「ええ、なんとか、ね」

 

「大事ありません、祭殿」

 

孫軍の将達も黄蓋が引き連れて引き始める。

 

だが、俄かに騒々しくなった周りを気にすることなく、一刀と呂布は互いを伺う。

 

そのにらみ合いは呂布が一歩を踏み出した瞬間に終わりを迎えた。

 

呂布の踏み出した足が地に着こうとしたその時、一刀は居合を放った。

 

僅かとはいえ、態勢を変えた瞬間、それもこの時代には存在しない武技たる居合。

 

8人を同時に相手取れる程の武神・呂布といえど、仕留めきれずとも手傷を、上手くいけば深手を負わせることが出来ると考えていた。

 

ところが、直後に鳴り響いたのは、高らかな金属音だった。

 

「……え?」

 

見れば、一刀の刀は呂布の戟に止められてしまっている。

 

手傷を負わせるどころか、完璧に受け止められた。

 

そのことに一刀は僅かにフリーズしてしまう。

 

呂布は居合を受け止めたその態勢のまま戟を押し込んできた。

 

「っ!」

 

一刀は瞬時に押し合いに持ち込もうとするも、呂布の膂力は今まで対峙した将の遥か上をいっていた。

 

均衡に持ち込むこともままならず、確実に押し込まれていく。

 

完全に押し込まれる寸前に一刀は地を蹴って後ろに飛んだ。

 

一連の様子を見ていた将達はそれぞれ別の意味で驚いていた。

 

「そんな…一刀さんの居合が通じないなんて…」

 

「奴は化物か…?!」

 

既に居合を知っている曹軍は呂布の武に改めて恐怖を覚え。

 

「何なの、あれ…?思春、あなたは見えた?」

 

「申し訳ありません、私にも見えませんでした」

 

「堅殿が申しておったのはこういうことじゃったか」

 

居合が初見の孫軍はその速度に驚愕していた。

 

関羽は声を失い、拳を握りしめている。

 

それなりの時間側に居たにも関わらず、その実力を見抜けなかった己に怒りを感じていたのかもしれない。

 

周りの反応はさておき、呂布は一連の攻防に再び首を傾げていた。

 

「……お前、何?」

 

呂布が一刀に問う。

 

その内容はあまりに漠然としており、一刀は真意を測りかねていた。

 

「…何、とは?」

 

「……お前、強い。でも、弱い」

 

聞いた限りでは矛盾した内容を呟く呂布。

 

周囲が意味を解しかねている中、一刀だけは呂布が何を言いたいのかを理解していた。

 

「…それは間違いだ。俺は、弱いよ」

 

一刀がこう答えたのは別に謙遜でも何でもない。

 

心底からそう思っていたからである。

 

「秋蘭、撤退を急いでくれ。居合をああも簡単に止められるんじゃあ、長くは持たせられない」

 

この言葉に呆然としていた周囲は再び慌ただしく動き始める。

 

その動きを背中に感じながら、一刀は刀を構えた。

 

呂布もまた戟を構え、一刀に相対する。

 

またもや睨み合いが始まるのかと思いきや、今度は呂布が早々に仕掛けてきた。

 

「ふっ」

 

「ぐぅっ…!」

 

菖蒲との戦闘、そして先程の一幕。

 

これらの戦闘から一刀は、呂布はカウンタータイプの武人だと考えていた。

 

ところが今、呂布は攻め一辺倒の様相を呈している。

 

完全に読みを外された一刀は受け流す態勢を取りきれず、押されに押される。

 

どうにかこうにか数?の内に態勢を立て直すと、ようやく受け流せるようになるものの、2、3?受け流された時点で呂布が突然退いてしまう。

 

次こそは読み間違えまい、と一刀は注意深く呂布の”目”を見る。

 

読み取ることは難しいものの、本来目は非常に多くの情報を発信している。

 

もし、戦闘中に”目”を読むことが出来れば、それは最強の矛にも無敵の盾にもなり得る。

 

ところが、今一刀は非常に焦っていた。

 

(何も読み取れない…?!春蘭みたいな本能型なのか?いや、そうにしても目に出なさすぎだ…)

 

呂布の目からは明確な意志がほとんど読み取れない。

 

しかも、その戦闘スタイルは防御型から攻撃型まで自在に変化し、一貫性も認められない。

 

相手を見て、相手に合わせてスタイルを変えていく。

 

一刀と似たものでありながら、どこか根本が違う感じがしていた。

 

再び迫ってくる呂布。

 

やはり読み切れていなかった一刀はぎりぎりで防御するも、吹き飛ばされてしまう。

 

「くっ…!ならば…これなら、どうだっ!はあっ!!」

 

着地した一刀は素早く蜻蛉の構えを取ると、全力を振り絞って袈裟斬りに振り下ろす。

 

あまりに直線的なその攻撃を呂布はどう感じたのか、受け止めるのではなく横に飛んで避ける。

 

呂布の横の空間を一刀の刀が虚しくも通過した直後。

 

一刀は刀の軌道を捻じ曲げ、地面擦れ擦れから呂布に向かって切り上げた。

 

一刀の祖父が得意とする一連の技、比翼斬り。

 

本家示現流が伝える究極の一の太刀に改良を加えた追撃型の技であった。

 

今度こそ完璧に不意を突いた。

 

そう確信した一刀であったが、やはりと言うべきか、呂布は自身の戟で一刀の刀を止めてしまっていた。

 

「うっ…」

 

直後、危険を悟って一刀は無理矢理気味に後ろへと飛ぶ。

 

一瞬の後、一刀が元いた場所に呂布の戟が振り下ろされていた。

 

ぞっとする思いはするも、すぐに切り替え、今度は足を使いつつ攻める。

 

まだ距離のある状態から一刀は左斜め上に刀を構え、先程よりも角度のついた袈裟斬りは放つ。

 

そして呂布が防御に動くのを見て取ると、瞬間、刀を止めてその位置から逆袈裟に斬りつける。

 

初めの袈裟斬りを囮にし、相手の防御を外したうえで本命の逆袈裟を当てに行く。

 

こちらは一刀の父が得意とするフェイント技、蛟。

 

タイミングとしては完璧に決まってはいる。

 

しかし、これですら呂布は苦も無く止めてしまっていた。

 

一体どうすれば呂布に手傷を負わせることが出来るのか。

 

途方に暮れかけていた一刀はその時、後方、曹軍の将達が撤退していく方向から声が聞こえ、それに何故か引っ掛かりを覚えた。

 

「呂布将軍が一の家臣、高順!呂布将軍の名にかけて、貴方達をみすみす逃がしはしません!」

 

「例え消耗していようとも、お前程度に負ける私ではないぞ!曹操様が一の剣、夏候惇!返り討ちにしてくれる!」

 

呂布隊の一部が袁紹軍を遂に突破してきたのだろう、1人が名乗りを上げて春蘭と戦い始めていた。

 

チラとそちらを見やれば、秋蘭と菖蒲はその人物が引き連れてきた兵達に対応している。

 

一刀はすぐに呂布に視線を戻すも、何に引っ掛かりを覚えたのかを思い出せないでいた。

 

「……まだ、やる?」

 

「確かに攻撃を全て防がれてはいるが、まだ手はある。負けたわけでは無いさ」

 

そうは言っても、呂布が目の前にいるこの状況で悠長に考え事などしてはいられない。

 

一刀は再び呂布との戦闘を開始する。

 

(技が通じないならば手数で押すまで…!)

 

一刀は威力の低下を厭わずに一撃の回転を速めていく。

 

それはさながらに得物を刀に変えた張飛の如き姿であった。

 

それでも呂布はその急激な変化に戸惑うこと無く付いてくる。

 

一刀の攻撃を受け止め、時には弾き、隙あらば攻撃を容赦なく捻じ込んでくる。

 

呂布の攻撃は数は少ないものの、いずれも一撃必倒の威力を秘めたもの。

 

膂力の大きな隔たり故に正面から受け止めきることの出来ない一刀は、常に心に冷や汗をかきつつ、なんとかかんとか対処していた。

 

何度も互いの立ち位置を変えつつ、短くも長い、濃密な戦闘が繰り広げられる。

 

目まぐるしい攻防が暫く続いた後、どちらからともなく距離を取った時、それは起こった。

 

2人の左方向になっていた春蘭と高順の戦闘に動きがあった。

 

「きゃあっ!」

 

「はぁっ、はぁっ…わ、私の勝ちだな!」

 

どうやら消耗しきってはいるものの、春蘭が高順を下したようである。

 

「くぅっ…!」

 

高順も既にボロボロになっており、完全に敗けを悟ったのか、自身が率いてきた部隊の方へと逃走する。

 

ところが、すでに体が相当に重いのか、春蘭の追撃が遅い。

 

秋蘭も菖蒲も、未だに高順の引き連れてきた兵の対処を終えておらず、手が回らない。

 

結局、遅れながらも春蘭が高順を追い始める。

 

その時、一刀の中でずっと引っかかっていた事柄が氷解する。

 

夏侯惇と高順の戦闘。

 

その結末。

 

そこに思い至った瞬間、一刀は呂布の事を意識の外に弾き飛ばして春蘭の下へと走り出した。

 

「…逃がさない」

 

呂布が一刀に向けて戟を振るう。

 

一刀は戦闘圏を離脱する直前に刀を一つ振るう。

 

何かを切り落とす音を一つ残して一刀は呂布との戦闘圏を完全に離脱する。

 

「……?」

 

あとに残されたのは戟を振り切った状態の呂布、そして折れた矢が一本あるのみであった。

 

 

 

 

 

-9ページ-

 

 

 

 

 

「待て!高順!」

 

春蘭は中々言うことを聞かなくなって来た体に鞭を入れ、逃げ出した高順を追う。

 

周囲の兵は秋蘭と菖蒲が相手をしている。

 

ならば自分はここで高順を追い、仕留めねばならない。

 

摩耗した精神は本来の目的である撤退の二文字を春蘭の頭から追い出してしまっていた。

 

更に不幸なことに、疲弊しきった身体は春蘭の周囲に対する鋭い感性を鈍重なものにしてしまっていた。

 

そのような状態だったものであるから、当初、春蘭は”それ”の存在に気付かなかった。

 

高順の逃げていく先、その僅か右方向に、矢を番えている兵がいた。

 

その兵は高順が追われていることを確認すると、追跡者に向かって即座に矢を放った。

 

正確に狙いを定めたわけではなく、ただの牽制射撃のはずだったその矢は、神の奇跡か悪魔の悪戯か、春蘭の頭を目掛けて飛んでいく。

 

事ここに至って春蘭はようやくその矢に気づく。

 

しかし、最早矢との彼我の距離は極僅か。

 

大怪我は避けられない。最悪、死の可能性すらある。

 

だが、その状況にあっても、春蘭は決して目を瞑らなかった。

 

(この場で気絶することはあってはならない!耐えるんだ!目を逸らすな、受け入れろ!)

 

決してこの場では倒れない。その為に一種の自己暗示をかけようとしての行動であった。

 

全てがスローモーションのように感じるその視界で、矢がゆっくりゆっくりと自分の顔を目掛けて飛んでくる光景は、その恐怖の度合いが測りきれない。

 

春蘭がそれに耐えて視界を閉ざさずにしていると、突然自身の右肩に圧力が掛かる。

 

それと同時に、春蘭の視界が”何か”に覆われるのだった。

 

 

 

 

 

-10ページ-

 

 

 

 

 

夏侯惇。

 

その名を聞いて誰もが初めに思い浮かべるのは、『隻眼』であろう。

 

では、如何にして夏侯惇は隻眼となったのか。

 

演義におけるその経緯は今目の前で起こっていることそのものであった。

 

つまり、夏侯惇は呂布軍との戦闘の折、その将・高順を一騎打ちの末破る。

 

敗れた高順は逃走し、それを追った夏侯惇は高順の部下によって左目を撃ち抜かれてしまうのである。

 

今、春蘭は”呂布と交戦”し、”高順を一騎打ちで破った”。

 

そして”高順を追って”駆け出したところである。

 

例の事件は本来であれば随分と後のはずである。

 

しかし、ここまで条件が揃ってしまっていては、最早疑う余地もほとんど無い。

 

早く春蘭に追いついて止めなくては。

 

一刀は胸から背中に抜けるような痛みに耐えつつ、懸命に走る。

 

あと少し、ほんの一伸ばしで手が届く。

 

そこまで来れたというのに…

 

「疾っ!」

 

前方の呂布軍から、何故か鮮明に聞き取ることの出来た掛け声。

 

走る速度を緩めずに斜め前方を見やれば、春蘭に向かって飛んでいく一本の矢が視認出来る。

 

春蘭はその矢の発見に遅れ、最早防御も回避も間に合わない。

 

全力で走るために刀を納めてしまった弊害とでも言えばいいのだろうか、一刀が矢を弾くことも叶わない。

 

このままでは春蘭はやられてしまう。

 

そう判断すると、後の行動は非常に早かった。

 

一刀は最後のひと踏ん張りで矢に背を向けるように体を回転させつつ春蘭の前に出る。

 

春蘭の肩を押しつつも抱え込んで矢から庇うようにし、飛び込んだ勢いをそのままに、反対側へと倒れ込んでいこうとする。

 

直後に自身の背面に軽い衝撃。

 

春蘭は無事なのか。急所は外れたのか。

 

まるで他人事のようにそんな事を考えつつ、一刀は春蘭諸共に地に倒れ込むのであった。

 

 

 

 

-11ページ-

 

 

 

 

視界を遮る”何か”が己を押し倒そうとし、春蘭の体がはっきりと斜めに傾いた時、スローになっていた春蘭の世界に時間が戻ってきた。

 

「っ!」

 

声を上げる間もなく地面に倒れた春蘭。

 

一体何に押し倒されたのか、と顔を上げてみると…

 

「かず…と…?」

 

そこには春蘭の肩に手を置いたままの一刀が倒れていた。

 

だが、ただ倒れているわけでは春蘭のこの反応はあまり説明が付かない。

 

春蘭が絞り出すような声になってしまったその理由は…

 

「一刀っ!!」

 

「一刀さんっ!!」

 

秋蘭と菖蒲が慌てた声を上げた理由と同じものであった。

 

春蘭の前に倒れる一刀の背からは、一本の矢が生えていたのである。

 

秋蘭と菖蒲は後事を顧みない攻撃で駆け出そうとする。

 

秋蘭は残りわずかの矢を一息に斉射し、菖蒲は武器移動の慣性力の流れを無視した全力の横薙ぎを放ち、周囲の兵を蹴散らすことで駆け寄る時間を作った。

 

その間も春蘭は一刀を見つめて呆然としている。

 

「う…」

 

その一刀が身動ぎと共に呻きを上げた時、ようやく春蘭に止まってしまっていた思考能力が戻ってきた。

 

「か、一刀っ!大丈夫か?!一刀っ!」

 

「しゅんらん…良かった、無事だったか」

 

一刀は自身の状態も気にせず、春蘭の無事に笑顔を漏らす。

 

春蘭は己の不注意が招いたこの事態に内心で酷く自身を責めながらも、何とかある程度の落ち着きを取り戻す。

 

そこに秋蘭と菖蒲が到着する。

 

「俺は大丈夫だよ、秋蘭、菖蒲さん」

 

心配そうに見つめる2人にそう声を掛けつつ、よろけながらも立ち上がる一刀。

 

「か、一刀さん…その傷は…」

 

正面側に居た春蘭、秋蘭は気づかなかったが、側面にいた菖蒲には見えてしまっていた。

 

一刀の背に斜めに走る大きな傷跡に。

 

菖蒲の驚愕具合の春蘭と秋蘭も背後に回ってそれを目にする。

 

一刀の体力が、矢が刺さっただけにしては消耗しすぎていることが少し気に掛かっていた秋蘭の謎は氷解した。

 

尤も、それは事態がより深刻だということが分かっただけなのであるが。

 

「…皆、早く撤退を。秋蘭と菖蒲さんが生んだ混乱が収まらない内に」

 

一刀の言葉に3人がはっとした表情をする。

 

一刀の言葉通り、秋蘭と菖蒲の我武者羅の一撃は高順の引き連れた部隊に多大な混乱を齎していた。

 

結果、4人に向かって仕掛けてくる兵が一時的に0の状態が出来上がっている。

 

この隙に撤退を、と全員が思った時だった。

 

「………」

 

無言のまま威圧感を発する呂布が歩み寄ってきていた。

 

「…秋蘭、2人を連れて、行ってくれ…」

 

一刀は呂布に向けて刀を構えると、呂布から目を離さずに秋蘭に告げる。

 

その言葉に秋蘭はほとんどタイムラグ無しに反論する。

 

「待て、一刀!最早こいつは一人でどうにか出来る相手じゃない!ここは…」

 

皆で迎え撃つべきだ、とそう告げようとした秋蘭の声を遮って一刀が叫ぶ。

 

「秋蘭!!…間違ってもここで全員が討ち死にするわけにはいかないんだ」

 

「しかし…」

 

尚も秋蘭は食い下がろうとする。

 

しかし、続く一刀の言葉に秋蘭は意見を引っ込めざるを得なかった。

 

「わかってくれ。俺は”黒衣隊の長”なんだから…」

 

数秒の沈黙。

 

そして秋蘭は春蘭と菖蒲に告げる。

 

「姉者、菖蒲、撤退だ…」

 

「な?!待て、秋蘭!私は…」

 

「秋蘭様?!それは…」

 

「撤退だと言っているだろう!!」

 

秋蘭の判断に異を唱えようとする春蘭と菖蒲に秋蘭は一喝する。

 

菖蒲はまだ反論しようとするも、秋蘭の瞳に宿る悲壮の決意を見て取ってしまうと、最早従うことしか出来なかった。

 

菖蒲は秋蘭のその決意を読み取れずに未だ納得しない春蘭を、秋蘭と共に抱えながら走る。

 

ふと秋蘭の方を見やれば、その瞳には確かに光る物が見て取れたのであった。

 

 

 

 

 

-12ページ-

 

 

 

 

 

「…待っててくれたのか?」

 

今の一幕には明らかにかなりの時間がかかってしまっていた。

 

ところが呂布は仕掛けてくることもなく、悠然と構えていた。

 

「…お前に聞きたいことがあった」

 

呂布は一言発すると、手に持った折れた矢を見せる。

 

「…何故?」

 

言葉足らずな呂布の質問。

 

しかし、一刀には伝わる。

 

それは一刀が呂布との戦闘を抜け出すときに叩き落した矢であった。

 

では、何故それを呂布が疑問に思うのか。

 

実はこの矢、一刀ではなく呂布に向かって飛んでいた流れ矢なのである。

 

呂布自身も一刀が叩き落す寸前にその事実に気づいていた。

 

「君ほどの武人が、流れ矢程度で命を落とすのは惜しい…と思ったんだろうね」

 

一刀自身、理由ははっきりしていない。

 

これは気づいたら体が勝手に動いていただけなのであったのだから。

 

「……そう……でも、お前は恋の敵……敵は倒す」

 

「ああ…わかってるよ…」

 

一刀は次の一撃が最後の攻撃になるだろうと感じていた。

 

故に、一刀は刀を鞘に納める。

 

(最後の最後でぶっつけ本番…これが通じないなら、俺は呂布には決して敵わない…!)

 

一刀は大きく息をついて腰を深く落とす。

 

一拍の後、一刀は電光石火の如く呂布を斬りつける。

 

(飛燕!!)

 

いつぞや、菖蒲が覗いていた居合による連続攻撃。

 

抜き打つ速度のみならず、刀を戻す速度までをも要求されるこの技を、一刀は実戦レベルで使えるようにしばしば訓練していたのである。

 

果たして、その技は…

 

「…っ!!」

 

呂布の戟を弾くものの、決定打にまで至らすことは出来ず。

 

「…んっ!」

 

直後の呂布の攻撃に対応するに十分な時間も取ることが出来なかった。

 

左の肩口からバッサリと斬られた一刀は、意識を絶たれて崩れ落ちていった。

 

 

 

 

 

-13ページ-

 

 

 

 

 

「……」

 

呂布が一刀を見下ろしていると背後から声がかかる。

 

「お〜い、呂布っち〜!撤退や!他の諸侯共が動き出しよったらしい。このままやとさすがに数に呑まれ…って、そこに倒れてんの、一刀か?!」

 

呂布に命令を伝えに来た霞は、地に倒れ伏す一刀を見つけると、馬から飛び降りて駆け寄る。

 

確認すれば、弱弱しいもののまだ息はあった。

 

「呂布っちに挑むんは無謀や言うったったのに…」

 

小さくつぶやくと霞は一刀を自身の馬に乗せる。

 

「…霞、それ、どうする?」

 

「こいつ、ウチの知己でな。上手くいけば月達を救う方法知ってる奴やから」

 

「…わかった」

 

呂布はそれだけ答えると部下が連れてきた自身の馬にまたがる。

 

それを見届けて、霞は周囲の董卓兵に向かって声を上げた。

 

「よっしゃ、虎牢関まで帰んで!気ぃ抜くなや!」

 

董卓軍は雄叫びを上げてその場を去って行くのであった。

 

 

 

 

-14ページ-

 

 

 

 

虎牢関の戦い、その初戦。

 

結果は…

 

袁紹軍の被害2万。袁術軍の被害1万5千。

 

各陣営の将軍級に負傷者多数。

 

そして。

 

将軍級の行方不明者、1名。

 

ぐぅの音も出ないほどの圧倒的大敗北なのであった。

 

説明
第二十二話の投稿です。


虎牢関での戦いです。
この辺りから、原作とは違う歴史を辿っていきます。

どこで区切るべきか判断しかね続けた結果、いつもの2倍くらいの量になってました…
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コメント
>>marumo様 はい、仰る通りの誤字ですね。ご指摘ありがとうございます、修正いたしました。(ムカミ)
「ひっ、ひいぃぃぃ!こ、こんなの、叶うわけがねぇっ!」は敵うでは?後、 抜き打つ速度のみならず、刀を戻す速度までをも要求されるこの技を、一刀は実戦レベルで使えるようにしばしばく訓練していたのである。  の所は、しばしば訓練ですよね?(marumo )
>>naku様 去勢云々は桂花さんの台詞だったような気が… でも、詠さんなら言いそうでは… いや、意外とヤンデレ設定されがちな月s「私が、何か?」 いえ、何デモアリマセン…(ムカミ)
>>h995様 彼女達は既に逃走を企ててますからどうでしょう?でも、その√もある意味面白そうですね。文章力がない自分には書けそうにないですが…(ムカミ)
……何だろう。IFとして連合の情報を欲する詠によってあらゆる手段の拷問を仕掛けられ、魏軍が助けに入った時には時すでに遅く廃人と化した後だったという廃人√が出てきた様な。詠は月の為なら手段を選びませんし……(h995)
>>陸奥守様 1500年以上の長きに渡って培われた技術故、といったところですね。ただ、春蘭達も体力を相当消耗してしまうまでは同じくらいは戦えていたものと考えてください。場面転換の都合上、各武将消耗後の一幕しか描いていませんが…(ムカミ)
一流の武人総がかりでも手も足も出なかった恋に一時とはいえ一対一で戦えるとは、一刀の武力は凄いな。修めた武術効果だろうか。(陸奥守)
>>kyou様 長年培ってきた価値観等はそう簡単に切り離すことは難しいですからね。しょうがないのでしょう(ムカミ)
一刀もまだまだだねぇ、現代人の考えに囚われ過ぎたり、相手の行動・力量を見誤るとは。……さぁ、董卓軍の将軍・軍師・君主を堕としにかかりまsy……ガハッ……(kyou)
>>howaito様 潜入は本当に結果論ですねぇ。下手したら死んでましたし。一刀が敵を口説くなんて…ハハ、ナニヲオッシャイマスノヤラ(ムカミ)
一刀が、お持ち帰りされてしまった・・・w まぁ、潜入成功ダネ! 重傷そうだが一刀 董卓勢を助けるために頑張れ!(口説き落t・・・(howaito)
>>本郷 刃様 史実はともかく、演義や他のゲームにおける呂布のステータスであれば、これくらいはやってくれそうな感じがしますのでb(ムカミ)
両袁家軍は大打撃を受け、一刀も重傷の末に董卓軍へと連れられましたか・・・まぁ後者は良い方向に転ぶ可能性が高いですけどね(本郷 刃)
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