北郷外史伝 −涙の覚悟、非情の覚悟−
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 左慈が于吉(最弱)を屠り終えていたころ、一刀達は貂蝉に先駆けのメンバーが決まった事を連絡し、帰るまではこの外史で訓練に勤しんだり、向こうの知識を華琳がなのは達に“みっちり”教育したりするようにしていた。それからしばらくしてなのは達はバルクホルン達の手伝いをしに出向し、一刀達は于吉潜伏先の調査の為ネウロイ(改)の出現を待っていた。そして待ちに待ったネウロイが出現し、一刀と華琳が出撃したのだった。

 

  外史『スト魔女』

 

  北郷邸 リビング(指令室Ver)

 

 一刀『くそっ!!やっぱやたら堅い!!』

 

 華琳『ぼやかないの・・・来るわよ!!』

 

 リニス「頑張って耐えてくださいカズト、カリン。現在敵ネウロイの解析中です。」

 

 アリシア「対象構成物質解析・・・・完了。出現地点の残留物質照合・・・・データは取り終わった。倒していいよ〜」

 

 一刀『了解!!』

 

 華琳『一刀、二人で決めるわよ。』

 

 二人『ひぃっさつ!!ラァァァァァブラブ、フィニッシュブロォオオオオオオオオ!!!!!!』

 

 リニ、アリ(その必殺技はどうだろう?)

 

 一刀『対象ネウロイ消滅を確認。』

 

 華琳『でも核は手に入らなかったわ。』

 

 アリシア「仕方ないよ。待ちに待った于吉型ネウロイなんだから。」

 

 リニス「その表現・・・気味悪くないですか?于吉型って・・・」

 

 一刀『他に表現しようがないけどね・・・』

 

 華琳『とにかく、回収よろしく。』

 

 アリシア「はいは〜い」

 

 リニス「転送シークエンス開始。座標地点転送対象者ロック・・・・各魔道デバイス起動。」

 

 アリシア「各システムオールグリーン。魔力チャージ完了。転送開始。」

 

 アリシアとリニスは慣れた動作でパネルを操作、一刀達の転送を完了させる。転送魔方陣から出てきた二人はやけに疲れた表情をしていた。

 

 リニス「お疲れ様です二人とも。お風呂の準備はできてますから一緒に入ってきたらどうですか?ラブラブなんですし(ニヤニヤ」

 

 アリシア「だね〜(ニヨニヨ」

 

 二人「////////////////////」

 

 プレシア「二人とも茶化さないの。一刀、華琳ちゃん、二人はゆっくり休みなさい。出現地点解析で于吉の居る巣が見つかるかもしれないし・・・それによっては私達の最終決戦が決まるわ。」

 

 二人「了解(よ)」

 

 そう言うと二人はいそいそと浴場に足を運んで行った。

 

 3人(本当に一緒に入るんかい!!)

 

 プレシア「はぁ、あれでは疲れも取れないでしょうに・・・」

 

 リニス「冗談だったのに・・・私もカズトと一緒のお風呂に入りたい。」

 

 アリシア「はいはい、我慢我慢。」

 

 リニス「うぅ・・・」

 

 プレシア「そうね・・・アリシアより先に于吉潜伏先を見つけたら一刀独占権を上げるわ。母親特権で。」

 

 リニス「さあ、探しますよ!!」

 

 アリシア「私に報酬はないの?」

 

 プレシア「頑張っていれば左慈に“う・ま・く”報告するわ」

 

 アリシア「・・・リニス、今回は負けないよ?フフフフフフフフフフフフフフフ」

 

 リニス「それはこっちのセリフです。クククククククククククククククククククク」

 

 二人がいい感じに悪役じみた笑い声を出している中、一刀と華淋は?

 

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  北郷邸 浴場

 

 華琳「は〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜染み渡るわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 

 一刀(めっちゃ年寄り臭い・・・)

 

 華琳「ねえ、一刀。于吉を倒した後はどうするの?貂蝉の話だと4っつ反応があったんでしょう?」

 

 一刀「そうなんだよな・・・俺達の外史には干渉できないから4人以上いるって事だろう。確認できてるのは俺達の居る外史の一人以上、璃々たちがいた外史の一人だから後二人以上いるんだろうな・・・」

 

 華琳「予測としては、私達の元居た外史に一人以上、左慈の居る外史に一人以上、私達のまだ行ってない外史に一人以上ってことかしら?」

 

 一刀「うへぇ・・・気が遠くなるなぁ・・・」

 

 華琳「そうね・・・でもやらなきゃ。関わってしまった以上知らん顔は出来ないわよ。」

 

 一刀「ああ。それにしても于吉の奴は何がしたいんだ?俺を殺したいんだろうけど・・・左慈を取り戻したいのか?あいつそっちの気があったからなぁ・・・」

 

 華琳「ねぇ一刀、于吉って本当に何者なのかしら?」

 

 一刀「どう言う事?」

 

 華琳「本来の管理者はそれこそ“外史の管理”が仕事。壊すも見守るも・・・ね。でも于吉はちょっと違う。外史は関係なしで左慈を中心にして動いてた。でも今回は自分の意思で動いている。」

 

 一刀「・・・・情報が少なすぎるな。でも一つ言える事がある。」

 

 華琳「何?」

 

 一刀「あいつを一人にするべきではなかった。」

 

 華琳「どう言う事?」

 

 一刀「左慈が于吉を説得し一緒に行動すればよかったのに、于吉は一人投げ出された。それが暴走した結果こうなったかもしれない。于吉が左慈中心に物事を考えてるならね・・・」

 

 華琳「そう言う事・・・あながち間違いじゃないかもね。一刀に話したかしら?あなたが居なくなった後の私の話。」

 

 一刀「風と桂花からちょっとは聞いてるよ。あまり思い出したくない内容だったけどね。俺のせいで華琳達がひどい事になってたし。」

 

 華琳「一刀の所為じゃないわ。私達が弱過ぎたの。私達が壊れてしまった外史はね、共通して一刀に“依存”してたのよ。悪い意味でね。」

 

 一刀「・・・・」

 

 華琳「一刀の知識、一刀の魅力。挙げればキリがないわね。」

 

 一刀「そうか・・・」

 

 華琳「一刀、そんな顔しないでちょうだい。依存して壊れたのは私達の責任であってあなたの所為ではないのよ。」

 

 一刀「そうなのかな?」

 

 華琳「そうよ。」

 

 一刀「・・・そう・・・だと・・・いいな・・・」

 

 華琳「一刀・・・・」

 

 一刀の目には大粒の涙があふれていた。当然であろう。多くの世界、愛した人達が自分が居なくなった後どうなったかは考えはすれども、知ることなど出来はしない。その彼女たちが一部では精神を病み壊れたなど、知りたくもなかった事実なのだから。

 

 一刀「俺が現れた所為で・・・彼女達は壊れたんじゃないのか?・・・・華琳・・・俺は・・・正しかったのか?」

 

 華琳「少なくとも私には必要だったわ。壊れなかった私も、壊れてしまった私も、こうして傍に居る私も・・・ね。」

 

 一刀「・・・・う、うぅ・・・うあああぁぁぁ」

 

 華琳「今は泣いていいのよ。私が傍に・・・居て・・・・あげるからね。グス・・ぅぅ」

 

 二人「うあぁぁぁぁぁぁぁ・・・・」

 

 二人は静かに、だが確かに声に出し泣いていた。そこには御使いも覇王も無く、ただただ歳相応の少年少女がいるだけだったのだ。少年は真実を知り絶望し、涙しながらも希望を捨てず、少女は待ち焦がれた少年の心の内を知り共に泣き、再び共に立ち上がる。これがきっと本当の始まりなのだと胸の内に思いながら、二人は共に立ち上がる。この場で流した涙が二人の大きな希望につながらん事を切に祈ろう。

 

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  外史『とある』

 

 左慈「さてと・・・俺達の外史に戻る為のエネルギーは十分確保したし、戻るか。」

 

 茉莉「うん。でも・・・いいの?涙ちゃん達にお別れ言わなくて。」

 

 左慈「ああ、下手に接触すれば一緒に行くと言いかねないからな。」

 

 茉莉「だね。私も増えるのは勘弁だし。」

 

 左慈「そう言う事だ。」

 

 茉莉「お兄ぃ達は大丈夫かな?」

 

 左慈「大丈夫だろう。こっちは通常の外史だから貂蝉辺りが接触してるはずだ。」

 

 茉莉「貂蝉?・・・・卑弥呼様と同種?」

 

 左慈「・・・・同種」

 

 茉莉「そっか・・・会ったら挨拶しないとね。貂蝉様に。」

 

 左慈「トラウマになったんだな。」

 

 茉莉「・・・・察して」

 

 左慈「・・・すまん」

 

 茉莉「さて!気を取り直していきますか。」

 

 左慈「ああ・・・そうだな。」

 

 そう言うと左慈は目を閉じ何やらぶつぶつと呪文らしきものを呟き始めた。そうすると二人の間に白い光の球が現れてだんだんと大きくなる。そして・・・

 

 涙子「行かせるかーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 どごーーーーーーーーーーーーーん!!

 

 左慈「ぽげら!!」

 

 茉莉「さ、左慈ーーーーーーーーーー!?」

 

 美琴「初春さんはやっぱ天才ね。あなた達の居場所を衛星をハッキングして見つけたのよ」

 

 初春「えへへ〜そんなに褒めないでくださいよ、美坂さん。」

 

 黒子(やってる事は犯罪ですけどね!!)

 

 涙子「さ〜じ〜、私達に黙って行くなんていい度胸じゃない。覚悟はできてるんでしょうね!!」

 

 左慈「・・・・・・」

 

 茉莉「返事が無い唯の屍のようだ?」

 

 左慈「・・・勝手に・・・殺すな・・・」

 

 涙子「死ぬわけ無いでしょ?美坂さんに手加減するように頼んだんだから!!」

 

 茉莉「あれ・・・もしかしてレールガン?」

 

 美琴「・・・・てへw」

 

 茉莉「どう見ても本気でしたよ!?」

 

 左慈「お、俺じゃなきゃ死んでる・・・」

 

 涙子「・・・美坂さん?」

 

 美琴「私もつい頭に来て・・・ドカン!と、ね?」

 

 全員(絶対八つ当たりだ。彼氏がなかなか帰ってこないから、八つ当たりしたんだ!!)

 

 美琴「そんな事より佐天さん、左慈に言う事があるんでしょ?」

 

 涙子「あ、そうだった。ねえ左慈、私もt」

 

 左、茉「だめ。」

 

 涙子「ちょ!全部言ってないでしょ!!」

 

 左慈「例えお前がレベル5でも連れて行かん。俺達の世界はそれだけ危険を伴うし、二度と戻れんぞ。」

 

 茉莉「涙ちゃん、言う事を聞いて。私達が行こうとしてるのは涙ちゃんの思ってるような場所じゃないの。とっても危険で、とっても苦しい世界。そんな所に涙ちゃんを連れてはいけないよ。」

 

 涙子「でも・・・私も左慈が好きなの。茉莉に負けないくらい好きになっちゃったの!!それなのにはいそうですかって引き下がれないよ!!」

 

 美琴「左慈。どうしても連れて行けないの?」

 

 左慈「言ったろう?例えレベル5でも連れて行けない。通用しないんだ、向こうの奴はお前の技すら簡単に止めるぞ?」

 

 茉莉「そうそう、それに私達は・・・人をたくさん殺しに帰るんだよ。そんな所に涙ちゃんを連れてなんていけないよ。」

 

 美琴「・・・・人殺しに帰るってどういう事?」

 

 左慈「大局的に多くの人間を殺す事になるんだ、俺達のしている事はな。」

 

 黒子「そ、そんな所に帰らなくてはいけませんの?」

 

 左慈「ああ。」

 

 初春「そんな・・・」

 

 茉莉「はあ・・・厳しく言わないと分からないかなぁ?こう見えて私・・・もう数えきれないぐらい人を殺しているんだよ?教えようか?どう殺したか。どう屠ったか。」

 

 涙子「ま、茉莉?」

 

 左慈(そうだな・・・こうなったら、とことん外道を演じてみようか・・・)

 

 左慈「頭をつぶした。」

 

 茉莉「首を切り落とした。」

 

 左慈「内臓を内から破裂させた。」

 

 茉莉「胴を上下に切り離した。」

 

 左慈「手足を砕いて消し飛ばした。」

 

 茉莉「相手の心臓を槍で突きぬいた。」

 

 左慈「体の一部を残して消滅させた。」

 

 茉莉「五体をばらばらにしてやった。」

 

 二人「家族を目の前で殺して見せた。」

 

 二人「死体を馬で踏みにじった。」

 

 二人「抵抗する奴らを片っ端から問答無用で嬲り殺した。」

 

 美琴「もうやめて!!!」

 

 二人「・・・・・・・・・」

 

 涙子「う・・・あぁ・・・・」

 

 黒子「・・・・・・・・」

 

 初春「ひぅ・・・・・」

 

 左慈「分かったろう?俺達はお前達とは違う。」

 

 茉莉「この手を見て?綺麗?違うよ。よ〜く見て。血でドロドロの人殺しの手何だよ。」

 

 涙子「あ・・・・う・・・・・」

 

 もう、4人は言葉すら発せなくなった。最後の一言。4人は分かってる。きれいな手だ。血なんて付いていない。比喩なのだ。でも4人には見えてしまった。茉莉の手から溢れんばかりの血がおびただしいほどの“モノ”が流れ落ちているのが。

 

 左慈「・・・・外史の扉は開いた。行くぞ、茉莉。」

 

 茉莉「うん。」

 

 そして二人は光の中に消えていく・・・・

 

 茉莉『ごめんね、4人とも。でも・・・私は4人とも・・・・“大好きだよ”』

 

 美琴「あ・・・・(や、やられた・・・)」

 

 黒子(やったことは事実でも・・・あの方たちはどんな人物かワタクシ達は知っていましたのに・・・)

 

 初春「ま、茉莉さん!!左慈さん!!」

 

 左慈『涙子・・・お前を戦場に連れていきたくない。“愛しているから”』

 

 涙子「あ・・・・左慈ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

 巻き込めない。巻き込んではいけない。彼女達はまだ幼く、まだ命の重きを完全に理解はしていない。故に共には行けない。左慈と茉莉は苦渋の選択をする。非道を演じ外道を演じ悪鬼羅刹を演じて4人をひるませる。そうすれば・・・逃げられる。そう、逃げたのだ。連れていって守る事は出来よう。されどその現実を見せたく無い故に逃げるのだ。誰も非難は出来ない。誰も左慈達を否定できないのだ。巻き込まない為の逃げは・・・きっと間違っていないのだから。

 

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あとがき

 

 どうも、羽入です。

 

 今回はちょっと泣きが入りましたね。

 

 一刀はどれだけの年月を生きていても心優しい少年なんです。

 

 たとえ人外の力を手にしても、たとえどんな修羅に身を堕としても。

 

 そんな一刀だから皆好きなんですよ?それが作者の解釈です。

 

 左慈の方はどうだったでしょう?

 

 最初は“本当に”普通の人代表で逝かせようかとも考えましたが・・・空気になること間違いないのでやめました。

 

 別れ方はあまり褒められた方ではありません。

 

 基本学園都市は治安のしっかりとした平和な町。

 

 人殺しなどそれこそ無縁の物。

 

 例え理解してても目の前にそんな人物が現れたら・・・

 

 そんな所を突いてみました。

 

 正直これで良かったと思います。

 

 皆さんはどうですか?

 

 何かの大義の為に人を殺すのはきっと遠くの国では日常茶飯事かもしれません。

 

 昔はそれこそ当然のことだったに違いありません。

 

 そんな中皆さんは・・・殺せますか?大義と言う我が儘を押し通して・・・

 

 とまあ、変な謎かけになってしまいましたね。ちょっとシリアスな羽入さんなのでした。

 

 ではまた次回お会いしましょう。チェリオー!

 

説明
羽生なのです。
今回は少しだけシリアス回(ギャグもありますが・・・)
では本編どうぞ
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コメント
大義どころか、実験のために一方通行さんに1万人ほど殺されてるんですがwwwてか、世界規模の戦争も有った世界で何言っちゃってんの?www(noel)
一刀は自分がいなくなった後の外史の結末を聞いて、改めて自分が進む道の険しさを再確認したようですね。コレを如何受け入れるのかが決めてでしょうね(俊)
愛しているからこそ突き放す、本気で想ってるからこその辛い選択でしょうね。この経験を涙子達が如何受け入れるのかが今後の課題になるんでしょうね。(俊)
↓続き 思ってのこと。だからこそ一刀達にはなんとしてでも于吉を倒して欲しい。(act)
人を殺す。それは、やってはいけないこと。しかし、大義の為ならば仕方ない事。けれども人を殺したという罪悪感・重圧に耐えなければならない。涙子には無理とだと思った左慈達は悪役を演じた。それは、二人のが四人を (act)
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