青いチビの使い魔 27話
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 キキSide

 

ドンッとタバサの前に大量のチップが置かれる。

 

「すごいのねおちび!きゅいきゅい!」

 

そして、シルフィはその大量のチップを見て、先ほどまでグチグチと文句を言っていた態度を返しておおはしゃぎした。

今現在、サイコロゲームをやり始めたタバサは十五回目の勝負で大勝を手にしていた。始めは1チップずつしか賭けず、しかも前の勝負の勝率は十四戦中三勝程度だった。が、実はそこまでは只の様子見だったらしく、先ほどの十五戦目の時は目を光らせていた。で、結果は見ての通りだ。

 

「うう〜、私もするのね!」

 

シルフィはタバサがあっさりと大勝したのを見て、自分も勝てると思ったのか幾つかチップを掴み他の所へと行ってしまった。俺も見てるだけってのは飽きてきたな。っつーことで、俺もタバサから10エキューのチップを一枚貰い、別のゲーム場へ移動した。

ちなみに、ここのレートは最低額が1エキューと高額な上、青天井だったりする。

 

「ここだな」

 

俺はフラフラと店内を歩き、勝てるゲームを探し出した。ゲームの名はルーレット。一番イカサマがし易く、バレ難く、尚且つ切り上げ易いゲームだ。俺は椅子へ座り、ゲームを始める。とりあえず、何回か様子を見るフリをしてチャクラ糸を玉と各数字に引っ付ける。さらに、すぐさま賭けずに数回ゲームほど糸での操作を練習とディラーに気づかれないか確認。これで準備完了。俺は悩んでるフリをしながらも一番配当の大きいストレートで賭ける(今回は赤21へ)。そして、ちょいちょいっとチャクラ糸を操り、

 

「赤の21番でございます」

 

目的の場所へ落とす。はい、楽勝。勝った俺のところへチップが入ってくる。10エキュー賭けて36倍の払い戻し、つまりは360エキューをゲットだ。後は適当に睨まれないように、1倍払い戻しのレッドorブラックで倍倍ゲーム増やししていけばおk。もちろん糸を使って望んだ色の方に落とすけどね。結果・・・・・持ちチップ5760エキューになった。ディーラーさん。顔青いよ? どうしたのかな〜。

 

「どうなってるんだ! このワシをバカにするのも大概にしろ!」

 

俺が次ぎの賭けをしようとしていたら、別の台から大きな怒鳴り声が聞こえた。そちらを見ると駄貴族が大負けしたらしく憤慨していた。まったく、引き際をわきまえないから“負けさせられる”んだよ。俺も詳しい訳ではないが、地下の、しかも青天井のカジノでイカサマが無いなんて、まず在りえないだろう。だって、普通に営業したら胴元が儲からないどころか赤字になって借金になるし。なんて((益体|やくたい))の無いことを考えていたら駄貴族はいつの間にかイケメンの((給仕|きゅうじ))によって追い出されていた。

 

「ふむ。まあ、ちょうどいいか。小遣いも稼げたし。タバサの所に戻るか」

 

俺は先ほどの騒動を機にルーレットを止め、タバサの所へと戻るとそこには俺の稼いだ約三倍近い量のチップが山の如く積み上げられていた。

 

「・・・流石と言うか、何というか・・・」

 

俺がタバサに感心しているとギルモアが揉み手をしながらやってきた。

 

「お嬢様・・・、これはこれは従者の方共々大変な大勝でございますな。さて、そろそろ夜もふけてまいりましたが・・・・」

 

と、ギルモアは大勝ちしたタバサに勝ち逃げされたら困るというような雰囲気でまた勝手に話し始めた。普通だったらここで止めるべきなのだが、俺たちの目的のためにはそうは行かない訳で、

 

「続ける」

 

と、タバサはギルモアに向かって言い。周りのギャラリーたちはタバサの言葉にどよめきを起こした。ギルモアはタバサの言葉にニヤリと笑うとディーラーに目配せをし、下がらせた。

 

「お申しわけありませんが、このテーブルはシューターが体調を崩してしまったので、お開きとさせていただきます。さて、そろそろ小さな賭け額にも飽きた頃ではございませんか?」

 

ギリモアはタバサにたいし大勝負を進めてきた。これはもちろん、取られた金を取り戻すためのものなのだろうと言う事は安易に予想できる。つまりはギルモア達がどうやって貴族から巻き上げているかを探るチャンスだ。タバサはコクリと頷き、ギルモアに賭けをやると言う意思を伝えた。

 

「きゅいー! 勝負は引き際が肝心なのね!ここまで勝ったら、とっととおいしいもの食ぼぇうっ」

 

シルフィが空気を読まず騒ぎ出したので、俺は後ろから口を押さえて黙らせる。

 

「おやおや、お連れさまは乗り気ではないようですが・・・。どうなされます?」

 

「続ける」

 

シルフィのわめきに対してギルモアはもう一度聞き返すが、当たり前だがタバサは変わらずに続行の意思を伝える。それを聞いたギルモアはニタニタとした笑顔で心にもないお世辞を言いながら一礼してゲームテーブルを用意すると言うと、タバサが首を横に振った。

 

「おや、お気持ちが変わってしまわれましたかな?」

 

「少し休みたい」

 

ギルモアは一瞬驚いた表情をしたがタバサの返答を聞いたら、いつもの表情に戻り店の奥にある部屋へと俺たちを案内した。

 

 

 

 

 タバサSide

 

通された別室には豪奢なベットや机等、他にも呼び鈴や絵画・彫刻が飾られた立派な部屋だった。たぶん大勝ちした客を泊まるため又は引き止めておく為の施設なのだろう。

 

「んーっと、何も仕掛けられてはいないな」

 

中に入るとキキが部屋中を見渡してそう言った。ビャクガンを使って調べてくれたのだろう。彼はその後ベットに寝転がり、私は椅子に座りいつものように本を広げた。

 

「まったく・・・、勝ってるうちが華だというのに、お兄様もチビ助も何を考えてるのね。ああ、こんなお部屋に釣られて、勝った分をそっくり吐き出すのがせきの山なのね!きゅい!」

 

私たちがそれぞれくつろいでいるとシルフィードがグチグチと文句を言ってきた。この仔は今回の任務の事を理解しているのだろうか?・・・いや、出来ていたらこんなこと言わないか。

 

「勝ちにきたわけじゃない」

 

「負ける勝負なんかしちゃだめなのね!」

 

私はしかたなく説明しようと一言喋ったら間も置かずに叫び返してきた。・・・まったく、私はシルフィードの耳を引っ張りこちらに無理矢理引きつけて話を続ける。

 

「この賭博場を潰すのが、今回の任務。ここで行われているイカサマを見つけて、客たちに教える。それで終わり」

 

「きゅいきゅい!痛いのね。耳を引っ張らなくても聞こえるのね。・・・まったく、でもイカサマなんてホントにしてるのね?もし、無かったらどうするのね?」

 

私の説明にシルフィードが疑問を返してきた。確かに、まだイカサマをしていると言う証拠どころかシッポもつかめていない。私が答えあぐねていると、

 

「いや、確実にイカサマしてるぞ。まあ、どういう仕掛けかはまだ分からんけどな」

 

キキがベットに寝転んだままこっちを向いて言ってきた。

 

「それはホント?」

 

「ああ。まあ、殆んど推測になるんだがイカサマしてるのはギルモアってやつだけだな。大方、タバサと同じ様に大勝ちした相手にお世辞を言ってイカサマ勝負を仕掛けてるんだろ」

 

イカサマをしているのはギルモア一人だけ?それはつまり奴だけに気をつければいいということか。問題はどのようなイカサマを行っていると言う事なのだが・・・。私が色々考えていると、

 

「むむむ・・・まったく!チビ助はお兄様が居ないと何にも出来ないのね。ふっふ〜ん。そんなチビ助のためにこのシルフィが証拠を探してきてあげるのね!」

 

「・・・・・・シルフィ?」

 

キキが可哀相な人を見るような目で彼女を見る。

 

「お兄様、まかせておいてなのね!わたしが今からイカサマの証拠を見つけてくるのね!そして、チビ助は証拠を見つけたわたしに感謝するといいのね!」

 

シルフィードがいきなり立ち上がり叫んで部屋を出て行ってしまった。私もキキもいきなりの彼女の奇行にポカンとして止めることが出来なかった。いったい彼女の中でどんな考えが出来上がっていたのだろう? 私はキキに向き返りどうするの?という視線を向けた。

 

「まあ、腹が減ったら戻ってくるだろ」

 

キキの言葉に私もまあ気にするだけ無駄かと思い私は読書の続きをする。しかし、それから数分としないうちにトントンと扉がノックされた。シルフィードがもう戻ってきたのだろうか?いや、あの子はノックなんてしない。

 

「誰?」

 

「給仕のトマと申します。お飲み物をお持ちいたしました」

 

 

 

 

キキSidi

 

「入って」

 

タバサがそう言ってトマを部屋に招き入れる。流石にマネ事とは言え執事の俺がベットに寝転がってるのは色々と不味いので即座に身を起こし、身嗜みを整える。扉が開き、入ってきたのはフロアで駄貴族を追い出していたイケメンさんだった。

 

「どうぞ」

 

イケメン給仕トマは持ってきたワインをテーブルに置き、一礼した。が、彼は部屋から中々出て行かないところが、妙に俺の事を気にしてるような気配を出している。俺はタバサをチラリと見るとタバサはもこちらを見てきて目か合った。どうやら少し席を外して欲しいようだ。彼とは知り合いなのだろう。推測するに昔のオルレアン家の使用人かな? まあ、何かあってもタバサなら大丈夫だろう。

 

「お嬢様、私はシルフィーを探して参ります」

 

「((わかった|ありがとう))」

 

俺は一礼して部屋から出て行く。積もる話もなんとやら。タバサの過去は重いからなぁ。

 

「さて、ついでだしイカサマ探しとシルフィー探しでもするか」

 

っと言う感じで俺は気配を消しながらあちこちを調べ始めた。ん〜しかしこのイベントはどういう感じだったかなぁ? 思い出せん。まあいいっか。さてと、次はあの部屋だ。俺は静かに扉に近づき気配を探る。お、中から話し声。俺は白眼を発動させて中の様子を視る。

 

「くくく、まったくバカな小娘よ。所詮は貴族の子、頭の中身はスッカラカンだな少し儲けたからといい気になりよって。が、しかし次の勝負で終わりだ。コイツらで有り金を全てを奪ってやる。あーはははははははっ!!」

 

はい。テンプレな悪党ありがとうございます。部屋の中にいるのはギルモアであり、奴は手にはカードが握られていた。ふーん、アレがイカサマカードか・・・。しかし、なんだアレ? カード束の中に何匹かの生き物のチャクラ反応がある。変化能力のある生き物か? 

 

「ん? おっと・・・」

 

俺が考え込んでいたら、ギルモアが部屋から出てきたのでサッと身を隠す。ギルモアは少し進むと給仕を呼びつけ一言二言指示すると、ニヤニヤと嗤いながら奥へと進んでいった。

 

「ふむ、そろそろ時間か。イカサマ手段は解ったが、あのカードのこ「あ!お兄様なのねー!!」ナイスタイミング」

 

生き物カードの事で少々悩んでいるとシルフィーが背後から走ってきた。口の周りが食いカスだらけなのはこの際気にしないでおこう。さて、いくらバカでもこの世界の生き物のことならいくらか知ってるだろう。俺は、シルフィーの口周りを吹きながら幾つか質問してみた。

 

「きゅいぃっ。それは“エコー”って幻獣なのね。けど、エコーは頭の良い幻獣だから人間なんかの言いなりになるなんておかしいのいね」

 

「ふむ、だとすると何かしら言う事を聞かなきゃならない理由があるってことだな。・・・餌付け?」

 

「偉大なる古代の幻獣であるエコーが食べ物如きで言う事なんか聞かないのね」

 

お前が言うかぁ? ん〜、こういう場合の常套手段って・・・・・・まさか、アレか?

 

「エコーってのは子供も変身できるのか?」

 

「出来るけどとてもヘタなのね。成長すればどんどん変化が上手になっていくのね」

 

確定だなこりゃあ。さて、ならばさらに探索しなければなぁ。こいつにも手伝ってもらわんとな。シルフィーに俺の推測を話して協力させる。

 

「きゅいー!!! なんてサイテーな奴なのね! エコーにそんな酷いことするなんて、大いなる意思への冒涜も甚だしいのね! さっそく行くのね、お兄様!」

 

憤慨したシルフィーは即座に俺の腕を掴むと歩き出し始めた。って何処行くんだよ。まあ、白眼使ってそれっぽいのを見つければいいだけだしな。俺はん苦笑いしながら白眼を発動し辺りを見渡した。

 

 

説明
1年ぶりの投稿。変な文章になってたらごめんなさい。
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