新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第022話
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新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第022話「華蝶見参!!」

 

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復興中の洛陽。

勿論その中では火事場泥棒の様な輩が出てくるわけで、その様な輩成敗でも連合の諸将達は手を焼いていた。

相手は土地勘もあり、尚且つ逃げ道はいくらでもあるのだ。

その様な悪の華の香りに誘われ、美々しき蝶の戦士が舞い降りた。

連合の将があと一歩のところで取り逃がした輩も、次の日には役人の館の前にボロボロな姿で倒れている。

犯人を捕まえてもらう分には大助かりなのだが、何処の誰かもわからない者が勝手に捕まえれば、恩賞も与えられることも出来ないうえに、「盗人すら捕まえられないのか?」っと、連合の名声にも響く。

そこで洛陽ではその者の捕獲に乗り出したのだが、未だその者を追い詰めることは叶わず。

ただ唯一の情報は、その者の名は華蝶仮面という者であること。

その昔は幽州、少し前まで平原、最近では徐州で出没するという情報だけであった。

 

文醜「斗詩、そっちに行ったぜ!!」

 

顔良「任せて文ちゃん!!」

 

今袁紹軍の文醜と顔良が、部下を引き連れ華蝶仮面なる人物を路地に追い詰めていった。

顔良は獲物である((金光鉄槌|きんこうてっつい))を大きく振るうと、華蝶仮面は華麗にかわし、顔良の一撃は壁にのめり込んでしまう。

続いて文醜が((斬山刀|ざんさんとう))を勢いよく華蝶仮面に向けて振り下ろすが、逆に隙の多い脇に回り込まれて、華蝶の獲物の槍の柄の部分で顎を打たれ((震盪|しんとう))して倒れた。

袁紹軍兵士は慌てて、文醜に近寄る者と、華蝶を捉えようとするものに分かれるが、一級武将二人係で捉えることが出来ないものを一般の兵が捉えること叶わず。

結局蹴散らされ、華蝶仮面は早々に退散した。

 

華蝶仮面「はっはっは、私を捉えようなぞ、まだまだ青い。私は正義の使者華蝶仮面。この世に悪が((蔓延|はびこ))る限り、私は滅しやしない」

 

そう言い残し華蝶は蝶の如く消えていった。

 

顔良「文ちゃん、大丈夫!?」

 

震盪を起こした彼女は文醜を気遣い駆け寄る。

 

文醜「あ、あぁ、アタイは大丈夫だよ。くそぉ、またあいつを逃しちまった」

 

顔良「はぁ、また麗羽様にどやされるのかな?」

 

文醜「まっ、その後アタイは斗詩の大きな胸で慰めてもらえばいいし」

 

顔良「ちょ、文ちゃん――」

 

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とある街路樹。

誰も視線が当たらない所に華蝶仮面は居り、その者は顔の仮面を外すと……なんとその人物は劉備軍の将である趙雲その人であった。

確かに以前より、華蝶仮面と彼女は似ているという説があった。

青い髪に細くて長いポニーテール。

全体的に白を強調した衣服。

一つ穴が空いてるベレー帽。

着物の手首の襟元の様に長い襟に蝶の羽を意識したかのような黄色い刺繍が入っている衣服を装着しており、さらに華蝶の獲物の先端は赤い二つの切っ先に分かれている槍が似ているところがあるが、皆「他人の空似」また「全く似ていない」と思い込んでいるので、趙雲の筈ではないと思っていた。

そういう作者も同一人物だと思っても見なかった(震)

趙雲は仮面を取り一息つくと、路地より何者かの視線を感じ「誰だ!?」と槍を構えて威嚇する。

そこより出てきたのは、趙雲にとっては思い出したくもない人物であった。

 

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趙雲「………影村」

 

以前彼女が西涼に短い期間仕官している頃、趙雲は賊を過信し、命令無視して勝手に特攻。

その行為に対し影村は軍規を乱した趙雲ごと賊を射掛けたのだ。

それから後、趙雲は劉備軍に入り、馬超の話により自分の非はそれなりには認めたものの、この影村なる人物自体は好きにはなれなかった。

 

重昌「ふっ、やはり華蝶仮面はお前であったか。趙雲」

 

趙雲「よく私だとわかったものだな」

 

重昌「いや、どっからどう見ても君にしか見えなかったが?」

 

趙雲「………なるほど、私の気を読み取ったか。流石は鬼善元帥」

 

「いや、見た目で――」というセリフが喉まで出かかったが、何とかこらえることが出来た。

 

趙雲「それでどうする?私を捕まえるか?生憎、簡単に捕まってやる気もないがな」

 

重昌「いやいや、正義の味方を捕まえるなどとんでもない。少し余興に付き合ってもらおうかなとね」

 

趙雲「余興?」

 

………

 

愛紗「ご主人様。私達の管轄である洛陽東地区は殆どと言っていいほど、復興は終わりを迎えようとしています」

 

一刀「そうか。後は民を安心させて、華琳に引き継ぐだけだな」

 

一刀と愛紗はこの洛陽に滞在中、この世界の曹操とも真名を渡しあっていた。

 

愛紗「しかしこの格好は嫌いではないのですが、些か人の目をより集めますのでそこが難点ですね」

 

この格好というのは聖フランチェスカ学園の制服。

一刀は前の外史でも同じような経験をしたため、愛紗の気持ちも少なからず判っていた。

二人は長安での一件で、完全に自らを天の遣いと宣言してからというもの、重昌に”それなり”の振る舞いをするように言われていた。

特に完全に燃えてしまった洛陽で、民は家を無くし、家族を無くし、友人も無くした者も少なくない。

精神的に追い込まれた人間を一種の宗教的な物で支えることは、歴史を見れば幾人の者たちが行っている。

彼が行おうとしているのは、民に少しでもそれの支えになってもらい立ち直ってもらうことと、後の保険為である。

 

一刀「そういえば星……いや、趙雲はまた悪ふざけをしていたのか?」

 

彼女が変な仮面を付けて街に繰り出していたのは、前の外史の星も同じようなことをしていたので、そのことはよく知っているつもりであった。

犯人を捕まえてくれるのは非常にありがたい。

だが一刀も以前の少し青さが残る一刀ではなく、一個の軍を預かる将。

趙雲の奇怪な行動には、少なからず頭を抱えていた。

報告によると、ここ最近は泥棒なども収まりつつあるので、華蝶の『か』の字も聞くことなく、特に平和に過ごしていたのだが、そこに一つの報が入ってきた。

謎の仮面をつけた者が、街の中心で暴れているというのだ。

二人は直ちにその場所に向かった。

 

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仮面の男「ふははははは。貴様ら動くな!!この子供達がどうなってもいいのか?」

 

街の中心でなにやら男が叫んでいた。

男の近くには檻に監禁された5人程の子供達。

近くには油の入った樽がそこに置かれており、男の半径10mの周りには各軍の兵が囲んでいた。

一刀達は何とか人混みを押しのけて犯人を直視出来たものの、それはとんでもない人物であった。

身長は180程で一般男性より少し大きめの体型、頭は少し白髪混じりで、服装は見慣れた真っ黒な着物。

またいつもの聞き慣れた声から察するに、それは自分達の主、『重昌・T・影村』本人であった。

顔にはヒョットコの面を着けているが、その格好からするに本人であることは間違え無かった。

 

一刀「あの人は何をやっているんだ?」

 

頭を抱えてそう言った。

重昌の悪役っぽい演技はなかなか様になっており、檻で怯えている?子供達の声はどこか棒読みであった。

近くの油の入った樽も勿論重昌がホントにそんなことをするとも思っていないので、中身は水であろう。

 

仮面の男「儂の名は雲井ヒョットコ斎。名前を聞いて侮ると痛い目をみるぞ」

 

夏侯惇「おのれ、先ほどよりふざけたことを!!」

 

突然、ヒョットコ斎の行動を焦れったく思っていた夏侯惇が彼に斬りかかった。

 

ヒョットコ「ヌルいわ!!」

 

ヒョットコ斎の手からは黒く禍々しい気が放たれ、それを受けた夏侯惇は後ろに飛ばされてしまった。

 

夏侯淵「姉者!!くっ」

 

姉がやられたことに苛立ちを覚えた夏侯淵は自身も弓で果敢に攻撃をかける。

しかしそれは軽く避けられ、ヒョットコ斎も弓で反撃。

その攻撃は夏侯淵の攻撃よりも鋭く精確であり、その矢は彼女の持っていた弓に当たり、弓は折られた。

 

ヒョットコ「まだまだ青いわ。もっと儂を楽しませる猛者はおらぬか!?」

 

そういうと彼は周りに落ちている物を何処かに投げつけたり気弾で周りの家を破壊したりと暴挙に出る。

だが良くも悪くも、先ほどより破壊されている家は元々壊す予定であった家ばかり。

そこに一つ、馬の蹄鉄の音を鳴らしながら近づいて来るものがいた。

その者は白馬から翔び、両足を開き右足を垂直に曲げる様に「スタッ」っと降り立つ。

 

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ヒョットコ「貴様、一体何者だ?」

 

華蝶「悪の焔を摘み取る為に、艶美な蝶が舞い降りる。華蝶仮面参上!」

 

ヒョットコ「華蝶仮面?そうか、最近この変を騒がせている者か」

 

華蝶「貴様の様な輩と一緒にするな。私は正義の為にこの刃を使う。ヒョットコ斎、我が槍の((錆|さび))となれ!!」

 

華蝶仮面は華麗なる突きの連撃を放つが、どれもヒョットコは遊ぶように避けていく。

逆に避けながら華蝶との間を詰めていき、攻撃を放つ華蝶が押さ気味な形になる。

そしてヒョットコは華蝶仮面の獲物である槍の刃先よりやや下部分を掴む。

華蝶は力を加え必死に振りほどこうと試みるが、刃先を岩にでも差し込んだと思うぐらいビクともせず。

華蝶は体重をかけて力を加えているにも関わらず、ヒョットコは自分の握力のみで槍を離さないのだ。

やがてヒョットコは槍ごと華蝶を持ち上げ、華蝶は槍越しに空中で静止する形になる。

ヒョットコが槍を大きく揺らすと、華蝶は槍から落ちて((中|ちゅう))に身をやる。

そこにヒョットコは華蝶に対し、一回転しながら脇に裏拳を叩き込む。

華蝶は咄嗟に脇を閉めて受け身を取ろうとするものの、華蝶は大きく飛ばされて、近くの民家に叩き込まれた。

 

ヒョットコ「ふははははは、所詮華蝶もこの程度よ。さて、次は誰の血を流させるとしようか」

 

笑いながら言うヒョットコと助けを大声(棒)で求める子供達、駆けつけて滅多打ちのめされた連合の将兵を見て、周りも「もうダメか」と思った時に、華蝶が叩き込まれた民家より、一つの声が聞こえた。

 

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???「――変……身!!」

 

民家より一つ光が放たれると、一つの影が飛び出して別の家の屋根に降り立つ。

足元より白いブーツに、彼女の長い足を包む革の黒いパンツ。

上半身にも革の黒い長袖着て、両手の甲に白の篭手を着けて、胸元、肩、腹部にも背中を覆うような白の鎧を纏っている。

しかし鎧と言っても、想像するようなゴツゴツしたものではなく、動きやすさを重視した感じのサラッとした鎧であり、胸元は薄いがより強度がありそうな銀の鎧が纏っており、先ほどの華蝶の仮面とは異なり、顔に銀色の蝶を連想させる様な飾りを付けた白いマスクをしており、最後に白のマントを羽織っており、腰には何やら大きなベルトの様な物が巻かれており、腹部には先ほどの華蝶仮面の仮面が備え付けていた。

※イメージは仮面ライダー龍騎で出てきた『仮面ライダーファム』

その者は腕を組み、足を揃えて直立立ちをしてヒョットコを見下ろす。

 

ヒョットコ「しつこいな、華蝶仮面よ」

 

???「違う!!私は貴様を倒すために戻ってきた仮面((騎士|ライダー))……華蝶!!」

 

マントを翻して決めポーズを決めている華蝶に、ヒョットコは最大級の気弾を放つ。

華蝶が登っていた家は、気弾の衝撃により煙が煙幕の様に周りに立ち込める。

 

ヒョットコ「ふん。隙を見せるとはだらしがない。所詮変わったのは見た目だけか」

 

華蝶「そうでもないさ」

 

ヒョットコが瞬時に振り返ると、華蝶は中を逆さに落ちながらヒョットコの背中に向けて鋭いレイピアの一閃を放つが、しかし寸でのところで避けられてしまう。

 

ヒョットコ「くっ、先ほどよりよっぽど動きが良いな。だがそれ如きで倒される私ではないぞ」

 

ヒョットコは持っていた弓の取っ手部分を真ん中より半分に引き離すと、弓の鳥打等の部分は刃となっているので、ヒョットコ独自の獲物である二刀の武器が完成。

見た目的には細いククリ刀的な感じであるので、着けているヒョットコの面と合わせればその存在は何とも不気味である。

華蝶は勇猛果敢にレイピアで一閃一閃と鋭い一撃をヒョットコに放ち、ヒョットコもその攻撃をどうにか流している状態である。

 

ヒョットコ「……ちっ、やるな」

 

すると華蝶は、先程ヒョットコが使用済みとも言わんばかりで投げ捨てた赤い刃先が二つの槍を、器用に足で蹴り上げ自分の左手に回収し、ヒョットコのククリ刀をその槍の刃先の間に挟んで、軽く左手首を捻ると、ヒョットコの獲物は一つ中に舞った。

続いてそれに油断したヒョットコはもう一方の獲物も華蝶のレイピアに弾かれ、さらに追い打ちの如く華蝶に足底で蹴りを放たれて後ずさる。

その蹴りの痛みをヒョットコが堪えている間に、華蝶は直ぐに持っていた獲物を投げ捨てると、ヒョットコ向かって走り出し、高く飛び上がり一回転して蹴りを放つ。

 

華蝶「((星乱騎士蹴り|スターバーストライダーキック))!!」

 

その蹴りをヒョットコは胸にまともに喰らうと、胸の辺りに何やら炎に焼かれたみたいな焼印が浮かびあがる。

 

ヒョットコ「……ぐっ、や、やるな。華蝶仮面。いや……仮面ライダー華蝶。だがな、だがな――これぐらいで私の野望が終わったと思うなよ。必ずや、この大陸全土を業火の炎で焼き付くしてく……れ………る――」

 

そう言い残し、ヒョットコは腕を広げて背中より倒れていくと、ヒョットコが地面に軽くバウンドした後、ヒョットコは爆死してしまった。

 

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しばらくの周りからの無言の後、華蝶の周りを囲むギャラリーは一斉に歓喜の雄叫びをあげて、檻の子供達は開放された。

その英雄の姿を少しでも間近で見ようと、皆華蝶に寄ってこようとしたが、その民衆の後方より馬の嘶き声が響いて、一匹の白馬が民衆を押しのける様にかき分けて行き、その走る馬に華蝶はサッと飛び乗るように騎乗をして、その場から消えてしまった。

その成り行きを見ていた一刀と愛紗は、この茶番劇を見てあるもの思い出した。

それはどの時代でもあるような芝居小屋、現代風に言うとヒーローショー。

今現在も洛陽の復興に連合は追われている。

洛陽が燃えてしまったことにより、住む場所も気力も無くした者達が溢れるのは当然とも言える。

そんな人達に勇気を与える物と言えば、間違いなく((英雄|ヒーロー))の存在。

ヒーローの武勇伝などが酒の肴となり、特に子供にとっては「大きくなったら――」と明日への希望を示す事も出来る。

そういうことであれば重昌が恐らくは、この世界の趙雲と結託して、このヒーローショーを行ったのであろう。

やがて連合の警邏隊の増援も駆けつけ、事態の収集にかかった。

 

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何処かの人目につかない捨てられた家屋では――

そこではライダーマスクを外して、一息ついている趙雲の姿があり、後から遅れてヒョットコが入ってくる。

 

ヒョットコ「お疲れ。飲むか?」

 

彼は持っていた竹の水筒を趙雲に投げ、彼女はそれを黙って取ると、一つヒョットコに視線を残して無言のまま蓋を開けて水筒の水を飲み干す。

 

ヒョットコ「おいおい、礼くらい言えばどうだ?」

 

茶化しながらいうヒョットコに対して、趙雲はずっと疑問に思っていたことを投げかける。

 

趙雲「判らんな。何故こんなことをする?何かの面を着けて徘徊する輩がもし何処かの軍の将兵であれば、その者は将兵であるにも関わらず街を動揺させるという愚挙を犯した。私の知っている高名な『鬼善元帥』殿であれば、その様な事など許すまいと思っていたが?」

 

そう彼女が言うと、ヒョットコはその面を外すと、その正体は重昌であった。

趙雲の意見も尤もである。

実際彼女が西涼で客将としていた頃、彼女は軍事違反を起こして賊に特攻。

結果、重昌は彼女諸共作戦の進行通りに賊に矢を射かけていた。

そのやり方を気に喰わなく感じた趙雲は影村の下を去りはしたが、その後彼の((義姪|めい))達である馬超と馬岱の話を聞いて考えを改めるものの、今だにこの『鉄血主義』である影村という人物が好きにはなれなかった。

 

重昌「人はいつの時代も英雄が好きなのさ。街が復興しても、人々が活気づかなければ意味もない。このまま放っておいたとしても、街は活気を取り戻すであろうが、それでも早いに越したことはない。まずは人々に笑顔を取り戻させねば、全てのことは運ばない。だから今回、英雄伝の様な茶番を演じたのだ。君もなかなかであったぞ」

 

趙雲「ふん。喰えん男だ」

 

すると趙雲は腰に差していたレイピアを鞘ごと抜き取り、横に向けて影村に渡そうとした。

 

重昌「それは今回、私の悪ふざけに付き合ってくれた報酬だ。遠慮なく受け取っておいてくれ」

 

趙雲「いいのか?私は鍛冶屋ではないから、それ程武器を見聞き出来るわけでもないが、この剣はちょっとした逸品であろう?」

 

重昌「気にするな。それは私が打った剣だ」

 

趙雲「なんと!!これほどの見事な剣を打ったと!?」

 

重昌「それは青紅倚天。青紅の剣の切れ味と倚天の剣の天を貫くような輝きを見本に作った」

 

趙雲「あの宝剣を見本に?だから青紅倚天……それにしても、まさか二つの宝剣の最良点をそのまま再現するとは……」

 

重昌「青紅・倚天の剣を作った職人は、さぞかし悔しがっていたよ。『儂もまだまだ精進せねばな』っと」

 

そう笑い飛ばす影村の手に趙雲は視線を落として訪ねた。

 

趙雲「………何故だ?影村、この剣は見たところ作られたのは最近だが、何故私の為に自らの手を傷つけてこの剣を打ってくれた?」

 

彼女の主君である劉備は、影村にとっては好ましく無い者。

それに趙雲は客将として影村に仕えた頃は、彼女は影村やり方に反感を覚えて自ら去っていったのである為、影村にとってもいい印象があるとは勿論思えなかった。

その様な疑問を思っていると彼は答えた。

 

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「いくら巷で鬼と言われ、軍議を守る為だったとしても、一度でも仲間………いや、家族を射るのは忍びなかった」彼はそう照れくさそうに言った。

今まで影村に対する憎しみで忘れていたが、彼女は彼の部下に入った時の事を思い出した。

「客将として仕えようと、君がいつかここを離れて敵として相まみえようと、一度仲間になったからには、君は私達の家族だ」彼はそう言っていた。

あの時の趙雲は、この言葉を軽く捉えていた。

「どうせこの者も他の統治者と同じように、私以外の人物にこの言葉を投げているのであろう」っと。

だがその考えは違った。

影村は自分を射たことを忘れるどころか、逆に覚えていてくれており、今でも自分のことを『家族』と言ってくれる。

心に引っかかっていた氷は溶けて、今までの付き物が取れたみたいに、趙雲はニッっと笑い答えた。

 

趙雲「影村殿。貴方は私の事を家族と呼んでくれるが、家族であるなら、何故真名を呼んではくれぬのだ?」

 

重昌は彼女の顔を見た。

何とも言えない笑顔をしていたのを見ると、彼は全てを察したかの様に思いフッっとニヤついた。

 

重昌「そうであったな。私の((真名|しんめい))は重昌だ。家族として君に預けよう」

 

趙雲「私の真名は星だ。重爺、これからよろしく頼む」

 

重昌「待て!!爺とは何だ爺とは!!私はそれ程、歳を取っておらぬぞ!!せめて((兄|にぃ))にしろ!!」

 

星「いや、どう見ても私とは親子ほど離れているし、どう見ても兄という感じではないであろう?」

 

重昌「ならばオヤジで十分であろう!?」

 

星「いや、それでは愛着が沸かないもので――」

 

こうして二人の言い合いの中で日は暮れていき、重昌はまた一人、自分への理解者を得たのであった

 

〜オマケside〜

 

公孫賛「………お〜い。私の馬は何処に行った〜〜?」

 

 

説明
今回はちょっとしたオマケ回。

洛陽復興中に起こったドタバタを軽く書いてみましたww

それでは。
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コメント
なるほ。 ちなみに華蝶ねww(IFZ)
nakuさん〉ごめんちょっと何言ってるか(ーー;)(IFZ)
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