青いチビの使い魔 29話
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 ルイズSide

 

夢を見ていた。そこは真っ暗な闇の中で私はその中を歩いている。

 

「何なのよぉ」

 

まったく先が見えず、何処までも続く闇。ただ不思議なことに足元の道の様な物だけははっきり見えている。

 

「まったく何なのよぉ〜」

 

私は何回目かの愚痴をこぼす。まったく夢なんだからもっと楽しい夢にしなさいよね! なんでこんな変な夢なのよ!文句を言っても仕方なく私は歩く。何故歩いてるのかは私も分らないけど、何故かずっと真っ直ぐ歩き続けている。別に疲れるわけでも苦になる訳でもなく歩く。

 

「あれ……は?」

 

どれくらい歩いたのだろうか? まあ夢なんだから距離とか考えても意味無いけど。そんなことより闇の中にポツンっと白い何かが見える。私の足は早足になりソレに近づいて行くと白い木のドアだった。私はそれを数秒見つめてから直ぐにドアノブを回し開けた。

 

「まぶしっ……」

 

私がドアを開けると光で視界いっぱいになり目をつぶる。そして、光が無くなりつぶっていた目を開けるとそこは

 

「ここ何処?」

 

私が見たこと無い屋敷の玄関に立っていた。後ろを向いてみたら其処には白いドアは無く、なかなか立派な扉になっていた。私は屋敷を見渡す。

 

「なかなかの屋敷ね」

 

私の家には全然かなわないけど。そう思いながらも屋敷内を色々見て回る。応接室だろうと思われる部屋、寝室に執務室など。屋敷内には見たこと無いような物も沢山あったけどそれ以外は普通の屋敷だった。

 

「で、ホントいったいこの屋敷って何なのかしら?」

 

私はフラフラと屋敷を回っていると話し声が聞こえてきた。さっきまで静かだったのに……。私は声のする方へと足早に移動する。

 

「ここは、確か広間だったはず」

 

広間の扉の前に立つと中からの声がよく聞こえてくる。ってこの声……リオン? それと、女の人の声。

 

「なんか、楽しそうな話し声ね……」

 

ムカツク。私に話しかける時はいつもムッツリした感じのクセに! もう、何よ! 私はゆっくりと扉を開けて中の様子を覗くと

 

『あらあらエミリオ、そんなに急いで食べなくても無くならないわよ』

 

『む、マリアン。子ども扱いはよしてくれよ』

 

そこには食事をしているリオンと見たこと無いメイドが居た。

 

「む〜、何あの笑顔。私にだって見せたこと無いのに。あのメイドも誰なのよ! それに何でリオンのことエミリオって呼んでるのよ?」

 

意味わかんない! その後もメイドとリオンは楽しく会話をし続けており、まるで恋人のような……

 

「……ッ!!」

 

胸の辺りに痛みが走り、私は胸を押さえる。何よこれ、もう何なのよ! ふとポタリと床に水滴が落ちた。

 

「え? あれ? 何で……」

 

ふと気づくと私は涙を流していた。ウソ、なんで泣いてるのよ。私はビックリして2〜3歩後ろに退りながらも広間の様子をもう一度見る。楽しそうなリオンとメイド。

 

「……やだ」

 

嫌だ。もう見たくない。ここに居ちゃダメだ。私は踵を返し一目散に走り出す。いったい何処へ走り出したのかは分らない。気づくとまた暗闇の中を移動しておりそして……

 

「ふえっ」

 

強い風が吹き、思わず足を止めると其処は大きな池があった。

 

「此処は……私の家?」

 

見渡せば見覚えのある風景が広がっている。そしてこの池も知っている。小さい頃から魔法が使えず、家庭教師やエネオノール姉さまに折檻されたりした時に小船に乗って隠れたものだ。私は涙を拭きながら小船の止めてある桟橋に向かう。

桟橋には毛布が積んである小船が一艘、私は懐かしさも在り何の疑問も持たずに乗り込み船を出す。船は漕いでも居ないのに池の真ん中へと移動しピタリと止まる。

 

「うっく……、うう〜」

 

私は小さかった頃のように毛布を引っ被り丸くなる。何故か分らないが心の中は悲しみが占めており、涙は止まることがない。何で私がこんな気持ちに!!

 

「何よぉ〜、なんでこんな気持ちになるのよぉ〜」

 

言葉にしても分らないものは分らない。だぁああっもう! 心の中で叫ぶもすっきりしない。私が悶々としている内にどれくらい経ったのか、変化は突然起きた。小船がグラリと大きく揺れたのだ。

 

「な、何? うん!?」

 

「おい、何時まで寝ている気だ」

 

バサリと毛布が剥ぎ取られると其処には

 

「リ、リオン! なななななんで!!」

 

其処にはいつもの仮面を被ったリオンが居た。リオンは小船の外に居り、腰まで池の水に浸かったまま私の毛布を取り上げていた。……ムカツク。ムカツクムカツクムカツク! 誰のせいでこんな気持ちになったと思うのよ! 私はリオンから毛布を取り戻し再度包まり船に横たわる。

 

「うるさい! あっち行け!」

 

「は? 何言ってるんだ。ほら、さっさと起きろ」

 

リオンは呆れたような声を出しながら、また私から毛布取ろうとする。何よ! 一人にしといてよ! 私は取られそうになる毛布をガッチリと掴み、取られないようにするがさすがに剣士であるリオンの腕力の前には歯が立たずに毛布を引っ張られていく。む〜!! 

 

「もう、放っておいてよー! 使い魔のクセに生意気よ!!」

 

あまりにもリオンがしつこいから私はリオンが毛布を引っ張る瞬間に合わせて毛布に引っ付いたままリオンへと体当たりを掛けてやった。

 

「のわっ!」

 

「うりゃっ!」

 

私はリオンに見事体当たりを決めて池の中へとダイブして……

 

「ごっ!?」

 

ゴンッと言う音と痛みと共に意識が覚醒した。私は頭を押さえながら涙目で辺りを見回す。そこはいつも見慣れた学院の私の部屋。

 

「あ〜う〜? あ?」

 

少々混乱中。ゆっくりと立ち上がり体を伸ばすして深呼吸。えっと……なんだっけ? 

 

「くっ」

 

私が思い出そうとしていると足元から声がする。視線を向けて見ればリオンが毛布を掴んで倒れていた。人の毛布を掴んで何やってのよ。

 

「ちょっとリオン。何してるのよ」

 

「……お前がいきなり飛び掛ってきたんだろ」

 

リオンは起き上がりながら低い声で言い返してきた。なんで私かそんなことするのよ?

 

「あた……、あーー、えっと……大丈夫?」

 

私が文句を言おうとした瞬間、さっきまで見ていた夢を思い出した。夢の中で泣いていたことも思い出し顔をリオンから背け目元を確認。よし、大丈夫。立ち上がったリオンにもう一度顔を向けるってあれ?

 

「リオン、いつもの仮面は?」

 

「ん、さっき倒れた時に外れたか」

 

私とリオンは仮面が取れていっただろう方へと眼を向けると、

 

「「あ」」

 

割れて被れなくなった仮面が落ちていた。

 

 

 

 

 ジンSide

 

やあ、こんにちは。皆のアイドルジン様だ。……ごめんなさい、調子乗りました。さて、今俺は夢を見ている。なんで分るかって? だって、

 

「宇宙空間に生身でいるんだもん」

 

この状況、夢以外なんでもない。前後上下左右星・星・星、っていうかデブリ? そんな感じだ。まあ、そんなことはどうでもいい。問題なのはこれが俺の夢じゃないってことだ。今俺が見てるこの夢の本来の主とは、俺の目の前でゴミ掃除をしている女の子、俺の使い魔であるチトセの夢なのだ。

 

「確かに使い魔の記憶が夢として見るみたいなことあるって聞いたことはあったけどさぁ、何故にこんな夢? ってか宇宙でゴミ拾いって意味あるの?」

 

目の前で行われているシュールな光景。SF的ピッチリスーツを着たチトセと二人の男の子がこの辺に浮かんでいる冷蔵庫や扇風機、挙句にテレビなど様々な電化製品を3人は背中のあるランドセルぐらいの大きさの長方形をした箱から伸びているホースで掃除機のように吸い込んでいく。

 

「物理法則も何もあったもんじゃないな」

 

ホースがゴミに近づくとどんな大きさのゴミもグンニャリと歪みながら穴に吸い込まれていく。ちょっと楽しそう。俺はそんなことを思いながら見ていたが、チトセはそうでもないらしくブーブー文句をたれ、メガネを掛けたほうの男の子から色々とたしなめられていた。

 

『もう飽きました! なんで私がこんな雑務をやらなきゃいけないんですか!』

 

とはチトセ。

 

『しょうがないよー。不法投棄が酷過ぎてここらを通る船からどうにかしてくれって苦情が来たんだから』

 

とはメガネの少年。不法投棄ってwww

 

『ああもう!マリブ、いっそのこと爆弾とかレーザーで焼いちまったほうが手っ取り早いって!』

 

とはもう一人の少年。俺もそう思う。

 

『そうも行かないんだよココモ。なんでもこのデブリの中にロストテクノロジーが有るみたいなんだ。しかも厄介なことに兵器タイプの。ヘタに刺激を与えたら何が起こるかわかったもんじゃないよ。最悪銀河系の一つが滅びるなんてことだって考えられるんだから注意してよ』

 

マリブと呼ばれた少年はゴミ掃除をしながらサラリととんでもないことを言う。がしかし、もっとトンデモナイ発言をする奴がいた。

 

『でもそれって最悪の場合じゃないですか。銀河なんてそう簡単に滅びませんって、ロストテクノロジーの発動が怖いならブラックホールボムでここ一帯の星系ごと綺麗にしちゃいましょうよ』

 

チトセだ。こいつ何言ってんの? え? 星系ごと? 俺は正気を疑う発言に頭を押さえる。そんなこと許されるわけないだろ! チトセの言葉に少年二人は無言でチトセを見る。そりゃあ呆れ……

 

『それナイスアイディアじゃね?』

 

え? 

 

『うーん……、確かに星数個の犠牲で手っ取り早く終わらせるならいいかもねー。でもバレたら説教ものだけど?』

 

『大丈夫ですって。ロストテクノロジーが暴走したって言えばOKですって』

 

……ナニイッテンデスカ? 彼らはうんうんと頷きながらチトセの提案を吟味し始めた。無いから! 掃除が嫌だからって星系消し飛ばすなんて在り得ないから! 

 

「何考えてんの!?」

 

と俺は叫ぶか声はもちろん届かない。これは夢でチトセの記憶、つまりは……

 

「実際に起こったこと……だよな?」

 

俺は顔を青ざめさせる。チトセがアレなのは解っていたつもりだったが甘かった。俺がオタオタしてるうちにチトセ達は何かしらの準備を終えていた。え? マジで。

 

「いや落ち着け、これは夢なんだ。死ぬことなんて有る訳無いって」

 

俺は深呼吸をして落ち着く。そうだ、何慌ててんだって。俺ってバカだなー。とか笑いながら前を見る。そして視界を埋め尽くしたものは全てを飲み込む黒、音も無く、唯々吸い込む黒だった。

 

「………………………………って、怖過ぎだぁ!!!!」

 

そして俺は叫びと共にソレに吸い込まれて……

 

「………ガッ!?」

 

眼を覚まし飛び起きた。もう寝ぼけるとか出来ない程の目覚めの悪さ、寝汗で服はぐっしょりで心臓なんて早鐘の如くバクバクと言っている。俺はベットに顔を向け寝ているチトセを見る。

 

「……う〜ん、うみゅ〜…スー…スー」

 

夢心地というやつだろう。幸せそうに寝ている。くそっ、外見が無駄に良いだけに寝顔が可愛いじゃねーか。チトセの寝顔を見ていたらこの胸糞悪さが無くなっていくような気がした。

 

「あへへへぇ〜。ジンさ〜ん、早く地面に額を擦り付けてくださいよ〜」

 

気がしただけだった。俺はそっと机の上に置いてあった花瓶を手に取り、寝ているチトセの顔面に思い切り叩きつけて起こしてやった。

 

 

説明
前半は真面目に書いて、後半ギャグっぽくしようとしたら全然おもしろい
内容ができなかった。
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コメント
むしろツインスター隊よりもエンジェル隊の方が銀河系に多数の被害をだしてますしねww 家庭教師やエネオノール姉さま → エレオノール姉さま(神余 雛)
銀河消しても説教ですむほうが怖い〜(咲実)
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