IS‐インフィニット・ストラトス‐黒獅子と駆ける者‐
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episode231 最後の決断

 

 

 

「っ!」

 

 爆発した直後に、颯は目を見開いて爆発した所を見る。

 

「兄さん・・・・!」

 

 

 

「大丈夫よ」

 

 と、後ろから楯無がやってくる。

 

「え?」

 

 颯は楯無を見ると、すぐに爆発した所を見ると、フィールドが消えて、煙が辺りに広がり出している時に、上から何かが飛び出てきた。

 

 

「あっ!」

 

 それは無傷の状態のインフィニット・ゼロであった。

 

「兄さん!!」

 

 颯はとっさにAGE-FXを展開して飛び出す。

 

 

(無事だったみたいね・・・・)

 

 内心で楯無は安心して胸を撫で下ろす。

 

 

 

 

 

 インフィニット・ゼロは一定の距離で止まると、光り輝いてそれが11個に分かれ、隼人達が姿を現す。

 

 

「みんな」

 

 隼人は一夏達を見渡す。

 

 しかしその姿は、さっきまでとは異なっている。

 

 姿こそISの姿に酷似しているも、至る箇所にGモード時の形状があった。

 

 一夏はウイングスラスターがデスティニーのウイングになり、背中のバックパックとマウントラックと共に搭載されている。両手もデスティニーの物になり、ヘッドセットも額にデスティニーの角が付けられている。

 

 箒はさほど形状に変化は無いが、背中にはインフィニットジャスティスのリフターが追加され、額にインフィニットジャスティスのアンテナが付けられている。

 

 セシリアは非固定ユニットはそのままだが、背中にはストライクフリーダムのバックパックとウイングとドラグーンが搭載され、ミサイルビットはそのまま、腰の両側にレールキャノンとビームサーベルが追加され、両腕の側面にリフレクター発生装置が追加され、両手には高エネルギービームライフルが二丁持たれ、額にストライフフリーダムのアンテナが付けられている。

 

 シャルロットは両肩と背中にヘビーアームズCのパーツが搭載され、両脚の側面にミサイルポッドが追加され、以前では無かった非固定ユニットにダブルガトリングが二基追加されている。額にはヘビーアームズCのアンテナが付けられている。

 

 ラウラは両膝にセラヴィーのGNキャノンUが搭載され、非固定ユニットの上部にGNキャノンUを搭載して、左側にGNバズーカUを下部同士で連結した物を搭載している。

 

 簪は背中にビームキャノンを搭載し、右手にビームライフルを持っていた。他と比べると変化は少ない。

 

 

 言うなればISとGモードの姿が一体化したような姿になっている。

 

 

「どうなってんだ!?」

 

「私たちのISが・・・・変化している!?」

 

 当然一夏達はISが変貌している事に驚きを隠せれなかった。

 

「Gモードの姿が所々にあるな」

 

「どういう事なんだ?」

 

 

「恐らく、Gモードの意思が、消滅する前に力を君達に与えたんだと思うよ」

 

 一夏達のISを見ていたユニコーンはボソッと呟く。

 

「消滅?」

 

 隼人は怪訝な声を漏らす。

 

「Gモードの元はあいつが造り出したもの。あいつとGシステムが消えたことで、恐らく現状維持が困難になったんだろうね」

 

「その前に、一夏達に力を託したのか。Gの意思は」

 

「たぶんね」

 

「・・・・・」

 

 

 

 

「兄さん!!」

 

 と、颯のAGE-FXがこちらに向かってくる。

 

「颯。無事だったんだな」

 

「うん。兄さんも・・・・無事でよかった」

 

 颯はすぐにバンシィ・ノルンを細かく見る。

 

「でも、一夏さん達のそのISって・・・・」

 

「恐らくGモードと一体化したって感じだろうな。まぁよくは分からないが」

 

「そうなんだ」

 

 

 

 

「だが、これでようやく、終わったんだな」

 

 一夏はボソッと呟いた。

 

「あぁ。これで、長きに渡る戦いが・・・・終わったんだ」

 

 隼人は広がりつつあり煙を見る。

 

「長かったようで、短かったような気がする」

 

 シャルロットも呟く。

 

「そうだな」

 

「うん」

 

「あぁ」

 

 

 

「帰ろう。みんなが待っている」

 

 と、隼人達が着水しているネェル・アーガマに向いて向かおうとした――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、状況は一変する。

 

 

「っ!?」

 

 すると煙がある場所より光が放たれていた。

 

「な、何だ!?」

 

 一夏達もとっさに煙の方を向くと、煙が解き放たれ、中よりある物が現れる。

 

 

「おのれ・・・・おのれぇぇ・・・・!!」

 

 それはダークネスカイザーに戻ったレイであった。

 

「馬鹿な!あれで生きているのか!?」

 

「嘘だろ!?」

 

 少なくともあの爆発では無事で済むはずがない。

 

 

「残念だったな。肉体は滅んでも、俺の魂は不死身だ!あの程度では俺は消滅しやしない!身体など微粒子となった物質からでも掻き集めれば再生できる!!」

 

「なんだと・・・・」

 

「そんな馬鹿な事が・・・・」

 

「・・・・」

 

 誰もが唖然となる。

 

 もはやゾンビ級の再生能力だ。

 

 

 

「貴様達だけは絶対に許さんぞ。この俺の数百年と言う長い期間に立ち上げた計画を潰したお前たちをな!!この世界は滅ぼせなくても、お前達だけは道連れだ!!」

 

 と、レイは突然赤く発光し始める。

 

「な、何をするつもりなんだ!」

 

 

「こ、これは・・・・」

 

 ユニコーンはとっさにスキャンして、結果が表示され、表情に焦りの色が浮かぶ。

 

「あいつのエネルギーが膨張している。このままだと暴走を起こして、自壊する!」

 

「ど、どういう事なんだ!?」

 

「つまり、やつは自爆をする気だ!」

 

「な、何だって!?」

 

「しかもエネルギーが大きすぎる。少なくとも地球は炎に包まれて、死の星になってしまう!」

 

「くっ!そうはさせるか!!」

 

 一夏は背中よりアロンダイトを抜き放つと刀身を展開する。

 

「おっと!やめておいた方が良いぞ」

 

 レイは右手を前に出して一夏を止める。

 

「今の俺は破裂寸前の風船みたいなものだ。攻撃をすれば、その衝撃で俺は爆発する。お前達の死が早くなるだけだぞ!」

 

「な、何・・・・」

 

 飛び出そうとした一夏は踏み止まる。

 

「なん、だと」

 

 隼人はショックに言葉を漏らす。

 

「何て事だ。では私たちは、やつが自爆するまで何も出来ないと言うのか!」

 

「このまま・・・・アイツの自爆を待つだけだなんて・・・・」

 

 シャルロットとラウラは歯を食いしばり、拳を握り締める。

 

「どうにかならないのか!?」

 

『・・・・どう考えても、我々にはどうする事も』

 

 リインフォースも悔しげに拳を握り締める。

 

 

「ハッハッハッハッ!!!悔やめ!悔やむがいい!!何も出来ず死を待つだけにな!最後に笑うのは、この俺だ!!」

 

 どんどん光が増していき、レイは笑いを上げる。

 

「くそっ!」

 

「最後の最後で、こんな結末など・・・・!」

 

 ラウラは歯を食いしばる。

 

「っ・・・・!」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 一夏達は悔しがる中、隼人はその一瞬が長く感じられた。

 

「・・・・・」

 

 光を放ち、地球を滅ぼすほどの威力を持つ爆発を今にも放ちそうなレイ。

 

 

 

 どうする事も出来ないのか・・・・

 

 

 ここまで来て・・・・俺は何も出来ないのか・・・・

 

 

 力を持っているのに、みんなを守れないのか・・・・

 

 

 

 心の中で色んな言葉が飛び交う。

 

 

「・・・・・」

 

 隼人は、その一瞬の間で考える間に、色々な思い出が脳裏を過ぎる。

 

 転生して、様々な出会いと別れ、そして手にした力と露になった陰謀と策略。

 この世界に来て、様々な事が起きた。嬉しい事もあれば、悲しい事だって、怒る時だって、本当に様々な事があった。

 

 

(・・・・)

 

 そして、一つの方法が思い浮かぶ。

 

 それはレイから地球を救う唯一の方法。そして、同時に二度と戻る事のない、死を覚悟した無茶苦茶なものだ・・・・

 

(・・・・結局、俺はこうする事でしか、みんなを救えないんだな)

 

 ここまで無力で情けない自分が悔しかった。

 

(鈴。お前のお陰で重大な事に気付いたのに、仲間を大切にするって約束したのに・・・・もう破ってしまうな)

 

 そして、隼人は決断を下す。

 

(ノルン。付き合ってもらうぞ)

 

(ふん。お前と言うやつは・・・・。まぁ、私はお前と常に共にある存在だ。どこまでも付き合ってやるよ)

 

 呆れながらも、ノルンは承諾する。

 

 

 

 

「・・・・どう考えても、もうこれしか方法は無いな」

 

 隼人は口を開き、一夏達はすぐに隼人を見る。

 

「な、何を言っているんだよ、隼人?」

 

 一夏は怪訝な声で言う。

 

「・・・・みんなの仲間で居られた事は・・・・未来永劫光栄に思う」

 

「隼人?」

 

 突然の言葉に、一夏達は疑問を抱く。

 

 

「一夏。俺の代わりにみんなを・・・・守ってやるんだぞ」

 

「は、隼人・・・・?」

 

「箒。俺が居なくなっても、教えは忘れるなよ」

 

「な、何を言って・・・・?」

 

「セシリア。いつでも覚えておいてくれ。何事にも、正直に、な」

 

「は、隼人さん・・・・?」

 

「シャル。俺の家族になってくれて、本当に嬉しかったよ」

 

「隼人。何を・・・・?」

 

「ラウラ。もうお前は一人前だ。俺から教える事は、もうない」

 

「師匠・・・・」

 

「ユニコーン。バンシィ。俺の代わりに、一夏と共にみんなを見守ってくれ」

 

「隼人君・・・・」

「・・・・・」

 

 ユニコーンとバンシィは何も言わず表情に浮かべなかったが、内心では隼人が何をするかが答えとして出る。

 

「颯。俺にとっては色々とあったけど、妹として、家族として一緒に過ごせた事は・・・・楽しかった」

 

「兄さん・・・・?」

 

「リインフォース。ずっと俺の傍で支えてくれて、ありがとうな」

 

『隼人・・・・!』

 

「ツヴァイ。リインフォースと共に、みんなを支えてやってくれ」

 

『隼人さん・・・・!』

 

 

「・・・・簪」

 

 最後に隼人は簪を見つめる。

 

「・・・・」

 

「隼人・・・・」

 

 悲しそうな顔をする簪に、隼人は近付くと右手を顔に添える。

 

「・・・・すまない。最後の最後で・・・・約束を守れなくて」

 

「え・・・・?」

 

 簪は一瞬理解出来なかったが、次の瞬間に全てを悟った。

 

 

「ま、待って!!」

 

 とっさに隼人を止めようとしたが、隼人はその前に顔から手を離し、離れていく。

 

「隼人!まさかお前!!」

 

 箒は隼人が何をするかを察し、とっさに隼人を捕まえようとするも隼人は箒を避け、スラスター全開で一夏達を離れて行った。

 

「だめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 簪の悲痛な叫びが響き、隼人はバンシィをデストロイモードにすると同時に出力最大で飛び出す。

 

 

「っ!?」

 

 レイは猛スピードで接近してくる隼人に気付くもその前に隼人は強い衝撃を与えないようにレイを捕まえると離れないようにしっかりと固定する。

 

「貴様!?」

 

「付き合ってもらうぞ!!地獄までな!!」

 

 隼人はスラスターを限界以上の出力で噴射し、一瞬で空高く飛び上がる。

 

「隼人!!」

 

「何をする気なの!?」

 

 

 

「恐らく・・・・」

 

 ユニコーンは少し動揺しながらも、口を開く。

 

「隼人君は・・・・あいつを地球の外に連れて行っている。地球に影響が無い所まで連れて行く為に・・・・」

 

「何?」

 

「あいつを宇宙に。だが、それで隼人はどうなるんだよ!!」

 

「そうですよ!!それだと、兄さんは!!」

 

「・・・・・」

 

 

『・・・・やっぱり、隼人はそのつもりで・・・・』

 

 声を震わせてリインフォースが口を開く。

 

「どういう事なの、リインフォース」

 

 不安げな声でシャルロットが問う。

 

 

『隼人は・・・・あいつから地球を救うつもりだ。命と引き換えにして』

 

『っ!?』

 

 それを聞き、箒と簪、ユニコーン、バンシィ以外は驚愕する。

 

「な、何を考えているんだよ!!隼人!!」

 

「そうですわ!!馬鹿な事はやめてください!!」

 

「隼人!!戻って!!」

 

「兄さん!!」

 

 

「無理だよ。もう通信圏外に出ているから、私達の声はもう隼人君には・・・・届かない」

 

『そ、そんな・・・・』

 

「・・・・」

 

 

「待ってよ・・・・隼人」

 

 簪は目に涙を浮かべ、隼人が飛んでいった方向を見つめる。

 

「行かないで・・・・」

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 隼人は既に地球を離脱し、月の軌道上まで来ていた。

 

「貴様正気か!?このままではお前も死ぬんだぞ!!」

 

 レイは隼人を押し剥がそうとするも、隼人はガッチリと掴んでいるので離れない。

 

「俺はいつでも正気さ!それに俺は二回も死んでいるんだ!!そんな俺の命で全ての命が救えると言うのなら、安いもんさ!!」

 

 隼人はスラスターを更に噴射し、どんどん地球から離れていく。

 

「正気の沙汰か!?」

 

「お前に言われたくはないな!!」

 

 そして勢いよく巨大な小惑星に衝突する。

 

「お前・・・・・本当の大馬鹿者だな!!」

 

「ありがとうよ!俺にとっては、最高の褒め言葉だ!」

 

 隼人は左腕のビームトンファーを展開してビーム刃を出し、勢いよくレイの胴体に突き刺す。

 

「ぐぁっ!!」

 

 レイは震えると、膨張したエネルギーが漏れ出す。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 そして隼人はビームトンファーの出力を最大にし、巨大なビームサーベルを出しながら後退する。

 

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 レイは断末魔を上げながら光を放ち、一旦圧縮されると一気に眩い光を放ちながら解き放たれる。

 

「・・・・ふっ」

 

 最後に隼人は鼻で笑い、そのまま光に包まれて行った・・・・

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

「っ!!」

 

 ユニコーンはある事が脳裏に過ぎり、震える。

 

「ど、どうしたんだ、ユニコーン?」

 

 

 

「・・・・あいつの反応が、完全に消滅」

 

「・・・・」

 

「でも、同時に・・・・隼人君のバンシィの信号も・・・・完全にロスト」

 

 声を震わせながら、ユニコーンは感じた事を口にする。

 

「なっ!?」

 

「そ、そんな・・・・」

 

「う、嘘でしょ・・・・」

 

 その場に居た者は全員衝撃を受ける。

 

 

「そ、そんなはずがねぇ!!あいつはまだ生きている!!そうやってあいつはいつも戻ってきたんだ!!

 ユニコーン!!もっとよく探してくれ!!」

 

「もうやってるよ!!でも、どれだけ探したって、隼人君の反応はもう無いんだよ!!」

 

 ユニコーンは涙を流し、一夏に怒鳴る。

 

 

「・・・・」

 

「こんな・・・・こんな結末は・・・・」

 

 ラウラはうな垂れ、シャルロットはショックのあまりハイライトが消えて呆然となっていた。

 颯はピクピクと震えて呆然としている。

 

 

「・・・・そん、な」

 

 簪は震えて涙を流し、焦点が合ってない目で隼人が飛んでいった方をただ呆然と見つめる。

 

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 そして簪の悲痛な声が辺りに響き渡った・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして数百年と言う長きに渡るバインドとの戦いは・・・・遂に終わりを告げた―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――1人の転生者の命と引き換えにして・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!
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タグ
ユニコーン バンシィ ガンダム インフィニット・ストラトス IS 

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