青いチビの使い魔 30話
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 キキSide

 

「はっ!」

 

「せいっ!」

 

早朝、今日も今日とてリオンと共に鍛錬を行い、学院の庭にて何度目かの金属音が鳴り響く。ちなみに今日はタバサもおり端っこの方でチャクラコントロールの修行をさせている。内容は簡単で足裏にチャクラを集中させタライに張った水の上に立つものである。

と言っても最近やっと自力でチャクラを練れるようになったばかりのタバサには裸足で立ってる事ぐらいしか出来ず、途中ふらついては何度も沈んだりしている。原作だと誰しも当たり前にやっているが、水上歩行ってそこそこの上級技術なんだよな。まあタバサなにげに才能あったし、すぐに靴履いたままでも立てる様にはなるだろう。

 

「あ、リオンさん。キキさん。食事の用意できましたよー」

 

「……ふう。もうそんな時間か」

 

「そうだな。おーいタバサ、飯食べるぞー」

 

シエスタの声に俺とリオンは武器を仕舞う。プルプルと振るえながらも何とか浮いていたタバサは声が掛るとバチャリと水の中に足が沈む。タバサには俺の事を説明した夜からちょいちょい忍術を教えている。まあ、アカデミーで習う程度だけど。

エルザは給仕の仕事があるので夜だけだが一緒になって習っていおり、シルフィは印が覚えられず直ぐに飽きてしまったのでもう来ていなかったりする。閑話休題。

 

「どうだ? 歩けそうか?」

 

「……無理」

 

厨房裏へと向かう途中、進捗をタバサに聞いてみるといつもの無表情だが声は気落ちした感じだった。俺はヘラヘラと笑いながらタバサの頭をポンポンと撫でたら杖で叩かれた。痛い。

 

「皆さん、おはようございます」

 

「お兄ちゃん達おはよー。ごはんの準備できてるよ」

 

厨房裏へと入るとチトセとエルザが朝食の準備を終わらせていたところだった。……一瞬、チトセが働いていると言う事に違和感を覚えてしまった。

 

「そういえば、仮面はどうしたんだ?」

 

「ルイズに割られた」

 

皆で朝食を取っている時にリオンがいつもの仮面をしていなかったのでなんとなく聞いてみたら、なんか朝から災難に遭っていたようだった。

食事を終えるとリオンとイチセは食堂へ行き、タバサと俺は教室へと向かう。教室に着くと、いつも通りの席に座り授業が始まるまでタバサと共に本を読む。

 

「ん?」

 

しばらくして生徒らがまばらに入ってきて騒がしくなりはじめた頃、教室内が一際騒がしくなり気になって教室の入り口付近を見るとルイズとリオン、ジンとチトセが入ってきた所だった。騒がしくなった理由としては仮面をしていないリオンに女子生徒達がキャーキャー言っているのと、ボロ雑巾のようになっているジンに憐れみの声をかけている生徒達だった。またチトセの何かに巻き添え食らったのか…、可哀想に。

 

「何をしているのかね君たち。もう授業の時間だ、席に着きたまえ」

 

リオン達が入ってきた直ぐ後、教師が入って来るなり言った。確か、ギトーって言ったか? 生徒達は彼の姿を見るとそそくさとそれぞれの席へと着席をする。ギトー先生は一つ頷くと教壇へと移動し授業を開始した。……したんだが、いきなり自慢話を始めるは生徒煽って魔法の打ち合い始めるはと、まったく何考えてんだか。

さらに調子が乗ってきたのか大振りなしぐさで自らの系統である風を最強だの何だのと言い始めてまたも何かしらの魔法を使おうとした時、ガラリと教室の扉が開き金髪ロールのカツラを頭に乗っけたコルベール先生が焦った表情で入ってきた。

 

「ミスタ?」

 

「あややや、ミスタ・ギトー! 失礼しますぞ!」

 

入ってきたコルベール先生にギトー先生は睨むがそんなことお構い無しにコルベール先生は教室を見渡して言葉を続ける。

 

「おっほん。今日の授業はすべて中止であります! さらに、皆さんにお知らせですぞ」

 

コルベール先生が大げさに胸を張りのけぞるとカツラがツルリとスベって落ちた。ソレを見た生徒たちはくすくす笑いをし出し、ついでとばかりにタバサが

 

「滑りやすい」

 

と指を指して言った。何かこころなしかドヤ顔してるし。結果、教室中は爆笑に包まれて笑われている当人は顔を真っ赤にして怒鳴り始めた。

 

「黙りなさい! ええい! 黙りなさいこわっぱども! 大口を開けて下品に笑うとはまったく貴族にあるまじき行い! 貴族は……………」

 

うんぬんかんぬんと、マジ切れしたコルベール先生の気迫に教室内は静かになりそのままありがたい説教になり、そしてやっと本題へと入った。なんかメッチャ長い前置きだったので簡潔に言うと『お姫様が来るから身嗜み整えて表に出ろや』の事らしい。生徒たちはコルベール先生の話を聞き終えると、ざわざわと騒ぎながらもさっさと教室から退室していく。……これは俺も行かなきゃならんのか? と言う視線をタバサに向けたら当たり前と言う表情をされた。

 

 

 

 

 ジンSide

 

よし! ついにアルビオンへの手紙イベント来たでー!! 

 

「しかし、どうやって絡んだものか……」

 

候補としてはギーシュと一緒に盗み聞きに行くか、それかタバサちゃん達と一緒に追うかのどっちかがベストか。俺が廊下を歩きながら考えていると、

 

「はぁ〜、お姫様ですか。きっと可憐で可愛いんでしょうねぇ」

 

数歩後ろにいるチトセが頬に手を当てて、ほんわかした表情で言った。…………しまった!? こいつを如何にかしなければ確実にイベントフラグがへし折れる! 俺はワクワクしていた気持ちが一瞬にして凍り付いた。

 

「クソッ。どうする? どうする?」

 

俺は小声でブツクサ言いながら歩みを進める。このイベントで出来ればウェールズ殿下を生き残らせたいっと言うかそれが俺の目的だ。

 

「アンリエッタ姫とのフラグはどうでもいいから問題ないとしても……」

 

ぶっちゃけなかなか良い胸ではあるか性格が好きくないんだよなぁ。ウェールズ殿下に関しては良い人だし、何より折角チート転生してるんだから助けられる人は助けたい。

 

「うふふふ。楽しみですね〜」

 

しかし、助けるための一番の障害であるこいつを如何にかしなければならない。が、如何にかできる自信がない処か今までの経験上、余計な事をすればするほど自分に物理的ダメージとして返ってくる。もはや呪いの域である。

 

「くっ、考えれば考えるほど自分のボロ雑巾姿しか思い浮かべられない。何でこうなるんだよ……。いや、躊躇するな。俺は全フラグメント持ってるんだ。大丈夫大丈夫頑張れ俺」

 

「ジンさん、何さっきからブツブツ言ってるんですか? 気持ち悪いですよ?」

 

チトセが後ろから喋りかけてくる。気持ち悪いって言うな! 誰のせいでこうなってると思ってんだよ!人目がなかったら殴ってる所だった。……自分が女性に暴力を振るうのに躊躇が無くなってる事に気づいてちょっと傷ついた。

 

「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなーーーりーーーッ!」

 

生徒達が杖を掲げた学院の庭にて呼び出しの衛士が声高々に告げると馬車の扉が開かれる。周りの皆が息を呑むが出てきたのはマザリーニ枢機卿だった。周りは一気になんだよという雰囲気になり鼻を鳴らす奴もいるが枢機卿は意に介した風もなく馬車の横に移動すると続いて降りてくる王女の手を取った。

王女が可愛らしい笑顔で手を振ると先ほどまでとは打って変わって生徒たちはわっと歓声が起きた。しかし、そんな中

 

「あら? 存外普通ですね。期待して損しました」

 

チトセはケッと唾を吐いた。殴りたい。本来ならギーシュとの決闘イベントの時に仕掛けた((黒の引力|ブラック・アトラクション))のESPウィルスで言う事を聞かせるはずが無効化されてしまっている。何故無効化されたかと言うと『え、だってウィルスなんですよね? だったら私、直ぐに抗体出来ますから?』らしい。

こいつ、本当に人間なのだろうか? 他にも黙らせる方法はあるのだが、ほぼ物理的になってしうのでこの場で使うのは少々問題があったりする。

 

「チトセ。頼むから少し黙ってくれよ」

 

「私、この前街で見たネックレスが欲しいですね」

 

買えと? ってか会話がおかしい。しかし、この場で騒ぐのは得策じゃないし……。くぅッ! 悔しいがしょうがない、イベントフラグを建てるには我慢するしかないんだ!  

 

「わかった。好きなの買ってやるから静かにしてくれ」

 

「わかりました〜?」

 

一瞬だがニヤリと目元が歪んだ笑顔をしやがった。この状況で俺が騒げないの分ってて約束させやがった! ちくしょう!

その後、学院長と共に王女様と枢機卿は学院内へと移動し、他の生徒及び教師たちも王女らが完全に見えなくなってから各自解散となった。そして夜となり、俺はチトセを((香|フレグランス))で眠らせる&麻痺させ、さらに((鋼鉄斬糸|カンダタストリング))で全身をグルグル巻きにしてやる。よし、準備は済んだ。行動開始だ。

 

 

説明
原作の2巻。アルビオン編に入ります。
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コメント
この作品のちとせは少々酷くしています。アニメ版はまだ人間してますよwww(だしィー)
アニメ版ちとせってこんなにひどかったかなww でもここまで来るとジンくんがかわいそうでかわいそうで(神余 雛)
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