チートでチートな三国志・そして恋姫†無双
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第29話 一刀vs愛紗<前編> 〜一刀の就く位〜

 

 

 

 

 

 

「それでご主人様……。」

 

「その前に一ついいですか?」

 

愛紗が何か聞こうとすると、福莱がそれを止めた。福莱からこれ以上聞かれる事なんてあるのだろうか。

 

「何だい?」

 

「この他にも考えていらっしゃることはあるのですよね? この後、可能な限り教えて頂きたいのですが……。」

 

「……。わかった。」

 

多少の躊躇いはあった。でも、福莱なら俺が頑張って説明すれば色々な話を――憲法など――理解してくれる、そんな気がした。

 

「で、愛紗が言いかけていたことって?」

 

「“国民国家”・“大統領制”とは何なのか……? という話です。まだ“ナショナリズム”に関する説明しか聞いていないのですよ。」

 

愛紗は少し拗ねていた。そういえばそうだった。きちんと説明しなくては。

 

「まずは“国民国家”からいこうか。”漢民族”として一つにまとまった国家のことだよ。国として”まとまる”ことが何より大切なんだ。」

 

結局、江戸時代の日本なんて藩ごとに一つの国があったといっていいくらいのものだからなあ……。それを大久保たちが改革したんだ。

 

「”漢民族”として一つにまとまるということは、五胡ら異民族に対抗するためのものですか?」

 

「鋭いですね。」

 

さすがは愛紗だ。それに気づくとは。

 

「その通りだよ。五胡を始めとした外敵と戦うためのものさ。」

 

「それが……。ご主人様の目指す国家……。」

 

「ああ。」

 

「大きな疑問が一つあるのですが、それは後で聞くことにします。それで、先ほど、”大統領制”と言っていたと思いますが、それは何です?」

 

“大きな疑問”か。恐らく“皇帝”関係だろう。俺の考える国家の最終形に“皇帝”はいない。そのことについて聞いておきたいのではないかな。

 

「そこからが問題です。絶対に他言してはなりません。」

 

「わ、わかっています!」

 

「大統領制。俺が目指す国の最後のカタチ。最初は桃香が皇帝になって天下統一を行うけど、それが終わったら大統領制に移行する。? どうしたの愛紗。」

 

「やはりですか……。先ほど言った”大きな疑問”です。桃香様が皇帝になるということは、今の皇帝は”禅譲”か”放伐”で位を追われる。そうですね?」

 

「ああ。」

 

俺がそう言うと、愛紗はため息をついた。それも仕方ないかもしれない。元々、桃香、愛紗、鈴々の3人は後漢を再興させるために立ちあがったのだから。それを自分たちで“潰す”となってしまうのでは、衝撃を受けるのも致し方ないことだろう。

 

「この国を救う方法は、もうそれしかないのですか?」

 

「他にもあるとは思うよ。ただ、”延命”か、”長寿”か。その違いだよね。俺は一度、いや2度殺して“超”長寿国家をつくろうとしている。確かに、この国のやりかたにはそぐわない。でも、この国のやり方でやろうというなら、間違いなく”延命”にしかならない。あっという間に崩壊する。」

 

「……。」

 

「私から少し言わせて頂きますと、必ずしも“禅譲”か“放伐”という流れにはなりませんよ。漢の威光を求めた豪族が皇帝の保護に動く可能性があります。そうすれば”不遜の輩が皇帝の威光を借りている”ということで桃香様が自ら皇帝名乗れます。何せこちらは”劉”備ですから。」

 

「な……。」

 

「さて、“大統領制”の説明に戻って良いかな?」

 

「はい。」

 

「大統領制というのは、国家行政の首長のことを“大統領”と呼び、それを民衆が“選挙”で直接選ぶやり方のこと。

 

“選挙”をかいつまんで説明すると、なりたい人が立候補して、民衆は“これ”と思う人の名を紙に書いて投票し、それを集計するの。一番集まった人が“大統領”になる。勿論、“なりたい人”にも条件はあるし、政治家だよ。聞いてる?」

 

「……。」

 

愛紗は固まっていた。福莱はため息をついた。そんなにとんでもないことを言っているつもりは……あるか。この国のあり方を180°変えるものだからなあ……。

 

「滅茶苦茶です!! できるわけがないでしょう!!」

 

「どうして?」

 

「その理由を、福莱ではなく私に説明させろと仰るのですか、ご主人様は。」

 

「うん。」

 

「……。本当に意地が悪いですね。私が言う程度のこと、反論も用意なさっているのでしょう?」

 

「多分ね。」

 

「……。“大統領制”で、民衆が直接統治者を選ぶということは、一見とても素晴らしいことのように思えます。しかし、この地の民は生まれながらに平等ではないのです。“豪族”が支配者層として君臨しています。連中をどう黙らせるおつもりですか? 我々に援助をした袁紹も“豪族”なのですよ。」

 

さすが愛紗。目の付け所が良いなあ……。

 

「確かにそれは大きな問題なんだけど、“ある方法”で解決できるんだ。他に問題はある?」

 

「大ありです! 福莱も言っていたような気がしますが、民衆を啓蒙しなければ失敗するに決まっています。かといって啓蒙すれば『下手に啓蒙するのは、統治をやりにくく、難しくするだけ』と前にご主人様が仰っていた通りになるではありませんか!

 

「そうだね。」

 

「“そうだね”ではありません!! そもそも、なぜ福莱は”啓蒙”以外の問題点を聞かなかったのです?」

 

「これらのことを実行するには桃香様が”皇帝”の座に就く必要があります。そうでなければ不可能です。」

 

「は?」

 

「ならばその時にご主人様の就く位を聞けば済む……そう思いました。結果は予想以上でしたが。」

 

「ご主人様は確か……。!? 相国!? 何を考えていらっしゃるのです!? あまりに不敬です!! 誰も納得しません!!」

 

「納得する方法は考えてあるよ。心配いらない。」

 

「ええ。」

 

「?」

 

「”前例”を作ってもらえばいいのです。誰かが相国に就任すればそれで。」

 

「それも無理矢理行うのですか?」

 

「”今さら”でしょう。」

 

「……。」

 

「で、”啓蒙の話だけど……。」

 

「愛紗さん、ここから先は本当に覚悟して聞いて下さい。ご主人様の思想は”危険極まりない”と先ほど言いましたが、今度はそれでは済みません。聞いた者は殺されてもおかしくない、そんな思想です。」

 

愛紗は少し青ざめた。これ以上悪いこと、危険な思想があるのか……という思いのようだ。

 

「……。わかりました。」

 

「民衆を、というより子弟の教育機関である”学校”をつくり、儒学を教える。儒学の他にも治水や兵法、農業といったものを学んで貰い、最後には必ず一定期間、兵役に就いてもらう。」

 

「は……? 拒否権はないのですか?」

 

「そこが難しい所だよね。”良心的兵役拒否”といって、兵役に就かないかわりに重労働や皆がやりたがらないような職に就かせる方法もなくはないのだろうけど……。」

 

「愛紗さん、問題は其処ではありません。ただ、一応説明しておくと、”国民全員で国を守ろう”という考え、“国民皆兵”に基づくものです。一般的には“募兵”で民衆の心次第に拠る兵の数を”徴兵”により確実に一定数、保つことができます。」

 

「問題は其処ではない? では、何処だと……?」

 

「”儒教”です。」

 

 

後書き

 

更新が遅くなった理由を書いても仕方ないので

 

戦国恋姫発売! basesonさん頑張って下さい。

説明
第3章 北郷たちの旅 新たなる仲間を求めて

長らくお待たせして本当に申し訳ありませんでした。そして短いです。リハビリだということで勘弁下さい。
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