Over there 3
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僕と優菜は、その後駅の近くの服屋に立ち寄って、優菜は新しい服を買った。僕が、「一人で来れば時間を気にしないで選べるんじゃなかったのかい?」と聞いたら、「二つの内のどちらか一つを選ばなきゃいけないときに、人に決めてもらったほうがすっきりする」と言っていたけど、自分は着る服にはあまりこだわらない方だからあんまりその考えはわからなかった。

 

そして、たった1分半だけ遅れた罰としてジュースを奢らされた。今日はそれだけだったらしく、二人で電車を待っている時に、ちょっと気になったことがあったので聞いてみた。

「ずいぶん今日はいろんな服を買っていたけど、何か用事でも?」

「特にそんなことは無いんだけどね。最後くらいはいいかなって思って。」

「何が最後なの?」

「あ、いや!聞かなかったことにして!」

何か凄く慌て始めた。怪しいし、もっと問い詰めたいけどどうせ優菜のことだから、聞いても教えてくれないだろう。

 

しばらくあたふたしていたけど、次第にいつもの調子を取り戻してきたみたいだった。

「とにかく、今のは聞かなかったことにして!」

「そう何回も言わなくたって分かってるよ。」

そういうと、優菜は安心したように胸を撫で下ろした。電車が車での数分間、いつものように他愛ない話をした。

 

優菜とは降りる駅は同じだけど、そこからの方向は違う。優菜と改札までを並んで歩き、定期を改札に吸い込ませる。僕達はお互いに「また明日」といって背を向け合ってそれぞれの家へ向かう。今更だけど、さっき以上に「最後」の意味が気になってきた。でも、多分もう一回聞くと問答無用で優菜に殴られるから聞くのは止めておこう。

 

 

 

 

back to Uta

 

 

 

 

寒い。フツーに寒い。

 

ひとまず目を開けて状況を確認。クーラーを付けっぱなしにして寝てしまったらしい。というか寝たよな。寝ている間、ずっと冷気が体に当たっていた為か、肌は異様に冷たくなっていた。

時刻は既に8時半にもなっていた。我が家は両親が共働きだから帰りが遅い。腹が減って死にそうだし、寒いからカップラーメンでも食べるか。お湯を沸かしてカップニードルに注ぐ。

 

今日はは変な夢を見た。何故か俺は俺の名前で呼ばれてなかったし、なぜか転ばされるし。

とにかくここ最近よく見る、俺が妄想の中で作り上げたファンタスティックガーデンの夢とは程遠い夢だった。ぜんぜんメルヘンチックではなかったし、いまこうして目を覚ましていなかったら、俺は多分あちらが現実だと思い込んでしまうほどに現実味があった。

 

そんな良く解からないことを考えていると、いつの間にか3分以上経っていたらしく、カップニードルの容器には汁を半分くらい吸った麺がうねっていた。こうなってしまったらあまり美味しくは無いが、作ってしまったから仕方なく食べる。

 

カップニードル特有のとがった麺をすすっていると、俺の携帯が震えだした。空からのメールだ。

 

「明日は学校に早めに行ってやらなきゃいけないことがあるから、晴と二人で学校に行ってください。それと、今度の日曜日に暇だったら少し付き合ってください。」

 

との事だった。いつも空と晴と俺の三人で学校に行っている。まあ、同じ方面に行くわけだし家も隣となれば自然とそうなると思う。「了解」とだけ返信して、部屋に戻って再び眠りについた。

 

 

 

 

朝、目を覚ますとカーテンの隙間から太陽の光が差し込んでいた。目覚まし時計が鳴っていないということは、すこし早めに起きてしまったらしい。時刻を確認。

 

「まだ、7時半か〜・・・・・」

 

なに?7時半と言うことは、遅刻こそしないものの結構急がなければならない。しかも今日は空が先に学校へ行ってしまった為に、晴と二人で行かなければならない日のはずだ。そして晴は悪魔といっても過言ではないほどの寝起きの悪さだ。いつもは空が起こしているらしいが、俺に晴を起こす事ができるのだろうか。ヘタこいたら寝ぼけたまま登校することになりもなりかねない。と言う事は途中で晴と別れるわけだから、あいつが寝ぼけたままだと車にひかれたり、バイクにひかれたり、自転車にひかれたり、電車にひかれたり・・・・・・・・

 

「こうしちゃいられねぇーぜ!」

 

そう叫び、30秒で着替えて部屋を飛び出し朝飯の代わりのカロリーメイツを一つ食べる。朝っぱらから喉がカラカラになっちまうけど、それはこの際妥協しよう。玄関を出て一軒隣の家へ。

 

「おじゃましまーす!」

 

返事はなかったが、それはOKなのだと勝手に解釈して晴の部屋の前までダッシュする。晴の部屋の前に立ち、息を整えてノックをする。・・・・・・・返事がない。いまだに寝ているようだ。女の子の部屋に入るのには少し抵抗があるが、今はそうしちゃいられない。すまないが入らせてもらう。

 

部屋の中では晴がベットの上で気持ちよさそうに寝息をたてていた。急いで駆け寄り頬をつねってみる。・・・おきない。

 

「晴、朝だぞー。起きろー。」

 

結構でかい声で言ってみたが、やはり起きない。仕方がないので鼻と口を塞いでみた。見る見るうちに晴の顔が険しくなっていく。可哀想なので離してやると、やや寝ぼけ気味だったがちゃんと起きてくれた。

 

「あれ〜?なんでお兄ちゃんがここにいるのぉ?」

「今日は空が用事があるから俺が起こしに来たんだ。それよりも時間がないから早く準備しろ。」

「そ〜なんだぁ、うれしぃ〜。それじゃあちょっと外に出て待っててね〜。すぐに行くから〜。」

 

晴は完璧に寝ぼけていたようだったが、俺は晴を信じて外に出で待つことにした。時間的には今から出れば充分に間に合いそうだ。しばらくすると、晴がすっかり目が覚めた様子で玄関から出てきた。二人で並んで歩き始める。

 

「こうして二人で並んでると、カップルみたいに見えるね。」

 

何気ない晴の一言に、俺は結構驚いた。俺は年下は守備範囲ではないし、今更晴をそういう対象としてみることはないだろう。多分。

 

「それはどうだろうな。高校生と、ちびっ子中学生とじゃ割が合わないと思うけどなー。」

 

そういうと晴は頬を膨らませつつ「二人っきりで行く方がうれしいくせにぃ。」とか言っていたが、先ほども言ったように、年下は守備範囲ではないのでそういう事にはならないと思う。

 

 

 

そんなこんなで途中で晴と別れた後、俺は一人さびしく学校に着いた。教室へ向かうと既に空が俺の後ろの席に座っていた。だが、あまり顔色がよくない。というよりは、何か暗い表情をしていた。

 

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