恋姫†英雄−蝶々戦隊華蝶連者 第一話
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chapter:都市壊滅

 

 

 東京23区が【禿十字団】を名乗る集団によって跡形も無く破壊されたというニュースはすぐに全国を駆け巡った。

 

 フランチェスカの学生達も含め、全世界の人達が目にした最初の映像には、荒れた大地が映っていた。

 瓦礫の一部や周囲の地形から、東京23区だった場所が荒れた大地に変えられたと確認できる有様。

 

 政府に禿十字団を名乗る悪の組織から届いた犯行声明は以下の内容だった。

 

「この攻撃は我ら禿十字団の要求を無視した日本政府への報復である。」

 

 

 しかし、禿十字団は目的を明らかにしておらず、日本政府は今の今まで禿十字団に関して何も話さなかった。

 そして、日本政府は今も禿十字団からどんなコメントがあったかひた隠しにしている。

 

 

 そして、政府の見解とかいうので、勝手に住民全員の死亡が発表されてしまった。

 

 

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chapter:ヒーローが求めた戦力

 

 

 翌日のトーク番組は、禿十字団によるテロについて。デラックスファイターという日本屈指のヒーローの1人がコメンテーターに呼ばれた。

 

「禿十字団は構成員の数も目的も、アジトの場所も一切不明…はたして日本は、いや世界はどうなってしまうのか…。」

 司会が心配そうに言うが、デラックスファイターは冷静だが、怒っていた。

「そんな事は重要な事じゃねぇ、今、ハッキリしている事は2つだ。一晩で都市を荒地に出来る程の科学力を持っている事と、

 そして、禿十字団は目的の為なら無関係な人間を巻き込む事を顧みない事だ!」

 デラックスファイターはそう力強く語ると話をつづけた

「今すぐにでも潰しに行きたいところだが、あいつらのアジトは何処にあるのか解らねぇ。

 一応、知り合いに頼んで手は打ってあるがアジトを見つけられるかは解らねぇな。」

「では、アジトが見つかり次第、禿十字団を倒してくれると…ナイトクラスの貴方なら…」

 司会がそこまで言いかけるとデラックスファイターは厳しい口調で語った。

「いや、多分俺一人じゃ禿十字団を全滅させる事はできねぇ。」

「と、言うと?」

 司会が不思議そうに言った。

「少なくとも一晩であそこまでの大規模な破壊を実行出来る程の構成員数と科学力が禿十字団にはあるとなれば、

 他にもヒーローや魔法少女の力が必要だ、俺も腕っ節には自信がある。

 だが、禿十字団の組織の構成員の数や科学力がどれ位か如何によるが…

 出来れば戦闘慣れしているアヌビスクラス以上の奴が30人以上…少なくとも10人のヒーローの力が必要だ。」

「警察や自衛隊の戦力を含めれば?」

「…ダメだな、禿十字団相手だけに国家戦力を大量に注ぎ込んじまうと、他の悪の組織や犯罪者がその間野放しになりかねん」

 デラックスファイターはそう言うと用意されていたコーヒーをグイッと飲み干した。

「頼んだぜ…鷹の爪団…」

 デラックスファイターのその呟きは誰も気が付かなかった。

 

 

 

 ここで、この外史に置けるヒーローのランクについて説明しよう。

 全ての治安活動を行っている者達は例え接触が困難でも、顔や正体が不明でも「国際ヒーロー協会」に登録される。

 

 そして、その実力に応じて5段階のランク分け、通称「英雄超度」がされている。

 また、男女でランクの名称も違う。

 

 英雄超度:ナイト/プリンセス

 その人格や実力を認められた一流かつ最強のヒーローや魔法少女。

 多くのヒーローと魔法少女はこのランクを目指す。

 

 英雄超度:ファイター/ジェミナス

 中堅クラスのヒーローや魔法少女。

 

 英雄超度:アヌビス/メイジ

 小規模なギャングや多人数の強盗犯グループを1人で相手に出来る国家警察から見ても規格外の戦闘力を持つヒーローや魔法少女。

 ちなみに、華蝶連者は現在、2人ともこのランク。

 

 英雄超度:ガーディアン/ストレイキャッツ

 殺人犯や強盗犯を相手に出来るヒーロー全体としては底辺だが一般人から見れば凄腕の戦闘力を持つヒーローや魔法少女。

 

 英雄超度:ハウンド/キャッツ

 駆け出しのヒーローや魔法少女で、戦闘力は一般人とそれほど変わらず。

 軽犯罪の取り締まりが出来るぐらいしか戦闘力が無い。

 

 

 ちなみにそういう自警活動が盛んなこの外史には様々な特殊能力や魔法や武器、突然変異や人外が平気で出ます。

 

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chapter:襲来

 

 

 場所は戻って昼休みの巨真聖(スーパーセント)☆フランチェスカ学園。

 

「大変な事になってしまったな…。」

 思春が沈んだ様子で言う。

「これから、桃花町にも禿十字団が攻めてきたらどうする?」

 星が俺の方を見ながら言う。

「その時も華蝶連者が倒してくれるさ。」

 俺はそう言うと目と目で合図した。

「なんか、私…取り返しのつかない事言っちゃったかも?」

 桂花が力無く言った。

 

「一刀?少しいい?」

 蓮華が俺の方を見て言った。

「何だ?蓮華?」

「次の休みの日…一緒に外食に出掛けない?良いお店見つけたの。」

 蓮華は少し顔を赤らめもじもじしながら言う。

「別に良いぜ。」

 

 

 その日、俺は華蝶連者のマスクと武器を懐に隠して持って行った、そんな事ある訳無いとは解っていながら。

 

 

「で…何で愛紗や星、思春や桃華まで一緒に来ている訳?」

 蓮華は片眉をピクピク動かしながら引き攣った表情で言う。

「いや、俺と蓮華だけじゃ寂しいし…皆と一緒に食べようかと…。」

「…何で…何でこんなに鈍いのよ…」

 蓮華が力無く呟いた言葉に俺は首を傾げた。

 

「あの…すまないが蓮華、それより良いお店って?」

 星が蓮華に語り掛ける。

「え…ええ、繁華街の処に『蕎麦処あかなべ』って最近出来た美味しい蕎麦屋さんがあるの。」

 蓮華が嬉しそうに言う。

「ほう、そんなに美味なのか?」

 星が興味有りそうに言う。

「ええ、すでに『ミュランスの星』で三つ星取って、結構評判なの。さ、行きましょ、行列が出来たら中々入れないから」

 

 

 俺達は噂の蕎麦屋で人数分の蕎麦を注文した。店主は若くて物腰柔らかい。

「「いただきまーす」」

 俺達が蕎麦に箸をつけようとした時。

 

 耳をつんざくほどの衝撃音が炸裂し、一刀達が食べようとしたお蕎麦もお店の壁も吹き飛ばされてしまった。

 

「何だ!?今のは!?」

 思春が驚いた様子で叫ぶ。

「見て!外に!」

 桃華が入口のドアがあった場所を指さして言う。

 

 

 一刀達が外に出るとそこには黒いウェットスーツに禿鷹と十字架のマークがプリントされた。

 剃髪の若い女達の集団が、武器を持って長い黒髪の和服の少女を守るように取り巻いていた。

 思春と愛紗が上を見上げてみると、桃花町の空を同じマークがプリントされたヘリが何台も縦横無尽に飛び回って、

 剃髪の女達を桃花町の色んな場所に下ろしながら桃花町を破壊して回っていた。

 

 

「禿十字政宗様!この禿十字団二尉、鷺ノ宮伊澄の遣り方をしかとご覧ください!」

 長い黒髪の少女はそう言うとお札を取り出し何かを呟いたかと思うと、ビルに札を投げつけ破壊した。

 

「禿十字団!?」

 愛紗が驚いた様子で言う

 

「すでにイギリス、フランス、オーストラリア、グリーンランド、リオに私の同胞が向かっています。

 この街も私達禿十字団が支配します!」

 伊澄がそう言うと、禿十字団員が一斉に桃花町の人々を襲い出す。

 愛紗達は一目散に逃げ出したが、禿十字団が追ってくる、そして途中で一刀と星とはぐれてしまった。

 

 

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chapter:火炎と流星、ふたつの翼の蝶

 

 

 

 一刀と星は瓦礫に身を隠して禿十字団を遣り過ごしていた。

「桃花町にもう明日は無いかもな…星。」

「ああ、悪の組織に滅ぼされた…私の生まれ育った街のように…あれから、私は親戚同士の家を盥回しにされ、一刀の実家へと流れ着いた。」

 星が思い出を辿るように言う。

「俺の妹から本当のお姉ちゃんのように慕われていたな、あの頃の星は」

「ああ、そして、今、私達2人の妹にまた会う為には…。」

「「禿十字団を倒す!」」

 

 その頃、愛紗達4人はアパートの瓦礫にまで禿十字団に追い詰められてしまった。

 4人の顔が恐怖に凍り付く。

「良い顔ですね、ぞくぞくします…もっと怯えてください。」

 伊澄がそう言いながら御札を取り出そうとすると、

 

「気に入らねぇな。」

 そう何処かからか声がした次の瞬間、

 

 どこからか銃が火を噴き御札を破かれる。

「誰だ!?」

 伊澄が動揺した様子で叫ぶ。他の禿十字団員達も辺りを見回し、愛紗や蓮華も驚いた表情で銃声が鳴った方向を向く。

 

 そこには赤い装飾銃を下ろしながら近づいてくる紅の蝶々覆面で顔を隠した一刀と、黄色の蝶々覆面で顔を隠した星の姿が…

 

「貴様ら!?何者だ!?」「何の真似だ!?」

 禿十字団員の1人がそう叫ぶ。

 

 蝶々覆面を装備した一刀と星は相手を一警すると、名乗りを上げた。

「火炎の蝶、華蝶レッド!」

 一刀が名乗りを上げた。

「流星の蝶、華蝶イエロー!」

 星が名乗りを上げた。

「「我らは美と正義の使者、華蝶連者!」」

 

 

「華蝶連者、噂には聞いていたけれど…」

「あいつらは今まで悪の組織何て相手にした事なんて無い!実践慣れしていなければ、勝ち目もある!」

 禿十字団員達が口々に言う。

「貴方達、私達禿十字団に歯向かえば、あの東京23区のようになりますよ!」

 伊澄が挑発するように華蝶連者に言えば、

「知らねえな…だが、お前らの遣り方は気に入らねぇ」

 華蝶レッドが木刀を向けながら、言いかえす。

「私達は貴方達の様な輩が大嫌いでね。」

 華蝶イエローも槍を向けながら大声を出した。

「この街には、俺達の大切な人や学校が沢山ある!お前らの様な奴らに破壊されてたまるか!!

 

 蝶・最高にいくぜ!!」

 華蝶レッドはそう言うと禿十字団員達に銃を向け火を放った。何人かの団員が倒れると同時に、

 木刀と槍を手に華蝶連者が、悪の戦闘員の大群に飛び掛かり団員を次々と薙ぎ倒していく。

 

 

「くっ…その女達は後!下っ端共!やれぇ!」

 伊澄の号令で大量の剃髪の女達が華蝶連者に向かっていく。

 

 禿十字団員達は拳法の動きと数にモノを言わせて華蝶連者を襲う。ヘリからも次々と団員が下りてくる。

 だが、戦い慣れていた華蝶連者の前に、ある物は木刀で殴られ気絶し、ある物は脇を槍で刺されて倒れ、

 騒ぎが大きくなると、警察が駆けつけ華蝶連者に加勢しに来て禿十字団員達は一気に形勢不利に追い込まれた。

 

 結局、華蝶連者の2人には拳の1つも当てられないまま、下っ端達は全滅してしまった

 

 

 だが、伊澄だけは…

「面白いヒーローのデビュー戦でしたが、もう飽きました。」

 そう言うと長い黒髪のウィッグを掴むと叩き付け、スキンヘッドを晒すと御札を構え、

「さようなら…」

 無数の札を投げつけ警察官達をあっというまに爆発で斃してしまった。

 だが!

「はあああああっ!」

「うぇぇいいいい!」

 華蝶連者達は自分の獲物を持ち寄り爆炎の中から飛び上がり、伊澄を叩き斬る。

 止めに一刀が伊澄の腹に蹴りを浴びせ、伊澄が倒れ込む。

 

「油断しましたね…ですが!」

 伊澄は和服も脱ぎ捨て、下っ端達と同じウェットスーツ姿になると、拳を構え華蝶連者に突撃する。

 

 

「どうやら、御札は品切れのようだな。」

 華蝶レッドがそう呟くと木刀を振りかぶる。

 華蝶イエローも槍を構える。

 

「華蝶連者ーッ!!」

 伊澄が気弾を放とうと両手を構え振りかぶり、飛び上がる。

 

「そう、俺達は華蝶連者!」

「「美と正義の使者達なり!!」」

 次の瞬間、レッドの木刀の唐竹割りとイエローの突きが伊澄の体を打ち砕き、伊澄はその場に倒れ込み、動かなくなった。

 

 

 その後、華蝶連者が去った直後、一刀と星が愛紗達に合流した。

 一刀達はまだ意識のある警官を起こし、伊澄以下その場で倒れていた禿十字団員達は逮捕された。

 

 

 警察からの事情聴取の後、一刀達は寮の帰路に就いた。

 

 その夜、一刀と星は中々眠れなかった、今日は勝てたから良いものの、もしかしたら負けて殺されていたかもしれない。

 これから禿十字団はさらに強力な刺客を放ってくるだろう。その時も勝てるだろうか、無事に皆で学園を卒業出来るのだろうか。

 そんな不安で胸がいっぱいだった。

 

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chapter:もう1つの悪、もう1つの正義

 

 

 

 その頃、禿十字団に爆破された『蕎麦処あかなべ』では…

 

「も…申し訳ありません、ダイバ・ケンタロウ様…」

 店の店主が落ち着かない様子で怪しげな通信機から何者かと連絡を取っていた。

 

「禿十字団に後れを取ったかシオン…」

 通信機からは高圧的な男の声が聞こえてくる。

「申し訳ありません、ケンタロウ様。桃花町の人間の信用を得て禿十字団と桃花町のヒーローに関する情報を収集する作戦が…。」

「もういい、この桃華町にある物以上に俺達【ブレイクガイズ】が世界を支配する為に破壊(ブレイク)しなければならないものが出来た!

 迎えを向かわせる、今すぐブレイクガイズ本部へと帰還しろ、シオン。」

「はっ…しかし…」

「そっちには代わりを向かわせる、お前の本分は暗殺と諜報だからな。」

 

「はっ、ケンタロウ様…」

 通信を切れた事を確認したケンタロウは近くに居た5人の配下に語り掛けた。

「ギムレ、クノン、バレン、ユエル、ラミ…次の任務だ。」

 

 

「桃花町に向かい、指定するターゲットを破壊(ブレイク)せよ。」

 

 

 

 

 

 少し時を遡り、荒地になった東京23区にかつての悪の秘密結社の面々が野営していた。

 

「総統、僕の吉田村もこの破壊で吉田村への隠し道の幾つかがダメになってしまいました…」

「吉田君、元気を出したまえ…何か手掛かりを掴まねば…」

 鷹の爪団は今ではデラックスファイター直轄の情報屋だ、巨真聖☆フランチェスカ学園に吸収された古墳学校の元生徒を仲間に自警活動を援助する情報を集めている。

 

 

「どうだね?レオナルド博士?」

 鷹の爪団の総統が白衣を着た熊に話しかける。

「ダメだ…この土壌、著しく汚染されちまってやがる。向こう1年半は新しい植物は根付く事も芽吹く事も無く、荒れ果てた大地になるだろうな…」

「そんな、じゃあ…」

「パパ…」

「安心しろ、ギルドに帰ったらオレがこの土壌を何とかする発明品を作ってみるさ、出来るかどうかはオレにも解らんがね。」

「ところで、何故、禿十字団はここを破壊したのかしらね?」

 古墳ギャルのコフィーが不思議そうに言う。

「まさかとは思うけれど、ここの住民、破壊で殺されたんじゃなくて、禿十字団に誘拐されたんじゃ…?」

 ダニエルが心配そうに答える。

「その可能性は低くはないな、瓦礫ばかりで誰の遺体も見つからなかったし…」

 フィリップがそこまで言いかけると吉田君が大声で叫んで指を刺した。

「ねぇ!?東京の一区がここまで激しく破壊されているのに、何であの建物だけ無傷なんですか!?」

「「「え?」」」

 鷹の爪団は一斉に吉田君が指を刺した方向を向いた、そこには…

 

説明
人の記憶や想いに残る事だけが創作の目的の全てじゃない。自分は人を楽しく幸せにする為の創作を貫く為に、昔生路が考えた物語を恋姫†無双二次創作として再編成!
メイン作品は恋姫無双だけだけれど…今回から色んな作品からの人物等がゲスト的にクロスオーバーされます(しかもこの物語は全く新しい外史なので設定も所々違う)、そういうのがダメな人は…気合で見てください。

今回の外部出演作品は【サモンナイトシリーズ】【ハヤテのごとく!】【秘密結社鷹の爪団】の以上三作品でございます。

一応、読者の皆様からのリクエストアンケートも募集しております。(今回は作品にも設置しております)

1・華蝶連者の正体は誰が何時如何に知るべきか。
2・華蝶連者の正体は誰が知っていて知らないふりをすべきか。
3・華蝶連者は最終的に正体を明かすか否か。
4・華蝶連者には次は誰がメンバーとして入るべきか。
以上の4つの項目に関するリクエストの集計(TINAMI、Pixiv、生路のブログ三方の合計)を統合しますので、皆様よろしくお願いします。
リクエストには特に制限は決めてありません。
一度に何人・何回でもご応募いただいて大丈夫です。

ご意見・ご感想・ご指摘などが有ましたら是非ともコメントをお聞かせください。
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