真・恋姫†無双 裏√ 第四十話
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魏の大食漢とその保護者

 

 

 

 

 

 

うちの店『晋』は、美味い、安い、量が多い、さらには美女揃いということで、

かなりの集客率を上げてきた。

そして基本は来る者拒まずの精神で、明らかに柄の悪い輩でも、一旦は店に入れてあげる。

その後、もし店で暴れたら、恋による制裁が入るがな

 

そんな『晋』でも、出入り禁止制度は実装されていたりする。

だが完全な出入り禁、というわけではない。月に一度だけ、入店は許可している

 

そして今日は、その入店許可日だ

 

 

 

「邪魔するぞー!」

 

「はー、一ヶ月長かったなー」

 

ぞろぞろと入ってくるのは、うちの店の要注意人物でも上位にのぼる二人、春蘭と季衣だ

 

月「は!き、来ました。みなさん戦闘態勢です!」

 

詠「今日は体力をばっちり残してあるから負けないわよ!」

 

月と詠の言動、決して大袈裟ではない。

春蘭と季衣は本当によく食う。それこそ、恋並に食っていく。

おかげで、こいつらが来ると在庫が空になりかねない

 

秋蘭「すまんな、咲夜。迷惑をかける」

 

流琉「東さんも、本当にすいません」

 

春蘭、季衣の後から秋蘭、流琉が申し訳なさそうに現れる。

この二人は、それぞれの保護者的立場にある良識人だ

 

咲夜「気にするな。きちんと金は払ってくれてるんだ。

問題は…ない事はないがまぁいいさ」

 

そう。うちは料金設定を安めにしているため、在庫を空にされるほど食われると、

微妙に赤字になってしまう。

それ故に、こいつらは月一の入店と制約を設けた

 

零士「そういう事。二人も食べてってくれ」

 

そして四人が円卓席についていく

 

季衣「へっへー!食らいつくしてやる!」

 

春蘭「はっはっはーっ!行くぞ『晋』よ!食料の貯蔵は十分か!?」

 

試合開始だな

 

 

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悠里「姉さん!揚げ物、全滅します!補充急いでください!」

 

咲夜「なに!ちょっと待ってろ!」

 

詠「丼物ももうすぐやられるわ!あいつら、どんな胃袋してんのよ!」

 

月「へぅ〜目が回りますぅ〜」

 

零士「まずいな、手が足りない」

 

春蘭「そんなものか『晋』!」

 

秋蘭「姉者…もう少し落ち着いて食えんのか」

 

季衣「一ヶ月我慢した分、ここで晴らしてもらうよ!」

 

流琉「季衣もはしたないよぉ。…あのぉ、お手伝いしましょうか?」

 

悠里「マジで?うんうん!ちょっと手伝って流琉ちゃん!」

 

咲夜「おいこら悠里。何勝手に決めてやがる」

 

流琉「あぁいや、大丈夫です!それに、『晋』さんの調理に携われるなんて光栄です!」

 

詠「ここってそんなに有名なの?」

 

流琉「多分、料理人で知らない人はいないくらいではないでしょうか?

あの華琳様が絶賛された店ですから!」

 

へぇ、あの華琳がねぇ

 

零士「それは僕も初耳だね。はい!焼きそばとお好み焼き、それぞれ20人前お待ち!」

 

流琉「うわぁ、凄い…」

 

零士はとんでもない量の焼きそばと、とてつもなくデカイお好み焼き二枚を一気に持ってきた。

お好み焼き、よくあの大きさで作れたな

 

零士「さぁ流琉ちゃん、お言葉に甘えて、少し手伝ってもらおうかな」

 

流琉「はい!」

 

 

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流琉「す、凄い…お城にもないような調味料がいっぱいある」

 

流琉は早速厨房に入り、材料を見ていく。

うちには各所から取り寄せた様々な調味料に加え、零士が独自で研究、開発した調味料がある。

料理人でもある流琉からしたら、なかなか興味深いところだったらしい

 

零士「ふふ。後でいくらでも見せてあげるから、今は少し手伝ってくれるかな?

お客様がお待ちのようだ」

 

流琉「は、はい!」

 

咲夜「じゃあ流琉、ここの野菜を一口大に切っといてくれ。

それが終わったら野菜を鍋にぶち込んで、この調味料と一緒に炒めといてくれ」

 

流琉「はい!」

 

その後、流琉の協力もあり、なんとかさばいて行く。

流石に、華琳が認めただけはあるな。動きに無駄がない。

流琉のあの技量、うちに欲しいくらいだ

 

春蘭「クッ!そろそろ限界か…」

 

季衣「かなり食べたけど…まだ…」

 

あの大食らい共も、そろそろ満腹らしいな

 

咲夜「零士、あれやるのか?」

 

零士「せっかく準備したんだ。やらなきゃ損じゃないかな」

 

咲夜「りょーかい、準備する。流琉、助かったよ。後はこっちでやるよ」

 

流琉「もういいのですか?」

 

咲夜「あぁ。今からちょっとした芸を見せてやるよ」

 

流琉「芸?」

 

 

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零士は巨大な鉄板を芸人用に作った小さな舞台に持って行く。

そしてそこで火を付け、鉄板を温めていった

 

咲夜「零士、ほら、材料持ってきたぞ」

 

私はバターを筆頭とした様々な調味料に米、ニンニク、ネギ、玉ねぎ、卵、

さらにかなり大きめの肉の塊を持ってきた

 

零士「さて、では始めますか」チャキンチャキン!

 

零士は大きめの包丁を出し、豪快に調理を始めた

 

秋蘭「ほぅ。調理するところを見せてくれるのか」

 

咲夜「あぁ、零士式鉄板焼きだ。まぁ見てな」

 

零士「ではでは皆さん、しばしお付き合い下さい」

 

零士はまず、玉ねぎやニンニクを細切れに刻み、そして鉄板で炒めていく。

すると、なかなか香ばしい香りが漂ってくる

 

春蘭「ほぉ、これは」

 

季衣「いい匂ーい!」

 

春蘭や季衣だけじゃなく、この時に来ていた他の客も、視線を零士に向け、生唾を飲んでいた

 

零士「よっ!」

 

 

スパパパーーン!!

 

 

次に零士は、巨大な肉の塊を空中に投げ、それを包丁で一口大に刻んでいく。

それを見たお客から、歓声の声が上がる

 

零士「そしてちょっとだけ、派手にいこう!」

 

 

ボォッ!

 

 

零士は肉を炒めつつ、少量の酒をまいていく。すると大きく火の手が上がった

 

春蘭「だ、大丈夫なのか?」

 

零士「ちゃんと調整はしてますよっと!」

 

ある程度肉を焼いていったら、今度はご飯を投入する。

それを先ほどまで炒めたものと混ぜていき、そしてといでおいた卵をかけていく。

ジューっという良い音が、さらに客の腹の虫を刺激したのか、待ちきれないといった様子だ

 

零士「最後に調味料で調整して……はい!お待たせしました。本日限定、特製肉炒飯です!」

 

月「食べたい人は、こちらからお渡しします!」

 

詠「並んで待ってください!」

 

月は出来た物を皿に移していき、詠が列の整理をしている。店にいた客の大半が並んだ。

こうして実際調理しているところを見せ、食欲を刺激するのがこの芸の狙いだ。

今回は試験的にやってみたが、結構受けたし、今後もちょくちょくやってみるか

 

春蘭「む、季衣!急ぐぞ!なくなってしまう!」

 

季衣「当然ですよ!」

 

春蘭と季衣も列に並ぶ。

あいつらの事だから、一般客を押し退けるかと思ったが、そんな事はなかったようだ。

意外と律儀だった

 

悠里・恋「♪」

 

おかしいなぁ、うちの従業員も並んでいるように見える…

 

零士「おー、派手にやるもんだね。もう完売したよ」

 

一応大量に用意したんだが、あっという間になくなってしまった。

そこそこ良い肉やらを使ったからな、こりゃ今日は赤字かもしれないな

 

春蘭「美味い!」

 

季衣「凄いこれ!なんかもう、全ての食材が絶妙にお互いを引き立ててる!

このタレの味付けに程よいニンニクの香り、そしてお肉の柔らかさ!最高だよ!」

 

見れば他の客も美味い美味いと連呼し、勢いよくがっついている

 

赤字かもしれないが、あの笑顔を見れただけで、十分なのかもしれないな

 

 

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秋蘭「今日はありがとう。美味かったよ」

 

大食漢二人があの炒飯を平らげると、ようやく食事が終わった。

その後は閉店間際まで茶を飲んでいた。その間、流琉だけは厨房でうちの仕事振りを観察していた

 

流琉「あの、また来てもいいですか?」

 

咲夜「ん?流琉は別にいつでもいいんだぞ。お前はうちの制限受けていないし」

 

流琉「あぁいえ、私の手が空いた時に、こちらの店で働きたいなぁって」

 

咲夜「は?城の仕事はいいのか?」

 

流琉「もちろん、お城のお仕事優先になりますが、休日とかにここで働きたいなって」

 

悠里「来てくれるのはありがたいけど、休日潰しちゃってまで来て大丈夫なの?」

 

流琉「あ!それは全然構いませんし、きつい日はしっかり休みます。

だからかなり不定期になるんですけど」

 

零士「理由を聞いてもいいかな?」

 

流琉「『晋』の皆さんの働きぶり、一人一人が一流の動きでした。

東さんと咲夜さんのあの調理の連携、悠里さんの状況把握能力と速さ、

月さんと詠さんの接客と気遣い、見えない所で頑張る恋さんの警護、全てが一級品です!

私もここで働いて、技術を学びたいんです!」

 

流琉は真っ直ぐこちらを見つめそう言った。それに対し、うちの従業員が皆照れてしまう。

こんなに真っ直ぐ褒められる事も珍しいからな

 

月「へぅ、なんだか…」

 

詠「こそばゆいわね…」

 

悠里「あ、あははー、いいんじゃないですかね?流琉ちゃんの熱意凄く伝わってきますし」

 

咲夜「零士、お前が責任者だ。お前が決めてくれ」

 

零士「うーん…僕は構わないけど、華琳ちゃん次第かな。

だから華琳ちゃんとしっかり話して、それからまた来るといいよ」

 

流琉「は、はい!」

 

秋蘭「ふむ、そういう事であれば、私からも話をしておこう」

 

季衣「流琉の為なら、僕も華琳様にお願いしてみるよ!」

 

春蘭「もちろん、私からも華琳様にお願いしてみるぞ!」

 

はは、なかなか愛されているな流琉

 

咲夜「まぁ、だからって、お前達二人は向こう一ヶ月出入り禁止だけどな」

 

春蘭「な、何故だ!?」

 

季衣「そんなぁ、流琉ばっかりずるいよー」

 

咲夜「何故も何も、あんなバカみたいに食われると仕入れが間に合わないんだよ。

お前らが食う量減らすってんなら考えてやってもいいが」

 

春蘭「無理だ!」

 

季衣「うん、無理!」

 

咲夜「ならしばらくのお別れだな」

 

季衣「そんなぁ!」

 

季衣、春蘭はこの後も駄々をこねるが、しばらくすると秋蘭が割って入りなだめてくれた。

まったく、季衣はまだわかるにしても、春蘭は本当に姉か?秋蘭の方がずっと姉らしい

 

 

ちなみに後日、華琳が直々にうちに来て、流琉の仕事の打ち合わせをしていった。

どうやら華琳も、うちの仕事、いや料理か、に興味があったらしく、

ここで学ばせる事自体には反対はなかったらしい。

ただ流石に、城の仕事をしつつはキツイと判断したので、零士と華琳で無理のない出勤表を作っていった

 

流琉「時々ですが、これからよろしくお願いします!」

 

咲夜「おう。こっちもよろしく頼む」

 

即戦力の確保だな。今後はもう少し、楽になりそうだ

 

 

 

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あとがき

 

 

 

こんにちは、桐生キラです!!

 

 

今回が年内最後の投稿になります

 

年内最後にこんな内容でいいのかなって感じでした(笑)

 

 

 

魏の軍師などなどが出た第三十九話

 

割と初期に書きたかったネタだったんですけど、タイミングを逃しこんなここまで引っ張りました。

 

魏の軍師―ずは結構好きなんですけどねー

 

ちなみに私の中で霞はオチ担当なのであんな感じです

 

霞ならあれぐらいやると確信している!!(笑)

 

 

 

第四十話、定食屋って設定を思い出したかのように書いた回でした(笑)

 

一応バックグラウンドもあって、定食屋やってんのになんで春蘭と季衣が出てこないのか、ってコンセプトのもとで書いたものです。

 

こんな二人がいたら、あっという間に廃業ですよ(笑)

 

ちなみに流琉はアルバイト感覚って扱いなのでほとんど登場しません

 

流琉ファンの人はごめんなさい…

 

 

 

2013年は色々とチャレンジな年でした

 

みなさんはどんな年でしたか?

 

良かった人も悪かった人も、2014年は素敵な年になることを願っています!!

 

それでは、良いお年を!!

 

 

 

説明
こんにちは
40話目です
そんなものは関係なく、今回も日常編です!
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コメント
売れ過ぎのせいで赤痔じゃなくて赤字ですと?、責任者を連れて来い経営ノウハウを叩き込んでやるわ。(禁玉⇒金球)
やはり魏との関わりが多いですね〜(ohatiyo)
タグ
真・恋姫†無双 オリキャラ 司馬懿 春蘭 秋蘭 季衣 流琉 

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