GF 〜The Galaxy Century〜 第一章 〜7億年後の世界 スピリエンスワールド〜 Chapter1
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さて、ようやく第一章に突入したわけだが、本編の前にまずあらすじを言っておう。

 

今回はこの俺、五十嵐 直が担当をさせていただきます。 

 

ちなみに次回以降は、誰になるかわからないのでそこはご了承ください・・・・・・。

 

2652年6月23日、俺がいたその日は世界至上最悪の大災害に見舞われ、なんとか生き残ったのは俺と春と逢魔の3人だけだった。

 

その俺達は僅かに生き残っているだろうと思われる生存者を発見し、そして見たこともない大穴に落ちたのだった・・・・・・。

 

・・・・・・・・・・・・その後のことは良く覚えていないが、どういったわけか、なんと俺達は遥か未来の世界に来てしまったのだ。 それも7億年後という大未来に・・・・・・・・・。

 

これからの俺達の運命はどうなるのだろうか・・・・・・、以上であらすじを終えます。

 

逢魔「・・・・・・ニュースキャスターかよ。」

 

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ルミ「あらから・・・・・・どう? 少しは落ち着いた?」

 

その言葉どおり、俺はやっと心を落ち着かせることができたが・・・。

 

正直にいえば、未だに動揺しているのが実のところである。

 

直「ああ、もう落ち着いているけど・・・・・・。 ほんとに7億年後の世界なんだ・・・・・・。」

 

俺はどうしても、それを口にしなければ気が済まなかった。

 

アルティ「ん? いま”後”っていわなかった?」

 

まあ、そうなるだろうな・・・。 俺はこの世界のことをよく知らない・・・・・・。

 

例え漫画やらゲームやらでいくら知識を持っていても、実際にこの世界のような未知の領域には役に立たないのだから・・・・・・。

 

なので・・・、ここで虚勢を張ってもしゃあないし、一応本当のことを言った方がいいだろうな・・・。 まあ、未来の世界だから大丈夫だろ・・・・・・多分。

 

直「ああ・・・・・・。 こんなことをいうのもなんだけど・・・・・・。 俺や春、逢魔は、実はこの世界の住人じゃないんだ。」

 

二人「「・・・・・・!!」」

 

俺が正体を明かすと、二人は案の定驚いたものの、すぐに切り替えた。

 

アルティ「それって、この世界から未来からやってきたの? それとも過去の世界?」

 

ルミ「それとも、”外界からやってきた”んですか?」

 

直「え? 外界?」

 

二人の対応には心底驚いたものの、また聞きなれない用語が飛び交ってきた。

 

なんだ外界って・・・・・・? 過去や未来はともかく外界ってなんなんだ・・・・・・?

 

アルティ「その反応だと・・・、過去の住人か外界の住人ね・・・。」

 

ルミ「確かに未来の人達なら私達の世界のこと知っていますよね・・・・・・。」

 

アルティ「でなきゃ、私達の言っていることが全くわからないわけがない。」

 

二人に会話についていけず・・・・・・、なんか置いてけぼりを喰らわされているが、ようするに俺達のことを未来人じゃないってことはわかったらしい・・・・・・。

 

アルティ「それで・・・、直のいる世界はどんな特徴をしているの?」

 

直「え? なんでそれを聞く必要が・・・・・・。」

 

いきなりの質問に俺は戸惑うが・・・。

 

ルミ「些細なことでもいいの。 例えば惑星とか国名とか文化はどんなだったとか。」

 

完璧に職務質問みたいなことになっているが、一応わかる範囲で答えておこう。

 

直「ええっと、たしか地球で国籍は日本。 俺がいた日付は2652年6月23日・・・。」

 

アルティ「それでその世界の技術はどれくらい進んでいるの?」

 

直「本格的に宇宙でのビジネスが進んでいて、月ではやっとコロニーを作り出している最中だったはずだ・・・。」

 

ルミ「随分遅い方ですね・・・。 外界ではもっと早かったところもありますよ。」

 

直「しょうがないだろ・・・。 うちのいる世界じゃ、長年の腐敗政治や独裁政治などによる内乱や革命やらで本格的に移行できなかったんだよ・・・。」

 

ルミがいう外界はそんなに近未来的なことが進んでいたのか・・・・・・。

 

だがしかし・・・、うちのいる世界は政治やら戦争よりも経済不良や資源不足によるもののほうが長年続いたからな・・・・・・。 それも汚い大人達の都合で・・・・・・。

 

ま、今ではそれがやっと落ち着いて本格的に宇宙ビジネスの時期に移行した時代だったというのに結果的に大災害にあったからな・・・。

 

いまではどうしているのだろうか・・・。 きっと世紀末的なことが起きているんだよなきっと・・・・・・。 って、そんなことより答えておかないと・・・・・・。

 

アルティ「で? 他には?」

 

直「ん〜っと、そうだな。 最近じゃなんか隕石襲来にあってなんとか生き残ったけどね・・・・・・。」

 

二人「「え?」」

 

そこで唖然とする二人。 まあそうだよね・・・。 こんなこといったら普通そう答えるだろうね・・・・・・。 俺は内心そう思っていたが・・・・・・。

 

ルミ「それって・・・、もしかして”その隕石からなにか出ませんでした”か?」

 

直「えっ?」

 

なぜ隕石のことを聞くんだ? 普通は世界の状況だろうに・・・・・・。

 

アルティ「ちょっと、ルミ。 確か日付は”2652年6月23日”だったって・・・。」

 

ルミ「え? ・・・・・・・・・ああ!!」

 

直「えっ? なに? なに? どうしたの?」

 

わからねえ・・・・・・。 さっきから何を話しているんだ? 全く追いつけないんだが・・・。

 

二人「「”森羅万象大転変の日(インフィニティス・フラクション)”!!」」

 

アルティ「そうとわかれば!!」

 

ルミ「うん!! すぐにスティアに報告しよ!!」

 

え? 森羅万象大転変の日? なにそ・・・、ああ行っちまいやがった。

 

一人残された俺・・・・・・。 どうするの?

 

逢魔「お〜い、生きてっか? 見舞いにきたぜ・・・って、もう目覚めているし!!」

 

春「あ、ほんとだ。 このまま起きなかったら顔にラクガキでもしようかと思ったのに。」

 

直「お前らなあ・・・。」

 

そんな俺をよそに、春と逢魔が今頃俺がいる部屋に到着した。 

 

遅いねんお前ら二人・・・・・・。

 

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直「・・・というわけで、あの二人に事情を話したら突然わけわからないことを言って飛び出していったってことだ。」

 

俺は春と逢魔にそう説明したところ・・・・・・。

 

春「ええっ!? あれお約束用に取っといて置いたのに!!」

 

逢魔「まさか俺達のいないところであっさり正体バラすなんて・・・・・・、このフラグブレイカーが!!」

 

物凄いブーイングの嵐が飛び交ってきた。 ・・・・・・なんでやねん。

 

っていうか、シリアスブレイカーのお前達に言われたくねえよ!!

 

直「というかそもそも、こんだけの技術が進んでいる世界なんだぞ。 いずれにしても俺達の身元を聞かれると思うけど・・・・・・。」

 

春「それでも!! 黙っておくのが暗黙のルールでしょうが!!」

 

知らんわ、そんなルール。

 

直「そんなことよりも、お前らの方はなんか収穫できたか?」

 

春「そんなことよりも、ってーーーー!!」

 

直「聞けよ。」

 

・・・まあ、いつもどおりの日常とあんま変わらないなあ。 無事でよかったけど・・・。

 

・・・・・・・・・・そして、20分後。

 

逢魔「・・・・・・まあ、俺達はずっとゲームで遊びほうけていたけどね。」

 

あのくだらないノリからやっと会話が進んだと思えばこれかよ・・・・・・。

 

直「・・・・・・お前ら。 普通は探索するだろ・・・。」

 

なんでゲームなんかで遊ぶねん。 と、ため息をしながら苦悩をする。

 

春「でも、ちゃんと探索はしましたよ!!」

 

直「ゲームという名の探索だろ・・・・・・それ。」

 

春「はうわぁ!?」

 

なんでわかったんですか!! と、騒いでいるが・・・・・・。

 

こちとら何年付き合っていると思ってるねんこのオタク脳どもが!!

 

・・・・・・家の共同生活だけど。

 

直「要するにそこしか行っていないわけだよな・・・・・・。」

 

二人「「・・・・・・てへっ。」」

 

・・・・・・・・・・・・・・・はあ。

 

ゴン!! ガゴン!!

 

二人「「いった〜い!!」」

 

直「・・・・・・行くぞ。」

 

二人「「はい・・・・・・。」」

 

俺は馬鹿二人を連れて、この時空艦アルシオンを探索することになった・・・・・・。

 

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直「・・・んで。 最初はどこにいくん? 俺、ここあんまり知らないんだけど・・・・・・。」

 

逢魔「とはいっても、ゲームセンターしかいってないからな・・・・・・。」

 

春「あ、なんならそこに行きません? 私達はもう一回だけど。」

 

直「・・・・・・単純に言えば、ゲームしたいだけだろお前ら。」

 

ギクッ!! と、わかりやすい効果音を鳴らす二人。 ・・・・・・ったく。

 

直「ま、ここで考えてもしゃあないし、行ってみるか。」

 

二人「「さんせ〜〜い!!」」

 

子供の遠足みたいだ・・・・・・。 どちらにしてもしかたないから入ってみるか。

 

〜レクリエーションラウンジ〜

 

直「おおっ・・・・・・。」

 

なんつう規模のゲーム機・・・・・・。 春と逢魔によれば娯楽場らしいけど。 さすがにすごいな・・・・・・。 どんだけの費用が掛かっているのやら・・・・・・。

 

???「ん? また来たのかお前ら。」

 

???「あら〜、今度は新しい人を連れていますね〜。」

 

???「そうですね〜。」

 

なにやら、銀髪のショートで黒をメインとしたジャケットを着ている長躯の男性と、ピンク色の長い髪で赤いライダースーツを着ているお嬢様口調の女性と、銀髪のショートでいかにもエルフっぽい耳をしており、和風を思わせる近未来での黒のドレスコートを着ている女性に声を掛けられた。

 

ってか、なぜ3人で麻雀しているのか?

 

逢魔「ち〜〜っす。 また来たぜラゼインの旦那。」

 

春「また来たですよ。 リルティさんにゼルファさん。」

 

直「ん? お前ら知り合い?」

 

逢魔「おう。 ついさっき知り合ったばっかだけど。」

 

春「ついでだから紹介しておきますね。」

 

ついでなんかい・・・・・・。 ま、とにかく春達にあの三人のことを紹介して貰った。

 

春「こちらが目付きの悪そうな人がラゼインさん。」

 

ラゼイン「紹介早々、俺は悪人かい・・・。 ま、いいや。 俺はラゼイン・レルフォリアだ。 まあ好きに呼べばいい。」

 

春「次に、財閥のお嬢様にしてライダースーツを着ている人がリルティさん。」

 

リルティ「うふふ〜、リルティ・イルネクスです〜。 よろしくお願いします〜。」

 

春「そして、エルフの耳がチャームポイントのゼルファさん。」

 

ゼルファ「ゼルファ・シェルエントです。 よろしくね〜。」

 

直「ああ、こちらこそよろしくお願いします。 ラゼインさんにリルティさん。 そしてゼルファさん。」

 

俺は三人に握手を交わしていく。 というかほんとにお嬢様だったんだなリルティさん。

 

春「最後に、私達を厳しくしている鬼コーチこと五十嵐いいい、直!!」

 

直「おい、こら。 いつなったそれ。」

 

春「いまに決まっているでしょ!!」

 

こいつのテンションにツッコミきれねえ・・・・・・。

 

ラゼイン「・・・・・・お前、大変そうだな。」

 

まさにその通りですよ。 ラゼインさん・・・。

 

逢魔「あ、そうそう。 リルティさんとゼルファさんはこのレクリエーションラウンジの管理者なんだって。」

 

直「えっ? そうなんですか?」

 

リルティ「はい〜。 こうみえても私、結構強いですよ〜。」

 

ゼルファ「まあ、ゲーム全般ですけどね〜。」

 

・・・・・・・・・・・・ん? つまりゲームマニアってこと?

 

ラゼイン「言っておくが、こいつらは銀河オリンピックのゲーム大会で何度も優勝しているぞ。」

 

直「えっ!? マジっすか?」

 

それって物凄い強いってことになるけど・・・・・・。 ってか、銀河オリンピックって・・・。

 

この世界って、それほど進んでいるのか? いろんな意味で・・・・・・。

 

ラゼイン「んでもって、俺はそれの練習台として付きあわされて数千回くらい負けているからな・・・・・・。」

 

直「・・・・・・・・・・・・。」

 

それ、ある意味すごいな・・・・・・それ。

 

逢魔「ちなみにいうけど、ラゼインの旦那はそのお二人さんと付き合っているんだぜ。」

 

直「えっ!? それって!!」

 

まさかの・・・・・・。

 

春「そうです!! 恋人ですよ!! こ・い・び・と!! しかも二股!!」

 

そうきたか・・・・・・。 あと、きゃ〜〜!!って赤面しながら叫んでいるけど、それは置いといて・・・・・・。

 

直「というか、結婚の方はどうするんですか? まさか片方を愛人にするってことですか?」

 

普通そういう関係ならば、まずそうなるはずだが・・・・・・。

 

ラゼイン「ん? ああ、知らないんだなお前。 確かに結婚法律では一人でしか選ばれねえのが普通だが、今では”多重結婚できるんだよ。” しかも、連続と一斉のな・・・・・・。」

 

直「はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?!?」

 

ありえねえだろ!! なんだよ多重結婚って!!

 

ラゼイン「普通はそう思うんだが、別の惑星やらその国の法律がそうなっているからなあ。」

 

直「マジで? ってか、それ思いきっし一夫多妻なんじゃ・・・・・・。」

 

ラゼイン「その逆もある・・・・・・。」

 

直「〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

 

あまりにも飛び抜けた非常識に思考がフリーズする俺。 というか俺の心読んでたし。

 

リルティ「ちなみに〜。 複数のカップルで結婚できる法律もありますよ〜。」

 

・・・・・・どんだけ自由過ぎるねん。 法律適当にしてないかその国と惑星?

 

春「ってことは、私が直と逢魔で多重結婚したら・・・・・・。」

 

ゼルファ「ええ。 一妻多夫という形でそうなりますね〜。」

 

春と逢魔「「きゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」」

 

と、馬鹿二人が勝手に盛り上げて赤面してやがっているし・・・・・・。

 

逢魔「春さん!! 僕の嫁になってくれないか!!」

 

春「嫌です。」

 

逢魔「ガ〜〜ン!!」

 

春と逢魔「「ならば、直さん!!」」

 

直「断る。」

 

春と逢魔「「なんでじゃ〜〜〜!!」」

 

いきなり告白して振られたと思えば、今度は俺に振るんかい。 しかも二人同時で・・・。

 

ラゼイン「お前ら好きだよなあ・・・。 そのコント・・・。」

 

ラゼインさんが呆れながら言っているのをよそにリルティさんとゼルファさんがくすくすとにこやかに笑っている。 笑い方が上品だね・・・。

 

あと、好きでやっているわけじゃないっす、ラゼインさん・・・・・・。

 

そんな馬鹿コントをやっていると・・・・・・。

 

アルティ「あなた達!! そんなところにいたの!! ほら今すぐ来なさい!!」

 

アルティが颯爽に登場し、俺の手を掴んでどこかに連れて行こうとする・・・・・・。

 

直「一応聞くが、俺達って・・・・・・。」

 

アルティ「あなた達、漂流者組のことにきまっているじゃない!!」

 

漂流者組? ああ、なるほど。 俺ら、どっかに漂流してたんか・・・・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・マジ?

 

直「ちなみに、どこに漂流したの?」

 

アルティ「そんなことは後!! ほら、春に逢魔も一緒に来なさい!!」

 

春と逢魔「「は、はいっ!!」」

 

俺の会話制して強引に連れていかれるところを春と逢魔がそれに続いて付いていく。

 

直「どこに行くんだ?」

 

アルティ「そんなこと決まっているじゃない!! 私達のリーダーのところよ!!」

 

アルティは単刀直入にそういいながら、レクリエーションラウンジを後にするのだった。

 

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・・・・・・そして。

 

アルティ「スティア〜? そこにいるんでしょう?」

 

???「ああ、いるから入れ。」

 

ドアをノックし、ガチャりと開けると、そこには小柄でやたら長く白いハチマキをした黒髪の少年が、なにやら忙しそうに機械を弄くっている。

 

???「まあ、どっかに座っておくがいい。 こうみえて資料の検索中だからな・・・・・・。」

 

アルティ「ええ、わかったわ。 ほら、あなた達も・・・・・・。」

 

直「わかった。」

 

アルティにそう言われ、席に座る俺達。 座り心地がいいなこのソファ・・・・・・。

 

???「よし・・・。」

 

どうやら終えたらしく、その少年は俺達の方を向いて・・・・・・。

 

???「お前達とは初めましてだな。 俺の名は、スティア・レルセルク。 ここ時空艦アルシオンの艦長であり、放浪組織GF(ゴッドフォース)の長である。」

 

淡々と、丁寧そうな自己紹介をした。 それにして無表情すぎるなあ・・・・・・、おい。

 

スティア「そして、”とある廃棄惑星で漂流していたのを救助した”ものでもある。」

 

直「えっ? 廃棄・・・惑星で・・・漂流したの?」

 

スティア「ああ、正確には野宿をしていたとの感じはしたが、どうも手ぶらであることから漂流者と認定し、これを救助したということだが?」

 

あ〜、なるほど。 春と逢魔が楽しそうに寝ていたからか・・・・・・。

 

もし、そんな判断されたら俺達は永遠にそこで彷徨ってたんだろうな・・・・・・。

 

スティア「お前達の事情は、アルティやルミから説明を受けている。 そこで本題だ。」

 

と、なにやら険しい雰囲気になり、俺達は頑なに唾を飲み込む・・・・・・。

 

スティア「お前達からの説明で判明した世界だが・・・・・・。」

 

その世界がどこにあるのか、結果を聞くと・・・・・・。

 

スティア「”我々がいる世界スピリエンスワールドの遥か過去の世界”であると判明した。」

 

やはり・・・。 あの時、俺が思った結論は間違っていなかった。

 

あとは、その世界に帰れるのかということなんだが・・・・・・。

 

スティア「しかし、残念ながらお前達のいる世界に帰ることができない。 なぜなら、我々のいる世界の技術の総力をあげても現時点で帰ることが不可能ということだ。」

 

そういう結果になったか・・・。 さすがの二人もこの重い現実を受けきれないだろうな・・・。 と、そう思って二人のほうを見た瞬間・・・・・・。

 

逢魔「ええっ!! どうするんだよ!! 今まで集めた俺の限定版が〜〜〜!!」

 

春「いやあああああ!! 私の秘蔵コレクションが〜〜〜!!」

 

・・・・・・・・・・・・別の意味での重い現実を受けきらなかったようだ。

 

ほんと、この状況でも変わらないなあ・・・・・おい。

 

スティア「よって・・・・・・。 元の世界に帰ることができるまで、我々GFの臨時構成員となってもらう。 ・・・・・・異論はあるか?」

 

直「それって、働くことですよね。」

 

スティア「そうだ。 ましてやお前達は過去の住人であり、しかもあの森羅万象大転変

 

の日に立ち寄っているということだ。」

 

直「なあ・・・、思うんだけどなんなんですか? その森羅万象大転変の日って?」

 

スティア「詳しい話はお前達がGFの臨時構成員になり、そしてこの世界の基礎的なことを慣らしてからだ。」

 

直「それって、具体的にはどんなことをするんだ?」

 

スティア「簡単なことだ。 この世界での常識を身に付けるだけでいい。」

 

なにせ、お前達はあまりにもこの世界について知らなすぎるのだからな。 と、そう付け足す。 機械口調で言っているけど結構律儀なんだな・・・。 当たり前だと思うけど・・・。

 

スティア「そういうわけだから、ここに契約書にサインをしろ。 ないなら手書きでも構わん。」

 

あと、履歴書を書くように・・・。 作成しなければならないからな・・・・・・。 と、契約書と履歴書をそれぞれ俺達に配っていた。

 

ま、仕方ないわな・・・。 さて・・・・・・。

 

直「お前ら、いい加減立ち直れ。」

 

逢魔「だって・・・、だって・・・。」

 

春「私達のコレクションが〜〜〜。」

 

直「・・・書け。」

 

春と逢魔「「はい・・・・・・。」」

 

こうして、俺達は契約書にサインをし、履歴書を書き終えてからスティアに提出したときに・・・・・・。

 

スティア「そういえば、お前達はまだアルシオンの中を見てきたのか?」

 

資料を揃えながらスティアは俺達に尋ねてきた。

 

直「いや、まだあの娯楽場でしか済んでないけどね・・・。」

 

そう答えると・・・・・・。

 

スティア「そうか・・・。 ならちょうどいい。 アルティ、頼めるか?」

 

アルティ「ええっ? 私がっ!!」

 

スティア「ん? そうだが。 それにあいつらはまだこの世界に来たばっかであろう? なら、今の時点で面識のある者にこのアルシオンを案内したほうがいいと思わないか?」

 

アルティ「ううっ・・・。」

 

スティア「・・・・・・頼めるか?」

 

アルティ「・・・・・・わかりました。」

 

仕方なく渋々と了承するアルティ。 よほど嫌なんだろうかね、・・・・・・案内が。

 

スティア「というわけで、お前達の道案内はアルティに一任したから。 くれぐれも粗相のないように。」

 

春と逢魔「「は〜い。」」

 

アルティ「・・・・・・。」

 

直「・・・・・・。」

 

わかるよ、その気持ち。 おそらくアルティはこの二人の扱いに苦労していたってことを・・・。 と、互いに目を見てからそう以心伝心的な感覚で伝わったのだった・・・・・・。

 

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アルティ「というわけで、さっそく空いている部屋を好きに選びなさい。」

 

そんなわけで、俺達の道案内を任されたアルティはさっそくこの住居エリアにいったわけだが・・・・・・。

 

直「でも、なんでここからなんだ? 全てを回ってからでも遅くないのに・・・・・・。」

 

アルティ「スティアから言われているのよ。 道案内ついでにあいつらの部屋を決めておけよって・・・・・・。」

 

そうした方が、早めに決まって助かるからなあ。 と、そう付け足しながらやれやれな表情をする。 まあ、確かに早めに決めた方がいいからな・・・・・・。

 

直「ということらしいから、どれ選ぶのお前ら?」

 

と、春と逢魔に聞いてみると。

 

春と逢魔「「直と一緒の部屋!!」」

 

直とアルティ「「・・・・・・・・・・・・。」」

 

速攻にして即決。 なんで俺と一緒の部屋やねん・・・・・・。

 

しかも、目がキラキラしてやがるしこいつら・・・・・・。

 

アルティ「・・・・・・あなた達。 部屋は個室で団体部屋じゃないわよ・・・・・・。」

 

ゲストルームじゃないから、一人一部屋よ。 と、釘を刺して言う。

 

一応あるんだね、そういう部屋・・・・・・。

 

春と逢魔「「え〜〜〜〜!!」」

 

そして、当然そうきやがった・・・・・・。 いくら同居生活が長かったとはいえ、どんだけ俺離れしてないんだよ・・・・・・こいつら。

 

アルティ「あんた達・・・・・・。 そういうの好きね・・・・・・。」

 

直「一応言っておくが、俺達は元々一緒に暮らしていたからなあ。」

 

アルティ「えっ? 三人一緒で?」

 

俺の発言に、アルティは目をパチクリさせる。 そんなに珍しいかね・・・・・・。

 

直「ああ、俺は幼い頃に両親をなくして孤児院に預けられたんだ。 その時に春と逢魔に出会ってそれ以降一緒に暮らしていたというわけだ。」

 

アルティ「あ・・・・・・。 ごめんなさい。」

 

俺達の事情を説明したときに、いきなりアルティが謝ってきた。 

 

なんでだ? ・・・・・・あ、そうか。

 

直「あ、いや・・・。 別に謝れるようなことじゃないから。」

 

アルティ「け、けど・・・。」

 

う〜ん・・・。 困ったな・・・・・・。 俺、そういうの気にしてないんだけどな・・・・・・。

 

直「とりあえず、しばらくして逢魔と一緒に宝くじを買ったら物凄い大当たりがきちゃってさ・・・・・・。」

 

とにかく、両親での話題をそらしておこう・・・。 なんかこっちが気が重い・・・・・・。

 

アルティ「えっ? 当たった・・・・・・?」

 

直「ああ、その金で孤児院に寄付してから俺達三人で家を買ってくらしていたというわけだが・・・・・・。」

 

その後以降も、なんか連続で大当たりしちゃってその宝くじの業者を泣かせたほどだからなあ・・・。 と、俺達三人で一緒に暮らしていたわけを言ったわけだが・・・・・・。

 

アルティ「・・・・・・・・・・・・。」

 

アルティが驚いているのかフリーズしている。 いわゆるリキャスト状態ってやつ・・・。

 

アルティ「ええっ!! あんた、なにそれ!! 並み大抵のことで当たるもんじゃないわよそれ!! しかも連続って!! どんだけ運がいいのよあんた!! まるでゼルファとリルティみたいじゃない!!」

 

そのリキャスト状態から解除された途端に物凄いテンパって言う・・・。

 

そんなに驚くことか? いや、そんなことより。

 

直「いま、ゼルファとリルティみたいだって言ってたけど。 どういうことなんだ?」

 

その疑問を尋ねると・・・・・・。

 

アルティ「はあ!? あんた知らないの!! 彼女達は”神運”持ちよ!!」

 

え? 神運? なにそれ? ああ、また知らない単語が・・・・・・。

 

つくづくと、あの時スティアに言われたあのセリフが身に感じる・・・・・・。

 

直「その・・・。 神運ってなに? 強運より上なのか・・・?」

 

アルティ「はあ!? あんたなにいっているの? 強運なんて天地の差ありすぎよ!! 神運のほうが遥か次元越えしているのよ!!」

 

わかりやすくいうと、強運より神運のほうが遥か上ということらしい・・・・・・。

 

春「その神運ってどんなのですか?」

 

逢魔「あ、俺も俺も。」

 

さっきまでブーイングしてた春と逢魔が話の輪に入り込んだ。 

 

まあ、確かに知らないしなあ。 疑問に思うのは当然だろう・・・・・・。

 

アルティ「いい? 神運っていうのはね。 強運とは比べ物にならないくらいの力を持っているの。 普通の人の運気はいろいろとバラつきはあるけど、いずれもちゃんとした幸運と不運での均衡を保っているわけ。 強運の人の運気は一見幸運が強いように見えるけど、実は幸運と不運の均衡が著しく不安定になっているため、幸運での強運になることになれば、不運での凶運になることもあるわけ。 要するに傾きやすいのよ。」

 

春「それって、いわゆる崖っぷちみたいなことですか?」

 

アルティ「ええ。 そうなった理由は、自分自身に起こったトラウマか過去や前世などの因果が原因だというのが一番有力な説として知られているわ。 いっておくけど、強運持ちは周囲に影響しやすいってことを忘れないようにね。」

 

なるほど、俺はなんらかの因果によって神運まがいの加護を受けた結果、宝くじが連続して大当たりしたってわけか・・・・・・。 参考になるなあ・・・・・それ。

 

アルティ「ここからが本題なんだけど、神運の人の運気は”ほとんど不運がないの。”」

 

逢魔「嘘っ!! だとすれば、マジ超フィーバー状態じゃねえか!!」

 

春「そうですよ!! 毎日がハピネス状態ですよ!!」

 

アルティ「ちなみに軽く例えると、”99.9%が幸運で、その不運がわずか0.1%しかないのよ。”」

 

それマジで、制圧状態してんじゃねえか・・・・・・。

 

アルティ「強運と違ってその運気は固定されていてしかも、周囲に全く影響しないのが最大の特徴よ。」

 

とはいっても、神運持ちに手を出せばこっ酷い目に遭うのも主な特徴なんだけね・・・・・・。 と、そう説明しているが・・・・・・。 用はその神運が過保護ってことね・・・・・・。

 

逢魔「それやったら、近づくことすらもできないってことじゃん。」

 

春「え? でも、あれなにも起こりませんでしたよ?」

 

アルティ「それはあなた達が危害を加えていないだけ。 私が言いたいのは、あなた達が危害を加えれば発動するってこと。 例え陰口でもね・・・・・・。」

 

こういうのって、触らぬ神に祟りなしっていうんだっけ? ・・・・・・まあ、いいや。

 

直「その特徴って、どんなご利益があるってわけ?」

 

試しにそう聞いたところ・・・・・・。

 

アルティ「そうね・・・・・・。 例えば神運持ちがとある国または惑星などにいただけで安泰したり、技術が向上したり、あらゆる不運を跳ね除けたりしたりなどいろんな有難い恩恵が得られていて、いまではその神運持ちを神子として奉られているほどよ。 けど、その神運持ちは強運よりも遥かに少なくてとても希少なの。 ”レアコマンド”として認定されるくらいに・・・・・・。」

 

直「レアコマンド? なにそれ?」

 

またしても、聞いたことのない単語が・・・・・・。

 

アルティ「ええっと、その話をすると脱線してしまうからそれはまたの今度で・・・。」

 

ふ〜ん。 ま、確かに長くなるし脱線してらさらにわからなくなるからな・・・・・・。

 

逢魔「んで? その他には?」

 

アルティ「そうね。 他といえば、確か神運持ちの生涯のパートナーになればその神運と似たような加護を得られるだって。 人数制限はさすがに知らないけど・・・・・・。」

 

春「それって、やっぱり恋人みたいなものですか?」

 

春が目を大きく輝かせながら無邪気に言っている。 

 

この類のもんなら好きだよなお前・・・・・・。

 

アルティ「ええ。 または親友のなかの親友、つまりその真友にも入るけど。」

 

生涯のパートナーって、大抵そういうもんだよなあ。 しかし、恋人と真友ねえ・・・・・・。

 

直「それって、それ目当てにやって来た奴もいたわけ?」

 

アルティ「そりゃ、大勢よ。 なんでもリルティは美男やお偉いさん方、そして親族の人達がたくさん寄り掛かったほどだって・・・・・・。」

 

ま、全員幸運目当てだったけどね・・・・・。 と、若干苦笑をする。

 

そりゃ、その話を聞けば確かに魅力的だろうな。 実際神運持ちに認められた者は、その神運の加護の恩恵を与えられるって聞けば、たくさんの者達が押し寄せてくるのも無理はないだろうと、そう納得する俺。

 

逢魔「んで? リルティさんやゼルファさんはラゼインの旦那を選んだってことですか?」

 

アルティ「ええ、そうよ。 ラゼインはその二人の加護を受けているし・・・・・・。」

 

春「じゃあ、あの三人はどうやって結ばれたんですか!!」

 

ますます期待を膨らませて先ほどよりも目を大きく輝かせていながら言っているが・・・。

 

・・・・・・その前によだれ拭け。

 

アルティ「それは、直接本人に聞かないと意味がないわよ。」

 

例え、私が言っても説得力ないし・・・・・・。 と、そう指摘する。

 

ま、確かに本人じゃないと意味ないってことには俺も同感する。

 

春「ぶ〜、ぶ〜。」

 

頬膨らませながらブーイングする春。 仕方ないだろそりゃ・・・・・・。

 

直「ところで、神運があるってことはその逆もあるのか?」

 

その疑問を尋ねると・・・。

 

アルティ「ええ、あるわよ。 ”邪運”っていうんだけど、”神運とはほぼ真逆の存在で中でも神運持ち以外の者に自分の運気を押し付ける特性”を持つの。」

 

逢魔「うおっ。 それ、いわゆる厄病神ってことか。」

 

アルティ「そうよ。 その力は”大いなる脅威(アークエネミー)”に匹敵するほどだけど、神運と違ってあまり存在しないし、もし存在するなら”世界の悪異点”とも呼ばれるそうよ。 ま、さっきもいうけど滅多にいないからね。」

 

机上の空論ともいわれるほど幻に近いそうよ。 と、大したことでもなさそうな表情する。 というか、毎度毎度聞き慣れない用語が・・・・・・。

 

直「その、大いなる脅威やら世界の悪異点ってなんなんだ? 森羅万象大転変の日というやつもそうだし・・・・・・。」

 

どうしても我慢できず、アルティに聞くものの・・・・・・。

 

アルティ「それも話したいことは山々なんだけど・・・・・・。 後でスティアに聞くといいわ。 どのみちあいつがその質問に答えるだろうし・・・・・・。」

 

結果的にはぐらかせているが・・・、仕方ない後で全部あいつに聞くとするか・・・。

 

アルティ「って、そういえば。 あなた達、もう部屋は決めたの?」

 

春と逢魔「「直と隣の部屋がいいっ!!」」

 

直「・・・それ、俺がどこかに決めたら自動的にそうなるわけ?」

 

春と逢魔「「うんっ!!」」

 

アルティ「・・・・・・・・・・・ほんと好きよねあなた達。」

 

直「勘弁してくれ・・・・・・。」

 

結局、俺が選んだその部屋の隣同士に春と逢魔が俺をサンドイッチの具のように挟み込むような形での部屋割りが決まったのだった・・・・・・。

 

-7ページ-

 

そして、次に案内されたのが・・・・・・。

 

〜図書室〜

 

アルティ「ここが、図書室よ。 見てのとおりあなた達のわからないことがあるならここがオススメよ。 あと、そこにパソコンもあるから。」

 

ついでに、制限もかなり掛けてあるから変なものを調べないでよね。 そう指摘するアルティの言葉に、ギクゥ!! と、わかりやすい馬鹿二人が反応した。

 

ま、当然だけどね・・・。

 

場所は住居エリアからすぐ近くであり、そう掛からなかった。

 

春「それにしても広いですし、本が多いですね!!」

 

アルティ「そりゃ、私達で揃えたんだから、大抵のことはその本に載っているわよ。」

 

逢魔「じゃあ、じゃあ。 漫画とか小説とかは?」

 

直「お前、絶対ラノベとかそういうのをいっているんだろ。」

 

アルティ「う〜ん。 漫画はないけど、ラノベってなに?」

 

あ、そりゃ首かしげるか・・・。

 

直「まあ、ライトノベルの略称で簡単にいえばアニメやゲームを小説版にしたようなものだよ。 元々は日本のサブカルチャーで生まれたもので、キャラクターを中心として作られているのが特徴なんだ。」

 

アルティ「要するにその人物視点を中心とした物語ってわけ?」

 

直「まあ、そうなるなあ。 ・・・ま、そんなわけでそういう小説を知らないか?」

 

逢魔「主に挿絵とか入っているやつ!!」

 

アルティ「う〜ん。 表紙の絵だけしか見てないから・・・・・・。 そういうのは、鬼舞羅に聞いた方が早そうね・・・。」

 

春「キマイラ・・・? もしかして物凄く怖い奴ですか?」

 

まあ、その言葉だけで聞いたらそう想像するわなあ・・・・・・普通。

 

アルティ「鬼舞羅〜。 いる〜?」

 

???「ん? なんじゃ? 騒々しい・・・。」

 

と、すうーっと現れたのはゴスロリ衣装の金髪少女がだった。 しかも、上から・・・。

 

???「おお、誰かと思えばアルティではないか? 今日は何用かの?」

 

アルティ「ええっと、ライトノベルって小説知らない? 挿絵が入っているやつだけど・・・。」

 

???「は? ライトノベル? そんなジャンルやタイトルなぞ知らんぞ。」

 

アルティ「というわけで、ないらしいの。 ・・・・・・ごめんね。」

 

直「ああ、いや。 元はと言えばあいつがいったんだし・・・。」

 

と、そう言って件のほうに振り向くと・・・・・・。

 

逢魔「オゥ・・・マイ・・・ガー・・・。」

 

何故か意気消沈してよっつんばいになっている。 いわゆるガックリポーズらしい・・・。

 

そんなに見たかったか、ライトノベル・・・・・・。

 

???「ところで、こやつらは何者ぞ?」

 

アルティ「あっ。 ごめ〜ん。 そういえば紹介していなかった・・・。」

 

そう言うと、すぐに切り替え・・・・・・。

 

アルティ「この人達はついさっきの漂流者のみなさんで、右から順に直、逢魔に春といいます。」

 

鬼舞羅「ほう? こいつらが・・・。 まあ、いい。 余の名は鬼舞羅・ニンベルトじゃ。 こう見えても妖刀であるぞ。」

 

直「え? 妖刀?」

 

どう見ても、ふよふよ浮いているゴスロリ少女しか見えんぞ・・・・・・。

 

鬼舞羅「まあ、確かに今の余を見ればそう思うじゃろう。 じゃが、我が主が余を手に取ったら瞬く間に真の姿となろうぞ。」

 

ほんとかよ。 なんか怪しいんだが・・・・・・。

 

鬼舞羅「まあ、うぬらにいってもわからないだろうからここで証明してやろう。 ・・・・・・と、いいたいどころじゃが生憎我が主が不在のため真の姿を見せることはできぬ。 じゃが、見本としてはみせてやろう。 ・・・・・・ほれ。」

 

鬼舞羅が何かを念じると、1.2メートルもあろうと思われる大太刀が鬼舞羅の手に現れた。 ・・・かなり禍々しいフォルムだが。

 

逢魔「おおっ!! すげぇ!! これ触っていい?」

 

と、逢魔がその大太刀に手に触れようとすると・・・・・・。

 

バシぃん!!

 

逢魔「いってええええ!!」

 

その大太刀に逢魔の手が吹っ飛ばされた。

 

鬼舞羅「この戯け者が、無用心に触るからじゃ。 見本とはいえ本物に近いんだぞ。」

 

直「・・・・・・一応聞くが、大丈夫か?」

 

逢魔「おおっ・・・。 手首が刎ね飛ぶかと思った・・・・・・。」

 

アルティ「アホなことをするからよ・・・。」

 

やや呆れ気味にアルティはため息をする。 ま、しゃあないけどね・・・。

 

アルティ「とにかく、次行くわよあなた達。」

 

そう言って、俺達を急かすアルティに・・・。

 

鬼舞羅「のう、アルティ。」

 

アルティ「なに?」

 

鬼舞羅「”例の場所にはまだ行くなよ。”」

 

アルティ「ええ。 わかっているわ。」

 

直「え?」

 

いま、意味深なことを言ったような気がするが・・・・・・。

 

アルティ「さ、早く行きましょ。」

 

結局、その場で聞くことができず次の場所に行くことになった・・・。

 

-8ページ-

 

それから、アルティの道案内が続き・・・・・・。

 

〜浴場前〜

 

アルティ「ここが、浴場よ。 右の青いのが男性で、左の赤いのが女性だから特に男子、覗きにいったらボコボコにするから。」

 

ギロッ!! と、俺と逢魔にそう睨みをきかせる。

 

直「わかったから、次いこうぜ。」

 

逢魔「そうだ、そうだ。 そんな話したら、余計にややこしくなる・・・。」

 

ということで、次のエリアが・・・・・・。

 

〜憩い場〜

 

春「うわぁ〜。 辺り一面が自然がいっぱいなんですね〜。」

 

アルティ「そうでしょ。 ここは一休みしたいときに良く使われているのよ。」

 

直「ところで・・・・・・。 やたら人がいないなあ・・・。 代わりに白い変な人が管理しとるっぽいが・・・・・・。」

 

なんていうか・・・・・・、そう文字一筆だけで書いたような人型のあれっぽいような。

 

どちらかといえば、手抜きのような感じのする印象があるが・・・・・・。

 

アルティ「ああ、うちの組織はすごく少数精鋭でメンバーはたったの30人余りしかいないの。」

 

直「えっ!? そうだったの? こんだけでかい船だからてっきり数百人くらいいたかと・・・・・・。」

 

アルティ「あははははは。 そんなにいないって。 でも、元々はうちの師匠とその弟子達が良く使っていたから。 思い出の船とも言うべきかな。」

 

逢魔「ふ〜ん。 ってか師匠と弟子達って、そんなにいたのか・・・?」

 

アルティ「ええっ。 ”ドラゴンフロンティア”っていう組織なんだけど。 とある事情で壊滅しちゃって・・・・・・。」

 

直「・・・・・・もしかして、まずいことをいったか俺達?」

 

アルティ「ううん。 あんまり気にしてないから安心して。 それでさっきの続きだけど、私達って物凄く人数が少ないの。 だから代わりに、あの使い魔達がアルシオン中に配置されているわけ。 主に管理をするだけどね。」

 

正確には、式神みたいなものか・・・。

 

直「それはそうとして・・・・・・。 その者達はどこにいったんだ?」

 

これまで会ったのは、アルティとルミ、スティアにラゼインさん、そしてリルティさんにゼルファさん・・・。 あと鬼舞羅だな。 ・・・主はいるらしいがまだ会ってない。

 

アルティ「まあ、こんだけ広いから案内していくうちにちょっとずつ会えると思うよ。 そんなことよりも早く行きましょう。」

 

ま、いいか。 俺達はアルティに付いて行き、次の場所にへと案内してもらった。

 

ついでに、憩い場の奥にある扉を開き、そこで階段を上って展望台に来てみたものの、鍵が掛かっていたため入れなかった。

 

普段は開放しているが、先の戦闘で閉まっていたらしい。

 

もし、侵入されたら被害でるから、そりゃ閉めるわな。

 

〜ブリッジ〜

 

アルティ「ここがブリッジよ。 あっちがブリーフィングルームで、こっちが艦長オフィスよ。 そこはスティアの私室だから勝手に入ったらだめよ。」

 

逢魔「VIPルームかよ。」

 

直「まあ、さっき通ったところだけどな・・・・・・。」

 

春「それにしても、その時はみていなかったけど、すごいですね〜。」

 

空が明るい色で満ちていますよ〜。 と、はしゃぐ春。

 

というか、あれは・・・・・・。

 

???「はい、ただいまハイパースペースに移行しているため、その影響から空が明るいのは自然的な現象だと思われます。」

 

と、それに応えたのは黒いメイド服を着た緑髪のロングで10代くらいの背丈と思われる少女だった。 背丈なら鬼舞羅とほぼいい勝負だな・・・・・・どうでもいいけど。

 

春「なに、あの子? 超かわいい!!」

 

逢魔「おおっ!! ここでメイドキターーーーーーー!!」

 

馬鹿二人がぎゃあぎゃあと、騒ぐ騒ぐ。 ・・・・・・うるさいね、ほんと。

 

直「んで? どちらさん?」

 

エルミナ「初めまして、私の名はエルミナ・ティメットです。 どうぞよろしくお願いします。」

 

と、スカートを両手で摘み上げ、丁寧なおじきをする。

 

おおっ、生で見るのは初めてだな・・・・・・。

 

直「あ、こちらこそよろしくお願いします。 俺は・・・・・・。」

 

そう自己紹介しようとしたとき・・・・・・。

 

エルミナ「五十嵐 直様ですね。 こちらは遠月 春様に、白崎 逢魔様ですね?」

 

と、俺達の名前を正確に言ったことに驚愕した。

 

春「ええっ!? ど、どうやってわかったんですか?」

 

逢魔「すげぇ・・・。 まだなにも言っていないのに・・・・・・。」

 

確かに、すごいが・・・・・・。 いったいどうやって?

 

アルティ「ああ、なるほど。 もう終わっていたのね?」

 

エルミナ「はい。 しっかりとデータベースに載せましたよ。」

 

あ、なるほど。 そういうわけか・・・・・・。

 

アルティ「ふ〜ん? どれどれ・・・・・・。」

 

さっそくアルティは、そのデータを確認すると・・・・・・。

 

アルティ「へえ〜。 ふむふむ・・・。 って、あんた達ほんとに一緒に住んでいたんだ。」

 

直「疑っていたのかよ・・・・・・。」

 

アルティ「そりゃ、半信半疑だったけど・・・。 普通、学生同士での共同生活なんて他にないくらい珍しいからね・・・・・・。」

 

直「まあ、確かに全寮制か孤児院、もしくは修学旅行あたりでしかないからな・・・・・・。」

 

逢魔「そういや・・・。 修学旅行で思い出したんだけど、あれっていつだった?」

 

直「ん? 確か俺達がいたのは6月23日だったから、あと数日くらいだったんじゃねえか?」

 

そういえば、修学旅行プランのために授業早めに終わったんだっけな・・・・・・。

 

春「ああっ!! そういえばそうだったんだ〜!! ショック〜!!」

 

逢魔「俺のほうがもっとショックじゃ〜〜!! こんなことなら満喫してから行くべきだった〜〜〜〜!!」

 

と、苦悶しながら泣き叫ぶ二人・・・・・・。 そんなに行きたかったか修学旅行・・・・・・。

 

エルミナ「賑やかですね。」

 

アルティ「ええ・・・・・・。」

 

直「そりゃ、おかげさまで・・・・・・。」

 

俺とアルティは、二人合わせてため息をつくのだった・・・・・・。

 

-9ページ-

 

その後、ブリッジを出て行った俺達は、アルティの道案内を再開し・・・・・・。

 

〜ピロティ〜

 

アルティ「ここがピロティよ。 簡単にいえばロビールームだけどね。」

 

いわゆる公共の場ってわけか。

 

んでもって、そのピロティにいるのはまたも白い手抜き人形がうようよ・・・。

 

直「そういえばなんだけど、あの手抜き人形って名前なんていうん?」

 

アルティにそう尋ねると・・・・・・。

 

アルティ「ああ、いってなかったけどあれはアッカーっていうの。 主に雑用とかいろいろと管理性が高くて一般的によく見かける家政的な使い魔よ。」

 

春「へえ。 じゃあ買い物とか料理ができるんですか?」

 

逢魔「または掃除や替え玉とか!!」

 

なんか思いきっしパシリ扱いだな・・・。 あと、替え玉ってサボりたいのかよ・・・。

 

アルティ「替え玉以外はできるけど、することは主に雑用辺りだからそこまで便利じゃないわ。 あくまで管理をするために特化しているし・・・・・・。 それに戦闘能力はチンピラを撃退するだけの実力だから、そこまでできないわよ。」

 

つまり、あくまで管理重視だから替え玉しても本人と一緒の実力じゃないから無理ということか・・・。 ま、式神のように変身するわけでもないからな・・・・・・。

 

アルティ「ついでに、アッカー以外に他のものに特化した私達の使い魔がいるけど、専用だから各一人ずつでしか使えないの?」

 

訳すると、GF構成員全員にそれぞれ特殊な使い魔がいるってことだ。

 

逢魔「それって、ゲームとかで幻獣と契約しているってことだろ?」

 

アルティ「その通り。 通常契約できるアッカーと違い、私達はその幻獣と特殊な契約をしているの。」

 

春「まさか、代償とか払われたりしているんですか?」

 

アルティ「それは一般的に知られている契約だけど、私達の場合なりゆきで契約しているからね。」

 

要するに、特殊な因果などの関係で契約したってことだろうと思う。

 

逢魔「ええっ!! じゃあ、ただで上位とか特級の幻獣を契約したってこと!!」

 

アルティ「ええ。 特にスティアとかはもっと特殊な幻獣を契約しているわよ。」

 

それって、どんな物凄い幻獣なんだろうなそれ・・・・・・。

 

アルティ「ま、それは置いといて次いくわよ。」

 

と、皆を促して次の案内にいくのだった・・・・・・。

 

春「契約するならやっぱかわいくて癒される使い魔がいいですね〜。」

 

逢魔「ばっか、契約するなら強くてかっこいい幻獣だろ!!」

 

と、案内の最中にそんなやかましい喧騒を残しながら・・・・・・。

 

-10ページ-

 

〜ショップ〜

 

アルティ「ここがショップよ。 本来ならここに店員がいるけど生憎急用でいないの。」

 

直「急用って?」

 

アルティ「そんなたいしたことじゃないけど、主に資材調達とか休暇をとっているとかで割りとシンプルだからそんな心配はないわよ。」

 

確かに、そんな心配はないか・・・・・・。

 

直「ってか、どうするんだ? 買い物もできない状況で?」

 

アルティ「確かに一理はあるけど、さっきも言ったとおり心配することはないわ。 どうしてもっていうのならこの”ラクター”で済ますけど。」

 

と、アルティはなにやら”黒い軍用携帯機みたいなものを召喚した。”

 

逢魔「うおっ!! どっから出てきたんだそれ!!」

 

春「すごいです!! まるで魔法みたい!!」

 

確かにいまのは、どっから出てきたんだ? 驚きを隠せない俺達に・・・・・・。

 

アルティ「なにって、普通に召喚し・・・・・・。 ああ、知らないんだっけ?」

 

直「まるきっし全部な・・・・・・。」

 

だって、俺ら未来の技術とか常識とか知るわけないし・・・・・・。

 

アルティ「う〜ん。 そういえばそうよね・・・。 どうせ知ることになるんだし、せっかくだから教えておこうかしら。」

 

と、アルティはさきほどのラクターと呼ばれた携帯電話のようなものをかざし説明し始めた。

 

アルティ「これは、ラクターっていうこの世界では誰もが持っている次元携帯機よ。 単純にいえば、あなた達のいう携帯電話ってことかしら。 操作については基本的にあなた達と一緒だと思うんだけど、これ一体で全ての生活がほぼ揃っているから私達の間では、常に欠かせないものとなっているのよ。」

 

直「ん? これ一体ってことは、財布とかいろいろ入っているわけ?」

 

アルティ「ええ。 言っておくけど、お金についてはほとんどの先進惑星や国が電子金になっているわよ。」

 

逢魔「え? ということは、俺が持っている一万円についてはどうなるん・・・・・・?」

 

アルティ「それって日本円? 随分古いわね・・・。 オークションとかに出したら結構な額で売れるかも・・・。」

 

逢魔「マジで!!」

 

アルティ「そりゃ、それだけ古い年代の日本円があるならマニア達が黙ってないと思うけどね・・・・・・。」

 

つまり、俺達が所持している日本円は7億年前の産物なため、相当なレアモノになっていることは間違いないってこと。

 

直「でも、そのまま使ったら意味ないだろ?」

 

アルティ「ま、確かにそのまま使ったら使用できませんって一点張りするからね。 それでも一応あなた達みたいな紙幣とかコインなどのお金はあるけど、そのほとんどは電子金に切り替えていないかまたはその基準に達していないかのどちらということになるわ。 それと言い忘れたけど、今の電子金はGz(ガルズ)っていうお金なの。」

 

春「じゃあ、日本円をオークションに売るしかないんですか?」

 

アルティ「とはいっても、あなた達の持っている日本円がどれほどの額なのか私には知らないけど、どうしてもっていうのなら換金できるけど・・・・・・。」

 

ふうん。 換金できるのか・・・。 しかしどうやって?

 

逢魔「ちなみに換金ってどっちのほう?」

 

アルティ「どちらでもできるけど、手っ取り早いといったら電子金の換金ね。」

 

春「そうと決まればさっそく逢魔の金を使って換金しましょう!!」

 

と、逢魔が持っていた一万円を取り上げてすぐにアルティにへと素早く手渡し・・・。

 

アルティ「それじゃあ、いくわよ。」

 

と、春に渡された一万円をラクターの液晶内に写してからボタンを押すと・・・・・・。

 

逢魔「ああっ!! 俺の一万円が素粒子に分解されていく!!」

 

正確にいえば、物質を粒子に変換し、そしてラクターの中に取り込んでいるということだが・・・、実際生で見ているとすごいな・・・。 これが、後に未来の技術となるわけか・・・・・・。

 

アルティ「さて、これが見えるかしら?」

 

と、そのラクターの液晶画面を見ると、先程の一万円が画面内に入っているのが俺達は見えているのを目撃している・・・。

 

逢魔「すげぇ!! 俺の一万円がすっぽりと入ってやがる!!」

 

春「そして、我々は!! いまこの奇跡をまの当たりにしている!!」

 

テンションノリノリだなお前ら・・・・・・。

 

アルティ「このまま保存できるけど、どのラクターにも容量があるからあんまり詰め過ぎは駄目よ。 それといま換金すると・・・・・・。」

 

と、アルティがボタンを押すと先程の液晶画面の中に入ってた一万円が、”なにかに作り変えられ”、そして・・・・・・。

 

アルティ「はい、できたわよ。」

 

と、アルティがラクターの画面を見せると・・・・・・。

 

逢魔「100Gzって・・・、難じゃそりゃあああああああああああああああああああ!!」

 

俺達が見たのは、100Gzに換金しましたという結果が表示されており、それに対して逢魔はあまりのことに驚愕した・・・。

 

逢魔「一万円が100Gzってどういうことじゃあああああああああああああああ!!」

 

アルティ「ちょっと、落ち着きなさい!! 私はただ換金しただけよ!!」

 

逢魔「換金しただけでなんで下がっているねえええええええええええええええん!!」

 

直「おい、落ち着け逢魔!!」

 

このままではいけないと思い、処世術として落とそうとしたときに・・・・・・。

 

ガタァン!!

 

春「ひゃあっ!!」

 

逢魔「うおっ!! なんだ!!」

 

と、突然大きな音がしてびっくりしている最中・・・・・・。

 

直「あっ。」

 

逢魔「えっ? ・・・・・・ぐふぉ!!」

 

俺が放った拳が止まらずそして勢いよくそのまま逢魔に、バコォン!! と、鈍くて重い一撃が逢魔の顔面にクリティカルヒットし、そしてそのまま大きく倒れたのだった・・・。

 

アルティ「ええっと・・・。」

 

直「すまん、手が滑った・・・。」

 

春「そういう問題ですか・・・?」

 

と、この気まずい状況に俺達は数分も時間を要するのだった・・・。

 

そして数分後・・・。

 

逢魔「ええ〜っと、つまり俺を止めようとしたら倉庫の方からでかい音が鳴ったせいでお前はそのまま止まらずに俺をぶん殴ったわけだ・・・。」

 

直「まさか・・・、いきなり倉庫の方から音が鳴るなんて思わなかったけどね・・・・・・。」

 

逢魔「だからといって、そのまま俺を殴るか普通・・・。」

 

まあ、いうまでもなくレスポンスした逢魔を俺達が事情を説明している最中なわけだが・・・・・・。

 

アルティ「それにしても、打たれ強いわねあんた・・・。」

 

直「そりゃ、小学や中学のときに番長していたからな・・・。」

 

アルティ「どういうこと?」

 

逢魔「つまり、俺と直で調子に乗っている野郎をぶん殴っているうちに気が付けば何故か番長という立場になっていたからな・・・・・・。」

 

アルティ「あなた達、実は不良だったの?」

 

直「いや、この二人は中二病になったときからでそうだが、元はといえば粋がっていた馬鹿が勝手に俺達に手を出してきたからなあ。 結果としてボコ殴りしたけど、たまたま倒したのが偶然その学校の番長だったらしくてな・・・・・・。」

 

逢魔「んで、気が付けば俺達が番長の座になっていてよお・・・。 そのせいか中学まで派閥みたいな闘争に巻き込まれたってわけだ・・・。」

 

春「ついでにいうと、私は関わっていませんよ〜〜。」

 

アルティ「・・・中二病っていうのはスルーするのね・・・。 それで結果はどうなったの?」

 

直「ん? なに簡単なことよ。 高校に入る前に不良を全部かき集めて全面バトルロワイヤルを開催したわけよ。 引退するから誰が番長になるかここで集まっているお前らで最強を決めてくれ。っていったら、全員躍起になったからな。」

 

逢魔「んで、野郎共の数が半数になったときにこいつを倒したら即番長とかで俺を放り込みやがったな・・・。 その時は全員目の色変えて俺に襲い掛かってきたからマジで死ぬかと思ったぞ・・・・・・。」

 

アルティ「なるほどね・・・。 どおりでタフなわけだわ・・・。」

 

春「っていうか!! 私を置いて盛大にパーティーしていたんですか!!」

 

直「いや、普通にお前がいったら危ないだろ・・・。 さて、話を戻すけど結果はボコボコになった逢魔とやたらしぶとかったリーゼント野郎だったけど、目的達したからそのリーゼント野郎に番長の座を譲り渡してから解散したわけ。」

 

アルティ「内容からして物凄いけど、その後どうなったの?」

 

逢魔「ん? その後は一切起こらなかったな・・・。 ただ、俺達が主催したバトルロワイヤルがなんか続いていたけどな・・・。 ・・・・・・って!! そんなことより、俺の金はどこにいったんだ〜〜〜〜!!」

 

と、今頃気づいたのか逢魔が再びアルティに詰め寄ってくる。

 

アルティ「そんなこというだろうと思って、はい一万円に再換金したわよ。」

 

と、100Gzから再換金した”一万円と思わしきもの”が、逢魔に渡すと・・・・・・。

 

逢魔「おおっ!! 俺のマイ一万円・・・って!! なんで紙幣が変わってんねん!!」

 

アルティ「仕方ないじゃない、あなた達からすれば7億年後の世界だし・・・。 そりゃ、紙幣だって変わるわよ・・・。」

 

ですよね・・・。 うん、逢魔の一万円が換金されたときからなんか予感はしていたんだよね・・・。

 

逢魔「しかも、俺の持っていた一万円より豪華じゃねえか!!」

 

春「うわぁ、なんか私達の持っているお金が質素に見えますね〜〜〜。」

 

果たして、嬉しいやらば悲しいやらばそんな複雑な感情を見せる逢魔であった・・・・・・。

 

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あの後、アルティから説明によると別の世界に行けばそれに応じたお金が変換されるらしく、それを換金するにはGzが必須らしい・・・。 

 

実際、アルティから換金レートを見せてもらったが、どうやら各惑星や国ごとにバラつきがあるらしく中でも日本円は1Gzにつき100円という形で固定されていたらしい。 だから逢魔の一万円は100Gzという結果になったというわけだ。

 

さらに、Gzがあるだけで買い物やゲームなどが色々でき、その高い便利性のせいからながらスマホならぬ、ながらラクターという問題やラクター依存症という病気がラクター所持者から頻繁に発生しているらしい。

 

・・・・・・いくら便利になっても時代は変わらないんだなその似たような問題・・・。

 

その他に、アルティはまだ知られていないことがあるけどそれは後でスティアに聞いといてって、言われたけど要するにラクターの隠れた機能とかそんな類だろ・・・・・・多分。

 

あと、倉庫のほうは俺達が起こした騒音で荷物が落ちたんだと、アルティがそう確認したということだ・・・。

 

その時はなんか迷惑かけてすみません・・・・・・。 と、倉庫のいる皆さんに謝ったのだった・・・。

 

そんなわけで、次の場所はというと・・・・・・。

 

〜休憩エリア〜

 

逢魔「おおっ!! ここにも外が良く見える!!」

 

春「ほんとですね!! くっきり見えます!!」

 

アルティ「・・・・・・見てのとおり、ここ休憩エリアは2Fの中央に挟むように二つあるわけ。 ここからじゃあ出口やトイレ、そして甲板に繋がっているけど出口はハイパースペス中だから無理だけどね。」

 

んで、その後の説明から普段は甲板に行けるけどハイパースペースに移行しているため、禁止しているらしい・・・。 アルティ曰く、普段はアルシオンの障壁で護られているから大丈夫だけど、甲板から落ちたら永遠に彷徨うらしい。 

 

・・・・・・要するに生きて帰れないってことだな。

 

そして、次に案内されたのは・・・・・・。

 

〜クリーニングルーム〜

 

逢魔「これって、何をするの?」

 

アルティ「なにって、見てのとおりここで私達の衣服とかで洗濯するところよ。 但し、男女別に分けてあるから間違えて入れたら即殺すから・・・。」

 

そう笑顔で言っているが、別の意味で怖えよ。 

 

あと、後の説明で各個別らしく洗濯するのが当たり前だが、どうしても忙しい場合アッカーにやらせることができるらしいが、その洗濯する量に応じてのGzが請求されるらしい・・・。

 

用は、使い魔もただってわけじゃないってことだな・・・。

 

その次の場所が・・・・・・。

 

〜トレーニングルーム〜

 

直「凄い設備だな・・・。」

 

春「ほんとですね〜〜〜。」

 

周囲を見渡す限り、数え切れないほどのトレーニングマシンがそこら中にあり、中でも見たことのない器具がたくさんあった。

 

アルティ「私達はここで、日々の鍛錬をしているわけ。 どうしてもっていうなら相手していいけど?」

 

直「いや、この世界のこと十分に知ってから相手する。」

 

そのほうが賢明だからな。 相手やルールのことを知らずに突っ込むのは愚か者のやることだからな・・・・・・。

 

(なんせ、ぱっと見た限り間違いなくGFという組織は戦闘集団。 つまり、軍人以上の相手に対してわざわざやり合う必要は全くない。)

 

逢魔の方をちらりと見るとそのことを察しているのか俺と同じ考えに至ったようだ。

 

アルティ「ま、それもいいけど。 必ず、挑戦を受けなさいよ。」

 

と、アルティがそれを言い終えた時に次の案内をしようとしている時に・・・・・・。

 

逢魔「おい、直。 あの女に必ず挑戦しような。」

 

直「ああ。」

 

と、逢魔の案を受け入れ、次の場所に行くのだった・・・・・・。

 

〜機関室〜

 

アルティ「ここが機関室よ。 あそこに見えるのが、時空艦に欠かせない動力炉の中にあるのがヴォルトコアよ。 これ一つでアルシオン全ての電力を賄っているわ。」

 

と、アルティの言葉に従って動力炉を見ると、透明なものに囲まれたところの中に目が眩むほどの膨大なエネルギーを放っている大きな結晶の塊ことヴォルトコアがそこに鎮座していた。

 

逢魔「すっげえ!! あのでかい塊でここ全部賄っているのか!!」

 

春「おおっ!! すごいです!! 一体どれくらいなんでしょうか?」

 

と、二人はべったりと透明なものに張り付きながら喜んでいるが、タコの吸盤かお前らは・・・。

 

アルティ「あ、そうそう。 ついでにそれ直に触ったら跡形もなく分解されるわよ。」

 

と、その言葉に二人はすぐにザザッ!! と、後すざった。

 

逢魔「それを先にいえよ。 もうちょっとで焦げ死ぬところだったぞ・・・。」

 

春「私もです〜〜〜。」

 

実際、透明なものに護られているからそんな心配はないが、壊されたりしたらどのくらいの規模になるんだろうね・・・。

 

アルティ「更に言っておくけど、ヴォルトコアが破壊されたら要塞まるごと落とせるくらいの火力があるから注意ね。」

 

俺達「「「・・・・・・・・・・・・。」」」

 

その言葉に俺達はフリーズしたのだった・・・・・・。

 

その後も機関室についての説明を聞いたが、どれも専門用語で耳に入らなかった・・・。

 

これまでたくさんの場所を紹介されたが、未だに人影はおらず代わりにいるのはアッカーばかり・・・・・・。

 

ほんとは無人艦じゃねんのかって疑うほどだが、考える暇もなく次に案内されるのだった・・・・・・。

 

-12ページ-

 

〜格納庫〜

 

逢魔「うおっ、でかっ!! そして広っ!!」

 

春「超ビックリ・・・・・・。」

 

アルシオンの最下層に位置するところに行き着き、格納庫というところに着いたところ・・・。 想像以上の広さで、そしてなにやらロボットらしきものが数体も鎮座していた。

 

直「なあ、アルティ。 あのロボットは?」

 

アルティ「ん? ああ、あれね。 あれはゲンストっていう”モビルメア”で、ドラゴンフロンティアの主力機だったの。」

 

直「モビルメア?」

 

アルティ「ええ・・・。 ま、平たくいえば機動二足型ロボットの総称で、パイロットがロボットに乗って操作するやつ。 あなた達の時代にもあったんじゃないかな?」

 

直「ん〜。 確かにあったといえばあったが・・・、うちのいる世界はそのロボットよりも半分くらい小さくて、せいぜい作業用ロボット程度でしかなかったな・・・・・・。」

 

宇宙ビジネスが本格的に波に乗っている際に、どうしても必要不可欠なものが月面でのコロニー建設だった。 だが、何もわざわざ地球での往復なんかで行っていたらあっという間に資源が枯渇してしまうし、そのうえ自分達の国の不景気だけじゃなく地球の環境汚染にも繋がってしまうからだ。 

 

そこで考えたのがロボットである。 ロボットなら自分で地球からの遠隔操作で命令できるし、さらに無人機シャトルでその資源を送るだけで、自分たちはわざわざ宇宙に行く必要がなく、しかも食費もかからないことからなどのメリットがあったが、後に製作費やらメンテやらでいろいろで揉めていたからな・・・・・・。

 

それで確か・・・、メンテやら管理目的で有人型ロボットが誕生したんだっけ・・・・・・。

 

アルティ「ふ〜ん。 確かその時って、あなた達のいる惑星ってまだ発展期だって聞いてたけど。 ・・・そんなに進んでいなかったんだ?」

 

直「そりゃ、あそこのゲンストみたいに高機動で武装付きのやつなんてなかったし・・・。」

 

しかも、トロいからな・・・。 と付け足す俺。

 

あそこにあるゲンストは、一見忍者のようなものをベースにしているが、その裏腹にかなりの重武装を身に付けている。 下手すれば町を壊滅できるほどの火力を持っているに違いない・・・・・・。

 

アルティ「まあ、あれ。 元々は高機動型だったけど、うちの師匠やスティアが勝手に改造して強襲型に改修したんだけどね・・・・・・。」

 

・・・・・・どおりでベースとは異なるモデルで重武装なわけだ。

 

直「ってか、あれって二人だけで?」

 

アルティ「ううん、もう一人いたけどね。 私のお兄ちゃんが・・・・・・。」

 

直「そのお兄ちゃんって?」

 

アルティ「ロンキスっていうんだけど・・・。 今は意識不明で療養中・・・。」

 

直「・・・・・・あ、またまずいことを。」

 

どうも、禁忌ワードに触れることが多いな・・・俺。

 

アルティ「あっ、そこは心配しないで無事だから・・・。 それに私にはもう一人のお兄ちゃんがいるの・・・・・・。」

 

直「・・・・・・一応聞くが、また禁忌ワードじゃないよね?」

 

いちいちそこばっか触れていたら、なんと相手に申し訳ないことやらば・・・・・・。

 

アルティ「ううん、大丈夫。 あんたも知っている人だから。」

 

直「へっ? 誰なんだそれ?」

 

見たところ、現時点で苗字が一致しているやつがいないんだが・・・・・・。

 

アルティ「スティアなの。 ・・・・・・私のお兄ちゃん。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?

 

直「いや、そうだとしてもお兄ちゃんって呼んでいないのはなぜだ? それに苗字も違うし・・・・・・。」

 

アルティ「え〜っと、一応言っとくけどね。 私とスティアはロウキル家の養子になったんだ。 それも血が違うもの同士・・・・・・。」

 

直「それって・・・、三人とも血の繋がりがないってこと?」

 

アルティ「ま、そうなるわね・・・・・・。 ちなみにスティアがレルセルクって苗字にしているのは、元々自分の本来の名前だったからよ。」

 

なるほどね・・・・・・。 それで今という形になっているのか・・・・・・。

 

アルティ「ちなみに、これ以上のことは私に信頼を示してからよ。」

 

直「えっ? どういう意味なんだ?」

 

アルティ「そりゃ、決まっているじゃない。 うちの掟は、自分の信頼のある者以外無闇に喋ってはいけない。 さっきのは、あんたが過去のことを喋ったからこれでチャラよ。」

 

・・・・・・ああ、あの両親の話か。 アルティがそこで過去のことをいったのも納得がいく・・・・・・。

 

アルティ「言っておくけど。 あなたもうちの組織に正式加入したら、絶対に掟に従って

 

貰うんだからね。 もちろん、あの二人もだけど・・・・・・。」

 

まあ、あの二人は遊んでいるからなあ・・・・・・。

 

春「おおっ!! すごいですよ!! 中まで本格的なシステムが充実していますよ!!」

 

逢魔「おい、こっちもだぞ!! こっちは物凄い武器がいっぱいあるぞ!!」

 

春「マジですか!! いまいきます!!」

 

と、こんな風に無邪気にやっているわけだが・・・・・・。

 

アルティ「・・・・・・まあ、ともかく次行くからあの二人連れてきてちょうだい。」

 

直「・・・・・・了解。」

 

そんなわけで、遊び呆けていた二人を無理矢理引き連れて次の場所に行くのだった・・・。

 

Chapter1 END

説明
第二弾の作品です!!
序盤から展開が飛んでいますが、どうぞお楽しみください。
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