真・恋姫無双 〜虎と狐の三国演義〜
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   参之一 『 狐ととある出会い 』

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「えっと、ここのはずなんだけど。どこにいるんだろう?」

狐燐は今、とある邑に来ていた。その手には剣の様なものが握られている。それをある人物に届けるために来ているのだ。そのきっかけは数日前に遡る。

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<数日前・狐燐自室>

 

「なんでこんなところにいるんですか?」

狐燐が部屋に戻ると中には道化と虎がくつろいでいた。

「いえいえ、どうぞお構いなく」

そう言ってお茶を啜っているのは叔母達が『道化』と呼んでいた道士、名は確か

「((申公豹|しんこうひょう))です。憶えておいてください。それとこっちは((黒点虎|こくてんこ))です」

「…先に名乗らないでくださいよ。もうちょっとで思い出せそうだったのに」

「そんなことより」

そんなことで済まされた。

「あなたには一つお使いを頼みたいのですよ」

「いいですけど、一体なんですか?」

そう訊くと、申公豹は傍らから一本の剣を取り出した。

「最近((太一真人|たいつしんじん))が作った宝貝です。これを((試験|テスト))を兼ねてある人物に届けてほしいのですよ」

「自分で届けたら駄目なんですか?」

「今の仙界は原則人間界には干渉しないことになっています。ただ、あなたは例外なんですよ」

「それは、僕が半妖だからですか?」

「それはいずれ解りますよ」

「…わかりました。なら、今は訊きませんよ。それでこれを誰に届ければいいんですか?」

「それはこれに書いておきました。あと、これはお使いのお駄賃です」

そう言って渡されたのは一枚の紙と鞭だった。

「((鞭|それ))は昔、太一真人が作った((禁鞭|きんべん))の((贋作|レプリカ))です。まあ、あなたの使う玩具としては丁度いいでしょう」

 

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その後渡された宝貝について簡単に説明すると「くれぐれもよろしく頼みましたよ」とだけ言って彼は行ってしまったわけである。で、宝貝も受け取ってしまった手前こうして休日返上でお使いに出てきたのである。

「――たしか、この先って言ってたな」

申公豹に渡された紙に書かれていた人物の特徴を元に村人に聞き込みをしてみると、以外にあっさりと居場所が分かった。曰くその人物は医者として大陸の各地を巡っているらしく、今はこの邑で一軒家を間借りして人々を治療しているらしかった。

「ここかな?すいませーん」

「うん?すまんが今は昼飯の最中でな出直してくれないか?」

中に入ったところでそう告げられた。見れば確かに少々遅めではあるが食事中だったらしくいい匂いがしていた。

「いや、患者じゃないです。ちょっと届け物を持って来まして…あなたが華佗ですか?」

「ん?いかにも俺が華佗だが、お前は一体誰だ?」

食事をしていた三人のうち一番常識的な格好をした髪の赤い男が答えた。

「僕は蘇業と言います。ある人に頼まれてあなたに届け物を持って来ました」

僕が名乗った瞬間、一瞬だけ奥の二人がこちらを見たような気がしたが、構わずに用件を伝える。

「届け物?一体なんだ?」

「これです」

そう言って手に持っていた物を手渡した。受け取った華佗は包みを開き中身を手に取る。それは見た目こそ剣にも見えるが普通の剣と違い先端は細く尖り刃となる部分は存在しなていない。

「なんだこれは?剣にも見えるが」

「それは宝貝((太陽針U|たいようしんツー))です。本来は無数の針ですがそれを一本に集約して強力なものになっています。効果は―」

‘‘ガタッ’’

そこまで説明したところで奥に居た二人が突然立ち上がった。

「お主。今宝貝と言ったか?」

「言いましたけど。あなた誰ですか?」

「うむ、儂は卑弥呼。そしてこっちは貂蝉じゃ」

「よろしくねん」

「はあ、どうも。で、説明に戻りますけど」

「ちょっと、反応薄くない?!こんな絶世の美女を前にして!」

・・・構わず説明を続けよっと。

「で、この宝貝は相手の秘孔、つまりツボを突くことでその効果を何倍にも何十倍にも増幅することができるらしいです」

「「無視?!」」

「『らしい』とはどういうことだ?」

「だ〜りんまで?!」

「僕は秘孔とかわかんないですし、届け物ですから」

「ふん、だがもし蘇業の言うように効果を増幅できるならより多くの人々を救えるかもしれないな」

ただ、逆を言えば簡単に人を殺すことも出来るかもしれないのだが、そのくらいは医者である華佗の方が理解しているだろう。

「なら、一応受け取っておこう。何か礼をした方がいいか」

「いいですよ別に。でももしなにかお礼をしてくれると言うなら、そのうち医者らしく助けてくださいよ」

「…絶対の約束はできないが、できるだけ善処しよう」

「じゃあ、僕はこれで」

そう言って、お使いを果たして狐燐はその場を後にした。

 

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後には三人が残った。そんな中、卑弥呼が口を開いた。

「だ〜りん。すまんのだが、頼みがある」

「突然どうしたんだ?」

「儂と貂蝉はすこし、あの蘇業という者に着いて行ってみようと思う」

「わかった。なら俺もこの邑も患者を診て回ったら後を追おう」

「すまぬ、だ〜りん」

 

二人はどうしても気になっていた。蘇業という者の存在。正史には存在せず、かといってこの外史で御遣いでもない存在。管理者としてその存在が気がかりでならなかった。

 

 

そしてこの頃、大陸中にある噂が飛び交い始めていた。

 

『((道標|しるべ))無き世に乱世訪れる時、天は乱世を治める為に一人の御遣いを遣わせる』

――と…

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あとがき

 

『虎と狐』は今年最初の更新ですね。年明けからはほとんど『Re:道』に力注いでましたから。だというのに今回呉の面々はお休みでした。

そんなこんなで今回は医者王に宝貝を届ける話でした。ちなみに太陽針Uは西洋のフルーレの様な形状だと思ってください。

 

ではまた次回!

説明
こっちは今年最初の更新ですね。…忘れてたわけじゃないよ?!


注:オリ主作品です。一部オマージュもあります
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コメント
syukaさん>コメントありがとうございます。がんばります!(ツナまん)
オリ主ものですか。次回が気になりますね。一刀の存在の有無もきになるところです。完走目指して頑張ってください!(syuka)
九条さん>むしろ胃袋が活性化して自軍の兵糧が大変なことにw(ツナまん)
数十倍か……鈴々とかに使ったら某野菜人のように活性化しそうw(九条)
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