GF 〜The Galaxy Century〜 第一章 〜7億年後の世界 スピリエンスワールド〜 Chapter2
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格納庫を後にし、次の道案内のときに・・・・・・。

 

ボガァーーン!!

 

???「きゃああああああああああああああ!!」

 

と、物凄い爆発音と女性の悲鳴が聞こえた。

 

直「ええっ!! いきなり何事だ!!」

 

逢魔「あっちのほうから爆発音と悲鳴が聞こえたぞ!!」

 

春「はやく助けなきゃ!!」

 

あわてて、俺達はその爆発音と女性の悲鳴がしたほうに向かおうとしたが・・・・・・。

 

アルティ「あ〜。 それは心配無用よ。 多分、あの人の仕業だから・・・・・・。」

 

と、頭を抱えながらそう言う呟いた。

 

直「どういう意味だ?」

 

アルティ「行けばわかるわよ・・・・・・。」

 

アルティが、その部屋にいくと・・・・・・。

 

〜研究室〜

 

???「はわわわわわ!! また失敗しちゃったです・・・・・・。」

 

アルティ「ほ〜ら、やっぱり・・・・・・。 ユナさん〜、大丈夫?」

 

???「はい〜〜。 大丈夫です〜〜。」

 

直「なんだ、なんだ? 何が起こっているんだ?」

 

逢魔「煙が邪魔で見えねえ・・・・・・。」

 

春「ケホッ!! ケホッ!! ケホッ!!」

 

確かに、煙が充満しているせいか見えなかったが、段々と晴れていくうちに姿を現したのは白魔導師と思わせるコートを着たオレンジ色のショートヘアで小さい三つ編みを右前に出している女性らしき人だった。

 

???「ううっ・・・。 お恥ずかしいところお見せして本当にごめんなさい・・・・・・。」

 

アルティ「ああ〜、それはいいから。 ほら、この三人に自己紹介でもしてくださいね・・・。」

 

ユナ「えっ? ・・・・・・・・・・・・ああ〜、もしかして廃棄惑星に漂流されていた直さんに逢魔さん、そして春さんですね。 初めまして、私の名前はユリス・ナルティークです。 私のことは、ユナって呼んでいいですよ。」

 

ペコリと、律儀に挨拶するユナさん。 ・・・・・・ちなみに見えていなかったが、さっきのそれで掛けていたと思われる眼鏡が実験してたと思われる謎の液体にへと落ち、そしてジュワああああ!! と、いいながら溶けて消えていった・・・・・・。

 

ユナ「きゃああああああ!! 私の眼鏡がああああああ!! あ、あっつ〜い!!」

 

すぐに眼鏡を拾おうとしたユナさんだったが、既に遅く、そしてうっかり謎の液体に触って火傷を負った。 ・・・・・・眼鏡溶けるってどんな研究してんねん。

 

アルティ「ちょっと、ユナさんっ!! ああ、もう!! あなた達はユナさんをすぐに医療室に行きなさい!! 大丈夫、研究室から出てすぐ正面にあるわ!! 私はこの研究室を掃除しておくから先に行ってて!!」

 

直「あ、ああ。 わかった。」

 

ユナ「すみませ〜ん・・・・・・。」

 

直「ほらっ、お前らも・・・。」

 

逢魔「お、おう。」

 

春「頑張ってくださいね、ユナさん!!」

 

ユナ「は〜い・・・・・・。」

 

手に火傷を負ったユナさんを保護しながら、医療室にへと急いで行ったのだった・・・・・・。

 

やれやれ・・・、こんなことが起きるなんて思わなかったな・・・・・・。

 

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〜医療室〜

 

???「全く、またか・・・。 あいつに続きお前もここに来るのが好きなようだな・・・・・・。」

 

ユナ「面目ないです・・・・・・。」

 

白衣を着た黄緑色のショートヘアで眼鏡を着用した20代ほどの男性が、やや呆れ気味にため息えおする・・・。 あいつって誰だろ・・・? ここの常連さんか?

 

???「とりあえず、軽い火傷を負った程度だからそのままぬるめの湯に当て続けておけば、ある程度の痛みはとれるだろう。 あと、水ぶくれは潰さないように・・・・・・。」

 

と、それほど重傷になっておらず軽傷で済んだことに安心する俺達。

 

逢魔「なら、後は医者に任せてアルティの手伝いに行こうぜ!!」

 

???「やめておけ。」

 

俺達がアルティのところに行こうとしたときに突然その医者が制止した。

 

春「どうしてなんですか!!」

 

???「必要ないからだ。 ・・・それにお前達がいってなにができる。 あそこは研究室だ。 無用心に何かを触ったらこいつのように火傷じゃ済まさないぞ・・・。」

 

直「あ・・・。」

 

確かに、あの研究室は眼鏡を溶かすほどの危険なものがあったはず、それを迂闊に触ればいくら俺達でもただじゃ済まさない。 ・・・・・・あの医者のいう通りだ。

 

???「ま、それほど心配することはない。 ほら、噂をすれば・・・・・・。」

 

アルティ「ふう、ただいま〜。 やっと終わったわ・・・・・・。」

 

と、医者の予言通りにアルティは医務室に帰っ・・・入ってきた。

 

・・・・・・まさかここで釣られることになるとは。 それにしてもあれだけ酷かった研究室を”どうやって片付けたんだ”・・・・・・?

 

ユナ「あ、アルティ。 どうですか、私の部屋は?」

 

アルティ「ええ、おかげで骨が折れたわよ。 特にあの液体、なに作っていたの?」

 

ユナ「あれですか? 確か、あらゆる金属を溶かすための特殊薬剤を実験していましたけど、うっかり床に落としてしまって大爆発しちゃたんですよ。 あははは・・・・・・。」

 

アルティ「どおりで床にくぼみっぽいのができるわけよね・・・・・・。 とにかく次は自重してください。」

 

ユナ「はい・・・・・・。 すみません・・・・・・。」

 

すっかり、反省している最中になっているが・・・・・・。 というか、うっかり床に落として大爆発ってどんな組み合わせをしたらそうなるんだ?

 

アルティ「ところで、あの子は?」

 

???「あいつならもう例の場所に行っているぞ・・・。」

 

アルティ「そうなんだ。 ・・・・・・ついでに聞くけど自己紹介したこの人達に?」

 

???「ん? ・・・・・・ああ、あの場所で紹介するつもりだったが、まあいい。」

 

そう言うと俺達に振り返り・・・・・・。

 

十織「俺の名は、((琴塚 十織|ことづか とおる))だ。 先に言っておくが、既にお前達のことを知っているので、自己紹介はしなくていい。」

 

まあ、あの資料で知れ渡っているからな・・・。 ある意味仕事がはやくて感心する・・・。

 

逢魔「というか、ここでまさかの日本人キターーーー!!」

 

春「そうですね!! やっと同じ出身の人が現れましたね!!」

 

そう喜ぶ二人だったが・・・・・・。

 

十織「悪いが、俺は生粋のインパルシア人だ。 残念だが日本人ではない・・・。」

 

落胆する二人「「ええ〜〜〜〜〜!!」」

 

一気にぬか喜びにへと変わった・・・・・・。 ・・・・・・けど、疑問に思うことがある。

 

直「なら、なんで俺達の国の名前を使っているんですか? 漢字を使用していない名前のほうが多いと思いますが?」

 

ほとんどの外国人の言語や文字はそれぞれ違うが・・・、いずれも日本語訳でカタカナ

 

文字になって表示されているからな・・・。

 

それに日本語を使うのは、日本人だけしかいないはずだから。

 

十織「確かに、普通はそうだろうとは思うが・・・。 中でもインパルシア人は、その”日本人達の文化を最も引き継いでいる国”であり、お前達の言っているその日本語を新しいインパルシア語として認定し、更に銀河世界基準用語の一つとして採用したほどだ・・・。」

 

直「要するに、日本の影響を受けて文化革命したってことですか?」

 

十織「まあ、そうなるな・・・。 きっかけは”ラストランカーズ”というチームだったな・・・。」

 

春「なんですか、それ?」

 

アルティ「ええっ!! 知らないの!! この世界じゃ知らない人はほとんどいないといわれているほどの伝説の野球チームよ!!」

 

逢魔「それって・・・、日本人を中心に構成していたんすか?」

 

十織「いや、”第一地球の住人を中心に集めた、世界のトップランカー達のこと”だ。」

 

それはつまり、簡単にいえば世界中のトッププレイヤーばかりが集められた超といわれるほどの選りすぐりの精鋭達ということになるが・・・・・・。

 

直「さっき、第一地球と言っていたけど、もしかして・・・・・・。」

 

十織「ああ、お前の想像通り・・・、お前達のいまの母星の名前である。」

 

そうか・・・、それが俺達の帰るべきいまの場所か・・・・・・。

 

十織「だが、しかし・・・。 お前達が知っている世界は、”地殻大変動という世界災害で異なる大陸になっているがな。”」

 

逢魔「え? それはどういうことで・・・?」

 

十織「・・・・・・お前ら、地殻やその変動についての知識は習っているだろ。」

 

そういや習っていたな・・・。 高校のときに遥か未来の世界がどうなっているのかでその仮説を立てたビデオを視聴室で見たことあるけど・・・・・・・。

 

・・・・・・まさか、それが現実になるとは。

 

春「それで・・・、その地下過大変態っていうのが起きたらどうなるんですか?」

 

地下過大変態って・・・、それ全然違うんだが・・・・・・。

 

十織「地殻大変動だ・・・。 ・・・・・・実際に起きていたが、その当時の被害はほとんどの文明を破壊するほどの威力で、その惑星にいた人類の全体が約8割ほどの死者を出している。 勿論、他の生物もほぼ全滅に近い状態になっているほどだ。」

 

直「残りの2割はなんですか?」

 

十織「残りの2割のうち、大半は地殻大変動に備えて脱出したものでほとんどが富裕層の人間ばかりだった・・・。 何せ全ての住人を乗せられるほどの船やシャトルがなかったからな。 ・・・残りのほうは、奇跡的に生き延びた人かいまも行方不明の人のみだな。」

 

その残酷な真実に俺達は息を呑んだ・・・。 いずれ起きるんだ・・・・・・。

 

十織「その証拠に、ほらこれが地殻大変動するまえの写真・・・、そしてこれが地殻大変動が起きたあとにできた写真だ。」

 

十織さんは、なにやらデータベースを操作して出てきた写真を比較する。

 

その一方が俺達が知っている世界そのもので、もう片方がいまの第一地球らしいが・・・、なにやら円盤状のような形とその周囲に積み木のような形がそこら中に出現していて、その中で円盤状のような形の中心に大きく盛り上がっているという世界。

 

その二つの写真に・・・・・・。

 

春「うわぁ〜〜〜〜。 こう比べると随分違うんだね〜〜〜〜。」

 

逢魔「ほんとだな・・・・・・。 ちなみ地殻大変動って何回も起こるん?」

 

十織「ああ、実際惑星によっては異なるが、大体一定周期に起こるそうだ・・・・・・。 なので、普通の地震と見分けがつかないくらいのものだからどうしても後手に回る・・・。 なにせ、どれくらいの規模で被害の範囲がわからないって感じだからな・・・・・・。」

 

それって、例えわかってもどうしようもないってことか・・・・・・。 

 

まあ自然現象で怒っていることだから人間の手だけじゃ荷が重いからな・・・・・・。

 

直「それで、すっかり脱線してしまったけどラストランカーズっていつ頃に誕生したんだ?」

 

十織「ああ、そうだな・・・・・・。」

 

と、ここで一旦会話を切り替えてから、改めてラストランカーズのことについて語りだす。

 

十織「遥か数億年ほどになるのかな。 その当時、銀河文明に突入した第一地球の住人達は銀河オリンピックに初出場するために各国の選りすぐり精鋭を集め・・・、トッププレイヤーばかりの野球チームをいくつか結成したんだ。」

 

直「いくつかって・・・、ラストランカーズだけじゃなかったんですか?」

 

十織「ああ、確実に優勝するためには複数のチームを結成し、各世界が主催している大会に潜り込んで優勝させて進出しようという作戦を編み出したが、それはどこの世界でも同じことを考えていたからな・・・・・・。」

 

要するに、全員が同じことを考えていたというわけだろ・・・・・・。 

 

逢魔「っていうか・・・、そこまでして意味あるん?」

 

すると、アルティは呆れ気味に・・・・・・。

 

アルティ「なにいってんの? 私達の世界では、世界、宇宙、銀河の三つのオリンピックがあるのよ。 あなた達でも知っているでしょうけど、その惑星だけを中心とした大規模な大会が世界オリンピック。 次に惑星または銀河星系などの周辺に存在する人達を中心とした大規模な大会が宇宙オリンピック。 そしてなかでも銀河オリンピックは、スピリエンスワールド至上最高峰の大会!! その大会に優勝すれば世界を動かすほどの影響力を持つほどの名誉と莫大な資金が得られるということよ!!」

 

春「それって、永遠に働かずに遊べるほどの生活ができるってことですか!!」

 

十織「そうなるな・・・。 だが、世界オリンピックでは各国ごとに選ばれたものでしかいけないのと同じように、宇宙オリンピックは世界オリンピックの上位3人(組)しか許されず、そして銀河オリンピックでは、宇宙オリンピックの優勝者しか許されないってことだな。」

 

直「めっちゃムズイなそれ・・・・・・。」

 

それほど、一生しか得られないくらいの一載千遇ってわけか・・・・・・。

 

十織「だが、うちの組織で銀河オリンピック優勝経験者が数人くらいいるからな。」

 

逢魔「それって、リルティさんとゼルファさんだよね?」

 

確かに、銀河オリンピック優勝しているんだって、ラゼインさんいっていたな。

 

ゲームでの大会だけどね・・・・・・。

 

十織「その二人もそうだが、うちのリーダーだって銀河オリンピック優勝経験者だぞ。」

 

直達「「「ええっ!!」」」

 

あいつって、優勝経験者だったのか・・・・・・。 こりゃ、物凄いところに拾われたな・・・。

 

そう思っていたとき・・・・・・。

 

春と逢魔「「誰ですかっ!! その人!!」」

 

ゴンッ!! 思わず、ズッコける俺・・・。 なんでやねん・・・、会っているだろうが。

 

アルティ「あんた達ねぇ〜〜。 忘れたの!! スティアよ!! スティア・レルセルク!! 銀河オリンピックの総合格闘部門で優勝したの!!」

 

春「そうだったんですか・・・・・・。」

 

逢魔「あの少年、只者ではないな・・・・・・。」

 

お前らなあ・・・・・・・・・・・・。

 

十織「それで、話を戻すが数多くの激戦を潜り抜き、銀河オリンピックに着いたのがラストランカーズただ一チームのみだった・・・。 そのラストランカーズは銀河最高峰の相手に苦戦しながらもなんとか準決勝まで来たんだが、その戦いでトラブルが発生してその日本人が意識不明の重傷を負ったんだ・・・・・・。」

 

春「ええっ!! どうなったんですか!!」

 

・・・・・・案外、ノリノリだね十織さん・・・・・・。

 

十織「そいつは病院に搬送され、一気にラストランカーズの士気が低下していたが、なんとか奮戦して見事に勝利したものの・・・、その代償は重く、更に決勝戦の相手がインパルシア人だったんだ・・・・・・。」

 

直「さっきから思っていたけど、インパルシア人って?」

 

アルティ「”五大優等人種”と呼ばれる特異人種で、銀河中で知らないものはいないくらいの規格外の性能を持っていて、インパルシア人が一人出ただけで状況が大きく崩れるほどの実力よ。 正直、並の相手じゃ絶対に適わないわ。」

 

直「それほど恐ろしい人種が相手だっていうのか?」

 

十織「ああ、そうだ。 圧倒的な戦力を前にラストランカーズ達は一気に押されていき、このままコールドゲームするのかと誰もがそう思われていたそのとき、なんと意識不明だったはずの日本人が奇跡の回復をして会場に復帰した。 そのあと、これまでにはない最高峰の戦いで両者互いに譲らず、いよいよクライマックスに達したときに、突然その日本人が倒れ、駆けつけたときには全身血だらけで最早試合どころではなくすぐに病院の搬送をしようとしたときに、その日本人はそれを断り、無理矢理にでも試合を続行させ最後のワンゲームを開始した・・・・・・。」

 

直以外の者達「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」

 

・・・・・・すげぇ集中してんだな。 特にその日本人って誰だよ。 すごく、気になる・・・。

 

十織「両チームの点差はわずか3点差で、インパルシア人達が有利だった。 その状況を打開するには、4点以上取らなければならない。 だが、苦しい戦いでなんとか盗塁をし、そして満塁になったときにいよいよあの日本人がバッターに入った・・・。」

 

いよいよ、真打登場ってわけか・・・・・・。

 

十織「しかし、状況はツーアウト。 更に重傷を負いながらもバットを振り続け、遂に絶体絶命へと追い込まれてしまった。 次にバットを振れば、間違いなく試合終了・・・。 だが、それと同時に身体のほうも限界に近かった・・・。 それでも苦境を共にした仲間達のために、そしてずっと追い求めてきた夢を叶えるためにその日本人は、いま全身全霊にして最後のバットを渾身に振った・・・・・・・・・。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・っごく!!

 

結果を待つように静かに見守る俺達・・・・・・。 

 

なんかすっかり気が付けばムードに入っているな・・・・・・。

 

十織「カキーン!! っと、空へと大きく打ち上げた球はそのまま場外にへと落ち、そして、さよならホームランで逆転勝利をし、見事念願の優勝をすることができたのだった!! それと同時にその様子を見ていた観客達が盛大な歓声を沸きあげたのだった!!」

 

直達「「「「おおっーーーー!!」」」」

 

十織「だがしかし、さよならホームランを打ち上げた日本人は身体の限界を越えてしまい、地に伏せるように倒れてしまった・・・。」

 

直達「「「「ええっーーーーーー!!」」」」

 

喜びから一気に驚きに変わる俺達。 雰囲気に飲まれているな・・・これ。

 

十織「その状況に歓声を上げていた観客達が一気にどよめいてしまう。 このままじゃ、いままでの苦労が水の泡になってしまう・・・・・・。 ・・・・・・そんなときだった。」

 

何が起きたんだ一体・・・・・・・・・・・・。

 

十織「なんと、敵であるはずのインパルシア人が、その日本人の肩をあげたではないか!! 更にほかのインパルシア人もその日本人に次々と手を貸していく・・・・・・。 そして、戸惑ってたラストランカーズのみんなもその日本人に手を貸しだした結果、胴上げとなる形で無事にグラウンドを一周し終えたとき・・・・・・、観客達が先ほどの声援よりも盛大に、そして感動的な歓声を一気に沸き上げ、こうしてラストランカーズの優勝によって、幕引きを引き・・・、後にこれがきっかけでインパルシア中の住人達に日本文化の革命がきましたとさ。 めでたし、めでたし。」

 

と、十織さんがその話を終えた瞬間に・・・・・・。

 

春「感動的です〜〜〜〜〜〜!!」

 

逢魔「・・・俺、これまでにないほどの涙流したの初めてかも・・・・・・。」

 

アルティ「うっ、う〜〜〜。 何度聞いてもいい話だよね〜〜〜〜。」

 

俺以外の三人が一斉に泣き出した・・・・・・。 確かにいい話だよねほんと・・・・・・。

 

だから、インパルシア人達が俺達の日本の文化を使っているというわけね・・・・・・。

 

直「ところで、その日本人の人って誰なんだ? もったいぶられているような気がするが・・・・・・。」

 

よくよく思った疑問を十織に聞いてみることにする・・・・・・。

 

十織「ああ、そういえばまだ言ってなかったな・・・、彼の名前は((浅原 翔|あさばら しょう))。 俺の祖父がその人と親友関係を築いているからね。」

 

直達三人組「「「ええっ!!」」」

 

春「そ、そうだったんですか・・・・・・。」

 

アルティ「ええ・・・。 ひっく・・・、ちなみに・・・ううっ、この人は・・・うっ、う〜〜〜。 さっきから涙が・・・ひっく、・・・・・・止まらない〜〜〜〜〜〜!!」

 

直「ああ、そこ。 とりあえずハンカチでも拭いとけって・・・・・・。」

 

アルティ「あ・・・、ありがと・・・・・・。」

 

俺が渡したハンカチをアルティが丁寧に拭き取っていく・・・・・・。

 

こんなに涙脆かったとは・・・・・・。 アルティの意外な一面を見た気がする・・・・・・。

 

十織「まあ、アルティの代わりに話すが、あらから翔さんは下半身に障害が出てしばらくはうちの病院で世話になっていたからな・・・・・・。 そして、その病院の院長が俺の祖父で、よく翔さんのところに遊びに来たよ・・・。 その際に、色々と話は聞かせてくれたけどね・・・・・・。」

 

ああ、だからあんなに詳しかったわけだ・・・。 当人から聞いた話なら納得ができる。

 

十織「その話をいつか誰かに語らせるなら、感情的で情熱的に場を盛り上げないと意味がないって、翔さんに言われていたからね・・・・・・。」

 

そして、あのときに医者らしかぬノリノリなことも納得がいった・・・・・・。

 

十織「そういえば、もう時間じゃないのか?」

 

アルティ「ひっく・・・・・・、確かにもうこんな時間だわ・・・。 そろそろ行かなきゃ・・・・・・。」

 

十織「例の場所以外済ませたのか?」

 

アルティ「ええっ、ばっちりよ。」

 

そう会話するアルティと十織さんだが、さっきからなんなんだ? 例の場所って・・・?

 

アルティ「というわけで、次が最後だから気を抜かないでよ!!」

 

そう俺達を急かし、次が最後となる場所にへと赴くのだった・・・・・・。

 

そして・・・・・・。

 

ユナ「十織さん、ずみませんがタオルとティッシュをぐださい〜〜〜。 さっきから泣き止まなくで〜〜〜〜〜。」

 

十織「・・・・・・そういや忘れていたな・・・・・・。」

 

手が離せないユナに、タオルとティッシュを渡すのだった・・・・・・。

 

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直「んで、いい加減その例の場所ってやつを教えてくれないか・・・?」

 

アルティ「そういうのは、着いて確かめたほうがはやいわよ。」

 

ん〜〜〜。 完璧にはぐらかせているような気がするなあ・・・・・・。

 

春「私も気になりましたが、例の場所ってなんですか? もしかして聖剣とか!!」

 

逢魔「もしくは、秘密の花園とか!!」

 

直「お前・・・・・・、あきらかにわざと言っているだろ・・・・・・。」

 

わざわざそんなところに連れて行くやつがどこにいるんだよ・・・・・・。

 

アルティ「ま、あれの後者はともかく、前者はそれっぽいのがあるけどね・・・。 いわゆる戦利品だけど・・・・・・。」

 

直「でも、それを簡単に言うってことはそこじゃないんだろ?」

 

アルティ「ええ、鋭いわね。」

 

これまでのことを鑑みてみれば、それほど難しいものではない・・・。 つまり・・・・・・。

 

春「ええっ!! もうわかったんですか!! 教えてくださいよ〜〜!! ほら、逢魔も言って!!」

 

逢魔「いや・・・、さすがの俺でも既にわかったけど・・・・・・。」

 

春「ガ〜ン!! 私だけ!! 私だけなの!!」

 

そういや、こういうのに弱いんだったなこいつ・・・。 どう考えても”まだ行っていないところ”があるだろ・・・・・・。

 

アルティ「さて、あなた達が言っていた例の場所に着いたということで・・・・・・。」

 

ピッ!! と、謎の効果音をだし・・・。

 

アルティ「開くわよ。」

 

そう言って扉開いた途端・・・・・・。

 

パ〜ン!! パン!! パパン!!

 

GFの人達全員「「「「「「歓迎会へようこそ!!」」」」」」

 

と、大量のクラッカーの音を響かせながら”スティア率いるGFメンバー全員が食堂を舞台としたパーティー会場で、俺達に笑顔で迎えてくれた・・・。”

 

そう、これが例の場所こと食堂がその正体であったからだ。

 

俺と春、そして逢魔の三人に対してサプライズともいえる歓迎パーティーの準備を進めていたため、ほとんどのフロアに人がいなかったのもそのせいであるが、手抜きの塊をした使い魔のアッカー達はそこら中にいたため論外とする・・・・・・。

 

???「おうおう、こいつか? 少年少女とは聞いたけど、まだまだ小さすぎるな!! お前ら!! ちゃんと好き嫌いせずにモリモリ食べてっか?」

 

???「兄貴・・・、それじゃあまんまる御餅みたいになってしまうッス・・・。 あと、兄貴みたいにそんなにデカくならないし・・・・・・。」

 

???「ヘイッ!! そこのボーイアンドガールズ。 あなた達が噂の古来人デスカ?」

 

???「ふうん・・・。 君達がそうなんだ・・・・・・。」

 

???「ぬはははははは!! よくよく見るとまだ尻の青い小僧ではないか!!」

 

???「あの・・・、あなた達が例の人達なんですか?」

 

???「へえ、これは驚いた僕達とほぼ同年代じゃないか・・・・・・。」

 

???「ええ、私もてっきり大人だと思っていた・・・・・・。」

 

???「ん・・・? 貴様達は先程の者達ではないか。 あの時の倉庫ではわからなかったが、まさか貴様達だったとは・・・・・・。」

 

と、俺達が知り合っていない人達が次々と言葉の集中砲火を俺達に浴びせてくる。

 

ルミ「あはははは、皆さんったら。 直さん達がビックリしているじゃないですか・・・。」

 

ラゼイン「けど、一人だけ唖然としているが・・・、残りの二人はこの企画にとっくに気づいているぞ・・・・・・。」

 

ルミ「ええっ!! そうだったんですか!!」

 

アルティ「ま、わざとらしいことはしたけどね。」

 

にひひっ。 っと、アルティはニヤニヤしながら笑う・・・。

 

まあ、確かにそれらしき仕草はしていたな・・・・・・。

 

スティア「いずれにしても、結構な時間稼ぎしただけでも上出来だ。」

 

アルティ「えへへっ。 どういたしまして。」

 

やれやれ、心底嬉しそうだな・・・・・・ん?

 

???「とりゃ〜〜!! あたしが一番星インタビュー〜〜〜!!」

 

と、長い金髪の小柄な少女が勢いよく俺達に突撃してきたと同時に・・・・・・。

 

???「ぬ!? ズルイぞ!! 我も混ぜろ〜〜〜!!」

 

と、短い金髪の少女が先ほどの少女と同じく突撃してきたということで・・・・・・。

 

直「ほい、逢魔ガード。」

 

逢魔「は?」

 

春「そして、がっちり固定!!」

 

ちょっ、まっ、ごわっ!! っと、逢魔を盾替わりにして金髪の少女の二人からもれなくダブルラリアットを喰らった。 ・・・・・・どうみてもインタビューじゃねえだろ。

 

アリス「いよっし!! ということであたしアリス・エンチャルドっていうんだ!! 良かったらお兄さん!! さっそく質問したいんだけどさ〜〜!!」

 

クロハ「抜け駆けはズルいぞ!! 我こそはクロウディア・ハルナレスカ!! 略されておるが、愛称はクロハじゃ!! して、お主聞きたいことがあるのだが?」

 

勢いよく登場したアリスとクロハが、ほぼ同時に俺に言い寄ってきた。

 

ついでにどちらも金髪だが、長いほうでいかにも砂漠の旅人のような衣装と茶色の鉢巻を着用しているのがアリスで、もう一方は短いほうでこちらはトレジャーハンターがよく着る衣装を着ているのがクロハであり、デカいリュックとゴークル、そしてゼルファさんと同じくエルフ耳をしているのが特徴である。 ・・・・・・にしても結構速かったな。

 

直「なんだ? 俺にわかる範囲なら・・・。」

 

ちなみに逢魔のほうはダウンしているためか・・・・・・。

 

春「さあ、立てるか逢魔!! ワン!! ツー!!」

 

と、この通り春にカウントしながら遊ばれているわけで、結果的に俺が言う羽目になっている。 ま、どの道俺が答えるんだけどね・・・・・・。

 

アリスとクロハ「「つまりお前はチェリーか!!」」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?

 

ゴスッ!!

 

アリスとクロハ「「あだっ!!」」

 

と、仲よく頭上からチョップされて痛がる二人・・・・・・。

 

???「全く、お前ら主役に対して失礼だろ。」

 

と、アリスと同じような衣装を着用し、ボサボサした長い緑髪の少女・・・いや、少年ともいうべき者が、クロハ達を注意する。

 

ギルド「失礼した。 俺の名はギル・バラード、皆からはギルドなどで呼ばれている。」

 

などって・・・・・・、他にも呼ばれているのか・・・・・・。

 

逢魔「いつつ・・・。 お、なんだなんだ? 直、お前いつの間に三人も女子にモテているんだ? ・・・・・・さては落としたな!! そうだろ!!」

 

直「違うわ!! なんでそうなる!!」

 

おいおい逢魔・・・、やっと起きたと思えば開口一番それかよ・・・・・・。

 

と、そう思っていたときだった・・・・・・。

 

逢魔「ひっ!!」

 

ギルド「おい、いま女子三人といったか・・・?」

 

いつ間に移動していたのか、ギルドが巨大な鎌で逢魔の首筋を当てている。

 

春「え? え? ええっ!! いつの間に!!」

 

確かにその通りだが、移動した痕跡はおろかその軌道すらもない・・・。

 

”どうやってそれをせずに移動したんだ・・・・・・?”

 

逢魔「えっと・・・・・・、女子じゃ・・・・・・ないの?」

 

いまさらといえばいまさらだが、逢魔は青ざめながらギルドに問いかけている。

 

だって、ギルドは・・・・・・。

 

ギルド「俺は男だ・・・・・・。 というわけでいまここでボコられろ・・・・・・。」

 

うん、やっぱりそうだった・・・・・・。 一歩間違えば・・・・・・。

 

逢魔「ちょっ、タンマ!! まずは落ち着いて話を・・・ってギャアアアアアアアア!!」

 

この通り、ボコられることになっていたんだろうな・・・・・・。 良かったと言えば良かったものの、”なんでギルドが男だってわかったんだ・・・・・・?”

 

春「ねえ、直?」

 

直「ん? なんだ?」

 

春「直って、さくらんぼだったんですか?」

 

直「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

弁解したらややこしいからそういうことにしとこ・・・・・・。

 

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スティア「・・・というわけで、既に知っているものはいると思うが、この三人は我々の組織に加入した。 臨時ではあるが、正式という形にしている。 そういうわけで、改めて自己紹介をよろしく頼もうかお前ら。」

 

逢魔「ええっ!! 注目の集まるところで自己紹介しろと!!」

 

スティア「じゃあ、一人ずつ相手に紹介すると? 社会では個人より団体での自己紹介のほうが、効率的に早いぞ?」

 

確かに、学校でもそれやってたなあ・・・。 それで泣いていた奴もいたけど・・・・・・。

 

それはどうでもいいとして、スティアの言うことにも一理あるので先に自己紹介しておく・・・・・・。

 

直「えっと・・・・・・、自己紹介した方はいると思いますが俺の名は五十嵐 直です。 わけあって皆さんのいる組織に臨時ながら加入することになりましたが、どうぞよろしくお願いします。」

 

と、俺が自己紹介し終えると同時に・・・・・・。

 

春「ああっ!! それ最初にいようと思ったのに!! ・・・って、それはいいとして、私の名前は遠月 春です。 直と同じくわけあって皆さんの組織に入りましたが、不届きものでありますがどうぞよろしくお願いします!!」

 

それ、思いっきし不審者だろ不届きものって・・・・・・。

 

当然、それに笑っているものがいたが最後に・・・・・・。

 

逢魔「って、おい!! お前ら先に自己紹介するなんてズルいぞ!!」

 

直「早くしないのが悪い。 さっさと自己紹介しろ。」

 

逢魔「ああ、もう!! 最後ってんが性にあわんけど!! 俺の名前は白崎 逢魔!! 未だに置いてきた俺の思い出が名残惜しいが!! こうなりゃやけくそだ!! そんなわけでみんなよろしくっ!!」

 

と、物凄い未練タラタラの啖呵を切りながら、ビシッ!! っと、会場のみんなに指差して言い終えるとあちらも負けずに声援で応えた。

 

カイ「おう、兄ちゃん!! いい度胸じゃねえか!! 俺の名はカイ・マキア!! おめえらの目的を果たすまでびっしりと付き合うぜ!!」

 

???「ちょっ、兄貴・・・、そんないきなり応えなくてもいいじゃんか。」

 

カイ「よしっ!! じゃあ、お前もいえ!!」

 

バシッ!! と、物凄い勢いで背中にぶつけ・・・・・・。

 

リク「いってえ〜〜〜〜!! わかった、わかったって!! 俺の名はリク・マキア!! 兄貴と俺がいれば、天下無敵よ!! というわけでよろしく!!」

 

と、屈強なイメージが似合う巨体と戦闘民族っぽい衣装を着ているツンツン尖っている金髪の男性こと兄貴と呼ばれているのがカイで、あっちは屈強とはいえないがカイと同じ衣装を着ている左右に分かれた青髪の男性がリクが、逢魔の自己紹介に応じた。 ただ、リクのほうは未だに痛そうに背中をさすっているが、痛いんだろうな・・・。

 

イゼルト「ほう? ならば、私もそれに続こう。 私の名はイゼルト・リェーヴェア。 言っておくが我々の組織に入ったからには最低でも己の身と他者の身護れるくらいビシビシとくから覚悟しておけ!!」

 

ビシッ!! と、俺達に指を指して高らかに宣言した。

 

ちなみに軍服の上を脱いだ状態、いわば軍人映画でよく見かけるシャツみたいな服装と、白い肌に白い銀髪のロングテールの女性がイゼルトさんだが、・・・・・・ある程度予測したものの、やっぱり訓練されるよね・・・・・・。

 

二人の方をみても一目瞭然に俺と同じように悟っていた。

 

・・・・・・まあ、俺ら過去の人だし、このまま別の惑星などの住人達に保護されても帰れないことだけはわかるし、それにあの森羅万象大転変の日に立ち寄った者となれば、おそらく政府などに最重要人物と称して監禁生活を強いられるような気がする・・・・・・ん?

 

(ってか、なんで知っているんだろう・・・?)

 

”まるで、その選択をすれば悲惨な最期を遂げますよ。”って、知っているかのような感じだった。 ・・・・・・といっても言っているのは俺なんだけどね。

 

と、自問自答していたときに・・・・・・。

 

???「そこの直という者、よそ見していると災いが降りかかるよ。」

 

直「へっ? うおっ!!」

 

と、誰かの声に反応した途端、突然身体全体にガクンっと、負荷がかかったような状態に襲われた。

 

???「ハッハッハッハッハッ!! そこのボーイ、油断しすぎデス!!」

 

俺はその声の主に振り向くと、・・・・・・なんていうか忍者の装束ではあるが、露出度の高い衣装を着ており、更に密着している状態からか胸の谷間がはっきりと見えているうえに感触がマシュマロみたいにやわらけえ・・・。

 

逢魔が見ていたアニメに出てくるありえないでかさを持つ巨乳の女性なんて非現実だと思っていたが、この状態になってみると男性の性ってもんなのかどうしても凝視してしまう。

 

そんな隙だらけの俺をその女性は逃さず・・・・・・。

 

アサキ「私の名はアサキ・ニンベルト!! 組織の一員になった記念に私の忍術を喰らってみるデス!!」

 

その途端に、物凄い勢いで見事にバックドロップをモロに喰らった・・・。

 

・・・・・・って、それプロレスじゃん。 どうみても忍者の技じゃねえよ・・・・・・。

 

直「ごふっ!! いっつ〜〜。」

 

あと、長い茶髪で気がつかんかったが、装束の背中に”無敵”という文字が縦に並んでいたけど、そんなことよりもさっきの技を直撃したせいですげぇ立てねえ・・・。

 

???「だからいったろ? 災いが来ると・・・。」

 

と、いつの間に来ていたのか緑髪のショートで、占い師のような紫の衣装を着た少年がそう呟いた。

 

フージ「僕の名前は、フージ・カラミティア。 見てのとおり占い師だけど、そんなことよりも君を治療してくれる人を呼んでおいたから安心したまえ。」

 

フージという少年が、栗色のショートに羽飾りをしており、なにやら民族衣装の巫女みたいな衣装を着た少女を招き寄せ、俺のところにやって来た。

 

葉尾里「あの、私は((羽山 葉尾里|はねやま はおり))といいます。 よろしければご治療をいたしますが、いかがでしょうか?」

 

俺は喋れないのですぐに頷き、その承認したことを確認した葉尾里という人がすぐに俺の近くに行き、両手をかざした途端に淡い光を放つものが俺の腹部に当て・・・。

 

葉尾里「『ヒアリクス』」

 

と、唱えた瞬間に俺は驚くほどに痛みが癒えていた。

 

逢魔「すげぇ!! さっきから驚きの連続だけど、未来技術だけじゃなく魔法も可能になっているのか!!」

 

春「私達のファンタジーが実現していますよ!! これを可能にした人に感謝です!!」

 

と、さっきからはしゃいではいるが、お前らあの忍者女から逃げただろと睨みをきかせた途端に・・・・・・。

 

知らん振りする二人「「ピュ〜、ピュ〜。」」

 

うわぁ、わざと口笛吹いてやがるし・・・・・・。

 

スティア「ま、ともかく。 このまましていたら、せっかく出した料理がいつまでも食えないからここで自己紹介を終わらせようか。 では、全員飲み物の用意をしておけ、そろそろ乾杯するぞ。」

 

スティアが言った途端に、すぐさま全員がそれぞれの飲み物を用意していく・・・。

 

連携がいいんだな。 と、思っていたときに・・・。

 

???「ほい、君の飲み物だよ。 早くしないと乾杯してしまうよ。」

 

と、不意に赤紫の髪で後ろに束ねており、ゲームでみる冒険者の服を着た優男が飲み物を持って俺のところに現れて渡してきた。

 

直「え? ああ、済まない。 えっと・・・、どちらさん?」

 

イクス「僕はイクス・ファージ。 そんなことよりほら準備して。」

 

そういわれて俺はすぐに乾杯の用意をし・・・・・・。

 

スティア「どうやら全員が準備できたことだし・・・。 では、新しく入った新人達の祝福を祝って・・・。」

 

全員「「「「「乾杯っ!!」」」」」

 

と、全員が乾杯したことによっていよいよパーティーが始まったのだった・・・・・・。

 

-5ページ-

 

直「えっと、イクスさんでしたっけ? さっきはありがとうございます。 それと葉尾里さんもあの時は助かったよ。」

 

会場が始まってすぐに俺はイクスさんと葉尾里さんにお礼をいった。

 

イクス「いやあ、それほどでもないよ。 それにイクスでいいよ。 うちの掟は上下とも関係なく対等に接することが義務付けられているからね。」

 

直「ああ、そういうんならそうしておくよ。」

 

へえ、そんな掟があるんだ・・・。 さっきの信頼のあれといい、もしかして対等な立場で接することが目的なんじゃないのか? そうなると納得がいく・・・。

 

そう思っていると・・・・・・。

 

葉尾里「いえ、そんなたいしたことじゃないですよ。 それと私のことは葉尾里と呼んでくさい。」

 

直「えっ、ああ。 それにしてもさっきの魔法はなんなんだ?」

 

その疑問を問うと・・・・・・。

 

葉尾里「いえ、そんなにすごいことじゃないですが、私達の世界は森羅万象大転変の日の時から使えるようになったんです。」

 

直「え? そうなんだ?」

 

葉尾里「はい、その日のことについてはスティアさんに詳しく聞いたほうが早いですが、私の聞いた限りでは”なんでも世界中にいる人類を含む生命体全てが大転変をしたとか。”」

 

直「へっ? 人類を含む生命体全てが大転変したってどういうこと?」

 

葉尾里「すみませんが、私の知る知識ではそれしか伝わってないんです。」

 

ん〜。 その情報だけじゃあわからねえな・・・。 そう思っているときに・・・・・・。

 

イクス「なら、私が代わりに話そうといっても彼女と同じであまり知識は持っていないほうだけど、私が聞いた限りでは正体不明のウィルスに感染して”身体だけじゃなく存在そのものを創り変えられたらしいからね。”」

 

イクスが葉尾里の代わりに説明したが、葉尾里と同様あまり知らないらしく、要するに噛み砕いた内容でしか伝わってないようだけど・・・・・・。

 

直「創り変えられたってどういうことなんだ? それにそのウィルスって名称はあるはずだろ?」

 

イクス「そうなんだけど、さっきもいったとおり大雑把なことでしかあまり知らないからね。 それにウィルスの名称は確か・・・・・・なんだっけ?」

 

???「”A.O.Eウィルス”ですよ。 人類の進化の元となったものをもうお忘れですか?」

 

イクス「あ、そうそう、それそれ。 いやあ、細かいことはあんまり知る気がなかったからね。」

 

???「まったく、少しは勉強してください。」

 

と、衣服と甲冑を組み合わせたような衣装を着た青紫色の髪で、ポニーテールをした女性がイクスの代わりに説明してくれた。

 

直「えっと、A.O.Eウィルスって?」

 

かなた「”Alter Of Evolution” 要するに”進化を創り変える影響を永続に及ぼす毒液”ということですよ。 申し送れましたが私は((雪城 かなた|ゆきしろ かなた))といいます。 そこの方とは商人の助手関係でやっています。」

 

直「進化を創り変える? 影響を永続に及ぼす毒液ってどういうことなんだ?」

 

かなた「それについてはあまり詳しく説明できませんが、人が本来あるべき姿に進化する系統から複数の系統にへと創り変えられてしまったため、その影響からか永続に増え続けて進化しています。 例えば人であるはずのものが異形や亜人、獣人等になってしまったり、私達のなかで知られている血液のなかでAB型が突然変異を起こしてしまったりと、この現象を”M(ミュータント)現象”と呼ばれています。」

 

ぶっちゃっけいえば、A.O.Eウィルスのせいで自分の姿形または力などによる本質が異質なものにへと変わっているというわけか・・・、その影響で新たな進化が無限に増え続けているということなんだろうな・・・・・・。

 

直「それって、治すことはできないの?」

 

かなた「残念ですが、完全に不可能です。 スピリエンスワールド中の医者や科学者などの者達が7億年かけてもできませんでした。」

 

直「ん? 7億年かけても不可能ってどういうことだ?」

 

かなた「理由はいまも不明ですが、なんでもいくら抗体や死滅する薬剤をいくら投入しても全く効果がなく、それどころか逆に取り込んで耐性を得るという非常識な特性をもっています。 例え核ミサイルや溶岩による超高温、絶対零度の極寒でさえも死滅することはなかったそうです。」

 

それ・・・、完璧に無敵じゃん・・・・・・。 ・・・っていうかチート級だなそのウィルス。

 

かなた「そのウィルスはいまもスピリエンスワールド中に拡散していますが、そのウィルスに感染したおかげで超人的な力と身体を得ることができましたが、ここまでしか知りませんのでそこはご遠慮ください。」

 

なるほど、つまり病化による驚異的な力と身体を得たってことだな。

 

・・・・・・って、ちょっと待て。

 

直「スピリエンスワールド中に拡散しているって、つまり俺や逢魔、春はもう感染しているのか!?」

 

かなた「ええ、すでに。 少なくともここにノーキャリアはいませんからね。」

 

直「マジかよ・・・・・・。 それで病化による殺人衝動やらば破壊衝動はくるのか?」

 

もしそうなら、間違いなくなにかしらの手段で自制しないといけないだろうな・・・。 なんせ薬投入しても全く効果がないというしなあ・・・。 ああ、こんなHIVE的な状況で過ごすことになるとは夢にも思わなかったが、一応聞いておくか・・・・・。

 

かなた「は? 確かにあなたから見れば病化ですが、そのような衝動は聞いたこともありませんし、体験したこともないですね。」

 

直「え? HIVE的な病気じゃないの?」

 

かなた「その病気はすでに改善されていますので不治の病じゃありません。 といいますか、それはただ単に解決方法が見つからずに延々と過ごしただけですね。 それにあなたは勘違いしているかも知れませんが、ALIVEウィルスはありとあらゆるものに感染したものを自分の都合のいいように最適化するだけです。 その影響からか超人的な力と身体を手に入れました。 それは人や生物だけじゃなく、物質すらも効果がある模様です。」

 

直「・・・・・・それって、全部ありとあらゆるものに入り込んで自分の住みやすいように創り変えたってわけ?」

 

かなた「ええ、そのウィルスの自動最適化によって過酷な環境を軽々と生き延びるものも珍しくはないほどです。」

 

つまり、まとめると・・・。

 

A.O.Eウィルスに感染した場合。

@驚異的な身体と力を得ることができる。

A過酷な環境すらも生き延びることが可能。

 

直「こんな感じか?」

 

と、メモした内容をかなたに見せると・・・。

 

かなた「それじゃあ、足りませんね。 書き加えるとこうです。」

 

A.O.Eウィルスに感染した場合。

@驚異的な身体と力(魔法)を得ることができる。

A過酷な環境(宇宙なども含む)すらも生き延びることが可能。

B寿命なしの不老永久を手に入れることができる。(但し、現時点の永続のみ。)

Cどこでも呼吸できるようになる。(但し、有毒などは別。)

 

直「えっ? 宇宙でも生きれるの?」

 

かなた「はい。 宇宙服なしで平然と宇宙遊泳している方は割と結構いますから。」

 

マジで? どんな身体をしているんだ? 考えるだけで想像できないだろ・・・。

 

直「っていうか、普通は呼吸できないだろ。 常識に考えて俺達は酸素を取り入れながら呼吸することしかできないぞ。」

 

イクス「確かに昔はそうだったが、今では死に至るもの以外では別に酸素じゃなくても取り入れることができるようになったからね。」

 

葉尾里「それにA.O.Eウィルスによって自動最適化されていますから、例え酸素がなくても代わりとなるもので結構生きることができますから。」

 

なるほど、酸素がないなら他のもので補えばいいというわけか。

 

・・・・・・でも、もともと吸っていた酸素は猛毒であり、その濃度が高ければあっという間に死ぬけど、俺が生きていた惑星での酸素は窒素によって薄められたものを吸っているだけにしかすぎないからな・・・・・・。

 

つまり、その説があるように別に酸素じゃなくてもそれと同じようなものを生み出せばいいというわけ。 その結果からかこの世界に住む住人達は死に至らないものじゃない限り、酸素の代替えになるもので補ないながら吸って生きているということだろう。

 

直「とはいっても未だに半信半疑なんだけどな・・・。」

 

A.O.Eウィルスの恩恵によって生き長られているとはいえ、大抵の者ならこの説明だけでも理解はできないだろうと思う。 少なくとも飲み込みがはやいなら別だけど・・・・・・。

 

葉尾里「無理しなくてもじっくり頭に入れておけば大丈夫です。 外界の人達も私達の説明でかなり混乱していましたから。」

 

イクス「ま、大抵信じられないとか嘘だろありえないとか言っていたからわかるわ。」

 

直「なあ、思ったけど外界ってなんだ? そういえば不老永久とか森羅万象大転変の日とかはなんなんだ? あと、言い忘れていたけどイクスって商人なのか?」

 

俺はまだわからないことと言い忘れたものをまとめて質問してみた。 でないとなんか聞きそびれるだろうし・・・・・・。

 

イクス「質問多いねえ、始めに私は商人だよ。 そこのかなたとは助手兼護衛という形でやっていたんだけど、ある事故でここGFに加入することになったんだ。」

 

直「ある事故?」

 

イクス「その件については、スティアに聞いてみるといいよ。 どうせ後で君とそのお友達に向けての講義があるだろうし・・・。 それに森羅万象大転変の日は彼のほうが詳しいからね。 なんせスピリエンスワールドのほとんどを知り尽くしているからね。」

 

ん〜、どの道あいつに聞いとかんとわからんわけか・・・。 それにスピリエンスワールドのほとんどを知り尽くしているって並大抵のものじゃまずできないぞ。

 

・・・・・・どんなやり方で把握したのやら。

 

葉尾里「次に不老永久についてなんですが、その前に私達のことをなんて呼ばれているか知っていますか?」

 

直「えっ? 知らないけど何か呼ばれているのか?」

 

とはいっても、人類はヒューマンとかそういう類でしか耳にしてないからな・・・。

 

またはアースノイドとかスペースノイドなどとか・・・・・・。

 

葉尾里「はい、私達の人類全てのことを”プレイル”って呼ばれています。 意味はマーヴェリック語で”生まれ変わりし者”です。」

 

プレイルというのか・・・。 意味の内容から察するに新人類とか新世代の住人といったところか・・・・・・。

 

直「へえ、ところでマーヴェリック語って?」

 

かなた「旧マーヴェリック人達の言語で古代語に分類されています。 私達の言語にはそれぞれありますが、あまりにも多すぎるために”標準語”、”世代語”そして”古代語または神語”の三つの分類に分かれています。」

 

直「どんな内容なんだ?」

 

イクス「簡単にいうと、標準語はスピリエンスワールド中の人達が公認しているもので主にインパルシア語やリダエル語などの言語で銀河中のお偉いさんと話すのに重要な役割を持っているんだ。 ただ、標準語にしてもらうにはその銀河中のお偉いさん全員の承認じゃなきゃ駄目だからね。」

 

葉尾里「まあ、他の惑星や国の人達、そして外界の人達と話すのにとても便利ですから。」

 

なるほどね。 なんか読めてきたな・・・・・・。

 

直「もしかしなくても世代語って、自分たちの故郷の言語ということはつまり母国語というわけだろ。」

 

かなた「はい。 ほとんどの現世代の言語はそこに分類されており、標準語以外の言語は全部そこにまとめられますので・・・・・・。」

 

直「んで、最後の古代語は現世代の言語じゃないものと正体不明の言語に分類されているってわけだろ?」

 

イクス「その通りだけど、大抵の言語は既に滅んでしまった文明の言語や破棄された旧世代の言語も含まれているからね。」

 

葉尾里「それにしてもすごいです!! なんでわかったんですか?」

 

直「いや、ピーンときただけどな。」

 

いわゆる直感って奴・・・。

 

かなた「では、話を戻すが不老永久というのは・・・・・・。」

 

俺は、かなた達の説明の内容を頭に叩き込んでいる最中に・・・・・・。

 

-6ページ-

 

逢魔「ええっ!! それって、つまり絶対に老化せずに永遠に生きれるってことなんですか!!」

 

カイ「まあ、そういうことだ。 中でも”六大英雄”って奴が7億年以上生きているのがその証拠だからな。」

 

この俺、白崎 逢魔は真っ先にカイの兄貴達の説明を受けているところだ。

 

それはなぜかって? いやあ、あのまま直の独壇場的なものが続いていたら俺や春の出番がすんごいなくなるわけ、その証拠に道案内のときに俺ら思いきっしはぶられていたからな。

 

その利害の一致で俺はカイの兄貴達のところに、春の方はなにやらちびっ子四人のメイドとアルティ達のところにいっているんだが、どうせならそっちのほうに行きたかったなあという痛恨の後悔があるわけだが、それはどうでもいい。

 

話を戻すけど、直があの三人と聞き取りに行っているということはつまるところイベントフラグってやつだろうな・・・。 これを機にこの世界の住人達とのフラグを成立させてやるぜ!! っていう感じで今に至るのだが・・・・・・。

 

逢魔「その六大英雄って具体的にどんな人物なんですか?」

 

さっきからまあ、オタク視線の俺がいうのもなんだけど実際この漫画みたいな世界に来てみると新鮮だなあって常に思うぜ・・・。 この新鮮さをブログ仲間に報告してやりたいが、生憎生きているかどうかわからねえうえにあの世紀末的な状況じゃ無理だろうな・・・。

 

リク「ん〜? とはいっても六大英雄はあの第1番目の大いなる脅威リオルゲウスを最初に倒した者達ッスから、その後に世界の治安維持のために銀河連邦とかの軍事組織を結成して7億年の平和維持を実現したほどの人物だからな・・・。」

 

逢魔「ついでにそのリオルゲウスって奴はそんなに強かったんすか?」

 

カイ「おいおい。 強いも何も、惑星が物凄く小さく見えるほどの超巨大怪獣だったんだぞ。 複数の惑星を丸呑みするくらいのヤバさはあったからな。 嘘だと思うなら動画サイト紹介してやるからこの会場が終わった後に見ろよ。」

 

ええ〜〜〜!! そんなに規格外すぎるほどのデカさなのか〜〜〜!? っていうか、それを倒した六大英雄ってそんなに凄いお方だったとは・・・・・・。

 

人生って生きてみれば案外面白いことが見つかるんだね・・・・・・それもとびっきり。

 

でも大いなる脅威に第1番目があるってことは、それ以降あったってことだよね。 それについては直に任せておこう。 知能ならあいつが上だからな・・・。

 

逢魔「ってことは、その六大英雄は全員若かったりします?」

 

カイ「まあ、プロフィールに載っているから見たところ若い奴はそれなりにいたが、仮面つけている奴とかフルメイルとかで素顔が見えないのもおったけどな・・・。」

 

それ、なんか胡散臭そうな連中っすね〜。 一部だけだけど・・・。

 

リク「さっきもいったとおりだけど、森羅万象大転変の日から”若い奴ばかり増えていってな。 老人はおろか、中年野郎もその姿のままで増えることはなかったんっすよ。”」

 

逢魔「ええっと、つまりこの世界には若い姿のままの爺婆がいるってこと?」

 

カイ「ま、そうなるな。 さっきも説明したけど、A.O.Eウィルスは現時点での感染した者を永久維持する特性があるからな。 その結果として、今の世界では爺婆や中年の姿でいること自体珍しいってわけで、その代わりにお前のいうとおり若い姿のままの爺婆達がそこら中にいるわけだが、そのせいか年の差結婚が一般的になっているからな。」

 

リク「なかでも数億年差で結婚していたカップルもいたっすね。」

 

わ〜お〜。 直風に訳すと、その森羅万象大転変の日でA.O.Eウィルスに感染した者達が、その姿のまんま最適化されて永久維持されている結果、若い奴が増え続けるだけで爺婆や中年の姿をした人達はそれ以降増えることは一切なかったってこと。

 

そのせいか、年齢だけで増え続ける若い奴だけがスピリエンスワールド中にいるわけで、しかも全員ほとんどが若い奴ばかりだから見分けがつかず、更に例えわかったとしても承知の上で結婚するものが相次いだ結果、今のような年の差結婚が一般的となったということだが・・・・・・。

 

ちなみに、マキナ兄弟の年齢を聞いたところ俺よりも数千以上生きていることがわかった・・・。 ほんとに見分けがつかねえ・・・・・・。

 

カイ「とはいっても、あえて風格を出すために爺婆の姿を望んで整形するものもいたからな・・・。」

 

それって、どんだけの費用を投入したのやらば・・・・・・。

 

逢魔「そういえばで、外界ってなんなんすか? さっきから”自分たちの世界については他の惑星やら国でしかいっていないのに・・・。”」

 

外界って単語があるならば、それこそ使えばいいのにと思うのだが・・・・・・。

 

カイ「そういや、その説明はまだだったか・・・。 まず、俺達が住んでいるスピリエンスワールドは、惑星の中に一つ一つの国があるのと、その国を惑星ごと領地としたものの二つの国家があるわけだからな。」

 

リク「簡単にいえば、純粋に惑星を一つの国として機能しているのが”プラネット”、そのプラネットとは別に惑星の中に一つ一つの国があるのが”カンパニー”と呼ばれているんすよ。」

 

逢魔「というか、意味がそのまんまなのはなぜ?」

 

リク「区別しやすいようにあえてそのまんまの単語をしているらしいんですよ。 あと、その呼称をいわなくても俺たちのように独自の区別でいっているものが割りとたくさんいるっすけどね。」

 

なるほど・・・・・・。 単純にいえばわかりやすいように自分達の工夫であの二つの国家を呼称しているだけっすね〜〜〜。

 

逢魔「その二つの国家があるのはわかったっすけど、問題の外界ってなんなんっすか? 聞いた限りでは、”まるでこの世界じゃないという風に聞こえるっすけど・・・。”」

 

カイ「まあ、俺達の住んでいる世界とは全く異なる世界だからな・・・。」

 

逢魔「それって、いわゆるパラレルワールドってことですか?」

 

リク「ん〜。 でも、一巡目の世界とか二巡目の世界というわけじゃないけど、要するに異世界ってことっすね。」

 

ほう・・・、そうくるか。 ・・・・・・となれば。

 

逢魔「つまり、戦国時代とか魔法とか使うファンタジー世界とか異世界の旅をする世界とか巨大ロボットで悪の組織と戦う世界とか、あと・・・・・・etc.。」

 

もう数え切れないほどのエトセトラ的な略で俺が知る限りのゲームや漫画、アニメのジャンルなどを言い尽くすことおよそ数分くらい経過した・・・・・・。

 

逢魔「ぜえ・・・、ぜえ・・・。 ・・・・・・っていう世界なんだな!!」

 

カイ「・・・まあ、そんな類の世界にいったことはあるからなあ・・・・・・。」

 

いよっしゃ〜〜〜〜あ!! それがあるってことはつまり、架空世界でしか存在しなかったものが現実にいくことって世代か〜〜〜〜!!

 

・・・・・・ただ、ゲームや漫画、アニメなどのタイトルをいうのは若干気が引けた。

 

何故なら、それをいっても俺達の世代の人じゃないから理解できないだろうな・・・・・・。

 

と、そう思っていたときに・・・・・・。

 

クロハ「ぬははははははは!! クロハ様のお通りだ〜〜!! そこをどけい!!」

 

アリス「むっ!! 我らの道に邪魔者発見〜〜!! どうしますか隊長!!」

 

クロハ「なぬっ!? だが、我らの邪魔をするものは死あるのみ〜〜〜〜〜!!」

 

ダブル金髪少女が、なんか騒ぎながら真っ直ぐこっちに向かってくるっすけど・・・・・・。

 

そして・・・・・・。

 

アリス&クロハ「「天誅っ!!」」

 

逢魔「へっ? ぐぼあっ!!」

 

俺が気づいたときには、既にダブル金髪少女に飛び蹴り喰らわされ、その勢いで俺は、漫画みてえに盛大に吹っ飛んで転げ落ちたのだった・・・・・・。

 

これもフラグってやつか・・・・・・。

 

-7ページ-

 

春「うわあ・・・・・・。 あれは盛大に飛びましたね・・・・・・。」

 

と、私こと遠月 春は先ほどの金髪コンビに飛び蹴り喰らわされた逢魔を見て他人事のように言葉を漏らしています。

 

まあ、あんなことされてもすぐにゾンビのようにレスポンスしますから大丈夫ですけどね。

 

アルティ「それにしても、あなた達っていつもこうなの?」

 

春「いつもどおりですけどね・・・。 ただ、ことあるごとにいつも逢魔がああいう風にえらい目にあってますけどね。」

 

あの頃を思い出しただけでいろいろとありましたからね。 いつも貧乏くじを引いたり、学校や修学旅行での覗きとかで女子達にボコボコされたり、あと数えきれないほどの武勇伝っぽいのがありますがそれは省きましょう。

 

???「へえ〜。 それって、疫病神にでも憑かれているの?」

 

春「どちらかっていうと、そうなりますね〜。」

 

ちなみに、この四人のちびっ子メイドちゃん達は、背丈こそはエルミナちゃんよりちょっと低いですが、せっかくですからまとめて紹介しておきます。

 

赤髪で、長い後ろ髪を二つに分かれて束ねてそれを前に出しているのがラナちゃん。

 

とってもポジティブで、ちびっ子メイドちゃん達のリーダーです。

 

ライトブルーで、ポニーテールをしているのがイメルちゃん。

 

とっても真面目で、いつも気苦労が絶えないそうです。

 

金髪で、ボブカットをしているのがキアちゃん。

 

とっても無口で、気が付けば謎の行為をしているそうです・・・。

 

最後に黒髪で、セミロングをしているのがリエンちゃん。

 

普段は大人しいですが、怒らせると別人に変貌して怖いそうです・・・・・・。

 

紹介は以上ですが、苗字はみんなティメットでみんなエルミナちゃんの妹なんです。

 

それに・・・・・・。

 

春「改めて見てみますと、どうみても“ただの女の子にしか見えないじゃないですか。”」

 

ラナ「そうだよ!! エルミナお姉ちゃんも含めて私達は、“アルティメットドール”っていうんだよ!!」

 

そう、この子達は普通の女の子ではなくアルティメットドールと呼ばれた生体兵器。 基本的にはオートマタとかアンドロイドとかで呼ばれていますが、アルティメットドールは正真正銘完全に人と同じ肉体を持ち、“ナノバイオ”と呼ばれるナノマシンの究極世代ともいわれる特殊な細胞を組み込んで生まれたそうです。

 

ちなみに、ギルちゃんとアリスちゃんもナノバイオを組み込まれていますが人工的に造られたラナちゃん達とは違い、直(ちょく)で生まれてから組み込まれたそうですから正確にはアルティメットドールではなく、“ナノバトラー”というナノマシン使いに分類するだそうです。

 

あ、直というのは人と人の間で生まれたことをいうそうです。

 

イメル「ラナ!! 無神経に広めないの!!」

 

ラナ「ええ〜。 だって、春お姉ちゃんは信頼できるよ〜。」

 

イメル「だからって、もしその人が悪い人だったらどうするの!!」

 

ラナ「心配しなくても、すぐにけちょんけちょんにして証拠隠滅すればいいんだよ〜。」

 

イメル「そんな楽観的な視線で問題が済むわけじゃないでしょ!!」

 

とまあ・・・、イメルちゃんの言う事もごもっともです。

 

あと言い忘れていましたが、エルミナちゃんも含む姉妹達はあのラゼインさんの従者をしているそうです。 ・・・・・・正直羨ましい限りです。

 

キア「春お姉ちゃん・・・・・・。」

 

春「ひゃい!?」

 

と、ひとりで考えごとしていたら突然音もなくいきなり話しかけられたですよ!! っていうか、ほんとに謎の行動をしますね。 だって、分厚いメモ帳とペンを携えていますし・・・。

 

春「な、なんですか?」

 

キア「質問だけど、春お姉ちゃんって二股しているの?」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?

 

リエン「だ、駄目だよ。 そんなことを聞いちゃ・・・・・・。」

 

そういいますけどねリエンちゃん・・・。 そういうあなたもきっちりとボイスレコーダーを持って何していますか? それってもしかして既成事実でも作るつもりですか?

 

ルミ「あはははは・・・・・・。 ごめんね春ちゃん・・・・・・。 この子達はあなたが直達と付き合っているって聞いているんだよ・・・・・・。」

 

へえ〜、なるほどそういうことですか・・・・・・。 ・・・・・・って!!

 

春「何言ってんですか!! 私は付き合っていませんよ!!」

 

ラナ「お、この口調はツンデレ口調というやつか!!」

 

イメル「ちょっと駄目でしょ!! 人の関係に口をだしては!!」

 

そういいますけど、イメルちゃん・・・。 言葉と表情が思いきっし一致していないですよ・・・。

 

キア「よしっ。 リエン、ちゃんと録画した?」

 

リエン「うん・・・。 あとは捏造してするだけだね・・・・・・。」

 

ちょっとそこ!! 私の意思とは無関係になに捏造しようとしてんですか〜〜〜!!

 

あれですか。 私をスキャンダルして丸裸にしようっていう計画でもするんですか!!

 

ちびっ子姉妹「「「「うんっ!!」」」」

 

春「ひどっ!!」

 

しかも思いきっし心読まれていました〜〜〜〜。

 

アルティ「こらっ!! そこまでよ!! でないと怒るわよ!!」

 

ちびっ子姉妹「「「「きゃあ〜〜〜〜。 逃っげろ〜〜〜〜。」」」」

 

アルティちゃんの一喝で一目散に逃げるちびっ子姉妹達。

 

春「あははは・・・、ありがとうございますアルティさん・・・・・・。」

 

アルティ「いいのよそれくらい。 全く、あとでエルミナにいってやろうかしら・・・。」

 

ルミ「それにしても、春ちゃんって直さん達のことをどう思っているのですか?」

 

春「えっ?」

 

そうきますか・・・・・・。 とはいっても、そんな関係じゃありませんけどね・・・・・・。

 

アルティ「ちょっと、ルミ。」

 

ルミ「ごめん、アルティ。 春ちゃん、いやなら別に・・・・・・。」

 

このままほっとくとなんかとてつもない誤解がきそうな気がする・・・・・・。

 

春「ああ、いいんですよ別に、あの二人とは元々幼馴染関係で長年やっていましたから。 それに・・・・・・。」

 

アルティ&ルミ「「それに?」」

 

ってか、思いきっし食い付いているじゃないですか!! 自分でいうのもなんだけど・・・。

 

春「例えあの二人の誰かに恋しても全然気づいてくれないような気がするんですよね・・・。」

 

だって、とある記事を見て長年友達関係の人同士は、いつまでたっても友達関係のまま恋人関係にならないって思いきっし書いてあったんですよ〜〜〜!!

 

しかも、その記事の内容どおり私を異性として認識するどころかただの幼馴染としての認識しかしていないという体たらく!! これ以上の証明があると思いますか〜〜〜!!

 

漫画やゲームみたいに都合よく恋人展開できるわけないじゃないですか〜〜〜!!

 

そう考えると、なんかむかつく〜〜〜〜!!

 

春「むきぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

ルミ「は、春ちゃん?」

 

アルティ「ちょっと、いきなりどうしたのよ!! 大丈夫なの!!」

 

はっ!! 我を忘れてつい言葉を漏らしてしまった。 我ながらなんと情けない・・・・・・。

 

春「あはははは・・・・・・。 大丈夫ですよ。 いわゆる思い出し笑いというやつです。」

 

アルティ「それ、思い出し笑いじゃないわよ・・・・・・。」

 

ルミ「よくわからないけど、なんか大変なんだね・・・・・・。」

 

よくよく思えば私は誰に恋してんだろ? と、そう考える私だった・・・・・・。

 

-8ページ-

 

一方、その頃・・・・・・。

 

直「まあ、大抵の情報は揃ったな・・・・・・。」

 

あれから、イクスさん達と別れたその次にさっき俺にバックドロップしやがった忍者女ことアサキと、それを忠告したフージ、そして先ほどイゼルトさんに会って教導のメニュープランを渡されたけど、内容みたら軍人張りのフルコースだった・・・・・・。

 

己の身を護るためとはいったが、そこまでの内容ということは“なにかしらの最前線で戦っているということだな。”なんかとんでもないところに保護されたな・・・・・・。

 

きっと逢魔なら、むしろそのくらいきて当たり前よ!! っていうだろうし・・・・・・。

 

そう考えながら、思考錯誤していると・・・・・・。

 

???「あの、君が直という人ですか?」

 

直「ん? そうだけど。」

 

不意に声をかけられて振り向くとなにやら見知らぬ二人組が現れた。

 

一人は少年で、ライトグリーンのショート。 右目に着けている眼帯と左頬になにかしらの刻印が刻まれている。

 

もう一人は少女で、ベージュのミディアムをしており、首輪に見たこともない紋様が見えたり見えなかったりで浮かびあがっている。

 

ロゼット「良かった・・・。 はい、これリーダーに言われて部屋の鍵を持ってきたんだ。 そういえば、まだ名乗ってなかったね。 僕の名はロゼット・アーズ。 そしてこちらはメリア。」

 

メリア「初めまして、私はメリア・リネルスと申します。 どうぞよろしくお願いします。」

 

直「ああ、こちらこそよろしくお願いします。」

 

少年がロゼット、少女がメリアという形で軽い自己紹介を済ませた。

 

ロゼット「では、僕達はこれで・・・。 他の二人に渡してこいって言われているから。」

 

メリア「ちなみに、顔はしっかりと覚えていますので心配は無用です。」

 

直「そうか、ありがとうな。」

 

ロゼット「いえいえ。」

 

そういいながら、ロゼットとメリアは会場の方に消えていった・・・。

 

さっき渡された鍵は、カードキーのようなもので俺が選んだ部屋の番号と同じだった。

 

リーダーっていってたけど、あれはスティアだな・・・。 その辺りはさすがに仕事が速いな。

 

直「これからはここでの生活が始まるだろうな・・・・・・。」

 

思い出せば、隕石襲来からいきなり7億年後の世界に飛んでしまったからな・・・・・・。 そのあげく、帰り道すらもわからずに仕方なくここでの生活をすることになったけど。

 

直「住む環境が変わっただけであとのほうは変わっていないからな・・・・・・。」

 

俺の日常で根本的に変わらないのが逢魔と春の存在。 その二人がいるとどんなところでも台無しにしてくれるからな。 そこだけは決してこれからも変わらないだろう・・・・・・。

 

直「ま、それくらいにして戻るとするか。」

 

と、振り向いた矢先・・・・・・。

 

直「うおっ!?」

 

???「ん? ああ、すまん。 つい癖で気配を絶ってしまってな・・・・・・。」

 

そこにおよそ180pくらいの長躯の男性がいた。 髪は黒のロングウルフで、長い髪を後ろに束ねている。 それに全身黒コートを纏っている暗殺者らしい衣装を着ている。

 

直「全然気づかなかったけど、どちらさんで?」

 

エイガー「俺の名は、エイガー・アルマリック。 妹が世話になったな・・・。」

 

妹? アルマリックという苗字といえば・・・・・・ああ!!

 

直「もしかして、ルミのお兄さんですか?」

 

エイガー「そうだ。 あまりここをあまく見ないほうがいい・・・・・・。」

 

やっぱ、そう言われると思ったが確認のため一応聞いておくか。

 

直「それって、どういうことですか?」

 

エイガー「なに、いずれはわかるさ・・・・・・。」

 

そういうと、向こうの方に歩いていき・・・・・・。

 

エイガー「では、俺は急用があるからこれで・・・・・・。」

 

そして、音もなく姿すらも捉えきれずに消えてしまった。

 

直「なんだったんだ・・・・・・?」

 

そうはいってみるものの、やはり普通ではないことがわかる。 これまで情報収集した内容だっても実際的に不可能なことばかり。

 

だが、その不可能を可能にした世界。 その世界に俺達はどんなことが待ち受けているのか、考えただけでも想像がつかないことが起こるに違いない。

 

アルティ「あ、そんなところにいたのね。」

 

と、そう考えていたところにアルティがこちらに向かって走ってくる。

 

なにか俺に用事でもあるのだろか?

 

直「どうした? なにか俺に用があるのか?」

 

アルティ「ええ、ちょっと引っ掛かることがあってね。 聞いてもいい?」

 

直「わかる範囲ならば答えるけど。」

 

アルティ「そう。 じゃあ、単刀直入にいうわ。」

 

いったい、どんな内容がくるのだろうとそう思っていたとき・・・・・・。

 

アルティ「あなたから聞いた過去のことだけど、“どうやってそんなことができたわけ?”」

 

直「・・・・・・は? どういうことだ?」

 

アルティ「あなたの言動からしてどうしても納得できないのよ。 まず、宝くじだけどなんで連続で当たったわけ? 一度くらい大当たりしたというならわかるけど、そのあとの使い道もそうだし、どうやってやり過ごしたわけ?」

 

直「う〜ん? 要するになんで連続で大当たりしたのか、あと金目を狙うあくどい奴らに狙われなかったことを言っているのか?」

 

アルティ「ええ。 あのときは驚いてしまったけど、よくよく考えればおかしな話だなって後になって気づいたからこうしてあなたに聞いてみたってわけ。」

 

なるほどなあ・・・、だから真相を問いだそうってわけか。

 

直「でも、俺は正直にいって嘘はついていない。 それに俺が大当たりしたからといっても“何も起こらなかったから何事もなく孤児院を出たからな。” そのあとのことについてはアルティも知っているはずだろ?」

 

なにせ、それが現実に起きていたからそうなったわけだが・・・・・・。

 

アルティ「何事もなかったって・・・、じゃあ、あのバトルロワイヤルは? あれはどうやってできたの? 相手は全員尊敬や信頼はしていなかったんでしょ?」

 

直「ああ、それなら。 “ただツイッターで呼び込みしただけで簡単に集まってきたぞ。”」

 

アルティ「・・・・・・・・・・・・。」

 

とはいっても、実際そろそろ不良から卒業しておこうとたまたまそれをしただけだが、何か問題があるのか?

 

アルティ「・・・・・・もしかしなくても、“その後のことも何も起こらなかったわけ?”」

 

直「おう。 何もなかったぞ。」

 

まあ、あれに番長の座を渡して以来、何事もなく過ごすことができたからな。

 

それにしても、なんでそんなことを聞くんだ?

 

アルティ「まさかあんたって、そういうことなの?」

 

直「えっ? 何が?」

 

アルティが何かを確信したように俺に視線を向いてから・・・・・・。

 

アルティ「つまり、あんたは“――――”ってことよ。」

 

えっ? いま、なんていったんだ? あれっ? なんで・・・動かねえ・・・んだ・・・?

 

アルティ「ちょっと!! あんた大丈夫っ・・・。」

 

そのとき俺は、突然視線が黒く染まりそのままブラックアウトした。

 

-9ページ-

 

同時刻。

 

スティア「それで? 該当しなかったというわけか?」

 

???「ええ、そうよ。 あなたが私に注文してきたものはどれもなかった以前に存在すらもしていなかったわ。」

 

場所は艦長オフィス。 あれから俺は直達の歓迎会を済ませた後に、ある女性から連絡が掛かり、俺が依頼したものを報告に俺はラゼインと共にすぐさま艦長オフィスに戻って連絡することで今の時刻に至るわけだが・・・・・・。

 

ラゼイン「にしても、該当しないのはどういうことだ? 俺達が依頼したのは”森羅万象大転変の日で最初にプレイルとなった原種の者達のはずだぞ?”」

 

原種の者とは、森羅万象大転変の日に起きプレイルとなった最初の人種を指す。

 

その者たちは後に通常のプレイルよりも濃度が色濃いと判明し、政府らによって厳重に研究対象として管理されているものは今に至って少なくはない。

 

だが、それと同時にその日から行方不明になっている者が大勢いることも確認されており、その人物を調べようとしても”何故かデータが消されているのだ。”

 

勿論これは一般人がアクセスできるような情報ではなく、結果的に遥か上の権限を持っている人物。 そう、”六大英雄ことフェリア・リネルクス”に頼み、その日のデータを調べてもらった結果が今に至るわけだが・・・・・・。

 

フェリア「そんなことを言われてもね・・・。 だいたい今となっては、ほとんどの原種の者達が絶滅しているってことわかっているの? それにあなた達が渡してきた書類だけど、なにひとつ該当しなかったわよ。」

 

彼女の言っていることは大体間違ってはいない。 なにせ7億年間、知らぬうちに原種の者達が死滅していき、気が付けばあっという間にスピリエンスワールド中のほぼ一割未満となってしまった。 何故そうなったのかはわからないが、突如としていきなり姿を消したという情報については今も怪奇となって残っている。

 

ラゼイン「だが、該当しなかったことはそれ以外のことも調べたってことだろ?」

 

ちなみに、フェリアとの接点を持ったのはあることがきっかけに同盟関係という形で協力して貰っているが、その内容については省くとする。

 

彼女の特徴は、サファイアのロングストレートで165cmほどの身長を持つ。 服装は白のマントを羽織った動きやすい服を着ている。

 

フェリア「ええ。 調べたけど手応えなし。 外界っていう可能性はあるの?」

 

スティア「それはない。 でなきゃ、頼むわけないだろ。」

 

初めから外界の住人であれば、自力で元の世界に行けるからな。 だが、あの者達が外界の住人ではないとわかった以上、わざわざ六大英雄に頼む理由がない。

 

フェリア「ふうん。 でもどれも一致しなかったってことは、その行方不明になっていた原種の者達という可能性になるわけね。 でも、これだけじゃ足りないから後で血液を採取してちょうだい。 少なくとも白黒わかるから。」

 

フェリア率いる銀河連邦の解析力はまさに銀河最高峰を誇り、いくら不正をしていても血液などの精密な検査で必ず判明するほどの脅威的な技術力を誇る。

 

スティア「わかった。 時間は掛かるが、あいつらに違和感がないように踏まえておく。」

 

フェリア「いい返事ね。 さすがは”ハンドレットミリオンナンバーのアークエネミー”に立ち向かう英雄なだけあるわ。」

 

ハンドレットミリオンナンバーはすなわち1億番目であり、大いなる脅威の番号でもある。 そう、GFを結成した俺達の目的は”そいつを討滅することにある。”

 

ラゼイン「全てを喰らって自分のものにする至上災厄の大敵バディレス・・・。」

 

フェリア「ええ。 私達プレイルはこれまで大いなる脅威を撃退したけど。 今回の大いなる脅威はかなり厄介な相手で、すでに確認しただけでもスピリエンスワールドの大半を占拠しただけではなく、信者や多くの者達を傘下として迎えた結果、大規模な勢力として拡大していった。 それも銀河中の全勢力を上回るほどに・・・。」

 

バディレスは群体で行動し、ありとあらゆるもの(主に未知のもの)を喰らう習性があるが、そのためなら命すらも惜しまずにその対象を逃がさず、喰らうまで永遠に追撃し続ける。 例えそれが毒であろうと有害であろうと喰らうものはなんでも喰らうそういう厄介な存在である。

 

ラゼイン「それはわかるが、バディレスは真っ先に未知のものを喰らう習性がある。 それもレア度が高いものを優先にしているからな。 その証拠にいまだ俺らの特性を得てないのに関わらず、迷わずにあいつらを狙っていたからな。」

 

フェリア「ということは、彼らはあなた達よりも特別な力があるってこと?」

 

バディレスの知能は人類より遥かに高く、喰らったものを自分のものにする特性があり、更にそれらを巣に持ち帰ることで耐性やその力をもった量産型が無限に湧き上がるといった最悪の能力を持つ。 その結果、スピリエンスワールドの大半を占拠するほどの勢力に至ったわけだ・・・・・・。

 

スティア「そうなるな。 だからといって、フェリアのところに預けるわけにはいかないからな。 その結果として俺らのところにしばらく預けることになった。」

 

フェリア「そうよね。 過去に襲撃されたことが数回ほどの実績があるし、もし彼らを預けた状態でバディレスに襲撃されたらさすがに護りきれる自信はないわね。 だって、誰かを護りながら戦うのは骨が折れるからね。」

 

ラゼイン「そりゃ、あいつらはセキュリティを発生させずにほいほい侵入しやがったからなあ。 それも縦横無尽にな・・・。」

 

簡単にいえば、そこに壁がある。 自分達の常識では迂回するか破壊するかのどちらかを選ぶが、バディレスの場合はそれをせずに通り抜けることができる。

 

非常識ともいえるやり方でその常識を無視もしくは破壊することができるという大いなる脅威なら誰もが持っている原初の力をバディレスにはあるというわけだ。 

 

つまり、バディレスは当時、難攻不落だった銀河連邦の本拠地をたやすくその壁や地面を通過させて簡単に侵入することができたのだ。

 

そのせいで、厳重に管理されていたものがいくつかなくなっていたのを判明した。

 

フェリア「あのときは、あなた達がいなかったら今頃もっと悲惨なことになっていたわ。 それに免じてあなた達に”彼らこと直達”を保護することを許します。」

 

スティア「ああ、感謝する。」

 

フェリア「その代わり、きっちりとやりなさいよ。 途中で投げ出すことは許さないから。 そういうわけだから切っておくわね。 それじゃ・・・。」

 

と、同時に連絡を切り、辺りに静寂な時がしばらく流れる。

 

ラゼイン「んで、どうするんだ?」

 

そして、ラゼインがその静寂を破り、俺に今後のことをどうするか尋ねてくる。

 

スティア「そうだな。 奴等のこともあるが、いくら我らでも非常事態には防ぎ切れないことがある。 となれば、一番手っ取り早い方法は・・・・・・。」

 

ラゼイン「あいつらを鍛える必要があるってわけだ。」

 

スティア「そうだ。 すでにイゼルト達にそう伝えてあるし、場合によっては俺達も教導する必要があるからな。」

 

ラゼイン「ということは、プランはもう決行されているわけだ。」

 

スティア「ああ、まず・・・・・・。」

 

俺はそのプランについての概要を説明するのだった・・・・・・。

 

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???「ふふっ。」

 

その二人の様子を見ていた女性は、心底嬉しそうに微笑んでいた。

 

???「いよいよ。 始まるのですね。 ”もう一人のフェイアブルの投入”によってどんな結末が待ち受けているのでしょうか?」

 

その女性がそう言ったときに・・・。

 

???「それで? 例の計画が始動するのでしょうね?」

 

???「ああ〜、はやくやりた〜〜い。」

 

???「駄目だ。 お前がいったら明らかに均衡が崩れる。」

 

???「っていうか、修正する身にもなってくれ・・・・・・。」

 

と、次々と複数の声が辺り中に響いてきた。

 

勿論、姿は見えず、未だに声を発していない者がそこら中にいるが、彼らは”世界を修正と管理する役割を担っているため、表に出ることは禁止にしている。”

 

???「まあ、そう焦らずにじっくりと見届ければいいのですから・・・・・・。」

 

そう宥める女性に傍観していた俺は前に出た。

 

???「なんにしても、この物語は俺が担当するからあまりでしゃばるなよ。」

 

???「「「「ええ〜〜〜〜。」」」」

 

子供か、お前ら・・・・・・。

 

???「そういうわけですから、始めましょう。」

 

???「この物語に新たなるページの幕上げとならんことを・・・・・・。」

 

そう言った俺の眼に黄金の光が輝いていた。

 

Chapter2 第一章 END

説明
第三弾の作品です。
既に気づいている方はいると思いますが、GFはゴッドフォースの略なので、そこのところはご理解よろしくお願いします。
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